説明

表面形状計測装置、及び表面形状計測方法

【課題】計測対象物の三次元形状を容易に、且つリアルタイムに得ることができる表面形状計測装置、及び表面形状計測方法を提供する。
【解決手段】道路8の表面にレーザビーム9を走査させて、道路8の表面に照射したレーザビーム9の方位毎の測距データを出力する測域センサ1と、レーザビーム9の投光面の一部を含んだ道路8の表面を撮像するカメラ3と、測域センサ1、及びカメラ3を道路8の表面に沿って車輪7を回転させて移動させる走行台車5と、走行台車5により測域センサ1、及びカメラ3を移動させた時に測域センサ1から得られた測距データを演算処理してz軸方向の位置座標を求め、カメラ3から得られた画像データを演算処理してx軸方向、並びにy軸方向の位置座標を求める位置座標検出手段と、位置座標検出手段により求められた各軸方向の位置座標に基づいて道路8の三次元形状を演算するPC4と、を備えて構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面形状計測装置、及び表面形状計測方法に関し、特に、地形や建造物内部の形状を三次元的に計測する表面形状計測装置、及び表面形状計測方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
地形や建物内部の形状を三次元的に計測するために、レーザスキャナを利用した計測方法が実用化され始めている。これらのシステムでは、三脚などで固定された三次元スキャナからレーザを周囲に投光することで、三次元スキャナの位置から目視できる箇所の三次元形状が計測される。しかしながら、さらに広範囲の領域を計測するには、計測器を移動させる必要がある。しかし、計測器を移動させた場合、移動前と移動後の三次元データを連結する作業が煩雑であるといった問題がある。
これを解決するために、高精度なGPSを利用して位置を検出する方法も考えられるが、ビルの谷間や建物の内部では人工衛星の電波が検出できず精度が大幅に低下するといった問題がある。
また、従来技術として同一出願人による特許文献1には、小径管内の形状を計測するために光により全方位に照射し、撮像手段を移動させたときに撮像された光リングの径の値、及び文様の移動量に基づいて撮像手段の移動距離を演算することにより、小径管内面の三次元形状を演算して、小径管内面の状態を正確に且つ迅速に計測することが可能な管内面形状計測装置について開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−223710公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に開示されている従来技術は、小径管内面に撮像された文様のうち、180°の位置にある複数の組み合わせの文様の移動量、及び光リング径の値からカメラの移動量を検知して、複数の組み合わせの平均値でカメラの移動量を計算するため、移動量に多少の誤差が含まれるといった問題がある。
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、レーザスキャナとカメラを走行台車に取り付け、走行台車を移動しながらレーザスキャナにより計測対象物の断面データを取得し、同時にカメラで撮像された画像データに基づいて走行台車の移動量と移動方向を演算により求め、両者のデータを重ねることで、計測対象物の三次元形状を容易に、且つリアルタイムに得ることができる表面形状計測装置、及び表面形状計測方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明はかかる課題を解決するために、請求項1は、計測対象物の表面に沿って移動しながら該表面の形状を三次元的に計測する表面形状計測装置であって、前記計測対象物の表面にレーザビームを走査させて、該計測対象物の表面に照射した前記レーザビームの方位毎の測距データを出力する測距データ検出手段と、前記レーザビームの投光面の一部を含んだ前記計測対象物の表面を撮像する撮像手段と、前記測距データ検出手段、及び前記撮像手段を前記計測対象物表面に沿って移動させる移動手段と、該移動手段により前記測距データ検出手段、及び前記撮像手段を移動させた時に該測距データ検出手段から得られた測距データを演算処理してz軸方向の位置座標を求め、前記撮像手段から得られた画像データを演算処理してx軸方向、並びにy軸方向の位置座標を求める位置座標検出手段と、該位置座標検出手段により求められたx軸方向、y軸方向、及びz軸方向の位置座標に基づいて前記計測対象物の三次元形状を演算する制御手段と、を備えたことを特徴とする。
三次元形状を得るには、x、y、及びz軸方向の座標が必要である。本発明では、z軸方向は、レーザビームを計測対象物の表面に走査して、レーザ光が計測対象物の表面を反射して往復する時間から距離を計測し、計測した各方位ごとの距離データを演算してz軸座標を求める。また、x軸、y軸の座標は、カメラ等の撮像手段により計測対象物の表面を移動しながら撮像して、その画像データとレーザビームによる距離データzを演算処理してx、y座標を求める。従って、測距データ検出手段、及び撮像手段を計測対象物表面に沿って移動させる移動手段が必要となる。本発明では、x、y軸方向の座標の変化を演算して移動手段の移動量と移動方向を求める点が特徴である。これにより、簡単な構成で、且つ低コストで計測対象物の三次元形状を計測することができる。
【0006】
請求項2は、前記制御手段は、前記撮像手段により撮像された画像上での前記計測対象物の表面模様の移動量及び移動方向に基づいて前記移動手段の移動量及び移動方向を演算することを特徴とする。
例えば、計測対象物が道路の場合、路面のテクスチャ(表面模様)は全て異なる。そこで本発明では、ある領域のテクスチャを読み取って、画像フレーム単位に前のフレームに撮像されたテクスチャと次のフレームの同じテクスチャがどこに移動したかを判定して移動手段の移動量及び移動方向を演算する。これにより、移動手段の移動量と移動方向を検知する装置を不要として、計測装置のコストを低減することができる。
【0007】
請求項3は、前記制御手段は、前記測距データ検出手段のレーザ投光部を原点として下向きにz軸をとる座標系を設置し、このときの前記撮像手段により撮像される画像上の座標(u,v)と実座標(x,y,z)の関係から係数を算出し、該係数、前記画像上の座標(u,v)、及び前記測距データ検出手段からのz座標を用いて前記実座標(x,y,z)を求めることを特徴とする。
撮像手段により撮像された画像上の座標(u,v)と実座標(x,y,z)との関係は、



となる。この式からh11〜h33の係数を算出し、実座標(x,y)の算出は、画像上の座標(u,v)と測距データ検出手段からのz座標を用いて、



として求まる。これにより、撮像された画像上の座標(u,v)と測距データ検出手段による測距データのz座標から実座標(x,y)を求めることができる。
【0008】
請求項4は、前記制御手段は、前記撮像手段により撮像された画像上での前記測距データ検出手段により検出した領域の複数個所の近傍領域を検出し、該近傍領域の移動前の座標と移動後の座標に基づいて前記移動手段の移動量及び移動方向を決定することを特徴とする。
測距データ検出手段は扇状の領域を検出するため、下向きをz軸とし、y軸を通るものとする(y=0)。測距データ検出手段から検出されるx、zのデータおよびy=0から、カメラ画像上での測距データ検出手段で検出している領域の画像上での数カ所の近傍領域を検出する。
この近傍領域の中心の画像上での座標(u,v)はx、zのデータおよびy=0を以下の式に代入して求まる。



撮像手段はビデオカメラを用いて連続した画像を撮影し、連続した画像間で近傍領域の移動量(Δu、Δv)を検出する。移動後の座標(u+Δu,v+Δv)およびz(測距データ検出手段からの座標z。移動手段は上下方向には移動しないものとし、移動前後一定でzである。)を式に代入することで移動後の(x,y)が決定される。移動前の座標(x,y)と比較することで、移動手段の移動量および移動方向が算出される。
【0009】
請求項5は、測距データ検出手段、撮像手段、移動手段、位置座標検出手段、及び制御手段を備え、計測対象物の表面形状を三次元的に計測する表面形状計測装置の表面形状計測方法であって、前記測距データ検出手段が、前記計測対象物の表面にレーザビームを走査させて、該計測対象物の表面に照射した前記レーザビームの方位毎の測距データを出力するステップと、前記撮像手段が、前記レーザビームの投光面の一部を含んだ前記計測対象物の表面を撮像するステップと、前記移動手段が、前記測距データ検出手段、及び前記撮像手段を前記計測対象物表面に沿って移動させるステップと、前記位置座標検出手段が、前記移動手段により前記測距データ検出手段、及び前記撮像手段を移動させた時に該測距データ検出手段から得られた測距データを演算処理してz軸方向の位置座標を求め、前記撮像手段から得られた画像データを演算処理してx軸方向、並びにy軸方向の位置座標を求めるステップと、前記制御手段が、前記位置座標検出手段により求めたx軸方向、y軸方向、及びz軸方向の位置座標に基づいて前記計測対象物の三次元形状を演算するステップと、を含むことを特徴とする。
請求項1と同様の作用効果を奏する。
請求項6は、前記制御手段が、前記撮像手段により撮像された画像上での前記計測対象物の表面模様の移動量及び移動方向に基づいて前記移動手段の移動量及び移動方向を演算するステップを含むことを特徴とする。
請求項2と同様の作用効果を奏する。
【0010】
請求項7は、前記制御手段が、前記測距データ検出手段のレーザ投光部を原点として下向きにz軸をとる座標系を設置し、このときの前記撮像手段により撮像される画像上の座標(u,v)と実座標(x,y,z)の関係から係数を算出し、該係数、前記画像上の座標(u,v)、及び前記測距データ検出手段からのz座標を用いて前記実座標(x,y,z)を求めるステップを含むこと特徴とする。
請求項3と同様の作用効果を奏する。
請求項8は、前記制御手段が、前記撮像手段により撮像された画像上での前記測距データ検出手段により検出した領域の複数個所の近傍領域を検出し、該近傍領域の移動前の座標と移動後の座標に基づいて前記移動手段の移動量及び移動方向を決定するステップを含むことを特徴とする。
請求項4と同様の作用効果を奏する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、z軸方向は、レーザビームを計測対象物の表面を走査して、レーザ光が計測対象物の表面を反射して往復する時間から距離を計測し、計測した各方位ごとの距離データを演算してz軸座標を求め、x軸、y軸の座標は、カメラ等の撮像手段により計測対象物の表面を移動しながら撮像して、その画像データを演算処理してx、y座標を求めるので、簡単な構成で、且つ低コストで計測対象物の三次元形状を計測することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態に係る表面形状計測装置の外観側面図である。
【図2】本発明の実施形態に係る表面形状計測装置の外観を示す斜視図である。
【図3】本発明の実施形態に係る表面形状計測装置の機能を説明するブロック図である。
【図4】カメラ座標から実座標に変換する様子を説明する図である。
【図5】レーザスキャナの検出線と近傍領域の関係を示す図である。
【図6】実際に道路上で本発明の表面形状計測装置を走行して得られた画像を処理した結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を図に示した実施形態を用いて詳細に説明する。但し、この実施形態に記載される構成要素、種類、組み合わせ、形状、その相対配置などは特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する主旨ではなく単なる説明例に過ぎない。
【0014】
図1は本発明の実施形態に係る表面形状計測装置の外観側面図である。本発明の表面形状計測装置50は、道路(計測対象物)8の表面に沿って移動しながら表面の形状を三次元的に計測する表面形状計測装置50であって、道路8の表面にレーザビーム9を走査させて、道路8の表面に照射したレーザビーム9の方位毎の測距データを出力する測域センサ(測距データ検出手段)1と、レーザビーム9の投光面の一部を含んだ道路8の表面を撮像するカメラ(撮像手段)3と、測域センサ1、及びカメラ3を道路8の表面に沿って車輪7を回転させて移動させる走行台車(移動手段)5と、走行台車5により測域センサ1、及びカメラ3を移動させた時に測域センサ1から得られた測距データを演算処理してz軸方向の位置座標を求め、カメラ3から得られた画像データを演算処理してx軸方向、並びにy軸方向の位置座標を求める位置座標検出手段10(図3参照)と、位置座標検出手段10により求められたx軸方向、y軸方向、及びz軸方向の位置座標に基づいて道路8の三次元形状を演算するPC(制御手段)4と、を備えて構成されている。尚、本実施形態では、位置座標検出手段10は、PC4内に備え、ソフトウェアにより処理される。また、走行台車5に測域センサ1、カメラ3、及びPC4を駆動するバッテリ(電源)6を搭載している。また、台車5は、人力により走行してもよいし、モータ等の駆動源により走行してもよい。また、測域センサ1とカメラ3は、走行台車5の本体から伸びたアーム2に取り付けられている。
【0015】
三次元形状を得るには、x、y、及びz軸方向の座標が必要である。本実施形態では、z軸方向は、レーザビーム9を道路8の表面に走査して、レーザ光が道路8の表面を反射して往復する時間から距離を計測し、計測した各方位ごとの距離データを演算してz軸座標を求める。また、x軸、y軸の座標は、カメラ3により道路8の表面を移動しながら撮像して、その画像データを演算処理してx、y座標を求める。従って、測域センサ1、及びカメラ3を道路8の表面に沿って移動させる走行台車5が必要となる。本実施形態では、x軸、y軸方向の座標の変化を演算して走行台車5の移動量と移動方向を求める点が特徴である。これにより、簡単な構成で、且つ低コストで道路8の三次元形状を計測することができる。
【0016】
図2は本発明の実施形態に係る表面形状計測装置の外観を示す斜視図である。同じ構成要素には図1と同じ参照番号を付して説明する。測域センサ1からは、レーザビーム9が道路8の表面を走査して、扇状に走査する。本実施形態では、市販の測域センサを使用しているため、領域Bにはレーザビーム9は届かない。一例として、北陽電機社製の仕様として、型番(URG−04LX)、測拒範囲(60〜4095mm、240°)、測拒精度(60〜1000mm:±10mm、1000〜4095mm:距離の±1%)、角度分解能(ステップ角:約0.36°)、走査時間(100ms/scan)、質量(約160g)が使用できる。
【0017】
図3は本発明の実施形態に係る表面形状計測装置の機能を説明するブロック図である。同じ構成要素には図1と同じ参照番号を付して説明する。PC4は位置座標検出手段10と、位置座標検出手段10により求められたx軸方向、y軸方向、及びz軸方向の位置座標に基づいて道路8の三次元形状を演算するCPU11により構成され、その結果はモニタ12に可視化される。
ここでPC4は、カメラ3により撮像された画像上での道路8の表面模様の移動量及び移動方向に基づいて走行台車5の移動量及び移動方向を演算する。例えば、計測対象物が道路の場合、路面のテクスチャ(表面模様)は全て異なる。そこで本実施形態では、ある領域のテクスチャを読み取って、画像フレーム単位に前のフレームに撮像されたテクスチャと次のフレームの同じテクスチャがどこに移動したかを計測して走行台車5の移動量及び移動方向を演算する。これにより、走行台車5の移動量と移動方向を検知する装置を不要として、装置のコストを低減することができる。
またPC4は、測域センサ1のレーザ投光部を原点として下向きにz軸をとる座標系を設置し、このときのカメラ3により撮像される画像上の座標(u,v)と実座標(x,y,z)の関係から係数を算出し、該係数、画像上の座標(u,v)、及び測距データ検出手段からのz座標を用いて実座標(x,y,z)を求める(詳細は後述する)。
【0018】
次に、本発明のPC4が各座標から走行台車5の移動量及び移動方向を求めるプロセスについて詳細に説明する。
測域センサ(以下、説明の都合上レーザスキャナと呼ぶ)1は、鉛直(路面が水平の場合)下向きに扇状にレーザを投光するものとし、レーザが投光された平面上での形状(断面形状)を計測する。カメラ3はレーザスキャナ1のレーザ投光面の一部を含み、道路(歩道)表面8を撮影する。走行台車5の移動量および移動方向は、カメラ3に撮影される画像上での道路表面のテクスチャ(表面模様)の移動量および移動方向から検出される。
【0019】
レーザスキャナ1のレーザ投光部を原点として鉛直下向きにz軸をとる座標系(実座標)を設置する。この時カメラ3に撮影される画像上の座標(u,v)と実座標(x,y,z)の関係は以下のようになる。



ここで、h11−h33は係数である。
これを展開し、



sを消去して変形し、


・・・・(1)
となる。
【0020】
図4のようにx、yスケールが記入された目盛板13を水平に設置し、目盛板13をカメラ3で撮影する。撮影された画像内で、目盛板13の一箇所をマウスなどを利用して指示し、その位置(画像上での座標u,v)をコンピュータで読み込む。また、その位置の実座標(x,y)を目盛り板から読み取る。z座標はレーザスキャナ1のデータから読み取る。平板の位置(z位置)を変化させ、カメラ3で撮影することを繰り返し、(u,v)と(x,y,z)の複数(6点以上)の組み合わせを検出する。これらの組み合わせを(1)式に代入することで、h11−h33の係数を算出できる。
11−h33が決まると実座標(x,y)の算出はカメラ座標(u,v)とレーザスキャナ1からのz座標を用いて以下の式で可能になる。
【0021】
(1)を変形し、




から、


・・・(2)
となる。
【0022】
また、逆にu、vの算出式は


・・・(3)
となり、x、y、zからu、vへの変換が可能になる。
【0023】
図5に示すように、レーザスキャナは扇状の領域14を検出するため、鉛直下向きをz軸とし、y軸を通るものとする(y=0)。レーザスキャナから検出されるx、zのデータから、(3)式を用いることで、カメラ画像上でのレーザスキャナ1で検出している領域15の画像上での数カ所の近傍領域を検出する。カメラ3はビデオカメラを用い、連続した画像を撮影し、連続した画像間で近傍領域の移動量(Δu,Δv)を検出する。例えば、近傍領域を(u,v)を中心としサイズをm×nとする。この時の相関関数は、



となり、相関関数φfgがもっとも小さくなるΔuとΔvを求めることを行う。
【0024】
移動後の座標(u+Δu,v+Δv)およびz(レーザスキャナ1からの座標z、走行台車5は上下方向には移動しないものとし、移動前後一定でzである。)を(2)式に代入することで、移動後の(x,y)が決定される。移動前の座標(x,y)と比較することで、台車の移動量および移動方向が算出される。即ち、上述の数カ所の近傍領域15の移動前の座標と移動後の座標から、走行台車5の移動量および移動方向を決定する。以下に具体的に説明する。
(x,y)から(x,y)への平行移動および回転(方向)を示す式は以下のようになる。



・・・(4)
展開すると、



・・・(5)
になる。
【0025】
数カ所(n個)の近傍領域の移動前の座標(x0i,y0i)と移動後の座標(x,y)を(5)に代入し、以下の連立方程式を得る。


・・・(6)
Aの逆行列(または擬似逆行列)を両辺にかけることで、係数h11からh23が決定される。係数h11からh23が決定されると移動と回転を示す(4)式が決定されることになる。すなわち走行台車5の移動量および移動方向(回転)が決定されたことになる。
【0026】
走行台車5の移動量および移動方向を考慮し、レーザスキャナ1からの断面データを重ねることで道路8の三次元形状が算出される。具体的には、レーザスキャナ1からの断面データを(4)式を用いて移動および回転させながらメモリー上に蓄積することで三次元形状を算出する。
尚、本実施形態では道路が水平である場合について言及したが、走行台車に傾きセンサを取り付け、傾きセンサの信号により、測域センサ1から得られる測拒データを補正することにより、坂道での計測も可能とすることができる。
【0027】
図6は実際に道路上で本発明の表面形状計測装置を走行して得られた画像を処理した結果を示す図である。本実施例においては、写真に示す道路上を走行させて得た画像である。写真(A)は道路の中心から直線的に眺めた図であり、写真(B)は道路の端部から倉庫側を斜めに眺めた図である。この写真では、道路を16、側路側を17、倉庫を18とする。図6(a)は、写真(A)の処理画像であり、図6(b)は写真(B)の処理画像であり、図6(c)は画像展開して真上からみた図である。この図からわかるとおり、道路16の凹凸や倉庫18の位置が鮮明に描画されている。また、側路側は草があるために、レーザが反射されにくいため、画像が若干不鮮明である。
【符号の説明】
【0028】
1 測域センサ、2 アーム、3 カメラ、4 PC、5 走行台車、6 バッテリ、7 車輪、8 道路(路面)、9 レーザビーム、10 位置座標検出手段、11 CPU、12 モニタ、13 目盛り板、14 扇状の領域、15 近傍領域、16 道路、17 側路側、18 倉庫、50 表面形状計測装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
計測対象物の表面に沿って移動しながら該表面の形状を三次元的に計測する表面形状計測装置であって、
前記計測対象物の表面にレーザビームを走査させて、該計測対象物の表面に照射した前記レーザビームの方位毎の測距データを出力する測距データ検出手段と、
前記レーザビームの投光面の一部を含んだ前記計測対象物の表面を撮像する撮像手段と、
前記測距データ検出手段、及び前記撮像手段を前記計測対象物表面に沿って移動させる移動手段と、
該移動手段により前記測距データ検出手段、及び前記撮像手段を移動させた時に該測距データ検出手段から得られた測距データを演算処理してz軸方向の位置座標を求め、前記撮像手段から得られた画像データを演算処理してx軸方向、並びにy軸方向の位置座標を求める位置座標検出手段と、
該位置座標検出手段により求められたx軸方向、y軸方向、及びz軸方向の位置座標に基づいて前記計測対象物の三次元形状を演算する制御手段と、
を備えたことを特徴とする表面形状計測装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記撮像手段により撮像された画像上での前記計測対象物の表面模様の移動量及び移動方向に基づいて前記移動手段の移動量及び移動方向を演算することを特徴とする請求項1に記載の表面形状計測装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記測距データ検出手段のレーザ投光部を原点として下向きにz軸をとる座標系を設置し、このときの前記撮像手段により撮像される画像上の座標(u,v)と実座標(x,y,z)の関係から係数を算出し、該係数、前記画像上の座標(u,v)、及び前記測距データ検出手段からのz座標を用いて前記実座標(x,y,z)を求めることを特徴とする請求項1又は2に記載の表面形状計測装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記撮像手段により撮像された画像上での前記測距データ検出手段により検出した領域の複数個所の近傍領域を検出し、該近傍領域の移動前の座標と移動後の座標に基づいて前記移動手段の移動量及び移動方向を決定することを特徴とする請求項1又は2に記載の表面形状計測装置。
【請求項5】
測距データ検出手段、撮像手段、移動手段、位置座標検出手段、及び制御手段を備え、計測対象物の表面に沿って移動しながら該表面の形状を三次元的に計測する表面形状計測装置の表面形状計測方法であって、
前記測距データ検出手段が、前記計測対象物の表面にレーザビームを走査させて、該計測対象物の表面に照射した前記レーザビームの方位毎の測距データを出力するステップと、
前記撮像手段が、前記レーザビームの投光面の一部を含んだ前記計測対象物の表面を撮像するステップと、
前記移動手段が、前記測距データ検出手段、及び前記撮像手段を前記計測対象物表面に沿って移動させるステップと、
前記位置座標検出手段が、前記移動手段により前記測距データ検出手段、及び前記撮像手段を移動させた時に該測距データ検出手段から得られた測距データを演算処理してz軸方向の位置座標を求め、前記撮像手段から得られた画像データを演算処理してx軸方向、並びにy軸方向の位置座標を求めるステップと、
前記制御手段が、前記位置座標検出手段により求めたx軸方向、y軸方向、及びz軸方向の位置座標に基づいて前記計測対象物の三次元形状を演算するステップと、
を含むことを特徴とする表面形状計測方法。
【請求項6】
前記制御手段が、前記撮像手段により撮像された画像上での前記計測対象物の表面模様の移動量及び移動方向に基づいて前記移動手段の移動量及び移動方向を演算するステップを含むことを特徴とする請求項5に記載の表面形状計測方法。
【請求項7】
前記制御手段が、前記測距データ検出手段のレーザ投光部を原点として下向きにz軸をとる座標系を設置し、このときの前記撮像手段により撮像される画像上の座標(u,v)と実座標(x,y,z)の関係から係数を算出し、該係数、前記画像上の座標(u,v)、及び前記測距データ検出手段からのz座標を用いて前記実座標(x,y,z)を求めるステップを含むこと特徴とする請求項5又は6に記載の表面形状計測方法。
【請求項8】
前記制御手段が、前記撮像手段により撮像された画像上での前記測距データ検出手段により検出した領域の複数個所の近傍領域を検出し、該近傍領域の移動前の座標と移動後の座標に基づいて前記移動手段の移動量及び移動方向を決定するステップを含むことを特徴とする請求項5又は6に記載の表面形状計測方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−163346(P2012−163346A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−21620(P2011−21620)
【出願日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【出願人】(504224153)国立大学法人 宮崎大学 (239)
【出願人】(509139313)南大阪コンサルタント株式会社 (2)
【Fターム(参考)】