説明

表面実装方法

【課題】表面実装過程において、表面実装部品の位置ずれを抑制する。
【解決手段】表面実装部品10を基板20に実装する方法に関する。表面実装部品10は、本体11と複数の端子13とを備えている。基板20は、配線部25、および、配線部25に積層され配線部25を露出させる複数の貫通孔23が形成された第2絶縁層22を有する。表面実装方法は、めっき処理工程、はんだ塗布工程、部品載置工程、および、はんだ融解工程を具備する。はんだ塗布工程では、めっき部30上に第2絶縁層22の上面24から突出するようにクリームはんだ40を塗布する。部品載置工程では、塗布後に端子13がクリームはんだ40上に配置されるように基板20に表面実装部品10を載置する。はんだ融解工程では、載置後にクリームはんだ40を融解させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板に表面実装部品を実装する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に表面実装部品を基板に実装する際には、まず、基板のパッド面にはんだを供給し硬化させた後、表面実装部品の端子が硬化したはんだ上に配置されるように表面実装部品を基板に載置し、その後、はんだを融解させて、実装を行う(例えば、特許文献1および特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−108940号公報
【特許文献2】特開2003−31727号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、表面実装部品の端子が硬化したはんだ上に配置されるように表面実装部品を基板に載置すると、表面実装部品の端子が硬化したはんだ上を滑ってしまい、表面実装部品の位置ずれが生じることがある。そうすると、表面実装部品を基板上の所定の位置に正確に実装できない。そのため、表面実装部品を載置してからはんだを融解させるまでの間、表面実装部品の位置ずれを防止するために、載置した表面実装部品を支持する必要があり、コストアップにつながってしまう。
【0005】
そこで、本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、表面実装過程において、表面実装部品の位置ずれを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係る表面実装方法は、本体と前記本体から延びた複数の端子とを備えた表面実装部品を、配線部と前記配線部に積層され前記配線部の表面を露出させる複数の貫通孔が前記複数の端子に対応した位置に形成された絶縁層とを有する基板の表面に実装する方法であって、前記複数の貫通孔から露出した前記配線部の表面にめっきして前記複数の貫通孔内にめっき部を形成するめっき処理工程と、前記絶縁層の表面から突出するように前記めっき部の表面にクリームはんだを塗布するはんだ塗布工程と、前記複数の端子が前記クリームはんだ上に配置されるように前記基板に前記表面実装部品を載置する部品載置工程と、前記クリームはんだを融解させるはんだ融解工程とを具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、表面実装過程において、表面実装部品の位置ずれを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施形態に係る表面実装方法の表面実装部品を示す図である。
【図2】本発明の実施形態に係る表面実装方法の基板の一部の平面図および断面図である。
【図3】本発明の実施形態に係る表面実装方法を説明するための基板の一部および表面実装部品の断面図である。
【図4】本発明の実施形態に係る表面実装方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の実施形態に係る表面実装方法について、図1ないし図4を用いて説明する。
【0010】
本実施形態の表面実装部品について、図1を用いて説明する。図1(a)は、表面実装部品の正面図であり、図1(b)は、表面実装部品の平面図である。
【0011】
図1に示す表面実装部品10は、表面実装型のICパッケージであり、SOP(Small Outline Package)と呼ばれるものである。表面実装部品10は、本体11および20本の端子13から構成されている。本体11は、板状のフレーム内にICチップを内蔵している。
【0012】
20本の端子13は、本体11の長手方向の両側面から、それぞれ10本ずつ、本体11の外側に向かって延びている。端子13は、銅(Cu)の長板が2箇所で折り曲げられて形成され、その折り曲げられた箇所を境にして、水平部14、下降部15および先端部16に区分けされている。水平部14は、本体11の長手方向の両側面から、本体11の外側に向かって、水平に延びている。下降部15は、水平部14の終端から、鉛直方向の下向きに延びている。先端部16は、下降部15の終端から、本体11から離れる方向に延びている。
【0013】
複数の端子13の先端部16の下面17は、全て同一平面上に位置している。また、先端部16の下面17は、本体11の下面12と平行し、かつ、本体11の下面12より下方に位置している。
【0014】
なお、表面実装部品10は、SOPに限定されず、他の表面実装型の部品でも良い。例えば、QFP(Quad Flat Package)やBGA(Ball Grid Array)などでも良い。
【0015】
基板について、図2を用いて説明する。図2(a)は、本発明の実施形態に係る表面実装方法の基板の一部の平面図である。図2(b)は、図2(a)のII−II断面矢視図である。
【0016】
基板20は、第1絶縁層21、第2絶縁層22および配線部25を有する。配線部25は、銅の配線であり、第1絶縁層21上に形成されている。第2絶縁層22は、配線部25を覆うように、第1絶縁層21上に積層されている。
【0017】
第2絶縁層22には、実装対象となる表面実装部品10の端子13の先端部16に対応した位置に、第2絶縁層22の表裏を貫通する複数の貫通孔23が形成されている。また、貫通孔23は、配線部25上に形成されている。貫通孔23の開口の大きさは、先端部16が収まる程度の大きさである。よって、配線部25の上面26(いわゆるパッド面)は、貫通孔23により露出されている。また、第2絶縁層22の上面(基板20の上面)24より下方に位置している。
【0018】
なお、基板20は、単層配線基板に限定されず、多層配線基板でも良い。また、基板20は、リジッド基板でも良いし、フレキシブル基板でも良い。
【0019】
本発明の実施形態に係る表面実装方法について、図3および図4を用いて説明する。図3は、本発明の実施形態に係る表面実装方法を説明するための基板の一部および表面実装部品の断面図である。図4は、本発明の実施形態に係る表面実装方法のフローチャートである。
【0020】
まず、図3(b)に示すように、めっき処理を行い、貫通孔23により露出された配線部25の上面26にめっき部30を形成する(S1)。この際、めっき部30の上面31が第2絶縁層22の上面24より下方に位置するように、めっき処理を行う。
【0021】
めっき処理後、図3(c)に示すように、めっき部30の上面31にクリームはんだ40を塗布する(めっき処理工程,S2)。この際、クリームはんだ40が第2絶縁層22の上面24から突出するように塗布する。ここで、クリームはんだ40は、錫(Sn)を主成分とした金属からなる粉末状のはんだとフラックスとの混合物であり、粘性を有している。フラックスには、例えば、松脂が用いられる。
【0022】
クリームはんだ40の塗布後、図3(d)に示すように、複数の先端部16がクリームはんだ40上に配置されるように、基板20上の所定の位置に表面実装部品10を載置する(部品載置工程,S3)。図3(d)に示す表面実装部品10においては、その先端部16がクリームはんだ40上に配置されているが、貫通孔23の中心に配置されていない。
【0023】
表面実装部品10の載置後、クリームはんだ40を加熱して、クリームはんだ40中のフラックスを揮発させ、クリームはんだ40(クリームはんだ40中のはんだ)を融解させる(はんだ融解工程,S4)。クリームはんだ40(クリームはんだ40中のはんだ)が融解すると、はんだの濡れ性により、表面実装部品10が、点線51に示す位置からクリームはんだ40の中心方向(図3(e)の右方向)に移動する。つまり、表面実装部品10の先端部16が、貫通孔23の中心方向に移動する。これと同時に、はんだの濡れ性および表面実装部品10の自重により、表面実装部品10が下方に移動する。よって、表面実装部品10は、図3(e)中の矢印52の方向に移動する。
【0024】
融解後、加熱を停止してはんだを硬化させ、表面実装部品10の実装が終了する(はんだ硬化工程,S5)。
【0025】
本発明の実施形態に係る表面実装方法の効果について説明する。
【0026】
本実施形態によれば、粘性のあるクリームはんだ40上に表面実装部品10の端子13が配置されるように、表面実装部品10を基板20上に載置するため、表面実装部品10は、クリームはんだ40の粘性により仮止めされる。よって、表面実装部品10の位置ずれを抑制できる。そのため、表面実装部品10の載置後からはんだの融解までの間、表面実装部品10を支持する必要がない。
【0027】
また、本実施形態によれば、仮に表面実装部品10を載置した位置が所定の位置から多少ずれていても、はんだの濡れ性により、表面実装部品10の載置した位置が補正される。そのため、良好な表面実装が可能となる。
【0028】
さらに、本実施形態によれば、クリームはんだ40を第2絶縁層22の上面24から突出するように塗布するため、表面実装部品10をクリームはんだ40上に載置するのが容易となる。
【符号の説明】
【0029】
10…表面実装部品、11…本体、12…本体の下面、13…端子、14…水平部、15…下降部、16…先端部、17…先端部の下面、20…基板、21…第1絶縁層、22…第2絶縁層、23…貫通孔、24…第2絶縁層の上面、25…配線部、26…配線部の上面、30…めっき部、31…めっき部の上面、40…クリームはんだ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体と前記本体から延びた複数の端子とを備えた表面実装部品を、配線部と前記配線部に積層され前記配線部の表面を露出させる複数の貫通孔が前記複数の端子に対応した位置に形成された絶縁層とを有する基板の表面に実装する方法であって、
前記複数の貫通孔から露出した前記配線部の表面にめっきして前記複数の貫通孔内にめっき部を形成するめっき処理工程と、
前記絶縁層の表面から突出するように前記めっき部の表面にクリームはんだを塗布するはんだ塗布工程と、
前記複数の端子が前記クリームはんだ上に配置されるように前記基板に前記表面実装部品を載置する部品載置工程と、
前記クリームはんだを融解させるはんだ融解工程と
を具備することを特徴とする表面実装方法。
【請求項2】
前記クリームはんだははんだとフラックスとの混合物であることを特徴とする請求項1に記載の表面実装方法。
【請求項3】
前記フラックスは松脂であることを特徴とする請求項1に記載の表面実装方法。
【請求項4】
前記複数の端子の先端には下端面が形成され、前記下端面は前記貫通孔の開口より小さいことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載の表面実装方法。
【請求項5】
前記下端面は全て同一平面上に位置するように形成されていることを特徴とする請求項4に記載の表面実装方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−225902(P2010−225902A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−72295(P2009−72295)
【出願日】平成21年3月24日(2009.3.24)
【出願人】(000113322)東芝ホクト電子株式会社 (172)
【Fターム(参考)】