説明

表示装置及び液晶テレビジョン

【課題】光源点灯回路と電源回路とを含む複数の回路のうち、何れの回路が故障したのかを容易に突き止めることを可能とすることで、回路の修理を容易かつ短時間に行うことを可能とする。
【解決手段】入力された商用交流電源から各種電源電圧を生成して出力する電源回路24と、少なくとも電源回路24と、電源回路24の出力する電源電圧を駆動電圧としているインバータ回路26と、を含む複数の回路にそれぞれ制御信号を出力することにより、各回路のオンオフを制御するマイコン22と、を備える液晶テレビジョン100に、液晶テレビジョン100の外部から電源電圧を供給するための入力端子53と、電源回路24及びインバータ回路26に接続されていて、入力端子53から電源電圧が供給されると電源回路24及びインバータ回路26を起動させる定電圧を発生して制御信号として出力する検査用補助回路50と、を備えさせる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置及び液晶テレビジョンに関し、特に、入力された商用交流電源から各種電源電圧を生成して出力する電源回路と、少なくとも前記電源回路と前記電源電圧を駆動電圧としている光源点灯回路とを含む複数の回路にそれぞれ制御信号を出力することにより各回路の起動と停止とを制御する制御部と、を備える表示装置及び液晶テレビジョンに関する。
【背景技術】
【0002】
表示装置の回路は、通常、複数の回路の組み合わせで構成されている。これら複数の回路のうち何れかが故障して、表示装置が起動しなくなった場合は、基板全体を交換するか、何れの回路が故障したのかを突き止めなければならない。例えば、液晶テレビジョンであれば、電源スイッチを投入しても画面が黒のまま映らない場合、チューナ回路、映像処理回路、バックライトインバータ回路、等、様々な回路が原因として考えられる。このような故障の際は、従来であれば、ブロック基板毎の交換を行ったり、回路図を見ながら電圧や波形を順番に確認して不良箇所を突き止めて修理したりしていた。
特許文献1〜3には、映像表示装置に電池電源と外部電源の2種類の電源を備えさせ、外部電源の入力がない場合は、電池電源を電源の供給源とする技術について記載されている。
【特許文献1】特開平10−301535号公報
【特許文献2】特開2003−216127号公報
【特許文献3】特開2004−126437号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、前述して特許文献1〜3の技術は、故障時に、何れの回路が故障したのかを突き止めるための技術ではなかった。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたもので、複数の回路のうち、何れの回路が故障したのかを容易に突き止めることが可能とすることで、回路の修理を容易かつ短時間に行うことが可能な表示装置及び液晶テレビジョンの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するために、本発明にかかる表示装置は、入力された商用交流電源から各種電源電圧を生成して出力する電源回路と、少なくとも前記電源回路と、前記電源電圧を駆動電圧としている光源点灯回路と、を含む複数の回路にそれぞれ制御信号を出力することにより、各回路のオンオフを制御する制御部と、を備える表示装置において、本表示装置の外部から電源電圧を供給するための入力端子と、前記電源回路及び前記光源点灯回路に接続されていて、前記入力端子から電源電圧が供給されると前記電源回路及び前記光源点灯回路を起動させる定電圧を発生して制御信号として出力する検査用補助回路と、を備える構成としてある。
【0005】
即ち、前記入力端子に本表示装置の外部から電源電圧が供給されると、前記検査用補助回路で定電圧が発生され、発生された定電圧が制御信号として前記電源回路及び前記光源点灯回路に入力される。制御信号が入力された前記電源回路は前記光源点灯回路に駆動電圧を供給し、駆動電圧と制御信号とが入力された前記光源点灯回路は、光源を点灯させる。このとき、前記電源回路又は前記光源点灯回路の何れかが故障していると光源は点灯しない。
【0006】
また、本発明の表示装置は、前記定電圧を発生する回路と前記電源回路とがダイオードで接続されて前記電源回路から前記定電圧を発生する回路への逆流を防止し、前記定電圧を発生する回路と前記光源点灯回路とがダイオードで接続されて前記光源点灯回路から前記定電圧を発生する回路への逆流を防止する構成としてもよい。
【0007】
即ち、前記ダイオードが、前記検査用補助回路への電流の逆流を防止するため、仮に前記光源点灯回路や前記電源回路に前記定電圧よりも高い電圧が残留していたり発生していたりしても、この高い電圧によって検査用補助回路や外部の電源電圧供給元に影響することが無い。
【0008】
また、本発明の表示装置は、前記定電圧を発生する回路として、トランジスタと、該トランジスタに自己バイアスをかける抵抗と、前記トランジスタのベースにカソードが接続されつつアノードが接地されてベース電圧を決定する第一のツェナダイオードと、を備える構成としてもよい。
【0009】
また、本発明の表示装置は、前記トランジスタのコレクタにカソードが接続されつつアノードが接地されて前記トランジスタのコレクタ電圧の上限を決定する第二のツェナダイオード、を備える構成としても良い。即ち、前記第二のツェナダイオードの降伏電圧が前記検査用補助回路に入力可能な電圧となり、この降伏電圧以上の電圧が外部から入力された場合には、前記第二のツェナダイオードが降伏して前記トランジスタ、ひいては前記電源回路や前記光源点灯回路の制御信号入力ラインに過大な電圧が印加されるのを防止する。
【0010】
また、本発明の表示装置は、他励式インバータ回路と該他励式インバータ回路にて点灯されるバックライトとを備える液晶テレビジョンであり、前記光源点灯回路を構成する前記他励式インバータ回路が、昇圧トランスの一次巻線に交流を印加するスイッチ回路と、発振オンを指令する制御信号及び、デューティを指示する輝度制御信号が入力されると該輝度制御信号に対応するデューティで所定の周波数信号を発振させ、該周波数信号の周波数で前記スイッチ回路のスイッチ制御を行う、制御回路と、を備え、前記検査用補助回路が、前記電源回路に制御信号を出力すると共に、前記制御信号と前記輝度制御信号を前記制御回路に出力する構成としても良い。
【0011】
さらに、本発明の表示装置のより具体的な一例として、入力された直流電圧を他励のスイッチ回路で交流に変換して出力する他励式インバータ回路と、前記他励式インバータ回路に直流電圧を供給する電源回路と、前記他励式インバータ回路により点灯された放電灯で液晶パネルの背面から光を照射するバックライトと、前記他励式インバータ回路の発振と前記電源回路の直流電圧の出力とのオンオフを制御するマイコンと、を備えて、テレビ放送信号を受信して該テレビ放送信号に含まれる映像信号から生成した駆動信号で液晶パネルを駆動して映像を画面に表示する液晶テレビジョンにおいて、前記他励式インバータ回路は、入力された直流電圧から脈流を除去した平滑電圧を出力する平滑回路と、各ハーフブリッジ結合の一端に前記平滑電圧が入力されると共に他端が接地された第一のハーフブリッジ結合と第二のハーフブリッジ結合とを結合したフルブリッジ回路で昇圧トランスの一次巻線に交流を印加するスイッチ回路と、入力される周波数信号の周波数で前記フルブリッジ回路を構成する各MOS−FETをスイッチ制御するドライブ回路と、発振オンを指示する指令信号及びデューティを指示する輝度制御信号が入力されると、輝度制御信号に対応するデューティで所定の周波数信号を発振させて前記ドライブ回路に出力する調光制御回路と、を備え、更に、本液晶テレビジョンの外部から電源電圧を供給するための入力端子と、前記入力端子から電源電圧が供給されると前記電源回路及び前記他励式インバータ回路を起動させる制御信号に対応する電圧を発生させる定電圧電源回路と、前記定電圧電源回路と前記電源回路とを接続して前記電源回路から前記定電圧電源回路への逆流を防止するダイオードと、前記定電圧電源回路と前記他励式インバータ回路とを接続して前記他励式インバータ回路から前記定電圧電源回路への逆流を防止するダイオードと、を含んで構成されて、発生した電圧を前記電源回路及び前記他励式インバータ回路に制御信号として出力する検査用補助回路と、を備えさせ、前記定電圧電源回路が、トランジスタと、該トランジスタに自己バイアスをかける抵抗と、前記トランジスタのベースにカソードが接続されつつアノードが接地されてベース電圧を決定する第一のツェナダイオードと、前記トランジスタのコレクタにカソードが接続されつつアノードが接地されて前記トランジスタのコレクタ電圧の上限を決定する第二のツェナダイオード、を備え、本液晶テレビジョンの電源が投入されていない状態で、前記入力端子に電源電圧が入力されると、前記他励式インバータ回路と前記電源回路とに制御信号が入力され、前記他励式インバータ回路と前記電源回路とが故障してない場合は前記バックライトが点灯し、前記他励式インバータ回路と前記電源回路との少なくとも一方が故障している場合には前記バックライトが点灯しない構成としてもよい。
【発明の効果】
【0012】
以上説明したように本発明によれば、複数の回路のうち、電源回路と光源点灯回路の故障が有無を、光源の点灯如何により、容易に把握できるため、回路の修理を容易かつ短時間に行うことが可能な表示装置を提供できる。
また請求項2にかかる発明によれば、前記検査用補助回路への電流の逆流を防止するため、仮に前記光源点灯回路や前記電源回路に前記定電圧よりも高い電圧が残留していたり発生していたりしても、この高い電圧によって検査用補助回路や外部の電源電圧供給元に影響することが無い。
そして請求項3にかかる発明によれば、簡易な構成の定電圧電源回路を使用して、本発明の検査用補助回路を実現可能となる。
さらに請求項4にかかる発明によれば、前記検査用補助回路や前記電源回路や前記光源点灯回路に、高電圧で不具合が発生するのを防止できる。
また請求項5にかかる発明によれば、電源回路とインバータ回路の故障が有無を、バックライトの点灯如何により、容易に把握できる。
さらに請求項6のような、より具体的な構成において、上述した請求項1〜請求項5の各発明と同様の作用を奏することはいうまでもない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、下記の順序に従って本発明の実施形態を説明する。
(1)液晶テレビジョンの構成:
(2)インバータ回路の構成:
(3)検査用補助回路の構成:
(4)まとめ:
【0014】
(1)液晶テレビジョンの構成:
以下、図1〜図5を参照して、本発明の実施形態について説明する。本実施形態では表示装置として、光源点灯回路としてのインバータ回路と制御部としてのマイコンを備えた液晶テレビジョンを例にとって説明する。図1は本実施形態にかかる液晶テレビジョンの概略構成を示すブロック図である。同図では、本発明に直接関係しない部位については記載を省略してある。なお、本実施形態では、液晶テレビジョンを例にとって説明するが、無論、この構成に限定されるものではなく、光源点灯回路を含む複数の回路を備える表示装置であれば様々なものに適用可能である。
【0015】
液晶テレビジョン100は、選局された周波数のテレビ放送信号を受信するチューナ10と、テレビ放送信号から抽出した映像信号に各種映像処理を施す映像処理部12と、テレビ放送信号から抽出した音声信号に各種音声処理を施してスピーカ20に出力する音声処理部18と、映像信号に基づく駆動信号を生成して液晶パネル16を駆動する駆動回路14と、液晶テレビジョン100全体を制御するマイコン22と、リモコン30からのリモコン信号を受信して対応する電圧信号をマイコン22に出力するリモコン受信部23と、複数の蛍光管により液晶パネル16の背面から光を照射するバックライト28と、バックライト28を点灯させる交流電圧を供給するインバータ回路26と、商用電源などの交流電源から各種電圧を生成して液晶テレビジョン100の各部に電源電圧を供給する電源回路24と、を備える。
【0016】
より具体的には、チューナ10は、マイコン22の制御により、アンテナ10aを介して所定周波数のテレビジョン放送信号を受信し、所定の信号増幅処理等を行いつつテレビジョン放送信号から中間周波信号としての映像信号および音声信号を抽出し、映像信号を映像処理部12へ出力するとともに音声信号を音声処理部18に出力する。
【0017】
映像処理部12は、入力された映像信号をその信号レベルに応じてデジタル化するとともに、映像信号から抽出した輝度信号と色差信号とに基づいてマトリクス変換処理を行い、画像データとしてのRGB(レッド、グリーン、ブルー)信号を生成する。そして、このRGB信号に対して液晶パネル16の画素数(横縦比、m:n)に合わせたスケーリング処理を行って液晶パネル16に表示する1画面分の画像データを生成し、生成された画像データを駆動回路14に出力する。駆動回路は、入力された画像データに従って駆動信号を生成し、液晶パネル16の各表示セルを駆動することで画面に映像を表示する。
【0018】
インバータ回路26は、電源回路24から直流電圧を供給され、この直流電圧から高周波かつ高圧の交流電圧を生成してバックライト28に供給する。バックライト28は複数の蛍光管を有し、供給された交流電圧で点灯して液晶パネル16を背面から照射する光源の役割を果たす。
【0019】
マイコン22は、液晶テレビジョン100を構成する各部と電気的に接続しており、マイコン22内部の構成部品としてのCPUが、同じくマイコン22内の構成部品であるROMに書き込まれた各プログラムに従ってRAMをワークエリアとして利用しつつ、液晶テレビジョン100全体を制御する。CPUやROMやRAMについては図示を省略している。この制御としては、例えば、マイコン22は、CPUの制御により、リモコン受信部23から電源の投入を指示する電圧信号が入力されると、液晶テレビジョン100の電源を投入する電圧信号をリモコン受信部23から入力されると、少なくとも、電源回路24と、電源回路24から出力される電源電圧を駆動電圧としているインバータ回路26と、映像処理を行う回路と、にそれぞれ制御信号を出力することにより、各回路のオンオフ(起動と停止)を制御する。
【0020】
以上、液晶テレビジョン100は、電源回路24、チューナ10と映像処理部12と駆動回路14とが構成する映像処理を行う回路、インバータ回路26、等、複数の回路を備えている。マイコン22は、以下、検査対象回路としてインバータ回路26を採用した例について説明する。
【0021】
(2)インバータ回路の構成:
以下、図2〜図5を参照してインバータ回路26について説明する。図2はインバータ回路26の構成を示すブロック図であり、図3は本発明の1実施形態にかかるインバータ回路の回路図である。図4はフルブリッジ回路の動作を説明する図である。図5はフェーズシフト制御を説明する図である。インバータ回路26は他励式インバータ回路であり、フルブリッジ回路でインバータ電圧を生成している。
【0022】
インバータ回路26は、平滑回路26aと、スイッチ回路26bと、調光制御回路26c(Dimmingコントロール回路)と、ドライブ回路26dと、昇圧トランス26eと、帰還回路26fと、検査用補助回路50と、から構成されており、電源回路24から入力された直流電圧Vinで駆動され、冷陰極管(放電灯)を点灯するための電圧を生成する。図2や図3にはスイッチ回路26bや昇圧トランス26e及び帰還回路26fは、それぞれ1つずつ図示してあるが、無論、冷陰極管28aの増減に伴って、増減するものとする。即ち、直流電圧Vinは、平滑回路26aを介してスイッチ回路26bに入力され、スイッチ素子の切り替えにより所望周波数の交流に変換され、昇圧トランス26eを介して冷陰極管に供給される。スイッチ回路26bの切り替えは、制御回路C1が制御する。以下、より具体的な回路構成について説明する。
【0023】
まず、インバータ回路26には、コンデンサ26a1,26a2から成る平滑回路26aを備えており、入力された直流電圧Vinから脈流を除去し、平滑電圧Eiとして後段のスイッチ回路26bに供給する。
【0024】
スイッチ回路26bは、4つのMOS−FETQ11,Q12,Q21,Q22をフルブリッジ結合した他励式のコンバータである。このフルブリッジ結合は、MOS−FETQ11,Q12の組によるハーフブリッジ結合(第一のハーフブリッジ結合)と、MOS−FETQ21,Q22によるハーフブリッジ結合(第二のハーフブリッジ結合)との組み合わせで形成される。本実施形態では、フルブリッジ回路にはMOS−FETが用いられているが、無論、その他のトランジスタ素子を用いても良い。
【0025】
MOS−FETQ11,Q12の組によるハーフブリッジ結合は、MOS−FETQ11のドレインを平滑電圧Eiのラインと接続し、MOS−FETQ11のソースとMOS−FETQ12のドレインを接続し、MOS−FETQ12のソースを接地することで形成される。同様に、MOS−FETQ21,Q22の組によるハーフブリッジ結合は、MOS−FETQ21のドレインを平滑電圧Eiのラインと接続し、MOS−FETQ21のソースとMOS−FETQ22のドレインを接続し、MOS−FETQ22のソースを接地することで形成される。
【0026】
そして、MOS−FETQ11、Q12のソース−ドレインの接続点(スイッチング出力点)は昇圧トランス26eの一次巻線の一端に対して接続され、昇圧トランス26eの一次巻線の他端は、MOS−FETQ21,Q22のソース−ドレインの接続点(スイッチング出力点)に対して接続される。
【0027】
調光制御回路26cは、発振オンを指令する制御信号及び、所定周期(例えば200Hz等)でのデューティを指示する輝度制御信号がマイコン22(制御部)から入力されると、このデューティに合わせて所要のスイッチング周波数に対応する周波数信号(例えば46kHz等)を発振させてドライブ回路26dに対して出力する。つまり、輝度制御信号において、デューティオンの期間は周波数信号の発振を行い、デューティオフの期間は周波数信号の発振を行わない。例えば、最大輝度での表示が選択されている場合のデューティは100%であり、このとき調光制御回路26cは常に周波数信号を発振することになる。ドライブ回路26dは、発振された周波数信号に合わせてMOS−FETQ11,Q12,Q21,Q22のゲートにスイッチング駆動信号を出力する。この調光制御回路26cとドライブ回路26dが、制御回路を構成する。
【0028】
ドライブ回路26dは、MOS−FETQ11,Q22が略同一のタイミングでオン/オフすると共に、MOS−FETQ12,Q21が略同一のタイミングでオン/オフするように制御する。つまり、MOS−FETQ11,Q12が交互にオン/オフ動作を行い、MOS−FETQ21,Q22が交互にオン/オフ動作を行うことになる。但し、MOS−FETQ11,Q22のオン/オフタイミング及び、MOS−FETQ12,Q21のオン/オフタイミングは、後述のフェーズシフト制御のため、スイッチング周波数の半周期分までの範囲内でずれることがある。
【0029】
MOS−FETQ11,Q22がオンしたときはMOS−FETQ12,Q21はオフしているため、図4の経路A(MOS−FETQ11→昇圧トランスの一次巻線→MOS−FETQ22→アース)の順に電流が流れる。一方、MOS−FETQ12、Q21がオンしたときは、MOS−FETQ11,Q22はオフしているため、図4の経路B(MOS−FETQ21→昇圧トランスの一次巻線→MOS−FETQ12→アース)の順に電流が流れる。このようにして、スイッチ回路26bは、昇圧トランスの一次巻線に交流を(互いに反転した位相の電圧を交互に)印加するフルブリッジ方式のスイッチング動作を行う。
【0030】
また、帰還回路26fは、二次電圧E2(例えば管電圧等)や二次側電流I2(例えば管電流等)の変動に対応したレベルの帰還信号を調光制御回路26cに出力する。例えば、管電圧を帰還する帰還回路26fには、図3に示すように、昇圧トランス26eの二次電圧を分割コンデンサで分割して所定割合に落とした電圧が使用される。また、管電流を帰還する帰還回路26fには、図3に示すように、昇圧トランス26eの二次電流をダイオードで整流し、コンデンサで脈流を除去した電流が使用される。
【0031】
調光制御回路26cでは、帰還信号に基づいて図5に示すようなフェーズシフト制御を行い、スイッチ回路26bのオンデューティを可変する。より具体的には、MOS−FETQ11とMOS−FETQ12のスイッチング周波数との間、MOS−FETQ21とMOS−FETQ22のスイッチング周波数との間、でそれぞれ位相差を発生させる制御を行う。例えば、二次電流I2が少なくなると調光制御回路26cは、スイッチ回路26bのオンデューティを上昇させる。即ち、ドライブ回路26dは、MOS−FETQ11とMOS−FETQ21が同時にオンする時間及び、MOS−FETQ21とMOS−FETQ12が同時にオンする時間、がそれぞれ長くなるように制御動作を行うことになる。この結果、二次側に伝送される電圧のデューティを大きくする定電流制御が行われる。
【0032】
(3)検査用補助回路の構成:
検査用補助回路50は、概略、ACアダプタ60から入力された電源電圧から複数の制御信号を生成して出力する回路である。複数の制御信号とは、少なくとも、電源回路24に電源電圧の出力を指示する制御信号と、調光制御回路26cに発振オンを指令する指令信号と、前記調光制御回路に所定周波数での発振を行うデューティを指示する輝度制御信号と、を含むものである。即ち、これら制御信号の生成と出力を行って、インバータ回路26と電源回路24のみを動作させる。これら制御信号を出力してバックライト28が点灯されればインバータ回路26に故障は無く、制御信号の出力を行ってもバックライトが点灯されなければインバータ回路26とバックライト28と電源回路24の何れかに故障があると判断できる。以下、図3を参照して、前記インバータ回路26の検査を行うための検査用補助回路50について説明する。
【0033】
検査用補助回路50は、液晶テレビジョン100の外部からACアダプタ60等を接続して電源電圧を供給するための入力端子53と、指令信号を調光制御回路26cに伝送するラインと、輝度制御信号を調光制御回路26cに伝送するラインと、電源回路24に電源電圧の出力を指示する制御信号を伝送するラインと、接続されており、定電圧電源回路51と、定電圧電源回路51への逆流防止回路52と、から構成される。
【0034】
より具体的には、定電圧電源回路51は、トランジスタ51a、トランジスタ51aに自己バイアスをかける抵抗51b、トランジスタ51aのベースにカソードが接続されつつアノードが接地されてベース電圧を決定するツェナダイオード51c(第一のツェナダイオード)、ACアダプタ60から入力された電圧Vaを減圧してトランジスタ51aのコレクタに入力する抵抗51d、トランジスタ51aのコレクタにカソードが接続されつつアノードが接地されてコレクタ電圧の上限を決定するツェナダイオード51e(第二のツェナダイオード)、を備える。
【0035】
ツェナダイオード51eは、入力端子53から入力された電圧Vaが所定電圧(例えば9V)よりも高い電圧になったときに降伏するように選択される。一方、ツェナダイオード51cは、定電圧電源回路51の出力電圧Vb(例えば4V)からトランジスタ51aのベース−エミッタ電圧VBEを減じた電圧で降伏するように設定される。
【0036】
逆流防止回路52は、トランジスタ51aのエミッタと各制御信号の伝送ラインとを接続して伝送ラインからトランジスタ51aの逆流を防止するダイオード52a,52b,52c、トランジスタ51aと電源回路24との間を電気的に切り離しつつ制御信号を電源回路24に伝送させるためのフォトカプラ52d、を備える。
【0037】
以上の構成により、検査用補助回路は次のような動作をする。
ACアダプタ60から、入力端子53に9V以下の電圧が入力されると、トランジスタ51aが抵抗51bの自己バイアスでオンし、定電圧電源回路51から4Vが出力される。この出力電圧は、ダイオード52a,52bを経由して調光制御回路26cに、ダイオード52cを経由して電源回路24に、それぞれ入力される。また、電源回路24と検査用補助回路との間はフォトカプラ52dで電気的に切り離されている。このとき、電源回路24は予めコンセントが商用交流電源に接続されているものとする。
【0038】
このとき、インバータ回路26と電源回路24とが故障していないのであれば、電源回路24は電源電圧の出力を開始し、インバータ回路26はインバータ電圧の出力を開始する。即ち、調光制御回路26cは、電源回路から直流電圧Vinを入力されると共に、指令信号と輝度制御信号とを入力され、所要の周波数信号を生成する。この周波数信号がドライブ回路26dに入力されてドライブ回路26dがスイッチ回路26bのスイッチ制御を行い、昇圧トランス26eから二次電圧が出力されてバックライト28を点灯させる。よって検査者は、インバータ回路26及び電源回路24に故障が無く、バックライト28の冷陰極管が切れていないことを確認できる。
【0039】
一方、インバータ回路26が故障していると、調光制御回路26cの発振が開始されなかったり、ドライブ回路26dのスイッチ制御がされなかったりして、二次電圧が出力されないためバックライトが点灯しない。また、電源回路24が故障していると、インバータ回路26への直流電圧の供給が行われないため、やはりインバータ回路26からの二次電圧の出力は行われない。よって、検査者は、インバータ回路26と電源回路24とバックライト28の少なくとも一つが故障していることを認識できる。そこで、バックライト28の冷陰極管の交換などを行って、再度、ACアダプタ60を入力端子53に挿入すると、インバータ回路26と電源回路24の故障の有無を確認できる。
【0040】
(4)まとめ:
つまり、入力された商用交流電源から各種電源電圧を生成して出力する電源回路24と、少なくとも電源回路24と、電源回路24の出力する電源電圧を駆動電圧としているインバータ回路26と、を含む複数の回路にそれぞれ制御信号を出力することにより、各回路のオンオフを制御するマイコン22と、を備える液晶テレビジョン100に、液晶テレビジョン100の外部から電源電圧を供給するための入力端子53と、電源回路24及びインバータ回路26に接続されていて、入力端子53から電源電圧が供給されると電源回路24及びインバータ回路26を起動させる定電圧を発生して制御信号として出力する検査用補助回路50と、を備えさせる。よって、光源点灯回路と電源回路とを含む複数の回路のうち、何れの回路が故障したのかを容易に突き止めることを可能とすることで、回路の修理を容易かつ短時間に行うことが可能になる。
【0041】
なお、本発明は上記実施例に限られるものでないことは言うまでもない。当業者であれば言うまでもないことであるが、
・上記実施例の中で開示した相互に置換可能な部材および構成等を適宜その組み合わせを変更して適用すること
・上記実施例の中で開示されていないが、公知技術であって上記実施例の中で開示した部材および構成等と相互に置換可能な部材および構成等を適宜置換し、またその組み合わせを変更して適用すること
・上記実施例の中で開示されていないが、公知技術等に基づいて当業者が上記実施例の中で開示した部材および構成等の代用として想定し得る部材および構成等と適宜置換し、またその組み合わせを変更して適用すること
は本発明の一実施例として開示されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本実施形態にかかる液晶テレビジョンの概略構成を示すブロック図である。
【図2】インバータ回路の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の1実施形態にかかるインバータ回路の回路図である。
【図4】フルブリッジ回路の動作を説明する図である。
【図5】フェーズシフト制御を説明する図である。
【符号の説明】
【0043】
10…チューナ、10a…アンテナ、12…映像処理部、14…駆動回路、16…液晶パネル、18…音声処理部、20…スピーカ、22…マイコン(制御部)、23…リモコン受信部、24…電源回路、26…インバータ回路、26a…平滑回路、26b…スイッチ回路、26c…調光制御回路、26d…ドライブ回路、26e…昇圧トランス、26f…帰還回路、26a1…コンデンサ、26a2…コンデンサ、28…バックライト、30…リモコン、50…検査用補助回路、51…定電圧電源回路、51a…トランジスタ、51b…抵抗、51c…ツェナダイオード、51d…抵抗、51e…ツェナダイオード、52…逆流防止回路、52a…ダイオード、52b…ダイオード、52c…ダイオード、52d…フォトカプラ、53…入力端子、60…ACアダプタ、100…液晶テレビジョン、C1…制御回路、Q11,Q12,Q21,Q22…MOS−FET

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力された商用交流電源から各種電源電圧を生成して出力する電源回路と、
少なくとも前記電源回路と、前記電源電圧を駆動電圧としている光源点灯回路と、を含む複数の回路にそれぞれ制御信号を出力することにより、各回路のオンオフを制御する制御部と、
を備える表示装置において、
本表示装置の外部から電源電圧を供給するための入力端子と、
前記電源回路及び前記光源点灯回路に接続されていて、前記入力端子から電源電圧が供給されると前記電源回路及び前記光源点灯回路を起動させる定電圧を発生して制御信号として出力する検査用補助回路と、
を備えることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記定電圧を発生する回路と前記電源回路とがダイオードで接続されて前記電源回路から前記定電圧を発生する回路への逆流を防止し、
前記定電圧を発生する回路と前記光源点灯回路とがダイオードで接続されて前記光源点灯回路から前記定電圧を発生する回路への逆流を防止している請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記定電圧を発生する回路が、トランジスタと、該トランジスタに自己バイアスをかける抵抗と、前記トランジスタのベースにカソードが接続されつつアノードが接地されてベース電圧を決定する第一のツェナダイオードと、を含んで構成される請求項1又は請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記トランジスタのコレクタにカソードが接続されつつアノードが接地されて前記トランジスタのコレクタ電圧の上限を決定する第二のツェナダイオード、を備える請求項1〜請求項3の何れか一項に記載の表示装置。
【請求項5】
前記表示装置は、他励式インバータ回路と該他励式インバータ回路にて点灯されるバックライトとを備える液晶テレビジョンであり、
前記光源点灯回路を構成する前記他励式インバータ回路が、
昇圧トランスの一次巻線に交流を印加するスイッチ回路と、
発振オンを指令する制御信号及び、デューティを指示する輝度制御信号が入力されると該輝度制御信号に対応するデューティで所定の周波数信号を発振させ、該周波数信号の周波数で前記スイッチ回路のスイッチ制御を行う、制御回路と、を備え、
前記検査用補助回路が、前記電源回路に制御信号を出力すると共に、前記制御回路に前記制御信号と前記輝度制御信号を出力する請求項1〜請求項4の何れか一項に記載の表示装置。
【請求項6】
入力された直流電圧を他励のスイッチ回路で交流に変換して出力する他励式インバータ回路と、前記他励式インバータ回路に直流電圧を供給する電源回路と、前記他励式インバータ回路により点灯された放電灯で液晶パネルの背面から光を照射するバックライトと、前記他励式インバータ回路の発振と前記電源回路の直流電圧の出力とのオンオフを制御するマイコンと、を備えて、
テレビ放送信号を受信して該テレビ放送信号に含まれる映像信号から生成した駆動信号で液晶パネルを駆動して映像を画面に表示する液晶テレビジョンにおいて、
前記他励式インバータ回路は、
入力された直流電圧から脈流を除去した平滑電圧を出力する平滑回路と、
各ハーフブリッジ結合の一端に前記平滑電圧が入力されると共に他端が接地された第一のハーフブリッジ結合と第二のハーフブリッジ結合とを結合したフルブリッジ回路で昇圧トランスの一次巻線に交流を印加するスイッチ回路と、
入力される周波数信号の周波数で前記フルブリッジ回路を構成する各MOS−FETをスイッチ制御するドライブ回路と、
発振オンを指示する指令信号及びデューティを指示する輝度制御信号が入力されると、輝度制御信号に対応するデューティで所定の周波数信号を発振させて前記ドライブ回路に出力する調光制御回路と、を備え、
更に、本液晶テレビジョンの外部から電源電圧を供給するための入力端子と、前記入力端子から電源電圧が供給されると前記電源回路及び前記他励式インバータ回路を起動させる制御信号に対応する電圧を発生させる定電圧電源回路と、前記定電圧電源回路と前記電源回路とを接続して前記電源回路から前記定電圧電源回路への逆流を防止するダイオードと、前記定電圧電源回路と前記他励式インバータ回路とを接続して前記他励式インバータ回路から前記定電圧電源回路への逆流を防止するダイオードと、を含んで構成されて、発生した電圧を前記電源回路及び前記他励式インバータ回路に制御信号として出力する検査用補助回路と、を備えさせ、
前記定電圧電源回路が、トランジスタと、該トランジスタに自己バイアスをかける抵抗と、前記トランジスタのベースにカソードが接続されつつアノードが接地されてベース電圧を決定する第一のツェナダイオードと、前記トランジスタのコレクタにカソードが接続されつつアノードが接地されて前記トランジスタのコレクタ電圧の上限を決定する第二のツェナダイオード、を備え、
本液晶テレビジョンの電源が投入されていない状態で、前記入力端子に電源電圧が入力されると、前記他励式インバータ回路と前記電源回路とに制御信号が入力され、前記他励式インバータ回路と前記電源回路とが故障してない場合は前記バックライトが点灯し、前記他励式インバータ回路と前記電源回路との少なくとも一方が故障している場合には前記バックライトが点灯しないことを特徴とする液晶テレビジョン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−278292(P2008−278292A)
【公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−120714(P2007−120714)
【出願日】平成19年5月1日(2007.5.1)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】