説明

装着型動作支援装置

【課題】動作時に身体の装着部に対するずれ動きを最小限に抑えるようにする。
【解決手段】装着型動作支援装置SUは、肘関節A3を挟む上腕部A1に装着される第1サポート部材10と、前腕部A2に装着されると共に第1サポート部材10に連結され、肘関節A3の屈曲動作に合わせて姿勢変位可能な第2サポート部材12とを備える。第2サポート部材12は、前腕部A2に装着される前腕装着部45を備え、この前腕装着部45は、前腕部A2の最も細い部位である関節骨格部位A7に保持される保持部51を備える。また前腕装着部45は、肘関節A3から手首関節A4に近づくにつれて捻れた形状に形成され、前腕部A2を包み込むように装着される。前腕装着部45の前腕部A2に臨む内側面にノンスリップ加工が施されており、前腕部A2に対して前腕装着部45が滑り難くなっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屈曲動作する関節を挟む身体部位に装着され、前記関節の屈曲動作を支援する装着型動作支援装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
身体に障害のある人(使用者)の動作を支援する装置として、身体の障害部位に装着する各種の装着型動作支援装置が提案されている。この装着型動作支援装置は、例えば上肢における肘部を挟んだ上腕部および前腕部に装着して肘関節を中心とした前腕部の動作を支援する装置や、下肢における膝部を挟んだ大腿部および下腿部に装着して膝関節を中心とした下腿部の動作を支援する装置等である。
【0003】
前記装着型動作支援装置は、使用者の関節を挟んだ近位身体部位(関節より体幹に近い身体部位)に装着される第1サポート部材と、前記関節の遠位身体部位(関節より体幹から遠い身体部位)に装着される第2サポート部材とを備える。前記第2サポート部材は、前記第1サポート部材に対して前記関節の屈曲動作を許容するよう姿勢変位可能に連結され、第1サポート部材に対して第2サポート部材を回転させるモータ等を含む作動手段を該第1サポート部材に装備している。
【0004】
また、上肢用の装着型動作支援装置は、第2サポート部材の手首部や前腕部に対応する部位に、肘関節を中心とした該前腕部の動きを検知して検知信号を出力する検知手段が配設されている。また、下肢用の装着型動作支援装置は、第2サポート部材の足首部や下腿部に対応する部位に、膝関節を中心とした該下腿部の動きを検知して検知信号を出力する検知手段が配設されている。このような装着型動作支援装置は、例えば特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007-29113号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の装着型動作支援装置は、作動手段が設けられている前記第1サポート部材を、面ファスナやベルトを介して使用者の近位身体部位に対して締め付けることで保持している。ここで、上腕部や大腿部である近位身体部位は、骨格が筋肉や脂肪等で覆われていて動作時に筋肉の形状が変化するから、該近位身体部位に対する第1サポート部材の姿勢が安定せず、遠位身体部位を屈曲動作した際等に第1サポート部材および第2サポート部材が上肢または下肢の長手方向や周方向(左・右回り方向)へずれ易い。また、衣服の上から装着型動作支援装置を装着した場合には、該装着型動作支援装置の保持安定性がより一層損なわれるため、前述したずれが生じ易くなる。このように装着型動作支援装置の装着位置が上肢または下肢の長手方向や周方向にずれると、第1サポート部材と第2サポート部材とを連結する回転軸位置が肘関節または膝関節の軸位置に一致しなくなり、遠位身体部位の動作を適切に支援し得なくなる問題を内在していた。
【0007】
従って本発明では、身体の屈曲動作時に該身体に対するずれ動きを最小限に抑えるようにした装着型動作支援装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決し、所期の目的を達成するため、本発明の請求項1に記載の発明は、
関節を挟む近位身体部位に装着される第1サポート部材と、前記関節の遠位身体部位に装着されると共に前記第1サポート部材に連結され、前記関節の屈曲動作に合わせて姿勢変位可能な第2サポート部材と、前記第1サポート部材に対して前記第2サポート部材を姿勢変位させる作動手段とを備え、前記作動手段が前記第2サポート部材を前記第1サポート部材に対して姿勢変位させることで、前記関節の屈曲動作を補助する装着型動作支援装置であって、
前記第2サポート部材における前記遠位身体部位に装着される装着部は、前記遠位身体部位における前記関節から該関節と反対側の関節骨格部位までを包み込む形状に形成されて、該装着部における前記関節骨格部位側の開口端側を遠位身体部位に保持するよう構成したことを特徴とする。
従って、請求項1に係る発明によれば、装着部が、遠位身体部位における関節から該関節と反対側の関節骨格部位までを包み込む形状に形成され、該関節骨格部位側の開口端側を遠位身体部位に保持するようになっているので、装着部が遠位身体部位に適切に装着される。すなわち、遠位身体部位の前記関節骨格部位は、当該遠位身体部位において骨格を覆う筋肉や脂肪等が少なく最も細い部位であるから、遠位身体部位に対して装着部を適切に装着することができ、これにより該遠位身体部位に対する第2サポート部材のずれが防止され、よって身体に対する装着型動作支援装置のずれを防止できる。従って、第1サポート部材と第2サポート部材とを連結する回転軸位置が関節の軸位置に一致した状態に保持され、遠位身体部位の動作を適切に支援することができる。また、関節の屈曲動作時に装着型動作支援装置の機械的動作と身体の動作との間にずれが生じたとしても、第1サポート部材が筋肉や皮下脂肪のある近位身体部位に対して移動することで当該ずれを吸収することができる。
【0009】
請求項2に記載の発明は、
前記装着部は、前記関節側が前記第1サポート部材に連結され、
前記装着部は、柔軟性および形状復元性を有する素材から構成され、前記第1サポート部材に連結されて遠位身体部位の体幹と反対側を覆う支持装着部分と、前記支持装着部分に対して遠位身体部位の上側を通って連続的に設けられて該遠位身体部位の体幹側を覆う保持装着部分とを有し、
前記保持装着部分は、前記関節側から関節骨格部位に向かうにつれて遠位身体部位との接触面積が増大するように形成されたことを要旨とする。
従って、請求項2に係る発明によれば、装着部が、関節側が第1サポート部材に連結され、遠位身体部位を覆う支持装着部分および保持装着部分を有し、かつ保持装着部分が関節側から関節骨格部位に向かうにつれて遠位身体部位との接触面積が増大するように形成され、該装着部は、全体的には関節側から関節骨格部位側に近づくにつれて捻れた形状に形成されている。従って装着部は、遠位身体部位の捻り動作に対応して適切に追従しながら変形する。特に装着部は、関節骨格部位側の変形量が大きくなっているので、遠位身体部位の関節骨格部位の左右への捻り動作に追従した捻れ変形が可能であり、遠位身体部位に対する装着型動作支援装置のずれを防止し得る。しかも、遠位身体部位の捻り動作を止めて遠位身体部位に加えた力を緩めると、捻れるように変形した装着部が元の形状に復帰する復元力により、該遠位身体部位を捻る前の姿勢に戻す動作支援を行ない得る。
【0010】
請求項3に記載の発明は、
前記装着部は、前記遠位身体部位側に滑り止め手段が設けられていることを要旨とする。
従って、請求項3に係る発明によれば、遠位身体部位の動作時に該遠位身体部位に対して装着部が滑り難いので、遠位身体部位の動作に追従して装着部が変形する。また、装着部が弾性変形した状態で遠位身体部位の動作を止めた場合には、元の形状に復帰する装着部に遠位身体部位が追従するようになり、装着部の復元力を利用した遠位身体部位の動作支援を適切に行ない得る。
【0011】
請求項4に記載の発明は、
前記装着部の遠位身体部位側に、該遠位身体部位に接触するスペーサを備えていることを要旨とする。
従って、請求項4に係る発明によれば、遠位身体部位と装着部との間に隙間が形成されないので、該遠位身体部位に対して該装着部をずれ難くし得る。また、スペーサを設けたことで、第1サポート部材に対する第2サポート部材の回転方向と、関節を中心とした近位身体部位に対する遠位身体部位の屈曲方向との差異を吸収することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る装着型動作支援装置によれば、身体の屈曲動作時に該身体に対するずれ動きを最小限に抑えることができ、使用者の動作支援を適切に行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施例に係る装着型動作支援装置を、右腕に装着した状態で示す概略斜視図である。
【図2】図1に示した実施例の装着型動作支援装置の平面図である。
【図3】図1に示した実施例の装着型動作支援装置の側面図である。
【図4】実施例の装着型動作支援装置において、第1サポート部材に対して第2サポート部材を動作させる作動機構を示す平断面図である。
【図5】実施例の装着型動作支援装置において、第1サポート部材と第2サポート部材とを連結する構成を示す斜視図である。
【図6】第2サポート部材に配設されて前腕部に装着される前腕装着部の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、本発明に係る装着型動作支援装置につき、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照しながら以下説明する。実施例では、使用者(被補助者)の右腕Aにおける肘関節A3を挟む上腕部A1および前腕部A2に装着して、該肘関節A3の屈曲動作による右腕Aの屈伸動作を補助する装着型動作支援装置を例示して説明する。なお、実施例でいう装着型動作支援装置の各方向については、身体前方へ水平に伸ばして手のひらを使用者から見て左側に向けた右腕Aに該装着型動作支援装置を装着した状態において、該右腕Aの長手方向を前後方向(手首側を前側、肩側を後側)とし、右腕Aの胸部を指向する内側を左側、右腕Aの胸部と反対を指向する外側を右側、垂直方向を上下方向と指称する。すなわち図1は、実施例の装着型動作支援装置SUを、後方斜め右上方から見たものである。
【実施例】
【0015】
図1は、実施例に係る装着型動作支援装置SUの全体構成を概略的に示す斜視図、図2および図3は、実施例の係る装着型動作支援装置SUの全体構成を概略的に示す平面図および左側面図である。実施例の装着型動作支援装置SUは、右腕Aにおいて肘関節A3より近位身体部位である上腕部A1に装着される第1サポート部材10と、該第1サポート部材10に回転変位可能に連結されて、肘関節A3より遠位身体部位である前腕部A2に装着される第2サポート部材12と、第1サポート部材10に対して第2サポート部材12を回転変位させる作動機構Mとを備えている。また第2サポート部材12は、前腕部A2の動きを検知する検知手段14を備えている。
【0016】
第1サポート部材10は、図1〜図3に示すように、作動機構Mが配設される本体部20と、この本体部20に着脱可能に設けられて上腕部A1に装着される上腕装着部21とを備えている。本体部20は、装着型動作支援装置SUを右腕Aに装着した際に上腕部A1の右部に位置して、該上腕部A1の長手方向(前後方向)に延在する。本体部20は、上腕部A1に近接するベース部材22と、このベース部材22に右側外方から組み付けられたカバー部材23とを備えている。そして本体部20は、ベース部材22とカバー部材23とを組み付けることで、作動機構Mの各構成部材を収容する収容設置部24が内部に画成される。
【0017】
ベース部材22の前部には、図2〜図5に示すように、左右方向に離間して前方へ平行に延出する2つの支持部25,26が設けられている。右側に位置する第1支持部25には円形の第1支持孔27が形成されており、第2サポート部材12の後述する支持体部40を第1サポート部材10に支持する回転支持部材60が、該第1支持孔27に回転可能に配設されている。左側に位置する第2支持部26には、第1支持孔27と左右方向で同一軸線上に位置する円形の第2支持孔28が形成されており、第2サポート部材12の後述する前腕装着部(装着部)45を第1サポート部材10に支持する締結支持部材65が、該第2支持孔28に回転可能に配設されている。
【0018】
上腕装着部21は、図1〜図3に示すように、前記本体部20のベース部材22に左外方から着脱可能に取り付けられ、上腕部A1の体幹と反対側の右部に沿う取付部31と、取付部31の前後略中間から後側部分に一体的に設けられ、上腕部A1の右方から上下に抱持した状態で該上腕部A1に着脱可能に装着される上装着部32および下装着部33とを有する。上腕装着部21は、後方から見た端面形状が「逆C字形」をなし、上装着部32および下装着部33は体幹側が上下に分離した湾曲状に形成されている。このような形状の上腕装着部21は、例えばエチレン−酢酸ビニル(EVA)、シリコーンゴムまたはウレタンゴム等を材質として柔軟性および形状復元性を有し、外力が付与されると容易に変形し、外力の付与が解除されると復元力により図3に示す形状に弾性復帰すると共に、外力が付与されない状態では図3に示す形状に保持される。従って上腕装着部21は、上装着部32および下装着部33が上下に近接・離間するよう変形が可能であり、上腕部A1に対する容易な着脱が可能となっている。
【0019】
前記上腕装着部21の取付部31は、前記ベース部材22に螺合されるビスが挿通・係止する取付孔(図示せず)が設けられている。従って上腕装着部21は、取付孔を介してベース部材22に締結したビスにより本体部20に取り付けられ、該ビスを外すことで該本体部20から取外すことが可能となっている。上腕装着部21は、前記取付孔の配設位置を共通として、取付部31および上下の装着部32,33のサイズおよび形状が異なる複数のものが準備され、使用者の体格に適合した上腕装着部21が採用される。なお、上腕装着部21の上腕部A1側となる内側面は、滑り止め手段として、例えば多数個の小凸部または小凹部を形成したり、網目状や格子状のローレット模様を形成する等の所謂ノンスリップ加工が施されており、衣服の袖に対して滑り難くなっている。従って、右腕Aの屈曲動作により上腕装着部21に対して衣服の袖がずれ難く、該袖に突っ張りや弛みが発生することを防止し得る。
【0020】
上腕装着部21には、図3に示すように、面ファスナ形態の脱落防止ベルト34が、下装着部33に一端を固定した状態に取り付けられていると共に、該脱落防止ベルト34の他端側が分離可能に掛止される係着部35が、上装着部32に取り付けられている。従って上腕装着部21は、上腕部A1に装着した状態で脱落防止ベルト34を係着部35に係着させることで、上装着部32および下装着部33が適度に締め付けられた状態で該上腕部A1に脱落不能に装着される。
【0021】
また上腕装着部21には、図3に示すように、上腕部A1側となる内側面に第1スペーサ36が着脱可能に装着されている。この第1スペーサ36は、上腕部A1と上腕装着部21の内側面との間に隙間ができないようにすると共に、前記回転支持部材60および締結支持部材65を中心とした第1サポート部材10に対する第2サポート部材12の回転方向と、肘関節A3を中心とした上腕部A1に対する前腕部A2の屈曲方向との差異を吸収するためのものである。第1スペーサ36は、弾性変形し難い硬質発泡ウレタンや発泡ウレタンゴム等を材質とし、使用者の上腕部A1の形状に合わせて外形形状およびサイズが設定されると共に上腕装着部21に対する装着位置が調整され、上腕部A1側の外面全体が該上腕部A1に均一に当接するようになっている。そして、第1スペーサ36の上腕部A1に接触する外面は、必要に応じて上腕装着部21と同様のノンスリップ加工が施されている。また第1スペーサ36は、前記ビスおよびビス孔を被覆した状態で上腕装着部21の内側に、ホックや面ファスナ等を利用して装着される。なお、上腕装着部21の第1スペーサ36を装着した部分は、該第1スペーサ36により変形が規制されている。
【0022】
前記第2サポート部材12は、図1〜図3に示すように、第1サポート部材10に対して回転可能に支持された支持体部40と、該第1サポート部材10に対して回転可能に支持された前腕装着部(装着部)45とを備えている。支持体部40は、第1サポート部材10の本体部20の前方に位置する右壁部から、左上方および左下方へ湾曲して左側(体幹側)が開放した形状に形成されている。すなわち支持体部40は、第2サポート部材12の回転方向において、前記前腕装着部45を挟んで対向する第1支持壁部41および第2支持壁部42を備え、これら第1支持壁部41および第2支持壁部42が、外方から前腕装着部45に対面するように形成されている。この支持体部40は、例えば硬質の合成樹脂等を材質とする。そして、支持体部40の右壁部には、後方へ延出した板状の第1連結部材43が配設され、この第1連結部材43は第1サポート部材10に回転可能に連結されるようになっている。なお、図4および図5に示すように、第1連結部材43の後端近傍には、矩形穴部44が形成されている。
【0023】
前腕装着部45は、図1〜図3および図6に示すように、体幹側である左側が前後方向に沿って分離し、前腕部A2の略半周部分を包み込む形状に形成されて、該前腕部A2に右方から着脱可能に装着される。そして前腕装着部45は、第1サポート部材10の本体部20前方に位置する右側後部に、後方へ延出した板状の第2連結部材47を備えている。この第2連結部材47は、第1サポート部材10に回転可能に連結されるようになっており、図4および図5に示すように、該第2連結部材47の後端には円形穴部48が形成されている。
【0024】
前腕装着部45は、前腕部A2における肘関節A3の前側から手首関節A4に至る長さに形成され、肘関節A3から手首関節A4に近づくにつれて、前腕部A2の下側(裏側)から右側(体幹と反対側)を通って左側(体幹側)に至る捻れた形状に形成され、前腕部A2における肘関節A3の前側部位から手首関節A4に隣接する関節骨格部位A7までを包み込むようにして該前腕部A2に装着される。前腕装着部45の後側(肘関節A3側)は、前腕部A2の下側から右側を通って該前腕部A2の上側までを包み込むようになっており、後方から見た端面形状が「逆C字形」をなしている。一方、前腕装着部45の前側(手首関節A4側)は、前腕部A2の右側から上側を通って該前腕部A2の左側までを包み込む形状となっており、前方から見た端面形状が「逆U字形」をなしている(図6参照)。すなわち前腕装着部45は、後部の開口端側に対して前部の開口端側が左側へ90度ほど捻れた形状となっており、前記第2連結部材47に連結されて、主に前腕部A2の右側(体幹と反対側)を覆う支持装着部分50と、支持装着部分50に対して前腕部A2の上側を通って連続的に設けられて、主に該前腕部A2の左側(体幹側)を覆う保持装着部分49とを有する。そして保持装着部分49は、肘関節A3側から関節骨格部位A7に向かうにつれて前腕部A2の左側への延出量が徐々に大きくなっており、肘関節A3側から関節骨格部位A7に向かうにつれて該前腕部A2との接触面積が増大するように形成されている(図2、図3参照)。また前腕装着部45は、前腕部A2の形状に合わせて、肘関節A3に隣接する後部が太く、前方にいくにつれて徐々に細くなり、手首関節A4に隣接する前部が最も細くなっている。
【0025】
前腕装着部45の手首関節A4に臨む前部の開口端側は、前腕部A2の該手首関節A4に近い関節骨格部位A7の略全周を包み込んで該関節骨格部位A7に保持される保持部51として機能する部分である。この保持部51は、後述する固定ベルト54により関節骨格部位A7に保持され、右腕Aに対する当該装着型動作支援装置SUの装着時の基準となる「装着基準部位」となっている。ここで前記「関節骨格部位A7」は、図1および図2に示すように、手首関節A4の親指側に接続する橈骨における遠位端の橈骨茎状突起A5および手首関節A4の小指側に接続する尺骨における遠位端の尺骨茎状突起A6の該手首関節A4と反対側で、前腕部A2において骨格を覆う筋肉や脂肪等が少なく最も細い部位である。すなわち関節骨格部位A7は、前記肘関節A3による前腕部A2の屈曲動作時および捻り動作時や、手首関節A4による手先の屈曲動作時に、太さや形状が変化しない部位である。
【0026】
前記保持部51には、手首関節A4に臨む前端部に、前記橈骨茎状突起A5の周囲に沿う湾曲形状に形成された第1凹部52と、前記尺骨茎状突起A6の周囲に沿う湾曲形状に形成された第2凹部53とが形成されている。従って前腕装着部45は、図1および図2に示すように、第1凹部52を橈骨茎状突起A5に臨ませると共に第2凹部53を尺骨茎状突起A6に臨ませた状態で前腕部A2に装着して、保持部51を形成する前記支持装着部分50と保持装着部分49とを、後述する固定ベルト54により前腕部A2の最も細い関節骨格部位A7に密着させることで、該前腕部A2に対してずれが規制された状態で保持されるようになっている。
【0027】
前述のように捻れた形状に形成された前腕装着部45は、前記上腕装着部21と同様に、エチレン−酢酸ビニル(EVA)、シリコーンゴムまたはウレタンゴム等を材質として柔軟性および形状復元性を有し、外力が付与されると容易に変形し、外力の付与が解除されると復元力により図3および図6に示す形状に弾性復帰すると共に、外力が付与されない状態では図3および図6に示す形状に保持される。従って装着部45は、前述したように、前記支持装着部分50の端縁と保持装着部分49の端縁とが分離しているので、該支持装着部分50および保持装着部分49が互いに近接・離間するよう変形が可能であり、前腕部A2に対して容易に着脱し得る。そして前腕装着部45は、前述した如く捻れた形状に形成されていることで、図6に示すように、手首関節A4に臨む前部を左方向(図6の実線表示した矢印方向)へ捻ると、保持装着部分49が内側方向へ巻き込んで保持部51が縮径的に変形し、捻ることを解除すると復元力により元の形状に弾性復帰する。また前腕装着部45は、手首関節A4に臨む前部を右方向へ捻っても保持部51が変形し、捻ることを解除すると復元力により元の形状に弾性復帰する。
【0028】
前腕装着部45は、前記第2連結部材47に螺合されるビスが挿通・係止する取付孔(図示せず)が設けられている。従って前腕装着部45は、取付孔を介して第2連結部材47に締結したビスにより該第2連結部材47に取り付けられ、該ビスを外すことで第2連結部材47から取外すことが可能となっている。前腕装着部45は、前記取付孔の配設位置を共通としてサイズおよび形状が異なる複数のものが準備され、使用者の体格に適合した前腕装着部45が採用される。なお、前腕装着部45の前腕部A2側となる内側面は、前記上腕装着部21と同様に、滑り止め手段として、多数個の小凸部または小凹部を形成したり、網目状や格子状のローレット模様を形成する等の所謂ノンスリップ加工が施されており、衣服に対して滑り難くなっている。従って、右腕Aの屈曲動作により前腕装着部45に対して衣服の袖がずれ難く、該袖に突っ張りや弛みが発生することを防止し得る。
【0029】
前腕装着部45には、図3に示すように、面ファスナ形態の固定ベルト54が、支持装着部分50における前部側に一端を固定した状態に取り付けられると共に、該固定ベルト54の他端側が分離可能に掛止される係着部55が保持装着部分49の前部側に取り付けられており、該固定ベルト54を係着部55に掛止させることで保持部51を前記関節骨格部位A7に保持させ得る。また、面ファスナ形態の脱落防止ベルト56が、支持装着部分50における後部側に一端を固定した状態に取り付けられると共に、該脱落防止ベルト56の他端側が分離可能に掛止される係着部57が保持装着部分49の後部側に各々取り付けられており、該脱落防止ベルト56を係着部57に掛止させることで前腕装着部45の後側を前腕部A2の最も太い部位に保持させ得る。従って前腕装着部45は、前腕部A2に装着した状態で、固定ベルト54を係着部55に掛止させると共に脱落防止ベルト56を係着部57に掛止させることで、支持装着部分50および保持装着部分49が前腕部A2の最も細い関節骨格部位A7および最も太い部位の両方を包み込んだ状態で前腕部A2に装着される。特に、固定ベルト54を係着部55に掛止させることで、前記保持部51が関節骨格部位A7の略全周を包み込むようになり、前腕装着部45は前腕部A2に対して前後方向および周方向(左右回り方向)へのずれが好適に防止される。
【0030】
更に前腕装着部45には、図3に示すように、前腕部A2側となる内側面に第2スペーサ58が着脱可能に設けられている。この第2スペーサ58は、前腕部A2と前腕装着部45の内側面との間に隙間ができないようにすると共に、前記回転支持部材60および締結支持部材65を中心とした第1サポート部材10に対する第2サポート部材12の回転方向と、肘関節A3を中心とした上腕部A1に対する前腕部A2の屈曲方向との差異を吸収するためのものである。第2スペーサ58は、前記第1スペーサ36と同様に、弾性変形し難い硬質発泡ウレタンや発泡ウレタンゴム等を材質とし、使用者の前腕部A2の形状に合わせて外形形状およびサイズが設定されると共に前腕装着部45に対する装着位置が調整され、前腕部A2側の外面全体が該前腕部A2に均一に当接するようになっている。そして、第2スペーサ58の前腕部A2に接触する外面は、必要に応じて前腕装着部45と同様にノンスリップ加工が施されている。また第2スペーサ58は、前記ビスおよびビス孔を被覆した状態で前腕装着部45の内側に、ホックや面ファスナ等を利用して装着される。なお、前腕装着部45の第2スペーサ58を装着した部分は、該第2スペーサ58により変形が規制されている。
【0031】
前記前腕装着部45は、図3に示すように、第2サポート部材12の回転方向において、前記支持体部40の第1支持壁部41との間に、前記検知手段14を構成する後述の第1検知部80を配設し得る空間を画成すると共に、該支持体部40の第2支持壁部42との間に、該検知手段14を構成する後述の第2検知部81を配設し得る空間を画成した状態に配設されている。従って前腕装着部45は、第2サポート部材12の回転方向で、第1支持壁部41と第2支持壁部42の間において支持体部40に対して相対移動が可能な可動範囲を確保した状態に配設され、第1支持壁部41への近接移動および第2支持壁部42への近接移動が許容されるようになっている。
【0032】
前記第1サポート部材10と第2サポート部材12とは、図4および図5に示すように、該第1サポート部材10に配設した前記回転支持部材60および締結支持部材65を利用して、互いに回転可能な状態で連結される。すなわち、支持体部40に設けた第1連結部材43が、第1支持部25に回転可能に係止した回転支持部材60に連結されると共に、前腕装着部45に設けた第2連結部材47が、第2支持部26に係止した締結支持部材65に回転可能に支持される。回転支持部材60は、後述するように、作動機構Mにより正逆回転するようになっており、該作動機構Mにより回転支持部材60が回転することで、第1サポート部材10に対して第2サポート部材12が回転変位するようになる。
【0033】
回転支持部材60は、図4および図5に示すように、第1サポート部材10におけるベース部材22の第1支持部25に収容設置部24側(右側)から当接する円形状のフランジ部61と、このフランジ部61より小径で前記第1支持孔27に嵌合する円形嵌合部62と、この円形嵌合部62の端面から矩形状に突出した矩形係止部63と、この矩形係止部63の端面に形成されたビス孔64とを備えている。矩形係止部63は、前記第1連結部材43に設けた矩形穴部44と嵌合するようになっており、第1連結部材43は、第1サポート部材10に対して、回転支持部材60と一体的に回転するようになっている。
【0034】
締結支持部材65は、図4および図5に示すように、第2サポート部材12における第2連結部材47に左側から当接する円形状のフランジ部66と、このフランジ部66より小径の円形嵌合部67と、この円形嵌合部67の端面に右方へ突出するよう設けたビス68とを備えている。円形嵌合部67は、第2連結部材47の厚みおよび第2支持部26の厚みを合わせた幅に形成されており、該第2連結部材47に設けた円形穴部48と、該第2支持部26に設けた第2支持孔28とに夫々嵌合する(図4)。またビス68は、回転支持部材60に設けた前記ビス孔64に螺合するようになっている。従って第2連結部材47は、円形穴部48と円形嵌合部67との嵌合により、第1サポート部材10に対して独立して回転可能に支持される。なお、図4および図5における符号69は、自己潤滑性樹脂を材質とするリング状のスリーブである。
【0035】
作動機構Mは、図2〜図4に示すように、ギアボックス71を備えた作動手段としてのサーボモータ70と、該サーボモータ70の出力軸72に固定されたベベルギアタイプの第1ギア73と、前記回転支持部材60に回転不能に固定されて前記第1ギア73に噛合するベベルギアタイプの第2ギア74とを備えている。サーボモータ70は、図示しない制御手段により作動制御され、ケースが細長で軽量かつコンパクトに構成され、ベース部材22に設けたモータ固定部(図示省略)に対して出力軸72が前方へ延出する向きで装着される。そしてサーボモータ70は、ベース部材22および該ベース部材22に組み付けたカバー部材23に挟持されて、収容設置部24内にがたつきなく適切に保持され、出力軸72に固定された第1ギア73と回転支持部材60に固定された第2ギア74とが適切に噛合する。なお、回転支持部材60の前記円形フランジ部61に、右側方へ延出するシャフト75が設けられ、このシャフト75を介してロータリーエンコーダ76が連結されている。
【0036】
従って、サーボモータ70の正逆作動により出力軸72が正逆回転すると、第1ギア73および第2ギア74を介して回転支持部材60がベース部材22に対して正逆回転し、これにより第2サポート部材12が第1サポート部材10に対して姿勢変位する。そして、回転支持部材60と第2サポート部材12の支持体部40とが一体的に回転するよう構成されているので、該回転支持部材60の回転角度をロータリーエンコーダ76で検知することで、第1サポート部材10に対する第2サポート部材12の動作状態が適切に把握される。なお、ロータリーエンコーダ76の検知信号は、図示しない制御手段へ出力される。
【0037】
前記検知手段14は、図1〜図3に示すように、第2サポート部材12における支持体部40の前腕装着部45と対向する面に設けられ、該支持体部40に対する前腕装着部45の変位を検知する。この検知手段14は、支持体部40の第1支持壁部41から前腕装着部45側に突設した台座部41Aに、該前腕装着部45に対向して設けた第1検知部80と、該支持体部40の第2支持壁部42から前腕装着部45側に突設した台座部42Aに、該前腕装着部45に対向して設けた第2検知部81とを備えている。第1検知部80および第2検知部81は、基本的に同じ構成であり、圧力センサ82と、該圧力センサ82および前腕装着部45の夫々に弾力的に当接して弾性変形が可能な当接支持部材83とを備えている。第1検知部80および第2検知部81の各当接支持部材83は、細長の薄いバネ鋼から形成された弾性変形が可能な板バネであり、長手方向の略中間部位で折曲げられており、対応の圧力センサ82を押圧する押圧部83Aと、長手方向の他端部に設けられて前腕装着部45の外面に当接する作動部83Bとを備える。そして、各圧力センサ82に対応して配設された2つの各当接支持部材138は、支持体部40に対して前腕装着部45が第2サポート部材12の回転方向へ相対的に移動するに際して圧力センサ82を押圧し、該前腕装着部45の動きを該圧力センサ82に伝達する。
【0038】
前述のように構成された実施例の装着型動作支援装置SUは、前腕装着部45に外力が付与されない場合に、検知手段14の各当接支持部材83が均衡を保った状態となる。そして各当接支持部材83は、均衡を保った状態において、前腕装着部45と支持体部40の第1支持壁部41との間隔と、該前腕装着部45と該支持体部40の第2支持壁部42との間隔とが同一となるように前腕装着部45を位置させる。そして、実施例の装着型動作支援装置SUは、支持体部40の第1支持壁部41への前腕装着部45の近接移動時または第2支持壁部42に対する該前腕装着部45の近接移動時に、近接移動した側の当接支持部材83が弾性変形して対応する各圧力センサ82を押圧し、該圧力センサ82が検知する押圧力に応じて作動機構Mのサーボモータ70を作動制御する。
【0039】
例えば、支持体部40に対して前腕装着部45が上方へ移動すると、第1検知部80における当接支持部材83の弾性変形量が大きくなって、該第1検知部80の圧力センサ82に対する押圧力が増加する一方、第2検知部81における当接支持部材83の弾性変形量が小さくなって、該第2検知部81の圧力センサ82に対する押圧力が減少する。すなわち、第1検知部80の圧力センサ82に対する押圧力が増加して、第2検知部81の圧力センサ82に対する押圧力が減少した場合には、前記サーボモータ70を作動制御して第2サポート部材12を上方へ回転変位させて、前腕部A2を上方へ曲げようとする使用者の動作支援を行なうようになっている。なお、実施例の装着型動作支援装置SUは、前腕装着部45の保持部51が装着基準部位として前記前腕部A2の関節骨格部位A7に保持されて、前腕部A2に対する第2サポート部材12のずれ動きが規制されているため、前腕部A2の上方移動時において当該装着型動作支援装置SUの機械的動作と右腕Aの動作との間にずれが生じたとしても、前記第1サポート部材10が筋肉や皮下脂肪のある上腕部A1に対して適宜移動することで該ずれを吸収することができる。
【0040】
また、支持体部40に対して前腕装着部45が下方へ移動すると、第2検知部81における当接支持部材83の弾性変形量が大きくなって、該第2検知部81の圧力センサ82に対する押圧力が増加する一方、第1検知部80における当接支持部材83の弾性変形量が小さくなって、該第1検知部80の圧力センサ82に対する押圧力が減少する。すなわち、第2検知部81の圧力センサ82に対する押圧力が増加して、第1検知部80の圧力センサ82に対する押圧力が減少した場合には、前記サーボモータ70を作動制御して第2サポート部材12を下方へ回転変位させて、前腕部A2を下方へ曲げようとする使用者の動作支援を行なうようになっている。なお、実施例の装着型動作支援装置SUは、前述した如く、前腕部A2に対する第2サポート部材12のずれ動きが規制されているため、前腕部A2の下方移動時において当該装着型動作支援装置SUの機械的動作と右腕Aの動作との間にずれが生じたとしても、前記第1サポート部材10が上腕部A1に対して適宜移動することで該ずれを吸収することができる。
【0041】
前述のように構成された実施例の装着型動作支援装置SUによれば、次のような作用効果を奏する。
(1)実施例の装着型動作支援装置SUでは、前腕装着部45の前部の開口端側に、装着基準部位である保持部51を設け、前腕部A2の最も細い部位である関節骨格部位A7を前記保持部51で包み込み、固定ベルト54により該保持部54を関節骨格部位A7に密着させた状態で保持するようにした。これにより、実施例の装着型動作支援装置SUは、前腕部A2の最も細い部位である関節骨格部位A7に保持される保持部51を、前腕装着部45の右腕Aに対する装着基準部位としたことで、右腕Aの屈曲動作および捻り動作において第2サポート部材12が前腕部A2に対して前後方向や周方向(左右回り方向)へずれ難い。すなわち、右腕Aの屈曲動作および捻り動作において、装着型動作支援装置SUが右腕Aに対して前方へずれることが規制される。また、固定ベルト54により、関節骨格部位A7を包み込んだ保持部51が関節骨格部位A7から離れるように変形しないので、装着型動作支援装置SUが右腕Aに対して後方へずれることも規制される。更に、右腕Aの左方向または右方向の捻り動作時にも、保持部51が前腕骨格部位A7に保持されて前腕装着部45が前腕部A2にずれることなく装着されるので、装着型動作支援装置SUが右腕Aに対して周方向へずれることも規制される。
(2)実施例の装着型動作支援装置SUは、前腕部A2に対する第2サポート部材12のずれを規制しているため、前腕部A2の屈曲動作時や捻り動作時において当該装着型動作支援装置SUの機械的動作と右腕Aの動作との間にずれが生じたとしても、第1サポート部材10が筋肉や皮下脂肪が多い上腕部A1に対して適宜移動することで当該ずれを吸収することができる。これにより、右腕Aの上腕部A1、前腕部A2および肘関節A3に負荷が掛かることを防止し得る。
(3)前腕装着部45は、第1サポート部材10に後側が固定されると共に捻れた形状に形成されて、前腕部A2を包み込むように装着されるので、前腕部A2を左方向または右方向の捻る動作に際して前腕装着部45が捻れるように変形して、装着型動作支援装置SUの該右腕Aに対する左右方向へのずれを規制し得る。しかも、前腕部A2の捻り動作を止めて右腕Aに加えた力を緩めると、捻れるように変形した前腕装着部45が元の形状に復帰しようとする復元力により、該前腕部A2を捻る前の姿勢に戻す動作支援を行ない得る。
(4)上腕装着部21は、上腕部A1に臨む内側面にノンスリップ加工を施したので右腕Aの動作時に上腕部A1に対して滑り難い。また前腕装着部45は、前腕部A2に臨む内側面にノンスリップ加工を施したので、右腕Aの動作時に前腕部A2に対して滑り難く、前腕部A2の動作に追従して変形する。特に前腕装着部45は、前腕部A2の左右の捻り動作に際しても該前腕部A2の周方向へ滑り難いので、前腕部A2の捻り動作に追従して捻り変形すると共に、前腕装着部45が変形した状態で前腕部A2の動作を止めた場合には、元の形状に弾性復帰する該前腕装着部45に前腕部A2が追従するようになり、前腕装着部45の復元力を利用した前腕部A2の動作支援を適切に行ない得る。
(5)上腕装着部21の上腕部A1側となる内側に第1スペーサ36を設けたので、上腕装着部21と上腕部A1との間に隙間が形成されず、上腕部A1に対して上腕装着部21がフィットするから、上腕部A1に対する上腕装着部21のずれ動きを防止し得る。同様に、前腕装着部45の前腕部A2側となる内側に第2スペーサ58を設けたので、前腕装着部45と前腕部A2との間に隙間が形成されず、前腕部A2に対して前腕装着部45がフィットするから、前腕部A2に対する前腕装着部45のずれ動きを防止し得る。また、第1スペーサ36および第2スペーサ58を設けたことで、回転支持部材60および締結支持部材65を中心とした第1サポート部材10に対する第2サポート部材12の回転方向と、肘関節A3を中心とした上腕部A1に対する前腕部A2の屈曲方向との差異を吸収することができる。特に、動作支援を必要とする使用者は、上腕部A1または前腕部A2が局部的に細くなっていることもあるので、このような使用者に対して前記第1スペーサ36および第2スペーサ58を装着することにより、上腕部A1に対する上腕装着部21の調整および前腕部A2に対する前腕装着部45の調整が容易になる利点がある。
(6)第2サポート部材12に設けた検知手段14における第1検知部80および第2検知部81が、常に圧力センサ82および前腕装着部45に弾力的に当接する当接支持部材83を夫々備えているので、前腕装着部45の微小な動きを各圧力センサ82,82でダイレクトに検知することができるから、該圧力センサ82,82による検知精度が向上する。そして、各圧力センサ82,82の検知信号に応じてサーボモータ70が適切に作動制御されるので、右腕Aの動作支援を適切に行なうことができる。
(7)第2サポート部材12を姿勢変位させるサーボモータ70、第1ギア73および第2ギア74からなる作動機構Mや、回転支持部材60およびロータリーエンコーダ76等が、第1サポート部材10の本体部20に設けた収容設置部24内に配設されるので、装着型動作支援装置SUの小型化および軽量化が図られる。従って、装着感の向上が図られて、子供や老人であっても容易に使用することができる。また、作動機構M等が第1サポート部材10および第2サポート部材12の外側に露出しないので、これらの可動部分に指先や衣服の裾部等が挟み込まれる不都合の発生も好適に防止し得る。
(8)第2サポート部材12が第1サポート部材10に対して着脱可能なので、同一形状の第1連結部材43および第2連結部材47を備え、支持体部40および前腕装着部45の形状・サイズが異なる複数の第2サポート部材12を準備すれば、第1サポート部材10に対して形状・サイズが異なる第2サポート部材12を選択的に装着し得る。従って、使用者の体格変化に対応し得ると共に、肘関節A3を挟む上腕部A1と前腕部A2以外の身体部位に装着して、当該身体部位の動作補助を行なうことも可能である。
(9)第1サポート部材10は、上腕装着部21が本体部20に対して着脱可能なので、本体部20を共通に使用して、形状・サイズが異なる複数の上腕装着部21を準備すれば、該上腕装着部21の形状・サイズが異なる複数の第1サポート部材10を構成し得る。同様に、第2サポート部材12は、支持体部40と前腕装着部45とが分離していると共に、該前腕装着部45が第1サポート部材10に対して着脱可能なので、支持体部40を共通に使用して、形状・サイズが異なる複数の前腕装着部45を準備すれば、該前腕装着部45の形状・サイズが異なる複数の第2サポート部材12を構成し得る。従って、上腕装着部21および前腕装着部45の選択により、使用者の体格の変化に対応し得る。
【0042】
(変更例)
実施例では、右腕Aの肘関節A3を挟む上腕部A1および前腕部A2に装着される装着型動作支援装置SUを例示したが、本願の装着型動作支援装置SUは、様々に変更して実施可能である。
(1)実施例では、前腕装着部45の前部に設けた保持部51に、橈骨茎状突起A5に沿う第1凹部52および尺骨茎状突起A6に沿う第2凹部53を設けたが、第1凹部52または第2凹部53の何れか一方だけを設けるようにしてもよい。また、保持部51の前端部を、橈骨茎状突起A5および尺骨茎状突起A6より手首関節A4側へ延出しない形状とすれば、第1凹部52および第2凹部53を形成しなくてもよい。
(2)前腕装着部45の捻れ方向は、前記実施例と逆方向に捻れた形状であってもよい。すなわち、肘関節A3から前方へ離れるにつれて、前腕部A2の下側(裏側)から左側(体幹側)を通って右側(体幹と反対側)に至るよう捻れた形状として、該前腕部A2を包み込むようにしてもよい。
(3)上腕装着部21および前腕装着部45の内側面に設けた滑り防止手段は、実施例で例示したノンスリップ加工に限定されず、例えばウレタンシート、ゴムシート、織布、編布、ネット等の滑り難い素材から形成された別部材であってもよい。
(4)上腕装着部21に設けた脱落防止ベルト34、前腕装着部45に設けた固定ベルト54および脱落防止ベルト56は、面ファスナ形態に限定されず、長さ方向へ伸張変形が可能なゴムベルトや、掛止具を備えたベルト等であってもよい。
(5)実施例では、サーボモータ70と回転支持部材60の連係機構として、ベベルギアからなる第1ギア73および第2ギア74を示したが、この連係機構は、例えばウォームギアおよびホイルギアからなるギア機構や、プーリーおよびタイミングベルトからなるベルト機構等としてもよい。
(6)作動機構Mの作動手段は、サーボモータに限定されず、アクチュエーターモータ等を使用することも可能である。
(7)実施例では、検知手段としての圧力センサ82を支持体部40に配設した態様を例示したが、該圧力センサ82は、前腕装着部45の外面において該支持体部40に対向する部分に設けてもよい。
(8)第2サポート部材12を左右方向へ旋回させる第2の作動機構を設けて、第2サポート部材12を、上下方向のみならず、左右方向や、右上・左下方向および左上・右下方向にも姿勢変位させ得るようにしてもよい。
(9)当接支持部材83の配設数は、圧力センサ82の配設数に合わせて3個以上であってもよい。
(10)実施例では、上肢用として右腕Aに装着される装着型動作支援装置を例示したが、第1サポート部材10および第1装着部21、第2サポート部材12および第2装着部45等の形状およびサイズ等を変更することで、左腕用や、下肢の左脚用または右脚用として実施することも可能である。
【符号の説明】
【0043】
10 第1サポート部材,12 第2サポート部材,45 前腕装着部(装着部)
49 保持装着部分,50 支持装着部分,58 スペーサ,70 作動機構(作動手段)
A1 上腕部(近位身体部位),A2 前腕部(遠位身体部位),A3 肘関節(関節)
A7 関節骨格部位

【特許請求の範囲】
【請求項1】
関節(A3)を挟む近位身体部位(A1)に装着される第1サポート部材(10)と、前記関節(A3)の遠位身体部位(A2)に装着されると共に前記第1サポート部材(10)に連結され、前記関節(A3)の屈曲動作に合わせて姿勢変位可能な第2サポート部材(12)と、前記第1サポート部材(10)に対して前記第2サポート部材(12)を姿勢変位させる作動手段(70)とを備え、前記作動手段(70)が前記第2サポート部材(12)を前記第1サポート部材(10)に対して姿勢変位させることで、前記関節(A3)の屈曲動作を補助する装着型動作支援装置であって、
前記第2サポート部材(12)における前記遠位身体部位(A2)に装着される装着部(45)は、前記遠位身体部位(A2)における前記関節(A3)から該関節(A3)と反対側の関節骨格部位(A7)までを包み込む形状に形成されて、該装着部(45)における前記関節骨格部位(A7)側の開口端側を遠位身体部位(A2)に保持するよう構成した
ことを特徴とする装着型動作支援装置。
【請求項2】
前記装着部(45)は、前記関節(A3)側が前記第1サポート部材(10)に連結され、
前記装着部(45)は、柔軟性および形状復元性を有する素材から構成され、前記第1サポート部材(10)に連結されて遠位身体部位(A2)の体幹と反対側を覆う支持装着部分(50)と、前記支持装着部分(50)に対して遠位身体部位(A2)の上側を通って連続的に設けられて該遠位身体部位(A2)の体幹側を覆う保持装着部分(49)とを有し、
前記保持装着部分(49)は、前記関節(A3)側から関節骨格部位(A7)に向かうにつれて遠位身体部位(A2)との接触面積が増大するように形成された請求項1記載の装着型動作支援装置。
【請求項3】
前記装着部(45)は、前記遠位身体部位(A2)側に滑り止め手段が設けられている請求項1または2記載の装着型動作支援装置。
【請求項4】
前記装着部(45)の遠位身体部位(A2)側に、該遠位身体部位(A2)に接触するスペーサ(58)を備えている請求項1〜3の何れか一項に記載の装着型動作支援装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−61262(P2012−61262A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−210144(P2010−210144)
【出願日】平成22年9月17日(2010.9.17)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成22年度、文部科学省、地域産学官連携科学技術振興施策、助成研究(地域イノベーションクラスタープログラム(都市エリア型)岐阜県南部エリア)、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(304019399)国立大学法人岐阜大学 (289)
【Fターム(参考)】