説明

装飾カバー及び車両室内の装飾方法

【課題】車両の内装品に対する着脱が容易であって、かつその装着状態を良好に維持することができる装飾カバー及び車両室内の装飾方法を提供する。
【解決手段】例えばリングカバー30は、合成樹脂材料により、装着対象であるリングの外形形状に対応する内形形状を有する。また、リングカバー30には、リングとの境界部分に沿う端縁に当該リング側に形成される溝に挿入される突部32,33を形成した。リングカバー30は、その2つの突部32,33がこれらに対応する2つの溝に挿入された装着状態にあっては、自身の弾性力によりその装着状態が保持される。このため、リングカバー30は、リングに対して簡単に着脱することができる。また、両突部32,33がこれらに対応する両溝に係合することにより、リングカバー30の位置ずれ等の発生が抑制される。このため、リングカバー30の装着状態が良好に維持される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の内装品に装着される装飾カバー及び車両室内の装飾方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車室内の美観の向上、あるいは雰囲気の変更等を目的として、例えばステアリングホイールに装飾カバーを取り付けることが行われている。こうした装飾カバーとしては、例えば特許文献1に記載のものが知られている。当該装飾カバーは、天然ゴムにより環状かつ筒状に形成されてなる。当該装飾カバーには、その内周側に形成された環状の開口部を介してステアリングホイールのリングが出し入れされる。装飾カバーは自身の弾性力により、リングに装着された状態に保持される。当該装飾カバーによれば、ステアリングホイール自体を交換する場合に比べて、車室内の美観あるいは雰囲気を容易に変えることが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−20346号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、特許文献1に記載の装飾カバーには、次のような問題があった。すなわち、ステアリングホイールのスポークを避けるために、当該装飾カバーではその内周側の部分をスポークの厚み分だけ開口した状態に保持せざるを得ない。このため、当該装飾カバーは、リングを十分に巻き込むかたちでの装着が困難である。これに起因して、当該装飾カバーのリングに対する装着状態が良好に維持できないおそれがある。例えば、ステアリングホイールの操作の際に、手指等が引っ掛かって装飾カバーの開口端部がめくれたり、一部分がリングから外れたりすることが懸念される。こうした事象の発生はステアリングホイールの操作性の低下にもつながる。
【0005】
また、ステアリングホイールのスポークに装着される装飾カバー等も周知である。当該装飾カバーとしては、面ファスナあるいは両面テープを使用して取付け対象に取り付けるようにしたものがよく知られているところ、これらについても前述したリングの装飾カバーと同様の問題が生じ得る。すなわち、面ファスナを使用する場合には、互いに貼り付けられるフック状に起毛された側の部分と、ループ状に密集して起毛された側の部分との接合部分に手指等の身体の一部分が引っ掛かりやすい。このため、装飾カバーの取り付け位置がずれたり、剥がれたりするおそれがある。また、両面テープを使用する場合には、粘着力の低下などにより、装飾カバーが剥がれやすくなる。また、装飾カバーを繰り返し着脱する際にも不便である。
【0006】
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、車両の内装品に対する着脱が容易であって、かつその装着状態を良好に維持することができる装飾カバー及び車両室内の装飾方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、車両の内装品の装飾カバーにおいて、合成樹脂材料により、装着対象である前記内装品の外形形状に対応する内形形状を有するとともに、前記内装品との境界部分に沿う端縁には装着対象側に形成される凹部に挿入される突部を形成し、当該突部が前記凹部に挿入された装着状態にあっては自身の弾性力によりその装着状態が保持されることをその要旨とする。
【0008】
本発明によれば、装飾カバーの突部を内装品側に形成される凹部に挿入することにより、当該装飾カバーは内装品に取り付けられる。このため、装飾カバーは簡単に着脱することができる。また、装飾カバーの装着状態において、当該装飾カバーは自身の弾性力によりその装着状態が保持される。このとき、突部が凹部に係合することにより、装飾カバーの位置ずれ、あるいは内装品との境界部分のめくれ等の発生が抑制される。このため、装飾カバーは、その装着状態が良好に維持される。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の装飾カバーにおいて、前記内装品は、ユーザにより操作される操作部材であることをその要旨とする。
本発明のように、ユーザにより操作される操作部材に対して装着される装飾カバーにおいては、その操作時の位置ずれ、あるいは脱落が懸念される。これは、当該操作部材の操作性にもかかわる。この点、前述したように、本発明の装飾カバーは、その突部が内装品である操作部材側の凹部に係合する。このため、操作部材の操作による位置ずれ等が好適に抑制される。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の装飾カバーにおいて、前記操作部材との境界部分が室内側に露出するように装着されることをその要旨とする。
本発明によれば、境界部分には装飾カバーの厚みに相当する段差が形成される。そしてこの段差に手指などを掛けることが可能になること等から、操作部材の操作性の維持向上が図られる。また、内装品の色彩と当該内装品に装着される装飾カバーの色彩とを調和させる等により、内装品のもともとの色彩あるいは質感等を利用して装飾のバリエーションを増やすことが可能になる。なお、装飾カバーを取り外した状態においては凹部が室内側に露出する。この凹部の露出する部分は、それ自身が操作部材の意匠を形成する。例えば、凹部は操作部材の模様等として機能する。
【0011】
請求項4に記載の発明は、車両の内装品に装飾カバーを装着する車両室内の装飾方法において、複数種類の内装品に対して、これらに対応する請求項1〜請求項3のうちいずれか一項に記載の装飾カバーを装着することによる色彩、色柄及び質感の組合せを通じて総体的な調和が図られることをその要旨とする。
【0012】
本発明によれば、複数種類の内装品に対して、色彩、色柄及び質感等の異なる装飾カバーを装着することにより車両室内の装飾のバリエーションを確保することができる。一方で、同じ色彩、色柄及び質感を有してなる装飾カバーを各内装品に装着すれば、統一感のある装飾性を得ることができる。
【0013】
請求項5に記載の発明は、車両の特定の内装品に装飾カバーを装着する車両室内の装飾方法において、特定の内装品を構成する複数の部分に対して、請求項1〜請求項3のうちいずれか一項に記載の装飾カバーを装着することにより、当該特定の内装品の各部分の色彩、色柄及び質感の組合せを通じて当該特定の内装品の総体的な調和が図られることをその要旨とする。
【0014】
本発明によれば、特定の内装品の各部分に対して、色彩、色柄及び質感等の異なる装飾カバーを装着することにより当該特定の内装品、ひいては車両室内の装飾のバリエーションを確保することができる。一方で、同じ色彩、色柄及び質感を有してなる装飾カバーを当該特定の内装品に装着すれば、統一感のある装飾性を得ることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、車両の内装品に対する着脱が容易であって、かつその装着状態を良好に維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】各種の内装品に装飾カバーを装着した状態を示す斜視図。
【図2】(a)は、ステアリングホイール本体の正面図、(b)は同図(a)のA矢視図。
【図3】リングカバーの斜視図。
【図4】図1の1−1線断面図。
【図5】(a)は、パッドカバーを前面側からみた斜視図、(b)は、パッドカバーを後面側からみた斜視図。
【図6】(a)は、コラムカバーを前面側からみた斜視図、(b)は、コラムカバーを後面側からみた斜視図。
【図7】図1の2−2線断面図。
【図8】スポークカバーの斜視図。
【図9】(a)は、図1の3−3線断面図、(b)は、スポークカバーを装着した状態を示す図2(a)のA矢視図。
【図10】(a)は、レバーコンビネーションスイッチの操作レバーにレバーカバーを装着した状態を示す斜視図、(b)は同図(a)の4−4線断面図。
【図11】(a)は、取っ手カバーを装着した状態の取っ手の斜視図、(b)は、取っ手カバーを取り外した状態の取っ手の斜視図。
【図12】(a)は、取っ手カバーの変形例を示す斜視図、(b)は、当該取っ手カバーを装着した状態の取っ手を裏面側から見た斜視図。
【図13】(a)は、シフトカバーを装着した状態のシフトレバーの縦断面図、(b)は、シフトカバーを取り外した状態を示すシフトレバーの正面図。
【図14】(a)は、ヒータコントロールパネルに装着されるパネルカバーの斜視図、(b)は、パネルカバーの変形例を示す斜視図。
【図15】(a)は、レバーカバーを装着した状態のパーキングブレーキレバーの斜視図、(b)は、他のレバーカバーを装着した状態のパーキングブレーキレバーの斜視図。
【図16】(a)は、ウインドウレギュレータスイッチカバーを装着した状態のハンドレストの斜視図、(b)は、同図(a)の5−5線要部断面図、(c)は、スイッチカバーを車両の進行方向に対する左右方向に沿って切断した断面図。
【図17】(a)は、携帯機カバーが装着された状態を示す携帯機の斜視図、(b)は、同図(a)の6−6線断面図。
【図18】(a)は、携帯機カバーが装着された状態を示す携帯機の斜視図、(b)は、同図(a)の7−7線断面図。
【図19】センタークラスタパネルカバーの取付け状態を示す斜視図。
【図20】装飾カバーの固定方法に係る変形例を示す要部断面図。
【図21】パッドカバーの変形例を示す要部断面図。
【図22】装飾カバーの外形形状に係る変形例を示す要部断面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を、車両の内装品に装着される装飾カバーに具体化した一実施の形態を図1〜図12に基づいて説明する。
図1に示すように、ステアリングホイール11の各部には、リングカバー30、パッドカバー40、コラムカバー50、及びスポークカバー60が着脱可能に装着されている。具体的には、図2(a)に併せて示すように、ステアリングホイール11は、図示しないステアリングシャフトを室内側で内包する円柱状のステアリングコラム12を備えている。ステアリングコラム12の前面(運転席側の側面)には、センターパッド13が設けられる。また、ステアリングコラム12の外周面には、互いに反対側に突出する2つのスポーク14,14が設けられている。これらスポーク14,14の先端はステアリングコラム12を囲むリング15に連結されている。正確には、スポーク14は、図中の上下方向において間隔をおいてかつ左右方向へ延びる2つのスポーク部14a,14bと、これらをその端部で連結する図中の上下方向へ延びる連結部14cとからなる。この連結部14c側の部分は、リング15と一体的に連結されている。また、両スポーク部14a,14bの連結部14cと反対側の端部は、ステアリングコラム12の外周面に連結されている。図2(b)に示すように、両スポーク部14a,14bの連結部14cと反対側の端部には、ステアリングホイール11の回転中心軸に沿い、かつ両スポーク部14a,14bと反対側へ延びる延設部14dが形成されている。この延設部14dの先端部には、斜面が形成されている。この斜面は、両スポーク部14a,14bの後面に滑らかに連続している。
【0018】
そして、リング15にはリングカバー30が、センターパッド13にはパッドカバー40が、ステアリングコラム12にはコラムカバー50が、スポーク14にはスポークカバー60がそれぞれ装着されている。
【0019】
また、ステアリングコラム12の外周面において、ステアリングホイール11の後面側の部位には、図示しないレバーコンビネーションスイッチの操作レバー16が突設されている。この操作レバー16にはレバーカバー70が装着されている。
【0020】
さらに、図1に示されるように、ダッシュボード17の中央下部には、各種の車載機器の操作部が設けられたコントロールボックス18が設けられている。コントロールボックス18の前面18aには、回転操作式の2つの操作ノブ19,20が設けられている。これら操作ノブ19,20を通じてエアコンディショナあるいはオーディオ等の車載機器の操作が行われる。また、コントロールボックス18には、回転操作式のシフタ21が設けられている。このシフタ21の前面に設けられたコ字状の取っ手22を回転操作することにより変速機の接続状態が切り替えられる。また、取っ手22を把持して手前に引くことによりパーキングブレーキが作動する。そしてこの取っ手22には、取っ手カバー80が装着されている。
【0021】
リングカバー30、パッドカバー40、コラムカバー50、スポークカバー60、レバーカバー70及び取っ手カバー80は、それぞれウレタン等の軟質樹脂により形成されている。また、これらリングカバー30等の装飾カバーは、取付け対象の色彩(ベースカラー)と異なる系統の色彩、あるいは同じ系統の色彩であっても濃淡の程度を異ならせた複数種類のものが予め用意される。ユーザは、好み等に応じて所望の装飾カバーを選択して装着する。これら各装飾カバーについては、後に詳述する。
【0022】
<リングカバー>
まず、リングカバー30について詳細に説明する。図3に示すように、リングカバー30は、リング15の外形形状に対応する内形形状を有する筒状に形成されている。リングカバー30の内径はリング15の外径と同じに、あるいは若干小さく設定されている。リングカバー30の内周側の部位には、リング15が出し入れされる環状の開口部31が形成されている。この開口部31において、互いに離間する2つの開口端縁には、リングカバー30の内部に向かって突出する環状の突部32,33が連続して形成されている。これら突部32,33は、図2に示されるように、リング15の表裏に形成された環状の溝34,35に挿入可能とされている。なお、図2では、リング15の裏面側の溝35は、その図示を省略する。図4に示すように、両突部32,33のリングカバー30の内周面からの突出高さは、両溝34,35の深さと同じとされている。また、同図に示されるように、突部32,33は、リング15の接線に対して交わる方向に沿って形成されている。
【0023】
さて、リングカバー30をリング15に装着する際には、例えば後面側の突部33をこれに対応する後面側の溝35に挿入する。この状態で、リングカバー30の開口部31を拡げる態様で変形させつつ、当該開口部31を介してリング15をリングカバー30の内部に収容する。そして前面側の突部32をこれに対応する溝34に挿入する。以上で、リングカバー30のリング15に対する装着作業は完了となる。このように、リングカバー30は、手作業により簡単に装着することができる。
【0024】
図4に示されるように、リングカバー30をリング15に装着した状態において、リングカバー30は、自身の弾性力によりリング15の外周面を緩やかに締め付けた状態に維持される。すなわち、リングカバー30は、自身の弾性力によりリング15への装着状態が保たれる。また、リング15とリングカバー30(正確には、開口端縁)との境界部分には、リングカバー30の厚み分だけ段差が形成されている。図4に二点鎖線で示されるように、親指等を当該段差に添えることにより、リング15を把持しやすくなる。このとき、リングカバー30に対してその開口部31をリング15の周方向へ拡げる方向あるいは縮める方向への外力が印加されることが想定される。しかしこの場合であれ、両突部32,33が両溝34,35に係合することにより、開口部31のリング15の周方向への変位、あるいは開口端縁のめくれ等が規制される。このように、リングカバー30の位置ずれ等の発生が抑制されることにより、リングカバー30の装着状態が良好に維持される。また、開口部31を介してリング15の一部分が環状に露出している。このため、例えば互いに調和する2つの色彩を組み合わせる等、リング15の色彩とリングカバー30の色彩とを異ならせることにより、装飾性の向上が図られる。
【0025】
リングカバー30を取り外す際には、開口部31を拡げる態様でリングカバー30を変形させつつ例えば前面側の突部32を溝34から引き抜く。そして、リングカバー30の前面側の開口端縁をまくり上げるかたちで変形させつつ後面側の突部33をこれに対応する溝35から引き抜く。これにより、リングカバー30は、リング15から取り外される。このように、リングカバー30は、手作業により簡単に取り外すことができる。
【0026】
<パッドカバー>
つぎに、パッドカバー40について詳細に説明する。図5(a),(b)に示すように、パッドカバー40は、センターパッド13を覆う円板状の本体部41と、その周縁部に設けられた環状の突部42とから全体として有蓋円筒状に形成されている。突部42は、図2に示されるように、センターパッド13に形成された環状の溝43に挿入可能とされている。突部42の内径は、溝43の内側の内周面の直径と同じ、あるいは若干小さく設定されている。また、図7に示すように、突部42は、これが突出する側の側面(内面)に対して直交する方向へ突設されている。また、同図に示されるように、突部42の本体部41(正確には、突部42が突出する側の側面)からの突出高さは、溝43の深さと同じとされている。
【0027】
さて、パッドカバー40をセンターパッド13に装着する際には、突部42をセンターパッド13側へ向けて、当該突部42をこれに対応する溝43に挿入する。そしてパッドカバー40をその内面がセンターパッド13の表面に当たるまで押し込む。以上で、パッドカバー40のセンターパッド13に対する装着作業は完了となる。
【0028】
このように、パッドカバー40は、手作業により簡単に装着することができる。図7に示されるように、パッドカバー40は、その突部42が自身の弾性力により溝43の内側の内周面を緩やかに締め付けることにより、その装着状態が維持される。また、突部42が溝43に係合することにより、パッドカバー40の半径方向への変位、あるいは開口端縁のめくれ等が規制される。このように、パッドカバー40の位置ずれ等の発生が抑制されることにより、パッドカバー40の装着状態が良好に維持される。
【0029】
パッドカバー40を取り外す際には、例えばその周縁部の互いに反対側に位置する二箇所をつまんでセンターパッド13と反対側(運転席側)へ引っ張ればよい。また、パッドカバー40は、前述したように柔軟性を有しているので、その周縁部に手指を掛けて運転席側へめくるようなかたちで取り外すことも可能である。このように、リングカバー30は、手作業により簡単に取り外すことができる。
【0030】
<コラムカバー>
つぎに、コラムカバー50について詳細に説明する。図6(a),(b)に示すように、コラムカバー50は、環状の第1のコラムカバー部51と、その周縁部に設けられた2つの第2のコラムカバー部52,52とから、全体として有蓋円筒状に形成されている。
【0031】
図6(a)に示すように、第1のコラムカバー部51には、透孔53が形成されている。この透孔53の内径は、先のパッドカバー40の外径よりも大きく設定されている。また同図(b)に示すように、第1のコラムカバー部51において、透孔53の内周縁には環状の内側突部54が形成されている。内側突部54は、ステアリングコラム12の前面に形成された環状の溝55に挿入可能とされている。また、第1のコラムカバー部51の外周縁には、環状の外側突部56が形成されている。外側突部56の内径は、ステアリングコラム12の外径と同じに、あるいは若干小さく設定されている。
【0032】
両第2のコラムカバー部52,52は、外側突部56の一部分を含むかたちで、当該外側突部56の突出方向と同じ方向へ突設されている。両第2のコラムカバー部52,52は、第1のコラムカバー部51の周縁に沿う円弧板状に形成されるとともに、互いに対向するように設けられている。すなわち、両第2のコラムカバー部52,52の両側部間には、2つの隙間57,57が形成されている。第1のコラムカバー部51の周方向における隙間57の形成距離は、ステアリングホイール11をセンターパッド13側からみたときにおけるステアリングコラム12の外周面とスポーク14との連結部分の距離と同じ程度に設定されている。両第2のコラムカバー部52,52の先端縁には、その全長にわたって互いに対向する弧状の突部58,58が形成されている。図7に示すように、ステアリングコラム12の前面(図中の右側の側面)と溝59との間の距離は、第1のコラムカバー部51の内面と突部58との間の距離と同じ程度に設定されている。また、両突部58,58は、ステアリングコラム12の外周面に形成された2つの弧状の溝59,59に挿入可能とされている。
【0033】
さて、コラムカバー50をステアリングコラム12に装着する際には、両第2のコラムカバー部52,52の先端をステアリングコラム12側へ向けるとともに、両隙間57,57を両スポーク14,14に対応させる。この状態で、両第2のコラムカバー部52,52を互いに離間させる方向へ拡げつつ、これらの間にステアリングコラム12を挿入する。そして第1のコラムカバー部51の内側突部54をステアリングコラム12側の溝55に挿入する。第1のコラムカバー部51が、その内面がステアリングコラム12の前面に当たる位置まで押し込まれたとき、第1のコラムカバー部51の外側突部56は、ステアリングコラム12の外周面における先端側の部分を環状に覆う状態となる。そしてつぎに、第2のコラムカバー部52の突部58をステアリングコラム12の外周面に形成された溝59に挿入する。以上で、コラムカバー50のステアリングコラム12に対する装着作業は完了となる。
【0034】
このように、コラムカバー50は、手作業により簡単に装着することができる。そして図7に示されるように、コラムカバー50は、その先端部が内側突部54と外側突部56とによって挟まれるとともに、両第2のコラムカバー部52が自身の弾性力によりステアリングコラム12の外周面を互いに反対側から緩やかに挟み込むことによって、その装着状態が維持される。また、第1のコラムカバー部51の内側突部54が溝43に、第2のコラムカバー部52の突部58が溝59に係合することにより、ステアリングコラム12の半径方向への変位が規制される。さらに、内側突部54が溝55に入り込むことにより、第1のコラムカバー部51の透孔53の内周縁のめくれ等が抑制される。また、第2のコラムカバー部52の突部58が溝59に入り込むことにより、第2のコラムカバー部52の先端部分はめくれにくくなる。このように、コラムカバー50の位置ずれ等の発生が抑制されることにより、コラムカバー50の装着状態が良好に維持される。
【0035】
コラムカバー50を取り外す際には、例えば両第2のコラムカバー部52,52を互いに離間する方向へ拡げることにより、突部58と溝59との係合を解除する。そしてこの状態で、コラムカバー50を運転席側(図7の右側)へ引き抜けばよい。このように、コラムカバー50は、手作業により簡単に取り外すことができる。
【0036】
なお、コラムカバー50において、両隙間57,57の内縁に沿って突部を連続的に形成するようにしてもよい。そしてこれら突部をステアリングコラム12の外周面に形成される溝に係合させる。このようにすれば、いっそうの位置ずれ、あるいは、めくれ等の発生を抑制することができる。
【0037】
<スポークカバー>
つぎに、スポークカバー60について詳細に説明する。ここでは、図2における右側のスポーク14に装着されるスポークカバー60について説明する。なお、同図における左側のスポーク14に装着されるスポークカバー60は右側のものと同一品である。すなわち、左右を反転させることにより、右側のスポークカバー60と同様にして左側のスポーク14に装着することができる。
【0038】
図8に示すように、スポークカバー60は、スポーク14の前面を覆う第1のスポークカバー部61と、その周縁部に設けられた2つの第2のスポークカバー部62,62とを備えてなる。
【0039】
第1のスポークカバー部61は、図中の上下方向において間隔をおいてかつ左右方向へ延びる2つの前面カバー部61a,61bと、これらをその端部で連結する図中の上下方向へ延びる連結部61cとから、コ字状に形成されている。また、第1のスポークカバー部61の内周縁にはこれに沿って連続する内側突部63aが、同じく外周縁にはこれに沿って連続する外側突部63bが形成されている。
【0040】
両第2のスポークカバー部62,62は、図中の上下方向における両前面カバー部61a,61bの内側突部62と反対側の側縁部、かつ連結部61cと反対側(図中の左側)の部位に設けられている。両第2のスポークカバー部62,62は、外側突部63bの一部分を含むかたちで、当該外側突部63bの突出方向と同じ方向へ突設されている。第2のスポークカバー部62の先端部における連結部61c側の部分には、傾斜部64が形成されている。この傾斜部64は、第2のスポークカバー部62がその先端に向かうにつれて幅狭となるように形成されている。また、第2のスポークカバー部62の先端部には底壁65が、同じく傾斜部64に対応する部分にはこれに沿って延びる傾斜壁66が形成されている。底壁65及び傾斜壁66の先端縁には、これらに沿って延びる突部67が形成されている。突部67は、第2のスポークカバー部62に平行をなしている。
【0041】
第1のスポークカバー部61の内側突部62は、図2に示されるように、スポーク14の内周縁に沿って形成されたコ字状の溝68aに挿入可能とされている。同じく、外側突部63bの一部(正確には、第2のスポークカバー部62よりも連結部61c側の部分)は、外側突部63bのスポーク14とリング15の境界部分において当該スポーク14の外周縁に沿ってコ字状に形成された溝68bに挿入可能とされている。また、第2のスポークカバー部62の突部67は、図9(a)に示されるように、スポーク14の後面側の部位、正確には、延設部14dの先端部(後面側の端部)に形成された溝69に挿入可能とされている。
【0042】
さて、スポークカバー60をスポーク14に装着する際には、第1のスポークカバー部61の連結部61cと反対側の端部をステアリングコラム12側に向ける。また、両第2のスポークカバー部62,62の先端をスポーク14側へ向ける。この状態で、両第2のスポークカバー部62,62を互いに離間させる方向へ拡げつつ、これらの間にスポーク14を挿入する。そして第1のスポークカバー部61の内側突部63aをスポーク14の溝68aに、同じく外側突部63bを溝68bに挿入する。つぎに、第1のスポークカバー部61を、その内面がスポーク14の前面に当たる位置まで押し込んだ状態で、突部67を62外側に変形させて延設部14dの先端部を迂回させつつこれを延設部14cの先端側の溝69に挿入する。以上で、スポークカバー60のスポーク14に対する装着作業は完了となる。なお、先の図2に矢印Aで示される上方から見たとき、スポークカバー60の装着状態は図9(b)に示されるようになる。
【0043】
このように、スポークカバー60は、手作業により簡単に装着することができる。そして図9(a)に示されるように、第1のスポークカバー部61の内側突部63a及び外側突部63bは、自身の弾性力により第1のスポークカバー部61の2つの溝68a,68bの間の部分を緩やかに挟み込む。また、第1のスポークカバー部61、及び第2のスポークカバー部62の先端側の底壁65は、自身の弾性力によりスポーク14の前面と後面との間の部分を緩やかに挟み込む。すなわち、スポークカバー60は、自身の弾性力によりその装着状態が維持される。
【0044】
さらに、スポークカバー60は、その内側突部63aがこれに対応する溝68aに、その外側突部63bがこれに対応する溝68bに係合することにより、スポーク14の前面に対する相対的な変位が規制される。加えて、第2のスポークカバー部62の突部67が延設部14dの溝69に係合することにより、スポークカバー60のステアリングホイール11の回転中心軸に沿う方向への変位、及び第2のスポークカバー部62の延設部14dに対する離間方向へのめくれが規制される。このように、スポークカバー60の位置ずれ等の発生が抑制されることにより、スポークカバー60の装着状態が良好に維持される。
【0045】
スポークカバー60を取り外す際には、第2のスポークカバー部62の突部67を溝69から引き抜くことにより、突部67と溝69との係合を解除する。そしてこの状態で、スポークカバー60を運転席側へ引き抜けばよい。このように、スポークカバー60は、手作業により簡単に取り外すことができる。
【0046】
<レバーカバー>
つぎに、レバーカバー70について詳細に説明する。図10(a)に示すように、レバーカバー70は、第1のレバーカバー71及び第2のレバーカバー72からなる。第1のレバーカバー71は、操作レバー16のステアリングコラム12側の部分であるレバー本体16aに装着される。第2のレバーカバー72は、レバー本体16aの先端部にその軸線を中心として回転可能に設けられる操作ノブ16bに装着されている。本例では、レバー本体16a及び操作ノブ16bは、同一の外径を有する円柱状に形成されている。操作レバー16は、それらレバー本体16a及び操作ノブ16bが同一の軸線状に組み合わせられることにより、単一の円柱状をなしている。
【0047】
第2のレバーカバー72は、操作ノブ16bの外形形状に対応する内形形状を有する筒状に形成されている。第2のレバーカバー72には、その軸方向の全長にわたって、操作ノブ16bが出し入れされる開口部73が形成されている。開口部73において、互いに対向する2つの開口端縁には、それらの全長にわたって2つの突部74,74が連続して形成されている。両突部74,74は、第2のレバーカバー72の内部に向かって突出している。両突部74,74は、操作ノブ16bの後面側に形成された溝75,75に挿入可能とされている。
【0048】
第1のレバーカバー71は、第2のレバーカバー72と同一の断面形状を有し、その軸線方向における長さが異なるのみである。すなわち、図10(b)に示すように、第1のレバーカバー71は、第2のレバーカバー72と同様に、開口部73、及び2つの突部74,74を備えてなる。
【0049】
さて、第1のレバーカバー71をレバー本体16aに装着する際には、それらの開口部73を後方へ向けた状態で、その2つの開口端縁を互いに離間する方向へ拡げる態様で変形させつつ、当該開口部73を介してレバー本体16aを第1のレバーカバー71の内部に収容する。そして両突部74,74をレバー本体16aの両溝75,75に挿入する。以上で、第1のレバーカバー71のレバー本体16aに対する装着作業は完了となる。第2のレバーカバー72の操作ノブ16bに対する装着も第1のレバーカバー71と同様にして行われる。このように、レバーカバー70は、手作業により簡単に装着することができる。
【0050】
図10(b)に示されるように、レバーカバー70を操作レバー16に装着した状態において、レバーカバー70は、自身の弾性力により操作レバー16の外周面を緩やかに締め付けた状態に維持される。すなわち、レバーカバー70は、自身の弾性力により操作レバー16に対する装着状態が保たれる。また、レバーカバー70の両突部74,74が操作レバー16の両溝75,75に係合することにより、レバーカバー70の周方向への変位、あるいは開口部73の内側縁のめくれ等の発生が抑制される。このように、レバーカバー70の位置ずれ等の発生が抑制されることにより、レバーカバー70の装着状態が良好に維持される。
【0051】
レバーカバー70を取り外す際には、開口部73を拡げる態様でレバーカバー70を変形させつつ両突部74,74を両溝75,75から引き抜けばよい。このように、レバーカバー70は、手作業により簡単に取り外すことができる。
【0052】
<取っ手カバー>
つぎに、取っ手カバー80について詳細に説明する。図11(a)に示すように、取っ手カバー80は、取っ手22の前面を覆う矩形板状のカバー本体81、及びその長手方向へ延びる両側縁に設けられて左右方向において互いに対向する2つの側壁82,82を備えてなる。これら側壁82,82の先端縁には、その全長にわたってカバー本体81に対向する突部83,83が形成されている。図11(b)に併せて示されるように、これら突部83,83は、取っ手22の左右方向において互いに反対側に位置する2つの側面に形成された溝84,84に挿入可能とされている。両溝84,84の上下方向における長さは、両突部83,83の上下方向における長さと同じとされている。また、カバー本体81の中央部には、矩形状の孔85が形成されている。この孔85を介してカバー本体81の前面に設けられる図示しない表示等を外部から視認することが可能になる。
【0053】
さて、取っ手カバー80を取っ手22に装着する際には、両突部83,83を互いに離間させる方向へ両側壁82,82を拡げる態様で変形させつつ、取っ手22の両溝84,84に取っ手カバー80の両突部83,83をそれらの外方から挿入すればよい。このように、取っ手カバー80は、手作業により簡単に装着することができる。
【0054】
取っ手カバー80を取っ手22に装着した状態において、取っ手カバー80は、自身の弾性力により取っ手22の外周面を緩やかに締め付けた状態に維持される。すなわち、取っ手カバー80は、自身の弾性力により取っ手22に対する装着状態が保たれる。また、取っ手カバー80の両突部83,83が取っ手22の両溝84,84に係合することにより、取っ手カバー80の取っ手22に対する相対的な変位、あるいは取っ手カバー80の周縁部のめくれ等の発生が抑制される。このため、取っ手カバー80の装着状態が良好に維持される。
【0055】
取っ手カバー80を取り外す際には、例えば一方の突部83をこれに対応する溝84から引き抜く態様で取っ手カバー80を変形させつつ、他方の突部83をこれに対応する溝84から引き抜けばよい。このようにすれば、取っ手カバー80を片手で取り外すことが可能になる。また、両手を使って、両突部83,83を同時に両溝84,84から引き抜くことも可能である。いずれにしても、取っ手カバー80は、手作業により簡単に取り外すことができる。
【0056】
ここで、取っ手カバー80は、次のような構成にすることも可能である。すなわち、図12(a),(b)に示すように、取っ手カバー80の両側壁82,82は、取っ手22の側面から後面に回り込むかたちでこれら側面及び後面に沿うように延設されている。両側壁82,82の先端部には、それぞれ突部83がカバー本体81の後面に対向するように設けられている。そしてこれら突部83,83は、取っ手22の後面に形成された2つの溝84,84に挿入される。このようにすれば、取っ手カバー80は取っ手22を抱持するように装着されることにより、当該装着状態がいっそう良好に維持される。なお、取っ手22に何ら表示等が存在しない場合には、孔85は省略してもよい。先の図11(a),(b)に示されるものについても同様である。
【0057】
<装飾カバーの使用態様>
つぎに、前述した各装飾カバーの使用態様について説明する。なお、リングカバー30、パッドカバー40、コラムカバー50、スポークカバー60、レバーカバー70、及び取っ手カバー80は、様々な色彩あるいは質感を有するものが予め用意される。
【0058】
ユーザは、好み等に応じて所望の装飾カバーを選択して装着する。例えば、リングカバー30、パッドカバー40、コラムカバー50、スポークカバー60、レバーカバー70及び取っ手カバー80のうちいずれか一のみを装着してワンポイントとすることができる。また、複数種類の装飾カバーをそれらの色彩等が調和するように組み合わせて装着することにより、車室内を総体的に調和させることも可能になる。
【0059】
ここで、装飾カバーの取り付けは、その突部を装着対象側の溝に挿入するだけである。また、装着カバーは軟質樹脂材料により形成されているので、当該カバーは弾性変形させながらその装着対象に取り付けることが可能である。このため、装飾カバーの装着作業は非常に簡単である。装飾カバーの取り外しも、その取り付け作業時と同様に、当該カバーを弾性変形させながら突部を溝から引き抜く等すればよい。このように、いったん取り付けた装飾カバーも簡単に取り外すことができる。したがって、装飾カバーを自由に取り換えることが容易である。
【0060】
また、前述したように、各装飾カバーは、基本的には自身の弾性力によりその装着状態が保持される。加えて、各装飾カバーの突部が装着対象の溝に係合することにより、当該カバーの位置ずれ、あるいは脱落の発生が抑制される。このため、装着カバーの装着状態は良好に維持される。また、装飾カバーの装着状態の維持が、基本的には自身の弾性力を利用するものであることから、繰り返しの着脱に好適である。
【0061】
特に、ステアリングホイール11のリング15等のように、ユーザが直接的に把持などして操作する部位に装着される装飾カバーの位置ずれ、あるいは開口端部のめくれ等が抑制されることにより、ステアリングホイール11等の操作性の低下を回避することが可能になる。逆に、各装飾カバーは、ウレタン樹脂等の軟質樹脂材料により形成されているので、柔軟性に富み手触りがよい。このため、例えばリングカバー30をリング15に装着することにより、当該リング15を把持しやすくなるとともに、長時間の操作等に際しても手が痛くなるようなことがない。すなわち、リングカバー30をリング15に装着することにより、装飾性を向上させるだけでなく、ステアリングホイール11の操作性を向上させることも可能になる。取っ手カバー80等についても同様である。
【0062】
<実施の形態の効果>
したがって、本実施の形態によれば、以下の効果を得ることができる。
(1)例えばリングカバー30は、合成樹脂材料により、装着対象であるリング15の外形形状に対応する内形形状を有するように形成した。また、リングカバー30には、リング15との境界部分に沿う端縁に当該リング15側に形成される溝(凹部)34,35に挿入される突部32,33を形成した。そして、リングカバー30は、その2つの突部32,33がこれらに対応する2つの溝34,35に挿入された装着状態にあっては、自身の弾性力によりその装着状態が保持される。
【0063】
この構成によれば、リングカバー30の両突部32,33をリング15側の両溝34,35に挿入することにより、当該リングカバー30はリング15に取り付けられる。このため、リングカバー30は、リング15に対して簡単に着脱することができる。また、リングカバー30の装着状態において、当該リングカバー30は自身の弾性力によりその装着状態が保持される。このとき、両突部32,33が両溝34,35に係合することにより、リングカバー30の位置ずれ、あるいはリング15との境界部分のめくれ等の発生が抑制される。このため、リングカバー30は、その装着状態が良好に維持される。なお、パッドカバー40、コラムカバー50、及びスポークカバー60等の他の装飾カバーについても同様である。
【0064】
(2)装飾カバーは、基本的には自身の弾性力によりその装着状態が維持される。しかし、本例ではさらに当該装飾カバーの突部を装着対象側の溝に挿入するようにした。この突部が溝に係合することにより、装飾カバーの装着対象に対する位置ずれ、あるいは脱落等が好適に抑制される。例えばリングカバー30は、リング15を十分に巻き込むかたちで装着しなくても、その装着状態はリングカバー30の突部32,33とリング15の溝34,35との係合を通じて良好に維持される。ステアリングホイール11等のように、ユーザにより操作される内装品に装着される装飾カバーの位置ずれ等は、当該内装品の操作性にも影響するので、当該位置ずれ等の発生が抑制されることにより、ユーザの操作に係る内装品の操作性を維持あるいは向上させることができる。取っ手22等の他の操作部材に装着される装飾カバーについても同様である。
【0065】
(3)リング15とリングカバー30との境界部分は、その前面側の部分が運転席側に露出している。この境界部分にはリングカバー30の厚みに相当する段差が形成される。そしてこの段差に手指などを掛けることが可能になること等から、ステアリングホイール11の操作性の維持向上が図られる。また、リング15の色彩と当該リング15に装着されるリングカバー30の色彩とを調和させる等により、リング15のもともとの色彩あるいは質感等を利用して装飾のバリエーションを増やすことが可能になる。コラムカバー50,及び取っ手カバー80等についても同様である。
【0066】
(4)図2に示されるように、リングカバー30、パッドカバー40、コラムカバー50及びスポークカバー60等の装飾カバーをステアリングホイール11から取り外した状態においては、溝34,43,55,68a,68bが室内側に露出する。そしてこれら溝自身がステアリングホイール11の意匠を形成する。すなわち、これら溝はステアリングホイール11の模様等として機能する。このため、装飾カバーの装着の有無によっても装飾のバリエーションを確保することが可能になる。取っ手カバー80等についても同様である。
【0067】
(5)様々な色彩あるいは質感を有する装飾カバーを取付け対象(リング15、並びに操作レバー16、並びに取っ手22等)毎に予め用意する。そして、ステアリングホイール11、操作レバー16及び取っ手22等の複数種類の内装品に対して、これらに対応する装飾カバー(リングカバー30、レバーカバー70及び取っ手カバー80等)を装着することによる色彩、色柄及び質感の組合せを通じて総体的な調和が図られるようにした。この構成によれば、複数種類の内装品に対して、色彩、色柄及び質感等の異なる装飾カバーを装着することにより車両室内の装飾のバリエーションを確保することができる。一方で、同じ色彩、色柄及び質感を有してなる装飾カバーを各内装品に装着すれば、統一感のある装飾性を得ることができる。
【0068】
なお、前述したように、装飾カバーは、軟質樹脂により形成されているので柔軟性に富む。このため、ユーザは装飾カバーを弾性変形させながらこれを装着対象に対して簡単に取り付けることができる。したがって、ユーザは、好みの色彩、色柄または質感の装飾カバーを適宜選択して装着することにより、ステアリングホイール11等の加飾(色彩、あるいは質感等)を自由に変更することができる。ひいては、ユーザが、自らの好み等に応じて車内デザインの選択あるいは変更を簡単に行うことが可能になる。近年では、車両の内装の個性化が進み、自分だけの内装にこだわるユーザが増大する傾向にある。本例によれば、こうしたニーズに応えることが可能になる。
【0069】
(6)特定の内装品、例えばステアリングホイール11を構成する複数の部分であるセンターパッド13、スポーク14及びリング15等に対して、それぞれ装飾カバー(パッドカバー40、スポークカバー60、及びリングカバー30等)を装着することにより、当該ステアリングホイール11の各部分の色彩、色柄及び質感の組合せを通じて当該ステアリングホイール11の総体的な調和が図られるようにした。この構成によれば、ステアリングホイール11の各部分に対して、色彩、色柄及び質感等の異なる装飾カバーを装着することにより当該特定の内装品、ひいては車両室内の装飾のバリエーションを確保することができる。一方で、同じ色彩、色柄及び質感を有してなる装飾カバーを当該特定の内装品に装着すれば、統一感のある装飾性を得ることができる。
【0070】
(7)装飾カバーを装着する際には、当該装飾カバーの突部を装着対象側の溝に挿入すればよい。このため、装飾カバーの装着対象に対する位置決めが簡単である。ユーザは、装着カバーの取り付けに際して、微妙な位置調整等を行う必要がない。このため、装着作業が簡単になる。
【0071】
<他の実施の形態>
なお、前記実施の形態は、次のように変更して実施してもよい。
・本例では、回転操作式のシフタ21を搭載した車両を例に挙げたが、例えば車室内のフロア、インストルメントパネル、あるいはステアリングコラムにシフトレバーが配設されるシフタも多く存在する。こうしたシフトレバーに装飾カバーを着脱可能に設けてもよい。例えば図13(a),(b)に示すように、シフトレバー91の先端部には、ユーザにより把持される把持部92が形成されている。この把持部92は、円錐台状の基部92a、及び当該基部92aの上部に設けられた俵状の被装着部92bを備えてなる。これら基部92aと被装着部92bとの間には環状の溝92cが形成されている。このように形成される把持部92にシフトカバー93が着脱可能に装着される。このシフトカバー93もウレタン樹脂等の軟質樹脂材料により形成される。シフトカバー93は、被装着部92bの外形形状に対応する内形形状を有する有蓋筒状に形成されるとともに、その下部開口部の内周縁には把持部92の溝92cに係合する環状の突部94が形成されている。突部94の内径は被装着部92bの外径よりも若干小さく設定されている。
【0072】
さて、このシフトカバー93を装着する際には、シフトカバー93の開口部を拡げながら、把持部92の被装着部92bに挿入する。シフトカバー93は、自身の弾性によりその装着状態が保持される。また、突部94が溝92cに係合することにより、シフトカバー93の把持部92からの脱落が抑制される。また、リングカバー30等の他の装飾カバーとの組合せ等により、装飾のバリエーションを増やすことも可能になる。
【0073】
・コントロールボックス18に装飾カバーを設けてもよい。例えば図14(a)に示すように、直方体状のコントロールボックス18の外周面には環状の溝101が形成されている。そしてこれに装着されるボックスカバー102は、コントロールボックス18の外形形状に対応する直方体状に形成されている。ボックスカバー102のコントロールボックス18に対する挿入側の側壁は省略されることにより開口するとともに、その開口部の内周縁には四角環状の突部103が連続して形成されている。この突部103は、コントロールボックス18の溝101に挿入可能とされている。また、ボックスカバー102の開口部と反対側の側壁には、シフタ21(取っ手22)、及び2つの操作ノブ19,20をそれぞれ挿通可能とした挿通孔104,105,106が形成されている。なお、このボックスカバー102もウレタン樹脂等の軟質樹脂材料により形成される。
【0074】
さて、このボックスカバー102をコントロールボックス18に装着する際には、ボックスカバー102の開口部を拡げながらその内部にコントロールボックス18を挿入しつつ、突部103を溝101に挿入する。ボックスカバー102の装着状態において、シフタ21(取っ手22)、及び2つの操作ノブ19,20は、それぞれ挿通孔104,105,106を介して外部に露出する。このため、ボックスカバー102を装着した状態であれ、取っ手22、及び両操作ノブ19,20の操作が可能となる。そして、ボックスカバー102は、自身の弾性によりその装着状態が保持される。また、突部103が溝101に係合することにより、ボックスカバー102のコントロールボックス18からの脱落が抑制される。これにより、ボックスカバー102の装着状態は良好に維持される。また、リングカバー30等の他の装飾カバーとの組合せ等により、装飾のバリエーションを増やすことも可能になる。
【0075】
また、図14(b)に示すように、ボックスカバー102の上部に、カードホルダ107等を形成してもよい。同図の例では、カードホルダ107は、一対の半円板状の把持片107a,107bが並設されてなる。これら把持片107a,107bの間にカード108等を挟むことができる。このように、ボックスカバー102は合成樹脂材料により形成されることから、カードホルダ107等を一体形成することも容易である。また、コインホルダ等を設けることも可能である。このように、装飾性だけでなく、機能的な付加価値を有する装飾カバーのバリエーションを増やすことができる。
【0076】
・本例では、シフタ21の取っ手22を手前に引くことによりパーキングブレーキを作動させるタイプが採用されていたが、パーキングブレーキレバーが運転席の横に設けられるタイプのものも多く存在する。このタイプのパーキングブレーキレバーに装飾カバーを設けてもよい。すなわち、図15(a)に示されるように、パーキングブレーキレバー110の先端側の把持される部分に筒状のレバーカバー111を装着する。このレバーカバー111の構成は、例えば先の図10(a),(b)に示されるレバーカバー70と同様とされる。また、このレバーカバー111は、次のような構成としてもよい。すなわち、図15(b)に示されるように、レバーカバー111は、パーキングブレーキレバー110の外形形状に対応する内形形状を有する筒状に形成されている。レバーカバー111は、その両端部が開口して形成されるとともに、これら開口部の内周縁には環状の突部112a,112bが形成されてなる。これら突部112a,112bは、パーキングブレーキレバー110の両端部の近傍に形成された環状の溝113a,113bに挿入可能とされている。図15(a),(b)に示されるいずれの構成を採用した場合であれ、レバーカバー111は、自身の弾性によりその装着状態が維持される。また、レバーカバー111側の突部がパーキングブレーキレバー110側の溝に係合することにより、レバーカバー111のパーキングブレーキレバー110に対する位置ずれ等の発生が抑制される。また、リングカバー30等の他の装飾カバーとの組合せ等により、装飾のバリエーションを増やすことも可能になる。
【0077】
・図16(a)に示すように、ウインドウレギュレータスイッチ(以下、「スイッチ121」という。)の周囲に、スイッチカバー(「以下、スイッチカバー122」という。)を設けるようにしてもよい。すなわち、同図に示されるように、運転席側の車両ドアの内面には、アームレスト123が形成されている。アームレスト123の上面には、2つのスイッチ121,121が左右方向において並設されている。これらスイッチ121,121が操作されることにより、運転席側あるいは助手席側のサイドウインドウの開閉が行われる。
【0078】
図16(c)に示すように、このスイッチカバー122もウレタン樹脂等の軟質樹脂材料により形成される。スイッチカバー122は、アームレスト123の上面に沿うカバー本体124、及び当該カバー本体124の左右の側縁部に形成された第1及び第2の側壁125,126を備えてなる。第1の側壁125は、第2の側壁126よりも大きく下方へ延びている。図16(c)に二点鎖線で示されるように、第1の側壁125は、アームレスト123の車両外側(図中の左側)の部分に形成される第1の溝123aに挿入される。また、図16(b)に併せて示されるように、第2の側壁126は、アームレスト123の車両内側の側面に沿って僅かに下方へ延びるとともに、その先端部には前後方向へ延びる突部127が形成されている。この突部127は、アームレスト123の車両内側の側面の上部に形成された第2の溝123bに挿入される。
【0079】
さて、スイッチカバー122をアームレスト123に装着する際には、第1の側壁125をアームレスト123の車両外側の第1の溝123aに、第2の側壁126の突部127をアームレスト123の車両内側の第2の溝123bに挿入する。このスイッチカバー122は、自身の弾性力によりその装着状態が維持される。また、スイッチカバー122の第1の側壁125が第1の溝123aに、同じく第2の側壁126の突部127が第2の溝123bに係合することにより、スイッチカバー122のアームレスト123に対する位置ずれ等の発生が抑制される。詳述すると、まずスイッチカバー122の第1の側壁125がアームレスト123の第1の溝123aに挿入されることにより、当該スイッチカバー122の前後への変位が規制される。また、第1の側壁125は第2の側壁126に比べて下方へ大きく延設されているので、第1の溝123aから抜けにくくなる。一方、スイッチカバー122の突部127がアームレスト123の第2の溝123bに係合することにより、スイッチカバー122の上方への変位、あるいは車内側の側縁部のめくれ等が抑制される。また、リングカバー30等の他の装飾カバーとの組合せ等により、装飾のバリエーションを増やすことも可能になる。
【0080】
なお、図16(a),(c)に示されるように、カバー本体124には、矩形状の孔128が形成されている。そしてスイッチカバー122をアームレスト123に装着した状態において、当該孔128を介して両スイッチ121,121が露出するように、当該孔128の形成位置及び形成面積等が設定される。このため、スイッチカバー122を装着した場合であれ、スイッチ121を操作することができる。
【0081】
・ユーザに所持される携帯機と車両との間の無線通信を通じて、車両ドアの施錠あるいは解錠等を行ういわゆる電子キーシステムが知られている。当該システムが搭載される車両にあっては、携帯機の加飾についても、車内の内装品との調和を図りたいという要望がある。このような要求に応えるため、携帯機に対して装飾カバーを装着してもよい。例えば図17(a)に示されるように、丸みを帯びた携帯機131に装着される携帯機カバー132は、当該携帯機131の外形形状に対応する内形形状を有する有蓋箱体状に形成されている。この携帯機カバー132の一側面(携帯機132に対する装着側の面)は開口するとともに、当該開口部の内周縁には図17(b)に示されるように、四角環状の突部133が連続して形成されている。この突部133は、携帯機131の周面に形成された四角環状の溝134に挿入可能とされている。なお、この携帯機カバー132もウレタン樹脂等の軟質樹脂材料により形成される。そして、携帯機カバー132を携帯機131に装着する際には、当該携帯機カバー132の開口部を弾性変形させつつその内部に携帯機131を挿入して、突部133を携帯機131の溝134に挿入すればよい。このようにすれば、内装品に装着される各装飾カバーとの組合せにより、装飾のバリエーションを増やすことができる。また、携帯機131の外周面を、その一部とはいえ軟質樹脂材料により形成された携帯機カバー132で覆うことにより、当該携帯機131に印加される衝撃等を緩和することができる。
【0082】
また、次のような携帯機カバーを採用してもよい。すなわち、図18(a)に示すように、携帯機カバー135は、携帯機131のほぼ全部を覆うように形成されている。携帯機カバー135において、携帯機131の押しボタン136等の操作部分、あるいはエンブレム137等の表示部分に対応する部位には、開口部138が形成されている。図18(b)に示すように、この開口部138の内周縁には、その全周にわたって携帯機カバー135の内部へ向かう突部139が形成されている。この突部139は、携帯機131の表面において、押しボタン136等の操作部分、あるいはエンブレム137等の表示部分の周囲を囲むように形成された溝140に挿入可能とされている。携帯機カバー135を携帯機131に装着する際には、当該携帯機カバー135の開口部138を拡げる態様で弾性変形させつつその内部に携帯機131を挿入して、突部139を携帯機131の溝140に挿入すればよい。図18(a)に示されるように、携帯機カバー135が装着された状態においては、携帯機131の押しボタン136、あるいはエンブレム137等が開口部138を介して外部に露出する。このため、携帯機カバー135が装着された場合であれ、押しボタン136等の操作部分を操作すること、あるいは、エンブレム137等の表示部分を外部から視認することが可能にある。このようにすれば、携帯機131に操作部分あるいは表示部分が存在する場合であれ、それらの操作あるいは表示機能を阻害することなく、携帯機131を装飾することができる。また、操作部分等を除くほぼ全体が携帯機カバー135で覆われることにより、当該携帯機131に印加される衝撃等のいっそうの緩和が図られる。携帯機131の装飾バリエーションの増大にもつながる。
【0083】
・センタークラスタパネル等の装飾パネル類についても本例の取り付け態様等を適用することができる。例えば、図19に示すように、運転席と助手席との間のセンタークラスタ141の開口部141aは、四角板状のセンタークラスタパネル142により閉塞される。このセンタークラスタパネル142の周縁部には、四角環状の突部143が形成されている。この突部143は、センタークラスタ141側の開口部141aの周囲に形成された四角環状の溝144に挿入可能とされている。そして、突部143をセンタークラスタ141側の溝144に挿入すれば、センタークラスタパネル142の装着は完了となる。なお、センタークラスタパネル142も、他の装飾カバーと同様に、ウレタン樹脂等の軟質樹脂材料により形成される。
【0084】
なお、同図に示されるように、四角環状の枠体145を併用してセンタークラスタパネル142を固定してもよい。この枠体145はセンタークラスタパネル142とセンタークラスタ141との境界部分を覆う四角枠状に形成されている。そして、センタークラスタパネル142を装着した後に、枠体145をねじ146によりセンタークラスタ141に固定する。このねじ146の頭は、その上からねじカバー147を取り付けることにより隠される。
【0085】
・本例の各装飾カバーの取り付けは、ねじ等による固定方法を併用してもよい。この場合、図20に示すように、各装飾カバー(30,40,50,60,70,80等)は、例えばウレタン樹脂等の軟質樹脂材料により形成される第1の層151、及びこれよりも硬い硬質樹脂材料により形成される第2の層152からなる2層構造とすることが好ましい。また、この場合には、第2の層152を内側(取付け対象側)に、第1の層151を外側に設ける。なお、硬質樹脂材料としては、例えばポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)及びアクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)等を採用することができる。このようにすれば、軟質の第1の層151に比べて変形等しにくい硬質の第2の層152を介してねじ153の締め付けが行われるので、ねじ153の締め付け状態が良好に維持される。
【0086】
・近年では、ステアリングホイール11のセンターパッド13の内部には、エアバッグ装置が設けられるものも多い。エアバッグ装置は、例えば車両に前方から衝撃が加わった際に、エアバッグの内部に膨張用のガスを供給して当該エアバッグを膨張させる。この膨張の過程において、センターパッド13の表面部分が破断されて、この破断した部分を介してエアバッグが引き続きステアリングホイール11と運転者との間で膨張する。この膨張したエアバッグにより、運転者が受ける衝撃の緩和が図られる。このようなエアバッグ装置が設けられたセンターパッド13に対して、先の図5(a),(b)に示されるパッドカバー40を装着した場合、エアバッグの膨張に伴いパッドカバー40がセンターパッド13から脱落するおそれがある。そこで、次のようなパッドカバー40を採用するようにしてもよい。すなわち、図21に示すように、パッドカバー40の突部42の先端縁には、複数個の連結部44及びこれらに対応する抜け止め突部45が設けられている。これら連結部44及び抜け止め突部45は、突部42の先端縁に沿って所定間隔毎に設けられている。連結部44の図中の上下方向における厚みは、突部42及び抜け止め突部45よりも小さく設定されている。また抜け止め突部45の図中の上下方向における2つの側面には、抜け止め突部45の先端に向かうにつれて互いに近接する傾斜面45a,45bが形成されている。これら抜け止め突部45は、センターパッド13の溝43の内底面において各抜け止め突部に対応して形成された複数の貫通孔46に挿入可能とされている。これら貫通孔46の図中の上下方向における開口幅は、連結部44よりも若干大きく、かつ突部42及び抜け止め突部45よりも小さく設定されている。この図21に示されるパッドカバー40を装着する場合には、まず抜け止め突部45を貫通孔46に挿入する。この際、抜け止め突部45は、その2つの傾斜面45a,45bがセンターパッド13における貫通孔46の開口周縁部に対して相対的に案内されることにより、図中の上下方向において弾性的に圧縮されながら挿入される。そして、抜け止め突部45が貫通孔46を通過した際には、抜け止め突部45は、もとの形状に弾性的に復元する。そして、この抜け止め突部45のセンターパッド13側の部分が当該センターパッド13における貫通孔46の開口周縁部に係合することにより、当該抜け止め突部45の抜け止め、ひいてはパッドカバー40の脱落が抑制される。この図21に示されるパッドカバー40を採用すれば、エアバッグが展開した場合におけるパッドカバー40の脱落を抑制することが可能になる。例えば、パッドカバー40をウレタン樹脂等の軟質樹脂材料により形成する場合、エアバッグが展開するときには、当該パッドカバー40は、センターパッド13とともに破断することが期待できる。このため、パッドカバー40によりエアバッグの膨張が阻害されることはない。また抜け止め突部45がセンターパッド13に係合することにより、パッドカバー40が破断するに際してこれがセンターパッド13から脱落することもない。なお、コラムカバー50等の他の装飾カバーについても同様の構成を採用することが可能である。
【0087】
・また、各装飾カバー(30,40,50,60,70,80等)の表面に、柔軟性を有する他の材料を貼り付ける等して表層部を形成してもよい。例えば各装飾カバーの表面に、皮等を貼り付けてもよい。各装飾カバーの表層部の色調あるいは質感を変えることにより、様々な装飾バリエーションを生み出すことが可能になる。
【0088】
・本例及び前述の各変形例において、各装飾カバーの材質は装着対象、あるいは装着場所などに応じて適宜変更してもよい。
・本例では、各装飾カバーは、すべてウレタン樹脂等の軟質樹脂材料により形成したが、例えばリングカバー30等のようにユーザが触れる部分と触れない部分が存在するものにおいては、ユーザが把持する部分のみ軟質樹脂で形成し、他の部分は当該軟質樹脂よりも硬いABS樹脂等の硬質樹脂材料あるいは金属により形成してもよい。
【0089】
・例えばリングカバー30においては、その開口端縁の全長にわたって突部32,33を形成したが、これら突部32,33は、当該開口端縁の一部分についてのみ形成するようにしてもよい。また、複数個の突部32,33を、間隔をおいて設けるようにしてもよい。パッドカバー40等の他の装飾カバーについても同様である。
【0090】
・本例では、各装飾カバー(30,40,50,60,70,80等)の内形形状及び外形形状は、それぞれステアリングホイール11等の内装品の外形形状に対応するものとした。しかし、これら装飾カバーの外形形状は、内装品の外形形状に対応しない任意の形状としてもよい。例えば、図22に示すように、リングカバー30の表面には、単数又は複数の突部(盛り上がり部分)36が形成されている。この突部36はリングカバーの表面に滑らかに連続してなる。この突部36に手指等を掛けることによりリング15を把持しやすくなり、ステアリングホイール11の操作性を向上させることが可能である。また、意匠的にも趣向を凝らすことが可能になる。このように、内装品に装着される装飾カバーの外形形状に様々な工夫を凝らすことにより、多種多様なデザインバリエーションを生み出すことが可能になる。また、内装品の表面加飾だけではなく、立体的な造形の変化によるデザインを構築することができる。さらに、リング15等のように、内装品が運転者により操作されるものである場合には、その操作性を向上させることも可能になる。
【0091】
<他の技術的思想>
次に、前記実施の形態から把握できる技術的思想を以下に追記する。
(ア)請求項1〜請求項3のうちいずれか一項に記載の装飾カバーにおいて、前記内装品は、ユーザに所持されて車両との間で無線通信を行う携帯機であること。この構成によれば、車両の内装品に装着される装着カバーと携帯機との間において装飾の統一感が得られる。
【0092】
(イ)請求項1〜請求項3及び前記(ア)項のうちいずれか一項に記載の装飾カバーにおいて、内装品側の硬質層及びその表面に設けられる軟質層からなり、当該軟質層側からねじを締め付けることにより内装品に固定されること。このように、ねじによる固定を併用することも可能である。この場合、ねじは硬質層を介して好適に締め付けられる。すなわち、手触り感を良好な状態に維持しつつ、より確実に装飾カバーを内装品に固定することができる。
【0093】
(ウ)請求項1〜請求項3のうちいずれか一項に記載の装飾カバーにおいて、軟質樹脂材料により形成されてなること。この構成によれば、柔らかな手触り感を得ることができる。また、手指などが意図せず接触した場合であれ、いたくない。
【符号の説明】
【0094】
11…ステアリングホイール、16…操作レバー、22…取っ手、30…リングカバー、40…パッドカバー、50…コラムカバー、60…スポークカバー、70…レバーカバー、80…取っ手カバー、32,33…突部、34,35…溝(凹部)、突部…42、43…溝、54,58…突部、55,59…溝、63a,63b,67…突部、68a,68b,69…溝、83…突部、84…溝。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の内装品の装飾カバーにおいて、合成樹脂材料により、装着対象である前記内装品の外形形状に対応する内形形状を有するとともに、前記内装品との境界部分に沿う端縁には装着対象側に形成される凹部に挿入される突部を形成し、当該突部が前記凹部に挿入された装着状態にあっては自身の弾性力によりその装着状態が保持される装飾カバー。
【請求項2】
請求項1に記載の装飾カバーにおいて、前記内装品は、ユーザにより操作される操作部材である装飾カバー。
【請求項3】
請求項2に記載の装飾カバーにおいて、前記操作部材との境界部分が室内側に露出するように装着される装飾カバー。
【請求項4】
車両の内装品に装飾カバーを装着する車両室内の装飾方法において、複数種類の内装品に対して、これらに対応する請求項1〜請求項3のうちいずれか一項に記載の装飾カバーを装着することによる色彩、色柄及び質感の組合せを通じて総体的な調和が図られる車両室内の装飾方法。
【請求項5】
車両の特定の内装品に装飾カバーを装着する車両室内の装飾方法において、
特定の内装品を構成する複数の部分に対して、請求項1〜請求項3のうちいずれか一項に記載の装飾カバーを装着することにより、当該特定の内装品の各部分の色彩、色柄及び質感の組合せを通じて当該特定の内装品の総体的な調和が図られる車両室内の装飾方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2011−186638(P2011−186638A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−49514(P2010−49514)
【出願日】平成22年3月5日(2010.3.5)
【出願人】(000003551)株式会社東海理化電機製作所 (3,198)
【Fターム(参考)】