説明

表示装置

【課題】画像表示モードと照明モードとを切り替え可能とし、照明時に十分な画面輝度を得ることができる表示装置を提供する。
【解決手段】表示装置1は、透過型スクリーンと、発光色の異なる複数のLED11〜13からなる光源とを備え、LED11〜13を時分割で点灯させることにより、画像信号に応じたカラー画像を透過型スクリーンに表示する。表示装置1は、カラー画像を透過型スクリーンに表示する画像表示モードと、光源からの照射光により透過型スクリーンを介して外部を照明する照明モードとを切り替え可能に設定するメインコントローラ31と、画像表示モードが設定された場合、光源の発光周期毎にLED11〜13を時分割で点灯させ、照明モードが設定された場合、光源の発光周期毎にLED11〜13のうちの少なくとも2つのLEDを所定期間同時に点灯させるDMDコントローラ32とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置に関し、より詳細には、光源としてLED(Light Emitting Diode)などの固体発光素子を用いて、透過型スクリーンにカラー画像を表示する表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、表示装置として、LCD(Liquid Crystal Display:液晶ディスプレイ)やプラズマディスプレイ等の大画面平面ディスプレイが急速に普及しているが、大画面化に伴い重量や消費電力が大きくなることから、100インチを超える大画面ではプロジェクタ方式が多く用いられている。このようなプロジェクタ方式としては、前方のスクリーンに対して画像を投影するフロントプロジェクション方式と、透過型スクリーンを用いて、スクリーン背面側から画像を投影するリアプロジェクション方式とが知られている。
【0003】
フロントプロジェクション方式のプロジェクタ(以下、前面投射型プロジェクタという)は、スクリーンに反射する外光に打ち勝つ光量が必要となることから、明るい場所での使用には適さず、暗い場所での使用が前提となっていた。一方、リアプロジェクション方式のプロジェクタ(以下、背面投射型プロジェクタという)は、スクリーン正面を反射防止処理するとともに、光源の光が直接目に入らないようにフレネルレンズやレンチキュラレンズを配置した透過型スクリーンを用いることで、LCDやプラズマディスプレイのような薄型平面ディスプレイと同じ環境で使うことができるようになっている。
【0004】
しかし、LCDやプラズマディスプレイ、背面投射型プロジェクタを屋外等の明るい環境で使用する場合、画面の明るさの確保が問題となる。LCDの場合、自己発光型ではないため、バックライトを必要とし、構造上偏光板とカラーフィルタを通すことから光量のロスが生じる。また、プラズマディスプレイの場合、自己発光型であるが、発光画素数に応じて点灯し、特に画像色が白の場合には全点灯となるため、長時間白もしくは明るい画像を表示することは発熱や焼き付け、消費電力の点で好ましくない。
【0005】
これに対して、例えば、特許文献1には、屋外等の明るい環境での使用を考慮した背面投射型プロジェクタが記載されている。これによれば、前面投射型プロジェクタに使用される画像表示手段の投射距離を変更することで、画像を縮小し、透過型スクリーンの画面輝度を高めている。
【0006】
また、上述の前面投射型プロジェクタを照明装置として使用する技術が知られている(例えば、特許文献2を参照)。この特許文献2に記載の技術によれば、DVD再生手段による再生の一時停止が検出されたときに、DVD再生手段から出力される画像データに基づく表示画像から切り替えて所定の切替画像を表示する切替画像表示部と、リモコンから出力される操作信号に基づいて切替画像の輝度を設定する切替画像輝度設定部とを備え、画像切替時に、適切な輝度に調整して、切替画像を表示させながら、室内を照明できるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−276488号公報
【特許文献2】特開2008−109609号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献2に記載の前面投射型プロジェクタを照明装置として使う場合、照明時の輝度、すなわち、切替画像表示時の輝度がDVD再生による画像投影時の白色以上の輝度にはならず、また、前面投射型であるため、暗い環境での照明用途に限られてしまうという問題がある。さらに、従来のプロジェクタでは、一般に光源として使われているランプの寿命が短いため、照明装置として長時間の使用には適さない。
【0009】
また、特許文献1に記載されたような背面投射型プロジェクタにすることで、明るい環境において照明装置として使用できると考えられるが、この場合も、前面投射型と同様に、照明時の輝度を画像投影時の白色以上の輝度にすることはできない。この理由について以下に説明する。
【0010】
上記のようなプロジェクタでは、1枚のDMD(Digital Micromirror Device)チップを用いてRGBの3原色分の画像を時分割表示する単板式が主流となっている。この時分割表示の場合、光源の発光周期毎に、赤(R),緑(G),青(B)が順次点灯(オン)され、R,G,Bが同時に点灯(オン)されることがない。そして、順次点灯されたR,G,Bそれぞれの光がDMDで反射されることで、各色の画像が順番に透過型スクリーンに投影され、カラー画像が形成される。このとき最大輝度となる白色を表示させる場合、R,G,Bが全てDMDで反射される。
【0011】
一方、照明時においても、時分割でR,G,Bを順次点灯させるため、画像投影時と同様に、R,G,Bの光が全てDMDで反射されたときの白色が最大輝度となる。従って、1枚のDMDチップを用いた単板式のプロジェクタを照明装置とした場合、照明時の輝度を画像投影時の白色以上の輝度にすることはできず、明るい場所などで照明装置として使用する場合に十分な画面(スクリーン)輝度を得ることができない。
【0012】
本発明は、上述のごとく実情に鑑みてなされたものであり、画像表示モードと照明モードとを切り替え可能とし、照明時に十分な画面輝度を得ることができる表示装置を提供すること、を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために、本発明の第1の技術手段は、透過型スクリーンと、発光色の異なる複数の固体発光素子からなる光源とを備え、前記複数の固体発光素子を時分割で点灯させることにより、画像信号に応じたカラー画像を前記透過型スクリーンに表示する表示装置であって、前記カラー画像を前記透過型スクリーンに表示する画像表示モードと、前記光源からの照射光により前記透過型スクリーンを介して外部を照明する照明モードとを切り替え可能に設定するモード設定手段と、前記画像表示モードが設定された場合、前記光源の発光周期毎に前記複数の固体発光素子を時分割で点灯させ、前記照明モードが設定された場合、前記光源の発光周期毎に前記複数の固体発光素子のうちの少なくとも2つの固体発光素子を所定期間同時に点灯させる点灯制御手段とを備えたことを特徴としたものである。
【0014】
第2の技術手段は、第1の技術手段において、前記点灯制御手段は、前記照明モードが設定された場合、前記複数の固体発光素子を異なる点灯比率で点灯させることを特徴としたものである。
【0015】
第3の技術手段は、第1の技術手段において、前記点灯制御手段は、前記照明モードが設定された場合、前記複数の固体発光素子を連続的に点灯させることを特徴としたものである。
【0016】
第4の技術手段は、第1〜第3のいずれか1の技術手段において、前記照明モードにおける前記複数の固体発光素子それぞれの点灯時間の積算値は、前記画像表示モードにおける前記複数の固体発光素子それぞれの点灯時間の積算値よりも大きいことを特徴としたものである。
【0017】
第5の技術手段は、第1〜第4のいずれか1の技術手段において、前記複数の固体発光素子の発光色は、赤,緑,青の3種類であることを特徴としたものである。
【0018】
第6の技術手段は、第1〜第5のいずれか1の技術手段において、前記モード設定手段は、ユーザによる操作指示に従って、前記表示装置を前記照明モードに設定することを特徴としたものである。
【0019】
第7の技術手段は、第1〜第5のいずれか1の技術手段において、人感センサを備え、前記モード設定手段は、前記人感センサにより人間が近づいたことを検知した場合に、前記表示装置を前記照明モードに設定することを特徴としたものである。
【0020】
第8の技術手段は、第1〜第5のいずれか1の技術手段において、計時部を備え、前記モード設定手段は、前記計時部により所定の時間になったことを検知した場合に、前記表示装置を前記照明モードに設定することを特徴としたものである。
【0021】
第9の技術手段は、第1〜第5のいずれか1の技術手段において、明るさセンサを備え、前記モード設定手段は、前記明るさセンサにより周囲の明るさが暗くなったことを検知した場合に、前記表示装置を前記照明モードに設定することを特徴としたものである。
【0022】
第10の技術手段は、第1〜第9のいずれか1の技術手段において、前記表示装置は、前記透過型スクリーンと前記光源とを含むユニットを1つの表示ユニットとし、複数の該表示ユニットを一体的に配置してスクリーン集合体として構成され、該スクリーン集合体は、前記複数の表示ユニットのうちの少なくとも1つの表示ユニットが前記照明モードに設定されていることを特徴としたものである。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、透過型スクリーンと、光源としてLED等の固体発光素子とを備え、各固体発光素子を時分割点灯させて、画像を表示する表示装置において、画像表示モードと照明モードとを切り替え可能とし、照明モードでは少なくとも2つの固体発光素子を同時に点灯させることができるため、照明時に十分な画面輝度を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明に係る表示装置の概略構成を模式的に示した図である。
【図2】図1に示した光学エンジンの構成例を示す図である。
【図3】図1に示した表示装置の制御系の要部構成例を説明するためのブロック図である。
【図4】表示装置が備える光源の発光タイミングの一例を説明するための図である。
【図5】本発明の他の実施形態に係る表示装置の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の表示装置に係る好適な実施の形態について説明する。
【0026】
図1は、本発明に係る表示装置の概略構成を模式的に示した図で、図中、1は表示装置を示す。表示装置1は、1枚のDMDチップを用いた単板式の背面投射型プロジェクタにより画像表示を行うもので、透過型スクリーン2と、リフレクタミラー5と、光学エンジン10とを備える。透過型スクリーン2は、視認者側に配置されるレンチキュラレンズ3と、光源側に配置されるフレネルレンズ4とが向かい合わせで配置される。レンチキュラレンズ3の視認者側表面には、透明保護シートを配置することもできる。レンチキュラレンズ3は、水平方向に伸びる黒色部と光源からの光が透過するレンズ部が交互に配置される。フレネルレンズ4は、光源よりの投射光軸中心に対応した同心円状のレンズで構成され、全ての方向からの投射光がレンチキュラレンズ3のレンズ部に入るように導光される。
【0027】
光学エンジン10から拡大投影される画像光は、透過型スクリーン2に対向して傾斜した状態で設けられたリフレクタミラー5に照射され、このリフレクタミラー5にて反射された画像光が、透過型スクリーン2の背面に投射される。透過型スクリーン2は、拡大投射される画像光によって、その前面に画像を表示する。
【0028】
図2は、図1に示した光学エンジン10の構成例を示す図である。光学エンジン10は、光源として、発光色の異なる複数の固体発光素子の一例であるLED11,12,13を備える。LED11の発光色は緑色(G)、LED12の発光色は赤色(R)、LED13の発光色は青色(B)である。表示装置1は、透過型スクリーン2と、LED11,12,13からなる光源とを備え、LED11,12,13を時分割で点灯させることにより、画像信号に応じたカラー画像を透過型スクリーン2に表示する。
【0029】
より具体的に説明すると、光源であるLED11,12,13がそれぞれ所定のタイミングで順次点灯され、R,G,Bそれぞれの単色光が時分割で照射される。光源からのR,G,Bそれぞれの光は、コリメータレンズ14で平行光に変換され、対応する色のみが反射されるダイクロイックミラー15,16でR,G,Bそれぞれの光が同一光軸上に導光される。同一光軸上に導光された光は、ロッドレンズ17、フライアイレンズ18を通過し、ミラー19で反射され、さらに、所定の拡散光となるように、凸レンズ20を通過して、DMD21に入射される。
【0030】
DMD21は、1つのマイクロミラーが1つの画素を構成し、画素数に応じて、多数のマイクロミラーが二次元的に配列されている。また、DMD21は、各マイクロミラーの振れ角が画像信号に応じて2値的(オン/オフ)に変化するように制御される。
【0031】
すなわち、R光源,G光源,B光源の点灯に同期して、画像信号に応じてマイクロミラーの振れ角がオンされる。例えば、R光源が点灯した場合、これに同期して、画像信号のR成分を含む画素についてマイクロミラーがオンされ、マイクロミラーでR光源からの光を反射させる。この際、画像信号のR成分を含まない画素についてはマイクロミラーがオフされ、R光源からの光は図示しない光吸収板により吸収される。同様にして、G光源、B光源からの光についてもマイクロミラーで反射させる。
【0032】
そして、マイクロミラーで順次反射されたR,G,Bの反射光(画像光)は拡大光学系で構成されるプロジェクションレンズ22に入射され、プロジェクションレンズ22で所定の拡散角で拡大され、透過型スクリーン2に投影される。このようにして、R,G,B各色の単色画像光を透過型スクリーン2に順次投影することで、1つのカラー画像を形成することができる。なお、R光源,G光源,B光源それぞれの点灯期間(発光期間)に対応して、マイクロミラーがR,G,Bそれぞれに対応した単色画像光を透過型スクリーン2に形成するが、各光源の発光期間中において、マイクロミラーのオン時間、すなわち、透過型スクリーン2に向けて反射している時間を変えることにより画素単位で光量を変えることができる。
【0033】
上記の説明では、光源の固体発光素子としてR,G,BのLEDを用いたが、LEDの代わりにレーザ光源を用いてもよい。また、1色あたり複数のLEDやレーザを用いたり、LEDとレーザを組み合わせてもよい。
【0034】
図3は、図1に示した表示装置1の制御系の要部構成例を説明するためのブロック図である。図中、31はメインコントローラ、32はDMDコントローラ、33はLEDドライバ部、34は操作部、35は人感センサ、36は計時部、37は明るさセンサを示す。メインコントローラ31は、表示装置1の制御を行うためのCPU,メモリなどで構成される制御部である。DMDコントローラ32は、DMD21のマイクロミラーのオン/オフを制御すると共に、LEDドライバ部33を制御して、LED11,12,13からなる光源の点灯を制御する。操作部34は、ユーザが表示装置1に対して各種操作を行うための操作ボタンなどで構成され、例えば、リモコンなどであってもよい。
【0035】
本発明の主たる特徴部分は、画像表示モードと照明モードとを切り替え可能とし、照明時に十分な画面輝度を得ることにある。このための構成として、表示装置1は、カラー画像を透過型スクリーン2に表示する画像表示モードと、LED11,12,13からなる光源からの照射光により透過型スクリーン2を介して外部を照明する照明モードとを切り替え可能に設定するモード設定手段と、画像表示モードが設定された場合、光源の発光周期毎にLED11,12,13を時分割で点灯させ、照明モードが設定された場合、光源の発光周期毎にLED11,12,13のうちの少なくとも2つのLEDを所定期間同時に点灯させる点灯制御手段とを備える。なお、モード設定手段はメインコントローラ31により実現され、点灯制御手段はDMDコントローラ32により実現される。
【0036】
上記において、メインコントローラ31は、ユーザによる操作指示に従って、画像表示モードと照明モードの切り替えを行うことができる。例えば、ユーザが表示装置1で画像を表示させている場合、つまり、「画像表示モード」に設定されている場合について想定する。このときの画像は、表示装置1がチューナ機能を備えている場合にはテレビ画像であってもよいし、DVDなどの記録媒体から読み出した画像であってもよい。そして、ユーザが、リモコン等の操作部34から「モード切替ボタン」を押下すると、「画像表示モード」から「照明モード」に切り替えられる。この場合、表示装置1は、画像表示を停止させ、透過型スクリーン2を介して外部を照明する照明装置として機能する。
【0037】
すなわち、図3において、操作部34からモード切替の操作信号を受信したメインコントローラ31は、この操作信号に基づいて、「画像表示モード」または「照明モード」のいずれかのモードに切り替えて設定し、モード設定信号をDMDコントローラ32に送信する。そして、DMDコントローラ32は、モード設定信号に基づいて、LED11,12,13の点灯を制御し、DMD21のマイクロミラーのオン/オフを制御する。
【0038】
なお、「照明モード」への切り替えは、上記例に限定されるものではなく、例えば、人間が近づいた場合や、所定の時間になった場合、あるいは、周囲の明るさが暗くなった場合、などをトリガとして、表示装置1を自動的に「照明モード」に移行させてもよい。具体的には、人感センサ35により人間が近づいたことを検知した場合に、表示装置1を「照明モード」に設定する。人感センサ35は一般的な赤外線を用いたもので、表示装置1の前に位置する物体(人間)までの距離を検出し、これを電圧に変換して、メインコントローラ31に供給する。そして、メインコントローラ31は、この電圧値が閾値より大きい場合に、人間が近づいたと判定し、表示装置1を「照明モード」に移行させる。例えば、後述の図5に示すように複数画面で表示装置を構成し、この表示装置を券売機などに適用した場合を想定する。この券売機に人が近づいたことを検知すると、この人が操作する操作部近傍の画面を「照明モード」に移行させることで、操作性や視認性を改善することができる。
【0039】
また、計時部36により所定の時間になったことを検知した場合に、表示装置1を「照明モード」に設定してもよい。この所定の時間としては、午後6時(18時)などのように周囲が暗くなる時間に設定しておくことが考えられる。そして、メインコントローラ31は、計時部36が午後6時になったことを検知した場合に、表示装置1を「照明モード」に移行させる。例えば、表示装置1を天井からの吊り下げテレビとした場合、周囲が暗いことを検知すると、表示装置1を「照明モード」に移行させ、表示装置1を保安灯(常夜灯)として用いることができる。
【0040】
また、明るさセンサ37により周囲の明るさが暗くなったことを検知した場合に、表示装置1を「照明モード」に設定してもよい。明るさセンサ37は周囲の明るさ(明度)を検出し、これを電圧に変換して、メインコントローラ31に供給する。そして、メインコントローラ31は、この電圧値が閾値より小さい(すなわち、暗い)場合に、周囲が暗くなったと判定し、表示装置1を「照明モード」に移行させる。
【0041】
図3において、上記の「照明モード」では、DMDコントローラ32が、DMD21を構成するマイクロミラーを全てオン状態とし、R,G,Bの各光源のうちの少なくとも2つの光源を所定期間同時に点灯する。この際、3つの光源を異なる点灯比率で点灯させてもよいし、あるいは、3つの光源を連続的に点灯させるようにしてもよい。これにより、照明時に十分な画面輝度を得ることができる。つまり、「画像表示モード」では、R,G,Bの各色を順次点灯させるという制約があるため、2色以上を同時に発光させることはできないが、「照明モード」では、R,G,Bの各色を順次点灯させるという制約がないため、「画像表示モード」の場合と異なり2色以上を同時に点灯させることができる。これについて、図4に基づいて具体的に説明する。
【0042】
図4は、表示装置1が備える光源の発光タイミングの一例を説明するための図である。図4(A)は画像表示モードの場合の光源の発光タイミングを示し、図4(B)は照明モードの場合の光源の発光タイミングを示す。図4(A)の「画像表示モード」において、光源の1発光周期をTとし、R光源の点灯時間をT1、G光源の点灯時間をT2,B光源の点灯時間をT1とする。各光源の点灯時間に応じて各光源の光量が決定される。光源の発光周期T毎に、各光源が時分割で点灯されるが、この例では、T1:T2=1:2の関係がある。つまり、R,G,Bが1:2:1の比率で点灯されるため、この点灯比率で画像表示を行った場合、白色光を得ることができる。また、発光周期Tが、R,G,Bの点灯時間で時分割されているため、R,G,Bそれぞれの点灯時間の積算値は、2T1+T2=4T1となり、これが発光周期Tと一致する。
【0043】
一方、図4(B)の「照明モード」では、光源の1発光周期を「画像表示モード」の場合と同じTとし、R光源の点灯時間をT1′、G光源の点灯時間をT2′,B光源の点灯時間をT1′とする。この「照明モード」では、少なくとも2つの光源を所定期間同時に点灯させるように制御される。この例では、R光源とG光源が時間T1′の間同時に点灯され、G光源とB光源も時間T1′の間同時に点灯される。なお、本例の場合、図4(A)、(B)において、T1′=1.5T1、T2′=1.5T2の関係となっている。
【0044】
この「照明モード」で通常の白色光を得たい場合、図4(A)の「画像表示モード」の場合と同じようにR,G,Bを1:2:1の比率で点灯させる。この場合、R,G,Bそれぞれの点灯時間の積算値は、2T1′+T2′=3T1+1.5T2=6T1となる。図4(A)における「画像表示モード」では点灯時間の積算値が4T1であるため、「照明モード」での積算点灯時間は「画像表示モード」での積算点灯時間の1.5倍となり、「画像表示モード」における光量に対して1.5倍の光量を得ることができる。
【0045】
さらに、「照明モード」において、R,G,B全てを連続的に同時点灯した場合は、R,G,Bそれぞれの点灯時間の積算値が、4T1×3=12T1となり、「照明モード」での積算点灯時間は「画像表示モード」での積算点灯時間の3倍となり、「画像表示モード」における光量に対して3倍の光量を得ることができる。また、R,G,Bそれぞれの点灯時間を調整することで、白色のみならず、電球色や昼光色のような一般的な照明色を自在に再現することができる。
【0046】
図4(B)において、RとBの点灯時間を、Gの点灯時間より短くしているが、RとBの点灯時間を、Gの点灯時間と同じにしてもよい。また、この例では、R,G,Bの全てが点灯しないオフ期間を設けているが、全期間連続点灯させてもよい。また、R,G,Bの点灯時間を適宜増減させることができるため、「照明モード」における色合いを所望の色合いに変更することができる。
【0047】
このように、「照明モード」における光源それぞれの点灯時間の積算値が、「画像表示モード」における光源それぞれの点灯時間の積算値よりも大きくなるように制御することにより、照明時の輝度を画像投影時の白色以上の輝度にすることができるため、明るい場所などで照明装置として使用する場合に十分な画面(スクリーン)輝度を得ることができる。
【0048】
図5は、本発明の他の実施形態に係る表示装置の構成例を示す図である。本例の表示装置1′は、図1に示した透過型スクリーン2とLED11,12,13とを含むユニットを1つの表示ユニットとし、複数の表示ユニット6a〜6dを一体的に配置してスクリーン集合体として構成される。具体的に言えば、表示装置1′は、1つの表示ユニットが図1の表示装置1に相当し、この表示装置1が一体的に4つ連結されたものである。従って、表示ユニット6a〜6dそれぞれは、「画像表示モード」あるいは「照明モード」を切り替えて設定することができる。
【0049】
図5において、表示装置1′を構成するスクリーン集合体は、複数の表示ユニット6a〜6dのうちの少なくとも1つの表示ユニットが照明モードに設定される。この表示装置1′は、操作パネル7を備え、本例では、ユーザUによる操作パネル7の操作性及び視認性を向上させるために、操作パネル7に最も近い表示ユニット6dが「照明モード」に設定されている。
【0050】
勿論、全ての表示ユニット6a〜6dを「照明モード」にしてもよく、どの表示ユニットを「照明モード」にするかはユーザUによる操作に基づいて適宜設定することができる。このように、スクリーン集合体の一部の面を「照明モード」にすることで、ユーザに対して適切な照明を行うことができる。また、スクリーン集合体の全面を「照明モード」にすることで、より広範な照明を行うことができる。
【0051】
このように本発明によれば、透過型スクリーンと、光源としてLED等の固体発光素子とを備え、各固体発光素子を時分割点灯させて、画像を表示する表示装置において、画像表示モードと照明モードとを切り替え可能とし、照明モードでは少なくとも2つの固体発光素子を同時に点灯させることができるため、照明時に十分な画面輝度を得ることができる。
【0052】
また、画像表示モードでは、光源として各色(R,G,B)のLED等の固体発光素子を用いて、R,G,Bを順次点灯することでカラー画像を表示させ、さらに、R,G,Bの少なくとも2つを同時点灯させる照明モードを設けることで、画像表示モードのときよりも明るい画面輝度を実現することができる。
【0053】
また、光源として固体発光素子を用いたため、光源の寿命も従来のプロジェクタのランプ光源よりはるかに長く、また、照明用光源として一般に使用されている蛍光灯より長いことから、照明光源として長時間の使用を可能とする。そして、固体発光素子を用いることから、印加電圧が低く(1素子あたり数ボルト)なるため、バッテリ駆動の非常灯として使用することもできる。
【0054】
また、特に、ドライブスルーや券売機のようにお金やカードを出すといったユーザの作業を必要とする場合、本発明の表示装置では表示画面を照明として使用できるため、ユーザの操作性及び視認性を向上させることができる。
【0055】
また、LCDやプラズマディスプレイに比べて本発明での照明モードは光の利用効率が高く調光や色合いを自在に設定することができ、さらに、重量も軽いことから吊り下げ型のテレビとした場合においてテレビを見ていないときの照明や常夜灯として使うこともできる。
【符号の説明】
【0056】
1,1′…表示装置、2…透過型スクリーン、3…レンチキュラレンズ、4…フレネルレンズ、5…リフレクタミラー、6a〜6d…表示ユニット、7…操作パネル、10…光学エンジン、11〜13…LED(光源)、14…コリメータレンズ、15,16…ダイクロイックミラー、17…ロッドレンズ、18…フライアイレンズ、19…ミラー、20…凸レンズ、21…DMD、22…プロジェクションレンズ、31…メインコントローラ、32…DMDコントローラ、33…LEDドライバ部、34…操作部、35…人感センサ、36…計時部、37…明るさセンサ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透過型スクリーンと、発光色の異なる複数の固体発光素子からなる光源とを備え、前記複数の固体発光素子を時分割で点灯させることにより、画像信号に応じたカラー画像を前記透過型スクリーンに表示する表示装置であって、
前記カラー画像を前記透過型スクリーンに表示する画像表示モードと、前記光源からの照射光により前記透過型スクリーンを介して外部を照明する照明モードとを切り替え可能に設定するモード設定手段と、
前記画像表示モードが設定された場合、前記光源の発光周期毎に前記複数の固体発光素子を時分割で点灯させ、前記照明モードが設定された場合、前記光源の発光周期毎に前記複数の固体発光素子のうちの少なくとも2つの固体発光素子を所定期間同時に点灯させる点灯制御手段とを備えたことを特徴とする表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の表示装置において、前記点灯制御手段は、前記照明モードが設定された場合、前記複数の固体発光素子を異なる点灯比率で点灯させることを特徴とする表示装置。
【請求項3】
請求項1に記載の表示装置において、前記点灯制御手段は、前記照明モードが設定された場合、前記複数の固体発光素子を連続的に点灯させることを特徴とする表示装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の表示装置において、前記照明モードにおける前記複数の固体発光素子それぞれの点灯時間の積算値は、前記画像表示モードにおける前記複数の固体発光素子それぞれの点灯時間の積算値よりも大きいことを特徴とする表示装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の表示装置において、前記複数の固体発光素子の発光色は、赤,緑,青の3種類であることを特徴とする表示装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の表示装置において、前記モード設定手段は、ユーザによる操作指示に従って、前記表示装置を前記照明モードに設定することを特徴とする表示装置。
【請求項7】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の表示装置において、人感センサを備え、前記モード設定手段は、前記人感センサにより人間が近づいたことを検知した場合に、前記表示装置を前記照明モードに設定することを特徴とする表示装置。
【請求項8】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の表示装置において、計時部を備え、前記モード設定手段は、前記計時部により所定の時間になったことを検知した場合に、前記表示装置を前記照明モードに設定することを特徴とする表示装置。
【請求項9】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の表示装置において、明るさセンサを備え、前記モード設定手段は、前記明るさセンサにより周囲の明るさが暗くなったことを検知した場合に、前記表示装置を前記照明モードに設定することを特徴とする表示装置。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項に記載の表示装置において、該表示装置は、前記透過型スクリーンと前記光源とを含むユニットを1つの表示ユニットとし、複数の該表示ユニットを一体的に配置してスクリーン集合体として構成され、該スクリーン集合体は、前記複数の表示ユニットのうちの少なくとも1つの表示ユニットが前記照明モードに設定されていることを特徴とする表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−249976(P2011−249976A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−119149(P2010−119149)
【出願日】平成22年5月25日(2010.5.25)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】