説明

表示装置

【課題】表示・入力部を備えた端末装置に用いられる液晶表示装置に最適な乱数発生回路を実現する。
【解決手段】液晶表示装置は液晶表示パネルと、制御回路と、乱数発生回路とを備え、乱数発生回路は複数のシフトレジスタと、出力回路と、初期値を保持するレジスタとからなり、複数の初期値を備えることで乱数のランダム性を向上させる。また、複数のシフトレジスタからそれぞれ異なる乱数を出力させることが可能なことから、出力回路にて周波数を増加させて出力することが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置に係り、特に、表示装置に用いられる乱数発生回路に有効な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
中型の液晶表示パネルを有するTFT(Thin Film Transistor)方式の液晶表示装置は、携帯端末、ノート型パーソナルコンピュータ等の表示部として広く使用されている。
【0003】
この中型の液晶表示装置では、外部から入力されるデータの入力装置として、タッチパネルを併設するものがある。また、従来から用いられているキーボードも外付けの入力装置として用いられている。
【0004】
これら入力装置から入力されたデータには、秘密保持のため暗号化等の符号化が施される場合がある。符号化のためには一般に乱数が用いられており、表示装置にも乱数発生回路を備える必要が生じていた。
【0005】
しかしながら、従来の表示装置は乱数発生回路を備えてなく、汎用の表示装置に最適な乱数発生装置について試行されている。
【0006】
一方、従来から様々な乱数発生回路が提案されており、「特許文献1」には、M系列と呼ばれる乱数をシフトレジスタにて発生させる回路の記載がある。しかしながら、「特許文献1」は表示装置に用いられる乱数発生回路について記載あるものではない。
【0007】
【特許文献1】特開平06−051957号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前述した表示装置において、ランダム性の高い乱数発生回路を用いると、回路規模が大きくなり、材料費の上昇と設置領域の確保が困難であるといった問題が生じる。
【0009】
また、表示装置において、電磁波ノイズ(EMI)対策のために、回路から出力する信号の電圧変化を抑える要求もある。乱数発生回路より乱数を発生するとそのランダム性が高いという特徴より、電圧変化が頻繁であり電磁波ノイズが増加するという問題も発生した。
【0010】
本発明は、前記問題点を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、表示装置において、最適な乱数発生回路を用いるとともに、回路規模を抑え、電磁波ノイズの対策も可能となる技術を提供することにある。
【0011】
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述及び添付図面によって明らかにする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、下記の通りである。
【0013】
表示パネルと、前記表示パネルの各画素を駆動する駆動回路と、駆動回路に表示データを出力する制御回路とを備え、制御回路には乱数発生回路を設ける。乱数発生回路はn個のシフトレジスタ回路を備え、n個のシフトレジスタ回路の出力信号は出力回路に入力する。出力回路ではn個のシフトレジスタ回路の出力信号から、n倍の周波数の出力信号を発生させる。
【発明の効果】
【0014】
n個のシフトレジスタ回路を設けることで、乱数発生回路から発生する乱数のランダム性が向上する。また、n個のシフトレジスタ回路を用いることで、n倍の周波数の信号を乱数として発生させることも可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明の実施例を詳細に説明する。
【0016】
なお、実施例を説明するための全図において、同一機能を有するものは同一符号を付け、その繰り返しの説明は省略する。
【0017】
図1は、本発明の1実施の形態である液晶表示装置の概略構成を示すブロック図である。同図に示すように、液晶表示装置は液晶表示パネル1と走査線側回路基板31と映像信号線側回路基板32と制御回路基板33とから構成される。
【0018】
液晶表示パネル1は、薄膜トランジスタ10、画素電極11、対向電極15等が形成されるTFT基板2と、カラーフィルタ等が形成されるフィルタ基板(図示せず)とを、所定の間隙を隔てて重ね合わせ、該両基板間の周縁部近傍に枠状に設けたシール材(図示せず)により、両基板を貼り合わせると共に、シール材の内側に液晶組成物を封入、封止し、さらに、両基板の外側に偏光板を貼り付けて構成される。
【0019】
なお、本実施の形態は対向電極15がTFT基板2に設けられる所謂横電界方式の液晶表示パネルにも、対向電極15がフィルタ基板に設けられる所謂縦電界方式の液晶表示パネルにも同様に適用される。
【0020】
図1においては、図中x方向に延在しy方向に並設される走査信号線(ゲート信号線とも呼ぶ)21と、y方向に延在しx方向に並設される映像信号線(ドレイン信号線とも呼ぶ)22とが設けられており、走査信号線21と映像信号線22とで囲まれる領域に画素部8が形成されている。
【0021】
なお、液晶表示パネル1は多数の画素部8をマトリクス状に備えているが、図を解り易くするため、図1では画素部8を1つだけ示している。マトリクス状に配置された画素部8は表示領域9を形成し、各画素部8が表示画像の画素の役割をはたし、表示領域9に画像を表示する。
【0022】
各画素部8の薄膜トランジスタ10は、ソースが画素電極11に接続され、ドレインが映像信号線22に接続され、ゲートが走査信号線21に接続される。この薄膜トランジスタ10は、画素電極11に表示電圧(階調電圧)を供給するためのスイッチとして機能する。
【0023】
なお、ソース、ドレインの呼び方は、バイアスの関係で逆になることもあるが、ここでは、映像信号線22に接続される方をドレインと称する。
【0024】
映像信号線22は駆動回路6に接続され、駆動回路6からは映像信号が供給される。走査信号線21は駆動回路5に接続され、駆動回路5からは走査信号が供給される。
【0025】
駆動回路5は走査線側回路基板31と接続しており、走査線側回路基板31を介して制御信号が制御回路3から供給され、電源電圧が電源回路41から供給される。
【0026】
駆動回路6は映像信号線側回路基板32と接続しており、映像信号線側回路基板32を介して制御信号が制御回路3から供給され、電源電圧が電源回路41から供給される。
【0027】
制御回路3と電源回路4とは、制御回路基板33に設けられている。制御回路基板33には乱数発生回路200が設けられており、乱数発生回路200からは乱数が発生する。乱数発生回路200には伝送配線201が接続され、伝送配線201により乱数発生回路200からの信号が映像信号線側回路基板32等に伝えられる。なお、乱数発生回路200の詳細については後述する。
【0028】
次に図2を用いて、液晶表示装置100が適用される端末装置400について説明する。液晶表示装置100は端末装置400の表示部として用いられる。液晶表示装置100と併設してタッチセンサパネル420が設けられ、液晶表示装置100とタッチセンサパネル420とで表示・入力部300を形成する。
【0029】
図3に表示・入力部300の概略正面図を示す。表示・入力部300は端末装置400の利用者に、タッチ入力部410を示し、入力した情報を表示部411に表示する。
【0030】
利用者はタッチ入力部410を指先等で触れることで、接触した位置に表示された情報に基くデータを端末装置400に入力する。入力されたデータは端末装置400にて処理され表示部411にも確認のため表示される。
【0031】
なお、この時秘匿性の高いデータの場合には、入力されたデータは暗号化処理等の加工が施される。また、表示部411には実際のデータが表示されずに例えばアスタリスク等が表示される。
【0032】
タッチセンサパネル420から入力された位置データは、まず入力装置制御回路421に伝達されデータ処理されてデータバス435を経由してCPU430に転送される。
【0033】
CPU430では入力データに対して必要な処理が選択され実行される。液晶表示装置100に対しては、入力データに基いて表示内容が選択されデータバス435を介して画像集積回路451に伝達される。
【0034】
画像集積回路451では画像表示に必要な処理が行われ、液晶表示装置100に対して表示データが出力する。このとき、表示データに暗号化処理等が施されている場合には、液晶表示装置100側にも乱数発生回路200が必要となる。
【0035】
端末装置400は特に外部通信回路441を備えており、LAN等の通信回線442を利用して遠隔地の中央処理装置470とデータのやり取りを行うため暗号化処理等が必須となっている。中央処理装置470は例えば外部通信回路441とサーバ471とから構成される。なお、符号437は端末装置400の電源回路で、符号436は電源電圧線である。
【0036】
次に図3を用いて表示・入力部300を説明する。表示・入力部300は液晶表示装置100とタッチセンサパネル420とが平面的に重ねられて形成されている。図3では利用者から見た表示・入力部300を示しており、液晶表示装置100とタッチセンサパネル420との区別は示していない。
【0037】
表示・入力部300は液晶表示装置100を用いて、入力を促すようにタッチ入力部410を表示する。利用者はタッチ入力部410に指先等で接触することでデータを入力する。
【0038】
タッチセンサパネル420は、利用者が触れた位置情報を入力装置制御回路421を介して端末装置400に伝える。端末装置400はタッチセンサパネル420からの位置情報を元に入力データを判断することになる。
【0039】
すなわち、表示・入力部300では位置情報が重要な意味を持つこととなり、表示画像にも入力装置としての機能が備わっていることとなる。なお、タッチ入力部410に利用者が接触した際に、入力動作を確認可能なように入力データを示す領域の表示が変化することがある。
【0040】
例えば、タッチ入力部410の数字2を囲む四角内部を利用者が触った場合に、数字2を囲む四角内部の表示が反転したり、背景色が変化したりする。
【0041】
次に図4に表示・入力部300の実装形態を示す。表示・入力部300は利用者に対面するように、端末装置400の主基板431と離れて実装される。また、入出力用基板432を分離して設け、ケーブル433で主基板431と入出力用基板432とを接続し、ケーブル434で入出力用基板432と表示・入力部300とを接続して実装される場合もある。
【0042】
入出力用基板432には入力装置制御回路421と表示制御装置422とが設けられる。表示制御装置422は液晶表示装置100に汎用性を持たせるために設けられており、例えば、表示制御装置422によりアナログ信号入力にもデジタル信号入力にも対応可能である。
【0043】
また、デジタル信号にも規格による差異があるので、表示制御装置422は画像集積回路451の出力する表示データを液晶表示装置100の制御回路3に受け渡すための処理を行う。また、表示制御装置422は液晶表示装置100用の低電圧差動信号等を出力することも可能である。
【0044】
図5から図8を用いて、主基板431と表示・入力部300との間で伝送される信号について説明する。主基板431内ではデータの転送はデータバス435を介して行われるが、画像集積回路451は表示データ規格の信号445が表示制御装置411に出力している。
【0045】
この画像集積回路451から出力される信号445は一般に3V〜5Vで振幅するデジタル信号で、8〜32ビットのパラレル信号である。よって信号445によって発生するノイズが問題となるため、配線の設計には注意が必要である。
【0046】
次に画像集積回路451からは液晶表示装置100の制御回路3にデジタル信号446が出力している。デジタル信号446も3V〜5Vで振幅し、8〜64ビットのパラレル信号である。よって信号446によって発生するノイズが問題となるため、配線の設計には注意が必要である。
【0047】
また、制御回路3と駆動回路6または駆動回路5の間にもデジタル信号446が出力されている。これらのデジタル信号446は前述した映像信号線側回路基板32や走査線側回路基板31を介して伝送される。
【0048】
図6は入出力基板432から低電圧差動信号447が出力される場合を示している。表示制御装置411からの出力はトランスミッタ448で低電圧差動信号447に変換されている。
【0049】
低電圧差動信号447はEMI対策に有効であるため、発生するノイズはデジタル信号446等よりも小さいが、場合によっては低電圧差動信号447にもノイズ対策が必要となる。
【0050】
なお、図6の場合も表示制御装置411からトランスミッタ448の間はデジタル信号446で伝送されており表示制御装置411からトランスミッタ448の間はノイズ対策が必要となる。
【0051】
次に図7に入出力基板432から低電圧差動信号447が出力され、制御回路3からも低電圧差動信号447が出力される場合を示す。映像信号線側回路基板32や走査線側回路基板31上にもEMI対策に有効である低電圧差動信号447で信号が供給されノイズが低減される。
【0052】
なお、制御回路3内部ではデジタル信号で信号が処理されるため、一旦制御回路3内部では低電圧差動信号447からデジタル信号に変換され、制御回路3から出力する際に、映像信号線側回路基板32や走査線側回路基板31用の低電圧差動信号447に変換される。
【0053】
図8は画像集積回路451に表示制御装置411の機能が含まれる場合を示す。図8では画像集積回路451から直接に制御回路3に低電圧差動信号447が出力している。この場合では、画像集積回路451から制御回路3との間ではノイズの発生が抑えられる。ただし、制御回路3と駆動回路6または駆動回路5の間にデジタル信号446を出力している場合は、制御回路3以降のノイズ対策が必要となる。
【0054】
次に図9を用いて、乱数発生回路200について説明する。符号210は初期値保持回路で、符号220はシフトレジスタ回路、符号230は出力回路である。
【0055】
シフトレジスタ回路220は、帰還経路221により最終段の値を初段に戻して乱数を発生している。シフトレジスタ回路220は後述するように途中の段から値を取り出し帰還経路221の値と排他的論理和をとり、演算結果を初段に戻すことで乱数を発生させることが可能である。
【0056】
シフトレジスタ回路220は単体で乱数を発生させることが可能であるが、図9では並列に8個のシフトレジスタ回路220を設け、各シフトレジスタ回路220の出力を出力回路230に入力し、出力回路230から乱数を出力している。
【0057】
また、8個のシフトレジスタ回路220それぞれに異なった初期値を設定するために、8個のレジスタ210を用意し、各レジスタ210には異なる初期値を格納している。シフトレジスタ220は動作開始時にレジスタ210から異なる初期値を読み込むことで、異なるパターンの乱数を発生することが可能となっている。
【0058】
図10に初期値の転送方法を示す。初期値転送配線224により転送される初期値は、初期値転送制御信号線225がハイになることで、AND回路226を介して各フリップフロップ221に格納される。なお、フリップフロップ221−1は初段のフリップフロップで、221−8は最終段のフリップフロップを示している。
【0059】
図11に初期値判定回路227を追加したものを示す。シフトレジスタ220は全フリップフロップ221の初期値が0の場合に乱数を発生させることができないので、初期値判定回路227を用いて全フリップフロップ221が0で無いかを判定する。
【0060】
次に図12にシフトレジスタ220の帰還経路221について説明する。図12(a)では、最終段のフリップフロップ222−8の出力と5段目のフリップフロップ222−5との出力とを排他的論理和回路223により演算し、その結果を初段のフリップフロップ回路222−1に入力することで、乱数を発生している。
【0061】
図13(a)には初期値(1,0,0,0,0,0,0,0)を設定した場合の乱数が発生する模様を示す。期間T1では初段のフリップフロップ222−1には値“1”が保持され、基本クロックに同期してフリップフロップ222−1に保持された値“1”は次段のフリップフロップに転送される。なお、フリップフロップ間の転送に用いられる基本クロックは、表示データを転送するクロックを用いることも可能である。
【0062】
期間T6では、5段目のフリップフロップ222−5に値“1”が保持されると、最終段のフリップフロップ222−8が保持する値“0”との間で排他的論理和が演算され、演算結果“1”が初段のフリップフロップ222−1に保持される。以下同様に基本クロックに同期してフリップフロップ222間を値が転送される。
【0063】
m段のシフトレジスタ220を用いて乱数発生回路200を形成すると、(2のm乗−1)の周期で乱数を発生することが可能である。
【0064】
図12(b)は初段のフリップフロップ222−1と2段目のフリップフロップ222−2との排他的論理和の演算結果と、最終段のフリップフリップ222−8と最終段の1つ手前のフリップフロップ222−7との間での排他的論理和の演算結果との間で更に排他的論理和を演算した結果を初段に入力するシフトレジスタ回路220を示す。
【0065】
次に図13を用いて初期値について説明する。図13(a)と図13(b)とは同じシフトレジスタ220の発生する乱数のパターンを示す。図13(a)では初期値(1,0,0,0,0,0,0,0)による乱数のパターンを示しており、図13(b)では初期値(0,1,0,1,0,1,0,0)による乱数のパターンを示している。
【0066】
図13(a)と図3(b)とから明らかなように、同じシフトレジスタ回路220でも、初期値が異なると乱数のパターンが異なっている。図9に示す乱数発生回路200では、異なる初期値を設定した複数のシフトレジスタ回路220を用いて乱数を発生させており、乱数発生回路200から発生する乱数のランダム性が向上している。また、段数の異なるシフトレジスタ回路を複数混在させることにより,生成される乱数の周期を長くすることができる。
【0067】
一方、図12(b)のシフトレジスタ回路において異なるタップ列(排他的論理和演算を行うフリップフロップの組み合わせ)のシフトレジスタ回路を複数混在させることにより、同一初期値でもランダム性を高くすることができる。
【0068】
次に図14、図15を用いて複数のシフトレジスタ回路220を用いて乱数発生回路200を形成した場合の問題点とその解決方法を説明する。
【0069】
図14では、シフトレジスタ回路220の出力を一旦第1のラッチ回路231で保持し、その後、第2のラッチ回路232にデータを保持し、第2のラッチ回路232からシフトレジスタ回路220の基本クロックの8倍の周波数で読み出しシリアル出力回路233からシリアル信号として出力している。
【0070】
図15(a)(b)に示すように、第2のラッチ回路232に保持されたデータD1からD8は、図15(c)に示すように8倍の周波数となり、シリアル出力回路233から出力される。例えば、シフトレジスタ回路220の転送クロックが表示データを転送するクロックに同期する場合でも、シリアル出力回路233からは、表示データ用転送クロックの8倍の周波数で信号を出力することが可能となる。
【0071】
n個のシフトレジスタ回路220を用いて乱数を発生させる場合では、ランダム性は向上するが、n個の異なる乱数が発生することとなる。この場合、実際に乱数を利用する数以上の乱数が発生しており、利用数以上は無駄となってしまう。
【0072】
そのため、出力回路230を設けてn倍の周波数のシリアル信号として出力することで、出力した乱数を無駄なく利用することが可能となる。
【0073】
次に図16に8個のシフトレジスタ回路220を1個の出力回路230に入力させる回路を4個並列に並べた乱数発生回路200を示す。図16に示す乱数発生回路200ではランダム性を向上させ、さらに複数の乱数を得ることが可能となっている。
【0074】
次に図17(a)に出力回路230の出力波形を示す。例えば出力回路230から期間P1にロウレベルの信号が出力し、期間P2にハイレベルの信号が出力し、期間P3にロウレベルの信号が出力するような、電圧変化が連続する場合について検討する。
【0075】
期間P1と期間P2の境目では、急激に電圧が上昇するため電波ノイズとして図17(b)に示すような波形の電波が発生する。逆に期間P2と期間P3との境界でも急激に電圧が減少することで電波が発生する。
【0076】
また、出力回路230と同じように、前述した画像集積回路451と制御回路3との間で転送されるデジタル信号446によっても電波が発生する。図18にデジタル信号446等によって液晶表示装置100から発生する電波610の周波数Fと強度Pとの測定結果の1例を示す。図中符号L1は液晶表示装置100から発生する電波610の平均的強度を示している。
【0077】
デジタル信号446の基本周波数620だけではなく、周波数全般にわたってノイズが発生していることがわかる。液晶表示装置100では、一般にデジタル信号446は表示データで、基本周波数620は表示データの転送クロックの周波数であるため、EMI対策を考慮する必要が生じる。
【0078】
図19に出力回路230に伝送配線201を設けた場合の発生電波630の様子を示す。乱数発生回路200による発生電波630はEMIの制限電波強度640よりも大きく、ノイズとして問題となるレベルとなっている。
【0079】
図20ではシールド等を設けることで、液晶表示装置100から発生する電波610を低減し、平均的強度L2と小さくしている。さらに乱数発生回路200による発生電波630もEMIの制限電波強度640以下となっている。
【0080】
さらに、乱数発生回路200による発生電波630は液晶表示装置100から発生する電波610を全周波数帯域にわたって覆うことが可能で、液晶表示装置100から発生する電波610が外部に出ることを防止することが可能である。
【0081】
乱数発生回路200による発生電波630が全周波数帯域にわたることが可能な理由は、乱数発生回路200のランダム性が高いことと、デジタル信号446の基本周波数620でシフトレジスタ回路220を転送したとしても、シフトレジスタ回路220をN個設けて出力回路230でN倍の周波数として出力することで、基本周波数620のN倍の周波数領域の乱数が発生可能なことによる。
【0082】
すなわち、基本波でランダム系列を発生させることでランダム系列周期の逆数周波数から基本周波数まで帯域をカバーする。さらにランダム系列を基本周波数のN倍の周波数で出力することで、カバーする帯域をN倍に拡大することが可能になる。
【0083】
次に図21に制御回路3にシフトレジスタ回路220を設け、出力回路230を制御回路3外に設けた場合の端子配置を示す。符号451、452はシフトレジスタ回路220と接続した端子の配置位置を示している。端子位置452に配置された端子は出力回路230と接続しており、出力回路230に入力された信号は出力回路230から伝送配線201に出力される。
【0084】
伝送配線201はアンテナの役割をはたし、伝送配線201の形状や配置により乱数発生回路200による発生電波630の強度を制御することが可能である。なお、強度を弱める場合にはアッテネータ等を伝送配線201に接続することが可能である。
【0085】
端子位置451の端子はシフトレジスタ回路220の出力を直接取り出しており、出力回路230で周波数を増加させる前の出力が伝送配線201に伝達される。周波数を増加させる前の出力を伝送配線201に伝達することで、低周波数側に広く電波を出力することが可能である。すなわち、基本周波数で振幅する信号も伝送配線201に出力可能である。
【0086】
また、符号202は外部接続用のコネクタで伝送配線201を外部に設けた場合の接続に使用される。符号454に示す端子は例えば初期値を格納しておく外部記憶素子510との接続に用いられる。
【0087】
以上、本発明者によってなされた発明を、前記実施例に基づき具体的に説明したが、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能であることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】本発明の液晶表示装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の液晶表示装置が適用される端末装置の概略構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の液晶表示装置が適用される端末装置の表示・入力部の概略外形を示す正面図である。
【図4】本発明の液晶表示装置が適用される端末装置の概略実装構成を示すブロック図である。
【図5】本発明の液晶表示装置が適用される端末装置の信号の伝送経路を示すブロック図である。
【図6】本発明の液晶表示装置が適用される端末装置の信号の伝送経路を示すブロック図である。
【図7】本発明の液晶表示装置が適用される端末装置の信号の伝送経路を示すブロック図である。
【図8】本発明の液晶表示装置が適用される端末装置の信号の伝送経路を示すブロック図である。
【図9】本発明の液晶表示装置に用いられる乱数発生回路を示すブロック図である。
【図10】本発明の液晶表示装置に用いられる乱数発生回路を示す概略回路図である。
【図11】本発明の液晶表示装置に用いられる乱数発生回路を示す概略回路図である。
【図12】本発明の液晶表示装置に用いられる乱数発生回路を示す概略回路図である。
【図13】本発明の液晶表示装置に用いられる乱数発生回路の出力波形を示すタイムチャートである。
【図14】本発明の液晶表示装置に用いられる乱数発生回路の出力回路を示す概略回路図である。
【図15】本発明の液晶表示装置に用いられる乱数発生回路の出力回路の出力波形を説明するタイムチャートである。
【図16】本発明の液晶表示装置に用いられる乱数発生回路を示す概略ブロック図である。
【図17】本発明の液晶表示装置に用いられる乱数発生回路の出力電波を示す波形図である。
【図18】本発明の液晶表示装置から発生する電波の周波数と強度との関係を示す周波数特性図である。
【図19】本発明の液晶表示装置から発生する対策前の電波の周波数と強度との関係を示す周波数特性図である。
【図20】本発明の液晶表示装置から発生する電波の周波数と強度との関係を示す周波数特性図である。
【図21】本発明の液晶表示装置の制御回路の端子配置を示す概略外形図である。
【符号の説明】
【0089】
1…液晶表示パネル、2…TFT基板、3…制御回路、5…駆動回路、6…駆動回路、8…画素部、9…表示領域、10…薄膜トランジスタ、11…画素電極、15…対向電極、21…走査信号線、22…映像信号線、25…対抗電極信号線、31…走査信号線側回路基板、32…映像信号線側回路基板、33…制御回路基板、41…電源回路、200…乱数発生回路、210…レジスタ、220…シフトレジスタ、221…帰還経路、222…フリップフロップ、223…排他的論理和回路、224…初期値転送配線、225…初期値転送制御信号線、226…AND回路、227…判定回路、230…出力回路、231…第1ラッチ回路、232…第2ラッチ回路、233…シリアル出力回路、300…表示・入力部、400…端末装置、231…第1ラッチ回路、420…タッチセンサパネル、421…入力装置制御回路、430…CPU、431…主基板、432…入出力用基板、433…ケーブル、434…ケーブル、435…データバス、436…電源線、437…電源回路、441…外部通信回路、442…通信回線、445…表示データ規格信号、446…CMOSレベル信号、447…低電圧差動信号。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示パネルと、
前記表示パネルの各画素を駆動する駆動回路と、
前記駆動回路に表示データを出力する制御回路とを備え、
前記制御回路には、乱数発生回路が設けられ、
前記乱数発生回路が発生したパルス信号の周波数をn倍化して出力する、出力回路を設けたことを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記乱数発生回路はn個のシフトレジスタを有することを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記乱数発生回路はn個の初期値を格納するレジスタを有することを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項4】
前記乱数発生回路はn個のシフトレジスタを有し、該シフトレジスタは前記表示データの転送クロックに同期することを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項5】
表示パネルと、
前記表示パネルの各画素を駆動する駆動回路と、
前記駆動回路に表示データを出力する制御回路と、
前記制御回路に設けられた乱数発生回路と、
乱数発生回路の初期値を格納するメモリ素子と、
前記乱数発生回路が発生した信号が入力するノイズ発生回路とを備えたことを特徴とする表示装置。
【請求項6】
前記乱数発生回路はn個のシフトレジスタを有することを特徴とする請求項5に記載の表示装置。
【請求項7】
前記乱数発生回路はn個の初期値を格納するレジスタを有することを特徴とする請求項5に記載の表示装置。
【請求項8】
前記乱数発生回路はn個の初期値を格納するレジスタを有し、前記メモリ素子から初期値が前記レジスタに転送されることを特徴とする請求項5に記載の表示装置。
【請求項9】
前記乱数発生回路はn個のシフトレジスタを有し、該シフトレジスタは前記表示データの転送クロックに同期することを特徴とする請求項5に記載の表示装置。
【請求項10】
表示パネルと、
該表示パネルに平面的に重ねられたタッチパネルと、
前記表示パネルの各画素を駆動する駆動回路と、
前記駆動回路に表示データを出力する制御回路と、
前記制御回路に設けられた乱数発生回路と、
前記乱数発生回路の初期値を格納するメモリ素子と、
前記乱数発生回路が発生した信号が入力するノイズ発生回路とを備え、
前記ノイズ発生回路は、前記乱数発生回路の発生した信号の周波数を変化させることを特徴とする表示装置。
【請求項11】
前記乱数発生回路はn個のシフトレジスタを有することを特徴とする請求項10に記載の表示装置。
【請求項12】
前記乱数発生回路はn個の初期値を格納するレジスタを有することを特徴とする請求項10に記載の表示装置。
【請求項13】
前記乱数発生回路はn個の初期値を格納するレジスタを有し、前記メモリ素子から初期値が前記レジスタに転送されることを特徴とする請求項10に記載の表示装置。
【請求項14】
前記乱数発生回路はn個のシフトレジスタを有し、該シフトレジスタは前記表示データの転送クロックに同期することを特徴とする請求項10に記載の表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2009−151587(P2009−151587A)
【公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−329501(P2007−329501)
【出願日】平成19年12月21日(2007.12.21)
【出願人】(502356528)株式会社 日立ディスプレイズ (2,552)
【Fターム(参考)】