説明

表示装置及び表示装置の製造方法

【課題】狭額縁化が可能な表示装置及び表示装置の製造方法を提供する。
【解決手段】表示装置10は、第1表示部11と、第2表示部12と、基板13と、対向基板14と、封止部18と、走査ドライバSDと、データドライバDDと、を備える。第1表示部11は基板13上に形成され、第2表示部12は対向基板14上に形成される。走査ドライバSDとデータドライバDDは、第1表示部11と第2表示部とで共通する。走査ドライバSD及びデータドライバDDと、第2表示部12とはそれぞれ封止部18が形成される領域に形成された導通部SP、導通部DPで導通される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機EL(electroluminescence)素子を用いた表示装置及び表示装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶表示装置(LCD)に続く次世代の表示デバイスとして、有機発光材料を用いたエレクトロルミネッセンス素子(以下、「有機EL素子」と略記する)等の自発光素子を2次元配列した発光素子型の表示パネルを備えた表示装置の本格的な実用化、普及に向けた研究開発が盛んに行われている。
【0003】
このような有機EL素子は、例えば、アノード電極と、カソード電極と、これらの電極間に形成された電子注入層、正孔注入層、発光層等の有機EL層を備える。EL素子では、発光層において正孔注入層、電子注入層からそれぞれ供給された正孔と電子とが再結合することによって発生するエネルギーによって発光する。
【0004】
また、このような有機EL素子を用いた表示装置では、基板上に有機EL素子を配列して表示領域を形成し、基板上の表示領域を囲む領域に有機EL素子の配線を形成している。さらに表示領域の周辺の基板上には、例えば特許文献1に開示されているように有機EL素子を駆動するためのドライバとして半導体チップが設置されている。
【特許文献1】特開2003−271069号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、携帯電話等に用いられるディスプレイパネルのように、2枚の表示パネルを重ね合わせ一対の面の上面及び下面のそれぞれから光を取り出すディスプレイパネルがある。
【0006】
特許文献1に開示されているような基板上に発光素子と共にドライバが設置された表示装置を、上述したディスプレイパネルのように2枚重ねると、ドライバが接触することを防ぐため、ドライバが同じ領域に位置しないように、基板をずらして貼り合わせる必要がある。このため、表示領域外のスペースを広く設けなければならず、いわゆる額縁と呼ばれる表示領域外の周辺領域の寸法が大きくなる問題があった。
【0007】
本発明は上述した実情に鑑みてなされたものであって、対向する二つの面それぞれから光を取り出す表示装置において、狭額縁化が可能な表示装置及び表示装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の第1の観点に係る表示装置は、
第1の基板と、
前記第1の基板の一方の面に形成され、発光素子を有する第1の表示部と、
前記第1の基板の一方の面と対向するように設置された第2の基板と、
前記第2の基板の前記第1の基板と対向する面上に形成され、発光素子を有する第2の表示部と、
前記第1の基板と前記第2の基板との間に形成され、前記第1の表示部と前記第2の表示部とを封止する封止部と、
前記第1の表示部と前記第2の表示部とを駆動するドライバと、を備え、
前記ドライバは、前記第1の基板上に設置され、
前記第2の表示部と前記ドライバとは、前記封止部が形成された領域に設けられた導通部によって接続されることを特徴とする。
【0009】
前記導通部は、前記第1の基板上に形成された第1コンタクト部と、前記第2の基板上に形成された第2コンタクト部と、前記第1コンタクト部と前記第2コンタクト部を導通する導通材と、を備えてもよい。
【0010】
前記導通材は、前記封止部中に分散されてもよい。
【0011】
前記第1の基板上には、前記第1の表示部の前記発光素子を動作するトランジスタを有する画素回路が設けられ、
前記第2の基板上には、前記第2の表示部の前記発光素子を動作するトランジスタを有する画素回路が設けられ、
前記ドライバは、前記第1の表示部と前記第2の表示部の画素回路を駆動するための信号を出力してもよい。
【0012】
前記導通部は、前記第1の基板上に形成された第1コンタクト部と、前記第2の基板上に形成された第2コンタクト部と、前記第1コンタクト部と前記第2コンタクト部を導通する導通材と、を備え、
前記第1の表示部の前記トランジスタは、ゲート電極、ソース電極、ドレイン電極を備え、
前記第1コンタクト部は、前記ゲート電極となる導電層及び前記ソース電極及び前記ドレイン電極となる導電層のうち少なくとも一方の導電層をパターニングしてなる層を含み、
前記第2の表示部の前記トランジスタは、ゲート電極、ソース電極、ドレイン電極を備え、
前記第2コンタクト部は、前記ゲート電極となる導電層及び前記ソース電極及び前記ドレイン電極となる導電層をパターニングしてなる層を含んでもよい。
【0013】
上記目的を達成するため、本発明の第2の観点に係る表示装置の製造方法は、
配線と、発光素子を有する第2の表示部が設けられた対向基板と、
発光素子を有する第1の表示部と、前記配線に信号を出力するドライバと、前記ドライバに接続された出力配線と、が設けられた基板とを、
前記配線と前記出力配線とを接続する導通部を有する封止部を介して挟んで封止する工程、
を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、一方の表示部を導通部を用いてドライバと接続することによって狭額縁化が可能な表示装置及び表示装置の製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の実施形態に係る表示装置及び表示装置の製造方法について図を用いて説明する。
【0016】
本実施形態の表示装置10の構成例を図1に示し、表示装置10の断面図を図2に示す。更に、表示装置10の基板13を図3に示し、対向基板14を図4に示す。また、走査ドライバSDの導通部SPの図1に示すVA−VA線断面図を図5(a)に示し、データドライバDDの導通部DPの図1に示すVB−VB線断面図を図5(b)に示す。また、図6は、第1表示部11の構成例を示す図である。図7は、画素30の画素回路DSを示す図である。図8は、画素30の平面図であり、図9は図8に示すIX−IX線断面図である。なお、第1表示部11と第2表示部12とは、各画素、及び画素を駆動する回路についてはほぼ同一であるため、第1表示部11を例に挙げて説明し、第2表示部12については詳細な説明を省略する。
【0017】
本実施形態の表示装置10は、図1〜図4に示すように、第1表示部11と、第2表示部12と、基板13と、対向基板14と、封止部18と、を備える。また、基板13上には第1表示部11と第2表示部12との共通のデータドライバDDと、第1表示部11と第2表示部12との共通の走査ドライバSDと、が設置されている。
【0018】
基板13と対向基板14との間の距離は、基板13に実装されている走査ドライバSDの高さの2倍未満であり、且つ基板13に実装されているデータドライバDDの高さの2倍未満である。このため、仮に対向基板14に、基板13と同様に走査ドライバSDやデータドライバDDを配置すると、且つ走査ドライバSD同士を重ねるように配置すると走査ドライバSD同士が接触してしまい、且つデータドライバDD同士を重ねるように配置するとデータドライバDD同士が接触してしまうことになる。
【0019】
第1表示部11は、基板13上に形成され、複数の画素30を有する。赤(R)、緑(G)、青(B)それぞれの光を発するRGBの3つの画素30で一組の画素ユニットが構成される。この画素ユニットは、基板13上に、行方向に繰り返し複数配列されるとともに、列方向に同一色の画素が複数配列されているストライプ配列でもよいし、RGBの各画素30が互いに隣接することによって略三角形の配置となるデルタ配列であってもよい。RGBそれぞれの画素30は有機EL素子30aと、有機EL素子30aの発光を制御するためのスイッチング素子を有する画素回路DSを備える。本実施形態では有機EL素子30aはボトムエミッション型であり、有機EL素子30aが形成された基板13側から光を取り出す構成である。なお、第1表示部11は単色発光表示でもよいし、RGBに加え、W(白)を加えた4つの画素を画素ユニットとしてもよい。また、第1表示部11の有機EL素子30aのカソード電極40は複数の画素30にわたって共通に形成されている。
【0020】
第2表示部12は、対向基板14上に形成され、複数の画素を有する。第1表示部11の画素30と同様に赤(R)、緑(G)、青(B)それぞれの光を発するRGBの3つの画素で一組の画素ユニットが構成される。この画素ユニットは、対向基板14上に、行方向に繰り返し複数配列されるとともに、列方向に同一色の画素が複数配列されているストライプ配列でもよいし、RGBの各画素が互いに隣接することによって略三角形の配置となるデルタ配列であってもよい。第2表示部12のRGBそれぞれの画素は有機EL素子と、有機EL素子の発光を制御するためのスイッチング素子を有する画素回路を備える。本実施形態では第2表示部12の画素の有機EL素子もボトムエミッション型であり、対向基板14側から光を取り出す構成である。なお、第2表示部12は単色発光表示でもよいし、RGBに加え、W(白)を加えた4つの画素を画素ユニットとしてもよい。また、第2表示部12の有機EL素子30aのカソード電極40は複数の画素30にわたって共通に形成されている。
【0021】
基板13は、透光性を備える材料から形成され、例えば基板13としてガラス基板を用いる。基板13上には図2に示すように第1表示部11が形成され、基板13の第1表示部11が形成された面と対向する面から、第1表示部11からの光を出射する。また、基板13には、それぞれ所定行に配列された複数の画素回路DSに接続された複数のアノードラインLa1と、それぞれ所定列に配列された複数の画素回路に接続された複数のデータ配線Ld1と、それぞれ所定行に配列された複数の画素回路のトランジスタTr11を選択する複数の走査配線Ls1と、が形成されている。
【0022】
また、基板13上には、第1表示部11の走査配線群Ls1(Ls11、Ls12、……、Ls1m)と第2表示部12の走査配線群Ls2(Ls21、Ls22、……、Ls2m)への複数の出力配線15が設けられ、第1表示部11の走査配線群Ls1の各端子上及び出力配線15の各端子上にICチップからなる走査ドライバSDの各出力端子が接続されるように走査ドライバSDがチップオングラスによって実装されている。同様に基板13上には、第1表示部11のデータ配線群Ld1(Ld11、Ld12、……、Ld1n)と、第2表示部12のデータ配線群Ld2(Ld21、Ld22、……、Ld2n)の出力配線16が設けられ、第1表示部11のデータ配線群Ld1の各端子上及び出力配線16の各端子上にICチップからなるデータドライバDDの各出力端子が接続されるようにデータドライバDDがチップオングラスによって実装されている。上記m、nはいずれも任意の正の整数である。なお、基板13上には、走査ドライバSD及びデータドライバDDを駆動するためのクロック信号やデータ信号等の外部信号及び基準電圧を出力する信号配線群が設けられ、信号配線群の各出力端子は、適宜走査ドライバSDの各入力端子、データドライバDDの各入力端子と接続され、信号配線群の各入力端子は、図示しないフレキシブルプリント基板の配線群に接続され、フレキシブルプリント基板の配線群は、外部信号及び基準電圧を出力する外部回路に接続されている。
【0023】
対向基板14は、透光性を備える材料から形成され、例えば対向基板14としてガラス基板を用いる。対向基板14上には図2に示すように第2表示部12が形成され、対向基板14の第2表示部12が形成された面と対向する面から、第2表示部12からの光を出射する。対向基板14上には、第1表示部11と同様に、それぞれ所定行に配列された複数の画素回路DSに接続された複数のアノードラインLa2と、それぞれ所定列に配列された複数の画素回路に接続された複数のデータ配線Ld2と、それぞれ所定行に配列された複数の画素回路の選択トランジスタを選択する複数の走査配線Ls2と、が形成されている。なお、対向基板14は、基板13のように走査ドライバSD及びデータドライバDDが実装される領域が設けられていない。
【0024】
なお、本実施形態では特に対向基板14上に形成された走査配線Ls2(Ls21、Ls22、……Ls2m)は、封止部18が形成される領域に設けられた導通部SP(SP1、SP2、……SPm)を介して、基板13上に設置された走査ドライバSDと接続されている。走査配線Ls2の導通部SPは、図1に示すように走査配線Ls2の本数に応じ、SP1〜SPmのm個設けられる。
【0025】
導通部SP1〜SPmは、いずれも同一の構成である。具体的には、導通部SP1の断面図である図5(a)に示すように、導通部SP1は、出力配線15の一端部81と、出力配線15の一端部81上に堆積され、後述するソース−ドレインメタル層をパターニングすることによってその一部が形成されている下側コンタクト部82と、導電性ギャップ材88と、走査配線Ls21の他端にて走査配線Ls21と一体的に形成された上側コンタクト部83と、を備える。このように導通部SP1〜SPmは、それぞれ走査配線Ls21〜Ls2mに接続されている。
【0026】
下側コンタクト部82と、上側コンタクト部83とは、導電性を備える材料から形成され、図1、図3及び図4に示すように平面的に方形状に形成される。各下側コンタクト部82は、それぞれ各出力配線15に接続されており、各上側コンタクト部83は、それぞれ各走査配線Ls2に接続されている。導電性ギャップ材88は、導電性を備える材料から形成された微粒子であり、基板13上に形成された第1表示部11と、対向基板14上に形成された第2表示部12とが電気的に短絡しないように、両基板13、14間の距離が所定の間隔となるような径を有し、例えばAu(金)から形成される。導電性ギャップ材88は例えば球形に形成されており、接着剤を固化してなる封止部18中に分散されている。封止部18に分散された導電性ギャップ材88は、下側コンタクト部82と上側コンタクト部83とに挟まれ、プレスされる。これにより、導電性ギャップ材88が下側コンタクト部82と上側コンタクト部83と接触して導通を図ることが可能となる。
【0027】
また、走査ドライバSDと同様に、対向基板14上に形成されたデータ配線群Ld2(Ld21、Ld22、……Ld2n)は、それぞれ封止部18が形成される領域に設けられた導通部DP(DP1、DP2、……DPn)を介して、基板13上に設置されたデータドライバDDと接続されている。データ配線群Ld2と接続される導通部DPは、図1に示すようにデータ配線群Ld2の本数に応じ、DP1〜DPnのn個設けられる。
【0028】
導通部DP1〜DPnは、いずれも同一の構成である。具体的には、導通部DP1の断面図である図5(b)に示すように、各導通部DP1は、出力配線16の一端部85と、出力配線16の一端部85上に堆積され、後述するソース−ドレインメタル層をパターニングすることによってその一部が形成されている下側コンタクト部86と、導電性ギャップ材88と、データ配線Ld21の他端にてデータ配線Ld21と一体的に形成された上側コンタクト部87と、を備える。このように導通部DP1〜DPnは、それぞれデータ配線群Ld21〜Ld2nに接続されている。
【0029】
下側コンタクト部86と、上側コンタクト部87とは、導電性を備える材料から形成され、図1、図3及び図4に示すように平面的に方形状に形成される。各下側コンタクト部86は、それぞれ各出力配線16に接続されており、各上側コンタクト部87は、各データ配線Ld21に接続されている。導電性ギャップ材88は導電性を備える材料から形成された微粒子であり、接着剤を固化してなる封止部18中に分散されている。封止部18に分散された導電性ギャップ材88は、下側コンタクト部86と上側コンタクト部87とに挟まれ、プレスされる。これにより、導電性ギャップ材88が下側コンタクト部86と上側コンタクト部87と接触して導通を図ることが可能となる。
【0030】
このように導通部SPによって、走査ドライバSDと走査配線Ls2とを電気的に結び、導通部DPによってデータドライバDDとデータ配線Ld2とを電気的に結ぶ。これにより第2表示部12の走査ドライバとデータドライバとを対向基板14上に形成する必要がなく、更に基板13上の第1表示部11の走査ドライバとデータドライバと共通のチップとすることが可能である。これにより、従来、表示部が形成された基板を重ね合わせる際、それぞれのドライバが接触しないよう、ドライバの位置が重ならないように基板をずらして重ね合わせる必要があったが、本実施形態では対向する基板上の表示部のドライバを他方の基板上に形成することからこのように基板をずらして重ね合わせる必要がなく、表示領域周辺のエリアを減らすことができ、狭額縁化が可能となる。
なお、第1表示部11及び第2表示部12は表示光の出射方向が互いに反対側のため第1表示部11及び第2表示部12ともに同一の画像を表示した場合、一方向から表示装置10を俯瞰すると、第1表示部11の画像と第2表示部12の画像とは左右が反対になる。したがって、走査配線Ls11、Ls12、……、Ls1mは、それぞれ走査配線Ls21、Ls22、……、Ls2mと互いに対向して配置されるが、データ配線Ld11、Ld12、……、Ld1nは、それぞれデータ配線Ld2n、Ld2(n−1)、……、Ld21と互いに対向して配置される。
【0031】
次に、表示装置10の第1表示部11の画素30について説明する。第2表示部12の画素については、画素30とほぼ同一の構成であるため、詳細な説明は省略する。
【0032】
各画素30は、それぞれ、有機EL素子30aと、有機EL素子30aをアクティブ動作する画素回路DSとを備えている。各画素回路DSは、それぞれ、トランジスタ(選択トランジスタ)Tr11と、トランジスタ(発光駆動トランジスタ)Tr12と、キャパシタCsと、を備える。図7に示すトランジスタTr11及びトランジスタTr12は、いずれもnチャネル型アモルファスシリコン薄膜トランジスタであるが、これに限らず、少なくとも一方がpチャネル型でもよく、ポリシリコン薄膜トランジスタであってもよい。
【0033】
第1表示部11には、図6及び図7に示すようにそれぞれ所定行に配列された複数の画素回路DSに接続された複数のアノードラインLa1と、それぞれ所定列に配列された複数の画素回路DSに接続されたデータ配線Ld1と、それぞれ所定行に配列された複数の画素回路DSのトランジスタTr11を選択する複数の走査配線Ls1と、が形成されている。
【0034】
図7に示すように、選択トランジスタTr11のゲート端子は走査配線Lsに、ドレイン端子が画素基板21の列方向に配設されたデータ配線Ldに、ソース端子が接点N11にそれぞれ接続される。また、発光駆動トランジスタTr12のゲート端子は接点N11に接続されており、ドレイン端子は、供給電圧Vddが印加されている供給電圧ラインLa1に、ソース端子は接点N12にそれぞれ接続されている。キャパシタCsは、トランジスタTr12のゲート端子及びソース端子に接続されている。なお、キャパシタCsは、トランジスタTr12のゲート−ソース間に付加的に設けられた補助容量、もしくはこれらの寄生容量と補助容量からなる容量成分である。また、有機EL素子30aは、アノード端子(画素電極34)が接点N12に接続され、カソード端子(対向電極40)に供給電圧Vddより低電位の基準電圧Vssが印加されている。なお、トランジスタTr11及びトランジスタTr12がpチャネル型の電界効果型トランジスタの場合は、それぞれソース端子及びドレイン端子が図2とは逆に接続され、キャパシタCsの一端は、アノードラインLa1に接続される。
【0035】
走査配線群Ls1は走査ドライバSDに接続されており、所定のタイミングで走査配線Ls11、Ls12、……、Ls1mの順に、表示パネルの行方向に配列された複数の画素30を選択状態に設定するための選択電圧信号(走査信号)Sselが印加され、走査配線群Ls2は導通部SP1、SP2、……、SPmを介して走査ドライバSDに接続されており、所定のタイミングで走査配線Ls21、Ls22、……、Ls2mの順に、表示パネルの行方向に配列された複数の画素30を選択状態に設定するための選択電圧信号(走査信号)Sselが印加される。また、データ配線群Ld1はデータドライバDDに接続され、上記画素30の選択状態に同期するタイミングで表示データに応じたデータ電圧(階調信号)Vpixが印加される。データ配線群Ld2は導通部DP1、DP2、……、DPnを介してデータドライバDDに接続されており、上記画素30の選択状態に同期するタイミングで表示データに応じたデータ電圧(階調信号)Vpixが印加される。
【0036】
各行ごとに配列された複数のトランジスタTr12が、当該トランジスタTr12に接続された有機EL素子30aの画素電極(例えばアノード電極)に表示データに応じた発光駆動電流を流す状態に設定するように、複数のアノードラインLa(供給電圧ライン)は、いずれも所定の高電位電源に直接又は間接的に接続されている。つまり、アノードラインLaは、有機EL素子30aの対向電極40に印加される基準電圧Vssより十分電位の高い所定の高電位(供給電圧Vdd)が印加される。また、対向電極40は、例えば、所定の低電位電源に直接又は間接的に接続され、絶縁性基板11上に2次元配列された全ての画素(有機EL素子)に対して単一の電極層により形成されており、所定の低電圧(基準電圧Vss,例えば接地電位GND)が共通に印加されるように設定されている。
【0037】
すなわち、各画素30において、直列に接続されたトランジスタTr12と有機EL素子30aの組の両端(トランジスタTr12のドレイン端子と有機EL素子30aのカソード端子)にそれぞれ、供給電圧Vddと基準電圧Vssを印加して有機EL素子30aに順バイアスを付与して有機EL素子30aが発光できる状態にし、更に階調信号Vpixに応じて有機EL素子30aに流れる発光駆動電流の電流値を画素回路DSにより制御している。
【0038】
次に、基板13は透光性を備える材料から形成され、例えば基板13としてガラス基板を用いる。また、基板13上には図示するように、データ配線Ld1、ゲート電極11g,12g及び絶縁膜32が形成される。
【0039】
絶縁膜32は、絶縁性材料、例えばシリコン酸化膜、シリコン窒化膜等から構成されており、ゲート電極11g,12gを覆うように画素基板31上に形成される。また、絶縁膜32はゲート電極11g,12gが形成された領域においてトランジスタTr11及びTr12のゲート絶縁膜として機能する。
【0040】
トランジスタTr11及びTr12は、それぞれnチャネル型の薄膜トランジスタ(TFT;Thin Film Transistor)である。トランジスタTr11及びTr12は、それぞれ画素基板21上に形成される。また、トランジスタTr12は、図8及び図9に示すように、半導体層121と、保護絶縁膜122と、ドレイン電極12dと、ソース電極12sと、オーミックコンタクト層123,124と、ゲート電極12gと、を備える。また、Tr12のソース電極12sは画素電極34に接続される。トランジスタTr11は半導体層(図示せず)と、ソース電極11sと、ドレイン電極11dと、オーミックコンタクト層(図示せず)と、ゲート電極11gと、保護絶縁膜(図示せず)と、を備える。
【0041】
トランジスタTr11、Tr12において、ゲート電極11g,12gは、例えば、アルミニウム−ネオジウム−チタン(AlNdTi)またはクロム(Cr)から形成される。また、ドレイン電極11d,12d、ソース電極11s,12sはそれぞれ例えばアルミニウム−チタン(AlTi)/Cr、AlNdTi/CrまたはCrから形成されている。また、それぞれのドレイン電極及びソース電極と半導体層との間には低抵抗性接触のため、不純物を含むアモルファスシリコンを有するオーミックコンタクト層が形成される。
【0042】
また、配線Ld1は、絶縁膜32に設けられた開口部であるコンタクトホール61を介して下方のデータラインLdに接続されている。
走査ラインLsは、各画素30におけるトランジスタTr11のゲート電極11gの形成領域において断線しており、その端部は、絶縁膜32に設けられた開口部であるコンタクトホール62、63を介して下方のゲート電極11gに接続されている。
トランジスタTr11のソース電極11sは、絶縁膜32に設けられた開口部であるコンタクトホール64を介して下方のトランジスタTr12のゲート電極12gに接続されている。
【0043】
絶縁膜32上に形成される画素電極(アノード電極)34は、表示装置10がボトムエミッション型なので、透光性を備える導電材料、例えばITO(Indium Tin Oxide)、ZnO等から構成される。また、各画素電極34は隣接する他の画素30の画素電極34との間に層間絶縁膜33に介在している。
【0044】
層間絶縁膜33は、絶縁材料、例えばSiN等から形成される。層間絶縁膜33は、トランジスタTr11及びTr12を保護し、発光領域に対応する領域となる各画素電極34上を開口する複数の開口部33aを有している。各開口部33aは、上述したストライプ配列の場合、列方向に沿って同一色の複数の画素30をまとめて開口するようにストライプ状に形成され、デルタ配列の場合、各画素30毎に設けられている。このように隔壁35の開口33aによって露出された画素電極34上に、後述する正孔注入層36、発光層37等の有機EL層が成膜される。なお、第1表示部11が単色発光表示の場合、隔壁35がなく、層間絶縁膜33上に保護膜40が形成され、層間絶縁膜33の開口部33a内のみならず、層間絶縁膜33上にも連続して有機EL層が堆積される。
【0045】
隔壁35は、絶縁材料、例えばポリイミド、アクリル樹脂を硬化してなり、層間絶縁膜33の上面に設けられている。隔壁35は、層間絶縁膜33の開口部33aの形状に応じて形成された開口部33aよりやや幅広の開口部を有していてもよい。隔壁35の開口部は、層間絶縁膜33の開口部33aがストライプ状であれば、ストライプ状に形成され、層間絶縁膜33の開口部33aが個々の画素30毎に形成されていれば個々の画素30毎に形成されている。
【0046】
正孔注入層36は、画素電極34上に形成され、発光層37に正孔を供給する機能を有する。正孔注入層36は正孔(ホール)注入、輸送が可能な有機高分子系の材料から構成される。また、本実施形態では正孔注入層36を成膜する際に、正孔注入層36となる有機高分子系のホール注入・輸送材料を含む有機化合物含有液として、導電性ポリマーであるポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)とドーパントであるポリスチレンスルホン酸(PSS)を水系溶媒に分散させた分散液であるPEDOT/PSS水溶液を用いている。
【0047】
発光層37は、正孔注入層36上に形成されている。発光層37は、アノード電極とカソード電極との間に所定の電圧を印加することにより光を発生する機能を有する。発光層37は、蛍光あるいは燐光を発光することが可能な公知の高分子発光材料、例えばポリパラフェニレンビニレン系やポリフルオレン系等の共役二重結合ポリマーを含む赤(R)、緑(G)、青(B)色の発光材料から構成される。また、これらの発光材料は、適宜水系溶媒あるいはテトラリン、テトラメチルベンゼン、メシチレン、キシレン等の有機溶媒に溶解(又は分散)した溶液(分散液)を、連続した液流を流し出すノズルコート法や分離した複数の液滴を吐出するインクジェット法等により塗布し、溶媒を揮発させることによって形成する。
【0048】
対向電極(カソード電極)40は、電子注入層と低抵抗化層との2層構造である。本実施形態では、対向電極40は、複数の画素30に跨って形成される単一の電極層であり、基板13上に全面形成されている。対向電極40の電子注入層は、仕事関数の低い材料、例えばBa、Ca、Mg、Li等又はこれらの少なくとも1つを含む化合物から形成された10nm程度の膜厚の層である。低抵抗化層は、導電性材料、例えばAlまたはAl合金等から形成され、対向電極40のシート抵抗を低くするため、200nm程度の膜厚の層である。電子注入層はBa、Ca等から形成され、これらの膜は仕事関数が低いため酸化しやすく、低抵抗化層はこれらの膜を酸化から保護する機能も有する。
【0049】
本実施形態の表示装置は、下側コンタクト部82と導電性ギャップ材88と上側コンタクト部83とを有する導通部SPと、下側コンタクト部86と導電性ギャップ材88と上側コンタクト部87とを有する導通部DPを形成し、基板14上に設置される走査ドライバSD及びデータドライバDDと第2表示部12との導通を図ることができる。従来、ドライバは各表示部が形成された基板上に設置されていたため、表示部が形成された基板を貼り合わせる場合は、例えば図14に示すように、ドライバが接触しないように、基板をずらして重ね合わせる必要があった。このため、従来は表示領域の周辺に各ドライバを設置するための領域が必要であった。これに対し、本実施形態の表示装置10では、導通部SP,DPによって走査配線Ls2と走査ドライバSDと、データ配線Ld2とデータドライバDDとの導通を図ることができ、第2表示部12のドライバを基板13上に設置することができるので、2つの表示部のドライバを共用化することができる。これにより、基板13と対向基板14との間の距離は、基板13に実装されている走査ドライバSDの高さの2倍未満であり、且つ基板13に実装されているデータドライバDDの高さの2倍未満であるように薄型構造であっても、従来、基板の表示領域周辺にドライバを重ならせないために拡張された領域を削減することができ、表示装置10を狭額縁化することが可能である。
【0050】
次に、本発明の実施形態に係る表示装置10の製造方法について図10〜12を用いて説明する。
【0051】
まず、第1表示部11を基板13上に形成するため、ガラス基板等からなる基板13を用意する。次にこの基板13上に、スパッタ法、真空蒸着法等によりゲートメタル層を形成し、これを図10(a)に示すようにデータ配線Ld1、ゲート電極11g,12g、及び出力配線15,16の形状にパターニングする。
【0052】
続いて、CVD(Chemical Vapor Deposition)法等によりゲート電極11g,12g上にSiN、SiO等からなる絶縁膜32を形成する。次に絶縁膜32上に、半導体層121となるアモルファスシリコン層を形成し、アモルファスシリコン層の上に保護絶縁膜122となる絶縁膜を連続成膜する。次に、アモルファスシリコン層上の絶縁膜をパターニングすることによって、保護絶縁膜122を形成する。続いて、アモルファスシリコン層及び保護絶縁膜122上に、アモルファスシリコンにn型不純物が含まれたオーミックコンタクト層を形成する。続いて、オーミックコンタクト層及びアモルファスシリコン層をパターニングすることにより、トランジスタTr11のオーミックコンタクト層、トランジスタTr12のオーミックコンタクト層123,124と、半導体層121を形成する。
【0053】
次に、図10(b)に示すように、スパッタ法、蒸着等により、絶縁膜32上に画素電極34を形成する。
【0054】
続いて、絶縁膜32をフォトリソグラフィによりエッチングしてコンタクトホール61〜64を形成する。更に、スパッタ法、真空蒸着法等により、ソース−ドレインメタル層を形成し、これをパターニングすることにより、ドレイン電極11d,12d及びソース電極11s,12s、走査配線Ls1、導通部SPの下側コンタクト部82及び導通部DPの下側コンタクト部86を形成する。導通部SPの下側コンタクト部82及び導通部DPの下側コンタクト部86は、図3に示すように平面形状は略方形に形成される。
【0055】
続いて、形成されたトランジスタTr11,Tr12等を覆うように窒化シリコン等からなる層間絶縁膜33を、CVD法等により形成する。更に、フォトリソグラフィ等により画素30の発光領域に対応する領域に開口33aを形成し、図10(c)に示すように画素電極34を露出させる。
【0056】
次に、例えばポリイミド等の感光性樹脂からなる隔壁35を層間絶縁膜33上に、図11(a)に示すように形成する。隔壁35は、データ配線Ld1や走査配線Ls1のような信号線と対向電極40との間の寄生容量を低下される効果をもたらす。
【0057】
このようにして、基板13上にはTFT回路、画素電極34、層間絶縁膜33、隔壁35が形成される。
【0058】
続いて、正孔注入材料(導電性高分子であるPEDOT及びドーパントとなるPSS)を分散した水を主成分とする含有液(以下、PEDOT含有液)を、複数の液滴を吐出するインクジェットや連続する液体を流すノズルコータ等の方法で画素基板21上に塗布する。このとき、隔壁35は、液体が画素の外に漏れ出ないように仕切っている。PEDOTの塗布後、100℃以上の温度にて乾燥を行う。単色発光表示の表示装置の場合、いずれも同一の発光材料で形成できるため各発光層毎に或いは各同一色列の発光層毎に仕切られるなくてもよく、隔壁35を省略することが可能である。このため、上述するインクジェット等以外にもスピンコータ、スプレー、印刷、ディップによって正孔注入材料含有液を塗布することができる。多色発光表示の場合でも、正孔注入層36が異なる色の画素で共通している場合、スピンコータ、スプレー、印刷、ディップによって正孔注入材料含有液を塗布し、隔壁35上に正孔注入層36が形成されていてもよい。
【0059】
次に、赤・緑・青色の発光材料(ポリフルオレン系)をテトラリン、テトラメチルベンゼン、メシチレン等の有機溶剤に溶かした発光材料含有液を、インクジェットやノズルコータ等の方法により、層間絶縁膜33の開口部33a及び隔壁35の開口部で囲まれた正孔注入層36上にそれぞれ成膜する。発光材料を成膜後、窒素雰囲気中の加熱乾燥、或いは真空中での加熱乾燥を行い、残留溶媒の除去を行う。これにより、発光層37を形成する。第1表示部11が単色発光表示の場合、層間絶縁膜33の開口部33a内のみならず、層間絶縁膜33上にも連続して正孔注入層36及び発光層37が堆積されてよい。また、単色発光表示の表示装置では、上述するインクジェット等以外にもスピンコータ、スプレー、印刷、ディップによって発光材料含有液を塗布することができる。
【0060】
図11(a)に示すように発光層37まで形成した画素基板21に、真空蒸着やスパッタリングで、Ca,Ba等からなる電子注入層を形成する。上述したように電子注入層は複数の画素30間に共通して形成されるため、基板13上に全面に形成される。更に電子注入層上に、真空蒸着やスパッタリングによって基板13上の全面に、低抵抗化層を形成する。これにより図11(b)に示すように対向電極40が形成される。
以上の工程から、基板13上に第1表示部11が形成される。
【0061】
次に、対向基板14上に、上述した第1表示部11の製造方法と同様に、第2表示部12を形成する。ただし、対向基板14は、基板13のように走査ドライバSD及びデータドライバDDが実装される領域が設けられていない。
【0062】
まず、ガラス基板等からなる対向基板14を用意し、この対向基板14上に上述した第1表示部11の製造方法と同様に、スパッタ法、真空蒸着法等によりゲートメタル層を形成し、これをデータ配線Ld2、ゲート電極の形状にパターニングし、更に絶縁膜、トランジスタの半導体層、保護絶縁膜、オーミックコンタクト層、画素電極を形成する。
【0063】
続いて、更に、スパッタ法、真空蒸着法等により、ソース−ドレインメタル層を形成し、これをパターニングすることにより、ドレイン電極及びソース電極を形成し、この際、走査配線Ls2を形成し、更に導通部SPの上側コンタクト部83及び導通部DPの上側コンタクト部87を図5(a)及び(b)に示すように形成する。導通部SPの上側コンタクト部83及び導通部DPの上側コンタクト部87は、図4に示すように平面的に略方形状に形成される。
【0064】
続いて、上述した第1表示部11の製造方法と同様に、層間絶縁膜、隔壁、正孔注入層、発光層、対向電極の順に形成し、第2表示部12を対向基板14上に形成する。
【0065】
次に、図12(a)に示すように、例えば金(Au)からなるミクロパール等の導電性ギャップ材が分散された紫外線硬化樹脂又は熱硬化樹脂を硬化してなる封止樹脂を、不活性ガス雰囲気下でディスペンサを用いて、又はスクリーン印刷法によって、基板13上の所定の領域に塗布する。なお、対向基板14側に封止樹脂を塗布しても良い。また、両基板間のギャップを保つためのスペーサを混入させることも可能である。この際、スペーサは、封止樹脂が形成される領域下の配線が交差する部分にダメージを与えないような変形率を有するものを用いると良い。
【0066】
次に、図12(a)に示すように基板13と対向基板14とを重ね合わせ、圧力を加えて密着させ、圧力を徐々に常圧に戻す。常圧に戻した後で、UVを照射し、又は熱を加え、樹脂を硬化させ封止を完了させる。これにより出力配線15と導通部SPと走査配線Ls2とを導通させ、更に出力配線16と導通部DPとデータ配線Ld2とを導通させることができる。なお、基板間には吸湿・吸酸素作用を有するゲッター剤を設けると良い。
【0067】
続いて、基板13の走査配線Ls1と出力配線15上に走査ドライバDSをボンディングし、更にデータ配線Ld1と出力配線16との上にデータドライバDDをボンディングする。
以上の工程から、図12(b)に示すように表示装置10が製造される。
【0068】
上述したように、本実施形態の表示装置の製造方法では、導通部SP,DPを形成し、基板14上に設置される走査ドライバSD及びデータドライバDDと第2表示部12との導通を図ることができる。これにより、従来、対向する基板上にそれぞれ設置されていたドライバを一方の基板のみに設置することが可能となり、対向する基板をドライバが接触しないようずらして重ねる必要がなくなり、表示領域の周辺に必要とされる領域が削減される。これにより、表示装置10を狭額縁化することが可能である。
【0069】
本発明は上述した実施形態に限られず、様々な変形及び応用が可能である。
上述した実施形態では、導通部SP,DPにおいて、上側コンタクト部83及び下側コンタクト部81を走査配線Ls1,Ls2と同じ材料(ソース−ドレインメタル層)で形成したが、上側コンタクト部83及び下側コンタクト部81がクロムを含む材料で形成される場合、接触抵抗がばらつくので、図13(a)に示すように、下側コンタクト部81と導電性ギャップ材88との間にITO等の導電層91を介在させ、同様に上側コンタクト部83と導電性ギャップ材88との間にITO等の導電層92を介在させることによって接触抵抗のばらつきを改善することができる。この場合、画素電極34をITO等で形成するのであれば、トランジスタTr12のドレイン電極12d及びソース電極12sをパターニング形成した後、ITO等のクロムを含まない導電膜を堆積しフォトリソグラフィによってパターニングして画素電極34及び導電層91,92を一括して形成することが好ましい。また、導通部DPについても同様に、図13(b)に示すように下側コンタクト部85と導電性ギャップ材88との間にITO等の導電層93を介在させ、同様に上側コンタクト部87と導電性ギャップ材88との間にITO等の導電層94を介在させることによって接触抵抗のばらつきを改善することができる。
【0070】
また、上記実施形態及び各変形例において、ソース−ドレインメタル層で形成された上側コンタクト部83と対向基板14との間に、データ配線Ld2を形成するためのゲートメタル層を介在させて形成して低抵抗化してもよい。
【0071】
また、上述した実施形態では、走査ドライバ及びデータドライバは同一のICチップでもよい。
【0072】
更に、上述した実施形態では、第1表示部11及び第2表示部12が、ほぼ同じ面積の表示領域を備える構成を例に挙げて説明したが、これに限られず、一方の表示領域は他方の表示領域と比較して狭いものであってもよい。
【0073】
また、上述した実施形態では、RGBの3色を発光するフルカラーのボトムエミッション型の有機EL素子を例に挙げて説明したが、これに限られず、RGBのいずれか1色のモノカラーであっても良い。この場合、発光層37の塗り分けが不要となるため隔壁35を省略することが可能である。
【0074】
更に上述した実施形態では、画素30の画素回路DSが、2つのトランジスタを備える構成を例に挙げて説明したが、これに限られず3つ以上のトランジスタによって駆動されても良く、1つであっても良い。図7に示すトランジスタTr11及びトランジスタTr12は、いずれもnチャネル型アモルファスシリコン薄膜トランジスタであるが、これに限らず、少なくとも一方がpチャネル型でもよく、ポリシリコン薄膜トランジスタであってもよい。なお、トランジスタTr11及びトランジスタTr12がpチャネル型の電界効果型トランジスタの場合は、それぞれソース端子及びドレイン端子が図3とは逆に接続される。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明の実施形態に係る表示装置の構成例を示す図である。
【図2】表示装置の断面図である。
【図3】基板を示す図である。
【図4】対向基板を示す図である。
【図5】(a)は、走査ドライバ側の導通部の断面図であり、(b)はデータドライバ側の導通部の断面図である。
【図6】表示部の構成例を示す図である。
【図7】画素の画素回路を示す図である。
【図8】画素の平面図である。
【図9】図8に示すIX−IX線断面図である。
【図10】表示装置の製造方法を示す図である。
【図11】表示装置の製造方法を示す図である。
【図12】表示装置の製造方法を示す図である。
【図13】変形例を示す図である。
【図14】従来の表示装置を示す図である。
【符号の説明】
【0076】
10・・・表示装置、11・・・第1表示部、12・・・第2表示部、13・・・基板、14・・・対向基板、15,16・・・出力配線、18・・・封止部、30・・・画素、32・・・絶縁膜、33・・・層間絶縁膜、34・・・画素電極、35・・・隔壁、36・・・正孔注入層、37・・・発光層、40・・・対向電極、Cs・・・キャパシタ、DD・・・データドライバ、SD・・・走査ドライバ、La1・・・アノードライン、Ld1,Ld2・・・データ配線、Ls1,Ls2・・・セレクトライン、Tr11,Tr12・・・トランジスタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の基板と、
前記第1の基板の一方の面に形成され、発光素子を有する第1の表示部と、
前記第1の基板の一方の面と対向するように設置された第2の基板と、
前記第2の基板の前記第1の基板と対向する面上に形成され、発光素子を有する第2の表示部と、
前記第1の基板と前記第2の基板との間に形成され、前記第1の表示部と前記第2の表示部とを封止する封止部と、
前記第1の表示部と前記第2の表示部とを駆動するドライバと、を備え、
前記ドライバは、前記第1の基板上に設置され、
前記第2の表示部と前記ドライバとは、前記封止部が形成された領域に設けられた導通部によって接続されることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記導通部は、前記第1の基板上に形成された第1コンタクト部と、前記第2の基板上に形成された第2コンタクト部と、前記第1コンタクト部と前記第2コンタクト部を導通する導通材と、を備えることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記導通材は、前記封止部中に分散されていることを特徴とする請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記第1の基板上には、前記第1の表示部の前記発光素子を動作するトランジスタを有する画素回路が設けられ、
前記第2の基板上には、前記第2の表示部の前記発光素子を動作するトランジスタを有する画素回路が設けられ、
前記ドライバは、前記第1の表示部と前記第2の表示部の画素回路を駆動するための信号を出力することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項5】
前記導通部は、前記第1の基板上に形成された第1コンタクト部と、前記第2の基板上に形成された第2コンタクト部と、前記第1コンタクト部と前記第2コンタクト部を導通する導通材と、を備え、
前記第1の表示部の前記トランジスタは、ゲート電極、ソース電極、ドレイン電極を備え、
前記第1コンタクト部は、前記ゲート電極となる導電層及び前記ソース電極及び前記ドレイン電極となる導電層のうち少なくとも一方の導電層をパターニングしてなる層を含み、
前記第2の表示部の前記トランジスタは、ゲート電極、ソース電極、ドレイン電極を備え、
前記第2コンタクト部は、前記ゲート電極となる導電層及び前記ソース電極及び前記ドレイン電極となる導電層をパターニングしてなる層を含むことを特徴とする請求項4に記載の表示装置。
【請求項6】
配線と、発光素子を有する第2の表示部が設けられた対向基板と、
発光素子を有する第1の表示部と、前記配線に信号を出力するドライバと、前記ドライバに接続された出力配線と、が設けられた基板とを、
前記配線と前記出力配線とを接続する導通部を有する封止部を介して挟んで封止する工程、
を備えることを特徴とする表示装置の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate


【公開番号】特開2009−301754(P2009−301754A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−152093(P2008−152093)
【出願日】平成20年6月10日(2008.6.10)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】