説明

被覆微粒子

【課題】 色彩、発色、光沢、発光(蛍光・りん光)、高輝度、光反射及び紫外線防護のうち少なくとも一つを向上させた被覆微粒子を提供する。
【解決手段】 本発明に係る被覆微粒子は、内部の断面形状が多角形を有する真空容器1を、前記断面に対してほぼ垂直方向を回転軸として回転させることにより、該真空容器1内の微粒子3を攪拌あるいは回転させながらスパッタリングを行うことで、該微粒子3の表面に該微粒子より粒径の小さい超微粒子又は薄膜が被覆された被覆微粒子であって、前記超微粒子又は前記薄膜は、金属、酸化物、窒化物及び炭化物からなる群から選ばれた一つ、又は前記群から選ばれた二つ以上の複合体からなり、化粧品又は塗料として使えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は被覆微粒子に係わり、特に、化粧品材料又は塗料材料からなる超微粒子又は薄膜が表面に被覆された被覆微粒子に関する。
【背景技術】
【0002】
化粧品には多くの無機、有機粉体(微粒子)が利用されている。その中でも無機粉体においては、色彩、光反射・散乱率、発色、紫外線反射等の材料の特性を生かした利用がなされている。
【0003】
粉体(微粒子)の色彩や発色を向上させる上で、粉体の表面に超微粒子又は薄膜を修飾(被覆)することは非常に有効な手段である。なぜなら、材料の光学特性は粉体表面の性質に大きく依存していることから、粉体の表面修飾を行うことにより色彩や発色を大きく変化させることができるからである。それに加えて、粉体の表面修飾では、表面修飾する材料が持つ特性(例えば紫外線反射、蛍光等)を付与することも可能である。
【0004】
従来の粉体の表面修飾法は、修飾材料を微粒子化し、この修飾材料を静電気力、水分の表面張力等の弱い吸着力により母体となる微粒子の表面に修飾する方法である。しかし、修飾材料を平均粒径数十〜数百nmまで微粒子化しないと実際に粉体の表面修飾法を利用することができないが、平均粒径数十〜百nmまで微粒子化できる修飾材料が限られている。その上に、微粒子の粒径や形状にはばらつきがあるため、各微粒子の表面に均一な修飾を行うことが難しい。また、微粒子化した形態のみでしか粉体に修飾できないため、高反射率の平面等が作れないといった欠点がある。
【0005】
その他の従来例としては、めっき法によっても粉体の表面修飾が行われてきた。しかし、調製工程が煩雑であること、調製時に不純物の混入が避けられないこと、化粧品に多く利用されている酸化物材料が修飾できないこと、更にめっき廃液は環境問題からその処理が難しいこと等の理由から、めっき法による粉体の表面修飾法は化粧品分野ではあまり利用されていない。
【0006】
一方、塗料製品に使用されている材料は、粉体塗料や塗料に使用される顔料など多くが粉体として利用されている。これらの粉体は殆どが材料自体の色彩や発色をそのまま利用している。しかし、従来の塗料用材料だけでは、色彩や発色の面で多様なニーズに応えることが出来ていない。また、防食性や抗菌性を持ち合わせた塗料といった新たなニーズも生まれており、これらのニーズに合わせた塗料の開発が期待されている。
【0007】
上記の問題を解決する方法として、化粧品の場合と同様に、粉体の表面に物質を修飾(被覆)することが考えられる。塗料の色彩や発色は顔料等の粉体材料表面の形態、光反射率、屈折率等に大きく依存するため、粉体表面を他の物質で修飾することにより、色彩や発色を変化させることができる。また、同時に修飾物質の持つ特性(例えば防食性、抗菌性等)を付与することも可能である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、近年の化粧品に対する要求は厳しくなってきており、発色の向上、高輝度粉体材料の開発等が求められている。一方、従来の塗料用材料だけでは、色彩や発色の面で多様なニーズに応えることが出来ていない。また、防食性や抗菌性を持ち合わせた塗料といった新たなニーズも生まれており、これらのニーズに合わせた塗料の開発が期待されている。
【0009】
本発明は上記のような事情を考慮してなされたものであり、その目的は、色彩、発色、光沢、蓄光・発光(蛍光やリン光)、高輝度、光反射及び紫外線防護のうち少なくとも一つを向上させた被覆微粒子を提供することにある。また、本発明の他の目的は、微粒子の表面に機能化した化粧品用材料又は塗料用材料からなる超微粒子又は薄膜を被覆した被覆微粒子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、物理蒸着法の一つであるスパッタリング法に注目した。この方法も粉体全体に均一に微粒子を被覆することが難しいが、担体を選ばない、金属から無機物までを粉体表面に修飾できる、環境負荷が小さい、等々の理由から非常に汎用性が高いと考えられる。そこで、今回我々は、粉体表面の新規修飾法である多角バレルスパッタリング法を発明した。本方法は、乾式のスパッタリング法を利用しており、粉体表面に金属、酸化物等をほぼ均一に修飾することが可能であること、従来の方法に比べて修飾工程が非常に短いこと、不純物の混入がほとんどないこと、廃液処理の必要がないこと、修飾物(超微粒子又は薄膜)と被修飾物(微粒子)の多彩な組み合わせが可能なため、防食性、抗菌性などの特性を持つ材料を微粒子表面に修飾できること、微粒子の表面に修飾(被覆)する材料の形態(薄膜から微粒子まで)を制御することで、粉体の光反射率、屈折率を操作し、自由に色彩を変えることができること、といった多くの利点がある。本方法の開発により粉体表面の自由な修飾が可能になったことで、粉体の表面に様々な特性(蛍光特性等)を持つ酸化物材料を修飾することも可能になり、粉体の表面に薄膜の形態で修飾することも容易になった。
【0011】
以下、具体的に説明する。
本発明に係る被覆微粒子は、内部の断面形状が多角形を有する真空容器を、前記断面に対してほぼ垂直方向を回転軸として回転させることにより、該真空容器内の微粒子を攪拌あるいは回転させながらスパッタリングを行うことで、該微粒子の表面に該微粒子より粒径の小さい超微粒子又は薄膜が被覆され、化粧品又は塗料に使用される被覆微粒子であって、
前記超微粒子又は前記薄膜は、金属、酸化物、窒化物及び炭化物からなる群から選ばれた一つ、又は前記群から選ばれた二つ以上の複合体からなることを特徴とする。
【0012】
本発明に係る被覆微粒子は、内部の断面形状が多角形を有する真空容器を、前記断面に対してほぼ垂直方向を回転軸として回転させることにより、該真空容器内の微粒子を攪拌あるいは回転させると共に前記微粒子に振動を加えながらスパッタリングを行うことで、該微粒子の表面に該微粒子より粒径の小さい超微粒子又は薄膜が被覆され、化粧品又は塗料に使用される被覆微粒子であって、
前記超微粒子又は前記薄膜は、金属、酸化物、窒化物及び炭化物からなる群から選ばれた一つ、又は前記群から選ばれた二つ以上の複合体からなることを特徴とする。
【0013】
本発明に係る被覆微粒子は、内部の断面形状が多角形を有する真空容器を直接または間接的に加熱すると共に、前記断面に対してほぼ垂直方向を回転軸として前記真空容器を回転させることにより、該真空容器内の微粒子を攪拌あるいは回転させながらスパッタリングを行うことで、該微粒子の表面に該微粒子より粒径の小さい超微粒子又は薄膜が被覆され、化粧品又は塗料に使用される被覆微粒子であって、
前記超微粒子又は前記薄膜は、金属、酸化物、窒化物及び炭化物からなる群から選ばれた一つ、又は前記群から選ばれた二つ以上の複合体からなることを特徴とする。
【0014】
上記それぞれの本発明に係る被覆微粒子によれば、一般に用いられている平均粒径が50μm以下の化粧品や塗料の母体微粒子に化粧品用材料又は塗料用材料からなる薄膜又は超微粒子をほぼ均一に被覆(修飾)することが可能となる。ただし、50μm以上の粉体が化粧品や塗料の材料として用いられる場合でももちろん表面修飾は可能である。つまり、母体微粒子の粒径に制約はほとんどない。このため、化粧品用材料又は塗料用材料を被覆した被覆微粒子において色彩、発色、光沢、蛍光やリン光、高輝度、光反射及び紫外線防護のうち少なくとも一つを向上させることができる。
【0015】
本発明に係る被覆微粒子は、微粒子の表面に該微粒子より粒径の小さい超微粒子又は薄膜が被覆され、化粧品又は塗料に使用される被覆微粒子であって、前記超微粒子又は前記薄膜は、金属、酸化物、窒化物及び炭化物からなる群から選ばれた一つ、又は前記群から選ばれた二つ以上の複合体からなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
以上説明したように本発明によれば、色彩、発色、光沢、発光(蛍光やリン光)、蓄光、高輝度、光反射及び紫外線防護のうち少なくとも一つを向上させた被覆微粒子を提供することができる。また、他の本発明によれば、微粒子の表面に化粧品用材料又は塗料用材料からなる超微粒子又は薄膜を被覆した被覆微粒子を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の実施の形態による被覆微粒子を製造する際に用いる多角バレルスパッタリング装置の概略を示す構成図である。
【0018】
この多角バレルスパッタリング装置は、微粒子(粉体)の表面に、該微粒子より粒径の小さい超微粒子又は薄膜を被覆するための装置である。
【0019】
多角バレルスパッタリング装置は、微粒子3に超微粒子又は薄膜を被覆させる真空容器1を有しており、この真空容器1は直径200mmの円筒部1aとその内部に設置された断面が六角形のバレル(六角型バレル)1bとを備えている。ここで示す断面は、重力方向に対してほぼ平行な断面である。なお、本実施の形態では、六角形のバレル1bを用いているが、これに限定されるものではなく、六角形以外の多角形のバレル(例えば4〜12角形)を用いることも可能である。
【0020】
真空容器1には回転機構(図示せず)が設けられており、この回転機構により六角型バレル1bを矢印のように回転または反転させたり、或いは振り子のように揺することで該六角型バレル1b内の微粒子3を攪拌あるいは回転させながら被覆処理を行うものである。前記回転機構により六角型バレルを回転させる際の回転軸は、ほぼ水平方向(重力方向に対してほぼ垂直方向)に平行な軸である。
【0021】
また、真空容器1内には円筒の中心軸上に化粧品用材料、例えばパール顔料、高輝度反射材料、紫外線防護効果を持つ材料、フォトクロミック材料、蛍光材料等からなる物質、またはこの物質を反応性スパッタリングで作り出すことができる物質からなるスパッタリングターゲット2が配置されており、このターゲット2は角度を自由に変えられるように構成されている。これにより、六角型バレル1bを回転または反転させたり、或いは振り子のように揺すりながら被覆処理を行う時、ターゲット2を微粒子3の位置する方向に向けることができ、それによってスパッタリング効率を上げることが可能となる。
【0022】
ターゲット2を構成する物質は、金属、酸化物、窒化物及び炭化物からなる群から選ばれた一つ、又は前記群から選ばれた二つ以上の複合体からなり、化粧品として使える化粧品用材料である。例えば、パール顔料、高輝度反射材料、紫外線を反射することにより紫外線防護効果を持つ材料、フォトクロミック材料、又は蛍光材料などの化粧品用材料である。
また、ターゲット2を構成する物質は、金属、酸化物、窒化物及び炭化物からなる群から選ばれた一つ、又は前記群から選ばれた二つ以上の複合体からなり、塗料として使える塗料用材料である。例えば、高輝度メタリック顔料、無機蛍光材料、耐食性を持つ材料、抗菌性を持つ材料、紫外線防護効果を持つ材料などの塗料用材料である。
【0023】
また、真空容器1内に配置されるターゲット2は一種類でもよいが複数種類であってもよい。例えばターゲット2として、上記した化粧品用材料又は塗料用材料から選ばれた複数の材料それぞれからなる複数のターゲットを並べて配置してもよい。また上記した化粧品用材料又は塗料用材料から選ばれた一つの材料からなるターゲットと、上記した化粧品用材料又は塗料用材料に含まれる材料の酸化物からなるターゲットとを並べて配置してもよい。
【0024】
そして、微粒子3を被覆する物質はターゲット2を構成する物質である。ターゲット2が複数種類ある場合はこれらの混合物または合金である。またターゲット2が上記した化粧品用材料又は塗料用材料から選ばれた一つもしくは複数の材料から構成されており、かつ反応性スパッタリングが行われる場合、微粒子3を被覆する物質はターゲット2を構成する物質から生成した物質(例えば酸化物)またはこれとターゲット2を構成する物質の混合物である。
【0025】
真空容器1には配管4の一端が接続されており、この配管4の他端には第1バルブ12の一方側が接続されている。第1バルブ12の他方側は配管5の一端が接続されており、配管5の他端はターボ分子ポンプ(TMP)10の吸気側に接続されている。ターボ分子ポンプ10の排気側は配管6の一端に接続されており、配管6の他端は第2バルブ13の一方側に接続されている。第2バルブ13の他方側は配管7の一端に接続されており、配管7の他端はポンプ(RP)11に接続されている。また、配管4は配管8の一端に接続されており、配管8の他端は第3バルブ14の一方側に接続されている。第3バルブ14の他方側は配管9の一端に接続されており、配管9の他端は配管7に接続されている。
【0026】
本装置は、真空容器1内の微粒子3を直接加熱するためのヒータ17aと、間接的に加熱するためのヒータ17bを備えている。また、本装置は、真空容器1内の微粒子3に振動を加えるためのバイブレータ18を備えている。また、本装置は、真空容器1の内部圧力を測定する圧力計19を備えている。また、本装置は、真空容器1内に窒素ガスを導入する窒素ガス導入機構15を備えていると共に真空容器1内にアルゴンガスを導入するアルゴンガス導入機構16を備えている。また反応性スパッタリングを行えるように、酸素等を導入できるガス導入機構20も備えている。また、本装置は、ターゲット2と六角型バレル1bとの間に高周波を印加する高周波印加機構(図示せず)を備えている。なおターゲット2と六角型バレル1bとの間には直流が印加できるようにもなっている。
【0027】
次に、上記多角バレルスパッタリング装置を用いて微粒子3に、化粧品用材料の一例であるTiOからなる超微粒子又は薄膜を被覆する多角バレルスパッタリング方法について説明する。
まず、六角型バレル1b内に例えば6グラムの微粒子3を導入する。この微粒子3としては例えば100μm程度の大きさのSiOあるいはAl粉体を用いるが、これに限定されるものではない。また、微粒子3は形状に制限がなく、例えばフレーク形状を有していても良い。また、微粒子3の材質についても制限はなく、例えば化粧品用材料からなるものであっても良い。
【0028】
次いで、ターボ分子ポンプ10を用いて六角型バレル1b内に高真空状態を作り、ヒータ17で六角型バレルを例えば室温〜400℃まで場合に応じて加熱しながら、六角型バレル内を例えば1×10−5Paに減圧する。その後、アルゴンガス導入機構16及びガス導入機構20によりアルゴン及び酸素を六角型バレル1b内に導入する。この際の六角型バレル内の圧力は例えば0.1〜3.5Pa程度である。尚、被覆させる超微粒子又は薄膜の材質によっては酸素、窒素、メタン、水素との混合ガスを六角型バレル1b内に導入しても良いし、ターゲットの材質を適宜変更しても良い。そして、回転機構により六角型バレル1bを200Wで60分間20rpmで回転させることで、六角型バレル1b内の微粒子3を回転させ、攪拌させる。その際、ターゲットは微粒子3の位置する方向に向けられる。その後、高周波印加機構によりターゲット2と六角型バレル1bとの間に高周波を印加することで、微粒子3の表面に化粧品用材料からなる物質を被覆する。このようにして微粒子3の表面にTiOを超微粒子又は薄膜として担持させることができる。なお、これらの条件は一例であり、これに限定されるものではない。
【0029】
上記多角バレルスパッタリング装置によれば、六角型バレル自体を回転させることで粉体自体を回転させ攪拌でき、更にバレルを六角型とすることにより、粉体を重力により定期的に落下させることができる。このため、攪拌効率を飛躍的に向上させることができ、粉体を扱う時にしばしば問題となる水分や静電気力による粉体の凝集を防ぐことができる。つまり回転により攪拌と、凝集した粉体の粉砕を同時かつ効果的に行うことができる。また六角型バレル1b壁面に微粒子が付着しにくくなる。従って、粒径の非常に小さい微粒子に、化粧品用材料又は塗料用材料からなり該微粒子より粒径が更に小さい超微粒子又は薄膜を被覆することが可能となる。具体的には、粒径が5nm以上の微粒子に、化粧品用材料又は塗料用材料からなる超微粒子又は薄膜を被覆することが可能となる。ここで、薄膜及び超微粒子に含まれる不純物は従来方法で調製されたものと比べて極めて少ないか、またはない。尚、超微粒子は、連続的に微粒子の表面に付着する場合もあるし、単体又は集合体として不連続に微粒子の表面に付着する場合もある。
【0030】
尚、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することが可能である。
例えば上記実施の形態では、バイブレータ18により六角型バレル内の微粒子3に振動を加えているが、バイブレータ18の代わりに、又は、バイブレータ18に加えて、六角型バレル内に棒状部材を収容した状態で該六角型バレルを回転させることにより、微粒子3に振動を加えることも可能である。これにより、粉体を扱う時に問題となる凝集をより効果的に防ぐことが可能となる。
【0031】
次に、本発明の実施の形態による被覆微粒子について説明する。この被覆微粒子は、図1に示す多角バレルスパッタリング装置を用いて製造されることが好ましいが、多角バレルスパッタリング装置を用いることに限定されるものではない。
【0032】
本実施の形態による被覆微粒子は、図1に示す多角バレルスパッタリング装置を用いてスパッタリングを行うことで、微粒子(粉体)の表面に該微粒子より粒径の小さい超微粒子又は薄膜が被覆されたものであり、前記超微粒子又は前記薄膜は化粧品用材料又は塗料用材料からなるものである。尚、図2に示すようなフレーク形状の微粒子23を用いることも可能である。
【0033】
以下、化粧品に使用される被覆微粒子の具体例について説明する。
図2に示すフレーク形状の微粒子(粉体)23を図1に示す多角バレルスパッタリング装置の真空容器に収容し、多角バレルスパッタリング法により該微粒子23に、金属、酸化物、窒化物及び炭化物からなる群から選ばれた一つ、又は前記群から選ばれた二つ以上の複合体からなる薄膜又は超微粒子を被覆する。尚、ここではフレーク形状の微粒子23を用いているが、球形等の他の形状の微粒子を用いることも可能である。前記金属は、Pt、Au、Ag、Cu、Al、Si、Ti、Mn、Fe、Co、Ni、Zn、In、Sn、W、Os及びIrからなる金属群から選ばれた少なくとも一つであり、前記酸化物は前記金属群から選ばれた少なくとも一つの金属酸化物であり、前記窒化物は前記金属群から選ばれた少なくとも一つの金属窒化物であり、前記炭化物は前記金属群から選ばれた少なくとも一つの金属炭化物である。
【0034】
化粧品用材料としては、人体や皮膚に対して安全かつ適応性の高い物質で、更に光、熱、水分等に対して化学的に安定な物質が望ましい。具体的には、化粧品用材料として用いる場合、前記金属は、Pt、Au、Ti、Ni、Si、Al、Fe、Ag、Cu及びWからなる金属群から選ばれた少なくとも一つであり、前記酸化物はSiO、TiO、NiO、ZnO、Al、MgO、Fe、AgO及びWOからなる群から選ばれた少なくとも一つの酸化物であることが好ましい。但し、人体や皮膚に対して全く無害とは言えない物質、今まで化粧品としては使われておらず、安全性のテストが行われていない物質であっても、被覆微粒子を調製した後に該被覆微粒子を人体や皮膚に適合した無機物や高分子等でさらに被覆すれば使用可能であると考えられる。
【0035】
このようにして、パール顔料、高輝度反射材料、紫外線を反射・散乱することにより紫外線防護効果を持つ材料などとして使用される被覆微粒子を作製することができる。従って、パール光沢を放つ新しいメイクアップ化粧品を実現することができる。また、紫外線カット率がほぼ100%である紫外線防護化粧品を実現することができる。尚、高輝度反射材料に適する前記金属は、Pt、Au、Ti、Ni、Si、Al、Fe、Ag、Cu及びWからなる金属群から選ばれた少なくとも一つであり、前記酸化物はSiO、TiO、NiO、ZnO、Al、MgO、Fe、AgO及びWOからなる群から選ばれた少なくとも一つの酸化物である。また、紫外線防護効果を持つ材料に適する前記金属は、Pt、Au、Ti、Ni、Si、Al、Fe、Ag、Cu及びWからなる金属群から選ばれた少なくとも一つであり、前記酸化物はSiO、TiO、NiO、ZnO、Al、MgO、Fe、AgO及びWOからなる群から選ばれた少なくとも一つの酸化物である。
【0036】
また、蛍光材料又はリン光材料として使用される被覆微粒子を作製することもできる。この場合、被覆する超微粒子又は薄膜は、希土類イオンを含有する希土類金属、又は希土類金属の酸化物、及びフォトクロミック性を有する金属の酸化物(例えば酸化タングステン)からなる群から選ばれた少なくとも一つからなるものを用いることが好ましい。尚、フォトクロミック材料は光により色が変わる材料である。
【0037】
また、被覆対象となる微粒子としては、特に制限はなく(例えば金属、酸化物、窒化物、炭化物、炭素材料、高分子)、化粧品として使えるものを用いても良い。
【0038】
パール顔料は、天然の雲母等のフレーク状微粒子に二酸化チタンや酸化鉄を被覆した光沢顔料であり、被覆微粒子のサイズや二酸化チタンの膜厚により、干渉効果でいろいろな光沢感のある外観が得られる。パール顔料は、現在多くの商品に使用されている。パール顔料には、化粧品に使用するパール顔料の他に、耐候性を必要とするエクステリア用パール顔料と、一般工業用のパール顔料がある。
【0039】
粉体はその表面状態によって特性が決定するといっても過言ではない。多角バレルスパッタリング法を利用することで、新規化粧品を開発することができる。また、微粒子の表面修飾による化粧品の使用感を改善することができる。また、微粒子の比重の変化による分散性を向上させることができる。これらの利点を利用することで、更なる新規化粧品を調製することが期待できる。
【0040】
また、被覆微粒子においては、微粒子の表面に超微粒子又は薄膜を被覆することにより色を持たせる(発色させる)ことも可能である。これにより、多彩な色調をコントロールした被覆微粒子を実現することができ、例えば新規の化粧品のファンデーションを作製することも可能である。
ファンデーションの母体となる微粒子(SiO、高分子ビーズ、雲母等)の表面に前述した金属(例えばAu、Ti)は酸化物(例えばTiO)を薄膜として修飾し、その膜厚をコントロールすることで、干渉作用を利用して多彩な色を有する粉体を調製できる。化粧品のファンデーションは、赤、黄、白、黒の微粒子の混合により作られる。例えば肌色のファンデーションも赤、黄、白、黒の色を有する粉体を適当な割合で混合して肌色を作り出しているが、赤や黄色の色彩を有する粉体は極めて少ない。一般に、赤色はFe、黄色は顔料を使っているが、多彩な色調をコントロールするには他の材料で用途により使い分けられる種々の赤色や黄色の無機微粒子を作ることが要求される。また、微妙な色彩をコントロールすることも難しい。上記本発明に係る被覆微粒子を用いることにより、多彩な色調をコントロールした被覆微粒子を実現することが可能である。
【0041】
また、TiO、ZnOをファンデーションの母体となる微粒子(SiO、高分子ビーズ、雲母等)の表面に超微粒子又は薄膜として担持することで、UV散乱パウダーファンデーションを調製することができる。また、他の酸化物を母体微粒子の表面に超微粒子として均一分散させることで、肌の色むらを隠す作用を奏する光散乱パウダーファンデーションを調製することができる。
【0042】
また、微粒子の表面に化粧品用材料からなる超微粒子又は薄膜を担持し、更に、異種物質による多層膜や同一物質でも中間に高分子等を挟むことで多重反射を利用したパール顔料を調製でき、高輝度パウダー(グロス)を実現することができる。
【0043】
また、微粒子の表面に、例えばWO、TiO、又はそれらの複合材料からなる色調変化材料からなる超微粒子又は薄膜を担持し、多彩な色彩を有するフォトクロミックパウダーを調製することができる。また、微粒子の表面に、希土類酸化物又は希土類酸化物に各種希土類イオンを添加した超微粒子又は薄膜を修飾することで、屋外では太陽光を吸収(蓄光)し、室内では蛍光やりん光として発光する新しいパウダーを調製することができる。
【0044】
以下、塗料に使用される被覆微粒子の具体例について説明する。
母体となる微粒子を図1に示す多角バレルスパッタリング装置の真空容器に収容し、多角バレルスパッタリング法により該微粒子に、金属、酸化物、窒化物及び炭化物からなる群から選ばれた一つ、又は前記群から選ばれた二つ以上の複合体からなる薄膜又は超微粒子を被覆する。微粒子が塗料用材料からなるものであっても良い。前記金属は、Pt、Au、Ag、Cu、Al、Si、Ti、Ni、V、Mn、Fe、Co、Zn、Zr、Nb、Mo、Ru、In、W、Os及びIrあるいは希土類からなる金属群から選ばれた少なくとも一つであり、前記酸化物は前記金属群から選ばれた少なくとも一つの金属酸化物であり、前記窒化物は前記金属群から選ばれた少なくとも一つの金属窒化物であり、前記炭化物は前記金属群から選ばれた少なくとも一つの金属炭化物である。これにより、高輝度メタリック顔料、無機蛍光・リン光材料、耐食性又は抗菌性を持つ材料、紫外線を反射又は吸収することにより紫外線防護効果を持つ材料などを実現することができる。尚、耐食性を持つ材料として適する前記金属は、Pt、Au、Si、Ti、Zn、Zr、Nb及びWからなる金属群から選ばれた少なくとも一つであり、前記酸化物は前記金属群から選ばれた少なくとも一つの金属酸化物であり、前記窒化物は前記金属群から選ばれた少なくとも一つの金属窒化物であり、前記炭化物は前記金属群から選ばれた少なくとも一つの金属炭化物である。
但し、前記金属には環境面から有害な物質(最近では、Sn、Pd、Hg、As、放射性物質等、更にはその化合物(酸化物等))は除く。
【0045】
粉体塗料の母体となる微粒子(SiO、Al、雲母等)の表面に上記金属(例えば、Au、Ti)や酸化物(例えばTiO)を薄膜として修飾し、その膜厚をコントロールすることで、多彩な色を有する粉体を調製できる。尚、有機顔料は多彩な発色が可能であるが、耐熱性、耐光性(耐紫外線性)、耐久性(長年にわたる酸化)に劣るので、多彩な色を有する無機顔料を調製する必要がある。
【0046】
上記物質(特に金属)を母体微粒子表面に薄膜として担持する。現在、メタリック顔料には繊細な金属光沢が求められているが、なかなか日本人の繊細な感覚に合うメタリック顔料は少ない。更に、異種物質による多層膜を修飾することで多重反射を利用したパール顔料も調製でき、高輝度反射粉体を実現することが可能である。
【0047】
上記塗料に使用される被覆微粒子によれば、被覆した超微粒子又は薄膜の持つ耐食性や抗菌性等の特性を付与した塗料用材料を作製することも可能である。また、蛍光材料又は高輝度メタリック材料を利用することにより夜間用高輝度塗料を実現することができる。また、紫外線カット率がほぼ100%である塗料用材料を実現することができる。また、耐食性と紫外線防護効果を併せ持った屋外建材に利用する高耐久性塗料といった製品を実現することができる。
また、微粒子の表面に超微粒子又は薄膜を被覆することにより色を持たせる(発色させる)ことができる。これにより、多彩な色調をコントロールした被覆微粒子を実現することができる。
【0048】
また、上記実施の形態による被覆微粒子によれば、平均粒径が50μm以下の微粒子に化粧品用材料又は塗料用材料からなる薄膜又は超微粒子をほぼ均一に被覆(修飾)することが可能となる。ただし、50μm以上の粉体が化粧品や塗料の材料として用いられる場合でももちろん表面修飾は可能である。つまり、母体微粒子の粒径に制約はほとんどない。このため、化粧品用材料を被覆した被覆微粒子において色彩、発色、光沢、発光(蛍光)、蓄光、高輝度、光反射及び紫外線防護のうち少なくとも一つを向上させることができる。また、色彩や発色等を変化させた塗料用材料を作製することもできる。
また、多角バレルスパッタリング装置を用いることにより、不純物の混入がほとんど無い被覆微粒子を調製することができる。
【0049】
次に、バレルスパッタリング方法を用いて微粒子にTiOからなる超微粒子又は薄膜を被覆した被覆微粒子についての分析結果を説明する。
【0050】
TiOは、アナターゼ型結晶の光触媒性を利用した水の光分解反応、環境汚染物質の分解除去、また、ルチル型結晶の光物性を利用したメタリック塗装顔料やUV散乱吸収剤として工業的に使用されている。しかしながら、光触媒においては更なる触媒効率の向上を目指して高表面積化が模索され、また海洋汚染物質の光分解可能な低比重光触媒の開発も検討されている。一方、光物性材料においても、新規な機能あるいは高機能を付加した新材料の開発が望まれている。そこで任意の微粒子担体表面に、TiOを修飾することにより、このような要求に答えようと考え、その基礎的な研究を行った。
【0051】
まず、実験方法を説明する。被覆微粒子の作製には図1に示した多角バレルスパッタリング装置を用いた。バレル中央ターゲット2にはTiターゲットを用い、このTiターゲットの下に試料をおき、真空容器1内を真空排気する。その後、アルゴンに酸素を任意の組成比で混合し、反応性スパッタリングを行った。基板にSiOガラス板又は石英板を用いた場合はバレルを固定し、またSiOガラス粉末(粒径が74〜149μm)又はAl粉末(120mesh)を用いた場合はバレルを回転させてスパッタリングを行った。どちらの場合も条件は、RF出力が200Wで行った。作製試料は、「X線回折装置」で結晶構造、結晶化度、「走査電子顕微鏡」で表面観察、「エネルギー分散型分光器」で元素分布、「光学顕微鏡」で色調、及び「紫外可視分光光度計」で化学組成を評価した。
【0052】
(ガス圧変化)
まず基板にシリカガラス板を用いて全圧(Ar+Oガス)の違いによる結晶構造の変化について検討した。ここでの酸素分圧は50%とした。図3は、シリカガラス基板のX線回折(XRD)パターンを示す図である。このパターンでは2θ=23°付近のブロードなピーク以外、他のピークはほとんど認められなかった。一方、図3には、全圧1Paの条件で調製した試料のパターンも示しているが、2θ=27.3°、54.1°にルチル型結晶(110)ピークと(211)ピークがそれぞれ強度208cps、43cpsで観測され、2θ=25.3°にはアナターゼ型結晶(101)ピークが強度45cpsで観測された。図3の下側は2θ=20〜35°の範囲で高感度測定を行ったものである。この図でもアナターゼのピークが確認されている。次に、全圧3Paの試料ではルチル型結晶(110)ピークと(211)ピークのみが強度125cps、30cpsで確認された。図3の下側でもルチル型のピークのみが確認された。よって全圧の違いにより結晶型が変化するということがわかった。酸素分圧変化よる検討も同様に行ったが、酸素分圧変化では結晶型に影響を与えず、結晶化度のみが変化することが分かった。
【0053】
(相関図)
図4は、修飾物質の結晶型に対する全圧と酸素分圧の相関図である。この図から、全圧0.7Pa以下の条件ではアモルファス領域であり、全圧0.7〜1.2Paの部分ではルチル+アナターゼ型結晶の混晶領域であり、1.2Pa以上の部分ではルチル型結晶領域であることがわかった。ここでルチル型結晶に注目すると結晶化度が最も高かった条件は、全圧1.1Pa、酸素分圧30%であった。次に、このガス条件でTiOの微粒子表面修飾を試みた。
【0054】
(色調)
図5(A)は、修飾前の粉末試料を示す写真であり、図5(B)は、修飾後の粉末試料を示す写真である。図6(A)は、修飾前の粉末試料を光学顕微鏡で撮影した写真であり、図6(B)は、修飾後の粉末試料を光学顕微鏡で撮影した写真である。
【0055】
まず、調製した粉末試料の色を観ると、図5に示すように、未修飾アルミナは白色であるのに対し、修飾後試料は薄い黄色を呈していた。また、光学顕微鏡で1つの粒子を観察しても、図6に示すように、同様に修飾後試料は薄い黄色を呈していた。
【0056】
(SEM・EDS)
図7は、未修飾アルミナと修飾アルミナをSEM及びEDSを用いて、試料の表面分析を行った結果を示す写真である。修飾前試料の表面は比較的平坦であり、Tiの元素は認められなかった。一方、修飾後試料にも島状構造等は観られず、表面は平坦であったが、その表面にはTi元素が均一分布していることが認められた。この結果より試料表面は均一な膜で被覆されていることがわかった。
【0057】
(UVスペクトル)
図8は、紫外・可視吸収スペクトルを測定した結果を示すグラフである。参照符号31は、今回調製した試料によるものである。参照符号32は、市販のルチル型結晶粉末を用いて測定したものである。参照符号33は、文献から引用したアナターゼ型のスペクトルである。図8より調製試料のスペクトルは380nm付近から顕著な吸収の立ち上がりが認められた。これは物質のバンドギャップ間の光電子励起に対応する光吸収であると考えられ、先の光学顕微鏡、SEM、EDSの結果と併せて考えると被覆膜はTiOであると考えられる。しかし得られたスペクトルは、ルチル型結晶が主な条件で作製したにもかかわらず、アナターゼ型に近いことがわかる。これを板上に調製した試料に戻って考察した。図9(A)は、焼鈍前の粉末試料をXRD測定した結果を示す図であり、図9(B)は、焼鈍後の粉末試料をXRD測定した結果を示す図である。ここでは、混晶試料を用いたが、この試料をアモルファスからアナターゼに転移する条件、600℃、1時間で焼鈍すると、アナターゼのピーク強度が大幅に増加することがわかった。このことは調製膜にはアモルファスのTiOが含まれていることを示している。つまり、被覆膜は巨視的に観れば、XRDで認められるルチル型やアナターゼ型結晶の他に、観測できないアモルファスの部分があり、そのアモルファスも微視的に観ればアナターゼ型構造であると考えれば、説明できる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の実施の形態による被覆微粒子を製造する際に用いる多角バレルスパッタリング装置の概略を示す構成図である。
【図2】本発明の実施の形態による被覆微粒子に用いる微粒子の一例であるフレーク形状の微粒子を示す斜視図である。
【図3】シリカガラス基板のX線回折(XRD)パターンを示す図である。
【図4】修飾物質の結晶型に対する全圧と酸素分圧の相関図である。
【図5】(A)は、修飾前の粉末試料を示す写真であり、(B)は、修飾後の粉末試料を示す写真である。
【図6】(A)は、修飾前の粉末試料を光学顕微鏡で撮影した写真であり、(B)は、修飾後の粉末試料を光学顕微鏡で撮影した写真である。
【図7】未修飾アルミナと修飾アルミナをSEM及びEDSを用いて、試料の表面分析を行った結果を示す写真である。
【図8】紫外・可視吸収スペクトルを測定した結果を示すグラフである。
【図9】(A)は、焼鈍前の粉末試料をXRD測定した結果を示す図であり、(B)は、焼鈍後の粉末試料をXRD測定した結果を示す図である。
【符号の説明】
【0059】
1…真空容器
1a…円筒部
1b…六角型バレル
2…ターゲット
3…微粒子(粉体試料)
3a…薄膜
3b…超微粒子
3c…超微粒子の集合体
4〜9…配管
10…ターボ分子ポンプ(TMP)
11…ポンプ(RP)
12〜14…第1〜第3バルブ
15…窒素ガス導入機構
16…アルゴンガス導入機構
17a,17b…ヒータ
18…バイブレータ
19…圧力計
20…ガス導入機構
23…フレーク形状の微粒子
31…作製試料
32…ルチル
33…アナターゼ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部の断面形状が多角形を有する真空容器を、前記断面に対してほぼ垂直方向を回転軸として回転させることにより、該真空容器内の微粒子を攪拌あるいは回転させながらスパッタリングを行うことで、該微粒子の表面に該微粒子より粒径の小さい超微粒子又は薄膜が被覆され、化粧品又は塗料に使用される被覆微粒子であって、
前記超微粒子又は前記薄膜は、金属、酸化物、窒化物及び炭化物からなる群から選ばれた一つ、又は前記群から選ばれた二つ以上の複合体からなることを特徴とする被覆微粒子。
【請求項2】
内部の断面形状が多角形を有する真空容器を、前記断面に対してほぼ垂直方向を回転軸として回転させることにより、該真空容器内の微粒子を攪拌あるいは回転させると共に前記微粒子に振動を加えながらスパッタリングを行うことで、該微粒子の表面に該微粒子より粒径の小さい超微粒子又は薄膜が被覆され、化粧品又は塗料に使用される被覆微粒子であって、
前記超微粒子又は前記薄膜は、金属、酸化物、窒化物及び炭化物からなる群から選ばれた一つ、又は前記群から選ばれた二つ以上の複合体からなることを特徴とする被覆微粒子。
【請求項3】
内部の断面形状が多角形を有する真空容器を直接または間接的に加熱すると共に、前記断面に対してほぼ垂直方向を回転軸として前記真空容器を回転させることにより、該真空容器内の微粒子を攪拌あるいは回転させながらスパッタリングを行うことで、該微粒子の表面に該微粒子より粒径の小さい超微粒子又は薄膜が被覆され、化粧品又は塗料に使用される被覆微粒子であって、
前記超微粒子又は前記薄膜は、金属、酸化物、窒化物及び炭化物からなる群から選ばれた一つ、又は前記群から選ばれた二つ以上の複合体からなることを特徴とする被覆微粒子。
【請求項4】
微粒子の表面に該微粒子より粒径の小さい超微粒子又は薄膜が被覆され、化粧品又は塗料に使用される被覆微粒子であって、前記超微粒子又は前記薄膜は、金属、酸化物、窒化物及び炭化物からなる群から選ばれた一つ、又は前記群から選ばれた二つ以上の複合体からなることを特徴とする被覆微粒子。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の化粧品又は塗料に使用される被覆微粒子はパール顔料であって、前記金属は、Pt、Au、Ti、Ni、Si、Al、Fe、Ag、Cu及びWからなる金属群から選ばれた少なくとも一つであり、前記酸化物はSiO、TiO、NiO、ZnO、Al、MgO、Fe、AgO及びWOからなる群から選ばれた少なくとも一つの酸化物であることを特徴とする被覆微粒子。
【請求項6】
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の化粧品に使用される被覆微粒子は高輝度反射材料であって、前記金属は、Pt、Au、Ti、Ni、Si、Al、Fe、Ag、Cu及びWからなる金属群から選ばれた少なくとも一つであり、前記酸化物はSiO、TiO、NiO、ZnO、Al、MgO、Fe、AgO及びWOからなる群から選ばれた少なくとも一つの酸化物であることを特徴とする被覆微粒子。
【請求項7】
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の化粧品に使用される被覆微粒子は紫外線を散乱又は反射することにより紫外線防護効果を持つ材料であって、前記金属は、Pt、Au、Ti、Ni、Si、Al、Fe、Ag、Cu及びWからなる金属群から選ばれた少なくとも一つであり、前記酸化物はSiO、TiO、NiO、ZnO、Al、MgO、Fe、AgO及びWOからなる群から選ばれた少なくとも一つの酸化物であることを特徴とする被覆微粒子。
【請求項8】
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の化粧品又は塗料に使用される被覆微粒子はフォトクロミック材料、蛍光材料又はリン光材料であって、前記超微粒子又は前記薄膜は、希土類イオンを含有する希土類金属、又は希土類金属の酸化物、及びフォトクロミック性を有する金属の酸化物からなる群から選ばれた少なくとも一つからなることを特徴とする被覆微粒子。
【請求項9】
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の塗料に使用される被覆微粒子は高輝度メタリック顔料であって、前記金属は、Pt、Au、Ag、Cu、Al、Si、Ti、Ni、V、Mn、Fe、Co、Zn、Zr、Nb、Mo、Ru、In、W、Os及びIrからなる金属群から選ばれた少なくとも一つであり、前記酸化物は前記金属群から選ばれた少なくとも一つの金属酸化物であり、前記窒化物は前記金属群から選ばれた少なくとも一つの金属窒化物であり、前記炭化物は前記金属群から選ばれた少なくとも一つの金属炭化物であることを特徴とする被覆微粒子。
【請求項10】
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の塗料に使用される被覆微粒子は耐食性を持つ材料であって、前記金属は、Pt、Au、Si、Ti、Zn、Zr、Nb及びWからなる金属群から選ばれた少なくとも一つであり、前記酸化物は前記金属群から選ばれた少なくとも一つの金属酸化物であり、前記窒化物は前記金属群から選ばれた少なくとも一つの金属窒化物であり、前記炭化物は前記金属群から選ばれた少なくとも一つの金属炭化物であることを特徴とする被覆微粒子。
【請求項11】
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の塗料に使用される被覆微粒子は抗菌性を持つ材料であって、前記金属は、Pt、Au、Ag、Cu、Al、Si、Ti、Ni、V、Mn、Fe、Co、Zn、Zr、Nb、Mo、Ru、Ag、In、W、Os及びIrからなる金属群から選ばれた少なくとも一つであり、前記酸化物は前記金属群から選ばれた少なくとも一つの金属酸化物であり、前記窒化物は前記金属群から選ばれた少なくとも一つの金属窒化物であり、前記炭化物は前記金属群から選ばれた少なくとも一つの金属炭化物であることを特徴とする被覆微粒子。
【請求項12】
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の塗料に使用される被覆微粒子は紫外線を散乱、反射又は吸収することにより紫外線防護効果を持つ材料であって、前記金属は、Pt、Au、Ag、Cu、Al、Si、Ti、Ni、V、Mn、Fe、Co、Zn、Zr、Nb、Mo、Ru、Ag、In、W、Os及びIrからなる金属群から選ばれた少なくとも一つであり、前記酸化物は前記金属群から選ばれた少なくとも一つの金属酸化物であり、前記窒化物は前記金属群から選ばれた少なくとも一つの金属窒化物であり、前記炭化物は前記金属群から選ばれた少なくとも一つの金属炭化物であることを特徴とする被覆微粒子。
【請求項13】
請求項1乃至12のいずれか一項において、前記微粒子が金属、酸化物、窒化物、炭化物、炭素材料及び高分子からなる群から選ばれた一つ、又は前記群から選ばれた二つ以上の複合体からなることを特徴とする被覆微粒子。
【請求項14】
請求項1乃至4のいずれか一項において、前記微粒子の表面に超微粒子又は薄膜を被覆することにより色を持たせたことを特徴とする被覆微粒子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−22176(P2006−22176A)
【公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−200361(P2004−200361)
【出願日】平成16年7月7日(2004.7.7)
【出願人】(503004965)
【出願人】(595152438)株式会社ユーテック (59)
【Fターム(参考)】