説明

表示装置を備えたミシン

【課題】 大型の表示装置の採用が可能なミシンを提供する。
【解決手段】
表示部98は、ほぼ4角形をなし、その表示部下面59の左下が作業空間70側に突出する大きさを有している。表示部98は上下スイッチ75の操作により上下方向移動でき、表示部下面59がアーム下面72に揃う位置まで上方向に移動可能である。また任意の位置で停止させることができる。表示部98は下限の位置で表示部上面57はアーム上面71と同じレベルにあり、表示部前面56はアーム前面77と同一レベルにあり、表示部側面58は本体側面73と同じレベルにある。表示部98が下限位置にある時、表示部側面58はミシン本体から何ら突出することなく、ミシン本体の機枠内に収まり、この状態でミシンを収納すれば、極めてコンパクトに収納可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、表示装置を備えたミシンに関する。
【背景技術】
【0002】
ミシンには種々の種類があるが、近年の電子技術の発達に伴い、種々の機能を備えると共に、液晶画面などの表示装置を備え、制御内容等の表示を行える表示装置を備えたミシンが普及している。
ミシンにおける表示装置は、アームかアーム立上部に設けられており、ミシンの他の位置にはスペースがなく、表示装置を取り付けることはできない。
【0003】
【特許文献1】特開2000−237478号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、ミシンのアームやアーム立上部の面積は限界があり、また画面だけではなくスイッチなどの操作部を設ける必要もある。一方、近年の多機能化や液晶画面の大型化に伴い、大型画面の要望も大きくなってきているが、前記した通りスペースの限界があり、アームやアーム立上部の面積を大きくするためには、ミシン本体を大型化しなければならず、大型画面の採用は難しい問題があった。
本発明は上記従来技術の問題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明の表示装置を備えたミシンは、ミシン本体上に備えられた移動可能な表示装置と、該表示装置を移動させる移動機構と、を備え、該表示装置は、ミシン本体の機枠内に収まる位置に少なくとも移動可能である、ことを特徴とする。また、更に前記表示装置は、更にベッド上面とアームとの間の空間を確保できる位置に移動可能である、ことが望ましい。
以上の構成により、大型の表示装置であっても、ミシン本体の機枠内に移動させることにより、収納時などにはコンパクトにしまえる効果がある。また、ベッド上面とアームとの間の空間を確保できる位置に移動可能とすれば、該空間における種々の作業を阻害することがない。
【発明の効果】
【0006】
本発明の表示装置を備えたミシンによれば、大型の表示装置の採用が可能である効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1において、ベッド90からアーム立上部96が立ち上がり、アーム95に続いてミシン本体を形成している。アーム95のアーム前面77には操作部7が設けられており、操作部7のアーム下面72とベッド上面91との間に所定の間隔の空間を設け、ここを作業空間70としている。
【0008】
アーム95からアーム立上部96にかけて表示部98が設けられている。表示部98は、ほぼ4角形をなし、その表示部下面59の左下が作業空間70側に突出する大きさを有している。
この表示部98は上下方向にスライド可能であり、図2に示すように、表示部下面59がアーム下面72に揃う位置まで上方向に移動可能になっている。
【0009】
図1において、表示部98は下限の位置にあり、この位置で表示部98の表示部上面57はアーム上面71と同じレベルにあり、連続する面を形成している。また表示部前面56はアーム前面77と同一レベルにあり、連続する面を形成している。更に表示部側面58は図3に示すように本体側面73と同じレベルにあり、連続する面になっている。
【0010】
従って、表示部98が図1の位置にある時、表示部側面58はミシン本体から何ら突出することなく、ミシン本体の機枠内に収まっている。従って、この状態でミシンを収納すれば、極めてコンパクトに収納可能である。
また、この状態で表示部下面59の左下は作業空間70に突出するが、収納時の状態であるため支障はない。
【0011】
図2の位置で、表示部98は表示部上面57がアーム上面71より上に突出しているが、表示部下面59はアーム下面72と同一レベルであり、連続面を形成している。そして、作業空間70に突出する部分がないため、作業空間70すべてを作業に使用できる。
また表示部98は上方にあがっているため、作業者の目線位置に近く、表示部98を極めて見やすくなる。また、表示部下面59の下側のアーム立上部96表面が露出するため、ここに操作ボタンなどを設けることも可能である。
なお図2の状態においても、表示部前面56はアーム前面77と連続面を形成し、表示部側面58は本体側面73と連続面を形成している。
【0012】
表示部98は上下スイッチ75の操作により上下方向移動でき、任意の位置で停止させることができるようになっている。この構成により操作者は最も見やすい表示部98の位置を選択でき、操作性が向上する。
【0013】
図4に上下方向移動のための構成を示す。
表示部98は裏面側の一端側でガイドレール50により上下スライド可能に支持され、他端側で送りネジ53により上下方向に駆動されるように構成されている。送りネジ53は伝達機構55を介して駆動モータ54に接続し、駆動モータ54の稼働により上下方向に移動する。
ガイドレール50の上端にはマイクロスイッチ51が設けられ、下端にはマイクロスイッチ52が設けられており、表示部98の図2に示す上位置と図1に示す下位置を規制している。
【0014】
図5により動作を説明する。
操作者が上下スイッチ75を押して、上昇要求をだすと(ステップS1)、マイクロスイッチ51の検出信号があるか否かチェックし(ステップS2)、次に上下スイッチ75の操作停止があるか否かチェックして(ステップS3)、駆動モータ54を駆動して(ステップS4)、表示部98を上昇させる。マイクロスイッチ51の検出信号があった場合、或いは上下スイッチ75の操作停止があった場合には、駆動モータ54を停止し(ステップS9)、その位置で表示部98を停止させる。
【0015】
次に操作者が上下スイッチ75を押して、下降要求をだすと(ステップS5)、マイクロスイッチ52の検出信号があるか否かチェックし(ステップS6)、次に上下スイッチ75の操作停止があるか否かチェックして(ステップS7)、駆動モータ54を駆動して(ステップS8)、表示部98を下降させる。マイクロスイッチ52の検出信号があった場合、或いは上下スイッチ75の操作停止があった場合には、駆動モータ54を停止し(ステップS9)、その位置で表示部98を停止させる。
【0016】
なお、上記実施形態では表示部98を上下動させる場合につき説明したが、表示部98を例えば斜め方向や左右方向に移動させることも可能である。
また、アーム上面71や本体側面73側に収納する構成とすることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態を示す斜視図。
【図2】本発明の一実施形態の動作を示す斜視図。
【図3】本発明の一実施形態を示す部分斜視図。
【図4】本発明の一実施形態の表示部98移動機構を示す説明図。
【図5】本発明の一実施形態の動作を示すフローチャート図。
【符号の説明】
【0018】
7:操作部、50:ガイドレール、51:マイクロスイッチ、52:マイクロスイッチ、53:送りネジ、54:駆動モータ、55:伝達機構、56:表示部前面、57:表示部上面、58:表示部側面、59:表示部下面、70:作業空間、71:アーム上面、72:アーム下面、73:本体側面、75:上下スイッチ、77:アーム前面、90:ベッド、91:ベッド上面、95:アーム、96:アーム立上部、98:表示部98。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミシン本体上に備えられた移動可能な表示装置と、
該表示装置を移動させる移動機構と、を備え、
該表示装置は、ミシン本体の機枠内に収まる位置に少なくとも移動可能である、
表示装置を備えたミシン。
【請求項2】
前記表示装置は、更にベッド上面とアームとの間の空間を確保できる位置に移動可能である、
請求項1の表示装置を備えたミシン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−345966(P2006−345966A)
【公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−173352(P2005−173352)
【出願日】平成17年6月14日(2005.6.14)
【出願人】(000002244)蛇の目ミシン工業株式会社 (79)
【Fターム(参考)】