説明

装飾性積層安全ガラス

本発明は、画像担持熱可塑性中間層を含む装飾性積層物品であって、前記画像がインクジェット印刷法を用いて前記中間層上に印刷されており、前記画像が前記熱可塑性中間層の表面上に白色顔料を含む装飾性積層物品である。本発明は、良好な接着品質を有する画像担持積層体を得るために熱可塑性ポリマー上に白色顔料インキをインクジェット印刷する方法でもある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願]
本出願は2004年3月2日出願の米国仮特許出願第60/549,607号明細書の利益を主張する。
【0002】
本発明はインクジェット印刷のプロセスによって中間層上に印刷された画像を担持する装飾性積層体に関する。本発明はポリビニルブチラール(PVB)を含む中間層上に画像が印刷された装飾性積層体に特に関連する。本発明は本発明の積層体を作製するために有用であるインキ配合物にも関連する。
【背景技術】
【0003】
装飾性積層体は知られており、種々のプロセスによって得られる。DE第29706880号明細書、米国特許第4,968,553号明細書、米国特許第5,914,178号明細書、EP第1129844A1号明細書およびDE第20100717号明細書には、シルクスクリーニング法を経由して装飾性ガラス積層体を製造することが開示されている。中間層上に画像をシルクスクリーンするのは装飾性積層安全ガラスを製造するために非常に時間がかかるとともに高価なプロセスである。装飾性ガラス積層物を製造するプロセスは米国特許第4,173,672号明細書にも記載されている。この特許には、紙上に印刷された画像を熱可塑性フィルムに転写し、その後、転写された画像を担持するフィルムをガラスシート間に積層する転写積層法が記載されている。
【0004】
積層安全ガラスに関してPVBおよびポリウレタン上に印刷する「インクジェット」技術の使用は国際公開第0218154号パンフレットで開示されている。インクジェット印刷は知られており、インキ小滴が印刷基材に向けて高速で印刷ヘッドを通して噴射される印刷のための従来のプロセスである。インクジェット技術は、いかなるディジタル画像も基材上に印刷することができるので非常に融通性がある。
【0005】
しかし、インクジェット印刷法を用いてPVB上に直接印刷する1つの欠点は、印刷された画像において劣った画像品質を引き起こしうる粗面パターン(Rz30〜60μm)をPBV中間層が有することである。粗面パターンは、積層プロセス中に閉じ込められた空気の存在によって引き起こされる他の欠陥も気泡もない積層体を得るためにPBV積層プロセスにおいて必要である。しかし、PVB上にインクジェット印刷する時、粗面パターンは班点および解像度に関して画像品質に影響を及ぼしうる。
【0006】
インクジェット印刷に関する従来のプロセスに関わる他の問題は従来のインクジェット法で用いられるインキが原因となって生じる。低粘度のインキは、インクジェットプリンタのプリントヘッドにおける高圧の蓄積およびその後のヘッドの損傷および/または印刷された画像の劣った品質を軽減するために従来のインクジェット印刷法において必要とされる。インクジェット印刷は、(a)圧電印刷法または熱インクジェット印刷法などのドロップオンデマンド(DOD)プロセスまたは(b)連続ドロップインクジェット印刷のいずれかによって従来通り行われる。インクジェット印刷法において低粘度のインキを必要とさせ、好ましくさせる他の要素もある。しかし、インクジェット印刷のために適する従来のインキの使用は熱可塑性中間層上に劣った画像品質をもたらしうる。劣った画像品質は、積層のために作製されたPVB表面などの粗面上に低粘度のインキが噴霧される時、中間層表面上で高い部分から低い部分に流れるインキが原因となって発生し得る。
【0007】
もう1つの基材上に積層する前に中間層上に画像を印刷することに関わる潜在的なもう1つの問題は、基材と中間層との間の「有効」接着表面積を減らしうる中間層の表面上の着色剤のゆえに中間層と基材との間の接着結合が大幅に弱められうることである。本明細書で用いられる「有効接着表面」は、介在する着色剤層なしに中間層および基材が互いに直接接触している表面積を表現している。積層体の接着力の減少は、安全ガラスとして、または安全ガラスが意図された用途において劣った性能を有する積層体をもたらしうる。
【0008】
なお更なる問題は、印刷された画像が白色部分とクリア部分(すなわち、基材上にインクジェットされない領域)の両方を必要とする時、熱可塑性ポリマー中間層上にインクジェット印刷することで生じうる。印刷された画像に白色が現れる領域を得るために、現在の実施は、白色熱可塑性シート上に着色インキを印刷することを必要とする。この方式で得られた画像に現れる白色はシート中の添加剤から生じ、白色が印刷された画像に望ましい領域上に白色顔料を印刷することから生じたのではない。これは、クリア(透明)領域が同じ画像中で白色の部分と合わさって望ましい時に実用的な解決法ではない。
【0009】
白色顔料をインクジェット印刷することは既知の方法ではない。より詳しくは、中間層材料上にインクジェット印刷するために適する白色インキ系は知られていない。種々の要素によってインクジェット印刷に関して白色インキ系が問題ありとされるが、1つの問題はインキ分散液中で用いられる白色顔料の粒子サイズがインクジェット印刷のために大きすぎうることでありうる。
【0010】
インキが基材上に印刷されていないクリア領域または透明領域に加えて、白色の領域が画像またはテキスト中で観察できるように熱可塑性中間層上に白色インキをインクジェット印刷する方法を有することが、積層の前に熱可塑性中間層上に印刷するための方法において望ましい場合がある。
【0011】
同時に中間層基材上に高品質画像をもたらしつつ、こうした方法を有するとともに積層体強度および破断に対する復元力を維持することが特に望ましい場合がある。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0012】
一態様において、本発明は、白色顔料インキを熱可塑性ポリマー基材材料上にインクジェット印刷する方法であって、前記白色顔料インキが前記白色顔料のための少なくとも1種の有機液体および少なくとも1種の分散剤を含むビヒクル中に白色顔料粒子を含む非水性分散液である方法である。
【0013】
もう1つの態様において、本発明は、熱可塑性ポリマー基材材料上にインクジェット印刷するために適する非水性白色顔料インキ分散液であって、前記白色顔料インキが前記白色顔料のための少なくとも1種の有機液体および少なくとも1種の分散剤を含むビヒクル中に白色顔料粒子を含む非水性分散液である非水性白色顔料インキ分散液である。
【0014】
なおもう1つの態様において、本発明は、画像担持中間層基材を含む積層物品であって、前記画像がインクジェット印刷法を用いて前記基材の少なくとも1つの表面上に白色インキ分散液を印刷することにより被着させた白色顔料粒子を含む積層物品である。
【0015】
なおもう1つの態様において、本発明は、熱可塑性中間層の少なくとも1つの表面上に非水性白色顔料入りインキをインクジェット印刷する工程と、適する積層基材の2つの透明シート間に画像担持中間層を積層する工程とを含む、少なくとも約1000psiの積層体接着強度を有する画像担持積層体を得るための方法であって、前記白色顔料インキが前記白色顔料のための少なくとも1種の有機液体および少なくとも1種の分散剤を含むビヒクル中に白色顔料粒子を含む非水性分散液である方法である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
一実施形態において、本発明は、インクジェット印刷法によって熱可塑性中間層材料上に画像を印刷するための方法である。本発明の目的のために適する熱可塑性中間層材料は、インクジェットプリンタを通過するのに十分に柔軟だが十分に硬い従来から知られているあらゆる熱可塑性材料または市販されているあらゆる熱可塑性材料であることが可能である。本発明の実施において印刷基材として有用な適する熱可塑性材料には、ポリウレタン(PUR);ポリエチレンテレフタレート(PET)などのポリエステル、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリビニルブチラール(PVB);例えばポリエチレンおよび/またはポリプロピレンなどのポリオレフィンが挙げられる。ポリビニルブチラール(PVB)は本発明の目的のために好ましい。PVBは、例えばButacite(登録商標)という商品名でE.I.DuPont de Nemours & Co.から市販されている。
【0017】
本発明の中間層材料上にインクジェット印刷するのは、好ましくは顔料入りインキを用いて行われる。顔料入りインキは、インキの色堅牢度、熱安定性、エッジ解像力および印刷された基材上での低い拡散率のゆえに好ましい。従来の実施において、顔料は「ビヒクル」と従来から呼ばれている液体媒体に懸濁される。従来通り、ビヒクルは有機液体(有機溶媒)および/または顔料を分散させるために単独でまたは組み合わせで有用である水を含むことが可能である。本発明の実施において用いるために適する顔料は非水性ビヒクル中に分散させることが可能である。本明細書において用いるために適する「非水性」ビヒクルは、その用語が本明細書で用いられる時、特定の有機溶媒を用いる時に「非水性」ビヒクルがある僅少割合(16重量%以下)で水を含むことが可能であるので、厳密には非水性ではない。従来の種々の溶媒が知られており、単独でまたは他の適する溶媒と組み合わせて用いることが可能である。有用であるが、好ましさに劣る溶媒には、例えば、メチルイソブチルケトン(MIBK)、メチルエチルケトン(MEK)、ブチロラクトンおよびシクロヘキサノンが挙げられる。好ましい溶媒には、例えば、プロピレングリコールエーテル;、例えばジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどのプロピレングリコールエーテルアセテートおよびエチレングリコールブチルエーテルまたはこれらのいずれかの混合物が挙げられる。特に好ましい実施形態において、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(DPMA)は、顔料入りインキを分散させるために用いることが可能である。約50重量%までの濃度のDPMAとグリコールエーテルおよび/または他の有機溶媒との混合物も好ましいことが可能である。より好ましくは、溶媒混合物中のDPMAの濃度は約5重量%〜約50重量%、より好ましくは約15重量%〜約45重量%であることが可能である。
【0018】
本発明のインキは、インキの粘度を下げるためにプリントヘッドを加熱する必要なしにインクジェットプリンタの印刷ヘッドを通してインキを噴出できる十分に低い粘度を有する。本発明の実施において、インキ粘度は25℃で測定して約30センチポイズ(cps)未満である。好ましくは、インキ粘度は、25℃で約20cps未満である。より好ましくは、インキ粘度は25℃で約15cps未満であり、最も好ましくは約12cps未満である。
【0019】
理論に拘束されないで、出願人は、ジェット印刷のために用いられるインキ系が例えばシルクスクリーン印刷法において用いられるインキ系より遙かに低い粘度を有するので、インクジェット印刷システムを用いる画像品質に関わる問題が生じうると考えている。低粘度のインキは、粗いPVB表面の谷に重力によって「流れる」ことが可能である。従って、インキはPVBの表面上の低い領域にインキ溜まりを形成することが可能であり、高い部分に均一に接着しない。従って、低粘度のインキが好ましい一方で、粘度は、画像品質が積層体において劣るか、または印刷プロセス中に霧が発生するほどに低くないのがよい。好ましくは、インキは約1cpsより高い粘度を有する。DOD印刷法に関して、インキは、25℃で測定して好ましくは約1.5cpsより高い粘度、より好ましくは約1.7cpsより高い粘度、最も好ましくは約1.8cpsより高い粘度を有する。インキの粘度はDuPont Standard Test Methodsに準拠して決定される。
【0020】
本発明の実施において用いるために好ましいインキは、画像品質、光堅牢度および耐候性の満足な組み合わせを有する印刷された画像を提供するインキである。更に、本発明の画像担持中間層を導入している積層体は、本明細書で記載された接着特性を有するべきである。本発明の実施により印刷するために用いられる高分子中間層基材の性質および安全ガラスにおける接着力に関する要件のゆえに、適するインキの選択は問題がない訳ではない。本発明の実施において用いるために適するインキは、満足な結果を与えるために基材と適合性であるべきである。
【0021】
伝統的に、顔料は、高分子分散剤または界面活性剤などの分散剤によってビヒクル中で分散液に安定化される。より最近、本発明の実施において用いるために適するいわゆる「自己分散性」顔料または「自己分散」顔料(以後「SDP」)が開発されてきた。SDPは伝統的な分散剤を使用せずに水性ビヒクル中で分散可能である。本発明の顔料粒子は幾つかの方法により安定化してもよい。顔料粒子は、例えば国際公開第01/94476号パンフレット(完全に記載されたかのようにすべての目的のために本明細書に引用して援用する)に記載された表面処理によって自己分散性にすることが可能であるか、または顔料粒子は伝統的な方法で分散剤による処理によって安定化することが可能であるか、あるいは顔料は表面処理と伝統的な処理のある組み合わせによって分散させることが可能である。
【0022】
好ましくは、伝統的な分散剤を用いる時、分散剤はランダム高分子分散剤または構造化高分子分散剤であることが可能である。好ましいランダムポリマーには、アクリルポリマーおよびスチレンアクリルポリマーが挙げられる。しかし、AB、BABおよびABCブロックコポリマー、分岐ポリマーおよびグラフトポリマーを含む構造化分散剤が最も好ましい。幾つかの有用な構造化ポリマーは、米国特許第5,085,698号明細書、EP第A−0556649号および米国特許第5,231,131号明細書で開示されている。これらの特許は完全に記載されたかのようにすべての目的のために本明細書に引用して援用する。例えば、Dispersbyk(登録商標)2000およびDispersbyk(登録商標)2001などの市販されている分散剤を用いることが可能である。
【0023】
本発明の実施における重要なパラメータは、画像を上に印刷されるべき粗い中間層表面の頻度である。粗面の頻度は側面計のデータから得られるデータを用いて計算することが可能である。本発明の実施において、適する頻度は約0.60サイクル/mmより高い。頻度が約0.60サイクル/mm〜約3サイクル/mmの範囲内であることが好ましい。より好ましくは、頻度は約0.75〜約2.9サイクル/mmの範囲内、最も好ましくは約0.85〜約2.5サイクル/mmの範囲内である。上限より高いと、画像品質の大幅な改善を認めることができない。下限より低いと、画像品質は劣る場合がある。
【0024】
もう1つの実施形態において、本発明は、本発明の画像担持熱可塑性中間層を含む積層体である。中間層は、例えば、ガラスまたはポリカーボネートなどの種々の透明基材と合わせて積層することが可能である。好ましくは、画像担持中間層シートは、少なくとも2枚のガラスシートの間に積層される。中間層の他の層は、例えば、ガラス/「従来のPVB」/「印刷されたPVB」/ガラス積層体(ここで、印刷されたPVB表面は従来のPVB中間層表面に接触している)のように画像担持中間層とガラスの間に配置することが可能である。画像担持中間層はガラスに直接積層することも可能である。従来の積層技術は本発明の積層体を得る際に有用で効果的である。
【0025】
いずれの場合においても、本発明の積層体は、従来の積層体または非装飾性積層体に匹敵する接着強度を有する。圧縮剪断試験によって測定された本発明の積層体の接着力は、少なくとも100psiである。好ましくは、圧縮剪断強度は約1400〜約2600psiである。より好ましくは、本発明の積層体の接着力は、約1450psi〜約2575psiの範囲内、なおより好ましくは約1740psi〜約2540psiの範囲内である。最も好ましくは、積層体は約1800psi〜約2520psiの接着強度を有する。本発明の積層体は、従来(すなわち、非装飾性)の積層ガラスを用いるあらゆる用途で用いることが可能である。しかし、安全ガラスとしての従来の用途に加えて、本発明の積層体は、ピクチャウィンドウ、装飾性カウンタートップ、グラフィックアート、画像担持ストアフロントウィンドウ、会社のロゴを担持するディスプレイ、広告媒体および/または画像を担持する透明積層体が必要でありうる他のあらゆる用途などの装飾性物品として用いることが可能である。本発明の実施において、画像は、例えば、図面、写真、テキスト、グラフィクデザイン、色のパターン、シンボルおよび/または類似の例などの、基材上にディジタル化し、インクジェット印刷することができる目視認識できるあらゆるパターンとして定義することが可能である。
【0026】
本発明の積層体は、例えば、ガラスまたはポリカーボネートなどの安全ガラスまたは安全窓を製造するために有用な画像担持中間層および既知材料から得ることが可能である。中間層の他の成分への積層は従来の積層技術を用いて実行することが可能である。例えば、画像担持中間層は、気泡が除去できるか、または気泡が積層物品中に閉じ込められることを防ぐことができる条件下で高温および高圧で2枚のガラスシート間に中間層をプレスすることによりガラスに積層することが可能である。
【0027】
もう1つの実施形態において、本発明は本明細書に記載された方法により上に印刷された画像担持中間層シートである。本発明の印刷された中間層シートはPET、PURおよび/またはPVBなどの適する他の中間層材料と合わせて積層して、積重ね中間層を得ることが可能であり、それは次に、例えばガラスまたはポリカーボネートなどの本発明の適する基材と合わせて積層することが可能である。
【0028】
本発明のもう1つの実施形態において、第2の中間層シートは一次画像担持層と積層基材との間に置かれ、ここで、第2の層は印刷された画像を担持することが可能であるか、または例えばレッド、グリーン、ブルーまたはホワイトなどの半透明のあらゆる一体色であることが可能である。
【0029】
本発明の白色顔料インキは、従来のインクジェット印刷装置を用いてインクジェット印刷されるべく十分に小さい粒子サイズに粉砕できる認識可能なあらゆる白色顔料であることが可能である。例えば、二酸化チタンは、それを十分に粉砕し、その後、インクジェット印刷のために安定な白色顔料インキを提供するビヒクルに分散させるならば、用いることが可能である。本発明の好ましい実施形態において、乾燥二酸化チタン粉末は、インキ系に水を添加せずにインキビヒクルに直接分散させることが可能である。
【0030】
好ましくは、適する量の白色顔料をビヒクルに分散させて、インクジェット印刷プロセス中に基材表面上に十分な顔料を提供する。顔料レベルが低すぎる場合、付着の深さは基材表面を覆うのに十分ではなく、基材は基材表面上の顔料を通して透けて見える。顔料濃度が高すぎる場合、インキの粘度は高すぎてインクジェット印刷法において用いることができない場合がある。好ましくは、顔料は約1pph(pphは100部当たりの部を表す)〜40pphの量で分散される。より好ましくは、顔料は、約5pph〜約35pph、なおより好ましくは約10pph〜約30pphの量で分散される。
【0031】
本発明のインキを用いてインクジェット印刷された画像は、従来のインクジェット印刷装置、最も特にプリントヘッドを用いて得ることが可能である。本発明の実施において用いるために適するプリントヘッドには、例えば、圧電印刷、熱インクジェット印刷および連続滴印刷のために設計されたプリントヘッドが挙げられる。圧電印刷プロセスのために有用な印刷ヘッドは、例えば、Epson、Seiko−Epson、XAARおよびXAAR−Hitachiから入手することができ、本発明の実施において用いるために適することが可能である。熱インクジェット印刷のために有用な印刷ヘッドは、例えば、Hewlitt−PackardおよびCanonから入手することができ、本発明の実施において用いるために適し得る。連続滴印刷のために適する印刷ヘッドは、例えば、IrisおよびVideo Jetから入手することができ、本発明の実施において用いるために適し得る。
【実施例】
【0032】
本発明を例示するために以下の実施例を提示する。実施例は、いかにしても本発明の範囲を限定することを意図していない。
【0033】
試験方法
粘度はBrookfield DV−II+粘度計で測定した。小さいサンプルアダプター(サンプルを入れるジャケット付き容器)および00スピンドルを用いてサンプルを処理した。水浴を用いて、25℃で小さいサンプルアダプターのジャケットを通して水を再循環させた。各サンプルを60rpmで処理し、少なくとも5分保持して、サンプルが25℃で平衡になるとともに、サンプル中に存在する場合がある一切の気泡を逃がすのに十分な時間にわたってスピンドルの回転を与えることを可能にした。分析のために用いたサンプルサイズは約18mLであった。
【0034】
表面粗さ、Rzは、ISO−R468に記載されたように10点平均粗さから決定され、マイクロメートルで表現される。表面粗さは、Mahr Federal(Providence,RI)表面分析計を用いて測定される。表面模様頻度は、側面計データの距離に対する自己相関関数のグラフを作成することにより表面分析計データから計算する。自己相関データは高速フーリエ変換によって分析される。表面模様の報告された頻度はメジアン頻度である。
【0035】
圧縮剪断接着力試験
積層体の接着力(圧縮剪断強度の表現で与えられる)は圧縮剪断試験によって決定される。圧縮剪断強度は、積層体を2.54cm×2.54cmの6つのチップに鋸で切ることにより決定される。チップを治具内に45度で保持し、圧縮試験計器を用いて0.25cm/分の速度でチップ上に力を加える。ガラス−PVB結合の凝集破壊を引き起こすための力の量が積層体の圧縮剪断強度である。
【0036】
一般的なインキ調製方法
インキの100グラムのサンプルを次の通り調製する。
250mlボトルに溶媒および分散剤を投入し、分散剤が溶媒に完全に溶解するまで成分を混合する。白色顔料を容器にゆっくり添加し、よく混合した。混合物にジルコニウム媒体(0.8〜1.0ミル)を添加する。その後、容器をロールミル上に置き、ミルの速度を200rpmに調節する。インキを特定の時間にわたり粉砕する。1マイクロメートルの濾紙を用いる濾過によってインキを媒体から分離する。その後、インキの物理的特性を分析する。溶媒(インキビヒクル)を次の通り以下で略称する。ジプロピレングリコールメチルエーテル(DPM)、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート(DPMA)、トリプロピレングリコールプロピルエーテル(TPnP)、ジプロピレングリコールプロピルエーテル(DPnP)、トリプロピレングリコールメチルエーテル(TMP)。
【0037】
実施例1〜5
示した量で表1の成分を用いて一般手順によりインキを調製した。各実施例の混合物を12時間にわたり粉砕した。実施例1および3〜5は良好な濾過性を示した。実施例2は劣った濾過性を有していた。インキは、中程度から良好な安定性を有していた。各々の噴出性を試験した時優れていた。すなわち、印刷ヘッドからインクジェットする優れた能力。
【0038】
実施例6〜13
示した量で表1の成分を用いて一般手順によりインキを調製した。各実施例の混合物を24時間にわたり粉砕した。実施例6および8〜13は良好な濾過性を示した。実施例7は劣った濾過性を有していた。インキは、中程度から良好な安定性を有していた。各々はすぐれた噴出性を有していた。
【0039】
表1

R700は、アルミニウム処理され、0.3%のトリメチロールプロパン(TMP)を有するTiO2であり市販されている。
TS−6200は、アルミニウム処理ならびにシリカ湿式処理され、クエン酸およびTMPを有するTiO2であり市販されている。
D2000はDispersbyk2000である。
D2001はDispersbyk2001である。










【0040】
表2

P−25・TiO2は、Degussaから入手できるナノTiO2である。
*粘度は高すぎて(>10cps)用いた試験条件下で決定できなかった。
実施例14は、0%DPMAおよび100%DPM(溶媒比)である。
実施例21は、100%DPMAおよび0%DPMである。
【0041】
JV3プリンタを用いて実施例16のインキをPVB上で印刷した。白色インキを単色で、そして2つの異なるモードで他の色と組み合わせて印刷した。
モード1:白色インキを最初に印刷し、次に色(CMYK)をその上に印刷した(オーバープリントした)。
モード2:白色インキを他の色(CMYK)と同時に印刷した。
接着力(psi)を測定した。結果を表3にまとめている。
【0042】
表3








【0043】
表4
異なるTiO2粒子サイズの粘度比較

【0044】
表4の異なるTiO2粒子に対する元の粘度データに類似性があるにもかかわらず、R700は、より小さい粒子サイズのゆえに好ましい。
【0045】
インキを一般手順により調製し、粘度およびTiO2の粒子サイズを測定した。インキを70℃で14日にわたりオーブンに入れた後、物理的特性を二回目について測定した。結果を表5に示している。DPMAがインキの溶媒含有率の50%未満であるので、インキの安定性は良好である。
【0046】
表5
白色インキの安定性

【0047】
実施例30および31ならびに比較例C1
実施例11のインキを100%付着率でおよび50%付着率でもPVBのシート上に印刷し、シートをガラスに積層した。比較例は白色インキによる付着率0%であった。接着力を測定した。それを表6に示している。
【0048】
実施例32および33および比較例C2
実施例12のインキを100%付着率でおよび50%付着率でもPVBのシート上に印刷し、シートをガラスに積層した。比較例は白色インキによる付着率0%であった。接着力を測定した。それを表6に示している。
【0049】
実施例34および35および比較例C3
実施例13のインキを100%付着率でおよび50%付着率でもPVBのシート上に印刷し、シートをガラスに積層した。比較例は白色インキによる付着率0%であった。接着力を測定した。それを表6に示している。
【0050】
表6


【特許請求の範囲】
【請求項1】
白色顔料インキを熱可塑性ポリマー基材材料上にインクジェット印刷する方法であって、前記白色顔料インキが前記白色顔料のための少なくとも1種の有機液体および少なくとも1種の分散剤を含むビヒクル中に白色顔料粒子を含む非水性分散液である方法。
【請求項2】
前記白色顔料は二酸化チタン(TiO2)である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記分散液は約500nm未満のサイズを有するTiO2粒子を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記分散液は約100nm〜約400nmの範囲内のTiO2粒子を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記分散液は約200nm〜約300nmの範囲内のTiO2粒子を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記ビヒクルは全ビヒクル濃度の約50%以下の濃度でジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(DPMA)を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記DPMAは前記ビヒクルの約5〜約50%を構成する、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記DPMAは前記ビヒクルの約15〜約45%を構成する、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
熱可塑性ポリマー基材材料上にインクジェット印刷するために適する非水性白色顔料インキ分散液であって、前記白色顔料インキが前記白色顔料のための少なくとも1種の有機液体および少なくとも1種の分散剤を含むビヒクル中に約1pph(pphは100部当たりの部を表す)〜約40pphの白色顔料粒子を含む非水性分散液である非水性白色顔料インキ分散液。
【請求項10】
約5pph(pphは100部当たりの部を表す)〜約35pphの前記白色顔料粒子を含む、請求項9に記載の分散液。
【請求項11】
約10pph(pphは100部当たりの部を表す)〜約30pphの前記白色顔料粒子を含む、請求項10に記載の分散液。
【請求項12】
前記ビヒクルは全ビヒクル濃度の約50%までの量でDPMAを含む、請求項11に記載の分散液。
【請求項13】
前記ビヒクルは約5%〜約50%のDPMAを含む、請求項12に記載の分散液。
【請求項14】
前記ビヒクルは約15%〜約45%のDPMAを含む、請求項13に記載の分散液。
【請求項15】
前記白色顔料粒子は約500nm未満の範囲内のサイズを有するTiO2粒子を含む、請求項14に記載の分散液。
【請求項16】
前記分散液は約100nm〜約400nmの範囲内のTiO2粒子を含む、請求項15に記載の分散液。
【請求項17】
前記分散液は約200nm〜約300nmの範囲内のTiO2粒子を含む、請求項15に記載の分散液。
【請求項18】
画像担持熱可塑性中間層基材を含む積層物品であって、前記画像がインクジェット印刷法を用いて前記基材の少なくとも1つの表面上に白色インキ分散液を印刷することにより被着させた白色顔料粒子を含む積層物品。
【請求項19】
前記白色顔料粒子は約500nm未満の範囲内のサイズを有するTiO2粒子を含む、請求項18に記載の積層体。
【請求項20】
前記白色顔料粒子は約100nm〜約400nmの範囲内のサイズを有する、請求項19に記載の積層体。
【請求項21】
前記白色顔料粒子は約200nm〜約300nmの範囲内のサイズを有する、請求項20に記載の積層体。
【請求項22】
前記熱可塑性中間層基材は、ポリウレタン(PUR)、ポリエステル、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリオレフィンおよびポリビニルブチラール(PVB)からなる群から選択されたポリマーから得られる、請求項21に記載の積層体。
【請求項23】
前記熱可塑性中間層はPURポリマーまたはPVBポリマーである、請求項22に記載の積層体。
【請求項24】
熱可塑性中間層の少なくとも1つの表面上に非水性白色顔料入りインキをインクジェット印刷する工程と、適する積層基材のシート間に画像担持中間層を積層する工程とを含む、少なくとも約1000psiの積層体接着強度を有する画像担持積層体を得るための方法であって、前記白色顔料インキが前記白色顔料のための少なくとも1種の有機液体および少なくとも1種の分散剤を含むビヒクル中に白色顔料粒子を含む非水性分散液である方法。

【公表番号】特表2007−526389(P2007−526389A)
【公表日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−501912(P2007−501912)
【出願日】平成17年3月2日(2005.3.2)
【国際出願番号】PCT/US2005/006653
【国際公開番号】WO2005/085371
【国際公開日】平成17年9月15日(2005.9.15)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】