説明

表示装置及びその製造方法

【課題】補助容量信号幹線のインピーダンスを低下させながらも点欠陥の修正が可能であり、しかも、非表示領域の面積増加を抑制する。
【解決手段】第1基板11の非表示領域16には、対向電極に対向信号を供給するための対向信号線22と、表示領域15に設けられた複数の補助容量信号線が接続された補助容量信号幹線21と、対向信号線22と補助容量信号幹線21との導通状態をオン又はオフに切り替える第2スイッチング素子25とが形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アクティブマトリクス型の表示装置及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、映像機器及び情報機器等において、高詳細な画像表示が可能であるアクティブマトリクス型の液晶表示装置の開発が進められている(例えば、特許文献1及び2等参照)。
【0003】
アクティブマトリクス型の液晶表示装置は、マトリクス状に配置された複数の画素を有し、スイッチング素子基板としてのTFT基板と、このTFT基板に対向して配置された対向基板と、これら対向基板及びTFT基板の間に設けられた液晶層とを備えている。対向基板には共通電極としての対向電極が形成される一方、TFT基板には各画素毎に画素電極が形成されている。
【0004】
TFT基板には、各画素毎にスイッチング素子としてのTFTが設けられている。また、複数の走査信号線及びデータ信号線が互いに交差するように形成され、それぞれ各TFTに接続されている。また、各画素毎に、印加電圧を保持するための補助容量を形成することも一般に知られている。
【0005】
特許文献1には、画素毎に補助容量を備えたアクティブマトリクス型の液晶表示装置において、行毎に設けられた補助容量線に所定電位を供給するための共通補助容量線に容量を付加することにより、寄生容量等を介して補助容量線に混入したノイズを吸収して補助容量線の電圧を安定化し、表示ムラやクロストークの発生を防止することが開示されている。
【0006】
特許文献2に記載されているTFTアレイ基板は、補助容量電極が、データ信号線との交差部を有しないように島状に形成され、かつこの補助容量電極の上層の絶縁層等にコンタクトホールが形成され、当該コンタクトホール内に対向基板側に形成された柱状スペーサが収容配置されている。そして、柱状スペーサの外周面を覆うように形成された対向電極と、アレイ基板側の補助容量電極とが、電気的に接続され、補助容量電極への給電を対向電極側から行なえるようになっている。
【特許文献1】特開2003−202592号公報
【特許文献2】特開平10−268356号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、(1)走査信号線の本数が多くTFTが導通している時間が短い場合、(2)データ信号線の本数が多く補助容量信号線の負荷が大きい場合、(3)補助容量信号幹線のインピーダンスが高い場合等において、TFTがオン状態である間に、データ信号線や補助容量信号線に印加された電圧が必要な所定電位まで到達しない虞がある。この場合、TFTがオフ状態となった後に、補助容量信号線の電位が変動してしまう結果、その電位の変動に比例して、同じ補助容量信号線に補助容量を介して接続されている全ての画素の液晶容量に印加される電圧も変動してしまうこととなる。また、この液晶容量への印加電圧の変動は、その印加電圧の大きさに応じて影響度合いが変化し、表示内容によっては横縞の表示ムラが生じてしまう。
【0008】
そこで、通常は補助容量信号線に印加する信号が対向電極に印加する信号と同じであるため、図6に示すように、補助容量信号幹線111と対向信号線112とを互いに接続し、補助容量信号線及び補助容量信号幹線111のインピーダンスを低下させることが考えられる。
【0009】
ここで、図6は液晶表示装置100の構成を模式的に示している。液晶表示装置100は、TFT基板101と対向基板102とを備え、表示領域103がパネル中央に形成されている。表示領域103の周囲は非表示領域104になっている。
【0010】
TFT基板101の非表示領域104には、対向基板102の対向電極(図示省略)に接続された転移電極としての対向電極接続部113が形成されている。また、TFT基板101の非表示領域104には、上記対向電極接続部113に接続された対向信号線112と、表示領域103へ延びる複数の補助容量配線に共通の補助容量信号幹線111とが形成されている。そして、補助容量信号幹線111及び対向信号線112は、互いに接続されている。そのことにより、補助容量信号線及び補助容量信号幹線111のインピーダンスが低下されている。
【0011】
ところで、一般に、液晶表示装置の検査工程において、画素不良である点欠陥が見つかった場合には、補助容量信号幹線111と対向信号線112との間に高い電圧を印加することにより、画素電極と対向電極との間の微小リークを焼き切って上記点欠陥を修正したり、これらの間を完全にショートさせることによって点欠陥が増加しないようにしている。したがって、このように点欠陥を修正するためには、図7に示すように、補助容量信号幹線111と対向信号線112とは互いに分離独立している必要がある。
【0012】
しかしながら、補助容量信号幹線111と対向信号線112とを分離独立して形成すれば、点欠陥の修正が可能になるものの、上述のように、補助容量信号線及び補助容量信号幹線111のインピーダンスを低下することできないという問題がある。
【0013】
このため、補助容量信号線および補助容量信号幹線111のインピーダンスを低下させるためには、補助容量信号幹線111の線幅を広くしなければならないが、その結果として、非表示領域(額縁領域とも称する)が拡大してしまう問題がある。
【0014】
本発明は、斯かる諸点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、アクティブマトリクス型の表示装置について、補助容量信号線及び補助容量信号幹線のインピーダンスを低下させながらも点欠陥の修正が可能であり、しかも、非表示領域の面積増加を抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記の目的を達成するために、本発明に係る表示装置は、複数の画素がマトリクス状に配置された表示領域と、該表示領域の外側に形成された非表示領域とを備えたアクティブマトリクス型の表示装置であって、第1スイッチング素子と、該第1スイッチング素子に接続された画素電極とが上記複数の画素毎にそれぞれ形成された第1基板と、上記第1基板に対向して配置され、上記画素電極に対向する対向電極が形成された第2基板と、上記第1基板及び第2基板の間に設けられた表示媒体層とを備え、上記第1基板の上記非表示領域には、上記対向電極に対向信号を供給するための対向信号線と、上記表示領域に設けられた複数の補助容量信号線が接続された補助容量信号幹線と、上記対向信号線と補助容量信号幹線との導通状態をオン又はオフに切り替える第2スイッチング素子とが形成されている。
【0016】
上記第2スイッチング素子は、トランジスタにより構成されていることが好ましい。
【0017】
また、本発明に係る表示装置は、複数の画素がマトリクス状に配置された表示領域と、該表示領域の外側に形成された非表示領域とを備えたアクティブマトリクス型の表示装置であって、第1スイッチング素子と、該第1スイッチング素子に接続された画素電極とが上記複数の画素毎にそれぞれ形成された第1基板と、上記第1基板に対向して配置され、上記画素電極に対向する対向電極が形成された第2基板と、上記第1基板及び第2基板の間に設けられた表示媒体層とを備え、上記第1基板の上記非表示領域には、上記対向電極に対向信号を供給するための対向信号線と、上記表示領域に設けられた複数の補助容量信号線が接続された補助容量信号幹線と、上記対向信号線と上記補助容量信号幹線との間には、該対向信号線と補助容量信号幹線とを導通する信号接続部が設けられ、上記信号接続部は、上記補助容量信号幹線に接続された第1電極と、該第1電極に対向配置されて上記対向信号線に接続された第2電極と、上記第1電極及び上記第2電極の間に介在された絶縁膜と、該絶縁膜を貫通して上記第1電極及び第2電極を互いに導通させる導通部とを有している。
【0018】
上記表示媒体層は液晶層であってもよい。
【0019】
また、本発明に係る表示装置の製造方法は、複数の画素がマトリクス状に配置された表示領域と、該表示領域の外側に形成された非表示領域と、第1スイッチング素子、及び該第1スイッチング素子に接続された画素電極が上記複数の画素毎にそれぞれ形成された第1基板と、該第1基板に対向して配置され、上記画素電極に対向する対向電極が形成された第2基板と、上記第1基板及び第2基板の間に設けられた表示媒体層とを備えたアクティブマトリクス型の表示装置を製造する方法であって、上記第1基板の上記非表示領域に、上記対向電極に対向信号を供給するための対向信号線と、上記表示領域に設けられた複数の補助容量信号線が接続された補助容量信号幹線とを形成する第1工程と、上記第1工程の後に行われ、上記複数の画素における表示の点欠陥の有無を検査する第2工程と、上記第2工程で上記点欠陥が検出された場合に行われ、上記補助容量信号幹線と上記対向信号線との間に電圧を印加することによって、上記点欠陥を修正する第3工程とを有し、上記第3工程では、上記補助容量信号幹線と上記対向信号線とを非導通状態にして上記点欠陥を修正する一方、当該点欠陥の修正後に、上記補助容量信号幹線と上記対向信号線とを導通状態にする。
【0020】
上記第1工程では、上記第1基板の上記非表示領域に、上記対向信号線と上記補助容量信号幹線との導通状態をオン又はオフに切り替える第2スイッチング素子を形成し、上記第3工程では、上記第2スイッチング素子をオフにして上記点欠陥を修正する一方、当該点欠陥の修正後に、上記第2スイッチング素子をオンにするようにしてもよい。
【0021】
上記第2スイッチング素子は、トランジスタにより構成されていることが好ましい。
【0022】
上記第1工程では、上記第1基板の上記非表示領域に、上記補助容量信号幹線に接続された第1電極と、該第1電極に対向配置されて上記対向信号線に接続された第2電極と、上記第1電極及び上記第2電極の間に介在された絶縁膜とを形成し、上記第3工程では、上記点欠陥の修正後に、上記絶縁膜を貫通して上記第1電極及び第2電極を互いに導通させる導通部を形成することによって、上記補助容量信号幹線と上記対向信号線とを導通状態にするようにしてもよい。
【0023】
上記導通部は、上記第1電極、上記絶縁膜及び上記第2電極にレーザ光を照射することによって形成することが好ましい。
【0024】
上記表示媒体層は液晶層であってもよい。
【0025】
−作用−
次に、本発明の作用について説明する。
【0026】
本発明に係る表示装置は、対向信号線と補助容量信号幹線との導通状態をオン又はオフに切り替える第2スイッチング素子を設けるようにしたので、例えば、表示装置の製造段階における検査工程において画素の点欠陥が検出された場合に、第2スイッチング素子をオフにして、対向信号線と補助容量信号幹線とを非導通状態とし、補助容量信号幹線と対向信号線との間に高い電圧を印加することによって、画素の点欠陥を修正することが可能になる。
【0027】
一方、表示装置が表示を行うときは、第2スイッチング素子をオンにして、補助容量信号幹線と対向信号線とを導通状態とすることによって、補助容量信号線及び補助容量信号幹線のインピーダンスを低下させて表示ムラを抑制することが可能になる。
【0028】
さらに、補助容量信号幹線を対向信号線と導通させることにより、補助容量信号幹線のインピーダンスを低下させるためにその配線幅を大きくする必要がないので、補助容量信号幹線の配線幅を狭く維持して、非表示領域の面積の増加を抑制することも可能になる。
【0029】
また、本発明に係る表示装置は、対向信号線と補助容量信号幹線とを導通する信号接続部を備えているため、例えば、製造段階の検査工程において画素の点欠陥が検出された場合に、信号接続部の導通部を形成しないで上記第1電極と第2電極とを互いに絶縁した状態で、補助容量信号幹線と対向信号線との間に高い電圧を印加することによって、画素の点欠陥を修正することが可能になる。
【0030】
一方、表示装置が表示を行うときは、上記導通部を形成して第1電極及び第2電極を互いに導通させることにより、補助容量信号線及び補助容量信号幹線のインピーダンスを低下させて表示ムラを抑制することが可能になる。
【0031】
さらに、補助容量信号幹線を対向信号線と導通させることにより、補助容量信号幹線のインピーダンスを低下させるためにその配線幅を大きくする必要がないので、補助容量信号幹線の配線幅を狭く維持して、非表示領域の面積の増加を抑制することも可能になる。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、アクティブマトリクス型の表示装置について、その対向信号線と補助容量信号幹線とを導通状態又は非導通状態にすることができるため、補助容量信号線及び補助容量信号幹線のインピーダンスを低下させながらも点欠陥の修正が可能になり、しかも、非表示領域の面積増加を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。また、本発明に係る表示装置の一例として、液晶表示装置を例に挙げて説明する。尚、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。
【0034】
《発明の実施形態1》
図1〜図4は、本発明の実施形態1を示している。
【0035】
図1は、本実施形態1の液晶表示装置1に形成された補助容量信号幹線21及び対向信号線22を示す概略平面図である。図2は、液晶表示装置1の回路構成を示すブロック図である。図3は、液晶表示装置1の画素10を拡大して示す平面図である。図4は、液晶表示装置1の画素を拡大して示す回路図である。
【0036】
液晶表示装置1は、図1、図3及び図4に示すように、複数の画素10がマトリクス状に配置された表示領域15と、表示領域15の外側に形成された非表示領域16とを備えたアクティブマトリクス型の液晶表示装置に構成されている。
【0037】
液晶表示装置1は、図2に示すように、第1基板であるTFT基板11と、このTFT基板11に対向して配置された第2基板である対向基板12との間に、図示しない表示媒体層としての液晶層を配置したものである。また、液晶表示装置1は、液晶パネル31と、これを駆動制御する回路群とを備えている。液晶パネル31は、TFT基板11、液晶層、対向基板12とにより構成されている。
【0038】
TFT基板11は、図3に示すように、各画素を構成する多数の画素電極45が形成されている。また、横方向に走査信号線41と補助容量信号線43、縦方向にデータ信号線24が、碁盤の目状に多数形成されると共に、これら走査信号線41とデータ信号線24との各交差部に、それぞれTFT40が形成され、画素電極45が設けられている。
【0039】
TFT基板11には、図3に示すように、第1スイッチング素子としてのTFT(Thin-Film Transistor:薄膜トランジスタ)40と、TFT40に接続された画素電極45とが複数の画素10毎にそれぞれ形成されている。
【0040】
すなわち、TFT基板11には、図3及び図4に示すように、複数の走査信号線41が互いに平行に延びて形成されている。また、TFT基板11には、複数のデータ信号線42が互いに平行に形成されており、上記走査信号線41と直交するように配置されている。そのことにより、TFT基板11には、走査信号線41及びデータ信号線42からなる配線が格子状にパターン形成されている。各画素は、上記走査信号線41とデータ信号線42とによって区画される矩形状の領域により形成されている。
【0041】
TFT40は、走査信号線41及びデータ信号線42に接続され、走査信号が走査信号線41から印加された状態で、信号電圧をデータ信号線42から画素電極45へ供給するようになっている。
【0042】
また、TFT基板11には、複数の補助容量信号線43が各画素10を通るように、互いに平行に形成されている。補助容量信号線43は画素10の略中央に配置された容量電極44を有している。容量電極44と画素電極45との間には図示しない絶縁膜が介在されており、これらによって補助容量(Ccs)52が形成されている。また、各画素電極45は、液晶容量(Clc)51及び補助容量52等により、印加されたデータ信号を、TFT40が遮断した後も保持できるようになっている。
【0043】
対向基板12には、図2に示すように、液晶層側表面の略全体に亘って対向電極13が形成されている。対向電極13は、TFT基板11側の各画素電極45に対向して配置されると共に、各画素電極45に共通の電極となっている。
【0044】
一方、TFT基板11の非表示領域16には、図1に示すように、対向電極13に対向信号を供給するための対向信号線22と、表示領域15に設けられた上記複数の補助容量信号線43が接続された補助容量信号幹線21とが形成されている。
【0045】
また、TFT基板11の非表示領域16には、その隅部分に、対向電極13に接続された転移電極としての対向電極接続部20が形成されている。一方、対向信号線22は、対向電極接続部20に接続されている。すなわち、対向信号線22は、対向電極接続部20を介して対向電極13に接続されている。
【0046】
ここで、液晶表示装置1の回路構成について、図2を参照して説明する。
【0047】
液晶表示装置1におけるTFT基板11の各走査信号線41は、スキャンドライバ32に接続され、各データ信号線24は、セグメントドライバ33に接続されている。
【0048】
そして、図示しないチューナー回路によって受信された映像信号は、映像信号反転回路34を介して、セグメントドライバ33に入力されるようになっている。
【0049】
スキャンドライバ32は、走査信号をシフトレジスタによって、水平走査期間ごとにシフトさせながら、順次各走査信号線41に出力し、これを垂直走査期間ごとに繰り返す回路である。
【0050】
セグメントドライバ33は、映像信号反転回路34を介して入力した映像信号をサンプリングして、1水平走査線分のデータ信号を、各データ信号線24に出力する回路である。
【0051】
従って、液晶表示装置1では、スキャンドライバ32の走査によって、順に走査信号線41に走査信号が出力され、走査信号が出力された走査信号線41上のすべてのTFT40が導通する。このとき、セグメントドライバ33からの1水平走査線分のデータ信号が、各データ信号線24と、選択された走査信号線41上のTFT40とを介して画素電極45に印加される。この動作が水平走査期間ごとに繰り返されることにより、1画面分の映像が表示される。
【0052】
ただし、液晶を直流駆動すると寿命が短くなるため、各画素電極45に印加される映像信号は、垂直走査期間ごとに映像信号反転回路34によって極性を反転させ、また表示のちらつきを見えにくくするために水平走査期間ごとにも極性を反転させている。
【0053】
また、上記液晶表示装置1における対向基板12の対向電極13と、補助容量信号幹線21に接続されている補助容量信号線43とには、それぞれ、対向信号印加回路36によって、上記画素電極45の映像信号の基準となる対向信号が、常に印加されている。従って、上記映像信号反転回路34による映像信号の極性反転は、この対向信号を基準とし行われ、これによって液晶が交流駆動されるようになっている。
【0054】
そして、本発明の特徴として、TFT基板11の非表示領域16には、対向信号線22と補助容量信号幹線21との導通状態をオン又はオフに切り替える第2スイッチング素子としてのトランジスタである信号接続用TFT25が形成されている。また、このTFT基板11の非表示領域16には、信号接続用TFT25に接続された接続制御信号線23が形成されている。
【0055】
また、TFT基板11には、対向基板12に重なっていない領域に駆動IC等が実装される端子部17が形成されており、接続制御信号線23の一端は、上記補助容量信号幹線21の一端、及び対向信号線22の一端と共に、端子部17に引き出されている。
【0056】
そうして、端子部17から接続制御信号線23を介して信号接続用TFT25に制御信号を印加することにより、信号接続用TFT25がオンである補助容量信号幹線21及び対向信号線22の導通状態、又は、信号接続用TFT25がオフである補助容量信号幹線21及び対向信号線22の非導通状態に切り替えるようになっている。
【0057】
また、液晶表示装置1が表示を行っている駆動時には、信号接続用TFT25をオン状態にすることにより、補助容量信号線43には、互いに導通している補助容量信号幹線21及び対向信号線22から対向信号が入力されるようになっている。一方、製造段階の検査工程では、信号接続用TFT25をオフ状態にするようになっている。
【0058】
なお、上記スキャンドライバ32、セグメントドライバ33、および映像信号反転回路34の各動作タイミングは、映像信号から分離した同期信号に基づいて、タイミングコントロール回路35により制御されるようになっている。
【0059】
このとき、補助容量信号幹線21は、補助容量信号線43へ接続する都合上、表示領域15の近くに配置する一方、この補助容量信号幹線21よりも外側のパネル外周部近くに対向信号線22を配置している。スキャンドライバ32は、パネル外部からの異物等による回路のショートを防ぐために、必ずシールされる領域に配置される一方、パネル外周部近くに配置されている対向信号線22は、構造が配線のみであり、かつ、対向電極13と同じ信号が入力されるためにショートする心配がないことから、シールされない領域にも配置することが可能である。したがって、対向信号線22は、他の配線が設けられない領域に配置することができるので、非表示領域16の面積(いわゆる額縁サイズ)が大きくならない範囲で十分に幅広の配線に形成することができる。一方、補助容量信号幹線21は必要最小限の線幅として、額縁サイズが可能な限り大きくならないように規定されている。
【0060】
−製造方法−
次に、上記液晶表示装置1の製造方法について説明する。
【0061】
液晶表示装置1は、予め形成したTFT基板11と、対向基板12とを枠状のシール部材(図示省略)を介して貼り合わせると共に、上記TFT基板11及び対向基板12の間において上記シール部材の内側に封入することによって製造する。
【0062】
第1工程では、TFT基板11の表示領域15にTFT40、画素電極45、走査信号線41、データ信号線42及び補助容量信号線43等を形成すると共に、TFT基板11の非表示領域16に、対向信号線22、補助容量信号幹線21、接続制御信号線23及び信号接続用TFT25を形成する。対向信号線22、補助容量信号幹線21及び接続制御信号線23は、例えばAl等を含む金属膜をフォトリソグラフィによりパターニングして形成する。
【0063】
その後、第2工程では、複数の画素10における表示の点欠陥の有無を検査する(検査工程)。当該検査は、走査信号線41及びデータ信号線42に検査用の信号を供給して、表示領域15の各画素を点灯させることによって行う。その結果、特定の画素に表示不良が検出された場合には、次の第3工程を行う。
【0064】
第3工程では、点欠陥を修正する。すなわち、接続制御信号線23から信号接続用TFT25に制御信号を供給し、信号接続用TFT25をオフに切り替える。そのことにより、補助容量信号幹線21と対向信号線22とを非導通状態にして、補助容量信号幹線21と対向信号線22との間に比較的高い電圧を印加する。そうすると、補助容量信号線43と補助容量52を介して画素電極45は補助容量信号幹線21に近い電圧になる一方、対向電極13は対向信号線22と同じ電圧となり、画素電極45と対向電極13との間に高い電圧が印加される。その結果、画素電極45と対向電極13との間の異物等による微小リークを焼き切って点欠陥を修正し、又は、画素電極45と対向電極13とを完全にショートさせてしまうことにより、出荷後に点欠陥が増加しないように修正する。
【0065】
一方、当該点欠陥の修正後には、接続制御信号線23から信号接続用TFT25に制御信号を供給し、信号接続用TFT25をオンに切り替える。こうして、補助容量信号幹線21と対向信号線22とを導通状態にする。つまり、液晶表示装置1の使用時に、信号接続用TFT25は常にオンになっている。
【0066】
−実施形態1の効果−
したがって、この実施形態1によると、補助容量信号線43及び補助容量信号幹線21のインピーダンスを低下させながらも点欠陥の修正が可能であり、しかも、非表示領域16の面積増加を抑制することができる。
【0067】
すなわち、対向信号線22と補助容量信号幹線21との導通状態をオン又はオフに切り替える信号接続用TFT25を設けるようにしたので、第2工程(検査工程)において画素10の点欠陥が検出された場合に、信号接続用TFT25をオフにして、対向信号線22と補助容量信号幹線21とを非導通状態とし、補助容量信号幹線21と対向信号線22との間に高い電圧を印加することによって、画素の点欠陥を修正することができる。
【0068】
一方、表示装置が表示を行うときは、信号接続用TFT25をオンにして、補助容量信号幹線21と対向信号線22とを導通状態とすることによって、補助容量信号線43及び補助容量信号幹線21のインピーダンスを低下させて表示ムラを抑制することが可能になる。
【0069】
さらに、補助容量信号幹線21を対向信号線22と導通させることにより、補助容量信号幹線21及び対向信号線22によって対向信号を各補助容量信号線43へ供給することができるため、補助容量信号幹線21のインピーダンスを低下させる目的でその配線幅を大きくする必要がなくなる。その結果、補助容量信号幹線21の単独で補助容量信号線43へ対向信号を入力する場合よりも補助容量信号幹線21の配線幅を狭く維持して、非表示領域16の面積(いわゆる額縁サイズ)の増加を抑制することもできる。
【0070】
このため、走査信号線41の本数が多くTFT40が導通している時間が短い場合や、データ信号線24の本数が多く補助容量信号線43の負荷が重い場合でも、額縁サイズが大きくなることなく、TFT40が導通している間にデータ信号線42や補助容量信号線43を所定の電位まで到達させ、横縞の発生を防ぐことができる。
【0071】
《発明の実施形態2》
図5は、本発明の実施形態2を示している。
【0072】
図5は、本実施形態2の液晶表示装置に形成された補助容量信号幹線21及び対向信号線22を示す概略平面図である。尚、以降の各実施形態では、図1〜図4と同じ部分については同じ符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0073】
上記実施形態1では、TFT基板11の表示領域15に信号接続用TFT25及び接続制御信号線23を設けたのに対し、本実施形態2は、信号接続部60を設けるようにしたものである。
【0074】
すなわち、図5に示すように、対向信号線22と補助容量信号幹線21との間には、対向信号線22と補助容量信号幹線21とを導通する信号接続部60が設けられている。信号接続部60は、補助容量信号幹線21に接続された第1電極61と、第1電極61に対向配置されて対向信号線22に接続された第2電極62と、上記第1電極61及び第2電極62の間に介在された絶縁膜(図示省略)と、この絶縁膜を貫通して第1電極61及び第2電極62を互いに導通させる導通部63とを有している。
【0075】
−製造方法−
本実施形態2の液晶表示装置1を製造する場合には、第1工程において、上記実施形態1における信号接続用TFT25及び接続制御信号線23を形成する代わりに、第1電極61、絶縁膜及び第2電極62を、TFT基板11の非表示領域16に形成する。第1電極61及び第2電極62は、例えばAlを含む金属膜等によって形成することが可能である。
【0076】
すなわち、第1工程では、TFT基板11の非表示領域16に、第1電極61を補助容量信号幹線21に接続して形成する。続いて、第1電極61を覆う絶縁膜を形成した後に、この絶縁膜の表面に、第1電極61に対向すると共に対向信号線22に接続された第2電極62を形成する。したがって、このときには、まだ補助容量信号幹線21と対向信号線22とは非導通状態になっている。
【0077】
そして、第2工程で点欠陥が検出された場合には、第3工程を行い、上記実施形態1と同様に、補助容量信号幹線21と対向信号線22との間に高い電圧を印加して、点欠陥を修正する。その後、第1電極61、絶縁膜及び第2電極62にレーザ光を照射することによって、第1電極61及び第2電極62をショートさせ、導通部63を形成する。このことによって、補助容量信号幹線21及び対向信号線22は、信号接続部60の導通部63を介して導通状態となる。以上の工程によって、本実施形態2の液晶表示装置1を製造する。
【0078】
−実施形態2の効果−
したがって、この実施形態2によると、対向信号線22と補助容量信号幹線21とを導通する信号接続部60を設けるようにしたので、第2工程(検査工程)において画素10の点欠陥が検出された場合に、信号接続部60の導通部63を形成しないで第1電極61と第2電極62とを互いに絶縁した状態で、補助容量信号幹線21と対向信号線22との間に高い電圧を印加することによって、画素10の点欠陥を修正することができる。
【0079】
一方、液晶表示装置1が表示を行うときには、上記導通部63を形成して第1電極61及び第2電極62を互いに導通させることにより、上記実施形態1と同様に、補助容量信号線43及び補助容量信号幹線21のインピーダンスを低下させて表示ムラを抑制することができる。
【0080】
さらに、補助容量信号幹線21を対向信号線22と導通させることにより、補助容量信号幹線21のインピーダンスを低下させる目的でその配線幅を大きくする必要がないので、補助容量信号幹線21の配線幅を狭く維持して、非表示領域16の面積の増加を抑制することもできる。
【0081】
《その他の実施形態》
上記実施形態1及び2では、表示装置の例として液晶表示装置について説明したが、本発明はこれに限らず、その他にも例えば表示媒体層が発光層であるアクティブマトリクス型の有機EL表示装置等についても、同様に適用することができる。
【0082】
また、信号接続用TFT25は、TFT等のトランジスタに限らず他のスイッチング素子により構成することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0083】
以上説明したように、本発明は、アクティブマトリクス型の表示装置及びその製造方法について有用である。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】図1は、本実施形態1の液晶表示装置に形成された補助容量信号幹線及び対向信号線を示す概略平面図である。
【図2】図2は、液晶表示装置の回路構成を示すブロック図である。
【図3】図3は、液晶表示装置の画素を拡大して示す平面図である。
【図4】図4は、液晶表示装置の画素を拡大して示す回路図である。
【図5】図5は、本実施形態2の液晶表示装置に形成された補助容量信号幹線及び対向信号線を示す概略平面図である。
【図6】図6は、従来の液晶表示装置に形成された補助容量信号幹線及び対向信号線を示す概略平面図である。
【図7】図7は、従来の液晶表示装置に形成された補助容量信号幹線及び対向信号線を示す概略平面図である。
【符号の説明】
【0085】
1 液晶表示装置
10 画素
11 TFT基板(第1基板)
12 対向基板(第2基板)
13 対向電極
15 表示領域
16 非表示領域
21 補助容量信号幹線
22 対向信号線
25 信号接続用TFT(第2スイッチング素子)
40 TFT(第1スイッチング素子)
43 補助容量信号線
45 画素電極
52 補助容量
60 信号接続部
61 第1電極
62 第2電極
63 導通部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の画素がマトリクス状に配置された表示領域と、該表示領域の外側に形成された非表示領域とを備えたアクティブマトリクス型の表示装置であって、
第1スイッチング素子と、該第1スイッチング素子に接続された画素電極とが上記複数の画素毎にそれぞれ形成された第1基板と、
上記第1基板に対向して配置され、上記画素電極に対向する対向電極が形成された第2基板と、
上記第1基板及び第2基板の間に設けられた表示媒体層とを備え、
上記第1基板の上記非表示領域には、上記対向電極に対向信号を供給するための対向信号線と、上記表示領域に設けられた複数の補助容量信号線が接続された補助容量信号幹線と、上記対向信号線と補助容量信号幹線との導通状態をオン又はオフに切り替える第2スイッチング素子とが形成されている
ことを特徴とする表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載された表示装置において、
上記第2スイッチング素子は、トランジスタにより構成されている
ことを特徴とする表示装置。
【請求項3】
複数の画素がマトリクス状に配置された表示領域と、該表示領域の外側に形成された非表示領域とを備えたアクティブマトリクス型の表示装置であって、
第1スイッチング素子と、該第1スイッチング素子に接続された画素電極とが上記複数の画素毎にそれぞれ形成された第1基板と、
上記第1基板に対向して配置され、上記画素電極に対向する対向電極が形成された第2基板と、
上記第1基板及び第2基板の間に設けられた表示媒体層とを備え、
上記第1基板の上記非表示領域には、上記対向電極に対向信号を供給するための対向信号線と、上記表示領域に設けられた複数の補助容量信号線が接続された補助容量信号幹線と、
上記対向信号線と上記補助容量信号幹線との間には、該対向信号線と補助容量信号幹線とを導通する信号接続部が設けられ、
上記信号接続部は、上記補助容量信号幹線に接続された第1電極と、該第1電極に対向配置されて上記対向信号線に接続された第2電極と、上記第1電極及び上記第2電極の間に介在された絶縁膜と、該絶縁膜を貫通して上記第1電極及び第2電極を互いに導通させる導通部とを有している
ことを特徴とする表示装置。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか1つに記載された表示装置において、
上記表示媒体層は液晶層である
ことを特徴とする表示装置。
【請求項5】
複数の画素がマトリクス状に配置された表示領域と、該表示領域の外側に形成された非表示領域と、第1スイッチング素子、及び該第1スイッチング素子に接続された画素電極が上記複数の画素毎にそれぞれ形成された第1基板と、該第1基板に対向して配置され、上記画素電極に対向する対向電極が形成された第2基板と、上記第1基板及び第2基板の間に設けられた表示媒体層とを備えたアクティブマトリクス型の表示装置を製造する方法であって、
上記第1基板の上記非表示領域に、上記対向電極に対向信号を供給するための対向信号線と、上記表示領域に設けられた複数の補助容量信号線が接続された補助容量信号幹線とを形成する第1工程と、
上記第1工程の後に行われ、上記複数の画素における表示の点欠陥の有無を検査する第2工程と、
上記第2工程で上記点欠陥が検出された場合に行われ、上記補助容量信号幹線と上記対向信号線との間に電圧を印加することによって、上記点欠陥を修正する第3工程とを有し、
上記第3工程では、上記補助容量信号幹線と上記対向信号線とを非導通状態にして上記点欠陥を修正する一方、当該点欠陥の修正後に、上記補助容量信号幹線と上記対向信号線とを導通状態にする
ことを特徴とする表示装置の製造方法。
【請求項6】
請求項5に記載された表示装置の製造方法において、
上記第1工程では、上記第1基板の上記非表示領域に、上記対向信号線と上記補助容量信号幹線との導通状態をオン又はオフに切り替える第2スイッチング素子を形成し、
上記第3工程では、上記第2スイッチング素子をオフにして上記点欠陥を修正する一方、当該点欠陥の修正後に、上記第2スイッチング素子をオンにする
ことを特徴とする表示装置の製造方法。
【請求項7】
請求項5に記載された表示装置の製造方法において、
上記第2スイッチング素子は、トランジスタにより構成されている
ことを特徴とする表示装置の製造方法。
【請求項8】
請求項5に記載された表示装置の製造方法において、
上記第1工程では、上記第1基板の上記非表示領域に、上記補助容量信号幹線に接続された第1電極と、該第1電極に対向配置されて上記対向信号線に接続された第2電極と、上記第1電極及び上記第2電極の間に介在された絶縁膜とを形成し、
上記第3工程では、上記点欠陥の修正後に、上記絶縁膜を貫通して上記第1電極及び第2電極を互いに導通させる導通部を形成することによって、上記補助容量信号幹線と上記対向信号線とを導通状態にする
ことを特徴とする表示装置の製造方法。
【請求項9】
請求項8に記載された表示装置の製造方法において、
上記導通部は、上記第1電極、上記絶縁膜及び上記第2電極にレーザ光を照射することによって形成する
ことを特徴とする表示装置の製造方法。
【請求項10】
請求項5〜9の何れか1つに記載された表示装置の製造方法において、
上記表示媒体層は液晶層である
ことを特徴とする表示装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−97100(P2010−97100A)
【公開日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−269377(P2008−269377)
【出願日】平成20年10月20日(2008.10.20)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】