説明

表面のコーティング方法及びそれに適した水性処方物

(A)メルトフローレート(MFR)が1〜50g/10minであり、
(a)65〜74.5質量%のエチレン、
(b)25.5〜35質量%の少なくとも1種のエチレン性不飽和カルボン酸、
を重合単位の形態で組み込んで含み、且つ、
少なくとも一部がアルカリ金属で中和された、少なくとも1種の共重合体、
(B)少なくとも1種の非イオン性又はアニオン性界面活性剤、
(C)少なくとも1種の消泡剤、
(D)適宜、少なくとも1種の有機アミン、
(E)適宜、少なくとも1種の有機溶媒、
を含む、実質的にパラフィンを含まない水性処方物で処理することにより表面をコーティングする方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、
(A)メルトフローレート(MFR)が1〜50g/10minであり、
(a)65〜74.5質量%のエチレン、
(b)25.5〜35質量%の少なくとも1種のエチレン性不飽和カルボン酸、
を重合単位の形態で組み込んで含み、且つ、
少なくとも一部がアルカリ金属で中和された、少なくとも1種の共重合体、
(B)少なくとも1種の非イオン性又はアニオン性界面活性剤、
(C)少なくとも1種の消泡剤、
(D)適宜、少なくとも1種の有機アミン、
(E)適宜、少なくとも1種の有機溶媒、
を含む、実質的にパラフィンを含まない少なくとも1種の水性処方物で処理することにより表面をコーティングする方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明はまた、本発明の方法によりコーティングした表面に関する。本発明は更に、本発明の方法を行うのに特に適切な水性処方物に関する。
【0003】
表面、例えば金属表面は、周囲の影響から保護するために数多くの場合にコーティングされる。仕上げ(finishes)がこの例として挙げられる。このようなコーティングは、比較的長い期間、例えば少なくとも1年間、その保護作用を示すことを目的としているので、耐久コーティング(permanent coatings)とも称される。
【0004】
しかしながら、一方で、例えば汚れ、特に指紋に対してより短期間の保護(shorter protection)でコーティングすることにより表面を提供することも望まれている。このような保護は、数日間若しくは数週間又はそれ未満の間しか有効でなくてよく、また完璧である必要はなく、その結果汚れの付着の阻止をするものであってよい。しかしながら、汚れ、特に指紋は、簡単に拭き取るだけで除去することができる。このようなコーティングは一時的コーティング(temporary coating)とも称される。その後、その表面を再度コーティングすることができる。
【0005】
コーティング剤の選択において、金属表面と関連して、通常はパラフィンが推奨されている。パラフィンを表面、特に金属表面に塗布可能とするために、水中でパラフィンを調製し、塗布することが望まれる。従って、パラフィンを調製するために、1種以上の界面活性物質(乳化剤、界面活性剤)が必要とされる。例えば、エチレン/アクリル酸共重合体が、好適な界面活性物質として文献に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】EP−A0813550
【特許文献2】WO2004/108601
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Ullmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry, 5th edition, keywords: Waxes, vol. A 28, page 146 et weq., Verlag Chemie Weinheim, Basle, Cambridge, New York, Tokyo, 1996
【非特許文献2】M. Buback et al., Chem. Ing. Tech. 1994, 66, 510
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、パラフィンは、表面の一時的コーティングに使用される場合に欠点を有する。パラフィン含有コーティング剤の効果は、通常は一日かそれ未満しか持続しないので多くの用途にとっては短すぎる。更に、パラフィン含有コーティング剤はしばしば汚れがちであり、それ故、清潔さが重要である場所、例えばキッチン、特にキッチンの付属器具、業務用食器洗い機の金属表面のコーティングには適さない。
【0009】
パラフィンでのコーティングと比較してより高い安定性という利点を有する他の多くのコーティングは、汚れた場合に例えば強アルカリ性洗浄液で除去することが困難である。
【0010】
従って、本発明の目的は、汚れ、特に指紋に対する良好な一時的な保護が保証され、更にコーティングを容易に除去できることが保証された、表面をコーティングする方法を提供することにある。また、本発明の目的は一時的にコーティングした表面を提供することにある。更に、本発明の方法を容易に行うことができる処方物を提供することにある。また、このような処方物の生成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
従って冒頭で示した方法を見出した。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の方法は、任意の所望の物質を含んでよい表面から開始する。好ましくは、この表面は、光沢のある表面(光沢のある外観を有する表面)である。光沢のある表面では、汚れ及び指紋は普通ははっきりと見える。光沢のある表面の例は、滑らかなプラスチック、特に熱硬化性プラスチックの表面である。
【0013】
表面は、金属、特にスチール、例えば、ステンレス鋼などを含む表面が好ましい。本発明において、金属表面は塗装されていてよいが、塗装されていないことが好ましい。塗装されていない金属表面に、例えばブラシをかけて(brushed)もよい。
【0014】
表面、特に金属表面は、例えば、ビルの部品、特に窓枠及びドアにあり、ドアの取っ手及びドアの付属部品が特に挙げられる。表面及び特に金属表面は、装置、例えば冷蔵庫、チェストフリーザー、調理器具及び皿洗い機にある。表面及び特に金属表面はまた、例えば、キッチン、特に業務用キッチン、浴室又はトイレの付属部品であってよい。
【0015】
本発明の一実施の形態では、表面及び特に金属表面を、本発明の実際のコーティングのため公知の方法できれいにすることができる。
【0016】
本発明の方法を実施するため、
(A)メルトフローレート(MFR)が1〜50g/10minであり、
(a)65〜74.5質量%のエチレン、
(b)25.5〜35質量%の少なくとも1種のエチレン性不飽和カルボン酸、
を重合単位の形態で組み込んで含み、且つ、
少なくとも一部がアルカリ金属で中和された、少なくとも1種の共重合体、
(B)少なくとも1種の非イオン性又はアニオン性界面活性剤、
(C)少なくとも1種の消泡剤、
(D)適宜、少なくとも1種の有機アミン、
(E)適宜、少なくとも1種の有機溶媒、
を含む、実質的にパラフィンを含まない水性処方物で表面をコーティングする。
【0017】
パラフィンを含まない(paraffin-free)とは、本発明の方法(本発明の文脈において本発明のコーティング方法としても称される)で使用する水性処方物には、適切な水性処方物の固形分含有量、即ち、成分(A)、(B)、適宜(C)及び適宜(D)の合計に対して、パラフィンが0.5質量%以下、好ましくは0.1質量%以下しか含まれないという意味である。
【0018】
本発明のコーティング方法で使用する水性分散液は、好ましくは、更に、シリコーンオイルを実質的に含まない。シリコーンオイルを含まないとは、本発明のコーティング方法で使用する水性処方物には、適切な水性処方物の固形分含有量、即ち、成分(A)、(B)、適宜(C)及び適宜(D)の合計に対して、シリコーンオイルが0.5質量%以下、好ましくは0.1質量%以下しか含まれないという意味である。
【0019】
本発明のコーティング方法で使用する水性処方物は、実質的にパラフィンを含まず、少なくとも一種の共重合体を含む。この共重合体は、略して共重合体(A)ともいい、メルトフローレート(MFR)が、EN ISO 1133に従って荷重325g、160℃で測定して、1〜50g/10min、好ましくは5〜20g/10min、特に好ましくは7〜15g/10minであり、
(a)65〜74.5質量%、好ましくは70〜73.5質量%のエチレン、
(b)25.5〜35質量%、好ましくは26.5〜30質量%の少なくとも1種のエチ
レン性不飽和カルボン酸、
を重合単位の形態で組み込んで含み、少なくとも一部がアルカリ金属、特にカリウム又はカルシウムで中和されている。
【0020】
少なくとも一部が中和されているとは、共重合体(A)の全てのカルボキシル基の少なくとも33mol%が、アルカリ金属で中和されている、すなわち塩として存在しているという意味として理解される。
【0021】
本発明の一実施の形態では、共重合体(A)の全てのカルボキシル基の50〜99mol%が、アルカリ金属で中和されている。本発明の特別な実施の形態では、共重合体(A)の全てのカルボキシル基がアルカリ金属で中和されている。
【0022】
選択されるエチレン性不飽和カルボン酸(b)は、一般式I
【0023】
【化1】

で表される少なくとも1種のカルボン酸が好ましく、一般式Iの変数は以下のように定義される。
【0024】
1及びR2は同一でも異なっていてもよい。
【0025】
1は、水素及び
直鎖及び分枝状のC1−C10アルキル、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、sec−ペンチル、ネオペンチル、1,2−ジメチルプロピル、イソアミル、n−ヘキシル、イソヘキシル、sec−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、2−エチルヘキシル、n−ノニル、n−デシル、特に好ましくは、C1−C4−アルキル、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル及びtert−ブチル、特にメチルから選択され、
2は、直鎖及び分枝状のC1−C10アルキル、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、sec−ペンチル、ネオペンチル、1,2−ジメチルプロピル、イソアミル、n−ヘキシル、イソヘキシル、sec−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、2−エチルヘキシル、n−ノニル、n−デシル、特に好ましくは、C1−C4−アルキル、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル及びtert−ブチル、特にメチルから選択され、
極めて特に好ましくは水素である。
【0026】
本発明の一実施の形態では、R1は水素又はメチルである。R1は極めて特に好ましくはメチルである。
【0027】
本発明の一実施の形態では、R1は水素又はメチルであり、R2は水素である。
【0028】
一般式Iのエチレン性不飽和カルボン酸として、メタクリル酸を使用することが極めて特に好ましい。
【0029】
重合単位の形態で組み込まれた複数のエチレン性不飽和カルボン酸(b)を含む共重合体(A)を使用することを望む場合、例えば一般式Iで表される2つの異なるエチレン性不飽和カルボン酸、例えば、アクリル酸及びメタクリル酸を使用することができる。百分率は、エチレン性不飽和カルボン酸(b)の合計の割合に対するものである。
【0030】
一実施の形態では、共重合体(A)は、重合単位の形態で組み込まれた1種以上の更なるコモノマー(c)、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、スチレン又は1種以上のエチレン性不飽和C1−C10アルキルC3−C10カルボキシレート、特にメチルアクリレート、メチルメタクリレート、n−ブチルアクリレート、エチルアクリレート及びエチルメタクリレート、更にイソブテン及びC16−C30−α−オレフィンを含んでよい。
【0031】
共重合体(A)が、重合単位の形態で組み込まれた1種以上のコモノマー(c)を含む場合、コモノマー(c)の割合は、重合単位の形態で組み込まれたエチレン性不飽和カルボン酸(b)及びエチレン(a)の合計に対して、0.1〜20質量%であってよい。
【0032】
本発明の別の実施の形態では、共重合体(A)は、エチレン性不飽和カルボン酸(b)及びエチレン(a)は別として、重合単位の形態で組み込まれた更なるコモノマーを含まない。
【0033】
本発明の一実施の形態では、共重合体(A)の酸価は、DIN53402に従って測定して、100〜300mgKOH/g、好ましくは115〜230mgKOH/gである。
【0034】
本発明の一実施の形態では、共重合体(A)は、溶融動粘度(kinematic melt viscosity)vが、120℃で測定して、少なくとも45000mm2/s、好ましくは少なくとも50000mm2/sである。
【0035】
本発明の一実施の形態では、共重合体(A)の融点は、DIN51007に従いDSCで測定して、60〜110℃、好ましくは65〜90℃である。
【0036】
本発明の一実施の形態では、共重合体(A)は、平均分子量Mnが1000〜20000である。
【0037】
共重合体(A)は、高圧条件下で、例えば攪拌高圧オートクレーブ又は高圧管型反応器内で、フリーラジカル共重合により有利に生成することができる。攪拌高圧オートクレーブ内での生成が好ましい。攪拌高圧オートクレーブはそれ自体公知であり、非特許文献1に記載されている。この文献において、長さと直径の比は、主に、5:1〜30:1、好ましくは10:1〜20:1である。同様に使用することができる高圧管型反応器は非特許文献1に同様に記載されている。
【0038】
重合のための好適な圧力の条件は、500〜4000バール、好ましくは1500〜2500バールである。この条件は以下で高圧ともいう。反応温度は、170〜300℃、好ましくは195〜280℃である。
【0039】
重合は、調整剤の存在下で有利に行うことができる。使用する調整剤は、例えば、水素か、あるいは一般式II
【0040】
【化2】

で表される少なくとも1種の脂肪族アルデヒド若しくは少なくとも1種の脂肪族ケトン又はこれらの混合物である。
【0041】
基R3及びR4は、同一でも異なっていてもよく、
・水素;
・C1−C6アルキル、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、sec−ペンチル、ネオペンチル、1,2−ジメチルプロピル、イソアミル、n−ヘキシル、イソヘキシル、sec−ヘキシル、特に好ましくはC1−C4−アルキル、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル及びtert−ブチル;
・C3−C12シクロアルキル、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル、シクロウンデシル及びシクロドデシル、好ましくはシクロペンチル、シクロヘキシル及びシクロヘプチル;
から選択される。
【0042】
特別な実施の形態では、基R3及びR4は、互いに共有結合して4〜13員環を形成する。従って、R3及びR4は共に、例えば、−(CH24−、−(CH25−、−(CH26−、−(CH27−、−CH(CH3)−CH2−CH2−CH(CH3)−又は−CH(CH3)−CH2−CH2−CH2−CH(CH3)−であってよい。
【0043】
好適な調整剤の例は更に、アルキル芳香族化合物、例えば、トルエン、エチルベンゼン又は1種以上のキシレンの各異性体である。極めて好適な調整剤の例は更に、パラフィン、例えば、イソデカン(2,2,4,6,6−ペンタメチルヘプタン)又はイソオクタンである。
【0044】
慣用のフリーラジカル開始剤、例えば、有機ペルオキシド、酸素又はアゾ化合物を、フリーラジカル重合の開始剤として使用することができる。複数のフリーラジカル開始剤の混合物もまた好適である。
【0045】
市販されている物質から選択される好適なペルオキシドは、ジデカノイルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(2−エチルヘキサノイルペルオキシ)ヘキサン、tert−アミルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジベンゾイルペルオキシド、tert−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート、tert−ブチルペルオキシジエチルアセテート、tert−ブチルペルオキシジエチルイソブチレート、異性体混合物としての1,4−ジ(tert−ブチルペルオキシカルボニル)シクロヘキサン、tert−ブチルペルイソノナノエート、1,1−ジ(tert−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ジ(tert−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン、メチルイソブチルケトンペルオキシド、tert−ブチルペルオキシイソプロピルカーボネート、2,2−ジ(tert−ブチルペルオキシ)ブタン又はtert−ブチルペルオキシアセテート;
tert−ブチルペルオキシベンゾエート、ジ−tert−アミルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、異性体のジ(tert−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ−tert−ブチルペルオキシヘキサン、tert−ブチルクミルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルペルオキシ)ヘキサ−3−イン、ジ−tert−ブチルペルオキシド、1,3−ジイソシプロピルベンゼンモノヒドロペルオキシド、クミルヒドロペルオキシド又はtert−ブチルヒドロペルオキシド;又は
特許文献1で記述されているような、二量体又は三量体のケトンペルオキシドである。
【0046】
特に好適なペルオキシドは、ジ−tert−ブチルペルオキシド、tert−ブチルペルオキシピバレート、tert−ブチルペルオキシイソノナエート又はジベンゾイルペルオキシド又はこれらの混合物である。アゾビスイソブチロニトリル(「AIBN」)を、アゾ化合物として例に挙げてよい。フリーラジカル開始剤を重合のため通常の量で計量添加する。
【0047】
多数の市販の有機ペルオキシドは、取扱いを容易にするために、販売前にいわゆる安定剤と混合されている。好適な安定剤は、例えば、ホワイトオイル又は特にイソドデカン等の炭化水素である。高圧重合の条件下において、このような安定剤は分子量調節作用を有し得る。本発明において、この分子量調節剤の使用は、安定剤の使用に加えて更なる分子量調節剤の追加的な使用の意味として理解されるべきである。
【0048】
エチレン性不飽和カルボン酸は、通常はエチレンよりも共重合体に組み込み易いので、計量したときのコモノマー(a)、(b)及び、適宜(c)の比は、通常は、共重合体(A)中の単位の比とは正確には一致しない。
【0049】
コモノマー(a)、(b)及び、適宜(c)は、通常は共に計量添加しても別に計量添加してもよい。
【0050】
コモノマー(a)、(b)及び、適宜(c)を、圧縮器内で重合圧力に圧縮してもよい。本発明の方法の別の実施の形態では、初めにコモノマーを、ポンプを用いて例えば150〜400バール、好ましくは200〜300バール、特に260バールの高圧とし、次いで圧縮機で実際の重合圧力とする。
【0051】
コモノマー(a)、(b)及び、適宜(c)の共重合は、溶媒、鉱油、ホワイトオイル及び重合の間に反応器内に存在する他の溶媒の非存在下又は存在下に行うことができ、本発明において溶媒とみなされないフリーラジカル開始剤を安定するのに用いられる。好適な溶媒は、例えば、トルエン、イソデカン及びキシレンの各異性体である。
【0052】
少なくとも一部が中和された状態の共重合体(A)を生成するために、好ましくは、1種以上の塩基性アルカリ金属化合物、好ましくは1種以上のアルカリ金属の水酸化物及び/又は炭酸塩及び/又は重炭酸塩の水溶液、特に、水酸化カリウム又は水酸化ナトリウムと混合することができる。
【0053】
本発明の一実施の形態では、共重合体(A)を、カルボキシル基を中和するために必要な量以上のアルカリ金属の水酸化物及び/又は炭酸塩及び/又は重炭酸塩と混合する。
【0054】
本発明のコーティング方法で使用する水性処方物は更に、
(B)少なくとも1種の非イオン性又はアニオン性界面活性剤を含む。
【0055】
非イオン性界面活性剤は、ジ〜デカアルコキル化、好ましくはトリ〜ヘプタアルコキシル化オキソ及び脂肪アルコール、及びフッ素化界面活性剤から選択されることが好ましい。
【0056】
ジ〜デカアルコキシル化、好ましくはトリ〜ヘプタアルコキシル化オキソ又は脂肪アルコールとは、2〜10モル、好ましくは3〜7モルのアルキレンオキシド、好ましくはC2−C4−アルキレンオキシド、例えば、ブチレンオキシド、好ましくはプロピレンオキシド、特に好ましくはエチレンオキシドと、1モルのオキソ又は脂肪アルコールが反応した化合物という意味として理解される。
【0057】
好ましいオキソアルコールは、C11−C21オキソアルコール、特に好ましくはC13−C15オキソアルコールである。好ましい脂肪アルコールは、直鎖の、好ましくは飽和の又は多くても単不飽和の第一級C12−C40アルコールである。
【0058】
フッ素化界面活性剤とは、特に、フッ素化されていない又は好ましくはフッ素化されたアルコールの酸性リン酸エステル、及びフッ素化されたアルコールとフッ素化されていないアルコールの混合酸性リン酸エステル、及び上述した酸性リン酸エステルの塩という意味として理解される。1分子あたり少なくとも1個のフッ素原子、好ましくは少なくとも5個のフッ素原子を有するn−C4−C20−アルカノールは、特にフッ素化アルコールとして挙げてよい。フッ素を含まないn−C4−C20アルカノールは、特にフッ素化されていないアルコールとして挙げてよい。
【0059】
一般式III
【0060】
【化3】

で表される酸性リン酸エステル、
(但し、変数は以下のように定義される:
Fは、F(CF2CF2zから選択され、
zは、1〜9、好ましくは7以下の整数であり、
xは、1又は2であり、
yは、2又は1であり、
x+y=3である)
及び、一般式IV
【0061】
【化4】

で表される酸性リン酸エステル、
(但し、R5は、n−C4−C20−アルキル、好ましくはC18以下のアルキル、例えば、n−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−オクチル、n−ノニル、n−デシル、n−ウンデシル、n−ドデシル、n−テトラデシル、n−ヘキサデシル、n−オクタデシル及びn−エイコシル、特にn−デシル、n−ウンデシル、n−ドデシル、n−テトラデシル、n−ヘキサデシル、n−オクタデシルから選択され、
他の変数は、上記の定義と同様である)が極めて特に好ましい。
【0062】
本発明のコーティング方法で使用する水性処方物は更に、
本発明において、発泡防止剤又は消泡剤(C)ともいう(C)少なくとも一種の消泡剤を含む。
【0063】
好適な消泡剤(C)は、ポリアルコキシル化グリセロール、例えばエトキシル化度(degree of ethoxylation)が2〜20であるグリセロール、例えば一分子あたり10〜50個のポリプロピレンオキシド単位を有するポリプロピレンオキシド、及びトリ−C1−C6−アルキルホスフェートである。トリC1−C6−アルキルホスフェートにおいて、C1−C6基は異なってよいが、同一であることが好ましく、また、直鎖、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、n−ペンチル又はn−ヘキシルであってよく、又は好ましくは分枝状、特に、イソプロピル、イソブチル、sec−ブチル、イソペンチル、sec−ペンチル、3−ペンチル、イソヘキシル、sec−ヘキシル、イソアミル、極めて特に好ましくはイソブチルであってよい。
【0064】
極めて特に好ましい消泡剤(C)は、トリイソブチルホスフェートとも称されるリン酸トリイソブチルエステルである。
【0065】
本発明の一実施の形態では、本発明のコーティング方法で使用する水性処方物は、少なくとも1種の有機アミン(D)、好ましくはエタノールアミン、例えば、モノエタノールアミン、N,N−ジエタノールアミン、N,N,N−トリエタノールアミン又はN−メチルジエタノールアミンを含んでよい。
【0066】
本発明の一実施の形態では、本発明のコーティング方法で使用する水性処方物は、少なくとも1種の有機溶媒(E)、好ましくは水と混和性のある有機溶媒を含んでよい。特に好ましい有機溶媒は、C1−C4−アルコール、特にエタノール及びイソプロパノールであり、更にイソブタノール、n−ブタノール、ブチルジグリコール(ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル)及びメタノールである。
【0067】
本発明の一実施の形態では、本発明のコーティング方法で使用する実質的にパラフィンを含まない水性処方物は、
1〜40質量%、好ましくは5〜30質量%の共重合体(A)、
0.0001〜5質量%、好ましくは0.001〜3質量%のアニオン性又は非イオン性界面活性剤(B)、
0.01〜5質量%、好ましくは0.1〜3質量%の消泡剤(C)、
0〜5質量%、好ましくは0.1〜2質量%の有機アミン(D)、
0〜60質量%、好ましくは0.1〜20質量%の有機溶媒(E)、
を含み、
残りは、塩を含んでよい水又は好ましくは蒸留された水である。質量%の数値は、本発明のコーティング方法で使用される水性処方物の全量に対するものである。
【0068】
本発明のコーティング方法は、例えば、コーティングすべき表面に噴射することにより行うことができる。コーティングすべき表面を有する物を、上述の水性処方物に浸すこともできる。
【0069】
本発明の一実施の形態では、上述した1種以上の水性処方物を、テキスタイル、特に湿った布又は湿った不織布で処理することによりコーティングすべき表面に塗布することができる。
【0070】
硬化は、例えば30〜100℃で乾燥する熱処理により行うことができ、または乾燥は空気中で行うことができる。
【0071】
本発明は更に、本発明のコーティング方法でコーティングされた表面に関する。本発明による表面は、パラフィンでコーティングした表面よりも汚れる傾向が実質的に低い。本発明の表面上では、指紋が、パラフィンでコーティングした表面ほど目につかない。特に、表面が汚され、指紋がついた場合に、本発明の表面は、布、例えば不織布、雑巾(dust cloth)、布巾又はティッシュペーパー、あるいは詰め綿(wadding)で容易にきれいにすることができることが認められる。従って、本発明のコーティング方法によって再度コーティング可能である。
【0072】
多くの場合において、本発明の方法によりコーティングされ、指紋がついた表面は、高い圧力を使用する必要がなく、乾いた布、例えば不織布、雑巾、布巾又はティッシュペーパーできれいにすることができ、あるいは詰め綿(wadding)できれいにすることができる。
【0073】
本発明の方法によりコーティングされた表面は、乾燥後の層の厚さが1〜100μm、好ましくは1.5〜50μmである。簡単に移動する物の表面の場合は、層の厚さは計量によって測定することができる。層の厚さは更に、光学的に、例えば顕微鏡により測定することができる。共重合体(A)及び乳化剤(B)の付着を定量的に推測して層の厚さを計算することもできる。
【0074】
本発明は更に、
(A)メルトフローレート(MFR)が、EN ISO 1133に従って荷重325g、160℃で測定して、1〜50g/10min、好ましくは5〜20g/10min、特に好ましくは7〜15g/10minであり、
(a)65〜84.5質量%、好ましくは70〜73.5質量%のエチレン、
(b)25.5〜35質量%、好ましくは26.5〜30質量%の少なくとも1種のエ
チレン性不飽和カルボン酸、特に(メタ)アクリル酸、
を重合単位の形態で組み込んで含み、且つ、
少なくとも一部がアルカリ金属で中和された、特にカリウム又はナトリウムで中和
された少なくとも1種の共重合体(質量%の数値は共重合体(A)の全量に対す
るものである)、
(B)少なくとも1種の非イオン性又はアニオン性界面活性剤、
(C)少なくとも1種の消泡剤、
(D)適宜、少なくとも1種の有機アミン、
(E)適宜、少なくとも1種の有機溶媒、
を含む、実質的にパラフィンを含まない水性処方物に関する。
【0075】
本発明の一実施の形態では、非イオン性界面活性剤(B)は、トリ〜ヘプタアルコキシル化オキソ及び脂肪アルコールから選択される。
【0076】
本発明の一実施の形態では、アニオン性界面活性剤はフッ素化界面活性剤から選択される。
【0077】
本発明の一実施の形態では、消泡剤(C)は、ポリアルコキシル化グリセロール、ポリプロピレンオキシド及びトリ−C1−C6−アルキルホスフェートから選択される。
【0078】
本発明の一実施の形態では、消泡剤(C)はトリイソブチルホスフェートである。
【0079】
本発明の一実施の形態では、本発明のコーティング方法で使用する実質的にパラフィンを含まない水性処方物は、
1〜40質量%、好ましくは5〜30質量%の共重合体(A)、
0.0001〜5質量%、好ましくは0.001〜3質量%のアニオン性又は非イオン性界面活性剤(B)、
0.01〜5質量%、好ましくは0.1〜3質量%の消泡剤(C)、
0〜5質量%、好ましくは0.1〜2質量%の有機アミン(D)、
0〜60質量%、好ましくは0.1〜20質量%の有機溶媒(E)、
を含み、
残りは好ましくは、塩を含んでよい水又は好ましくは蒸留された水である。質量%の数値は、本発明のコーティング方法で使用される水性処方物の全量に対するものである。
【0080】
共重合体(A)、アニオン性又は非イオン性界面活性剤(B)、消泡剤(C)、有機アミン(D)及び有機溶媒(E)についての更なる詳細は上述されている。
【0081】
本発明の一実施の形態では、本発明の水性処方物は、pHが7.5〜14、特に好ましくは8〜12、極めて特に好ましくは8.5〜11.5である。
【0082】
本発明の一実施の形態では、本発明の水性処方物は、固形分含有量が1.0101〜45質量%、好ましくは3〜35質量%である。
【0083】
本発明は更に、以下で本発明の生成方法ともいう水性処方物の生成方法に関する。本発明の生成方法においては、
(A)メルトフローレート(MFR)が1〜50g/10minであり、
(a)65〜74.5質量%のエチレン、
(b)25.5〜35質量%の少なくとも1種のエチレン性不飽和カルボン酸、
を重合単位の形態で組み込んで含み、且つ、少なくとも一部がアルカリ金属で中
和された、少なくとも1種の共重合体、
(B)少なくとも1種の非イオン性又はアニオン性界面活性剤、
(C)少なくとも1種の消泡剤、
(D)適宜、少なくとも1種の有機アミン、
(E)適宜、少なくとも1種の有機溶媒、
を、水中で互いに混合する。
【0084】
好ましくは、本発明の生成方法を2つの工程で行う手順を採用する。第一工程では、共重合体(A)及び、適宜非イオン性又はアニオン性界面活性剤(B)を水と混合する。第二工程では、消泡剤(C)と、(第一工程で非イオン性又はアニオン性界面活性剤(B)が添加されていない場合は)少なくとも1種の非イオン性又はアニオン性界面活性剤(B)を添加する。有機アミン(D)及び有機溶媒(E)を、添加を必要とする場合には、本発明の生成方法の任意の時点で添加する。
【0085】
本発明の製造方法の第一工程は、共重合体(A)の融点を超える温度で行うことが好ましい。
【0086】
本発明の特別な実施の形態では、本発明の生成方法は上述した1種以上の共重合体(A)から開始する。共重合体(A)を容器、例えばフラスコ、オートクレーブ又はケトルに入れ、共重合体(A)、水及び1種以上の塩基性アルカリ金属化合物、及び適宜更なる成分、例えば非イオン性又はアニオン性界面活性剤(B)又は消泡剤(C)を熱し、水の添加及び塩基性アルカリ金属化合物、及び適宜更なる成分の添加を任意に行う。本発明の生成方法を行うための温度を100℃より高くすべき場合、高圧下で機能し、容器を適切に選択することが有用である。生じたエマルションを、例えば機械的若しくは空気的攪拌により又は振とうにより均質化する。加熱は、共重合体(A)の融点を超える温度に行うことが有利である。有利には、加熱は、共重合体の融点よりも少なくとも10℃、特に有利には少なくとも30℃高い温度まで行う。
【0087】
複数の異なる共重合体(A)を使用する場合、加熱は、最も高い温度で溶融する共重合体(A)の融点を超える温度まで行う。複数の異なる共重合体(A)を使用する場合には、加熱は、最も高い温度で溶融する共重合体(A)の融点より少なくとも10℃高い温度まで行うことが有利である。複数の異なる共重合体(A)を使用する場合、加熱は、最も高い温度で溶融する共重合体(A)の融点より少なくとも30℃高い温度まで行うことが特に有利である。
【0088】
その後、生成した水性処方物を冷却する。少なくとも1種の非イオン性又はアニオン性界面活性剤(B)又は消泡剤(C)を、まだ添加していない場合には冷却の前又は間に添加する。
【0089】
本発明の生成方法により生成された水性処方物は、良好な貯蔵寿命により区別され、上述した本発明のコーティング方法で容易に使用することができる。
【0090】
本発明を実施例により説明する。
【0091】
1.共重合体の生成(A.1)
エチレン及びメタクリル酸を、非特許文献2に記載されているように高圧オートクレーブ内で共重合させた。このために、エチレン(12.0kg/h)を1700バールの反応圧力下で高圧オートクレーブ内に連続的に供給した。これとは別に、0.71kg/h(0.72l/h)のメタクリル酸を、まず260バールの中間圧力に加圧し、次いで1700バールの圧力下で別の圧縮機を用いて高圧オートクレーブ内に供給した。これとは別に、tert−ブチルペルオキシピバレート(イソドデカン中において0.07mol/l)からなる1.18l/hの開始剤溶液を、1700バールの反応圧力下で高圧オートクレーブ内に連続的に供給した。これとは別に、イソドデカン中のプロピオンアルデヒド(濃度は表1参照)からなる表1に示す量の調整剤をまず260バールの中間圧力に加圧し、次いで1700バールの反応圧力下で別の圧縮機を用いて高圧オートクレーブ内に連続的に供給した。
【0092】
高圧反応器の内部の最高温度は約200℃であった。2.3kg/hの共重合体(A.1)が得られたが、これは、以下に示す分析データによると18%のエチレン転化率に相当した。
【0093】
エチレン含有量:72.8質量%、メタクリル酸の含有量:27.2質量%、酸価:170mgKOH/g、融点:79.3℃、密度:0.961g/cm3
共重合体(A.1)のMFRは、160℃において荷重325gで測定して、10.2g/10minであった。
【0094】
共重合体(A.1)中のエチレンとメタクリル酸の含有量は、NMRスペクトロスコピー又は滴定(酸価)により測定した。エチレン共重合体ワックスの酸価を、DIN53402に従って滴定で測定した。KOHの消費量は共重合体(A.1)中のメタクリル酸含有量に相当する。
【0095】
密度をDIN53479に従って測定した。溶融範囲は、DIN51007に従ってDSC(示差走査熱量測定、示差走査熱量測定)により測定した。
【0096】
2.本発明の処方物の生成
初めに206.8gの共重合体(A.1)を、アンカー型攪拌器を備える2リットルのオートクレーブ内に入れた。36.3gのKOHを加え、体積を蒸留水で1リットルとし、攪拌しながら98℃まで加熱した。98℃で180分間の攪拌した後、15分で室温に冷却した。KOHで中和された21質量%の共重合体(A.1)のエマルションを得た。
【0097】
攪拌槽内で、共重合体(A.1)のエマルションと、更なる蒸留水、非イオン性又はアニオン性界面活性剤(B)、消泡剤(C)及び、適宜ジエタノールアミン(D.1)を混合した。本発明の処方物F1〜F8を得た。
【0098】
【表1】

【0099】
略称:
(B.1):C13−C15−オキソアルコール1モル当たり、3モルのエチレンオキシドでエトキシル化したC13−C15−オキソアルコール
(B.2):F(CF2CF25−CH2CH2O)−P(O)(ONH42と[F(CF2CF25−CH2CH2O]2P(O)(ONH4)の1:1混合物(質量部)の40質量%水溶液を水で99:1に希釈した溶液(注記:99質量部の水、1質量部の40質量%のフッ素系界面活性剤)
(C.1):トリイソブチルホスフェート
本発明の処方物F−10は更に、200gのブチルジグリコール(ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル)を含む。
本発明の処方物F−11は更に、575gのブチルジグリコールを含む。
【0100】
比較処方物C−F−9を生成するため、特許文献2の分散液D1を400gと、10gの(B.2)、5gの消泡剤(C.1)及び585gの蒸留水を混合した。
【0101】
3.本発明に従った表面のコーティング及び比較実験
一般的方法:
本発明の処方物F1〜F8又はF−10又はF−11を、湿った布を用いて、ステンレス鋼の断片(piece)(3cm・15cm・3mm)の磨かれたステンレス鋼の表面に塗布し、空気中で乾燥させた。本発明に従ってコーティングしたステンレス鋼の表面を得た。コーティングの厚さは平均で3〜15μmであった。
【0102】
本発明のコーティングされた表面を繰り返し指で触った。多く繰り返して初めて指紋が確認されたが、光を背景に観察したときでも特にはっきりとは見えなかった。指紋は、乾燥した雑巾又はティッシュペーパー又は布巾いずれの場合にも、圧を加えることなく、これらで拭くことにより容易に除去することができた。
【0103】
比較実験:
比較処方物C−F−9を、湿った布を用いて、ステンレス鋼の断片(piece)(3cm・15cm・3mm)の磨かれたステンレス鋼の表面に塗布し、空気中で乾燥させた。コーティングされた比較ステンレス鋼の表面を得た。コーティングの厚さは平均で3〜15μmであった。
【0104】
比較処方物C−F−9でコーティングしたステンレス鋼の表面を指で繰り返し触った。数回繰り返しただけで非審美的な指紋が確認され、これは観察者に非常にはっきりと見え、乾燥した布で除去することができなかった。しかしながら、指紋は洗浄液で除去することができた。
【0105】
4.表面への本発明のコーティングにおける乾燥時間の比較
ワイプ(Tork社の「kitchen roll extra absorbent」)を、本発明の処方物F−7、F−10又はF−11に含浸し、表2の温度で、ブラシをかけたステンレス鋼シート(「シート」)をひと拭きした。次いで乾燥を行った。乾燥時間を測定した。
【0106】
本発明のコーティングされた表面を繰り返し指で触った。多く繰り返して初めて指紋が確認されたが、光を背景に観察したときでも特にはっきりとは見えなかった。指紋は、乾燥した雑巾又はティッシュペーパー又は布巾いずれの場合にも、圧を加えることなく、これらで拭くことにより容易に除去することができた。
【0107】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)メルトフローレート(MFR)が1〜50g/10minであり、
(a)65〜74.5質量%のエチレン、
(b)25.5〜35質量%の少なくとも1種のエチレン性不飽和カルボン酸、
を重合単位の形態で組み込んで含み、且つ、
少なくとも一部がアルカリ金属で中和された、少なくとも1種の共重合体、
(B)少なくとも1種の非イオン性又はアニオン性界面活性剤、
(C)少なくとも1種の消泡剤、
(D)適宜、少なくとも1種の有機アミン、
(E)適宜、少なくとも1種の有機溶媒、
を含む、実質的にパラフィンを含まない水性処方物で処理することを特徴とする表面のコーティング方法。
【請求項2】
表面が、金属を含む表面である請求項1に記載の方法。
【請求項3】
非イオン性界面活性剤(B)が、トリ〜ヘプタアルコキシル化オキソ及び脂肪アルコールから選択される請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
アニオン性界面活性剤(B)が、フッ素化アルコールの酸性リン酸エステルから選択される請求項1又は2に記載の方法。
【請求項5】
処理を、浸漬若しくは噴射として又はテキスタイルでの処理として行う請求項1〜4の何れか1項に記載の方法。
【請求項6】
エチレン性不飽和カルボン酸(b)が、(メタ)アクリル酸である請求項1〜5の何れか1項に記載の方法。
【請求項7】
消泡剤(C)が、ポリアルコキシル化グリセロール、ポリプロピレンオキシド及びトリ−C1〜C6−アルキルホスフェートから選択される請求項1〜6の何れか1項に記載の方法。
【請求項8】
消泡剤(C)が、トリイソブチルホスフェートである請求項1〜7の何れか1項に記載の方法。
【請求項9】
請求項1〜8の何れか1項に記載の方法よりコーティングされた表面。
【請求項10】
(A)メルトフローレート(MFR)が1〜50g/10minであり、
(a)65〜74.5質量%のエチレン、
(b)25.5〜35質量%の少なくとも1種のエチレン性不飽和カルボン酸、
を重合単位の形態で組み込んで含み、且つ、
少なくとも一部がアルカリ金属で中和された、少なくとも1種の共重合体、
(B)少なくとも1種の非イオン性又はアニオン性界面活性剤、
(C)少なくとも1種の消泡剤、
(D)適宜、少なくとも1種の有機アミン、
(E)適宜、少なくとも1種の有機溶媒、
を含む、実質的にパラフィンを含まない水性処方物。
【請求項11】
非イオン性界面活性剤(B)が、トリ〜ヘプタアルコキシル化オキソ及び脂肪アルコールから選択される請求項10に記載の水性処方物。
【請求項12】
アニオン性界面活性剤が、フッ素化界面活性剤から選択される請求項10に記載の水性処方物。
【請求項13】
エチレン性不飽和カルボン酸(b)が、(メタ)アクリル酸である請求項10〜12の何れか1項に記載の水性処方物。
【請求項14】
消泡剤(C)が、ポリアルコキシル化グリセロール、ポリプロピレンオキシド及びトリ−C1−C6アルキルホスフェートから選択される請求項10〜13の何れか1項に記載の水性処方物。
【請求項15】
消泡剤(C)が、トリイソブチルホスフェートである請求項10〜14の何れか1項に記載の水性処方物。
【請求項16】
(A)メルトフローレート(MFR)が1〜50g/10minであり、
(a)65〜74.5質量%のエチレン、
(b)25.5〜35質量%の少なくとも1種のエチレン性不飽和カルボン酸、
を重合単位の形態で組み込んで含み、且つ、
少なくとも一部がアルカリ金属で中和された、少なくとも1種の共重合体、
(B)少なくとも1種の非イオン性又はアニオン性界面活性剤、
(C)少なくとも1種の消泡剤、
(D)適宜、少なくとも1種の有機アミン、
(E)適宜、少なくとも1種の有機溶媒、
を、水中で互いに混合することを特徴とする請求項10〜15の何れか1項に記載の水性処方物の生成方法。

【公表番号】特表2010−517741(P2010−517741A)
【公表日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−547666(P2009−547666)
【出願日】平成20年1月29日(2008.1.29)
【国際出願番号】PCT/EP2008/051029
【国際公開番号】WO2008/092853
【国際公開日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】