表示装置
【課題】アクティブマトリクス型の有機発光ディスプレイにおいて、有機発光素子を交流で駆動する回路を提供する。
【解決手段】データ信号に応じてコンデンサを充電するスイッチング用TFTと、コンデンサからの電圧に応じて有機発光素子105の発光を制御する電流制御用TFT102とを備えた画素100の回路にさらに、整流特性を有する素子109を設ける。交流電源106から整流特性を有する素子109に順方向に電圧をかけることで、容易に有機発光素子に逆バイアスを加えることができる。
【解決手段】データ信号に応じてコンデンサを充電するスイッチング用TFTと、コンデンサからの電圧に応じて有機発光素子105の発光を制御する電流制御用TFT102とを備えた画素100の回路にさらに、整流特性を有する素子109を設ける。交流電源106から整流特性を有する素子109に順方向に電圧をかけることで、容易に有機発光素子に逆バイアスを加えることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機発光素子を用いた表示装置及びその駆動方法に関する。より詳細には有機発光素子を交流で駆動する表示装置及びその駆動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、基板上にトランジスタ、たとえばTFT(Thin Film Transistor : 薄膜トランジスタ)を形成する技術が大幅に進歩し、アクティブマトリクス型の表示装置の開発が進められている。アクティブマトリクス型は、単純マトリクス型にみられるクロストークの問題を解決できるため、単純マトリクス型に比べて高精細、高コントラストな表示が実現できる。
【0003】
とくに、ポリシリコンを活性層に用いたTFTは、従来のアモルファスシリコンを用いたTFTよりも電界効果移動度が高いので、高速動作が可能である。このため、従来、基板に駆動回路を外付けして行っていた画素の輝度の制御を、画素と同一の基板上に形成した駆動回路で行うことができる。このようなアクティブマトリクス型の表示装置は、同一基板上にさまざまな回路や素子を作りこむことでき表示装置を小型化することができる。
【0004】
さらに近年、有機発光素子を用いた表示装置(有機発光ディスプレイと以下に称する)の開発が盛んになっている。有機発光素子は自発光型であり、液晶表示装置と違いバックライト等の光源を必要としない。このため表示装置の軽量化や薄型化を実現する手段として有望視されており、携帯電話や個人向け携帯型情報端末(Personal Digital Assistant : PDA)などに用いることが期待されている。
【0005】
有機発光素子とは、有機化合物層が二つの電極に挟まれたダイオード構造を有し、一方の電極から正孔が注入されるとともに、他方の電極から電子が注入されることにより、有機化合物層の内部で電子と正孔とが再結合して発光をする発光体をいう。有機発光素子は、エレクトロルミネッセンス(EL: electroluminescence)、例えば蛍光(fluorescence)、燐光(phosphorescence)などを発光する。有機発光素子は、そのダイオード構造から有機発光ダイオード(Organic Light Emitting Diode : OLED)ともよばれている。
【0006】
有機発光素子の素子構成は、陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極となっているものが多い。この構成は非常に発光効率が高く、現在、研究開発が進められている有機発光素子はほとんどこの構成を採用している。正孔注入層、電子注入層は片方または両方を設けない場合もある。ただし、発光層は、ここに電流が流れることによってキャリヤーが再結合して発光するため、有機発光層に不可欠の構成要素である。
【0007】
有機化合物層とは、電子、正孔といったキャリヤーの輸送層や、高い量子収率を有する材料からなる発光層などを総称した名称である。よって上述した発光層、正孔注入層、電子注入層は有機化合物層に含まれる。
【0008】
有機発光素子は高い整流特性を有しており、陽極を陰極より高電位にすると、有機化合物層に電流が流れ、キャリヤーの再結合による発光が起こる。逆に、陽極を陰極より低電位にすると、有機化合物層には電流は流れず発光は起こらない。有機発光素子のようなダイオード構造では、電流の流れやすい方向に加える電圧を順バイアス、流れにくい方向に加える電圧を逆バイアスという。
【0009】
図19に従来のアクティブマトリクス型の有機発光ディスプレイの画素部の等価回路を示す。
【0010】
ゲート信号線(G1〜Gn)は各画素900が有するスイッチング用TFT901のゲート電極に接続されている。また、スイッチング用TFTのソース、ドレインとはそれぞれ、一方がデータ信号を入力するソース信号線(S1〜Sn)に、他方が各画素が有する電流制御用TFT902のゲート電極および各画素が有するコンデンサー903の一方の電極にそれぞれ接続されている。コンデンサーの他方の電極は電源供給線(V1〜Vm)に接続されている。
【0011】
電流制御用TFTのソースとドレインとはそれぞれ、一方が電源供給線に、他方が各画素が有する有機発光素子905の画素電極に接続されている。有機発光素子の対向電極は、有機発光素子の画素電極と対向して設けられ画素電極の基準電位となる電極である。
【0012】
対向電極は、説明の便宜上対向電源906に接続しているとする。電源供給線と対向電源との電位差は、有機発光素子が発光を行う電圧程度に設定されている。
【0013】
有機発光素子905の陽極と陰極とはそれぞれ、一方が画素電極であり、他方が対向電極である。有機発光素子の陽極が電流制御用TFTのソースまたはドレインに接続されている場合には、有機発光素子の陽極が画素電極になり、有機発光素子の陰極が対向電極になる。逆に、陰極が電流制御用TFTのソースまたはドレインに接続されている場合には、有機発光素子の陰極が画素電極に、有機発光素子の陽極が対向電極になる。
【0014】
有機発光素子が発光する光の輝度は次のように決定される。ゲート信号線からスイッチング用TFT901のゲート電極に選択信号が入力されスイッチング用TFTがオンの状態(導通状態)になる。すると、ソース信号線に入力されるデータ信号は、スイッチング用TFTを介して電流制御用TFT902のゲート電極に入力される。電流制御用TFTのゲート電極の電位は、コンデンサー903により保持される。よって、次に画素にデータ信号が入力されるまで電流制御用TFT902のゲート電極と電源供給線(V1〜Vm)との電位の差、つまり電流制御用TFTのゲート電圧は一定の値に維持される。
【0015】
電流制御用TFTがオンの状態になると、電流制御用TFTの半導体層から、電流制御用TFTの半導体層に直列に接続されている有機発光素子へと電流が流れる。有機発光素子に流れる電流の量に応じて有機発光素子が発光する光の強度が決まる。電流制御用TFTに流れる電流の量は各画素に入力されるデータ信号によって制御されるため、データ信号の電位によって各画素の発光の輝度を制御できる。
【0016】
一般に、有機発光素子を直流で駆動するということは、対向電極、画素電極のいずれか一方の電極を陰極とし、他方の電極を陽極としたときに陽極を陰極より高電位に維持して直流電流を流して発光を持続させることをいう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
しかしながら有機発光素子を直流で駆動すると、有機発光素子が発光する光の輝度は経時的に低下する。直流で駆動すると輝度が劣化する原因は、有機化合物層の界面にイオン性不純物が蓄積すること、有機化合物層を構成する分子が電界に沿って一様な方向に分極することなどにより、有機発光素子の画素電極、対向電極から加わる電界と逆方向の電界が有機化合物層の内部に発生するためなどと考えられている。
【0018】
とくに、有機発光素子の陰極と、陽極との間に加える電圧を常に一定にして有機発光素子を駆動する場合(以降、定電圧方式と称する)は、時間が経過するにつれて著しく有機発光素子の発光する光の輝度が低下する。定電圧方式では、陽極、陰極に加える電圧の強度は常に一定であるため、有機発光層の内部にできる電界の強度が増大するにつれて、有機化合物層に実効的に加わる電圧が低下して、有機発光素子が発光する光の輝度が低下する。
【0019】
この輝度劣化を抑えるためには、有機発光素子を交流で駆動する必要がある。
有機発光素子を交流で駆動するとは、有機発光素子に極性の異なる電圧を交互に加えることをいう。すなわち、発光に必要な順バイアスの他に、逆バイアスを加えることをいう。順バイアスと逆バイアスとは、強さや印加時間が必ずしも等しくなくてもよい。ごくわずかな逆バイアスしか印加しない場合であっても、交流と称することにする。
【0020】
しかしながら、上述した従来の回路では、たとえ交流電源を有機発光素子の対向電極、電源供給線に接続して設けたとしても、有機発光素子に充分な逆バイアスをかけられないことがある。以下、その説明をする。
【0021】
図19に示した回路は、対向電源906と電源供給線(V1〜Vm)との間に電流制御用TFT902のソース又は、ドレインと有機発光素子905とが直列に接続されている閉回路を構成する。この閉回路において、交流で電圧を有機発光素子に加えたときの動作を説明する。説明を簡便にするため、電流制御用TFTは以下、pチャネル型としておく。pチャネル型のTFTは、ゲートの電位をソース、すなわち電源供給線の電位よりもしきい値を超える値だけ低くするとオン状態になる。
【0022】
そこで、有機発光素子に順バイアスをかけるときは、有機発光素子905の対向電極の電位をLoのレベルにして、電源供給線の電位をHiのレベルにして、電源供給線(電流制御用TFTのソース)の電位よりも電流制御用TFTのゲートの電位をしきい値を超える値だけ低くする。すると、電流制御用TFTがオンの状態、つまり導通状態になり、有機発光素子905に電流が流れ有機発光素子は発光する。
【0023】
そして、電源供給線及び対向電極の電位を変えずに有機発光素子に流れる電流を止めるときには、電流制御用TFTのゲートの電位をソースの電位よりも高くして電流用TFTをオフの状態にする。
【0024】
いま、電流制御用TFTがオンの状態として、有機発光素子に逆バイアスをかけるために、電源供給線と対向電極の電位を反転させたとする。すなわち、有機発光素子905の対向電極の電位をHiのレベルにして、電源供給線の電位をLoのレベルにする。このとき、対向電極、有機発光素子、電流制御用TFT、電源供給線よりなる直列回路は、ソースフォロワと等価である。したがって、電流制御用TFTのゲート電位は低い値であることから、ここで大きな電圧降下が生じ、有機発光素子には十分な逆バイアスがかからない。
【0025】
このように、対向電源906と電源供給線との間に交流波形を出力しても有機発光素子に充分な逆バイアスがかからないことがある。これは、有機発光素子の画素電極を陰極とし、対向電極を陽極としたときに、有機発光素子に陽極から陰極に電流が流れるように電流制御用TFTをnチャネル型とした場合でも同様である。
【0026】
このように上述した従来の回路構成では、有機発光素子を交流で駆動することは困難であり、直流電圧の印加によって有機発光素子の輝度は経時的に大きく低下するという問題点が生じていた。
【0027】
そこで本発明は、有機発光素子に交流電圧を加えて駆動を行い、有機発光素子の輝度の低下を防止して、表示品位の向上を図る構成の表示装置及びその駆動方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0028】
整流特性を有する素子(以降、整流素子と称する)を、従来の回路に付加することで有機発光素子を交流で駆動することができる。
【0029】
整流素子と電流制御用TFTの半導体層とが並列に接続されている回路であれば、整流素子と電流制御用TFTの半導体層との一方が高抵抗化しても、他方が低抵抗であれば、この低抵抗な抵抗に応じた電圧を有機発光素子にかけることができる。
【0030】
整流素子とは、印加電圧と整流素子に流れる電流との関係を表わす特性曲線が原点に関して非対称な整流特性を有する素子をいう。一方の極性の電圧を整流素子に加えると電流が流れるが、他方の極性の電圧を整流素子に加えると電流がほとんど流れない。電流の流れやすい方向を順方向、流れにくい方向を逆方向という。
【0031】
図17を参照しながら、本発明を適用した回路の一例を説明する。図17は画素100の等価回路である。本発明は、交流電源106に電流制御用TFT102の半導体層と有機発光素子105が直列に接続している従来の閉回路に、整流素子109を電流制御用TFT102の半導体層と並列に設ける構成である。説明の便宜上、電流制御用TFTの導電型はpチャネル型としておく。
【0032】
図17で交流電源106と電源供給線(Vi)、交流電源106と有機発光素子105を点線で結んでいる。これは、画素100がマトリクス状に配置されている画素部の外部に交流電源が配置され、交流電源と画素部とを接続する接続配線113を経由して交流電源から画素100に交流波形を供給することを意味している。
【0033】
有機発光素子に順バイアスをかけるのは次のようにする。有機発光素子105の対向電極の電位をLoのレベルにして、電源供給線(Vi)の電位をHiのレベルにした上で、電流制御用TFT102のゲートの電位を電源供給線の電位よりもしきい値以上低くする。すると、電流制御用TFTがオンの状態、つまり導通状態になる。その結果、順バイアスが有機発光素子にかかり、整流素子109には、逆方向に電圧が加わる。
【0034】
有機発光素子に逆バイアスをかけるのは次のようにする。有機発光素子105の対向電極の電位をHiのレベルにして、電源供給線(Vi)の電位をLoのレベルにする。このとき、電流制御用TFTのゲート電位の高低いかんにかかわず、整流素子109に順方向に電圧がかかり、有機発光素子に逆バイアスがかかる。
【0035】
このように、整流素子109と電流制御用TFT102の半導体層とが並列に接続している回路では、交流電源106が出力する電圧の極性によって、整流素子または電流制御用TFTの半導体層の少なくとも一方がそこに電流が流れるくらいに低抵抗化する。こうして、順バイアス、逆バイアスのいずれであっても交流電源により有機発光素子に加えることができる。
【0036】
交流駆動を可能とするために整流素子109の順方向は、電流制御用TFT102がオンの状態に流れる電流の方向と逆の方向とする。換言すれば、整流素子109の順方向を、ダイオード構造を有する有機発光素子105の順方向と互いに逆の方向にする。
【0037】
図17に示す回路は本発明の一例であり、電流制御用TFT102の導電型、整流素子109の整流方向、ダイオード構造を有する有機発光素子105の整流方向は、本発明の効果を発現する範囲で自由に決定することができる。
【0038】
図18(A)〜(B)は交流で有機発光素子を駆動するときの波形図の例を示す。横軸は時間を、縦軸は電圧を示す。交流電源から信号を入力して駆動するときに、対向電極の電位(Vc)を一定にして電源供給線の電位(VVi)を変える図18(A)に示す駆動方法、対向電極の電位(Vc)と電源供給線の電位(VVi)の双方の電位を変える図18(B)に示す駆動方法のいずれを採用することもできる。
【0039】
ただし、一般には対向電極と電源供給線の双方の電位を変える図18(B)に示す駆動方法を採用する方がより好ましい。図18(B)は、図18(A)の駆動方法に比べて交流電源から出力される電圧の振幅が小さくなるため、低電圧駆動の交流電源を用いることができ交流電源の低コスト化が可能になる。交流電源の電圧の振幅を小さくすると、交流電源を構成する回路にかかる負荷が低減し交流電源の信頼性が向上する。さらに、電源系の総数が少なくなることも低コストの点からみて有利である。
【0040】
本発明の表示装置の構成を以下に説明する。
複数の画素を備えた表示装置であって、前記画素の各々はトランジスタと、有機発光素子と、整流特性を有する素子とが設けられており、前記トランジスタのソース又はドレインは一方が前記有機発光素子の画素電極に接続されており、他方が前記交流電源の一方に接続されており、前記整流特性を有する素子は前記交流電源の前記一方と、前記有機発光素子の前記画素電極とに接続されており、前記有機発光素子の対向電極は前記交流電源の他方に接続されており、前記整流特性を有する素子の順方向と、前記有機発光素子の順バイアスとが逆向きであることを特徴とする表示装置。
【0041】
複数の画素を備えた表示装置であって、前記画素の各々は、スイッチング用トランジスタと、電流制御用トランジスタと、整流用トランジスタと、有機発光素子とが設けられており、前記スイッチング用トランジスタのゲートはゲート信号線に、ソースまたはドレインは一方がソース信号線に、他方が前記電流制御用トランジスタのゲートに接続されており、前記電流制御用トランジスタのソースまたはドレインは一方が交流電源の一方に、他方が前記有機発光素子の画素電極に接続されており、前記整流用トランジスタのゲートは前記交流電源の一方に、ソースまたはドレインは一方が前記交流電源の一方に他方が前記有機発光素子の画素電極に接続されており、前記有機発光素子の対向電極は前記交流電源の他方に接続されており、前記電流制御用トランジスタと前記整流用トランジスタとは、導電型が同じであることを特徴とする表示装置。
【0042】
前記構成において、前記有機発光素子の前記画素電極が陽極、前記対向電極が陰極であり、前記電流制御用トランジスタ及び前記整流用トランジスタの導電型がpチャネル型であることを特徴とする表示装置。あるいは、前記有機発光素子の前記画素電極が陰極、前記対向電極が陽極であり、前記電流制御用トランジスタ及び前記整流用トランジスタの導電型がnチャネル型であることを特徴とする表示装置。
【0043】
前記各構成において、前記トランジスタあるいは、前記スイッチング用トランジスタ、前記電流制御用トランジスタ、及び前記整流用トランジスタは薄膜トランジスタであることを特徴とする表示装置。
【0044】
前記各構成において、前記複数の画素は、ガラス基板上に前記画素の駆動回路とともに一体形成されていることを特徴とする表示装置。
【0045】
または、複数の画素を備え、前記画素の各々はトランジスタ、整流特性を有する素子、及び有機発光素子を有し、前記トランジスタのソースまたはドレインは一方が交流電源の一方に、他方が前記有機発光素子の画素電極に接続されており、前記整流特性を有する素子は一方が前記交流電源の一方に他方が前記有機発光素子の画素電極に接続されており、前記有機発光素子の対向電極は前記交流電源の他方に接続されている表示装置の駆動方法であって、前記交流電源で前記整流特性を有する素子の順方向に電圧をかけるときは前記有機発光素子に逆バイアスがかかり、前記整流特性を有する素子の逆方向に電圧をかけるときは前記有機発光素子にかかる前記逆バイアスが除去されることを特徴とする表示装置の駆動方法。
【0046】
複数の画素を備え、前記画素の各々はスイッチング用トランジスタ、電流制御用トランジスタ、整流用トランジスタ、及び有機発光素子を有し、前記スイッチング用トランジスタのゲートはゲート信号線に、ソースまたはドレインは一方がソース信号線に、他方が前記電流制御用トランジスタのゲートに接続されており、前記電流制御用トランジスタのソースまたはドレインは一方が交流電源の一方に、他方が前記有機発光素子の画素電極に接続されており、前記整流用トランジスタのゲートは前記交流電源の一方に、ソースまたはドレインは一方が前記交流電源の一方に他方が前記有機発光素子の画素電極に接続されており、前記有機発光素子の対向電極は前記交流電源の他方に接続されている表示装置の駆動方法であって、前記交流電源から前記整流用トランジスタの順方向に電圧をかけるときは前記有機発光素子に逆バイアスがかかり、前記整流用トランジスタの逆方向に電圧をかけるときは前記有機発光素子にかかる前記逆バイアスが除去されることを特徴とする表示装置の駆動方法。
【0047】
前記各構成において、前記有機発光素子にデータ信号を入力するアドレス期間と、前記データ信号に応じて前記有機発光素子が発光または非発光の状態になるサステイン期間とを有し、前記アドレス期間から前記サステイン期間へと変化するときに、前記交流電源から出力される電圧の極性が変わることを特徴とする表示装置の駆動方法。
【0048】
前記各構成において、前記アドレス期間と、前記サステイン期間との間に前記アドレス期間と極性の等しい電圧が交流電源から出力される待機期間があることを特徴とする表示装置の駆動方法。
【0049】
前記各構成において、前記アドレス期間と、長さの異なる前記サステイン期間とを複数設けて一つのフレーム期間を構成し、時分割階調表示を行うことを特徴とする表示装置の駆動方法。
【0050】
前記各構成において、前記交流電源で前記逆バイアスと前記順バイアスとを前記有機発光素子にかけるときに、前記有機発光素子の前記画素電極の電位と、前記対向電極の電位とが同時に変わることを特徴とする表示装置の駆動方法。
【0051】
以上の構成からなる本発明を、以下に示す実施形態、実施例にて詳細に説明する。なお、実施形態、実施例は適宜に組み合わせて用いることが可能である。また、本発明の構成は、以下に示す実施形態、実施例に限定的に使われるものではない。
【発明の効果】
【0052】
本発明の有機発光ディスプレイの画素では、整流素子を使用することで有機発光素子に容易に逆バイアスを加えることができる。その結果、直流駆動によって発生する有機発光素子の輝度の低下を抑制し、良好な表示品位を確保することができる。
【0053】
また、有機発光素子を交流で駆動するときに、有機発光素子の対向電極、電源供給線の電位の双方を変える駆動を用いれば、交流波形を出力する交流電源を低電圧で駆動することができ、交流電源の長期動作の安定性、交流電源の低コスト化を実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の有機発光ディスプレイの画素、画素部の回路図の一例。
【図2】実施形態1の時分割階調表示をする駆動のタイミングチャート。
【図3】実施形態1の時分割階調表示をする駆動のタイミングチャート。
【図4】実施形態2の有機発光素子の交流駆動の方法を示す波形図の一例。
【図5】実施形態3の時分割階調表示をする駆動のタイミングチャート。
【図6】実施形態4の有機発光ディスプレイの画素、画素部の回路図の一例。
【図7】実施形態4のアナログ階調表示をする駆動のタイミングチャート。
【図8】実施形態4のアナログ階調表示をする駆動のタイミングチャート。
【図9】実施形態5のアナログ階調表示をする駆動のタイミングチャート。
【図10】実施例1の有機発光ディスプレイの画素部、駆動回路部の断面図。
【図11】実施例1の有機発光ディスプレイの画素部の上面図。
【図12】実施例1の有機発光ディスプレイの画素部の上面図。
【図13】実施例1の有機発光ディスプレイの画素の回路図。
【図14】実施例3の有機発光ディスプレイの外観を示す斜視図。
【図15】実施例5の電子機器の一例を示す斜視図。
【図16】実施例5の電子機器の一例を示す斜視図。
【図17】本発明の有機発光ディスプレイの画素の回路図の一例。
【図18】本発明の交流駆動の方法を示す波形図の一例。
【図19】従来の有機発光ディスプレイの画素の回路図の一例。
【発明を実施するための形態】
【0055】
[実施形態1] 本発明の構成を時分割駆動による階調表示を行う有機発光ディスプレイに適用した例を説明する。時分割駆動による階調表示とは、発光時間の異なる期間を複数組み合わせて、各画素の階調を制御する階調の表示方法である。
【0056】
図1(A)は画素の等価回路である。各画素100にゲート信号線(Gj)、ソース信号線(Si)から信号が入力される。各画素はスイッチング用TFT101、電流制御用TFT102、コンデンサー103、整流用TFT104、有機発光素子105を有する。交流電源106は電源供給線(Vi)と有機発光素子105の対向電極に電位を与えている。
【0057】
スイッチング用TFT101のゲート電極は、選択信号を入力するゲート信号線(Gj)に接続されている。スイッチング用TFTのソースとドレインとは、一方が「0」または「1」の情報を有するデジタルの画像データ信号(以降、デジタルデータ信号と称する)を入力するソース信号線(Si)に、他方が電流制御用TFT102のゲート電極及び各画素が有するコンデンサー103の一方の電極にそれぞれ接続されている。コンデンサーの他方の電極は電源供給線(Vi)に接続されている。コンデンサー103は、スイッチング用TFT102が非選択状態にあるとき、電流制御用TFT102のゲート電圧を保持するために設けられている。
【0058】
電流制御用TFT102は、ソースとドレインとが、一方は電源供給線(Vi)に、他方は有機発光素子105の画素電極にそれぞれ接続されている。
【0059】
整流用TFT104のソースとドレインとは、一方が電源供給線(Vi)に、他方が有機発光素子106の画素電極にそれぞれ接続されている。整流用TFT104のゲート電極は電源供給線(Vi)に接続されている。整流用TFT104は、そのゲート電極とソースまたはドレインの一方が接続されているため、一方向へのみ電流が流れる整流特性を有する
【0060】
整流用TFT104と、電流制御用TFT102とは導電型を等しくすることが望ましい。本実施の形態では、電流制御用TFTと整流用TFTの導電型はpチャネル型とする。なお、スイッチング用TFT101の導電型はnチャネル型にしてもよいしpチャネル型にしてもよい。
【0061】
整流用TFT104の整流特性は、整流用TFTがpチャネル型であり、そのゲートとソースまたはドレインの一方が接続されているため、有機発光素子の側から電源供給線の側へのみ電流が流れやすい特性である。
【0062】
有機発光素子105は、有機化合物層と、有機化合物層を挟む陰極と陽極とからなる。本実施の形態では電流制御用TFT102と整流用TFT104とに接続する有機発光素子の画素電極を陽極とし、有機発光素子の対向電極を陰極とし、画素電極から対向電極へと電流を流し、有機発光素子を発光させる構成とする。
【0063】
交流電源106は、有機発光素子105の対向電極と、電源供給線(Vi)とに接続されている。本実施の形態では、対向電極の電位と、電源供給線の電位とは双方の電位を同時に変えて交流駆動を行う。対向電極の電位と、電源供給線の電位とは電流制御用TFTがオンの状態になったときに有機発光素子が発光する程度に電位差が設けられている。
【0064】
本実施の形態とは逆に、電流制御用TFTと整流用TFTをnチャネル型として用い、有機発光素子の画素電極を陰極とし、対向電極を陽極として対向電極から画素電極へと有機発光素子に電流を流して発光させてもよい。
【0065】
図1(B)は画素部の等価回路である。画素部110は画素100がマトリクス状に配置されており、ゲート信号線(G1〜Gn)、ソース信号線(S1〜Sm)
と、交流電源(図示しない)とから各画素に信号を入力して、各画素の輝度を制御する。
【0066】
ゲート信号線(G1〜Gn)は、各画素が有するスイッチング用TFTのゲート電極に接続されている。スイッチング用TFTのソースとドレインとは、一方がソース信号線(S1〜Sm)に、他方がコンデンサーと電流制御用TFTのゲート電極とに接続されている。
【0067】
電流制御用TFTのソースまたはドレインのうち、一方が電源供給線(V1〜Vm)に、他方が有機発光素子の画素電極に接続されている。整流用TFTのゲート電極は電源供給線(V1〜Vm)に接続されている。整流用TFTのソースまたはドレインは一方が電源供給線(V1〜Vm)に、他方が有機発光素子の画素電極に接続されている。有機発光素子の対向電極と電源供給線(V1〜Vm)とは交流電源に接続されている。
【0068】
本実施の形態では、簡明にするため、単色画素とした上で、画素部にマトリクス状に配置されたすべての画素で有機発光素子に加える電圧と有機発光素子の発光強度の関係が同じであるとして説明する。このため、電源供給線(V1〜Vm)
の電位は画素部に設けられているすべての画素で共通の電位となっている。対向電極も画素部に設けられているすべての画素で共通の電位となっている。
【0069】
次に、図1の画素部の回路を有する有機発光ディスプレイの駆動方法について説明する。まず、図2を用いて本実施の形態の時分割駆動による階調表示の一例について説明する。
【0070】
1フレーム期間(F)は、n個のサブフレーム期間(SF1〜SFn)に分割される。説明を簡略にするため、第1のサブフレーム期間(F1)と第2のサブフレーム期間(F2)だけを図示する。1フレーム期間とは、階調制御された1つの画像を形成する期間をいう。本実施形では、1秒間に60以上のフレーム期間が設けられている。1秒間に表示される画像の数が60より少なくなると、視覚的にフリッカ等の画像が目立ち始める。
【0071】
サブフレーム期間(SF1〜SFn)は、1フレーム期間をさらに分割した期間である。階調数が多くなるにつれて1フレーム期間の分割数も増え、駆動回路を高い周波数で駆動しなければならない。
【0072】
1つのサブフレーム期間はアドレス期間(Ta)とサブフレーム期間(Ts)
とに分けられる。アドレス期間とは、1つのサブフレーム期間において全画素にデータを入力するのに要する期間であり、サステイン期間とは、画素に入力されたデータに応じて有機発光素子に一定の電流を流して表示を行う期間である。
【0073】
n個のサブフレーム期間(SF1〜SFn)がそれぞれ有するアドレス期間(Ta1〜Tan)の長さは一定である。n個のサブフレーム期間(SF1〜SFn)がそれぞれ有するサステイン期間(Ts)の長さは異なる。サブフレーム期間(SF1〜SFn)の長さはそれぞれTs1〜Tsnである。
【0074】
サステイン期間の長さは、Ts1:Ts2:Ts3:…:Ts(n-2):Ts(n-1):Tsn=21:22:23:…:2(n-2):2(n-1)となるように設定する。サブフレーム期間によってサステイン期間の長さが異なるが、サブフレーム期間(SF1〜SFn)を出現させる順序はどのようにしてもよい。このサステイン期間の組み合わせで2n階調のうち所望の階調表示を行うことができる。
【0075】
次に、図2に示されたタイミングで時分割階調の表示を行うために画素に入力する信号を図3のタイミングチャートを用いて説明する。説明を簡単にするために、1フレーム期間のうち、第1のサブフレーム期間と第2のサブフレーム期間だけが図示されている。
【0076】
第1のサブフレーム期間(SF1)は、第1のアドレス期間(Ta1)と第1のサステイン期間(Ts1)とからなる。アドレス期間は、第1のライン期間(L1)〜第nのライン期間(Ln)に分割される。
【0077】
第1のライン期間(L1)は、ゲート信号線(G1)に選択信号が入力され、ゲート信号線(G1)に接続されているスイッチング用TFTのすべてがオンの状態になる期間である。
【0078】
ゲート信号線(G1)に接続されているスイッチング用TFTがオンの状態で、ソース信号線(S1〜Sm)に順にデジタルデータ信号が入力される。デジタルデータ信号は、オン状態になったスイッチング用TFTを介して電流制御用TFTのゲート電極に入力される。
【0079】
そして、ソース信号線(S1〜Sm)に入力されたデジタルデータ信号は、オンの状態のスイッチング用TFTを介して電流制御用TFTのゲート電極に入力される。また、コンデンサーにもデジタルデータ信号が入力され保持される。
【0080】
コンデンサーにデジタルデータ信号が保持されているため、電流制御用TFTのゲート電極の電位は、ゲート信号線(G1)に接続されているスイッチング用TFTがオフの状態になっても保持される。
【0081】
m列目のソース信号線(Sm)にデジタルデータ信号が入力されると、第1のライン期間(L1)が終了する。なお、ソース信号線(S1〜Sm)へのデジタルデータ信号の入力が終了するまでの期間と水平帰線期間とを合わせて1つのライン期間としてもよい。
【0082】
第2のライン期間(L2)は、ゲート信号線(G2)に選択信号が入力され、ゲート信号線G2に接続されているスイッチング用TFTがすべてオンの状態になる期間である。そしてスイッチング用TFTをオンにした状態で、信号線(S1〜Sn)に順にデジタルデータ信号が入力される。デジタルデータ信号は、スイッチング用TFTを介して電流制御用TFTのゲート電極に入力される。また、コンデンサーにもデジタルデータ信号が入力され保持される。
【0083】
上述した動作を第nのライン期間まで繰り返し、すべての画素にデジタルデータ信号が入力される。すなわち、すべての画素にデジタルデータ信号が入力されるまでの期間が、アドレス期間である。なお、すべての画素にデジタルデータ信号が入力される期間と垂直帰線期間とを合わせてアドレス期間としてもよい。
【0084】
アドレス期間は電源供給線(V1〜Vn)の電位が、電流制御用TFTのゲート電極の電位に比べて低電位に保たれている。このため、電流制御用TFTはオフの状態となる。しかし、整流用TFTには順方向に電圧がかかり、整流用TFTを介して、有機発光素子には逆バイアスがかかる。このとき、有機発光素子には電流が流れないため、有機発光素子は非発光の状態に保たれる。
【0085】
第1のアドレス期間(Ta1)が終了すると第1のサステイン期間(Ts1)が始まる。サステイン期間が始まると、交流電源から出力される電圧の極性が変わる。交流電源から入力される波形が変わることで、電源供給線の電位(V1〜Vn)が対向電極の電位(C)に比べて高電位になる。
【0086】
サステイン期間に電流制御用TFTがオンの状態になり、有機発光素子にしきい値以上の電圧がかかると有機発光素子は発光する。ただし、電流制御用TFTのゲートに非発光のデジタルデータ信号が書きこまれていた画素においてはオフの状態が維持される。いずれにしても、アドレス期間に印加されていた有機発光素子の逆バイアスは除かれる。
【0087】
こうして、有機発光素子が発光する任意のサブフレーム期間においてアドレス期間とサステイン期間とで極性の異なる電圧が有機発光素子にかかる交流の駆動がされる。なお、本発明の回路を用いた交流の駆動の方法は、これに限定されるものではない。
【0088】
第1のサステイン期間が終わると、交流電源から出力される電圧の極性が変わり、第1のサブフレーム期間が終わる。第1のサブフレーム期間が終わると、第2のサブフレーム期間が始まる。
【0089】
第1のサステイン期間が終わり、交流電源から出力される電圧の極性が変わると、電源供給線の電位より電流制御用TFTのゲートの電位がしきい値以上低くなり、オフの状態になる。すると、整流用TFTがオンの状態になり、すべての画素の有機発光素子は逆バイアスがかかることで非発光の状態になる。
【0090】
第2のサブフレーム期間において、第2のアドレス期間が始まり、第1のライン期間から第nのライン期間にかけて、順次、画素にデジタルデータ信号を入力し、全画素にデジタルデータ信号を入力したら第2のアドレス期間が終わり、第2のサステイン期間に入る。第2のサステイン期間が終了すると第2のサブフレーム期間が終了する。
【0091】
以下、第3のサブフレームから第nのサブフレームまで同様の動作を繰り返し、順次、アドレス期間とサステイン期間を設定し、それぞれのサステイン期間で表示を行う。
【0092】
第nのサブフレーム期間が終了したら第1のフレーム期間が終了する。このとき、画素が発光していたサステイン期間の長さを積算することによって、その画素の階調が決まる。
【0093】
以上のように、有機発光ディスプレイを駆動しながら、有機発光素子を交流で駆動することができる。本発明は時分割駆動の有機発光ディスプレイに適用することができる。
【0094】
本実施の形態によれば、整流用TFTを各画素に設け、交流電源を用いて電源供給線、対向電極の電位の双方を変えるだけの簡便な手段で、有機発光素子に加える電圧の極性を変えて、交流駆動をすることができる。
【0095】
[実施形態2] カラー有機発光ディスプレイにおいて赤、青、緑の光を表示する画素で発光層の材料が異なり、各色の画素によって、有機発光素子にかかる電圧と有機発光素子の発光強度の関係が異なるときは、電源供給線、または対向電極の電位の片方を画素が表示する色毎に変えてもよい。
【0096】
例えば、図4の波形図に示す有機発光ディスプレイの駆動方法を用いることができる。交流電源から、電源供給線、有機発光素子の対向電極に与える電位が示されている。画素が表示する色によって電源供給線の電位を変える。横軸が時間を、縦軸が電圧を示す。簡単のため、第1のサブフレーム(SF1)と、第2のサブフレーム(SF2)だけが図示されている。第1のフレーム期間を構成する複数のサブフレーム期間は、アドレス期間(Ta1〜Ta2)とサステイン期間(Ts1〜Ts2)とに分けられる。アドレス期間からサステイン期間へと変わるときに、交流電源から出力される波形が変わる。対向電極の電位(Vc)を基準とした電源供給線の電位は、赤色を発光する画素の電源供給線の電位(VViR)、青色を発光する画素の電源供給線の電位(VViB)、緑色を発光する画素の電源供給線の電位(VViG)でそれぞれ変わる。
【0097】
また、有機発光素子の発光する色が白色で、カラーフィルターを透過することでカラー表示を行う場合や、モノカラー表示の場合は、有機発光素子の発光層の材料がすべての画素で共通である。この場合は、すべての画素で対向電極の電位、電源供給線の電位をそれぞれ共通にするとよい。この電源供給線(V1〜m)、対向電極(C)の電位をそれぞれ共通にした例は実施形態1で、図3を用いてすでに説明した。
【0098】
[実施形態3] 本実施の形態では、アドレス期間が終わってから一定の待機期間をおいて、交流電源から出力される交流電圧の極性を変えて、サステイン期間を始める。
【0099】
本実施の形態の有機発光ディスプレイの画素部の回路は実施形態1と同じである。有機発光ディスプレイの駆動方法が実施形態1と異なる。そこで、有機発光ディスプレイの駆動を示す図5のタイミングチャートを参照しながら実施形態1との違いを説明する。図3と同等機能を有する部位に同じ符号を付し異なる部分を中心に説明する。説明の便宜上、第1のサブフレーム期間(SF1)と、第2のサブフレーム期間(SF2)だけを図示する。サブフレーム期間(SF)はアドレス期間(Ta)と、待機期間(Tw)と、サステイン期間(Ts)とに分けられる。
【0100】
例えば、第1のアドレス期間(Ta1)、第1の待機期間(Tw1)では、整流用TFTに順方向に電圧がかかるため有機発光素子に逆バイアスがかかる。したがって、有機発光素子は発光しない。
【0101】
第1の待機期間(Tw1)が終了した後に、交流電源から出力される波形を変えて、第1のサステイン期間(Ts1)が始まる。交流電源から出力される波形が変わると、有機発光素子の対向電極(C)、電源供給線(V1〜Vm)の電位が変わる。
【0102】
第1のサステイン期間では、画素に入力されたデジタルデータ信号に応じて電流制御用TFTのオン、オフが決まる。電流制御用TFTがオンの状態ならば有機発光素子が発光、オフの状態ならば非発光となる。いずれにしても、有機発光素子にかかる逆バイアスは除去される。
【0103】
本実施の形態により待機期間の長さを調節することで、一つのサブフレーム期間において、有機発光素子に逆バイアスがかかる時間を調節することができる。
待機期間からサステイン期間への切り換えは、交流電源から出力される波形を変更するだけでよく、複雑な回路を要しない。
【0104】
[実施形態4] 本実施形態ではアナログ駆動により階調を表示する有機発光ディスプレイの駆動の方法の一例を説明する。アナログ駆動とは、有機発光素子に流れる電流の量をアナログ的に変化させることで有機発光素子が発光する光の強度を制御して階調表示を行う方法をいう。
【0105】
本実施例の画素部の回路を図6(A)〜図6(B)に示す。ゲート信号線(G1〜Gn)は、各画素が有するスイッチング用TFT101のゲート電極に接続されている。スイッチング用TFTのソースとドレインとは、一方がソース信号線(S1〜Sm)に、他方が各画素が有する電流制御用TFT102のゲート電極とコンデンサー103とに接続されている。電流制御用TFTのソースとドレインとは、一方が電源供給線(V1〜Vm)に、他方が各画素が有する有機発光素子105に接続されている。電源供給線は整流用TFT104のゲート電極と、コンデンサー103とに接続されている。整流用TFTのソースとドレインとは、一方が電源供給線に、他方が有機発光素子の画素電極に接続されている。
【0106】
本実施の形態では有機発光素子は画素電極が陰極、対向電極が陽極となる。有機発光素子に順方向に電流を流すために、電流制御用TFTはnチャネル型とする。整流用TFTも、電流制御用TFTと同様に、nチャネル型として電流制御用TFTがオン状態のときに流れる電流の方向と逆方向の整流作用を持たせる。
スイッチング用TFTはnチャネル型、pチャネル型のいずれの導電型でも構わない。
【0107】
電流制御用TFTはnチャネル型のため、電流制御用TFTのゲートの電位がしきい値以上に電源供給線の電位よりも高いときは、電流制御用TFTがオンの状態になる。
【0108】
整流用TFTはnチャネル型であり、そのゲート電極が電源供給線と同電位になっているため、順方向電流の向きは有機発光素子の側から電源供給線の側へと電流が流れる向きになる。
【0109】
図6に示される回路を有する有機発光ディスプレイをアナログ階調で駆動させるためのタイミングチャートを図7〜図8を参照しながら説明する。
【0110】
図7のタイミングチャートに示すように、それぞれのフレーム期間は、一つのアドレス期間(Ta)と一つのサステイン期間(Ts)とに分割される。アドレス期間は、すべての画素に、順次、アナログ信号を入力する期間である。サステイン期間は、画素に入力されたアナログ信号の電位に応じて有機発光素子に電流が流れ、画素に入力されたアナログ信号の電位に応じて階調表示をする期間である。
【0111】
図8に各画素に入力する信号を示す。第1のフレーム(F1)のアドレス期間(Ta1)が始まると同時に、第1のライン期間(L1)が始まる。第1のライン期間とはゲート信号線(G1)が選択されている期間である。
【0112】
なお、ゲート信号線はn本あるので、アドレス期間中にn個のライン期間が設けられている。解像度が高くなるにつれて、ライン期間の数も増えて、駆動回路を高い周波数で駆動しなければならない。
【0113】
第1のライン期間において、ゲート信号線に選択信号が入力される。ソース信号線(S1〜Sm)にはアナログ的に電位が変わるデータ信号(アナログデータ信号)が入力される。ゲート信号線に選択信号が入力されスイッチング用TFTがオンの状態になっているため、スイッチング用TFTを介してソース信号線から電流制御用TFTのゲート電極にアナログデータ信号が入力される。アナログデータ信号の電位は、電流制御用TFTのソースまたはドレインの一方と、電源供給線とに接続されているコンデンサーによって保持される。
【0114】
ソース信号線(Sm)から画素に信号が入力されたら、第1のライン期間(L1)が終了する。なお、ソース信号線(S1〜Sm)へのアナログのビデオ信号の入力が終了するまでの期間と水平帰線期間とを合わせて1つのライン期間としても良い。第1のライン期間が終了すると同時に、第2のライン期間が始まる。
【0115】
第2のライン期間(L2)が始まるとゲート信号線(G2)に選択信号が入力される。そして第1のライン期間(L1)と同様にソース信号線(S1〜Sm)に順にアナログのビデオ信号が入力される。
【0116】
そしてすべてのゲート信号線(G1〜Gn)に選択信号が入力されると、すべてのライン期間(L1〜Ln)が終了する。すべてのライン期間が終了するとアドレス期間が終了する。なおすべてのライン期間(L1〜Ln)と垂直帰線期間とを合わせてアドレス期間としてもよい。
【0117】
アドレス期間では、整流特性を有する整流用TFTに、順方向に電圧が印加されているため、有機発光素子には逆バイアスが印加される。したがって、有機発光素子は非発光の状態である。
【0118】
アドレス期間が終わるとサステイン期間が始まる。サステイン期間が始まると、交流電源から出力される電圧の極性が反転する。
【0119】
交流電源から出力される電圧の極性が反転すると、電流制御用TFTのゲート電圧の大きさに応じて電流制御用TFTに電流が流れる。電流制御用TFTを流れる電流の量は、アドレス期間にそのゲートに入力されたアナログデータ信号の電位の高さによって制御される。
【0120】
電流制御用TFTに流れる電流の量に応じて有機発光素子が発光する光の強度が制御される。再びアドレス期間に入ると有機発光素子には逆バイアスが加わり、サステイン期間とアドレス期間とで極性の異なる電圧が有機発光素子に加わり交流の駆動がされる。
【0121】
整流用TFTは整流特性を有し、サステイン期間では整流特性の逆方向に電圧がかかっているため、サステイン期間に整流用TFTには電流が流れない。
【0122】
サステイン期間が終わると、交流電源から出力される電圧の極性が変わる。第1のフレームのサステイン期間が終わると同時に、第2のフレーム期間が始まり、第2のフレーム期間のアドレス期間が始まる。以降、同様の動作を繰り返して、1フレーム期間ごとに階調制御された画像を表示する。
【0123】
なお本実施形態では、以上でアドレス期間において有機発光素子に逆バイアスをかける例を説明したがこれに限定されるものではない。交流電源から出力される波形を適宜に変えてアドレス期間と、サステイン期間は有機発光素子に順バイアスをかけて、待機期間は逆バイアスをかけることも可能である。
【0124】
[実施形態5] 本発明は、アナログ駆動をするときに電源供給線と有機発光素子の対向電極の電位とを反転させるときを変えることで、自由に有機発光素子に極性の異なる電圧をかける時間を変えることができる。
【0125】
本実施の形態の画素部の回路は、図6を用いて説明したものと同じにつき説明を省略する。
【0126】
本発明の一実施の形態につき図面を参照して説明する。図9は、本実施の形態の駆動方法のタイミングチャートである。図8と同等機能を有する部分は同じ符号を付し、図8と異なる部分について説明する。
【0127】
アドレス期間(Ta)が終わると待機期間(Tw)が始まり、待機期間が終わるとサステイン期間(Ts)が始まる。電源供給線と有機発光素子の対向電極の電位とは、アドレス期間、待機期間では一定の電位を維持し、待機期間が終わりサステイン期間が始まると反転する。
【0128】
アドレス期間と待機期間とにおいては、ダイオード構造の有機発光素子に逆バイアスがかかるため、有機発光素子は非発光の状態である。サステイン期間においては、ダイオード構造の有機発光素子に順バイアスがかかる。こうして、アドレス期間および待機期間と、サステイン期間とで有機発光素子にかかる電圧の極性を変えることができる。
【0129】
整流用TFTに逆方向に電圧がかかり、有機発光素子に順バイアスがかかる場合と、整流用TFTに順方向に電圧がかかり、有機発光素子に逆バイアスがかかる場合とは、電源供給線の電位、対向電極の電位を交流電源を用いて変えることで制御できる。つまり、交流電源から出力される電圧の極性によって、有機発光素子にかかる電圧の極性が定まる。
【0130】
本実施の例では待機期間の長さを定めることで、有機発光素子に異なる極性の電圧をかける時間を自由に定めることができる。
【実施例1】
【0131】
本発明は有機発光素子を用いたあらゆる表示装置に適用することができる。図10はその一例であり、TFTを用いて作製されるアクティブマトリクス型の表示装置の例を示す。
【0132】
実施例のTFTはチャネル形成領域を形成する半導体層の材質により、アモルファスシリコンTFTやポリシリコンTFTと区別されることがあるが、本発明はそのどちらにも適用することができる。ただし、電界移動度の高いポリシリコンTFTを用いる方が、有機発光素子の発光強度を高めることができるため、本実施例のTFTはポリシリコンTFTを用いることが好ましい。
【0133】
基板401は、石英やコーニング社の#7059ガラスや#1737ガラスなどに代表されるバリウムホウケイ酸ガラス、またはアルミノホウケイ酸ガラスなどのガラスからなる基板を用いる。
【0134】
次いで、酸化シリコン膜、窒化シリコン膜または酸化窒化シリコン膜などの絶縁膜からなる下地膜402が設けられる。例えば、プラズマCVD法でSiH4、NH3、N2Oから作製される酸化窒化シリコン膜402aを10〜200nm(好ましくは50〜100nm)形成し、同様にSiH4、N2Oから作製される酸化窒化シリコン膜402bを50〜200nm(好ましくは100〜150nm)の厚さに積層形成する。本実施例では下地膜402を2層構造として示したが、前記絶縁膜の単層膜または2層以上積層させた構造として形成してもよい。
【0135】
次いで、半導体層を成膜し、パターニングして、第1の半導体層403、第2の半導体層404、第3の半導体層405、第4の半導体層406、第5の半導体層407、第6の半導体層408を形成する。
【0136】
さらにこれら半導体層を覆ってゲート絶縁膜409を形成する。ゲート絶縁膜は、SiH4、N2Oとから作製される窒化酸化シリコン膜であり、ここでは10〜200nm、好ましくは50〜150nmの厚さで形成する。
【0137】
さらに、スパッタ法により窒化タンタル(TaN)を形成し、続いて、アルミニウム(Al)を主成分とするアルミ合金を形成する。この二層に積層された導電膜をパターニングして、ゲート信号線410、島状のゲート電極411、容量電極412、ゲート電極413を形成し、これら電極をマスクとして自己整合的に不純物元素を添加する。
【0138】
次いで、プラズマCVD法でSiH4、NH3、N2Oから作製される酸化窒化シリコン膜を第1の層間絶縁膜414として10〜200nm(好ましくは50〜100nm)形成する。第1の層間絶縁膜として酸化窒化膜を形成することも可能である。さらに、有機樹脂膜からなる第2の層間絶縁膜415を0.5〜10μm(好ましくは1〜3μm)形成する。第2の層間絶縁膜はアクリル樹脂膜、ポリイミド樹脂膜などを好適に用いることができる。第2の層間絶縁膜は半導体層、ゲート電極等に起因する凹凸を平坦化するに充分な厚さとすることが望ましい。
【0139】
さらに、プラズマCVD法でSiH4、NH3、N2Oから作製される酸化窒化シリコン膜を保護膜416として10〜200nm(好ましくは50〜100nm)
の厚さで形成する。後述する有機発光素子を構成する電極材料である陰極はアルカリ成分を含有するが、保護膜はこのアルカリ成分が流出し、TFTの電気特性を劣化させることを防ぐ。本実施例では保護膜を酸化窒化シリコン膜で形成したが、酸化窒化シリコン膜の代わりに窒化シリコン膜を用いてもよい。
【0140】
次いで、第1の層間絶縁膜、第2の層間絶縁膜、保護膜、ゲート絶縁膜を選択的にエッチングして、コンタクトホールを形成し、さらにこのコンタクトホールを覆うように導電体膜を成膜して、パターニングする。この導電体膜は、膜厚50nmのTi膜と、膜厚500nmの合金膜(AlとTiとの合金膜)との積層構造とする。
【0141】
そして、駆動回路部438においては、配線417〜420を形成する。画素部においては、ソース信号線421、接続電極422、ドレイン側の電極423、電源供給線424を形成する。スイッチング用TFT434のソースにソース信号線421が接続しており、ドレインに接続電極422が接続している。図示してはいないが接続電極422は電流制御用TFT436のゲート電極412と接続する。電流制御用TFT436のソースに電源供給配線424が接続しており、ドレインにドレイン側の電極423が接続している。整流用TFTのゲート電極412とドレインとが電源供給線424に接続しており、ソースがドレイン側の電極423に接続している。なお、スイッチング用TFTはnチャネル型TFTであり、電流制御用TFTと、整流用TFTはpチャネル型TFTである。
【0142】
電源供給線は、有機発光素子が発光する赤、青、緑の画素毎に共通の電極である。すなわち、電源供給線は画素部において、有機発光素子の発光する色毎に設けられている。
【0143】
以上のようにして、nチャネル型TFT432、pチャネル型TFT433を有する駆動回路部438と、スイッチング用TFT434、整流用TFT435、電流制御用TFT436、保持容量437を有する画素部439とを同一基板上に形成することができる。
【0144】
次いで、ITO(Indium Tin Oxide:酸化インジウム錫)膜を真空スパッタ法で成膜して、このITO膜をドレイン側の電極423に接するように画素毎にパターニングして有機発光素子の陽極(画素電極)426を形成する。ITOは仕事関数が4.5〜5.0eVと高く、正孔を効率良く有機発光層に注入することができる。
【0145】
次いで、感光性樹脂膜を成膜して、陽極の周縁部の内側にあるこの感光性樹脂膜をパターニングにより除去して、バンク425を形成する。バンクは後述する有機化合物層をバンクの滑らかな傾斜面に沿って形成することで、有機発光素子の画素電極の周縁部において有機化合物層が断線し、この断線箇所で画素電極と対向電極とが短絡することを防いでいる。
【0146】
次いで、有機発光素子の有機化合物層427を蒸着法で成膜する。有機化合物層は、単層又は積層構造で用いられるが、積層構造で用いた方が発光効率は良い。一般的には陽極上に正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層の順に形成されるが、正孔輸送層/発光層/電子輸送層、または正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層のような構造でも良い。本発明では公知のいずれの構造を用いても良い。
【0147】
なお、本実施例ではRGBに対応した三種類の発光層を蒸着する方式でカラー表示を行う。具体的な発光層としては、赤色に発光する発光層にはシアノポリフェニレン、緑色に発光する発光層にはポリフェニレンビニレン、青色に発光する発光層にはポリフェニレンビニレンまたはポリアルキルフェニレンを用いれば良い。発光層の厚さは30〜150nmとすれば良い。上記の例は発光層として用いることのできる有機化合物の一例であり、これに限定されるものではない。
【0148】
次いで、有機発光素子の陰極(対向電極)428を蒸着法で形成する。陰極は、MgAgやLiFなどのアルカリ成分を少量含有する光反射性の材料を用いる。陰極の厚さは100nm〜200nmとする。対向電極は、各画素に共通の電極として画素部の全面を覆うように形成され、配線を経由してFPC(Flexible Print Circuit:フレキシブルプリント配線板)に電気的に接続されている。
【0149】
こうして陽極、陰極に有機化合物層が挟まれた構成の有機発光素子が形成される。有機発光素子429の画素電極は透明電極であり、陽極に重ねて光反射性の対向電極を形成している。このため、図10の矢印に示す側から有機発光素子の発光する光を放射させることができる。
【0150】
次いで、保護膜430としてDLC(Diamond Like Carbon)膜を形成し、有機発光ディスプレイの封止領域に浸入する水蒸気や酸素などによって、有機発光素子が劣化することを防ぐ。
【0151】
上述の構成で形成される基板を本明細書ではアクティブマトリクス基板と称する。
【0152】
次いで、充填材440を画素部439、駆動回路部438を覆うように形成する。この充填材は、接着性があり封止基板を接着する機能を有するものを用いる。充填材としては、PVC(ポリビニルクロライド)、エポキシ樹脂、シリコン樹脂、PVB(ポリビニルブチラル)またはEVA(エチレンビニルアセテート)を用いることができる。この充填材の内部に乾燥剤を設けておくと、吸湿効果を保持できるので好ましい。
【0153】
さらに、封止基板431が接着性を有する充填材によりアクティブマトリクス基板と貼り合わせられ、有機発光素子の封入が終了する。
【0154】
さらに、公知の方法でFPC(Flexible Print Circuit : フレキシブルプリント配線板)が異方性導電樹脂を用いて接続配線に接続される。接続配線は外部機器との接続端子となるFPCから信号を受け取り、画素、駆動回路に信号を伝達する。
【0155】
図11〜図12は、このようにして作製された本実施例の有機発光ディスプレイの画素部の上面図である。図11〜図12を参照しながら本実施例の画素部の構成を説明する。
【0156】
図11〜図12は、図10と共通する要素は同じ符号を用いて示している。図11〜図12を鎖線A−A'、鎖線B−B'、 鎖線C−C'、鎖線D−D'で切断した断面が図10において示されている。
【0157】
基板上の各画素に第1の半導体層403と、第2の半導体層404と、第3の半導体層405、第4の半導体層406が形成されている。
【0158】
これらの半導体層上に形成されたゲート絶縁膜(図示せず)に接して行方向に配置されたゲート信号線410と、島状のゲート電極411と、列方向に島状に配置された容量電極412とが形成されている。
【0159】
これらのゲート信号線、島状のゲート電極、容量電極をマスクとして自己整合的に半導体層に不純物元素が添加され、半導体層にソースまたはドレインが形成されている。
【0160】
これらの配線、電極等を覆って無機材料からなる第1の層間絶縁膜、有機材料からなる第2の層間絶縁膜、保護膜(いずれも図示せず)が成膜されている(図11)。
【0161】
コンタクトホール501〜509が形成されている。保護膜に接して導電膜を形成し、この導電膜をパターニングしてソース信号線421、接続電極422、ドレイン側の電極423、電源供給線424が形成されている。
【0162】
列方向に配置されるソース信号線421は、コンタクトホール501を介して第1の半導体層403に接している。接続電極422は、コンタクトホール502を介して第1の半導体層401に接しており、さらにコンタクトホール503を介して容量電極412に接している。列方向に配置される電源供給線424は、コンタクトホール504を介して島状のゲート電極411に接しており、さらにコンタクトホール505を介して第2の半導体層404に接しており、さらにコンタクトホール506を介して第4の半導体層406に接している。ドレイン側の電極423は、コンタクトホール508を介して第2の半導体層404に接しており、さらにコンタクトホール412を介して第3の半導体層405に接している。
【0163】
スイッチング用TFTは、そのゲート電極であるゲート信号線410から選択信号が入力されると、ソース信号線421に入力されたデータ信号を第1の半導体層に形成されるチャネルを経由して接続電極422へと入力する。
【0164】
スイッチング用TFTを介してソース信号線から接続電極422へと入力されるデータ信号は接続電極と接続する容量電極412に入力される。
【0165】
電流制御用TFTは、そのゲート電極である容量電極412にデータ信号が入力されると、このデータ信号の電位の高さに応じて電源供給線424とドレイン側の電極423とのあいだに電流が流れ、この電流が電流制御用TFTに直列に接続している有機発光素子へと流れる。
【0166】
整流用TFTは、そのゲート電極である島状のゲート電極411と、ソースまたはドレインの一方が電源供給線424に接続されており、順方向に電流が流れやすい整流特性を有する。
【0167】
コンデンサーは、一方の電極である第4の半導体層406に電源供給線の電位が付与され、他方の電極である容量電極412とゲート絶縁膜(図示せず)を挟んで重なる領域で容量を形成する。
【0168】
ITO膜がドレイン側の電極423に接するように画素毎にパターニングされて有機発光素子の画素電極(陽極)426が形成されている。感光性樹脂膜からなるバンクは、図12の点線に囲まれた領域の外側に形成されている。
【0169】
有機発光素子の有機化合物層は発光層だけからなり、図12の点線で囲まれた領域の内側に赤色、緑色、青色の画素に対応した発光色を発光する発光層が形成されている。
【0170】
有機発光素子の陰極は、各画素に共通の電極として画素部の全面を覆うように形成され、配線を経由してFPCに電気的に接続されている。
【0171】
このような画素の等価回路は図13に示され、図10と共通する要素は同じ符号を用いて示している。スイッチング用TFT434をマルチゲート構造とし、電流制御用TFT436にはゲート電極とオーバーラップするLDDを設けている。ポリシリコンを用いたTFTは、高い動作速度を示すが故にホットキャリア注入などの劣化も起こりやすい。そのため、画素内において機能に応じて構造の異なるTFT(オフ電流の十分に低いスイッチング用TFTと、ホットキャリア注入に強い電流制御用TFT)を形成することは、高い信頼性を有し、且つ、良好な画像表示が可能な(動作性能の高い)表示装置を作製する上で非常に有効である。
【実施例2】
【0172】
本発明において、有機発光素子の有機化合物層として用いる有機物質は低分子系有機物質であっても、高分子系有機物質であってもよい。低分子系有機物質はAlq3(トリ−8−キノリライト−アルミニウム)、TPD(トリフェニレルアミン誘導体)等を中心とした材料が知られている。高分子系有機物質として、π共役ポリマー系の物質が挙げられる。代表的には、PPV(ポリフェニレンビニレン)、PVK(ポリビニルカルバゾール)、ポリカーボネート等が挙げられる。
【0173】
高分子系有機物質は、スピンコーティング法、ディッピング法、ディスペンス法、印刷法またはインクジェット法など簡易な薄膜形成方法で形成でき、低分子系有機物質に比べて耐熱性が高い。
【0174】
また、本発明の有機発光ディスプレイが有する有機発光素子において、その有機発光素子が有する有機化合物層が電子輸送層と正孔輸送層とを有している場合、電子輸送層と成功輸送層とを無機の材料、例えば非晶質のSiまたは非晶質のSi1-xCx等の非晶質半導体層で構成してもよい。
【0175】
非晶質半導体には多数のトラップ準位が存在し、かつ非晶質半導体が他の層と接する界面において多量の界面準位を形成する。そのため、有機発光素子は低い電圧で発光させることができるとともに、高輝度化を図ることもできる。
【0176】
また有機化合物層にドーパントを添加し、有機発光素子の発光の色を変化させてもよい。ドーパントとして、DCM1、ナイルレッド、ルブレン、クマリン6、TPB、キナクリドン等が挙げられる。
【実施例3】
【0177】
本実施例では、本発明の有機発光ディスプレイの外観図の一例を図14を用いて説明する。図14は、有機発光素子の形成されたアクティブマトリクス基板において、有機発光素子の封入まで行い、さらにFPC(Flexible Print Circuit :フレキシブルプリント配線板)を設けた状態を示す斜視図である。図9と同等機能を有する部分は同じ符号を付す。点線で囲まれた438aはゲート信号側駆動回路部、438bはソース信号側駆動回路部、439は画素部である。また、431は封止基板である。図示してはいないが、封止基板と基板401との間隙に充填材を設けてもよい。
【0178】
なお、441はゲート信号側駆動回路部438a、ソース信号側駆動回路部438b、画素部439に入力される信号を伝達するための接続配線であり、外部機器との接続端子となるFPC442から信号を受け取る。
【0179】
ソース信号側駆動回路部、ゲート信号側駆動回路部はnチャネル型TFTとpチャネル型TFTとを相補的に組み合わせたCMOS回路を用いて形成される。
【0180】
ソース信号側駆動回路部、ゲート信号側駆動回路部は時分割駆動、アナログ駆動など有機発光ディスプレイの駆動方式に応じて公知の回路を採用する。
【実施例4】
【0181】
本発明を実施して形成された発光装置は様々な電気器具に内蔵され、画素部は映像表示部として用いられる。本発明の電子装置としては、携帯電話、PDA、電子書籍、ビデオカメラ、ノート型パーソナルコンピュータ、記録媒体を備えた画像再生装置、例えばDVD(Digital Versatile Disc)プレーヤー、デジタルカメラ、などが挙げられる。それら電子装置の具体例を図15、図16に示す。
【0182】
図15(A)は携帯電話であり、表示用パネル9001、操作用パネル9002、接続部9003からなり、表示用パネル9001には表示装置9004、音声出力部9005、アンテナ9009などが設けられている。操作パネル9002には操作キー9006、電源スイッチ9007、音声入力部9008などが設けられている。本発明は表示装置9004に適用することができる。
【0183】
図15(B)はモバイルコンピュータ或いは携帯型情報端末であり、本体9201、カメラ部9202、受像部9203、操作スイッチ9204、表示装置9205で構成されている。本発明は表示装置9205に適用することができる。
このような電子装置には、3インチから5インチクラスの表示装置が用いられるが、本発明の表示装置を用いることにより、携帯型情報端末の軽量化を図ることができる。
【0184】
図15(C)は携帯書籍であり、本体9301、表示装置9202〜9303、記憶媒体9304、操作スイッチ9305、アンテナ9306から構成されており、ミニディスク(MD)やDVDに記憶されたデータや、アンテナで受信したデータを表示するものである。本発明は表示装置9302〜9303に用いることができる。携帯書籍は、4インチから12インチクラスの表示装置が用いられるが、本発明の表示装置を用いることにより、携帯書籍の軽量化と薄型化を図ることができる。
【0185】
図15(D)はビデオカメラであり、本体9401、表示装置9402、音声入力部9403、操作スイッチ9404、バッテリー9405、受像部9406などで構成されている。本発明は表示装置9402に適用することができる。
【0186】
図16(A)はパーソナルコンピュータであり、本体9601、画像入力部9602、表示装置9603、キーボード9604で構成される。本発明は表示装置9603に適用することができる。
【0187】
図16(B)はプログラムを記録した記録媒体(以下、記録媒体と呼ぶ)を用いるプレーヤーであり、本体9701、表示装置9702、スピーカ部9703、記録媒体9704、操作スイッチ9705で構成される。なお、この装置は記録媒体としてDVD(Digital Versatile Disc)、CD等を用い、音楽鑑賞や映画鑑賞やゲームやインターネットを行うことができる。本発明は表示装置9702に適用することができる。
【0188】
図16(C)はデジタルカメラであり、本体9801、表示装置9802、接眼部9803、操作スイッチ9804、受像部(図示しない)で構成される。本発明は表示装置9802に適用することができる。
【0189】
本発明の表示装置は図15(A)の携帯電話、図15(B)のモバイルコンピュータ或いは携帯型情報端末、図15(C)の携帯書籍、図16(A)のパーソナルコンピュータに用い、スタンバイモードにおいて黒色の背景を表示することで機器の消費電力を抑えることができる。
【0190】
また、図15(A)で示す携帯電話操作において、操作キーを使用している時に輝度を下げ、操作スイッチの使用が終わったら輝度を上げることで低消費電力化することができる。また、着信した時に表示装置の輝度を上げ、通話中は輝度を下げることによっても低消費電力化することができる。また、継続的に使用している場合に、リセットしない限り時間制御で表示がオフになるような機能を持たせることで低消費電力化を図ることもできる。なお、これらはマニュアル制御であっても良い。
【0191】
ここでは図示しなかったが、本発明はその他にもナビゲーションシステムをはじめ冷蔵庫、洗濯機、電子レンジ、固定電話機、ファクシミリなどに組み込む表示装置としても適用することも可能である。このように本発明の適用範囲はきわめて広く、さまざまな製品に適用することができる。
【符号の説明】
【0192】
100 画素
101 スイッチング用TFT
102 電流制御用TFT
103 コンデンサー
104 整流用TFT
105 有機発光素子
106 交流電源
109 整流素子
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機発光素子を用いた表示装置及びその駆動方法に関する。より詳細には有機発光素子を交流で駆動する表示装置及びその駆動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、基板上にトランジスタ、たとえばTFT(Thin Film Transistor : 薄膜トランジスタ)を形成する技術が大幅に進歩し、アクティブマトリクス型の表示装置の開発が進められている。アクティブマトリクス型は、単純マトリクス型にみられるクロストークの問題を解決できるため、単純マトリクス型に比べて高精細、高コントラストな表示が実現できる。
【0003】
とくに、ポリシリコンを活性層に用いたTFTは、従来のアモルファスシリコンを用いたTFTよりも電界効果移動度が高いので、高速動作が可能である。このため、従来、基板に駆動回路を外付けして行っていた画素の輝度の制御を、画素と同一の基板上に形成した駆動回路で行うことができる。このようなアクティブマトリクス型の表示装置は、同一基板上にさまざまな回路や素子を作りこむことでき表示装置を小型化することができる。
【0004】
さらに近年、有機発光素子を用いた表示装置(有機発光ディスプレイと以下に称する)の開発が盛んになっている。有機発光素子は自発光型であり、液晶表示装置と違いバックライト等の光源を必要としない。このため表示装置の軽量化や薄型化を実現する手段として有望視されており、携帯電話や個人向け携帯型情報端末(Personal Digital Assistant : PDA)などに用いることが期待されている。
【0005】
有機発光素子とは、有機化合物層が二つの電極に挟まれたダイオード構造を有し、一方の電極から正孔が注入されるとともに、他方の電極から電子が注入されることにより、有機化合物層の内部で電子と正孔とが再結合して発光をする発光体をいう。有機発光素子は、エレクトロルミネッセンス(EL: electroluminescence)、例えば蛍光(fluorescence)、燐光(phosphorescence)などを発光する。有機発光素子は、そのダイオード構造から有機発光ダイオード(Organic Light Emitting Diode : OLED)ともよばれている。
【0006】
有機発光素子の素子構成は、陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極となっているものが多い。この構成は非常に発光効率が高く、現在、研究開発が進められている有機発光素子はほとんどこの構成を採用している。正孔注入層、電子注入層は片方または両方を設けない場合もある。ただし、発光層は、ここに電流が流れることによってキャリヤーが再結合して発光するため、有機発光層に不可欠の構成要素である。
【0007】
有機化合物層とは、電子、正孔といったキャリヤーの輸送層や、高い量子収率を有する材料からなる発光層などを総称した名称である。よって上述した発光層、正孔注入層、電子注入層は有機化合物層に含まれる。
【0008】
有機発光素子は高い整流特性を有しており、陽極を陰極より高電位にすると、有機化合物層に電流が流れ、キャリヤーの再結合による発光が起こる。逆に、陽極を陰極より低電位にすると、有機化合物層には電流は流れず発光は起こらない。有機発光素子のようなダイオード構造では、電流の流れやすい方向に加える電圧を順バイアス、流れにくい方向に加える電圧を逆バイアスという。
【0009】
図19に従来のアクティブマトリクス型の有機発光ディスプレイの画素部の等価回路を示す。
【0010】
ゲート信号線(G1〜Gn)は各画素900が有するスイッチング用TFT901のゲート電極に接続されている。また、スイッチング用TFTのソース、ドレインとはそれぞれ、一方がデータ信号を入力するソース信号線(S1〜Sn)に、他方が各画素が有する電流制御用TFT902のゲート電極および各画素が有するコンデンサー903の一方の電極にそれぞれ接続されている。コンデンサーの他方の電極は電源供給線(V1〜Vm)に接続されている。
【0011】
電流制御用TFTのソースとドレインとはそれぞれ、一方が電源供給線に、他方が各画素が有する有機発光素子905の画素電極に接続されている。有機発光素子の対向電極は、有機発光素子の画素電極と対向して設けられ画素電極の基準電位となる電極である。
【0012】
対向電極は、説明の便宜上対向電源906に接続しているとする。電源供給線と対向電源との電位差は、有機発光素子が発光を行う電圧程度に設定されている。
【0013】
有機発光素子905の陽極と陰極とはそれぞれ、一方が画素電極であり、他方が対向電極である。有機発光素子の陽極が電流制御用TFTのソースまたはドレインに接続されている場合には、有機発光素子の陽極が画素電極になり、有機発光素子の陰極が対向電極になる。逆に、陰極が電流制御用TFTのソースまたはドレインに接続されている場合には、有機発光素子の陰極が画素電極に、有機発光素子の陽極が対向電極になる。
【0014】
有機発光素子が発光する光の輝度は次のように決定される。ゲート信号線からスイッチング用TFT901のゲート電極に選択信号が入力されスイッチング用TFTがオンの状態(導通状態)になる。すると、ソース信号線に入力されるデータ信号は、スイッチング用TFTを介して電流制御用TFT902のゲート電極に入力される。電流制御用TFTのゲート電極の電位は、コンデンサー903により保持される。よって、次に画素にデータ信号が入力されるまで電流制御用TFT902のゲート電極と電源供給線(V1〜Vm)との電位の差、つまり電流制御用TFTのゲート電圧は一定の値に維持される。
【0015】
電流制御用TFTがオンの状態になると、電流制御用TFTの半導体層から、電流制御用TFTの半導体層に直列に接続されている有機発光素子へと電流が流れる。有機発光素子に流れる電流の量に応じて有機発光素子が発光する光の強度が決まる。電流制御用TFTに流れる電流の量は各画素に入力されるデータ信号によって制御されるため、データ信号の電位によって各画素の発光の輝度を制御できる。
【0016】
一般に、有機発光素子を直流で駆動するということは、対向電極、画素電極のいずれか一方の電極を陰極とし、他方の電極を陽極としたときに陽極を陰極より高電位に維持して直流電流を流して発光を持続させることをいう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
しかしながら有機発光素子を直流で駆動すると、有機発光素子が発光する光の輝度は経時的に低下する。直流で駆動すると輝度が劣化する原因は、有機化合物層の界面にイオン性不純物が蓄積すること、有機化合物層を構成する分子が電界に沿って一様な方向に分極することなどにより、有機発光素子の画素電極、対向電極から加わる電界と逆方向の電界が有機化合物層の内部に発生するためなどと考えられている。
【0018】
とくに、有機発光素子の陰極と、陽極との間に加える電圧を常に一定にして有機発光素子を駆動する場合(以降、定電圧方式と称する)は、時間が経過するにつれて著しく有機発光素子の発光する光の輝度が低下する。定電圧方式では、陽極、陰極に加える電圧の強度は常に一定であるため、有機発光層の内部にできる電界の強度が増大するにつれて、有機化合物層に実効的に加わる電圧が低下して、有機発光素子が発光する光の輝度が低下する。
【0019】
この輝度劣化を抑えるためには、有機発光素子を交流で駆動する必要がある。
有機発光素子を交流で駆動するとは、有機発光素子に極性の異なる電圧を交互に加えることをいう。すなわち、発光に必要な順バイアスの他に、逆バイアスを加えることをいう。順バイアスと逆バイアスとは、強さや印加時間が必ずしも等しくなくてもよい。ごくわずかな逆バイアスしか印加しない場合であっても、交流と称することにする。
【0020】
しかしながら、上述した従来の回路では、たとえ交流電源を有機発光素子の対向電極、電源供給線に接続して設けたとしても、有機発光素子に充分な逆バイアスをかけられないことがある。以下、その説明をする。
【0021】
図19に示した回路は、対向電源906と電源供給線(V1〜Vm)との間に電流制御用TFT902のソース又は、ドレインと有機発光素子905とが直列に接続されている閉回路を構成する。この閉回路において、交流で電圧を有機発光素子に加えたときの動作を説明する。説明を簡便にするため、電流制御用TFTは以下、pチャネル型としておく。pチャネル型のTFTは、ゲートの電位をソース、すなわち電源供給線の電位よりもしきい値を超える値だけ低くするとオン状態になる。
【0022】
そこで、有機発光素子に順バイアスをかけるときは、有機発光素子905の対向電極の電位をLoのレベルにして、電源供給線の電位をHiのレベルにして、電源供給線(電流制御用TFTのソース)の電位よりも電流制御用TFTのゲートの電位をしきい値を超える値だけ低くする。すると、電流制御用TFTがオンの状態、つまり導通状態になり、有機発光素子905に電流が流れ有機発光素子は発光する。
【0023】
そして、電源供給線及び対向電極の電位を変えずに有機発光素子に流れる電流を止めるときには、電流制御用TFTのゲートの電位をソースの電位よりも高くして電流用TFTをオフの状態にする。
【0024】
いま、電流制御用TFTがオンの状態として、有機発光素子に逆バイアスをかけるために、電源供給線と対向電極の電位を反転させたとする。すなわち、有機発光素子905の対向電極の電位をHiのレベルにして、電源供給線の電位をLoのレベルにする。このとき、対向電極、有機発光素子、電流制御用TFT、電源供給線よりなる直列回路は、ソースフォロワと等価である。したがって、電流制御用TFTのゲート電位は低い値であることから、ここで大きな電圧降下が生じ、有機発光素子には十分な逆バイアスがかからない。
【0025】
このように、対向電源906と電源供給線との間に交流波形を出力しても有機発光素子に充分な逆バイアスがかからないことがある。これは、有機発光素子の画素電極を陰極とし、対向電極を陽極としたときに、有機発光素子に陽極から陰極に電流が流れるように電流制御用TFTをnチャネル型とした場合でも同様である。
【0026】
このように上述した従来の回路構成では、有機発光素子を交流で駆動することは困難であり、直流電圧の印加によって有機発光素子の輝度は経時的に大きく低下するという問題点が生じていた。
【0027】
そこで本発明は、有機発光素子に交流電圧を加えて駆動を行い、有機発光素子の輝度の低下を防止して、表示品位の向上を図る構成の表示装置及びその駆動方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0028】
整流特性を有する素子(以降、整流素子と称する)を、従来の回路に付加することで有機発光素子を交流で駆動することができる。
【0029】
整流素子と電流制御用TFTの半導体層とが並列に接続されている回路であれば、整流素子と電流制御用TFTの半導体層との一方が高抵抗化しても、他方が低抵抗であれば、この低抵抗な抵抗に応じた電圧を有機発光素子にかけることができる。
【0030】
整流素子とは、印加電圧と整流素子に流れる電流との関係を表わす特性曲線が原点に関して非対称な整流特性を有する素子をいう。一方の極性の電圧を整流素子に加えると電流が流れるが、他方の極性の電圧を整流素子に加えると電流がほとんど流れない。電流の流れやすい方向を順方向、流れにくい方向を逆方向という。
【0031】
図17を参照しながら、本発明を適用した回路の一例を説明する。図17は画素100の等価回路である。本発明は、交流電源106に電流制御用TFT102の半導体層と有機発光素子105が直列に接続している従来の閉回路に、整流素子109を電流制御用TFT102の半導体層と並列に設ける構成である。説明の便宜上、電流制御用TFTの導電型はpチャネル型としておく。
【0032】
図17で交流電源106と電源供給線(Vi)、交流電源106と有機発光素子105を点線で結んでいる。これは、画素100がマトリクス状に配置されている画素部の外部に交流電源が配置され、交流電源と画素部とを接続する接続配線113を経由して交流電源から画素100に交流波形を供給することを意味している。
【0033】
有機発光素子に順バイアスをかけるのは次のようにする。有機発光素子105の対向電極の電位をLoのレベルにして、電源供給線(Vi)の電位をHiのレベルにした上で、電流制御用TFT102のゲートの電位を電源供給線の電位よりもしきい値以上低くする。すると、電流制御用TFTがオンの状態、つまり導通状態になる。その結果、順バイアスが有機発光素子にかかり、整流素子109には、逆方向に電圧が加わる。
【0034】
有機発光素子に逆バイアスをかけるのは次のようにする。有機発光素子105の対向電極の電位をHiのレベルにして、電源供給線(Vi)の電位をLoのレベルにする。このとき、電流制御用TFTのゲート電位の高低いかんにかかわず、整流素子109に順方向に電圧がかかり、有機発光素子に逆バイアスがかかる。
【0035】
このように、整流素子109と電流制御用TFT102の半導体層とが並列に接続している回路では、交流電源106が出力する電圧の極性によって、整流素子または電流制御用TFTの半導体層の少なくとも一方がそこに電流が流れるくらいに低抵抗化する。こうして、順バイアス、逆バイアスのいずれであっても交流電源により有機発光素子に加えることができる。
【0036】
交流駆動を可能とするために整流素子109の順方向は、電流制御用TFT102がオンの状態に流れる電流の方向と逆の方向とする。換言すれば、整流素子109の順方向を、ダイオード構造を有する有機発光素子105の順方向と互いに逆の方向にする。
【0037】
図17に示す回路は本発明の一例であり、電流制御用TFT102の導電型、整流素子109の整流方向、ダイオード構造を有する有機発光素子105の整流方向は、本発明の効果を発現する範囲で自由に決定することができる。
【0038】
図18(A)〜(B)は交流で有機発光素子を駆動するときの波形図の例を示す。横軸は時間を、縦軸は電圧を示す。交流電源から信号を入力して駆動するときに、対向電極の電位(Vc)を一定にして電源供給線の電位(VVi)を変える図18(A)に示す駆動方法、対向電極の電位(Vc)と電源供給線の電位(VVi)の双方の電位を変える図18(B)に示す駆動方法のいずれを採用することもできる。
【0039】
ただし、一般には対向電極と電源供給線の双方の電位を変える図18(B)に示す駆動方法を採用する方がより好ましい。図18(B)は、図18(A)の駆動方法に比べて交流電源から出力される電圧の振幅が小さくなるため、低電圧駆動の交流電源を用いることができ交流電源の低コスト化が可能になる。交流電源の電圧の振幅を小さくすると、交流電源を構成する回路にかかる負荷が低減し交流電源の信頼性が向上する。さらに、電源系の総数が少なくなることも低コストの点からみて有利である。
【0040】
本発明の表示装置の構成を以下に説明する。
複数の画素を備えた表示装置であって、前記画素の各々はトランジスタと、有機発光素子と、整流特性を有する素子とが設けられており、前記トランジスタのソース又はドレインは一方が前記有機発光素子の画素電極に接続されており、他方が前記交流電源の一方に接続されており、前記整流特性を有する素子は前記交流電源の前記一方と、前記有機発光素子の前記画素電極とに接続されており、前記有機発光素子の対向電極は前記交流電源の他方に接続されており、前記整流特性を有する素子の順方向と、前記有機発光素子の順バイアスとが逆向きであることを特徴とする表示装置。
【0041】
複数の画素を備えた表示装置であって、前記画素の各々は、スイッチング用トランジスタと、電流制御用トランジスタと、整流用トランジスタと、有機発光素子とが設けられており、前記スイッチング用トランジスタのゲートはゲート信号線に、ソースまたはドレインは一方がソース信号線に、他方が前記電流制御用トランジスタのゲートに接続されており、前記電流制御用トランジスタのソースまたはドレインは一方が交流電源の一方に、他方が前記有機発光素子の画素電極に接続されており、前記整流用トランジスタのゲートは前記交流電源の一方に、ソースまたはドレインは一方が前記交流電源の一方に他方が前記有機発光素子の画素電極に接続されており、前記有機発光素子の対向電極は前記交流電源の他方に接続されており、前記電流制御用トランジスタと前記整流用トランジスタとは、導電型が同じであることを特徴とする表示装置。
【0042】
前記構成において、前記有機発光素子の前記画素電極が陽極、前記対向電極が陰極であり、前記電流制御用トランジスタ及び前記整流用トランジスタの導電型がpチャネル型であることを特徴とする表示装置。あるいは、前記有機発光素子の前記画素電極が陰極、前記対向電極が陽極であり、前記電流制御用トランジスタ及び前記整流用トランジスタの導電型がnチャネル型であることを特徴とする表示装置。
【0043】
前記各構成において、前記トランジスタあるいは、前記スイッチング用トランジスタ、前記電流制御用トランジスタ、及び前記整流用トランジスタは薄膜トランジスタであることを特徴とする表示装置。
【0044】
前記各構成において、前記複数の画素は、ガラス基板上に前記画素の駆動回路とともに一体形成されていることを特徴とする表示装置。
【0045】
または、複数の画素を備え、前記画素の各々はトランジスタ、整流特性を有する素子、及び有機発光素子を有し、前記トランジスタのソースまたはドレインは一方が交流電源の一方に、他方が前記有機発光素子の画素電極に接続されており、前記整流特性を有する素子は一方が前記交流電源の一方に他方が前記有機発光素子の画素電極に接続されており、前記有機発光素子の対向電極は前記交流電源の他方に接続されている表示装置の駆動方法であって、前記交流電源で前記整流特性を有する素子の順方向に電圧をかけるときは前記有機発光素子に逆バイアスがかかり、前記整流特性を有する素子の逆方向に電圧をかけるときは前記有機発光素子にかかる前記逆バイアスが除去されることを特徴とする表示装置の駆動方法。
【0046】
複数の画素を備え、前記画素の各々はスイッチング用トランジスタ、電流制御用トランジスタ、整流用トランジスタ、及び有機発光素子を有し、前記スイッチング用トランジスタのゲートはゲート信号線に、ソースまたはドレインは一方がソース信号線に、他方が前記電流制御用トランジスタのゲートに接続されており、前記電流制御用トランジスタのソースまたはドレインは一方が交流電源の一方に、他方が前記有機発光素子の画素電極に接続されており、前記整流用トランジスタのゲートは前記交流電源の一方に、ソースまたはドレインは一方が前記交流電源の一方に他方が前記有機発光素子の画素電極に接続されており、前記有機発光素子の対向電極は前記交流電源の他方に接続されている表示装置の駆動方法であって、前記交流電源から前記整流用トランジスタの順方向に電圧をかけるときは前記有機発光素子に逆バイアスがかかり、前記整流用トランジスタの逆方向に電圧をかけるときは前記有機発光素子にかかる前記逆バイアスが除去されることを特徴とする表示装置の駆動方法。
【0047】
前記各構成において、前記有機発光素子にデータ信号を入力するアドレス期間と、前記データ信号に応じて前記有機発光素子が発光または非発光の状態になるサステイン期間とを有し、前記アドレス期間から前記サステイン期間へと変化するときに、前記交流電源から出力される電圧の極性が変わることを特徴とする表示装置の駆動方法。
【0048】
前記各構成において、前記アドレス期間と、前記サステイン期間との間に前記アドレス期間と極性の等しい電圧が交流電源から出力される待機期間があることを特徴とする表示装置の駆動方法。
【0049】
前記各構成において、前記アドレス期間と、長さの異なる前記サステイン期間とを複数設けて一つのフレーム期間を構成し、時分割階調表示を行うことを特徴とする表示装置の駆動方法。
【0050】
前記各構成において、前記交流電源で前記逆バイアスと前記順バイアスとを前記有機発光素子にかけるときに、前記有機発光素子の前記画素電極の電位と、前記対向電極の電位とが同時に変わることを特徴とする表示装置の駆動方法。
【0051】
以上の構成からなる本発明を、以下に示す実施形態、実施例にて詳細に説明する。なお、実施形態、実施例は適宜に組み合わせて用いることが可能である。また、本発明の構成は、以下に示す実施形態、実施例に限定的に使われるものではない。
【発明の効果】
【0052】
本発明の有機発光ディスプレイの画素では、整流素子を使用することで有機発光素子に容易に逆バイアスを加えることができる。その結果、直流駆動によって発生する有機発光素子の輝度の低下を抑制し、良好な表示品位を確保することができる。
【0053】
また、有機発光素子を交流で駆動するときに、有機発光素子の対向電極、電源供給線の電位の双方を変える駆動を用いれば、交流波形を出力する交流電源を低電圧で駆動することができ、交流電源の長期動作の安定性、交流電源の低コスト化を実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の有機発光ディスプレイの画素、画素部の回路図の一例。
【図2】実施形態1の時分割階調表示をする駆動のタイミングチャート。
【図3】実施形態1の時分割階調表示をする駆動のタイミングチャート。
【図4】実施形態2の有機発光素子の交流駆動の方法を示す波形図の一例。
【図5】実施形態3の時分割階調表示をする駆動のタイミングチャート。
【図6】実施形態4の有機発光ディスプレイの画素、画素部の回路図の一例。
【図7】実施形態4のアナログ階調表示をする駆動のタイミングチャート。
【図8】実施形態4のアナログ階調表示をする駆動のタイミングチャート。
【図9】実施形態5のアナログ階調表示をする駆動のタイミングチャート。
【図10】実施例1の有機発光ディスプレイの画素部、駆動回路部の断面図。
【図11】実施例1の有機発光ディスプレイの画素部の上面図。
【図12】実施例1の有機発光ディスプレイの画素部の上面図。
【図13】実施例1の有機発光ディスプレイの画素の回路図。
【図14】実施例3の有機発光ディスプレイの外観を示す斜視図。
【図15】実施例5の電子機器の一例を示す斜視図。
【図16】実施例5の電子機器の一例を示す斜視図。
【図17】本発明の有機発光ディスプレイの画素の回路図の一例。
【図18】本発明の交流駆動の方法を示す波形図の一例。
【図19】従来の有機発光ディスプレイの画素の回路図の一例。
【発明を実施するための形態】
【0055】
[実施形態1] 本発明の構成を時分割駆動による階調表示を行う有機発光ディスプレイに適用した例を説明する。時分割駆動による階調表示とは、発光時間の異なる期間を複数組み合わせて、各画素の階調を制御する階調の表示方法である。
【0056】
図1(A)は画素の等価回路である。各画素100にゲート信号線(Gj)、ソース信号線(Si)から信号が入力される。各画素はスイッチング用TFT101、電流制御用TFT102、コンデンサー103、整流用TFT104、有機発光素子105を有する。交流電源106は電源供給線(Vi)と有機発光素子105の対向電極に電位を与えている。
【0057】
スイッチング用TFT101のゲート電極は、選択信号を入力するゲート信号線(Gj)に接続されている。スイッチング用TFTのソースとドレインとは、一方が「0」または「1」の情報を有するデジタルの画像データ信号(以降、デジタルデータ信号と称する)を入力するソース信号線(Si)に、他方が電流制御用TFT102のゲート電極及び各画素が有するコンデンサー103の一方の電極にそれぞれ接続されている。コンデンサーの他方の電極は電源供給線(Vi)に接続されている。コンデンサー103は、スイッチング用TFT102が非選択状態にあるとき、電流制御用TFT102のゲート電圧を保持するために設けられている。
【0058】
電流制御用TFT102は、ソースとドレインとが、一方は電源供給線(Vi)に、他方は有機発光素子105の画素電極にそれぞれ接続されている。
【0059】
整流用TFT104のソースとドレインとは、一方が電源供給線(Vi)に、他方が有機発光素子106の画素電極にそれぞれ接続されている。整流用TFT104のゲート電極は電源供給線(Vi)に接続されている。整流用TFT104は、そのゲート電極とソースまたはドレインの一方が接続されているため、一方向へのみ電流が流れる整流特性を有する
【0060】
整流用TFT104と、電流制御用TFT102とは導電型を等しくすることが望ましい。本実施の形態では、電流制御用TFTと整流用TFTの導電型はpチャネル型とする。なお、スイッチング用TFT101の導電型はnチャネル型にしてもよいしpチャネル型にしてもよい。
【0061】
整流用TFT104の整流特性は、整流用TFTがpチャネル型であり、そのゲートとソースまたはドレインの一方が接続されているため、有機発光素子の側から電源供給線の側へのみ電流が流れやすい特性である。
【0062】
有機発光素子105は、有機化合物層と、有機化合物層を挟む陰極と陽極とからなる。本実施の形態では電流制御用TFT102と整流用TFT104とに接続する有機発光素子の画素電極を陽極とし、有機発光素子の対向電極を陰極とし、画素電極から対向電極へと電流を流し、有機発光素子を発光させる構成とする。
【0063】
交流電源106は、有機発光素子105の対向電極と、電源供給線(Vi)とに接続されている。本実施の形態では、対向電極の電位と、電源供給線の電位とは双方の電位を同時に変えて交流駆動を行う。対向電極の電位と、電源供給線の電位とは電流制御用TFTがオンの状態になったときに有機発光素子が発光する程度に電位差が設けられている。
【0064】
本実施の形態とは逆に、電流制御用TFTと整流用TFTをnチャネル型として用い、有機発光素子の画素電極を陰極とし、対向電極を陽極として対向電極から画素電極へと有機発光素子に電流を流して発光させてもよい。
【0065】
図1(B)は画素部の等価回路である。画素部110は画素100がマトリクス状に配置されており、ゲート信号線(G1〜Gn)、ソース信号線(S1〜Sm)
と、交流電源(図示しない)とから各画素に信号を入力して、各画素の輝度を制御する。
【0066】
ゲート信号線(G1〜Gn)は、各画素が有するスイッチング用TFTのゲート電極に接続されている。スイッチング用TFTのソースとドレインとは、一方がソース信号線(S1〜Sm)に、他方がコンデンサーと電流制御用TFTのゲート電極とに接続されている。
【0067】
電流制御用TFTのソースまたはドレインのうち、一方が電源供給線(V1〜Vm)に、他方が有機発光素子の画素電極に接続されている。整流用TFTのゲート電極は電源供給線(V1〜Vm)に接続されている。整流用TFTのソースまたはドレインは一方が電源供給線(V1〜Vm)に、他方が有機発光素子の画素電極に接続されている。有機発光素子の対向電極と電源供給線(V1〜Vm)とは交流電源に接続されている。
【0068】
本実施の形態では、簡明にするため、単色画素とした上で、画素部にマトリクス状に配置されたすべての画素で有機発光素子に加える電圧と有機発光素子の発光強度の関係が同じであるとして説明する。このため、電源供給線(V1〜Vm)
の電位は画素部に設けられているすべての画素で共通の電位となっている。対向電極も画素部に設けられているすべての画素で共通の電位となっている。
【0069】
次に、図1の画素部の回路を有する有機発光ディスプレイの駆動方法について説明する。まず、図2を用いて本実施の形態の時分割駆動による階調表示の一例について説明する。
【0070】
1フレーム期間(F)は、n個のサブフレーム期間(SF1〜SFn)に分割される。説明を簡略にするため、第1のサブフレーム期間(F1)と第2のサブフレーム期間(F2)だけを図示する。1フレーム期間とは、階調制御された1つの画像を形成する期間をいう。本実施形では、1秒間に60以上のフレーム期間が設けられている。1秒間に表示される画像の数が60より少なくなると、視覚的にフリッカ等の画像が目立ち始める。
【0071】
サブフレーム期間(SF1〜SFn)は、1フレーム期間をさらに分割した期間である。階調数が多くなるにつれて1フレーム期間の分割数も増え、駆動回路を高い周波数で駆動しなければならない。
【0072】
1つのサブフレーム期間はアドレス期間(Ta)とサブフレーム期間(Ts)
とに分けられる。アドレス期間とは、1つのサブフレーム期間において全画素にデータを入力するのに要する期間であり、サステイン期間とは、画素に入力されたデータに応じて有機発光素子に一定の電流を流して表示を行う期間である。
【0073】
n個のサブフレーム期間(SF1〜SFn)がそれぞれ有するアドレス期間(Ta1〜Tan)の長さは一定である。n個のサブフレーム期間(SF1〜SFn)がそれぞれ有するサステイン期間(Ts)の長さは異なる。サブフレーム期間(SF1〜SFn)の長さはそれぞれTs1〜Tsnである。
【0074】
サステイン期間の長さは、Ts1:Ts2:Ts3:…:Ts(n-2):Ts(n-1):Tsn=21:22:23:…:2(n-2):2(n-1)となるように設定する。サブフレーム期間によってサステイン期間の長さが異なるが、サブフレーム期間(SF1〜SFn)を出現させる順序はどのようにしてもよい。このサステイン期間の組み合わせで2n階調のうち所望の階調表示を行うことができる。
【0075】
次に、図2に示されたタイミングで時分割階調の表示を行うために画素に入力する信号を図3のタイミングチャートを用いて説明する。説明を簡単にするために、1フレーム期間のうち、第1のサブフレーム期間と第2のサブフレーム期間だけが図示されている。
【0076】
第1のサブフレーム期間(SF1)は、第1のアドレス期間(Ta1)と第1のサステイン期間(Ts1)とからなる。アドレス期間は、第1のライン期間(L1)〜第nのライン期間(Ln)に分割される。
【0077】
第1のライン期間(L1)は、ゲート信号線(G1)に選択信号が入力され、ゲート信号線(G1)に接続されているスイッチング用TFTのすべてがオンの状態になる期間である。
【0078】
ゲート信号線(G1)に接続されているスイッチング用TFTがオンの状態で、ソース信号線(S1〜Sm)に順にデジタルデータ信号が入力される。デジタルデータ信号は、オン状態になったスイッチング用TFTを介して電流制御用TFTのゲート電極に入力される。
【0079】
そして、ソース信号線(S1〜Sm)に入力されたデジタルデータ信号は、オンの状態のスイッチング用TFTを介して電流制御用TFTのゲート電極に入力される。また、コンデンサーにもデジタルデータ信号が入力され保持される。
【0080】
コンデンサーにデジタルデータ信号が保持されているため、電流制御用TFTのゲート電極の電位は、ゲート信号線(G1)に接続されているスイッチング用TFTがオフの状態になっても保持される。
【0081】
m列目のソース信号線(Sm)にデジタルデータ信号が入力されると、第1のライン期間(L1)が終了する。なお、ソース信号線(S1〜Sm)へのデジタルデータ信号の入力が終了するまでの期間と水平帰線期間とを合わせて1つのライン期間としてもよい。
【0082】
第2のライン期間(L2)は、ゲート信号線(G2)に選択信号が入力され、ゲート信号線G2に接続されているスイッチング用TFTがすべてオンの状態になる期間である。そしてスイッチング用TFTをオンにした状態で、信号線(S1〜Sn)に順にデジタルデータ信号が入力される。デジタルデータ信号は、スイッチング用TFTを介して電流制御用TFTのゲート電極に入力される。また、コンデンサーにもデジタルデータ信号が入力され保持される。
【0083】
上述した動作を第nのライン期間まで繰り返し、すべての画素にデジタルデータ信号が入力される。すなわち、すべての画素にデジタルデータ信号が入力されるまでの期間が、アドレス期間である。なお、すべての画素にデジタルデータ信号が入力される期間と垂直帰線期間とを合わせてアドレス期間としてもよい。
【0084】
アドレス期間は電源供給線(V1〜Vn)の電位が、電流制御用TFTのゲート電極の電位に比べて低電位に保たれている。このため、電流制御用TFTはオフの状態となる。しかし、整流用TFTには順方向に電圧がかかり、整流用TFTを介して、有機発光素子には逆バイアスがかかる。このとき、有機発光素子には電流が流れないため、有機発光素子は非発光の状態に保たれる。
【0085】
第1のアドレス期間(Ta1)が終了すると第1のサステイン期間(Ts1)が始まる。サステイン期間が始まると、交流電源から出力される電圧の極性が変わる。交流電源から入力される波形が変わることで、電源供給線の電位(V1〜Vn)が対向電極の電位(C)に比べて高電位になる。
【0086】
サステイン期間に電流制御用TFTがオンの状態になり、有機発光素子にしきい値以上の電圧がかかると有機発光素子は発光する。ただし、電流制御用TFTのゲートに非発光のデジタルデータ信号が書きこまれていた画素においてはオフの状態が維持される。いずれにしても、アドレス期間に印加されていた有機発光素子の逆バイアスは除かれる。
【0087】
こうして、有機発光素子が発光する任意のサブフレーム期間においてアドレス期間とサステイン期間とで極性の異なる電圧が有機発光素子にかかる交流の駆動がされる。なお、本発明の回路を用いた交流の駆動の方法は、これに限定されるものではない。
【0088】
第1のサステイン期間が終わると、交流電源から出力される電圧の極性が変わり、第1のサブフレーム期間が終わる。第1のサブフレーム期間が終わると、第2のサブフレーム期間が始まる。
【0089】
第1のサステイン期間が終わり、交流電源から出力される電圧の極性が変わると、電源供給線の電位より電流制御用TFTのゲートの電位がしきい値以上低くなり、オフの状態になる。すると、整流用TFTがオンの状態になり、すべての画素の有機発光素子は逆バイアスがかかることで非発光の状態になる。
【0090】
第2のサブフレーム期間において、第2のアドレス期間が始まり、第1のライン期間から第nのライン期間にかけて、順次、画素にデジタルデータ信号を入力し、全画素にデジタルデータ信号を入力したら第2のアドレス期間が終わり、第2のサステイン期間に入る。第2のサステイン期間が終了すると第2のサブフレーム期間が終了する。
【0091】
以下、第3のサブフレームから第nのサブフレームまで同様の動作を繰り返し、順次、アドレス期間とサステイン期間を設定し、それぞれのサステイン期間で表示を行う。
【0092】
第nのサブフレーム期間が終了したら第1のフレーム期間が終了する。このとき、画素が発光していたサステイン期間の長さを積算することによって、その画素の階調が決まる。
【0093】
以上のように、有機発光ディスプレイを駆動しながら、有機発光素子を交流で駆動することができる。本発明は時分割駆動の有機発光ディスプレイに適用することができる。
【0094】
本実施の形態によれば、整流用TFTを各画素に設け、交流電源を用いて電源供給線、対向電極の電位の双方を変えるだけの簡便な手段で、有機発光素子に加える電圧の極性を変えて、交流駆動をすることができる。
【0095】
[実施形態2] カラー有機発光ディスプレイにおいて赤、青、緑の光を表示する画素で発光層の材料が異なり、各色の画素によって、有機発光素子にかかる電圧と有機発光素子の発光強度の関係が異なるときは、電源供給線、または対向電極の電位の片方を画素が表示する色毎に変えてもよい。
【0096】
例えば、図4の波形図に示す有機発光ディスプレイの駆動方法を用いることができる。交流電源から、電源供給線、有機発光素子の対向電極に与える電位が示されている。画素が表示する色によって電源供給線の電位を変える。横軸が時間を、縦軸が電圧を示す。簡単のため、第1のサブフレーム(SF1)と、第2のサブフレーム(SF2)だけが図示されている。第1のフレーム期間を構成する複数のサブフレーム期間は、アドレス期間(Ta1〜Ta2)とサステイン期間(Ts1〜Ts2)とに分けられる。アドレス期間からサステイン期間へと変わるときに、交流電源から出力される波形が変わる。対向電極の電位(Vc)を基準とした電源供給線の電位は、赤色を発光する画素の電源供給線の電位(VViR)、青色を発光する画素の電源供給線の電位(VViB)、緑色を発光する画素の電源供給線の電位(VViG)でそれぞれ変わる。
【0097】
また、有機発光素子の発光する色が白色で、カラーフィルターを透過することでカラー表示を行う場合や、モノカラー表示の場合は、有機発光素子の発光層の材料がすべての画素で共通である。この場合は、すべての画素で対向電極の電位、電源供給線の電位をそれぞれ共通にするとよい。この電源供給線(V1〜m)、対向電極(C)の電位をそれぞれ共通にした例は実施形態1で、図3を用いてすでに説明した。
【0098】
[実施形態3] 本実施の形態では、アドレス期間が終わってから一定の待機期間をおいて、交流電源から出力される交流電圧の極性を変えて、サステイン期間を始める。
【0099】
本実施の形態の有機発光ディスプレイの画素部の回路は実施形態1と同じである。有機発光ディスプレイの駆動方法が実施形態1と異なる。そこで、有機発光ディスプレイの駆動を示す図5のタイミングチャートを参照しながら実施形態1との違いを説明する。図3と同等機能を有する部位に同じ符号を付し異なる部分を中心に説明する。説明の便宜上、第1のサブフレーム期間(SF1)と、第2のサブフレーム期間(SF2)だけを図示する。サブフレーム期間(SF)はアドレス期間(Ta)と、待機期間(Tw)と、サステイン期間(Ts)とに分けられる。
【0100】
例えば、第1のアドレス期間(Ta1)、第1の待機期間(Tw1)では、整流用TFTに順方向に電圧がかかるため有機発光素子に逆バイアスがかかる。したがって、有機発光素子は発光しない。
【0101】
第1の待機期間(Tw1)が終了した後に、交流電源から出力される波形を変えて、第1のサステイン期間(Ts1)が始まる。交流電源から出力される波形が変わると、有機発光素子の対向電極(C)、電源供給線(V1〜Vm)の電位が変わる。
【0102】
第1のサステイン期間では、画素に入力されたデジタルデータ信号に応じて電流制御用TFTのオン、オフが決まる。電流制御用TFTがオンの状態ならば有機発光素子が発光、オフの状態ならば非発光となる。いずれにしても、有機発光素子にかかる逆バイアスは除去される。
【0103】
本実施の形態により待機期間の長さを調節することで、一つのサブフレーム期間において、有機発光素子に逆バイアスがかかる時間を調節することができる。
待機期間からサステイン期間への切り換えは、交流電源から出力される波形を変更するだけでよく、複雑な回路を要しない。
【0104】
[実施形態4] 本実施形態ではアナログ駆動により階調を表示する有機発光ディスプレイの駆動の方法の一例を説明する。アナログ駆動とは、有機発光素子に流れる電流の量をアナログ的に変化させることで有機発光素子が発光する光の強度を制御して階調表示を行う方法をいう。
【0105】
本実施例の画素部の回路を図6(A)〜図6(B)に示す。ゲート信号線(G1〜Gn)は、各画素が有するスイッチング用TFT101のゲート電極に接続されている。スイッチング用TFTのソースとドレインとは、一方がソース信号線(S1〜Sm)に、他方が各画素が有する電流制御用TFT102のゲート電極とコンデンサー103とに接続されている。電流制御用TFTのソースとドレインとは、一方が電源供給線(V1〜Vm)に、他方が各画素が有する有機発光素子105に接続されている。電源供給線は整流用TFT104のゲート電極と、コンデンサー103とに接続されている。整流用TFTのソースとドレインとは、一方が電源供給線に、他方が有機発光素子の画素電極に接続されている。
【0106】
本実施の形態では有機発光素子は画素電極が陰極、対向電極が陽極となる。有機発光素子に順方向に電流を流すために、電流制御用TFTはnチャネル型とする。整流用TFTも、電流制御用TFTと同様に、nチャネル型として電流制御用TFTがオン状態のときに流れる電流の方向と逆方向の整流作用を持たせる。
スイッチング用TFTはnチャネル型、pチャネル型のいずれの導電型でも構わない。
【0107】
電流制御用TFTはnチャネル型のため、電流制御用TFTのゲートの電位がしきい値以上に電源供給線の電位よりも高いときは、電流制御用TFTがオンの状態になる。
【0108】
整流用TFTはnチャネル型であり、そのゲート電極が電源供給線と同電位になっているため、順方向電流の向きは有機発光素子の側から電源供給線の側へと電流が流れる向きになる。
【0109】
図6に示される回路を有する有機発光ディスプレイをアナログ階調で駆動させるためのタイミングチャートを図7〜図8を参照しながら説明する。
【0110】
図7のタイミングチャートに示すように、それぞれのフレーム期間は、一つのアドレス期間(Ta)と一つのサステイン期間(Ts)とに分割される。アドレス期間は、すべての画素に、順次、アナログ信号を入力する期間である。サステイン期間は、画素に入力されたアナログ信号の電位に応じて有機発光素子に電流が流れ、画素に入力されたアナログ信号の電位に応じて階調表示をする期間である。
【0111】
図8に各画素に入力する信号を示す。第1のフレーム(F1)のアドレス期間(Ta1)が始まると同時に、第1のライン期間(L1)が始まる。第1のライン期間とはゲート信号線(G1)が選択されている期間である。
【0112】
なお、ゲート信号線はn本あるので、アドレス期間中にn個のライン期間が設けられている。解像度が高くなるにつれて、ライン期間の数も増えて、駆動回路を高い周波数で駆動しなければならない。
【0113】
第1のライン期間において、ゲート信号線に選択信号が入力される。ソース信号線(S1〜Sm)にはアナログ的に電位が変わるデータ信号(アナログデータ信号)が入力される。ゲート信号線に選択信号が入力されスイッチング用TFTがオンの状態になっているため、スイッチング用TFTを介してソース信号線から電流制御用TFTのゲート電極にアナログデータ信号が入力される。アナログデータ信号の電位は、電流制御用TFTのソースまたはドレインの一方と、電源供給線とに接続されているコンデンサーによって保持される。
【0114】
ソース信号線(Sm)から画素に信号が入力されたら、第1のライン期間(L1)が終了する。なお、ソース信号線(S1〜Sm)へのアナログのビデオ信号の入力が終了するまでの期間と水平帰線期間とを合わせて1つのライン期間としても良い。第1のライン期間が終了すると同時に、第2のライン期間が始まる。
【0115】
第2のライン期間(L2)が始まるとゲート信号線(G2)に選択信号が入力される。そして第1のライン期間(L1)と同様にソース信号線(S1〜Sm)に順にアナログのビデオ信号が入力される。
【0116】
そしてすべてのゲート信号線(G1〜Gn)に選択信号が入力されると、すべてのライン期間(L1〜Ln)が終了する。すべてのライン期間が終了するとアドレス期間が終了する。なおすべてのライン期間(L1〜Ln)と垂直帰線期間とを合わせてアドレス期間としてもよい。
【0117】
アドレス期間では、整流特性を有する整流用TFTに、順方向に電圧が印加されているため、有機発光素子には逆バイアスが印加される。したがって、有機発光素子は非発光の状態である。
【0118】
アドレス期間が終わるとサステイン期間が始まる。サステイン期間が始まると、交流電源から出力される電圧の極性が反転する。
【0119】
交流電源から出力される電圧の極性が反転すると、電流制御用TFTのゲート電圧の大きさに応じて電流制御用TFTに電流が流れる。電流制御用TFTを流れる電流の量は、アドレス期間にそのゲートに入力されたアナログデータ信号の電位の高さによって制御される。
【0120】
電流制御用TFTに流れる電流の量に応じて有機発光素子が発光する光の強度が制御される。再びアドレス期間に入ると有機発光素子には逆バイアスが加わり、サステイン期間とアドレス期間とで極性の異なる電圧が有機発光素子に加わり交流の駆動がされる。
【0121】
整流用TFTは整流特性を有し、サステイン期間では整流特性の逆方向に電圧がかかっているため、サステイン期間に整流用TFTには電流が流れない。
【0122】
サステイン期間が終わると、交流電源から出力される電圧の極性が変わる。第1のフレームのサステイン期間が終わると同時に、第2のフレーム期間が始まり、第2のフレーム期間のアドレス期間が始まる。以降、同様の動作を繰り返して、1フレーム期間ごとに階調制御された画像を表示する。
【0123】
なお本実施形態では、以上でアドレス期間において有機発光素子に逆バイアスをかける例を説明したがこれに限定されるものではない。交流電源から出力される波形を適宜に変えてアドレス期間と、サステイン期間は有機発光素子に順バイアスをかけて、待機期間は逆バイアスをかけることも可能である。
【0124】
[実施形態5] 本発明は、アナログ駆動をするときに電源供給線と有機発光素子の対向電極の電位とを反転させるときを変えることで、自由に有機発光素子に極性の異なる電圧をかける時間を変えることができる。
【0125】
本実施の形態の画素部の回路は、図6を用いて説明したものと同じにつき説明を省略する。
【0126】
本発明の一実施の形態につき図面を参照して説明する。図9は、本実施の形態の駆動方法のタイミングチャートである。図8と同等機能を有する部分は同じ符号を付し、図8と異なる部分について説明する。
【0127】
アドレス期間(Ta)が終わると待機期間(Tw)が始まり、待機期間が終わるとサステイン期間(Ts)が始まる。電源供給線と有機発光素子の対向電極の電位とは、アドレス期間、待機期間では一定の電位を維持し、待機期間が終わりサステイン期間が始まると反転する。
【0128】
アドレス期間と待機期間とにおいては、ダイオード構造の有機発光素子に逆バイアスがかかるため、有機発光素子は非発光の状態である。サステイン期間においては、ダイオード構造の有機発光素子に順バイアスがかかる。こうして、アドレス期間および待機期間と、サステイン期間とで有機発光素子にかかる電圧の極性を変えることができる。
【0129】
整流用TFTに逆方向に電圧がかかり、有機発光素子に順バイアスがかかる場合と、整流用TFTに順方向に電圧がかかり、有機発光素子に逆バイアスがかかる場合とは、電源供給線の電位、対向電極の電位を交流電源を用いて変えることで制御できる。つまり、交流電源から出力される電圧の極性によって、有機発光素子にかかる電圧の極性が定まる。
【0130】
本実施の例では待機期間の長さを定めることで、有機発光素子に異なる極性の電圧をかける時間を自由に定めることができる。
【実施例1】
【0131】
本発明は有機発光素子を用いたあらゆる表示装置に適用することができる。図10はその一例であり、TFTを用いて作製されるアクティブマトリクス型の表示装置の例を示す。
【0132】
実施例のTFTはチャネル形成領域を形成する半導体層の材質により、アモルファスシリコンTFTやポリシリコンTFTと区別されることがあるが、本発明はそのどちらにも適用することができる。ただし、電界移動度の高いポリシリコンTFTを用いる方が、有機発光素子の発光強度を高めることができるため、本実施例のTFTはポリシリコンTFTを用いることが好ましい。
【0133】
基板401は、石英やコーニング社の#7059ガラスや#1737ガラスなどに代表されるバリウムホウケイ酸ガラス、またはアルミノホウケイ酸ガラスなどのガラスからなる基板を用いる。
【0134】
次いで、酸化シリコン膜、窒化シリコン膜または酸化窒化シリコン膜などの絶縁膜からなる下地膜402が設けられる。例えば、プラズマCVD法でSiH4、NH3、N2Oから作製される酸化窒化シリコン膜402aを10〜200nm(好ましくは50〜100nm)形成し、同様にSiH4、N2Oから作製される酸化窒化シリコン膜402bを50〜200nm(好ましくは100〜150nm)の厚さに積層形成する。本実施例では下地膜402を2層構造として示したが、前記絶縁膜の単層膜または2層以上積層させた構造として形成してもよい。
【0135】
次いで、半導体層を成膜し、パターニングして、第1の半導体層403、第2の半導体層404、第3の半導体層405、第4の半導体層406、第5の半導体層407、第6の半導体層408を形成する。
【0136】
さらにこれら半導体層を覆ってゲート絶縁膜409を形成する。ゲート絶縁膜は、SiH4、N2Oとから作製される窒化酸化シリコン膜であり、ここでは10〜200nm、好ましくは50〜150nmの厚さで形成する。
【0137】
さらに、スパッタ法により窒化タンタル(TaN)を形成し、続いて、アルミニウム(Al)を主成分とするアルミ合金を形成する。この二層に積層された導電膜をパターニングして、ゲート信号線410、島状のゲート電極411、容量電極412、ゲート電極413を形成し、これら電極をマスクとして自己整合的に不純物元素を添加する。
【0138】
次いで、プラズマCVD法でSiH4、NH3、N2Oから作製される酸化窒化シリコン膜を第1の層間絶縁膜414として10〜200nm(好ましくは50〜100nm)形成する。第1の層間絶縁膜として酸化窒化膜を形成することも可能である。さらに、有機樹脂膜からなる第2の層間絶縁膜415を0.5〜10μm(好ましくは1〜3μm)形成する。第2の層間絶縁膜はアクリル樹脂膜、ポリイミド樹脂膜などを好適に用いることができる。第2の層間絶縁膜は半導体層、ゲート電極等に起因する凹凸を平坦化するに充分な厚さとすることが望ましい。
【0139】
さらに、プラズマCVD法でSiH4、NH3、N2Oから作製される酸化窒化シリコン膜を保護膜416として10〜200nm(好ましくは50〜100nm)
の厚さで形成する。後述する有機発光素子を構成する電極材料である陰極はアルカリ成分を含有するが、保護膜はこのアルカリ成分が流出し、TFTの電気特性を劣化させることを防ぐ。本実施例では保護膜を酸化窒化シリコン膜で形成したが、酸化窒化シリコン膜の代わりに窒化シリコン膜を用いてもよい。
【0140】
次いで、第1の層間絶縁膜、第2の層間絶縁膜、保護膜、ゲート絶縁膜を選択的にエッチングして、コンタクトホールを形成し、さらにこのコンタクトホールを覆うように導電体膜を成膜して、パターニングする。この導電体膜は、膜厚50nmのTi膜と、膜厚500nmの合金膜(AlとTiとの合金膜)との積層構造とする。
【0141】
そして、駆動回路部438においては、配線417〜420を形成する。画素部においては、ソース信号線421、接続電極422、ドレイン側の電極423、電源供給線424を形成する。スイッチング用TFT434のソースにソース信号線421が接続しており、ドレインに接続電極422が接続している。図示してはいないが接続電極422は電流制御用TFT436のゲート電極412と接続する。電流制御用TFT436のソースに電源供給配線424が接続しており、ドレインにドレイン側の電極423が接続している。整流用TFTのゲート電極412とドレインとが電源供給線424に接続しており、ソースがドレイン側の電極423に接続している。なお、スイッチング用TFTはnチャネル型TFTであり、電流制御用TFTと、整流用TFTはpチャネル型TFTである。
【0142】
電源供給線は、有機発光素子が発光する赤、青、緑の画素毎に共通の電極である。すなわち、電源供給線は画素部において、有機発光素子の発光する色毎に設けられている。
【0143】
以上のようにして、nチャネル型TFT432、pチャネル型TFT433を有する駆動回路部438と、スイッチング用TFT434、整流用TFT435、電流制御用TFT436、保持容量437を有する画素部439とを同一基板上に形成することができる。
【0144】
次いで、ITO(Indium Tin Oxide:酸化インジウム錫)膜を真空スパッタ法で成膜して、このITO膜をドレイン側の電極423に接するように画素毎にパターニングして有機発光素子の陽極(画素電極)426を形成する。ITOは仕事関数が4.5〜5.0eVと高く、正孔を効率良く有機発光層に注入することができる。
【0145】
次いで、感光性樹脂膜を成膜して、陽極の周縁部の内側にあるこの感光性樹脂膜をパターニングにより除去して、バンク425を形成する。バンクは後述する有機化合物層をバンクの滑らかな傾斜面に沿って形成することで、有機発光素子の画素電極の周縁部において有機化合物層が断線し、この断線箇所で画素電極と対向電極とが短絡することを防いでいる。
【0146】
次いで、有機発光素子の有機化合物層427を蒸着法で成膜する。有機化合物層は、単層又は積層構造で用いられるが、積層構造で用いた方が発光効率は良い。一般的には陽極上に正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層の順に形成されるが、正孔輸送層/発光層/電子輸送層、または正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層のような構造でも良い。本発明では公知のいずれの構造を用いても良い。
【0147】
なお、本実施例ではRGBに対応した三種類の発光層を蒸着する方式でカラー表示を行う。具体的な発光層としては、赤色に発光する発光層にはシアノポリフェニレン、緑色に発光する発光層にはポリフェニレンビニレン、青色に発光する発光層にはポリフェニレンビニレンまたはポリアルキルフェニレンを用いれば良い。発光層の厚さは30〜150nmとすれば良い。上記の例は発光層として用いることのできる有機化合物の一例であり、これに限定されるものではない。
【0148】
次いで、有機発光素子の陰極(対向電極)428を蒸着法で形成する。陰極は、MgAgやLiFなどのアルカリ成分を少量含有する光反射性の材料を用いる。陰極の厚さは100nm〜200nmとする。対向電極は、各画素に共通の電極として画素部の全面を覆うように形成され、配線を経由してFPC(Flexible Print Circuit:フレキシブルプリント配線板)に電気的に接続されている。
【0149】
こうして陽極、陰極に有機化合物層が挟まれた構成の有機発光素子が形成される。有機発光素子429の画素電極は透明電極であり、陽極に重ねて光反射性の対向電極を形成している。このため、図10の矢印に示す側から有機発光素子の発光する光を放射させることができる。
【0150】
次いで、保護膜430としてDLC(Diamond Like Carbon)膜を形成し、有機発光ディスプレイの封止領域に浸入する水蒸気や酸素などによって、有機発光素子が劣化することを防ぐ。
【0151】
上述の構成で形成される基板を本明細書ではアクティブマトリクス基板と称する。
【0152】
次いで、充填材440を画素部439、駆動回路部438を覆うように形成する。この充填材は、接着性があり封止基板を接着する機能を有するものを用いる。充填材としては、PVC(ポリビニルクロライド)、エポキシ樹脂、シリコン樹脂、PVB(ポリビニルブチラル)またはEVA(エチレンビニルアセテート)を用いることができる。この充填材の内部に乾燥剤を設けておくと、吸湿効果を保持できるので好ましい。
【0153】
さらに、封止基板431が接着性を有する充填材によりアクティブマトリクス基板と貼り合わせられ、有機発光素子の封入が終了する。
【0154】
さらに、公知の方法でFPC(Flexible Print Circuit : フレキシブルプリント配線板)が異方性導電樹脂を用いて接続配線に接続される。接続配線は外部機器との接続端子となるFPCから信号を受け取り、画素、駆動回路に信号を伝達する。
【0155】
図11〜図12は、このようにして作製された本実施例の有機発光ディスプレイの画素部の上面図である。図11〜図12を参照しながら本実施例の画素部の構成を説明する。
【0156】
図11〜図12は、図10と共通する要素は同じ符号を用いて示している。図11〜図12を鎖線A−A'、鎖線B−B'、 鎖線C−C'、鎖線D−D'で切断した断面が図10において示されている。
【0157】
基板上の各画素に第1の半導体層403と、第2の半導体層404と、第3の半導体層405、第4の半導体層406が形成されている。
【0158】
これらの半導体層上に形成されたゲート絶縁膜(図示せず)に接して行方向に配置されたゲート信号線410と、島状のゲート電極411と、列方向に島状に配置された容量電極412とが形成されている。
【0159】
これらのゲート信号線、島状のゲート電極、容量電極をマスクとして自己整合的に半導体層に不純物元素が添加され、半導体層にソースまたはドレインが形成されている。
【0160】
これらの配線、電極等を覆って無機材料からなる第1の層間絶縁膜、有機材料からなる第2の層間絶縁膜、保護膜(いずれも図示せず)が成膜されている(図11)。
【0161】
コンタクトホール501〜509が形成されている。保護膜に接して導電膜を形成し、この導電膜をパターニングしてソース信号線421、接続電極422、ドレイン側の電極423、電源供給線424が形成されている。
【0162】
列方向に配置されるソース信号線421は、コンタクトホール501を介して第1の半導体層403に接している。接続電極422は、コンタクトホール502を介して第1の半導体層401に接しており、さらにコンタクトホール503を介して容量電極412に接している。列方向に配置される電源供給線424は、コンタクトホール504を介して島状のゲート電極411に接しており、さらにコンタクトホール505を介して第2の半導体層404に接しており、さらにコンタクトホール506を介して第4の半導体層406に接している。ドレイン側の電極423は、コンタクトホール508を介して第2の半導体層404に接しており、さらにコンタクトホール412を介して第3の半導体層405に接している。
【0163】
スイッチング用TFTは、そのゲート電極であるゲート信号線410から選択信号が入力されると、ソース信号線421に入力されたデータ信号を第1の半導体層に形成されるチャネルを経由して接続電極422へと入力する。
【0164】
スイッチング用TFTを介してソース信号線から接続電極422へと入力されるデータ信号は接続電極と接続する容量電極412に入力される。
【0165】
電流制御用TFTは、そのゲート電極である容量電極412にデータ信号が入力されると、このデータ信号の電位の高さに応じて電源供給線424とドレイン側の電極423とのあいだに電流が流れ、この電流が電流制御用TFTに直列に接続している有機発光素子へと流れる。
【0166】
整流用TFTは、そのゲート電極である島状のゲート電極411と、ソースまたはドレインの一方が電源供給線424に接続されており、順方向に電流が流れやすい整流特性を有する。
【0167】
コンデンサーは、一方の電極である第4の半導体層406に電源供給線の電位が付与され、他方の電極である容量電極412とゲート絶縁膜(図示せず)を挟んで重なる領域で容量を形成する。
【0168】
ITO膜がドレイン側の電極423に接するように画素毎にパターニングされて有機発光素子の画素電極(陽極)426が形成されている。感光性樹脂膜からなるバンクは、図12の点線に囲まれた領域の外側に形成されている。
【0169】
有機発光素子の有機化合物層は発光層だけからなり、図12の点線で囲まれた領域の内側に赤色、緑色、青色の画素に対応した発光色を発光する発光層が形成されている。
【0170】
有機発光素子の陰極は、各画素に共通の電極として画素部の全面を覆うように形成され、配線を経由してFPCに電気的に接続されている。
【0171】
このような画素の等価回路は図13に示され、図10と共通する要素は同じ符号を用いて示している。スイッチング用TFT434をマルチゲート構造とし、電流制御用TFT436にはゲート電極とオーバーラップするLDDを設けている。ポリシリコンを用いたTFTは、高い動作速度を示すが故にホットキャリア注入などの劣化も起こりやすい。そのため、画素内において機能に応じて構造の異なるTFT(オフ電流の十分に低いスイッチング用TFTと、ホットキャリア注入に強い電流制御用TFT)を形成することは、高い信頼性を有し、且つ、良好な画像表示が可能な(動作性能の高い)表示装置を作製する上で非常に有効である。
【実施例2】
【0172】
本発明において、有機発光素子の有機化合物層として用いる有機物質は低分子系有機物質であっても、高分子系有機物質であってもよい。低分子系有機物質はAlq3(トリ−8−キノリライト−アルミニウム)、TPD(トリフェニレルアミン誘導体)等を中心とした材料が知られている。高分子系有機物質として、π共役ポリマー系の物質が挙げられる。代表的には、PPV(ポリフェニレンビニレン)、PVK(ポリビニルカルバゾール)、ポリカーボネート等が挙げられる。
【0173】
高分子系有機物質は、スピンコーティング法、ディッピング法、ディスペンス法、印刷法またはインクジェット法など簡易な薄膜形成方法で形成でき、低分子系有機物質に比べて耐熱性が高い。
【0174】
また、本発明の有機発光ディスプレイが有する有機発光素子において、その有機発光素子が有する有機化合物層が電子輸送層と正孔輸送層とを有している場合、電子輸送層と成功輸送層とを無機の材料、例えば非晶質のSiまたは非晶質のSi1-xCx等の非晶質半導体層で構成してもよい。
【0175】
非晶質半導体には多数のトラップ準位が存在し、かつ非晶質半導体が他の層と接する界面において多量の界面準位を形成する。そのため、有機発光素子は低い電圧で発光させることができるとともに、高輝度化を図ることもできる。
【0176】
また有機化合物層にドーパントを添加し、有機発光素子の発光の色を変化させてもよい。ドーパントとして、DCM1、ナイルレッド、ルブレン、クマリン6、TPB、キナクリドン等が挙げられる。
【実施例3】
【0177】
本実施例では、本発明の有機発光ディスプレイの外観図の一例を図14を用いて説明する。図14は、有機発光素子の形成されたアクティブマトリクス基板において、有機発光素子の封入まで行い、さらにFPC(Flexible Print Circuit :フレキシブルプリント配線板)を設けた状態を示す斜視図である。図9と同等機能を有する部分は同じ符号を付す。点線で囲まれた438aはゲート信号側駆動回路部、438bはソース信号側駆動回路部、439は画素部である。また、431は封止基板である。図示してはいないが、封止基板と基板401との間隙に充填材を設けてもよい。
【0178】
なお、441はゲート信号側駆動回路部438a、ソース信号側駆動回路部438b、画素部439に入力される信号を伝達するための接続配線であり、外部機器との接続端子となるFPC442から信号を受け取る。
【0179】
ソース信号側駆動回路部、ゲート信号側駆動回路部はnチャネル型TFTとpチャネル型TFTとを相補的に組み合わせたCMOS回路を用いて形成される。
【0180】
ソース信号側駆動回路部、ゲート信号側駆動回路部は時分割駆動、アナログ駆動など有機発光ディスプレイの駆動方式に応じて公知の回路を採用する。
【実施例4】
【0181】
本発明を実施して形成された発光装置は様々な電気器具に内蔵され、画素部は映像表示部として用いられる。本発明の電子装置としては、携帯電話、PDA、電子書籍、ビデオカメラ、ノート型パーソナルコンピュータ、記録媒体を備えた画像再生装置、例えばDVD(Digital Versatile Disc)プレーヤー、デジタルカメラ、などが挙げられる。それら電子装置の具体例を図15、図16に示す。
【0182】
図15(A)は携帯電話であり、表示用パネル9001、操作用パネル9002、接続部9003からなり、表示用パネル9001には表示装置9004、音声出力部9005、アンテナ9009などが設けられている。操作パネル9002には操作キー9006、電源スイッチ9007、音声入力部9008などが設けられている。本発明は表示装置9004に適用することができる。
【0183】
図15(B)はモバイルコンピュータ或いは携帯型情報端末であり、本体9201、カメラ部9202、受像部9203、操作スイッチ9204、表示装置9205で構成されている。本発明は表示装置9205に適用することができる。
このような電子装置には、3インチから5インチクラスの表示装置が用いられるが、本発明の表示装置を用いることにより、携帯型情報端末の軽量化を図ることができる。
【0184】
図15(C)は携帯書籍であり、本体9301、表示装置9202〜9303、記憶媒体9304、操作スイッチ9305、アンテナ9306から構成されており、ミニディスク(MD)やDVDに記憶されたデータや、アンテナで受信したデータを表示するものである。本発明は表示装置9302〜9303に用いることができる。携帯書籍は、4インチから12インチクラスの表示装置が用いられるが、本発明の表示装置を用いることにより、携帯書籍の軽量化と薄型化を図ることができる。
【0185】
図15(D)はビデオカメラであり、本体9401、表示装置9402、音声入力部9403、操作スイッチ9404、バッテリー9405、受像部9406などで構成されている。本発明は表示装置9402に適用することができる。
【0186】
図16(A)はパーソナルコンピュータであり、本体9601、画像入力部9602、表示装置9603、キーボード9604で構成される。本発明は表示装置9603に適用することができる。
【0187】
図16(B)はプログラムを記録した記録媒体(以下、記録媒体と呼ぶ)を用いるプレーヤーであり、本体9701、表示装置9702、スピーカ部9703、記録媒体9704、操作スイッチ9705で構成される。なお、この装置は記録媒体としてDVD(Digital Versatile Disc)、CD等を用い、音楽鑑賞や映画鑑賞やゲームやインターネットを行うことができる。本発明は表示装置9702に適用することができる。
【0188】
図16(C)はデジタルカメラであり、本体9801、表示装置9802、接眼部9803、操作スイッチ9804、受像部(図示しない)で構成される。本発明は表示装置9802に適用することができる。
【0189】
本発明の表示装置は図15(A)の携帯電話、図15(B)のモバイルコンピュータ或いは携帯型情報端末、図15(C)の携帯書籍、図16(A)のパーソナルコンピュータに用い、スタンバイモードにおいて黒色の背景を表示することで機器の消費電力を抑えることができる。
【0190】
また、図15(A)で示す携帯電話操作において、操作キーを使用している時に輝度を下げ、操作スイッチの使用が終わったら輝度を上げることで低消費電力化することができる。また、着信した時に表示装置の輝度を上げ、通話中は輝度を下げることによっても低消費電力化することができる。また、継続的に使用している場合に、リセットしない限り時間制御で表示がオフになるような機能を持たせることで低消費電力化を図ることもできる。なお、これらはマニュアル制御であっても良い。
【0191】
ここでは図示しなかったが、本発明はその他にもナビゲーションシステムをはじめ冷蔵庫、洗濯機、電子レンジ、固定電話機、ファクシミリなどに組み込む表示装置としても適用することも可能である。このように本発明の適用範囲はきわめて広く、さまざまな製品に適用することができる。
【符号の説明】
【0192】
100 画素
101 スイッチング用TFT
102 電流制御用TFT
103 コンデンサー
104 整流用TFT
105 有機発光素子
106 交流電源
109 整流素子
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画素に、トランジスタと、有機発光素子と、整流素子が設けられ、
前記トランジスタのソース及びドレインの一方が前記有機発光素子の画素電極に接続され、他方が交流電源の一端に接続され、
前記整流素子の一端は前記交流電源の一端に接続され、前記整流素子の他端は前記画素電極に接続され、
前記有機発光素子の対向電極は前記交流電源の他端に接続され、
前記交流電源によって、前記対向電極が高電位になり、前記整流素子の一端が低電位になると、前記整流素子に順方向バイアスが印加され、前記有機発光素子に逆方向バイアスが印加されることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
画素に、第1のトランジスタと、有機発光素子と、第2のトランジスタが設けられ、
前記第1のトランジスタのソース及びドレインの一方が前記有機発光素子の画素電極に接続され、他方が交流電源の一端に接続され、
前記第2のトランジスタのゲートは前記交流電源の一端に接続されるとともに前記第2のトランジスタのソース及びドレインの一方に接続され、前記第2のトランジスタの前記ソース及び前記ドレインの他方は前記画素電極に接続され、
前記有機発光素子の対向電極は前記交流電源の他端に接続され、
前記交流電源によって、前記対向電極が高電位になり、前記第2のトランジスタの前記ソース及び前記ドレインの一方が低電位になると、前記有機発光素子に逆方向バイアスが印加されることを特徴とする表示装置。
【請求項3】
画素に、第1のトランジスタと、有機発光素子と、第2のトランジスタと、第3のトランジスタが設けられ、
前記第3のトランジスタのゲートはゲート信号線に接続され、ソース及びドレインの一方はソース信号線に接続され、他方は前記第1のトランジスタのゲートに接続され、
前記第1のトランジスタのソース及びドレインの一方は交流電源の一端に接続され、他方は前記有機発光素子の画素電極に接続され、
前記第2のトランジスタのゲートは前記交流電源の一端に接続されるとともに前記第2のトランジスタのソース及びドレインの一方に接続され、前記第2のトランジスタの前記ソース及び前記ドレインの他方は前記画素電極に接続され、
前記有機発光素子の対向電極は前記交流電源の他端に接続され、
前記交流電源によって、前記対向電極が高電位になり、前記第2のトランジスタの前記ソース及び前記ドレインの一方が低電位になると、前記有機発光素子に逆方向バイアスが印加されることを特徴とする表示装置。
【請求項4】
請求項2又は3において、前記第1のトランジスタ及び前記第2のトランジスタが同じ導電型のトランジスタであることを特徴とする表示装置。
【請求項1】
画素に、トランジスタと、有機発光素子と、整流素子が設けられ、
前記トランジスタのソース及びドレインの一方が前記有機発光素子の画素電極に接続され、他方が交流電源の一端に接続され、
前記整流素子の一端は前記交流電源の一端に接続され、前記整流素子の他端は前記画素電極に接続され、
前記有機発光素子の対向電極は前記交流電源の他端に接続され、
前記交流電源によって、前記対向電極が高電位になり、前記整流素子の一端が低電位になると、前記整流素子に順方向バイアスが印加され、前記有機発光素子に逆方向バイアスが印加されることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
画素に、第1のトランジスタと、有機発光素子と、第2のトランジスタが設けられ、
前記第1のトランジスタのソース及びドレインの一方が前記有機発光素子の画素電極に接続され、他方が交流電源の一端に接続され、
前記第2のトランジスタのゲートは前記交流電源の一端に接続されるとともに前記第2のトランジスタのソース及びドレインの一方に接続され、前記第2のトランジスタの前記ソース及び前記ドレインの他方は前記画素電極に接続され、
前記有機発光素子の対向電極は前記交流電源の他端に接続され、
前記交流電源によって、前記対向電極が高電位になり、前記第2のトランジスタの前記ソース及び前記ドレインの一方が低電位になると、前記有機発光素子に逆方向バイアスが印加されることを特徴とする表示装置。
【請求項3】
画素に、第1のトランジスタと、有機発光素子と、第2のトランジスタと、第3のトランジスタが設けられ、
前記第3のトランジスタのゲートはゲート信号線に接続され、ソース及びドレインの一方はソース信号線に接続され、他方は前記第1のトランジスタのゲートに接続され、
前記第1のトランジスタのソース及びドレインの一方は交流電源の一端に接続され、他方は前記有機発光素子の画素電極に接続され、
前記第2のトランジスタのゲートは前記交流電源の一端に接続されるとともに前記第2のトランジスタのソース及びドレインの一方に接続され、前記第2のトランジスタの前記ソース及び前記ドレインの他方は前記画素電極に接続され、
前記有機発光素子の対向電極は前記交流電源の他端に接続され、
前記交流電源によって、前記対向電極が高電位になり、前記第2のトランジスタの前記ソース及び前記ドレインの一方が低電位になると、前記有機発光素子に逆方向バイアスが印加されることを特徴とする表示装置。
【請求項4】
請求項2又は3において、前記第1のトランジスタ及び前記第2のトランジスタが同じ導電型のトランジスタであることを特徴とする表示装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2011−232770(P2011−232770A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−138016(P2011−138016)
【出願日】平成23年6月22日(2011.6.22)
【分割の表示】特願2001−163307(P2001−163307)の分割
【原出願日】平成13年5月30日(2001.5.30)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月22日(2011.6.22)
【分割の表示】特願2001−163307(P2001−163307)の分割
【原出願日】平成13年5月30日(2001.5.30)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】
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