説明

表面変性され、熱分解により製造された二酸化チタン

【課題】日焼け防止剤として利用された場合に、透明性が不十分であることおよび皮膚の上で不快な鈍い感触を示すという欠点を示さない、熱分解により製造された二酸化チタンおよびこれを用いた日焼け防止用配合物を提供する。
【解決手段】二酸化ケイ素で被覆された、表面変性され、熱分解により製造された二酸化チタンであり、特にフレーム加水分解により製造され、かつ二酸化ケイ素で被覆された二酸化チタンに表面処理剤を噴霧し、引き続き温度処理することで製造された二酸化チタンおよびこれを用いた日焼け防止用配合物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二酸化ケイ素で被覆された、表面変性され、熱分解により製造された二酸化チタン、その製造法及び日焼け防止用配合物におけるその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
UVフィルターを含有する化粧用調製剤、例えばクリーム又はローションは、過度に強度なUV線から皮膚を保護するために使用される。
【0003】
UVフィルターとして、化粧用調製剤は一般に1種以上の有機化合物を含有しており、該有機化合物は290〜400nmの波長領域内で吸収する:UVB線(290〜320nm);UVA線(320〜400nm)。
【0004】
高エネルギーのUVB線が日焼けの典型的な症状を惹起し、かつ免疫防御の抑制の原因ともなるのに対して、皮膚の層のより深くに侵入するUVA線は、皮膚の早発の老化を惹起する。この2種類の放射線の協同作用が光により惹起される皮膚の疾患、例えば皮膚ガンの進行を助長すると報告されているため、既に達成されたUV保護を更に著しく改善することができる方法の研究が早期に開始された。
【0005】
金属酸化物、例えば二酸化チタン又は酸化亜鉛は日焼け防止剤において広く使用されている。その作用は、実質的に、ダメージを与えるUV線の反射、散乱及び吸収に基づいており、かつ実質的に金属酸化物の一次粒径に依存している。
【0006】
極微小の二酸化チタンは多数の化粧用配合物において使用されているが、それは、該二酸化チタンが化学的に不活性であり、かつ毒物学的に無害であり、かつ皮膚に炎症又は感作の何れももたらさないためである。極微小の二酸化チタンは湿式化学沈降法又は熱(熱分解)気相プロセスにより製造することができる。
【0007】
二酸化チタンの欠点はその光触媒活性であり、これは日焼け防止剤の成分の変化をもたらし得る反応を惹起する。
【0008】
従って、例えば、前記金属酸化物を二酸化ケイ素及び/又は酸化アルミニウムのシェルで包囲することによって、前記金属酸化物のUV遮蔽特性を低減させることなく前記金属酸化物の光触媒活性を低減するために多数の方法が開発されてきた。
【0009】
二酸化ケイ素で二酸化チタン粉末を被覆することは公知である。また、二酸化チタンをオルガノシランで処理し、その光活性を低減させることもできる。
【0010】
長年に亘って市場で確立されてきた極微小の熱分解による二酸化チタンは、二酸化チタンT805又はAEROXIDE TiO T805(Degussa AG)である。前記生成物は、エアロシル(AEROSIL)プロセスによって四塩化チタンをフレーム加水分解し、かつ引き続きオルガノシランを用いて生成物に疎水性を付与することにより製造することができる。疎水性が付与された熱分解によるチタン−鉄混合酸化物は、例えばEP0722992に記載されている。
【0011】
表面処理された熱分解による二酸化チタンを含有する公知の日焼け防止剤は多数の欠点を有する。例えば、皮膚に施与された際、該日焼け防止剤はしばしば不所望な白色被膜を形成し、”白塗り”となり、又は言い換えれば透明性が不充分である。更に、該日焼け防止剤はしばしば皮膚の上で不快な鈍い感触を示す。
【0012】
日焼け防止剤における、フレーム加水分解により、即ち熱分解により製造され、かつ二酸化ケイ素で被覆された二酸化チタンの使用は公知である(WO2004/056927)。
【0013】
先行技術における熱分解による二酸化チタンは多数の欠点を有する:
− 該二酸化チタンを用いて製造された日焼け防止用配合物は、皮膚に施与した際に透明度が不十分であること(”白塗り”)。
− 複雑な分散液が必要であること。
− 例えば化粧用油又は水中の分散液に対する顕著な増粘効果によって、高いTiO含分を有する分散液又は日焼け防止剤の製造が困難となること。
− 該二酸化チタンを用いて製造された日焼け防止用配合物は皮膚の上で鈍い感触を示すこと。
【特許文献1】EP0722992
【特許文献2】WO2004/056927
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
従って、本発明の課題は、前記の欠点を示さない、熱分解により製造された二酸化チタンを見い出すことである。
【0015】
本発明の他の課題は、改善された透明度及び感触特性を有する日焼け防止剤を見い出すことである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、二酸化ケイ素で被覆された、表面変性され、熱分解により製造された二酸化チタンを提供する。
【0017】
本発明は更に、フレーム加水分解により製造され、かつ二酸化ケイ素で被覆された二酸化チタンに場合により第一に水を噴霧し、その後表面変性剤を噴霧し、引き続き温度処理することを特徴とする、本発明による、二酸化ケイ素で被覆された、表面変性され、熱分解により製造された二酸化チタンの製造法を提供する。
【0018】
使用される水は、酸、例えば塩酸を用いてpH値7〜1に酸性化されてよい。使用される水は、アルカリ液を用いてpH値7〜14にアルカリ性にされてよい。
【0019】
多種の表面変性剤を使用する場合、これらは一緒に、別個に、連続して、又は混合物の形で使用されてよい。
【0020】
一種以上の表面変性剤は適当な溶剤中に溶解されてよい。噴霧が完了した際、混合を5〜30分間実施することができる。
【0021】
その後、混合物は20〜400℃の温度で0.1〜6時間の期間に亘って熱処理される。熱処理は、例えば窒素のような保護ガス下で実施されてよい。
【0022】
フレーム加水分解により製造され、かつ二酸化ケイ素で被覆された二酸化チタンの表面変性のための別の方法は、フレーム加水分解により製造され、かつ二酸化ケイ素で被覆された二酸化チタンを蒸気形の表面変性剤で処理し、次いで熱処理を実施することにより実施されることができる。熱処理は50〜800℃の温度で0.1〜6時間の期間に亘って実施されてよい。熱処理は、例えば窒素のような保護ガス下で実施されてよい。熱処理は種々の温度で複数の工程において実施されてもよい。
【0023】
一種以上の表面変性剤の施与は、単一成分、2成分又は超音波ノズルを用いて行われてよい。
【0024】
表面変性は連続的に、又はバッチ式に、噴霧装置を備えた加熱可能なミキサー及び乾燥器中で実施されてよい。適当な装置は、例えばプラウシェアミキサー、ディスク、流動床又は固定床乾燥器であってよい。
【0025】
熱処理が完了したら、本発明による酸化物は粉砕されてよい。このために、ピン型ディスク、歯付きディスク又はジェットミルを使用することができる。
【0026】
表面変性剤として以下の群からのシランを使用することができる:
a)(RO)Si(C2n+1)及び(RO)Si(C2n−1)の型のオルガノシラン
R=アルキル、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、ブチル、
n=1〜20、
b)R’(RO)Si(C2n+1)及びR’(RO)Si(C2n−1)の型のオルガノシラン
R=アルキル、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、ブチル、
R’=アルキル、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、ブチル、
R’=シクロアルキル、
n=1〜20、
x+y=3、
x=1、2、
y=1、2、
c)XSi(C2n+1)及びXSi(C2n−1)の型のハロオルガノシラン
X=Cl、Br
n=1〜20、
d)X(R’)Si(C2n+1)及びX(R’)Si(C2n−1)の型のハロオルガノシラン
X=Cl、Br
R’=アルキル、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、ブチル、
R’=シクロアルキル、
n=1〜20、
e)X(R’)Si(C2n+1)及びX(R’)Si(C2n−1)の型のハロオルガノシラン
X=Cl、Br
R’=アルキル、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、ブチル、
R’=シクロアルキル、
n=1〜20、
f)(RO)Si(CH−R’型のオルガノシラン
R=アルキル、例えばメチル、エチル、プロピル、
m=0.1〜20、
R’=メチル、アリール(例えば−C、置換されたフェニル基)
−C、OCF−CHF−CF、−C13、−O−CF−CHF
−NH、−N、−SCN、−CH=CH、−NH−CH−CH−NH
−N−(CH−CH−NH
−OOC(CH)C=CH
−OCH−CH(O)CH
−NH−CO−N−CO−(CH
−NH−COO−CH、−NH−COO−CH−CH、−NH−(CHSi(OR)
−S−(CHSi(OR)
−SH
−NR’R’’R’’’(R’=アルキル、アリール;R’’=H、アルキル、アリール;R’’’=H、アルキル、アリール、ベンジル、CNR’’’’R’’’’’、ここで、R’’’’=H、アルキル及びR’’’’’=H、アルキル)
g)(R’’)(RO)Si(CH−R’型のオルガノシラン
R’’=アルキル x+y=3
=シクロアルキル x=1、2
y=1、2
m=0.1〜20
R’=メチル、アリール(例えば−C、置換されたフェニル基)
−C、OCF−CHF−CF、−C13、−O−CF−CHF
−NH、−N、−SCN、−CH=CH、−NH−CH−CH−NH
−N−(CH−CH−NH
−OOC(CH)C=CH
−OCH−CH(O)CH
−NH−CO−N−CO−(CH
−NH−COO−CH、−NH−COO−CH−CH、−NH−(CHSi(OR)
−S−(CHSi(OR)
−SH
−NR’R’’R’’’(R’=アルキル、アリール;R’’=H、アルキル、アリール;R’’’=H、アルキル、アリール、ベンジル、CNR’’’’R’’’’’、ここで、R’’’’=H、アルキル及びR’’’’’=H、アルキル)
h)XSi(CH−R’型のハロオルガノシラン
X=Cl、Br、
m=0.1〜20
R’=メチル、アリール(例えば−C、置換されたフェニル基)
−C、OCF−CHF−CF、−C13、−O−CF−CHF
−NH、−N、−SCN、−CH=CH
−NH−CH−CH−NH
−N−(CH−CH−NH
−OOC(CH)C=CH
−OCH−CH(O)CH
−NH−CO−N−CO−(CH
−NH−COO−CH、−NH−COO−CH−CH、−NH−(CHSi(OR)
−S−(CHSi(OR)
−SH
i)(R)XSi(CH−R’型のハロオルガノシラン
X=Cl、Br、
R=アルキル、例えばメチル、エチル、プロピル、
m=0.1〜20
R’=メチル、アリール(例えば−C、置換されたフェニル基)
−C、OCF−CHF−CF、−C13、−O−CF−CHF
−NH、−N、−SCN、−CH=CH、−NH−CH−CH−NH
−N−(CH−CH−NH
−OOC(CH)C=CH
−OCH−CH(O)CH
−NH−CO−N−CO−(CH
−NH−COO−CH、−NH−COO−CH−CH、−NH−(CHSi(OR)、ここで、Rはメチル、エチル、プロピル、ブチルであってよい、
−S−(CHSi(OR)、ここで、Rはメチル、エチル、プロピル、ブチルであってよい、
−SH
j)(R)XSi(CH−R’型のハロオルガノシラン
X=Cl、Br、
R=アルキル、
m=0.1〜20
R’=メチル、アリール(例えば−C、置換されたフェニル基)
−C、OCF−CHF−CF、−C13、−O−CF−CHF
−NH、−N、−SCN、−CH=CH、−NH−CH−CH−NH
−N−(CH−CH−NH
−OOC(CH)C=CH
−OCH−CH(O)CH
−NH−CO−N−CO−(CH
−NH−COO−CH、−NH−COO−CH−CH、−NH−(CHSi(OR)
−S−(CHSi(OR)
−SH
k)以下の型
【0027】
【化1】

のシラザン
R=アルキル、ビニル、アリール、
R’=アルキル、ビニル、アリール、
l)D3、D4、D5の型の環式ポリシロキサン、ここで、D3、D4及びD5は−O−Si(CH−の型の単位を3、4又は5個有する環式ポリシロキサンであると理解される。例えばオクタメチルシクロテトラシロキサン=D4である
【0028】
【化2】

【0029】
m)以下の型
【0030】
【化3】

のポリシロキサン又はシリコーン油
R=アルキル、例えばC2n+1(但しn=1〜20)、アリール、例えばフェニル及び置換されたフェニル基、(CH−NH、H、
R’=アルキル、例えばC2n+1(但しn=1〜20)、アリール、例えばフェニル及び置換されたフェニル基、(CH−NH、H、
R’’=アルキル、例えばC2n+1(但しn=1〜20)、アリール、例えばフェニル及び置換されたフェニル基、(CH−NH、H、
R’’’=アルキル、例えばC2n+1(但しn=1〜20)、アリール、例えばフェニル及び置換されたフェニル基、(CH−NH、H。
【0031】
WO2004/056927によれば、出発材料として有利に、フレーム加水分解により製造され、かつ二酸化ケイ素で被覆された二酸化チタンを使用することができる。
【0032】
従って、二酸化チタンのコア及び二酸化ケイ素のシェルを有する粒子から成る粉末を使用することができ、その際、該粉末は以下により特徴付けられる:
− 前記粉末は0.5〜40質量%の二酸化ケイ素の量を含有する。
− 前記粉末は5〜300m/gのBET表面積を有する、及び
− 前記粉末は二酸化ケイ素のシェル及び二酸化チタンのコアを有する一次粒子から成る。
【0033】
本発明による粉末中での二酸化ケイ素の量は0.5〜40質量%である。0.5質量%未満の値では、完全に閉鎖された二酸化ケイ素シェルは保証されない。40質量%を上回る値では、二酸化ケイ素で被覆された二酸化チタン粉末のUV吸収性は低すぎる。
【0034】
本発明による粉末のBET表面積はDIN66131に準拠して測定される。
【0035】
一次粒子とは、化学結合を破壊することなしにはそれ以上分解できない極めて小さな粒子であると解釈されるべきである。
【0036】
この一次粒子は密集して成長し、凝集体を形成する。凝集体は、その表面積が、凝集体を構成する一次粒子の表面積の総和よりも小さいという事実によって特徴付けられる。更に、凝集体は分散の際に一次粒子へと完全には分割されない。低いBET表面積を有する本発明による粉末は、完全にか又は大部分が非凝集一次粒子の形で存在してよく、その一方で高いBET表面積を有する本発明による粉末はより高い凝集程度を有するか、又は完全に凝集した形で存在する。
【0037】
有利に、凝集体はその二酸化ケイ素シェルを介して密集して成長した一次粒子から成る。そのような凝集体構造をベースとする本発明による粉末は、高い吸収性を有する一方で、特に低い光活性を示す。
【0038】
更に有利に、本発明による粉末は、1〜20質量%の二酸化ケイ素含分を有してよい。
【0039】
本発明による粉末の二酸化チタンコアのルチル/アナタース変態の比は、広い限度内で変動し得る。例えば、ルチル/アナタース変態の比は1:99〜99:1、有利に10:90〜90:10であってよい。二酸化チタン変態は種々の光活性を示す。ルチル/アナタース変態比の広い限度によって、かつそれと共にシェルの二酸化ケイ素含分によって、例えば意図的な方法で日焼け防止剤への適用のための粉末を選択することが可能である。
【0040】
本発明により使用することができる粉末は、有利に少なくとも95%、特に有利に少なくとも97%の、320nmでの吸収、及び、有利に少なくとも90%、特に有利に少なくとも92%の、360nmでの吸収を有してよい。吸収は、それぞれの場合において、3質量%の固体含分を有する粉末の水性分散液中で測定される。
【0041】
本発明により使用することができる粉末は、有利に0.5未満、特に有利に0.3未満の光活性指数を有してよい。
【0042】
光活性指数を測定する場合、測定すべき試料を2−プロパノール中に懸濁させ、1時間に亘ってUV光を照射する。その後、形成されたアセトンの濃度を測定する。
【0043】
光活性指数は、本発明による粉末を用いた場合に測定されたアセトン濃度と、二酸化チタンP25(Degussa社製の熱分解により製造された二酸化チタン)を用いた場合に測定されたアセトン濃度との比である。
【0044】
mg/kgでのアセトン濃度を試料の光触媒活性の測定値として使用することができる。なぜならば、アセトンの形成は式dc[Ac]/dt=kによる0次の速度論により記載することができるためである。
【0045】
本発明による粉末の等電点(IEP)は、有利に1〜4、特に有利に2〜3のpH値であってよい。
【0046】
従って、安定な分散液は、例えば日焼け防止剤にとって重要であるpH5〜7の範囲内で製造されることができる。他の添加剤を分散液に添加しなければ、シェルなしの二酸化チタン粒子は前記範囲内で不安定な分散液をもたらす。
【0047】
IEPはゼータ電位が0であるpH値を示す。二酸化チタンの場合、IEPは約5〜6であり、二酸化ケイ素の場合、IEPは約2〜4である。粒子が表面上に酸性基又は塩基性基を有している分散液内で、電荷はpH値の調節により変化し得る。pH値とIEPとの差が大きいほど分散液はより安定になる。
【0048】
ゼータ電位は粒子の表面電荷の測定値である。ゼータ電位とは、分散液中の本発明による粉末/電解質の電気化学的二重層粒子内の剪断面での電位の意味であると解釈されるべきである。ゼータ電位は特に、例えば二酸化ケイ素、二酸化チタン、二酸化ケイ素で被覆された二酸化チタンといった粒子の型に依存する。同一の材料の粒子は表面電荷の同一の符号を有するために、相互に反発し合う。しかしながら、ゼータ電位が小さすぎる場合、反発力が粒子のファンデルワールス引力を補償することができずに、粒子の凝集及び場合により沈降が生じる。
【0049】
本発明による粉末のゼータ電位は水性分散液中で測定される。
【0050】
更に、本発明による粉末は有利に40〜120m/g、特に有利に60〜70m/gのBET表面積を有してよい。
【0051】
酸化物として、場合により付加的に、Degussa社の特許文献EP07722992により施与される全ての他のチタン−ケイ素混合酸化物を使用することができる。
【0052】
本発明は更に、二酸化ケイ素で被覆された、表面変性され、熱分解により製造された二酸化チタンを0.1〜25質量%の量で含有することを特徴とする日焼け防止用配合物を提供する。
【0053】
1つ以上の油相を含む本発明による日焼け防止用配合物は、有利に付加的に1つ以上の水相を含んでよく、かつ例えばW/O、O/W、W/O/W又はO/W/Oエマルションの形で存在してよい。そのような配合物は有利にマイクロエマルション、スティック、フォーム(いわゆるムース)、ソリッドエマルション(即ち固体により安定化されたエマルション、例えばピカリング(Pickering)エマルション)、噴霧可能なエマルション又は水性分散液であってもよい。更に、調製剤は有利に油不含及び/又は水性−アルコール性溶液であってもよい。
【0054】
(肉眼で見ることのできる)2又は多相系も本発明によれば有利である。本発明の範囲内で、「2又は多相」とは、2以上の相が上下に層状に分離していることを意味する。肉眼で見ることのできる相の少なくとも1つが(W/O、O/W、マイクロ−)エマルションであることは本発明の範囲内で特に有利である。エマルション自体は、相互に均質化された2以上の相によって形成されることは当然のことながら当業者に公知であるが、このように(肉眼で)見た場合、エマルションは1つの相であると認めることができる。「エマルション相」は長期間に亘って安定であるため、エマルション内で、相の凝離又は分離は長期(数ヶ月、数年)であっても生じない。
【0055】
肉眼で見ることのできる相又は層は、有利に(例えば振盪によって)短期間で乳化され、均質なエマルションが形成されることができるが、しかしながらこれは長期に亘って安定というわけではなく、むしろ数分、数時間又は数日の期間で、再度上下に層状に2以上の相に分離する。
【0056】
肉眼で見ることのできる相の少なくとも一方がマイクロエマルションであり、かつ肉眼で見ることのできる相の少なくとももう一方が油相であることは、本発明の範囲内で特に有利である。
【0057】
噴霧可能なO/Wエマルション、特にO/Wマイクロエマルションは本発明の範囲内で特に有利である。
【0058】
通常は「単一」、即ち多重ではないエマルションの液滴直径は、約1μm〜約50μmの範囲内である。他の着色添加剤なしでは、そのような「マクロエマルション」は乳白色であり、かつ不透明である。液滴直径が約0.5μm〜約1μmの範囲内であるより微細な「マクロエマルション」もまた、着色添加剤なしでは青白色でありかつ不透明である。そのような「マクロエマルション」は通常高い粘度を有する。
【0059】
それに対して本発明の範囲内でのマイクロエマルションの液滴直径は約50〜約500nmの範囲内である。そのようなマイクロエマルションは青白色から半透明であり、かつ大抵は低粘度である。O/W型の多くのマイクロエマルションの粘度は水の粘度と比較可能である。
【0060】
マイクロエマルションの利点は、活性成分が、「マクロエマルション」の分散相中よりも微細に分散された形で分散相内に存在できることである。他の利点は、マイクロエマルションの粘度が低いためにマイクロエマルションが噴霧可能であることである。マイクロエマルションが化粧品として使用される場合、相応する製品は化粧品の高度の洗練性によって特徴付けられる。
【0061】
いわゆる転相温度技術を用いて得ることができ、かつ以下の特性を有する乳化剤の群から選択された少なくとも1種の乳化剤(乳化剤A)を含有するO/Wマイクロエマルションは、本発明によれば特に有利である:
− 該乳化剤の親油性は、温度を上昇させることによって親油性が増加し、かつ温度を低下させることによって該乳化剤の親油性が減少するというように温度に依存している。
【0062】
有利な乳化剤Aは、例えば、ポリエトキシル化脂肪酸(PEG−100ステアラート、PEG−20ステアラート、PEG−150ラウレス(laurath)、PEG−8ジステアラート等)及び/又はポリエトキシル化脂肪アルコール(セテアレス(cetearath)−12、セテアレス−20、イソセテス(isoceteth)−20、ベヘネス(beheneth)−20、ラウレス−9等)及び/又はアルキルポリグリコシド(セテアリルグリコシド、ステアリルグリコシド、パルミチルグリコシド等)である。
【0063】
転相が実質的に温度の変化により生じるという前提で、O/Wエマルション、特にO/Wマイクロエマルションを得ることができ、その際、比較的高い乳化剤濃度により比較的小さい液滴が生じ、比較的低い乳化剤濃度により比較的大きい液滴が生じるというように、油滴のサイズは実質的に使用される一種以上の乳化剤の濃度により決定される。液滴サイズは一般に20〜500nmである。
【0064】
例えば本発明による調製剤の湿度安定性を高めるために、乳化剤Aの定義に属さない他のW/O又はO/W乳化剤を使用することは、本発明の範囲内で有利であり得る。ここで例えば、アルキルメチコンコポリオール及び/又はアルキルジメチコンコポリオール(特にセチルジメチコンコポリオール、ラウリルメチコンコポリオール)、W/O乳化剤(例えばソルビタンステアラート、グリセリルステアラート、グリセリンステアラート、ソルビタンオレアート、レシチン、グリセリルイソステアラート、ポリグリセリル−3−オレアート、ポリグリセリル−3−ジイソステアラート、PEG−7硬化ヒマシ油、ポリグリセリル−4−ジステアラート、アクリラート/C10−30−アルキルアクリラートクロスポリマー、ソルビタンイソステアラート、ポロキサマー101、ポリグリセリル−2−ジポリヒドロキシステアラート、ポリグリセリル−3−ジイソステアラート、ポリグリセリル−4−ジポリヒドロキシステアラート、PEG−30ジポリヒドロキシステアラート、ジイソステアロイルポリグリセリル−3−ジイソステアラート、グリコールジステアラート、ポリグリセリル−3−ジポリヒドロキシステアラート)及び/又は硫酸又はリン酸の脂肪酸エステル(セチルホスファート、トリラウレス−4ホスファート、トリオレス−8ホスファート、ステアリルホスファート、セテアリルスルファート等)を使用することができる。
【0065】
本発明の範囲内での他の有利な噴霧可能なO/Wエマルションは、少なくとも1つの油相及び少なくとも1つの水相を含有する低粘度の化粧用又は皮膚用水分散液であり、その際、調製剤は少なくとも1種のゲル形成剤により安定化されており、必ずしも乳化剤を含有する必要はないが、しかしながら1種以上の乳化剤を含有してもよい。
【0066】
そのような調製剤のための有利なゲル形成剤は、例えばC10−30−アルキルアクリラートと、アクリル酸、メタクリル酸又はそのエステルの1種以上のモノマーとのコポリマーである。そのような化合物のINCI名称は「アクリラート/C10−30アルキルアクリラートクロスポリマー」である。Goodrich (Noveon)社製のペムレン(Pemulen)(登録商標)TRl、TR2及びTRZ型は特に有利である。
【0067】
カルボポール(Carbopol)もそのような調製剤のために有利なゲル形成剤である。カルボポールはアクリル酸のポリマー、また特にアクリラート−アルキルアクリラートコポリマーである。有利なカルボポールは、例えば型907、910、934、940、941、951、954、980、981、1342、1382、2984及び5984、並びにETD型2020、2050及びcarbopol Ultrez 10である。そのような調製剤のための他の有利なゲル形成剤は、キサンタンガム、セルロース誘導体及びイナゴマメ穀粉である。
【0068】
使用することのできる可能な(場合による)乳化剤は、エトキシル化脂肪アルコール又はエトキシル化脂肪酸(特にPEG−100ステアラート、セテアレス−20)及び/又は他の非イオン性界面活性物質である。
【0069】
また有利に、噴霧可能であるほど極めて低粘度のエマルションは、W/O又はシリコーン油中水(W/S)エマルションであってもよい。特に有利なものは、以下:
− ≦8のHLB価を有する少なくとも1種のシリコーン乳化剤(W/S)及び/又は<7のHLB価を有する少なくとも1種のW/O乳化剤
を含むW/O又はW/Sエマルション、及び
>10のHLB価を有する少なくとも1種のO/W乳化剤である。
【0070】
そのような調製剤は更に少なくとも20質量%の脂質を含有し、その際、脂質相はシリコーン油も含んでよいか、又は更には完全にそのような油から成ってよい。1種以上のシリコーン乳化剤は、有利にアルキルメチコンコポリオール及び/又はアルキルジメチコンコポリオール、例えばGoldschmidt AGによりABIL(登録商標)B 8842、ABIL(登録商標)B 8843、ABIL(登録商標)B 8847、ABIL(登録商標)B 8851、ABIL(登録商標)B 8852、ABIL(登録商標)B 8863、ABIL(登録商標)B 8873及びABIL(登録商標)B 88183の商品名で市販されているジメチコンコポリオール、セチルジメチコンコポリオール[Goldschmidt AG/ABIL(登録商標)EM 90]、シクロメチコンジメチコンコポリオール[Goldschmidt AG/ABIL(登録商標)EM 97]、ラウリルメチコンコポリオール[Dow Corning Ltd. I Dow Corning 5200 Formulation Aid]、オクチルジメチコンエトキシグルコシド[Wacker]の群から選択されてよい。
【0071】
<7のHLB価を有する1種以上のW/O乳化剤は、有利に以下の群から選択されてよい:ソルビタンステアラート、ソルビタンオレアート、レシチン、グリセリルラノラート、ラノリン、硬化ヒマシ油、グリセリルイソステアラート、ポリグリセリル−3−オレアート、ペンタエリトリチルイソステアラート、メチルグルコースジオレアート、メチルグルコースジオレアート(ヒドロキシステアラート及び蜜ロウとの混合物)、PEG−7硬化ヒマシ油、ポリグリセリル−4−イソステアラート、ヘキシルラウラート、アクリラート/C10−30−アルキルアクリラートクロスポリマー、ソルビタンイソステアラート、ポリグリセリル−2−ジポリヒドロキシステアラート、ポリグリセリル−3−ジイソステアラート、PEG−30ジポリヒドロキシステアラート、ジイソステアロイルポリグリセリル−3−ジイソステアラート、ポリグリセリル−3−ジポリヒドロキシステアラート、ポリグリセリル−4−ジポリヒドロキシステアラート、ポリグリセリル−3−ジオレアート。
【0072】
>10のHLB価を有する1種以上のO/W乳化剤は、有利に以下の群から選択されてよい:グリセリルステアラート、以下のものとの混合物:セテアレス−20、セテアレス−25、セテアレス−6、以下のものとの混合物:ステアリルアルコール、セチルステアリルアルコール、以下のものとの混合物:PEG−40ヒマシ油及びセチルステアリル硫酸ナトリウム、トリセテアレス−4ホスファート、グリセリルステアラート、セチルステアリル硫酸ナトリウム、レシチントリラウレス−4ホスファート、ラウレス−4ホスファート、ステアリン酸、プロピレングリコールステアラートSE、PEG−9ステアラート、PEG−20ステアラート、PEG−30ステアラート、PEG−40ステアラート、PEG−100ステアラート、セテス−2、セテス−20、ポリソルバート−20、ポリソルバート−60、ポリソルバート−65、ポリソルバート−100、グリセリルステアラート、以下のものとの混合物:PEG−100ステアラート、セテアレス−3、イソステアリルグリセリルエーテル、セチルステアリルアルコール、以下のものとの混合物:セチルステアリル硫酸ナトリウム、PEG−40ステアラート、グリコールジステアラート、ポリグリセリル−2−PEG−4−ステアラート、セテアレス−12、セテアレス−20、セテアレス−30、メチルグルコースセスキステアラート、ステアレス−10、PEG−20ステアラート、ステアレス−21、ステアレス−20、イソステアレス−20、PEG−45/ドデシルグリコールコポリマー、グリセリルステアラートSE、セテス−20、PEG−20メチルグルコースセスキステアラート、グリセリルステアラートシトラート、セチルホスファート、セテアリルスルファート、ソルビタンセスキオレアート、トリセテアレス−4−ホスファート、トリラウレス−4−ホスファート、ポリグリセリルメチルグルコースジステアラート、セチルリン酸カリウム、イソステアレス−10、ポリグリセリル−2−セスキイソステアラート、セテス−10、イソセテス−20、グリセリルステアラート、以下のものとの混合物:セテアレス−20、セテアレス−12、セチルステアリルアルコール及びセチルパルミタート、PEG−30ステアラート、PEG−40ステアラート、PEG−100ステアラート。
【0073】
水性−アルコール性溶液も有利である。水性−アルコール性溶液はエタノール0質量%〜90質量%を含有することができる。本発明の範囲内で、水性−アルコール性溶液は有利に可溶化剤、例えばPEG−40又はPEG−60硬化ヒマシ油を含有してもよい。
【0074】
本発明による調製剤は、有利に、化粧用又は皮膚用含浸液として使用されることもでき、これを用いて、特に水に不溶性の基体(例えば織布又は不織布)を湿潤させる。そのような含浸液は有利に低粘度であり、特に噴霧可能であり(例えばPITエマルション、水分散液、W/Oエマルション、油、水溶液等)、かつ有利に2000mPas未満、特に1500mPas未満の粘度を有する(測定装置:Haake粘度計VT 02、25℃)。そのような含浸液を用いて、例えば、柔軟で水に不溶性の材料と低粘度の化粧用及び皮膚用含浸液との組み合わせを意味する化粧用日焼け防止用布、ケア用布等を得ることができる。
【0075】
本発明による調製剤は、有利に無水油又は油ゲル又はペーストの形であってもよい。有利な油は、例えば合成、半合成又は天然油、例えば菜種油、米油、アボカド油、オリーブ油、鉱油、ココグリセリド、ブチレングリコールジカプリラート/ジカプラート、C12−15−アルキルベンゾアート、ジカプリリルカーボナート、オクチルドデカノール等である。油−ゲル形成剤として、>25℃の融点を有する広範囲の多種のロウを使用することができる。エアロシル(Aerosil)、アルキルガラクトマンナン(例えばHercules社製のN-Hance AG 200及びN-Hance AG 50)及びポリエチレン誘導体の群からのゲル形成剤も有利である。
【0076】
本発明の範囲内で、自己発泡性、泡状、後発泡性又は発泡可能な化粧用及び皮膚用調製剤も特に有利である。
【0077】
「自己発泡性」、「泡状」、「後発泡性」及び「発泡可能」とは、原則的に(製造プロセスの間、消費者による使用の間、又は他の様式で)1種以上のガスの導入によりフォームを生じさせることができるような調製剤を意味すると解釈されるべきである。そのようなフォーム内では、気泡が(何らかの所望の様式で)1つの(又はそれ以上の)液相中に分配されているが、(発泡した)調製剤が肉眼的にフォームの外観を有している必要はない。本発明による(発泡した)化粧用又は皮膚用調製剤(以下で簡略化のためにフォームとも呼称される)は、例えば肉眼で見える、液中に分散されたガスの分散系を意味し得る。しかしながら、例えば(光学)顕微鏡下でのみフォームの性状を認めることができてもよい。
【0078】
更に、本発明によるフォームは、(特に気泡が光学顕微鏡下での検出には小さすぎる場合には)系の体積の顕著な増加によっても認識可能である。
【0079】
本発明によるα−オレフィン/無水マレイン酸コポリマーの使用がガスの導入を補助し、かつ安定化及び顕著なフォーム増加効果を比較的高温(例えば40℃)であっても長い貯蔵期間に亘って達成することができることは、特に意想外であり、かつ同様に進歩性に基づくものである。特別な界面活性剤を使用しなくてもよいことは特に意想外であった。ガスの導入は、意想外にも、先行技術と比較して極めて増加される。例えば100%まで増加したガス体積を伴うフォームの増大を、発泡剤、例えば先行技術により慣用である界面活性剤を使用することなく達成することができる。
【0080】
結果として、高温で長い貯蔵期間に亘って高いガス体積(空気及び/又は他のガス、例えば酸素、二酸化炭素、窒素、ヘリウム、アルゴン等)を有する配合を安定的に生じさせることが可能である。
【0081】
従って本発明は更に、自己発泡性、泡状、後発泡性又は発泡可能な化粧用及び皮膚用調製剤の発泡を増大させるための、1種以上のα−オレフィン/無水マレイン酸コポリマーの使用に関する。
【0082】
本発明の範囲内で、「フォームの増大」とは、本発明によるフォームへのガスの導入が、本発明によるα−オレフィン/無水マレイン酸コポリマーを含有しないこと以外は同一である調製剤への導入と比較して著しく増加されることを意味すると解釈されるべきである。従って本発明によるフォームは、本発明によるα−オレフィン/無水マレイン酸コポリマーを含有しない調製剤よりも明らかに高いガス体積を占めることができる。
【0083】
「フォームの増大」とは更に、発泡した調製剤の安定性(「フォーム安定性」)が、本発明によるα−オレフィン/無水マレイン酸コポリマーを含有しないこと以外は同一である調製剤と比較して著しく改善される、即ち、フォームの破壊が本発明による使用によって時間に関して遅延されることを意味する。
【0084】
本発明の範囲内で、そのような調製剤は有利に以下:
A)10〜40個の炭素原子の鎖長を有する、完全に中和された、部分的に中和された、又は中和されていない、分枝鎖及び/又は非分枝鎖、飽和及び/又は不飽和の脂肪酸の群から選択された少なくとも1種の乳化剤A
B)10〜40個の炭素原子の鎖長を有し、かつ5〜100のエトキシル化の程度を有する、ポリエトキシル化脂肪酸エステルの群から選択された少なくとも1種の乳化剤B、及び
C)10〜40個の炭素原子の鎖長を有する、飽和及び/又は不飽和、分枝鎖及び/又は非分枝鎖の脂肪アルコールの群から選択された少なくとも1種の共乳化剤C
から成る乳化剤系を含有する。
【0085】
1種以上の乳化剤Aは有利に、慣用のアルカリ(例えば水酸化ナトリウム及び/又は水酸化カリウム、炭酸ナトリウム及び/又は炭酸カリウム及びモノエタノールアミン及び/又はトリエタノールアミン)で完全にか又は部分的に中和された脂肪酸の群から選択される。特に有利な脂肪酸の例は、ステアリン酸及びステアリン酸塩、イソステアリン酸及びイソステアリン酸塩、パルミチン酸及びパルミチン酸塩、並びにミリスチン酸及びミリスチン酸塩である。
【0086】
1種以上の乳化剤Bは有利に以下の群から選択される:PEG−9ステアラート、PEG−8ジステアラート、PEG−20ステアラート、PEG−8ステアラート、PEG−8オレアート、PEG−25グリセリルトリオレアート、PEG−40ソルビタンラノラート、PEG−15グリセリルリシノレアート、PEG−20グリセリルステアラート、PEG−20グリセリルイソステアラート、PEG−20グリセリルオレアート、PEG−20ステアラート、PEG−20メチルグルコースセスキステアラート、PEG−30グリセリルイソステアラート、PEG−20グリセリルラウラート、PEG−30ステアラート、PEG−30グリセリルステアラート、PEG−40ステアラート、PEG−30グリセリルラウラート、PEG−50ステアラート、PEG−100ステアラート、PEG−150ラウラート。例えばポリエトキシル化ステアリン酸エステルは特に有利である。
【0087】
1種以上の共乳化剤Cは有利に本発明によれば以下の群から選択される:ベヘニルアルコール(C2245OH)、セテアリルアルコール[セチルアルコール(C1633OH)とステアリルアルコール(C1837OH)との混合物]、ラノリンアルコール(羊毛脂の鹸化の後に得られる羊毛脂の鹸化不可能なアルコールフラクションを表す羊毛脂アルコール)。セチルアルコール及びセチルステアリルアルコールは特に有利である。
【0088】
本発明によれば、乳化剤A:乳化剤B:共乳化剤C(A:B:C)の質量比を、a:b:cとして、a、b及びcが相互に独立して1〜5、有利に1〜3の有理数で表されるように選択するのが有利である。約1:1:1の質量比は特に有利である。
【0089】
本発明の範囲内で、乳化剤A及びB及び共乳化剤Cの全量を、それぞれ配合物の全質量に対して2〜20質量%、有利に5〜15質量%、特に7〜13質量%の範囲から選択するのが有利である。
【0090】
本発明の範囲内で、極めて微細に分散された固体粒子によってのみ安定化されている化粧用又は皮膚用調製剤も特に有利である。そのような「乳化剤フリー」エマルションはピカリングエマルションとも呼称されている。
【0091】
ピカリングエマルションにおいて、固体物質は油/水界面で層の形で集中し、これにより分散相の合流が妨げられる。固体粒子の表面特性はここでは極めて重要であり、この固体粒子は親水特性と親油特性の双方を示すべきである。
【0092】
有利に、安定化固体粒子は表面上で撥水性となるように処理(「被覆」)されてもよく、その際、この固体粒子の両親媒性が形成されるか又は保持されるべきである。表面処理は、自体公知の方法によって固体粒子に疎水性又は親水性の薄層を施与することから成っていてよい。
【0093】
安定剤として使用される極微小の固体粒子の平均粒径は、有利に100μm未満、特に有利に50μm未満となるように選択される。使用される固体粒子の形状(板、棒、球等)又は変態は実質的に重要ではない。
【0094】
極微小の固体粒子は有利に両親媒性金属酸化物顔料の群から選択される。以下のものは特に有利である:
− 二酸化チタン(被覆又は未被覆):例えばMerck社製のEusolex T-2000、Tayca Corporation社製の二酸化チタンMT 100 Z
− 酸化亜鉛、例えばBASF AG社製のZ-Cote及びZ-Cote HP1、Tayca Corporation社製のMZ-300、MZ-500及びMZ-505M
− 酸化鉄。
【0095】
極微小の固体粒子が以下の群から選択されている場合には更に有利である:窒化ホウ素、デンプン誘導体(タピオカデンプン、ナトリウムコーンスターチ、オクチニルスクシナート等)、タルク、ラテックス粒子。
【0096】
本発明によれば、固体安定化エマルションが明らかに1種以上の乳化剤0.5質量%未満を含有するか、又は更には完全に乳化剤を含有しない場合、有利である。
【0097】
本発明の範囲内で、スティック形の調製剤も有利である。技術的観点から、大抵のスティック配合物は固体又は半固体のロウ及び液体油の無水脂肪混合物であり、その際、高精製パラフィン油及びパラフィンロウはスティックの基礎物質を構成する。
【0098】
スティック形の調製剤のための慣用の基礎物質は、例えば液体油(例えばパラフィン油、ヒマシ油、イソプロピルミリスタート、C12−15−アルキルベンゾアート)、半固体成分(例えばワセリン、ラノリン)、固体成分(例えば蜜ロウ、セレシン及び微結晶ロウ又はオゾケライト)及び/又は高溶融ロウ(例えばカルナウバロウ、カンデリラロウ)である。スティック形の含水調製剤も自体公知であり、この調製剤はW/Oエマルションの形であってもよい。
【0099】
本発明による化粧用又は皮膚用光保護用配合物は慣用の様式で構成されていてよく、かつ化粧用及び皮膚用光保護のために、また、皮膚及び/又は髪のトリートメント、ケア及び洗浄のために、及び装飾的化粧品におけるメークアップ製品として使用されてよい。
【0100】
その構造に従って、本発明の範囲内の化粧用又は局所的皮膚用調製剤は、例えば皮膚保護クリーム、クレンジングミルク、デイクリーム又はナイトクリーム等として使用することができる。本発明による調製剤を医薬製剤のためのベースとして使用することは場合により可能であり、かつ有利である。
【0101】
施与のために、化粧用及び皮膚用調製剤は皮膚及び/又は髪に十分な量で化粧品のために慣用の様式で施与される。
【0102】
本発明による化粧用及び皮膚用調製剤は、そのような調製剤中で慣用的に用いられているような化粧用補助物質、例えば防腐剤、防腐助剤、錯化剤、殺菌剤、香料、発泡を防止又は増加させるための物質、着色剤、着色効果を有する顔料、増粘剤、湿潤物質及び/又は保湿剤、皮膚の上での触感を改善する充填剤、脂肪、油、ロウ又は化粧用又は皮膚用配合物の他の慣用の成分、例えばアルコール、ポリオール、ポリマー、フォーム安定剤、電解質、有機溶剤又はシリコーン誘導体を含有してよい。
【0103】
本発明の範囲内での有利な防腐剤は、例えばホルムアルデヒド開裂剤(例えばLonza社からGlydant TMの商品名で入手可能なDMDMヒダントイン)、ヨードプロピルブチルカルバマート(例えばLonza社からGlycacil-L、Glycacil-Sの商品名で及び/又はJan Dekker社からDekaben LMBの商品名で入手可能なもの)、パラベン(即ちp−ヒドロキシ安息香酸アルキルエステル、例えばメチル−、エチル−、プロピル−及び/又はブチル−パラベン)、フェノキシエタノール、エタノール、安息香酸等である。本発明によれば、防腐剤系は慣用的に有利に防腐助剤、例えばオクトキシグリセリン、グリシンソーヤ等も含有する。
【0104】
本発明の範囲内での有利な錯化剤は、例えばEDTA、[S,S]−エチレンジアミンジスクシナート(EDDS)(これは例えばOctel社からOctaquestの商品名で入手可能である)、エチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸五ナトリウム(これは例えばMonsanto社からDequest 2046の商品名で入手可能である)及び/又はイミノジコハク酸(これは特にBayer AG社からIminodisuccinat VP OC 370(約30%溶液)及びBaypure CX 100 solidの商品名で入手可能である)である。
【0105】
特に有利な調製剤は、更に、添加剤又は活性成分としての酸化防止剤の使用により得ることができる。本発明によれば、調製剤は有利に1種以上の酸化防止剤を含有する。使用することのできる、有利ではあるが任意の酸化防止剤は、化粧用及び/又は皮膚用適用のために適当であるか又は慣用である全ての酸化防止剤である。
【0106】
水溶性酸化防止剤、例えばビタミン、例えばアスコルビン酸及びその誘導体の使用は、本発明の範囲内で特に有利である。
【0107】
有利な酸化防止剤は、更にビタミンE及びその誘導体、並びにビタミンA及びその誘導体である。
【0108】
調製剤中での酸化防止剤(1種以上の化合物)の量は、調製剤の全質量に対して有利に0.001〜30質量%、特に有利に0.05〜20質量%、特に0.1〜10質量%である。
【0109】
ビタミンE及び/又はその誘導体が1種以上の酸化防止剤を構成する場合、それらの個々の濃度を配合物の全質量に対して0.001〜10質量%の範囲から選択することは有利である。
【0110】
ビタミンA又はビタミンA誘導体又はカロテン又はその誘導体が1種以上の酸化防止剤を構成する場合、それらの個々の濃度を配合物の全質量に対して0.001〜10質量%の範囲から選択することは有利である。
【0111】
本発明による化粧用調製剤が化粧用又は皮膚用活性成分を含有する場合、特に有利であり、その際、有利な活性成分は、皮膚を酸化ダメージから保護することができる酸化防止剤である。
【0112】
本発明の範囲内で他の有利な活性成分は、天然活性成分及び/又はその誘導体、例えばα−リポ酸、フィトエン、D−ビオチン、コエンザイムQ10、α−グルコシルルチン、カルニチン、カルノシン、天然及び/又は合成イソフラボノイド、クレアチン、タウリン及び/又はβ−アラニン、並びに8−ヘキサデセン−1,16−ジカルボン酸(二酸、CAS番号20701−68−2;暫定的なINCI名称オクタデセン二酸)である。
【0113】
例えば公知のしわ防止活性成分、例えばフラボングリコシド(特にα−グリコシルルチン)、コエンザイムQ10、ビタミンE及び/又は誘導体等を含有する本発明による配合物は、有利に特に、例えば皮膚老化(例えば乾燥、荒れ及び乾燥すじの形成、かゆみ、(例えば洗浄の後の)低減した再脂浮き(re-greasing)、毛管の目に見える拡張(毛細管拡張症、赤み(cuperosis))、たるみ、及びしわ及びすじの発生、局所的な色素沈着過度、低色素沈着及び色素沈着の欠乏(例えば加齢によるしみ)、機械的応力に対する増加した感受性(例えばひび割れ)等)の際に生じる化粧及び皮膚の肌変化の予防及び治療に適当である。これらは有利に乾燥又は肌荒れの症状に対しても適当である。
【0114】
本発明による調製剤の水相は、有利に慣用の化粧用補助物質、例えばアルコール、特に低いC数を有するアルコール、有利にエタノール及び/又はイソプロパノール、低いC数を有するジオール又はポリオール、並びにそのエーテル、有利にプロピレングリコール、グリセリン、ブチレングリコール、エチレングリコール、エチレングリコールモノメチル又はモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチル、モノエチル又はモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチル又はモノエチルエーテル及び類似の生成物、ポリマー、フォーム安定剤、電解質、及び特に、有利に二酸化ケイ素、珪酸アルミニウム、多糖類及びその誘導体、例えばヒアルロン酸、キサンタンガム、ヒドロキシプロピルメチルセルロースの群から、特に有利にポリアクリラート、有利にいわゆるカルボポール[Bf. Goodrich社製]、例えば型980、981、1382、2984、5984、ETD 2020、ETD 2050、Ultrez 10のカルボポールの群からのポリアクリラートの群から選択することのできる1種以上の増粘剤を、それぞれの場合において個々に、又は組み合わせて含有してよい。
【0115】
本発明による調製剤は、有利に自己色素沈着物質、例えばジヒドロキシアセトン及び/又はメラニン誘導体を、調製剤の全質量に対して1質量%〜8質量%の濃度で含有してもよい。
【0116】
また有利に、本発明による調製剤は、蚊、ダニ及びクモ等からの保護のための忌避薬を含有することもできる。有利な忌避薬は、例えばN,N−ジエチル−3−メチルベンズアミド(商品名:Metadelphene, ”DEET”)、ジメチルフタラート(商品名:Palatinol M, DMP)及び特に3−(N−n−ブチル−N−アセチル−アミノ)−プロピオン酸エチルエステル(Merck社からInsekt Repellent TM 3535の商品名で入手可能)である。忌避薬は個々に使用されてもよいし、組み合わせて使用されてもよい。
【0117】
湿潤剤は、化粧用又は皮膚用調製剤に対して、皮膚表面上への施与又は分配後に、これらが経表皮水分損失率(TEWL)を低下させ、かつ/又は表皮の水分補給にプラスの影響を与えるという特性を付与する物質又は物質の混合物である。
【0118】
本発明の範囲内での有利な湿潤剤は、例えばグリセリン、乳酸及び/又はラクタート、特に乳酸ナトリウム、ブチレングリコール、プロピレングリコール、バイオサッカリドガム−1、グリシンソーヤ、エチルヘキシルオキシグリセリン、ピロリドンカルボン酸及び尿素である。水溶性及び/又は水中で膨潤性であり、かつ/又は水によりゲル化可能な多糖類の群からのポリマー湿潤剤を使用することも特に有利である。特に有利な湿潤剤の例は、ヒアルロン酸、キトサン及び/又はフコースに富む多糖類であり、これはChemical Abstractsに登録番号178463−23−5で登録されており、かつ例えばSOLABIA S.A.社からFucogel TM 1000の商品名で入手可能である。湿潤剤は有利に、例えば皮膚老化の際に生じる化粧又は皮膚の肌変化の予防及び手入れのためのしわ防止活性成分として使用されてもよい。
【0119】
必ずしも必要であるわけではないが、本発明による化粧用又は皮膚用調製剤は有利に充填剤を含有してもよく、該充填剤は例えば更に配合物の感覚特性及び化粧品特性を改善し、かつ例えば皮膚にビロード状又は絹状の触感をもたらすか又は向上させる。本発明の範囲内で有利な充填剤は、デンプン及びデンプン誘導体(例えばタピオカデンプン、リン酸二デンプン、オクテニルコハク酸アルミニウム又はナトリウムデンプン等)、主にUVフィルター作用も着色作用も有しない顔料(例えば窒化ホウ素等)及び/又はエアロシル(Aerosil)(登録商標)である。
【0120】
本発明による配合物の油相は、有利に極性油の群から、例えばレシチン及び脂肪酸トリグリセリド、特に、8〜24個の炭素原子、特に12〜18個の炭素原子の鎖長を有する飽和及び/又は不飽和、分枝鎖及び/又は非分枝鎖アルカンカルボン酸のトリグリセリンエステルの群から選択される。脂肪酸トリグリセリドは有利に、合成、半合成及び天然の油、例えばココグリセリド、オリーブ油、ヒマワリ油、大豆油、落花生油、菜種油、扁桃油、パーム油、やし油、ヒマシ油、麦芽油、ブドウ種油、アザミ油、オオマツヨイグサ油、マカダミアナッツ油等の群から選択されてよい。
【0121】
本発明によれば、例えば動物及び植物由来の天然ロウ、例えば蜜ロウ及び他の虫白ロウ、並びに、ベリーワックス、シアバター及び/又はラノリン(羊毛脂)も有利である。
【0122】
本発明の範囲内の他の有利な極性油成分は、更に、3〜30個の炭素原子の鎖長を有する飽和及び/又は不飽和、分枝鎖及び/又は非分枝鎖のアルカンカルボン酸と、3〜30個の炭素原子の鎖長を有する飽和及び/又は不飽和、分枝鎖及び/又は非分枝鎖のアルコールとのエステルの群から、並びに、芳香族カルボン酸と、3〜30個の炭素原子の鎖長を有する飽和及び/又は不飽和、分枝鎖及び/又は非分枝鎖のアルコールとのエステルの群から選択されてよい。そのようなエステル油は、有利にオクチルパルミタート、オクチルココアート、オクチルイソステアラート、オクチルドデシルミリスタート、オクチルドデカノール、セテアリルイソノナノアート、イソプロピルミリスタート、イソプロピルパルミタート、イソプロピルステアラート、イソプロピルオレアート、n−ブチルステアラート、n−ヘキシルラウラート、n−デシルオレアート、イソオクチルステアラート、イソノニルステアラート、イソノニルイソノナノアート、2−エチルヘキシルパルミタート、2−エチルヘキシルラウラート、2−ヘキシルデシルステアラート、2−オクチルドデシルパルミタート、ステアリルヘプタノアート、オレイルオレアート、オレイルエルカート、エルシルオレアート、エルシルエルカート、トリデシルステアラート、トリデシルトリメリタート、並びに、そのようなエステルの合成、半合成及び天然の混合物、例えばホホバ油の群から選択されてよい。
【0123】
油相は有利に更に、ジアルキルエーテル及びジアルキルカーボナートの群から選択されてよく;例えばジカプリリルエーテル(Cetiol OE)及び/又はジカプリリルカーボナート、例えばCognis社からCetiol CCの商品名で入手可能なものは有利である。
【0124】
油成分をイソエイコサン、ネオペンチルグリコールジヘプタノアート、プロピレングリコールジカプリラート/ジカプラート、カプリル酸/カプリン酸/ジグリセリルスクシナート、ブチレングリコールジカプリラート/ジカプラート、C12−13−アルキルラクタート、ジ−C12−13−アルキルタルトラート、トリイソステアリン、ジペンタエリトリチルヘキサカプリラート/ヘキサカプラート、プロピレングリコールモノイソステアラート、トリカプリリン、ジメチルイソソルビドの群から選択することは更に有利である。本発明による配合物の油相がC12−15−アルキルベンゾアートの含分を有するか又は完全にC12−15−アルキルベンゾアートから成る場合、特に有利である。
【0125】
例えばブチルオクチルサリチラート(例えばCP Hall社からHallbrite BHBの商品名で入手可能である)、ヘキサデシルベンゾアート及びブチルオクチルベンゾアート及びそれらの混合物(Hallstar AB)及び/又はジエチルヘキシルナフタラート(H&R社製のHallbrite TQ又はCorapan TQ)も有利な油成分である。
【0126】
そのような油及びロウ成分の全ての所望のブレンドも、有利に本発明の範囲内で使用されてよい。
【0127】
油相は更に同様に有利に、例えば分枝鎖及び非分枝鎖炭化水素及びロウ、特に鉱油、ワセリン(ペトロラタム)、パラフィン油、スクアラン及びスクアレン、ポリオレフィン、水素化ポリイソブテン及びイソヘキサデカンの群から選択された非極性油を含有してよい。
【0128】
ポリオレフィンのうち、ポリデセンは有利な物質である。
【0129】
油相は有利に更に環式又は直鎖シリコーン油の含分を有するか、又は完全にそのような油から成っていてよいが、1種以上のシリコーン油に加えて、他の油相成分の付加的な含分を使用するのが有利である。
【0130】
シリコーン油は高分子合成ポリマー化合物であり、その際、ケイ素原子は酸素原子を介して鎖及び/又は網状に結合しており、かつケイ素の残りの原子価は炭化水素基(大抵はメチル、比較的まれにエチル、プロピル、フェニル基等)によって飽和される。系統的に、シリコーン油はポリオルガノシロキサンと呼称される。量に関して前記基の最も重要な化合物を表し、かつ以下の構造式:
【0131】
【化4】

により特徴付けられるメチル置換ポリオルガノシロキサンは、ポリジメチルシロキサン又はジメチコン(INCI)とも呼称される。ジメチコンは種々の鎖長で、かつ種々の分子量で入手可能である。
【0132】
本発明の範囲内で特に有利なポリオルガノシロキサンは、例えばジメチルポリシロキサン[ポリ(ジメチルシロキサン)]であり、これは例えばTh. Goldschmidt社からAbil 10-10000の商品名で入手可能である。フェニルメチルポリシロキサン(INCI:フェニルジメチコン、フェニルトリメチコン)、環式シリコーン(オクタメチルシクロテトラシロキサン又はデカメチルシクロペンタシロキサン)(これらはINCIによればシクロメチコンとも呼称される)、アミノ変性シリコーン(INCI:アモジメチコン)及びシリコーンロウ、例えばポリシロキサン−ポリアルキレンコポリマー(INCI:ステアリルジメチコン及びセチルジメチコン)及びジアルコキシジメチルポリシロキサン(ステアロキシジメチコン及びベヘノキシステアリルジメチコン)(これらはTh. Goldschmidt社から種々のAbilロウタイプとして入手可能である)も有利である。しかしながら有利に本発明の範囲内で他のシリコーン油、例えばセチルジメチコン、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、ポリジメチルシロキサン、ポリ(メチルフェニルシロキサン)を使用することもできる。
【0133】
本発明による調製剤は更に有利に、生成物の湿度安定性及び/又は光保護指数を増加させるために、例えばシロキサンエラストマーの以下の群からの1種以上の物質を含有してよい:
a)単位RSiO及びRSiO1.5及び/又はRSiO0.5及び/又はSiOを含有するシロキサンエラストマー、ここで、個々の基Rはそれぞれ他と独立して水素、C1−24−アルキル(例えばメチル、エチル、プロピル)又はアリール(例えばフェニル又はトリル)、アルケニル(例えばビニル)を表し、かつ単位RSiO:RSiO1.5の質量比は1:1〜30:1の範囲から選択されている。
【0134】
b)シリコーン油中で不溶性でありかつ膨潤性であるシロキサンエラストマー、これは、ケイ素結合水素を含有するオルガノポリシロキサン(1)と、不飽和脂肪族基を含有するオルガノポリシロキサン(2)との付加反応により得ることができ、用いられる相対量は、オルガノポリシロキサン(1)中か又はオルガノポリシロキサン(2)の不飽和脂肪族基中の水素の量が
− オルガノポリシロキサンが非環式である場合には1〜20モル%の範囲内であり、かつ
− オルガノポリシロキサンが環式である場合には1〜50モル%の範囲内であるように選択される。
【0135】
本発明の範囲内で、1種以上のシロキサンエラストマーは有利に球状粉末の形か又はゲルの形である。
【0136】
本発明により有利な球状粉末の形のシロキサンエラストマーは、INCI名称ジメチコン/ビニルジメチコンクロスポリマーを有し、例えばDOW CORNING社からDOW CORNING 9506 Powderの商品名で入手可能である。
【0137】
シロキサンエラストマーを、動物及び/又は植物由来の炭化水素、合成油、合成エステル、合成エーテル又はそれらの混合物からの油と組み合わせて使用することは特に有利である。
【0138】
シロキサンエラストマーを、室温で液体又はペースト状である非分枝鎖シリコーン油、又は環式シリコーン油又はそれらの混合物と組み合わせて使用することは極めて特に有利である。INCI名称ジメチコン/ポリシリコーンー11を有するオルガノポリシロキサンエラストマーは特に有利であり、Grant Industries Inc社から入手可能なGransil タイプGCM、GCM-5、DMG-6、CSE Gel、PM-Gel、LTX、ININ Gel、AM-18 Gel及び/又はDMCM-5は極めて特に有利である。
【0139】
シロキサンエラストマーをシロキサンエラストマーのゲル及び脂質相の形で使用することは極めて抜群に有利であり、その際、ゲル中のシロキサンエラストマーの含分は、ゲルの全質量に対してそれぞれ1〜80質量%、有利に10〜60質量%である。
【0140】
シロキサンエラストマー(活性含分)の全量を配合物の全質量に対してそれぞれ0.01〜10質量%、有利に0.1〜5質量%の範囲から選択することは本発明の範囲内で有利である。本発明による化粧用及び皮膚用調製剤は、特に該調製剤が装飾用化粧品の形である場合には着色剤及び/又は着色顔料を含有してよい。着色剤及び着色顔料は、化粧品に関する省令の相応するポジティブリスト又は化粧用着色剤のECリストから選択されてよい。大抵、それらは食料品のために認可されている着色剤と同一である。有利な着色顔料は、例えば二酸化チタン、雲母、酸化鉄(例えばFe、Fe、FeO(OH))及び/又は酸化スズである。有利な着色剤は、例えばカルミン、ペルシアンブルー、酸化クロム緑、ウルトラマリンブルー及び/又はマンガンバイオレットである。着色剤及び/又は着色顔料をRowe Colour Index, 3rd edition, Society of Dyers and Colourists, Bradford, England, 1971から選択するのが特に有利である。
【0141】
本発明による配合物が顔に施与される製品の形である場合、着色剤として以下の群からの1種以上の物質を選択することが有利である:2,4−ジヒドロキシアゾベンゼン、1−(2’−クロロ−4’−ニトロ−1’−フェニルアゾ)−2−ヒドロキシナフタレン、セレスレッド、2−(スルホ−1−ナフチルアゾ)−1−ナフトール−4−スルホン酸、2−ヒドロキシ−1,2’−アゾナフタレン−1’−スルホン酸のカルシウム塩、1−(2−スルホ−4−メチル−1−フェニルアゾ)−2−ナフチルカルボン酸のカルシウム及びバリウム塩、1−(2−スルホ−1−ナフチルアゾ)−2−ヒドロキシナフタレン−3−カルボン酸のカルシウム塩、1−(4−スルホ−1−フェニルアゾ)−2−ナフトール−6−スルホン酸のアルミニウム塩、1−(4−スルホ−1−ナフチルアゾ)−2−ナフトール−3,6−ジスルホン酸、1−(4−スルホ−1−ナフチルアゾ)−2−ナフトール−6,8−ジスルホン酸のアルミニウム塩、4−(4−スルホ−1−フェニルアゾ)−1−(4−スルホフェニル)−5−ヒドロキシ−ピラゾロン−3−カルボン酸のアルミニウム塩、4,5−ジブロモフルオレセインのアルミニウム及びジルコニウム塩、2,4,5,7−テトラブロモフルオレセインのアルミニウム及びジルコニウム塩、3’,4’,5’,6’−テトラクロロ−2,4,5,7−テトラブロモフルオレセイン及びそのアルミニウム塩、2,4,5,7−テトラヨードフルオレセインのアルミニウム塩、キノフタロン−ジスルホン酸のアルミニウム塩、インジゴ−ジスルホン酸のアルミニウム塩、赤色及び黒色酸化鉄(CIN:77491(赤)及び77499(黒))、酸化鉄水和物(CIN:77492)、二リン酸マンガンアンモニウム及び二酸化チタン。
【0142】
油に可溶性の天然着色剤、例えばパプリカ抽出物、β−カロテン又はコチニールも有利である。
【0143】
真珠光沢顔料を含有する配合物も本発明の範囲内で有利である。特に下記の真珠光沢顔料の型は有利である:
1.天然真珠光沢顔料、例えば
−「フィッシュシルバー」(魚鱗からのグアニン/ヒポキサンチン混合結晶体)及び
−「真珠質」(粉砕イガイ殻)
2.単結晶真珠光沢顔料、例えばオキシ塩化ビスマス(BiOCl)。
3.層基体顔料:例えば雲母/金属酸化物。
【0144】
真珠光沢顔料は、例えばオキシ塩化ビスマス及び/又は二酸化チタン、並びに雲母上のオキシ塩化ビスマス及び/又は二酸化チタンの粉末顔料又はヒマシ油分散液をベースとする。例えばCIN77163に挙げられている光沢顔料は特に有利である。
【0145】
例えば雲母/金属酸化物をベースとする以下の型の真珠光沢顔料も有利である:
【0146】
【表1】

【0147】
例えばMerck社からTimiron, Colorona又はDichronaの商品名で入手可能な真珠光沢顔料は特に有利である。
【0148】
上記の真珠光沢顔料の一覧は当然のことながら限定を意図したものではない。本発明の範囲内で有利である真珠光沢顔料は、自体公知の多数の方法により得ることができる。例えば、雲母以外の基体は他の金属酸化物、例えばシリカ等で被覆されていてもよい。例えばTiO及びFeで被覆されたSiO粒子(Ronaspheres)は有利であり、これはMerck社により市販されており、かつ特に細かいしわを光学的に減少させるために適当である。
【0149】
更に、雲母のような基体を完全に省略することは有利である。雲母を使用せずに製造される鉄真珠光沢顔料は特に有利である。そのような顔料は、例えばBASF社からSicopearl Kupfer 1000の商品名で入手可能である。
【0150】
Flora Tech社から多様な色(黄、赤、緑、青)でMetasomes Standard/Glitterの商品名で入手可能な効果顔料も特に有利である。光輝粒子は種々の補助物質及び着色剤(例えば色指数(CI)19140、77007、77289、77491を有する着色剤)と混合される。
【0151】
着色剤及び顔料は個々に、又は混合して存在していてよく、かつ相互に被覆されていてよく、その際、一般に種々の被覆厚によって種々の色効果が生じる。着色剤及び色付与顔料の全量は、有利に例えば、調製剤の全質量に対してそれぞれ0.1質量%〜30質量%、有利に0.5〜15質量%、特に1.0〜10質量%の範囲から選択される。
【0152】
主要な目的は日光に対する保護ではないが、それにもかかわらず他のUV保護物質の含分を有する化粧用及び皮膚用調製剤を製造することも本発明の範囲内で有利である。例えば、UV−A又はUV−Bフィルター物質は通常デイクリーム又はメークアップ製品に配合される。UV保護物質、例えば酸化防止剤、及び所望であれば防腐剤も、調製剤自体を腐敗から効果的に保護する。日焼け防止剤の形の化粧用及び皮膚用調製剤も有利である。
【0153】
従って、該調製剤は本発明の範囲内で有利に少なくとも1種の他のUV−A、UV−B及び/又は広帯域のフィルター物質を含有する。配合物は、必要というわけではないが場合によって1種以上の有機及び/又は無機顔料をUVフィルター物質として含有してもよく、前記顔料は水相及び/又は油相中に存在してよい。
【0154】
本発明による調製剤は、有利にいわゆるオイルフリーの化粧用又は皮膚用エマルションの形であってもよく、これは水相、及び他の相として、室温で液体である少なくとも1種のUVフィルター物質を含有し、かつ特に他の油成分を含まなくてよい。
【0155】
室温で液体である本発明の範囲内で特に有利なUVフィルター物質は、ホモメンチルサリチラート(INCI:ホモサラート)、2−エチルヘキシル2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリラート(INCI:オクトクリレン)、2−エチルヘキシル2−ヒドロキシベンゾアート(2−エチルヘキシルサリチラート、オクチルサリチラート、INCI:エチルヘキシルサリチラート)及びケイ皮酸のエステル、有利に4−メトキシケイ皮酸(2−エチルヘキシル)エステル(2−エチルヘキシル4−メトキシシンナマート、INCI:エチルヘキシルメトキシシンナマート)及び4−メトキシケイ皮酸イソペンチルエステル(イソペンチル−4−メトキシシンナマート、INCI:イソアミルp−メトキシシンナマート)、3−(4−(2,2−ビスエトキシカルボニルビニル)−フェノキシ)プロペニル)−メトキシシロキサン/ジメチルシロキサンコポリマー(これは例えばHoffmann La Roche社からParsol(登録商標) SLXの商品名で入手可能である)である。
【0156】
有利な無機顔料は、金属酸化物及び/又は水中で緩やかに可溶性であるか又は不溶性である他の金属化合物、特にチタンの酸化物(TiO)、亜鉛の酸化物(ZnO)、鉄の酸化物(例えばFe)、ジルコニウムの酸化物(ZrO)、ケイ素の酸化物(SiO)、マンガンの酸化物(例えばMnO)、アルミニウムの酸化物(Al)、セリウムの酸化物(例えばCe)、相応する金属の混合酸化物及びそのような酸化物のブレンド、並びにバリウムの硫酸塩(BaSO)である。
【0157】
本発明の範囲内で、顔料は有利に市販の油性又は水性の予備分散液の形で使用されてもよい。分散助剤及び/又は可溶化剤は有利にそのような予備分散液に添加されてよい。
【0158】
本発明によれば、顔料は有利に表面処理(”被覆”)されてよく、その際、例えば親水特性、両親媒特性又は疎水特性が形成されるか又は保持される。この表面処理は、自体公知の方法によって、顔料に薄い親水性及び/又は疎水性の無機及び/又は有機層を施与することからなってよい。種々の表面被覆は本発明の範囲内で水を含有してもよい。
【0159】
本発明の範囲内の無機表面被覆は、酸化アルミニウム(Al)、水酸化アルミニウムAl(OH)又は酸化アルミニウム水和物(また以下のようにも呼称される:アルミナ、CAS番号:1333−84−2)、ヘキサメタリン酸ナトリウム(NaPO、メタリン酸ナトリウム(NaPO、二酸化ケイ素(SiO)(また以下のようにも呼称される:シリカ、CAS番号:7631−86−9)又は酸化鉄(Fe)からなってよい。無機表面被覆は単独で、組み合わせて及び/又は有機被覆材料と組み合わせて生じ得る。
【0160】
本発明の範囲内の有機表面被覆は、植物性又は動物性ステアリン酸アルミニウム、植物性又は動物性ステアリン酸、ラウリン酸、ジメチルポリシロキサン(また以下のようにも呼称される:ジメチコン)、メチルポリシロキサン(メチコン)、シメチコン(200〜350個のジメチルシロキサン単位の平均鎖長を有するジメチルポリシロキサンとシリカゲルとの混合物)又はアルギン酸からなってよい。前記の有機表面被覆は単独で、組み合わせて及び/又は無機被覆材料と組み合わせて生じ得る。本発明により適当である酸化亜鉛粒子及び酸化亜鉛粒子の予備分散液は以下に挙げられた企業から以下の商品名で入手可能である:
【0161】
【表2】

【0162】
適当な二酸化チタン粒子及び二酸化チタン粒子の予備分散液は以下に挙げられた企業から以下の商品名で入手可能である:
【0163】
【表3】

【0164】
他の有利な顔料はラテックス粒子である。本発明によれば有利であるラテックス粒子は、以下の刊行物に記載されているものである:US5,663,213又はEP0761201。特に有利なラテックス粒子は、水及びスチレン/アクリラートコポリマーから形成されたものであってよく、かつ例えばRohm & Haas社から”Alliance SunSphere”の商品名で入手可能である。
【0165】
本発明の範囲内で有利なUV−Aフィルター物質は、ジベンゾイルメタン誘導体、特に4−(tert.−ブチル)−4’−メトキシジベンゾイルメタン(CAS番号:70356−09−1)であり、これはGivaudan社によりParsol TM 1789の商品名で、及びMerck社によりEusolex TM 9020の商品名で入手可能である。
【0166】
本発明の範囲内で有利な他のUVフィルター物質は、スルホン化された水溶性UVフィルターであり、例えば以下のようなものである:
− フェニレン−1,4−ビス−(2−ベンズイミダジル)−3,3’−5,5’−テトラスルホン酸及びその塩、特に相応するナトリウム、カリウム又はトリエタノールアンモニウム塩、特に、INCI名称フェニルジベンゾイミダゾールテトラスルホン酸二ナトリウム(CAS番号:180898−37−7)を有するフェニレン−1,4−ビス−(2−ベンズイミダジル)−3,3’−5,5’−テトラスルホン酸ビスナトリウム塩、これは例えばHaarmann & Reimer社からNeo Heliopan APの商品名で入手可能である;
− 2−フェニルベンゾイミダゾール−5−スルホン酸の塩、例えばそのナトリウム、カリウム又はトリエタノールアンモニウム塩、並びに、INCI名称フェニルベンゾイミダゾールスルホン酸(CAS番号:27503−81−7)を有するスルホン酸自体、これは例えばMerck社からEusolex 232の商品名で、又はHaarmann & Reimer社からNeo Heliopan Hydroの商品名で入手可能である;
− 1,4−ジ(2−オキソ−10−スルホ−3−ボルニリデンメチル)−ベンゼン(また以下のようにも呼称される:3,3’−(1,4−フェニレンジメチレン)−ビス−(7,7−ジメチル−2−オキソ−ビシクロ−[2.2.1]ヘプト−1−イルメタンスルホン酸)及びその塩(特に相応する10−スルファト化合物、特に相応するナトリウム、カリウム又はトリエタノールアンモニウム塩)、これはベンゼン−1,4−ジ(2−オキソ−3−ボルニリデンメチル−10−スルホン酸)とも呼称される。ベンゼン−1,4−ジ(2−オキソ−3−ボルニリデンメチル−10−スルホン酸)はINCI名称テレフタリデンジカンファースルホン酸(CAS番号:90457−82−2)を有し、かつ例えばChimex社からMexoryl SXの商品名で入手可能である;
− 3−ベンジリデンカンファーのスルホン酸誘導体、例えば4−(2−オキソ−3−ボルニリデンメチル)ベンゼンスルホン酸、2−メチル−5−(2−オキソ−3−ボルニリデンメチル)スルホン酸及びその塩。
【0167】
以下の構造式:
【0168】
【化5】

[式中、
、R及びRは相互に独立して、1〜10個の炭素原子を有する分枝鎖又は非分枝鎖の飽和又は不飽和アルキル基の群から選択される]
により特徴付けられるベンゾオキサゾール誘導体も本発明の範囲内で有利なUVフィルター物質である。基R及びRが同じであって、特に3〜5個の炭素原子を有する分枝鎖アルキル基の群からのものであるように選択することは、本発明によれば特に有利である。Rが8個の炭素原子を有する非分枝鎖又は分枝鎖アルキル基、特に2−エチルヘキシル基を表す場合も本発明の範囲内で特に有利である。
【0169】
本発明によれば特に有利であるベンゾオキサゾール誘導体は、以下の構造式:
【0170】
【化6】

により特徴付けられ、かつ3V Sigma社からUvasorb TM K2Aの商品名で入手可能な、CAS番号:288254−16−0を有する2,4−ビス−[5−1(ジメチルプロピル)ベンゾオキサゾール−2−イル−(4−フェニル)−イミノ]−6−(2−エチルヘキシル)−イミノ−1,3,5−トリアジンである。
【0171】
1種以上のベンゾオキサゾール誘導体は有利に本発明による化粧用調製剤中に溶解された形で存在する。しかしながら、1種以上のベンゾオキサゾール誘導体が顔料形、即ち溶解されていない形で例えば10nm〜300nmの粒径で存在することも有利である。
【0172】
本発明の範囲内で他の有利なUVフィルター物質は、いわゆるヒドロキシベンゾフェノンである。ヒドロキシベンゾフェノンは以下の構造式:
【0173】
【化7】

[式中、
− R及びRは相互に独立して水素、C1−20−アルキル、C3−10−シクロアルキル又はC3−10−シクロアルケニルを表し、ここで、基R及びRは該基が結合している窒素原子と一緒に5員又は6員の環を形成してよく、かつ
− RはC1−20−アルキル基を表す]
により特徴付けられる。
【0174】
本発明の範囲内で特に有利なヒドロキシベンゾフェノンは2−(4’−ジエチルアミノ−2’−ヒドロキシベンゾイル)−安息香酸ヘキシルエステル(また以下のようにも呼称される:アミノベンゾフェノン)であり、これは以下の構造式:
【0175】
【化8】

により特徴付けられ、かつBASF社からUvinul A Plusとして入手可能である。
【0176】
本発明の範囲内で有利なUVフィルター物質はいわゆる広帯域フィルター、即ちUV−A線とUV−B線の双方を吸収するフィルター物質である。
【0177】
有利な広帯域フィルター又はUV−Bフィルター物質は、例えば以下のようなトリアジン誘導体である:
− 2,4−ビス−[4−(2−エチル−ヘキシルオキシ)−2−ヒドロキシ]−フェニル−6−(4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン(INCI:ビス−エチルヘキシルオキシルフェノールメトキシフェニルトリアジン)、これはCIBA-Chemikalien GmbH社からTinosorb TM Sの商品名で入手可能である;
− ジオクチルブチルアミドトリアゾン(INCI:ジエチルヘキシルブタミドトリアゾン)、これはSigma 3 V社からUVASORB HEBの商品名で入手可能である;
− 4,4’,4’’−(1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリイルトリアミノ)−トリス−安息香酸トリス(2−エチルヘキシルエステル)、また以下のようにも呼称される:2,4,6−トリス−[アニリノ−(p−カルボ−2’−エチル−1’−ヘキシルオキシ)]−1,3,5−トリアジン(INCI:エチルヘキシルトリアゾン)、これはBASF Aktiengesellschaft社からUVINUL TM T 150の商品名で市販されている;
− 2−[4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル]−5−(オクチルオキシ)フェノール(CAS番号:2725−22−6)。
【0178】
2,2−メチレン−ビス−(6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−フェノール)(INCI:メチレンビス−ベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール)もまた本発明の範囲内での有利な広帯域フィルターであり、これはCIBA-Chemikalien GmbH社からTinosorb TM Mの商品名で入手可能である。
【0179】
INCI名称ドロメトリゾールトリシロキサンを有する2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−メチル−6−[2−メチル−3−[1,3,3,3−テトラメチル−1−[(トリメチルシリル)オキシ]ジシロキサニル]プロピル]−フェノール(CAS番号:155633−54−8)もまた本発明の範囲内での有利な広帯域フィルターである。
【0180】
他のUVフィルター物質は油溶性又は水溶性であってよい。有利な油溶性フィルター物質は例えば以下ものである:
− 3−ベンジリデンカンファー誘導体、有利に3−(4−メチルベンジリデン)カンファー、3−ベンジリデンカンファー;
− 4−アミノ安息香酸誘導体、有利に4−(ジメチルアミノ)−安息香酸(2−エチルヘキシル)エステル、4−(ジメチルアミノ)安息香酸アミルエステル;
− 2,4,6−トリアニリノ−(p−カルボ−2’−エチル−1’−ヘキシルオキシ)−1,3,5−トリアジン;
− ベンザルマロン酸のエステル、有利に4−メトキシベンザルマロン酸ジ(2−エチルヘキシル)エステル;
− ケイ皮酸のエステル、有利に4−メトキシケイ皮酸(2−エチルヘキシル)エステル、4−メトキシケイ皮酸イソペンチルエステル;
− ベンゾフェノンの誘導体、有利に2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−4’−メチルベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、及び
− ポリマーに結合したUVフィルター。
【0181】
有利な水溶性フィルター物質は例えば以下のものである:3−ベンジリデンカンファーのスルホン酸誘導体、例えば4−(2−オキソ−3−ボルニリデンメチル)ベンゼンスルホン酸、2−メチル−5−(2−オキソ−3−ボルニリデンメチル)スルホン酸及びその塩。
【0182】
本発明により有利に使用することができる他の光保護フィルター物質はエチルヘキシル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクラート(オクトクリレン)であり、これはBASF社からUvinul(登録商標)N 539 Tの商品名で入手可能である。
【0183】
高い、又は極めて高いUV−A保護により特徴付けられる本発明の範囲内で特に有利な調製剤は、有利に本発明による1種以上のフィルター物質の他に、他のUV−A及び/又は広帯域フィルター、特にジベンゾイルメタン誘導体[例えば4−(tert.−ブチル)−4’−メトキシジベンゾイルメタン]及び/又は2,4−ビス−[4−(2−エチル−ヘキシルオキシ)−2−ヒドロキシ]−フェニル−6−(4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン及び/又はフェニレン−1,4−ビス−(2−ベンズイミダジル)−3,3’−5,5’−テトラスルホン酸ビス−ナトリウム塩を、それぞれ個々に、又は相互の任意の所望の組み合わせで含有する。
【0184】
本発明の範囲内で使用することができる上記のUVフィルターの列挙は当然のことながら限定を意図したものではない。
【0185】
本発明による調製剤は、髪又は皮膚を紫外線の全領域から保護する化粧用調製剤を製造するために、有利にUV−A及び/又はUV−B領域のUV線を吸収する物質を、調製剤の全質量に対して例えばそれぞれ0.1質量%〜30質量%、有利に0.5〜20質量%、特に1.0〜15.0質量%の全量で含有する。
【0186】
本発明の範囲内の調製剤は有利に生成物の湿度安定性を高める他の物質を含有してもよい。
【0187】
この種の有利な物質の例は、以下の構造式:
【0188】
【化9】

[式中、
x、y及びzは2〜130、特に15〜100の範囲内の整数を表し、かつx及びzは同じであるが但しyとは独立して選択される]
を有する水溶性又は水分散性ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックポリマー(CTFA名称:ポラキサマー(polaxamer)、CAS番号:9003−11−6)である。
【0189】
これらのうち、特に有利にpolaxamer 188[ここでx=75、y=30及びz=75](これはBASF社からLutrol F 68(又はPluronic F 68)の商品名で入手可能である)、polyxamer 185[ここでx=19、y=30及びz=19](ISP社からのLubrajel WA)、polyxamer 235[ここでx=27、y=39及びz=27](BASF社からのPluronic F 85)及び/又はpolyxamer 238[ここでx=97、y=39及びz=97](BASF社からのPluronic F 88)を使用することができる。
【0190】
湿度安定性の向上に貢献し得るが、しかしながら本発明による調製剤の油相に混和されている他の有利な物質は、特定のロウ成分、例えばアセチル化グリコールステアラート及びトリステアリン(例えばISP社からのUnitwix、INCI:アセチル化グリコールステアラート及びトリステアリン)、C18−36脂肪酸トリグリセリド(例えばCrode GmbH社からのSyncrowax HGLC、INCI:C18−36酸トリグリセリド)及びNew Phase Technologies社から”Perfroma V 825”(合成ロウ)の商品名で入手可能な物質、並びにAKZO Nobel社から入手可能であるPEG−45ドデシルグリコールコポリマー(INCI:PEG−45ドデシルグリコールコポリマー)、PEG−22ドデシルグリコールコポリマー(INCI:PEG−22ドデシルグリコールコポリマー)、メトキシPEG−22ドデシルグリコールコポリマー(INCI:メトキシPEG−22ドデシルグリコールコポリマー)である。
【0191】
調製剤の湿度安定性を更に改善するために、本発明により使用されるポリマーを1種以上の上記の物質と組み合わせることは本発明の範囲内で特に有利である。
【0192】
以下の例は本発明を例証することを意図したものであり、これに限定されない。実施例中の数値は、当該の調製剤の全質量に対する質量%を意味する。
【0193】
日焼け防止用配合物は、更に、充填剤として、DE10153077による粒状の二酸化ケイ素を含有してよい。
【実施例】
【0194】
実施例
以下の試薬を表面変性剤として使用することができる:
プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン(OCTMO)、オクチルトリエトキシシラン、ヘキサデシルトリメトキシシラン、ヘキサデシルトリエトキシシラン、ジメチルポリシロキサン。オクチルトリメトキシシラン及びオクチルトリエトキシシランの使用が特に有利である。
【0195】
実施例
1.表面変性
出発材料として、WO2004/056927により製造される熱分解により製造された二酸化ケイ素−二酸化チタン混合酸化物を使用する。
【0196】
出発材料の物理化学的データを第1表に示す。
【0197】
【表4】

【0198】
【表5】

【0199】
【表6】

【0200】
【表7】

【0201】
実施例7、10、12、25、16、19、22及び25による材料FHを分散させ、以下の方法を用いて透明度及び粘度を試験する。
【0202】
試験法
分散液の製造
TEGOSOFT(登録商標)TN278.25gを500mlのPEビーカー内に装入し、試験すべき二酸化チタン粉末21.75gを溶解機(Pendraulik type LM34 No. 29490、ディスク直径6cm)を用いて470rpmで撹拌し、その後、3000rpmで5分間分散させる。
【0203】
その後、分散液を、ウルトラツラックス(Ultra-Turrax)撹拌機(Polytron PT3100, 分散工具PT-DA 3020/2 EC)を用いて15000rpmで2分間分散させる。
【0204】
最後に、分散液を、水冷容器中でウルトラツラックス撹拌機を用いて15000rpmで更に5分間分散させ、その際、PT-DA 3030-6060/3 EC分散工具を使用する。
【0205】
透明度(TΔL
7.25質量%分散液の透明度をData Color SF600 Plus分光光度計を用いて測定する。分散液を12μmスパイラルブレードを用いてErichsen Testing Equipment K Control Coater施与装置、施与速度2を用いて、ラッカー塗装された黒色厚紙に施与する。施与1回につき3つの測定点を測定する。前記の3つの測定値の平均を算出する。装置を保護するために、測定をディスタンスリングを用いて行う。
【0206】
算出を、CIE-Lab系、光タイプD65/10°を用いて行う。装置を黒標準BHB SF600、中空ブロック及び白標準no.3138を用いてキャリブレーションする。ΔL値は分散液の光度又は透明度に相応する。
【0207】
この値を、測定された平均値から黒色厚紙の値を差し引いて算出する。ラッカー塗装された黒色厚紙のL値は約L値=8である。ΔL値が低い程分散液の透明度は高い。
【0208】
UV−Visスペクトル(TM320及び380nm)
3質量%分散液のUV−Visスペクトルを、取外し可能な10μm石英ガラスセル中で、光度計球を有するSpecord 200 UV-Vis分光光度計(Analytik Jena AG)を用いて測定する。この目的のために、上記の油性分散液をTego-soft TNで希釈する。
【0209】
その後、溶解機(Pendraulik type LM34 No. 29490、ディスク直径5cm;1000〜4000rpm)を用いて撹拌しながらエアロシル(AEROSIL)(登録商標)200を少量ずつ添加してゲル状成分を生じさせ、かつ酸化物を安定化させる。
【0210】
エアロシルの均一な分配を保証するために、エアロシルの最後の添加の後、少なくとも2分間分散を継続しなければならない。結果として、290〜500nmの範囲内の透過率(%)が得られる。
【0211】
粘度(V)
粘度をブルックフィールドレオメーターRVDV-III+cPを用いて測定する。測定を、RVスピンドルセットを有するPE混合ビーカー(350ml)中で10rpmで実施する。1分後、値をmPasで読み取る。/分、1分後)
施与に関する試験の結果
【0212】
【表8】

【0213】
比較例AEROXIDE TiO T 805に対する実施例7、10、12及び15の生成物の利点は以下の通りである:
− 改善された透明度
− 320nmでの比較可能な透過率又は吸収
− 380nmでの増加した透過率及びそれに応じて低減した白塗り
− 低減した増粘作用。これにより高度に充填された分散液の製造が可能になる。
【0214】
比較例AEROXIDE TiO T 805に対する実施例16、19、22及び25の生成物の利点は以下の通りである:
− 改善された透明度
− 320nmでの比較可能な透過率又は吸収
− 380nmでの増加した透過率及びそれに応じて低減した白塗り
− 若干の場合において著しく低減した増粘作用。これにより高度に充填された分散液の製造が可能になる。
【0215】
【表9】

【0216】
【表10】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
二酸化ケイ素で被覆された、表面変性され、熱分解により製造された二酸化チタン。
【請求項2】
請求項1記載の、二酸化ケイ素で被覆された、表面変性され、熱分解により製造された二酸化チタンの製造法において、フレーム加水分解により製造され、かつ二酸化ケイ素で被覆された二酸化チタンに場合により第一に水を噴霧し、その後表面変性剤を噴霧し、引き続き温度処理することを特徴とする製造法。
【請求項3】
請求項1記載の、二酸化ケイ素で被覆された、表面変性され、熱分解により製造された二酸化チタンの製造法において、フレーム加水分解により製造され、かつ二酸化ケイ素で被覆された二酸化チタンを蒸気形の表面変性剤で処理し、その後熱処理することを特徴とする製造法。
【請求項4】
日焼け防止用配合物において、二酸化ケイ素で被覆された、表面変性され、熱分解により製造された二酸化チタンを0.1〜25質量%の量で含有することを特徴とする日焼け防止用配合物。

【公開番号】特開2006−213915(P2006−213915A)
【公開日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2005−372186(P2005−372186)
【出願日】平成17年12月26日(2005.12.26)
【出願人】(501073862)デグサ アクチエンゲゼルシャフト (837)
【氏名又は名称原語表記】Degussa AG
【住所又は居所原語表記】Bennigsenplatz 1, D−40474 Duesseldorf, Germany
【Fターム(参考)】