補強ブレース
【課題】空力性能の低下を招くことなく、フロアパネルの剛性を有利に高め得る、製作性とコスト性に優れた補強ブレースを提供する。
【解決手段】 長手方向中間部に筒状部12が設けられると共に、長手方向の両側端部に平板部44,44が設けられた長手のプレス成形品にて構成した。また、該筒状部12の外面を、車両の下部を通過する気流を整えて、空気抵抗を低減させる整流面26,32,36と為す一方、該平板部44,44に対して、締結部材が挿通する挿通孔46を複数形成して、構成した。
【解決手段】 長手方向中間部に筒状部12が設けられると共に、長手方向の両側端部に平板部44,44が設けられた長手のプレス成形品にて構成した。また、該筒状部12の外面を、車両の下部を通過する気流を整えて、空気抵抗を低減させる整流面26,32,36と為す一方、該平板部44,44に対して、締結部材が挿通する挿通孔46を複数形成して、構成した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、補強ブレースに係り、特に、車両のフロアパネルの下面に対して車幅方向に延びるように取り付けられて、フロアパネルを補強する補強ブレースの改良に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、自動車等の車両に対して、衝突事故の発生時における乗員保護性能に関する安全基準が、種々設定されている。このような自動車等に対する安全基準は、年々、厳しくなる傾向にあり、近年において、側面衝突時の乗員保護性能に関する安全基準(以下、側突安全基準と言う)が、新たに導入されている。この側突安全基準は、車体パネルのうち、ドアパネル等の車両の側面パネルだけでなく、車両の床面を形成するフロアパネルに対しても、適合が義務付けられている。そこで、最近では、そのようなフロアパネルに要求される側突安全基準に対する対応策の一つとして、フロアパネルに対して、その剛性を高める長手の補強ブレースが、車幅方向に延出して配置された状態で、取り付けられるようになってきている。
【0003】
このフロアパネル用補強ブレースとしては、例えば、鋼製のパイプ材からなるもの(例えば、下記特許文献1参照)や、超ハイテン材からなる長手の平板を熱間プレスにより断面コ字状に成形加工したプレス成形品にて構成されたもの等が、知られている。ところが、それらパイプ材や断面コ字状のプレス成形品からなる従来の補強ブレースには、それぞれ、以下のような問題点が内在していた。
【0004】
すなわち、パイプ材からなる補強ブレースでは、長手方向(軸方向)の両端側に設けられた取付部に対して、補強ブレースをフロアパネルに取り付けるためのボルト等の締結部材の挿通孔が、それぞれ、複数個ずつ形成されている。ところが、かかる補強ブレースにおいては、長手方向の両端側部分が扁平状に押し潰されて、取付部が形成されているため、取付部の幅が、パイプ材の外径により制限されて、不可避的に狭い幅となってしまう。それ故、そのような狭幅の取付部に対する複数の挿通孔の形成位置や配置間隔を自由に設定することが難しく、そのため、取付部の挿通孔に挿通された締結部材のフロアパネルに対する取付位置を自由に設定することも困難であった。一方、補強ブレースが取り付けられるべきフロアパネルは、一般に、多くの凹凸部分を有し、また、各種の部材や部品が取り付けられている。従って、フロアパネル用補強ブレースとして、パイプ材からなる補強ブレースを用いる場合には、取付部の挿通孔に挿通された締結部材のフロアパネルに対する取付位置を、フロアパネルの平坦部分で、且つフロアパネルに取り付けられる他の部材や部品と干渉しないような位置に設定した上で、かかる締結部材にて、補強ブレースをフロアパネルに対して安定的に取り付けることが、容易ではなかったのである。
【0005】
なお、そのようなパイプ材からなる補強ブレースにあっても、パイプ材の長手方向両端部に、広幅の平板状ブラケットを溶接等により接合し、このブラケットにて取付部を形成すれば、取付部に対する複数の挿通孔の形成位置や配置間隔を自由に設定出来る。しかしながら、そうすると、補強ブレースの製造に際して、ブラケットの溶接のための設備や工程が増加し、また、パイプ部材とは別体のブラケットを用いる分だけ、補強ブレースの部品点数も不可避的に増加する。その結果、補強ブレースの製作性の低下や製造コストの高騰等が不可避的に惹起されることとなる。
【0006】
一方、断面コ字状のプレス成形品からなる補強ブレースは、長手の平板部分の幅方向両側に側壁部がそれぞれ立設されてなる形態を有している。それ故、この補強ブレースでは、その形成材料たる被加工鋼板の幅や、被加工鋼板に対するプレス加工により形成される側壁部の高さ等に応じて、長手方向の両端部分からなる平板状の取付部の幅を自由に設定出来、それによって、取付部に対する複数の挿通孔の形成位置や配置間隔も自由に設定可能となっている。しかしながら、かかるプレス成形品からなる補強ブレースでは、平板部分の幅が大きくなればなる程、ねじれ剛性が低下し、パイプ材からなる補強ブレースと同等のねじれ剛性を確保することが困難となる。しかも、このような補強ブレースをフロアパネルの下面に対して車幅方向に延びるように取り付けたときには、平板部分の幅方向両側に立設された側壁部がフロアパネルから鉛直下方に突出して配置されるようになる。そうすると、車両走行時における車体下部での空気抵抗が増大して、空力性能が低下するといった問題が生ずる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−279951号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ここにおいて、本発明は、上述の如き事情を背景にして為されたものであって、その解決課題とするところは、車両下部での空力性能の低下を招くことなく、フロアパネルの下面に対して安定的に取り付けられて、フロアパネルの剛性を有利に高めることが出来る、製作性とコスト性に優れた補強ブレースを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記した課題、又は本明細書全体の記載や図面から把握される課題を解決するために、以下に列挙する各種の態様において、好適に実施され得るものである。また、以下に記載の各態様は、任意の組み合わせにおいても、採用可能である。そして、本発明の態様乃至は技術的特徴は、以下に記載のものに何等限定されることなく、明細書全体の記載並びに図面に開示の発明思想に基づいて、認識され得るものであることが、理解されるべきである。
【0010】
(1)車両のフロアパネルの下面に対して車幅方向に延びるように取り付けられて、フロアパネルを補強する補強ブレースであって、鋼板の幅方向両端部が厚さ方向一方側にそれぞれプレス曲げ加工されてなる長手のプレス成形品にて構成されて、長手方向の中間部に筒状部が設けられていると共に、長手方向の両側端部に、プレス曲げ加工されていない平板部が設けられており、更に、前記フロアパネルへの取付状態下における該筒状部の車両前後方向の最大幅が、その上下方向の最大幅よりも大きく、且つ該筒状部の上下方向幅が、車両前後方向の中間部から車両前後方向の両側端部に向かって滑らかに漸減する軸直角方向断面形状を、該筒状部が有していることにより、該筒状部の外面が、車両の走行時に前記フロアパネルの下部を通過する気流を整えて、空気抵抗を低減させる整流面とされている一方、該平板部に対して、該平板部を該フロアパネルに取り付けるための締結部材の挿通孔が、複数形成されていることを特徴とする補強ブレース。
【0011】
(2)前記プレス曲げ加工された鋼板の幅方向両端部が、前記筒状部の軸方向中央部位と軸方向両端側部位のみにおいて互いに突き合わされて、相互に溶接されている一方、該筒状部の軸方向中央部位と軸方向両端側部位以外の部分では、該プレス曲げ加工された鋼板の幅方向両端部の間に隙間が形成されて、該プレス曲げ加工された鋼板の幅方向両端部が互いに非接触とされている上記態様(1)に記載の補強ブレース。
【0012】
(3)前記プレス曲げ加工された鋼板の幅方向両端部に、該鋼板の幅方向両端縁部をそれぞれ厚さ方向一方側に折曲してなる平板状の折曲リブがそれぞれ設けられて、かかる一対の折曲リブが、前記筒状部の内側に突出し且つ軸方向に連続して延びるように配置されていると共に、該筒状部の内側において、該一対の折曲リブの間に隙間が形成されて、該一対の折曲リブが互いに非接触とされている上記態様(1)又は(2)に記載の補強ブレース。
【0013】
(4)前記筒状部の軸直角方向に対応する前記平板部の幅方向両側に、前記鋼板の幅方向両端縁部をそれぞれ厚さ方向一方側に曲げ加工してなる、外面が湾曲面とされた補強リブが、それぞれ設けられている上記態様(1)乃至(3)のうちの何れか一つに記載の補強ブレース。
【0014】
(5)前記筒状部の軸直角方向の最小幅が、該筒状部の軸直角方向における前記平板部の最大幅よりも小さくされている上記態様(1)乃至(4)のうちの何れか一つに記載の補強ブレース。
【0015】
(6)長手方向に対して直角な方向の幅が、長手方向の中央部位から長手方向の両端部位に向かって滑らかに漸増する平面形状を有している上記態様(1)乃至(5)のうちの何れか一つに記載の補強ブレース。
【0016】
(7)前記複数の挿通孔が、前記平板部に対して、前記筒状部の軸方向と実質的に直角な方向に並んで位置するように形成されている上記態様(1)乃至(6)のうちの何れか一つに記載の補強ブレース。なお、ここで言う筒状部の軸方向と実質的に直角な方向とは、筒状部の軸方向との交角が直角な方向に加えて、筒状部の軸方向との交角が、直角よりも多少小さいか或いは多少大きな角度となる方向とを含んだものを言う。
【0017】
(8)少なくとも前記筒状部が、前記フロアパネルへの取付状態下で、軸方向において該フロアパネル側に向かって凸となるように湾曲する形態を有している上記態様(1)乃至(7)のうちの何れか一つに記載の補強ブレース。
【発明の効果】
【0018】
すなわち、本発明に従う補強ブレースにあっては、鋼板をプレス曲げ加工してなる長手のプレス成形品にて構成されているため、良好な製作性が効果的に確保され得る。しかも、そのようなプレス成形品の長手方向の中間部に筒状部が設けられているところから、鋼製のパイプ部材からなる補強ブレースと略同等の曲げ剛性とねじれ剛性とが、共に有利に発揮され得る。
【0019】
また、本発明に係る補強ブレースにおいては、長手方向の両側端部に、プレス曲げ加工されていない平板部が設けられ、そして、この平板部に対して、複数の挿通孔が形成されている。即ち、平板部を含む長手方向両側端部が、フロアパネルへの取付部として、それぞれ構成されている。このため、かかる補強ブレースでは、断面コ字状のプレス成形品からなる補強ブレースと同様に、例えば、補強ブレースの形成材料たる鋼板の幅等に応じて、フロアパネルへの取付部の幅を自由に且つ容易に設定可能となっている。それ故、本発明に係る補強ブレースにあっては、長手方向中間部が筒状部とされているにも拘わらず、ブラケット等の別部材を長手方向両端部に接合することもなしに、締結部材を挿通する複数の挿通孔を、その形成位置や配置間隔において十分な自由度をもって、長手方向の両側端部に形成することが出来る。これによって、各挿通孔に挿通される締結部材が、フロアパネルの平坦部分に対して、他の部材や部品と干渉しないように容易に締結され得るのであり、以て、補強ブレースの全体が、フロアパネルの下面の所定の位置に、安定的に且つ確実に取り付けられ得るのである。
【0020】
さらに、本発明に係る補強ブレースにおいては、筒状部の外面が、車両の走行時にフロアパネルの下側を通過する気流を整えて、空気抵抗を低減させる整流面とされている。それ故、車両のフロアパネルの下面に対して、車幅方向に延びるように取り付けられた状態下で、車両の下部を通過する空気の流れを整流面にて整えて、空気抵抗の低減を図ることが出来る。このため、フロアパネルへの取付に起因して、車両の空力性能が低下するようなことが効果的に回避され得る。
【0021】
従って、かくの如き本発明に従う補強ブレースにあっては、フロアパネルへの取付による車両下部での空力性能や製作性の低下を何等招くことなく、しかも可及的に低いコストで、フロアパネルの剛性を安定的に且つ確実に高めることが出来るのである。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明に従う補強ブレースの一実施形態を示す斜視説明図である。
【図2】図1におけるII矢視説明図である。
【図3】図1に示された補強ブレースを自動車のフロアパネルの下面に取り付けた状態を示す説明図である。
【図4】図1のIV−IV断面における端面拡大説明図である。
【図5】図1のV−V断面における端面拡大説明図である。
【図6】図1のVI−VI断面における端面拡大説明図である。
【図7】図1のVII−VII断面における端面拡大説明図である。
【図8】本発明に従う補強ブレースの別の実施形態を示す図2に対応する図である。
【図9】本発明に従う補強ブレースの更に別の実施形態を示す図4に対応する図である。
【図10】本発明に従う補強ブレースの他の実施形態を示す図4に対応する図である。
【図11】本発明に従う補強ブレースの更に他の実施形態を示す図4に対応する図である。
【図12】本発明に従う補強ブレースの別の実施形態を示す図4に対応する図である。
【図13】本発明に従う補強ブレースの更に別の実施形態を示す図4に対応する図である。
【図14】本発明に従う補強ブレースの他の実施形態を示す図4に対応する図である。
【図15】本発明に従う補強ブレースの更に他の実施形態を示す図4に対応する図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明することとする。
【0024】
先ず、図1及び図2には、本発明に従う補強ブレースの一実施形態として、自動車のフロアパネルに取り付けられるフロアパネル用補強ブレースが、その斜視形態と側面形態とにおいて、それぞれ示されている。それらの図から明らかなように、本実施形態の補強ブレース10は、1枚の長手の被加工鋼板を、プレス曲げ加工してなる長手のプレス成形品にて構成されており、長手方向の中間部に、筒状部12が設けられている一方、長手方向両側の端部には、取付部14,14がそれぞれ設けられている。そして、図3に示されるように、この補強ブレース10が、自動車のフロアパネル16の下面に対して、自動車の幅方向に延びるように配置されて、取り付けられている。なお、ここでは、補強ブレース10の筒状部12が、フロアパネル16の下面の幅方向中間部に下方に向かって開口して設けられた凹部18を横切って延びるように配置されている。また、そのような配置状態下で、補強ブレース10の二つの取付部14,14が、フロアパネル16の下面における凹部18の幅方向両サイド部位に対して、それぞれボルト固定されている。
【0025】
より具体的には、補強ブレース12の形成材料たる被加工鋼板(図示せず)の長手方向中間部における幅方向(長手方向に対して直角な方向)の両端部が、互いに突き合わされるように、或いはそれに近い状態となるように、厚さ方向一方側にプレス曲げ加工(例えば、UO曲げ加工)されることにより、筒状部12が、形成されている。
【0026】
この筒状部12は、図1乃至図3に示されるように、軸方向(長手方向)の中央部から、その両側端部に向かって、幅(軸方向に対して直角な方向の寸法)が滑らかに漸増する平面形状を有している。また、筒状部12の軸方向と幅方向の両方向に対して直角な方向(図2の上下方向)での厚さ寸法が、筒状部12の全長に亘って略同一の大きさとされている。そうして、筒状部12の長手方向中央部分が、最も小さな太さを有する中央筒状部20とされている一方、長手方向両端側部分が、中央筒状部20よりも大きな太さを有する端部側筒状部22,22とされ、更に、長手方向において、中央筒状部20と各端部側筒状部22,22の間に位置する部分が、中央筒状部20よりも太く且つ各端部側筒状部22,22よりも細い中間筒状部24,24とされている。
【0027】
図4に示されるように、中央筒状部20は、図4の左右方向(補強ブレース10がフロアパネル16に設置されたときの車両前後方向に相当する方向)の最大幅:W1 が、図4の上下方向(補強ブレース10がフロアパネル16に設置されたときの上下方向に相当する方向)の最大幅:W2 よりも所定寸法大きな楕円状の軸直角方向断面形状を有している。つまり、中央筒状部20の軸直角方向断面形状が、図4の左右方向を長軸方向とした横長楕円形状とされている。これにより、自動車のフロアパネル16の下面への補強ブレース10の設置状態下において、中央筒状部20の上下方向の幅が、車両前後方向の中間部から前方と後方の両側に向かって徐々に且つ滑らかに減少せしめられている。
【0028】
かくして、中央筒状部20の外周面の全体が、図4の左右方向に流れる空気に対しての抵抗を小さく為す形状を呈する中央整流面26とされている。また、それにより、補強ブレース10がフロアパネル16の下面に設置された自動車の走行時に、フロアパネル16の幅方向中央部分の下側を通過する気流が、中央整流面26にて整えられて、空気抵抗が低減されるようになっている。なお、以下からは、自動車のフロアパネル16の下面への補強ブレース10の設置状態(図2参照)を考慮して、図4及び後述する図5乃至図7における上下方向を、単に、上下方向と言い、それら図4乃至図7における左右方向を前後方向と言う。
【0029】
また、中央筒状部20は、その周上の一箇所が、突合せ部28とされている。この突合せ部28は、前記被加工鋼板の幅方向両端側部分が、プレス曲げ加工により互いに突き合わされることによって形成されている。そして、そのような突合せ部28を形成する被加工鋼板の幅方向両端側部分が、互いに溶接されている。これにより、溶接部30が、突合せ部28に対して、軸方向に所定長さで延びるように形成されている。
【0030】
一方、図5に示されるように、各中間筒状部24は、前後方向の最大幅:W3 が、上下方向の最大幅W4 よりも所定寸法大きな略長円状の軸直角方向断面形状を有している。即ち、中間筒状部24においては、前後方向両端側部分の軸直角方向断面形状が、中央筒状部20の横長楕円状の軸直角方向断面形状に対応した横長半楕円形状とされている一方、前後方向中間部分の軸直角方向断面形状が、水平方向に延びる二つの平板を上下方向において互いに対向配置してなる形状とされている。これにより、各中間筒状部24の上下方向の幅が、前後方向の中間部では略一定の大きさとされているものの、前後方向の両端部側において、その中間部から前後方向両端側に向かって徐々に且つ滑らかに減少せしめられている。
【0031】
かくして、二つの中間筒状部24,24の外周面の全体が、それぞれ、図5の左右方向に流れる空気に対しての抵抗を小さく為す形状を呈する中間整流面32,32とされている。そして、それによって、補強ブレース10がフロアパネル16の下面に設置された自動車の走行時に、フロアパネル16の幅方向中央部と両側端部との間の二つの中間部分の下側を通過する気流が、二つの中間整流面32,32にて整えられて、空気抵抗が低減されるようになっている。
【0032】
また、各中間筒状部24は、前記被加工鋼板の幅方向両端側部分が互いに非接触となるようにプレス曲げ加工されて、形成されている。即ち、各中間筒状部24においては、その周上の一箇所に、狭幅の隙間34が、軸方向に延びるように設けられているのである。
【0033】
図6に示されるように、各端部側筒状部22は、前後方向の最大幅:W5 が、上下方向の最大幅W6 よりも大きく、しかも、中間筒状部24の前後方向の最大幅:W3 よりも所定寸法だけ大きな略長円状の軸直角方向断面形状を有している。このような端部側筒状部22にあっても、中間筒状部24と同様に、前後方向両端側部分の軸直角方向断面形状が、中央筒状部20の横長楕円状の軸直角方向断面形状に対応した横長半楕円形状とされている一方、前後方向中間部分の軸直角方向断面形状が、水平方向に延びる二つの平板を上下方向において互いに対向配置してなる形状とされている。これにより、各端部側筒状部22の上下方向の幅が、前後方向の中間部では略一定の大きさとされているものの、前後方向の両端部側において、その中間部から前後方向両端側に向かって徐々に且つ滑らかに減少せしめられている。なお、各端部側筒状部22においては、前後方向中間部分の前後方向幅が、中間筒状部24の前後方向中間部分の前後方向幅よりも大きくされており、以て、端部側筒状部22全体の前後方向幅が、中間筒状部24全体の前後方向幅よりも大なる大きさとされている。
【0034】
かくして、二つの端部側筒状部22,22の外周面の全体が、それぞれ、図6の左右方向に流れる空気に対しての抵抗を小さく為す形状を呈する端部側整流面36,36とされている。そして、それにより、補強ブレース10がフロアパネル16の下面に設置された自動車の走行時に、フロアパネル16の幅方向両側部分の下側を通過する気流が、二つの端部側整流面36,36にて整えられて、空気抵抗が低減されるようになっている。
【0035】
また、各端部側筒状部22は、中央筒状部20と同様に、周上の一箇所が、突合せ部38とされている。この突合せ部38は、被加工鋼板の幅方向両端側部分が、プレス曲げ加工により互いに突き合わされることによって形成されている。そして、そのような突合せ部38を形成する被加工鋼板の幅方向両端側部分が、互いに溶接されている。これにより、溶接部40が、突合せ部38に対して、軸方向に所定長さで延びるように形成されている。
【0036】
そして、図4乃至図6に示されるように、中央筒状部20と中間筒状部24,24と端部側筒状部22,22とからなる筒状部12の内側には、一対の折曲リブ42,42が、前後において互いに対向位置するように一体形成されている。それら各折曲リブ42は、中央筒状部20と各端部側筒状部22のそれぞれの突合せ部28,38や、各中間筒状部24の隙間34を間に挟んで両側に位置する部位から内側に向かって下方に突出し、且つ筒状部12の軸方向に連続して延びる平板状形態を有している。また、そのような一対の折曲リブ42,42のうち、前側に位置するものが、下方に向かって前傾している一方、後側に位置するものが、下方に向かって後傾している。これにより、前後方向に対向する一対の折曲リブ42,42が、互いに非接触とされている。なお、ここでは、一対の折曲リブ42,42が、被加工鋼板の幅方向両端縁を厚さ方向一方側(筒状部12を形成するのに被加工鋼板をプレス曲げ加工する側)にプレス曲げ加工することで形成されている。
【0037】
このように、筒状部12にあっては、軸直角方向断面形状が横長の楕円形状や長円形状とされていることに加えて、内側に突出する一対の折曲リブ42,42が軸方向に延びるように一体形成されていることによって、十分に大きな曲げ剛性が、より有利に発揮されるようになっている。
【0038】
また、筒状部12は、横長の楕円状や長円状の軸直角方向断面形状を有していることにより、ねじれ剛性も、効果的に高められている。しかも、筒状部12がねじれ変形した際に、その変形起点部となる軸方向中央部と軸方向両端側部分にそれぞれ位置する中央筒状部20と各端部側筒状部22の各突合せ部28,38とに対して、溶接部30,40がそれぞれ形成されている。これによって、筒状部12のねじれ剛性が、更に一層効果的に高められている。
【0039】
さらに、筒状部12の外周面が、中央整流面26と中間整流面32,32と端部側整流面36,36とからなっている。それ故、補強ブレース10がフロアパネル16の下面に設置された自動車の走行時に、フロアパネル16の下側を通過する気流が、筒状部12の外周面の全体にて整えられて、空気抵抗が有利に低減されるようになっている。
【0040】
一方、図1及び図7に示されるように、筒状部12を間に挟んで補強ブレース10の長手方向両側にそれぞれ位置する取付部14,14は、何れも、平板部44,44を有している。それら各平板部44は、前記被加工鋼板の長手方向両端部のプレス曲げ加工されていない部分からなっている。また、各平板部44は、補強ブレース10の長手方向両端部側に向かって、前後方向幅が次第に増大する略三角形状の平面形状を呈している。各平板部44の前後方向の最大幅:W7 は、端部側筒状部22の前後方向の最大幅:W5 よりも大きくされている。
【0041】
そして、補強ブレース10の長手方向における各平板部44の両端部位に、それらの部位を貫通する二つの挿通孔46,46が、前後方向(筒状部12の軸方向に直角な方向)に並んで位置するように形成されている。また、それら二つの挿通孔46,46は、各平板部44の前後方向両端側に位置している。それによって、二つの挿通孔46,46の配置間隔が、中央筒状部20の前後方向幅や各中間筒状部24の前後方向幅よりも十分に大きくされている。
【0042】
また、各取付部14の平板部44を間に挟んだ前後方向両側には、補強リブ48が、それぞれ一つずつ一体形成されている。それら各補強リブ48は、取付部14の前後方向(幅方向)両端部を、取付部14の上面が内側面となるように湾曲させた形態を有し、前後方向の断面形状(筒状部12の軸直角方向断面形状に対応する断面形状)が、略円形状又は横長楕円形状とされている。これにより、平板部44を有する取付部14の曲げ剛性やねじれ剛性が、有利に高められている。また、図2から明らかなように、各補強リブ48においては、筒状部12の軸方向と幅方向の両方向に対して直角な方向(図2の上下方向)での厚さ寸法が、補強ブレース10の中央部側(筒状部12側)から、その長手方向両端側に向かって徐々に小さくされている。そして、そのような各補強リブ48の外面が凸状湾曲面とされて、前述した筒状部12の各整流面26,32,36による空気抵抗の低減作用を阻害しないようになっている。
【0043】
また、図1に示されるように、各補強リブ48の前後方向幅は、補強ブレース10の長手方向両端側から中央部側に向かって徐々に且つ滑らかに増大されている。これにより、各補強リブ48と筒状部12とが滑らかに連結され、以て、補強ブレース10に対して曲げ荷重やねじれ荷重が加えられたときに、各取付部14や筒状部12において無用な応力集中等が生じないようになっている。更に、各補強リブ48の湾曲先端部は、平板部44に対して非接触とされている。なお、ここでは、各補強リブ48が、被加工鋼板の長手方向両側端部における幅方向両端縁を厚さ方向一方側(筒状部12を形成するのに被加工鋼板をプレス曲げ加工する側)にプレス曲げ加工することで形成されている。
【0044】
このように、本実施形態の補強ブレース10にあっては、一枚の被加工鋼板をプレス曲げ加工してなるプレス成形品にて構成されている。また、軸方向中間部に、優れた曲げ剛性及びねじれ剛性を備えた筒状部12が設けられると共に、軸方向両側端部に、軸直角方向に並んで位置する二つの挿通孔46,46を備えた平板部44を有する取付部14,14が設けられている。更に、筒状部12の外周面が、気流をスムーズに整流する中央整流面26と中間整流面32,32と端部側整流面36,36とからなっている。
【0045】
それ故、かかる補強ブレース10においては、従来のパイプ材からなる補強ブレースとは異なって、軸方向両側端部にブラケット等を溶接することなく、フロアパネル16に対する取付ボルトの取付位置と取付ピッチとが、フロアパネル16の凹凸形状や、フロアパネル16に設けられる各種の部材等に干渉しないように、自由に設定可能となっている。また、従来の断面コ字状のプレス成形品からなる補強ブレースとは異なって、鋼製のパイプ材に匹敵する曲げ剛性とねじれ剛性とが有利に発揮され得るだけでなく、フロアパネル16の下面に車幅方向に延びるように取り付けられた状態下で、走行時における自動車下部での空気抵抗を効果的に低減させることが出来る。
【0046】
従って、かくの如き本実施形態に係る補強ブレース10にあっては、フロアパネル16の下面に対して安定的に且つ確実に取り付けられ得る。そして、自動車下部での空力性能の低下や、ブラケット等の余分な部材の使用による製作性の低下及び製作コストの高騰等を、何等招くことなく、フロアパネル16の幅方向における剛性を、極めて有利に高めることが出来るのである。
【0047】
また、かかる補強ブレース10では、筒状部12の内側に一対の折曲リブ42,42が軸方向に延びるように設けられている。そして、それに加えて、筒状部12においてねじれ変形の起点となる中央筒状部20と端部側筒状部22,22の各突合せ部28,38に溶接部30,40がそれぞれ設けられている。これによって、筒状部12の曲げ剛性とねじれ剛性とが、より一段と高められている。その結果として、フロアパネル16の剛性の向上が、更に一層効果的に図られ得る。
【0048】
さらに、本実施形態の補強ブレース10は、一枚の被加工鋼板をプレス曲げ加工してなるプレス成形品にて構成され、しかも、各取付部14の補強リブ48,48と筒状部12とが連続したプレス曲げ部分にて形成されている。それ故、例えば、複数の鋼板を接合してなる被加工鋼板のプレス成形品にて構成される場合よりも、更に高い強度乃至は剛性が発揮され得る。これによっても、フロアパネル16の剛性が、より有利に高められ得る。
【0049】
更にまた、かかる補強ブレース10においては、各平板部44の両端部位に、二つの挿通孔46,46が、筒状部12の軸方向に直角な方向に並んで位置するように形成されている。これによっても、フロアパネル16の剛性の向上が期待され得る。
【0050】
また、本実施形態においては、筒状部12の中間筒状部24,24が、被加工鋼板の幅方向両端側部分を互いに非接触となるようにプレス曲げ加工することで形成されて、それら各中間筒状部24の周上の一箇所に、狭幅の隙間34が、軸方向に延びるように設けられている。また、一対の折曲リブ42,42同士が非接触とされていると共に、各取付部14に一体形成された各補強リブ48の湾曲先端部が、平板部44に対して非接触とされている。つまり、本実施形態の補強ブレース10では、溶接部30,40が形成された中央筒状部20と端部側筒状部22,22の各突合せ部28,38以外において、互いに接触する部分が皆無とされている。
【0051】
それ故、かかる補強ブレース10にあっては、その外周面のうち、溶接部30,40の内部に埋入される以外の部分の全体に対して、防錆のための塗膜(例えば、カチオン塗膜)やメッキ膜等が、確実に形成され得る。従って、補強ブレース10が、防錆面において過酷な条件が強いられるフロアパネル16の下面に取り付けられて、使用されるにも拘わらず、優れた防錆効果が、長期に亘って、より有効に維持され得、以て、より優れた耐久性が極めて有利に発揮され得る。
【0052】
加えて、本実施形態では、筒状部12の上下方向幅が略一定の大きさとされた上で、その前後方向幅が、筒状部12の軸方向中央から軸方向両側端部に向かって徐々に大きくされている。しかも、そのような筒状部12の前後方向の最小幅が、各取付部14の平板部44の前後方向の最大幅よりも小さくされている。それ故、補強ブレース10の形成材料たる被加工鋼板として、幅寸法が長さ方向の両端から中央部に向かって徐々に小さくなる形状を有するものの使用が、可能となる。従って、例えば、全長に亘って幅寸法が一定の大きさとされた矩形の被加工鋼板を用いてなる補強ブレースに比して、軽量化が有利に達成され得る。
【0053】
次に、図8には、前記実施形態とは構造が一部異なる別の実施形態が示されている。なお、この図8に示される実施形態については、前記実施形態と同様な構造とされた部材及び部位について、図1乃至図7と同一の符号を付すことにより、その詳細な説明を省略する。
【0054】
すなわち、図8から明らかなように、本実施形態の補強ブレースにあっては、筒状部12と、その軸方向両側に位置する二つの取付部14,14とを含む全体の形状が、長手方向において湾曲した弓形を呈している。そして、特に、その湾曲形態が、補強ブレースのフロアパネル16への取付状態下で、フロアパネル16側、つまり上側に向かって凸となる形態とされている。
【0055】
ここで、本発明者等の研究によれば、パイプ材や断面コ字状のプレス成形品等からなり、且つ水平方向に真っ直ぐに延びる形態を有する従来の補強ブレースが下面に取り付けられたフロアパネル16が、側面衝突によって車幅方向に折れ曲がるか或いは湾曲するように変形した場合、補強ブレースも、フロアパネル16側とは反対側、つまり下側に向かって凸となる方向に湾曲変形してしまうことが判明している。このことから、側面衝突時には、フロアパネル16に取り付けられた補強ブレースに対して、それを下側に向かって凸となる方向に湾曲変形させる力が作用するものと考えられる。
【0056】
これに対して、本実施形態の補強ブレースは、上記の如く、フロアパネル16への取付状態下で、上側(図8では下側)に向かって凸となる湾曲形態を有している。それ故、このような本実施形態の補強ブレースでは、フロアパネル16の下面に取り付けられた状態下で、側面衝突が発生したときに、補強ブレースに対して、下側に向かって凸となる方向に湾曲変形させるような力が作用しても、かかる作用力に対して十分な強度乃至は剛性が発揮されて、容易には曲げ変形しないようになっている。
【0057】
従って、本実施形態に補強ブレースにあっては、フロアパネル16の下面に取り付けられた状態下で側面衝突発生したときに、容易に変形しないことで、フロアパネル16の剛性を高める機能が、より確実に且つ安定的に発揮され得る。そして、その結果として、フロアパネル16の剛性を、更に有効に且つ安定的に高めることが出来るのである。
【0058】
以上、本発明の具体的な構成について詳述してきたが、これはあくまでも例示に過ぎないのであって、本発明は、上記の記載によって、何等の制約をも受けるものではない。
【0059】
例えば、前記第一の実施形態では、筒状部12の軸直角方向断面形状が、中央筒状部20と中間筒状部24,24と端部側筒状部22,22とにおいて、互いに異なる形状とされていた。しかしながら、筒状部12の軸直角方向断面形状は、軸方向の全長に亘って同一の形状であっても良い。
【0060】
また、筒状部12の軸直角方向断面形状の具体的な形状も、例示のものに何等限定されるものではなく、フロアパネル16への取付状態下における筒状部12の車両前後方向の最大幅が、その上下方向の最大幅よりも大きく、且つ筒状部12の上下方向幅が、車両前後方向の中間部から車両前後方向の両側端部に向かって滑らかに漸減する形状を有しておれば良い。
【0061】
すなわち、筒状部12の軸直角方向断面形状を、例えば、図9に示されるように、前側半分が半楕円形状とされ、且つ後側半分が、略三角形状、或いは前側半分の半楕円形状よりも長軸が大きな半楕円形状とされた翼形状としても良い。また、筒状部12の軸直角方向断面形状を、図10に示されるような半円形状としたり、図11に示される如き三角形形状、図12に示されるような逆三角形形状、図13に示されるような台形形状、図14に示される如き逆台形形状、図15に示されるような菱形形状とすることも出来る。なお、図9乃至図15に示される幾つかの実施形態においては、前記第一の実施形態と同様な構造とされた部材及び部位について、図1乃至図7と同一の符号を付すことにより、その詳細な説明を省略した。
【0062】
筒状部12の内側に突出する一対の折曲リブ42,42は、本発明において必須のものではない。しかしながら、一対の折曲リブ42,42を筒状部12に形成する場合には、図9乃至図15から明らかなように、筒状部12の内側への各折曲リブ42の突出方向が、上方と下方の何れであっても良く、また、形成位置も、適宜に変更可能である。
【0063】
さらに、補強ブレース10の前後方向幅が、全長に亘って一定の大きさとされていても良い。つまり、筒状部12の前後方向幅が、その全長に亘って一定とされ、更に、それが、各取付部14の前後方向幅と同一の大きさとされていても、何等差し支えない。
【0064】
また、各平板部44に対する挿通孔46の形成位置は、例示のものに特に限定されるものではなく、その形成個数も、3個以上であっても良い。それらは、例えば、フロアパネル16の形状や、フロアパネル16に対する補強ブレース10の取付位置等に応じて、適宜に可能である。
【0065】
さらに、前記第二の実施形態では、筒状部12と二つの取付部14,14とを含む補強ブレース全体が、上側に向かって凸となるように湾曲する弓形状とされていたが、少なくとも筒状部12が、そのような湾曲形状乃至は弓形状とされておれば良い。即ち、各取付部14は、水平方向に真っ直ぐに延びる形状とされていて良いのである。そうした場合には、各取付部14の平板部44が、フロアパネル16の下面の平坦部分等に確実に密接されるようになる。そして、その結果、各取付部14がフロアパネル16に対して確実且つ安定的に取り付けられ得ることとなる。
【0066】
加えて、本発明は、自動車以外の車両のフロアパネルの下面に取り付けられる補強ブレースの何れに対しても、有利に適用されるものであることは、勿論である。
【0067】
その他、一々列挙はしないが、本発明は、当業者の知識に基づいて種々なる変更、修正、改良等を加えた態様において実施され得るものである。また、そのような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限り、何れも、本発明の範囲内に含まれるものであることは、言うまでもないところである。
【符号の説明】
【0068】
10 補強ブレース 12 筒状部
14 取付部 16 フロアパネル
26 中央整流面 30,40 溶接部
32 中間整流面 34 隙間
36 端部側整流面 44 平板部
46 挿通孔
【技術分野】
【0001】
本発明は、補強ブレースに係り、特に、車両のフロアパネルの下面に対して車幅方向に延びるように取り付けられて、フロアパネルを補強する補強ブレースの改良に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、自動車等の車両に対して、衝突事故の発生時における乗員保護性能に関する安全基準が、種々設定されている。このような自動車等に対する安全基準は、年々、厳しくなる傾向にあり、近年において、側面衝突時の乗員保護性能に関する安全基準(以下、側突安全基準と言う)が、新たに導入されている。この側突安全基準は、車体パネルのうち、ドアパネル等の車両の側面パネルだけでなく、車両の床面を形成するフロアパネルに対しても、適合が義務付けられている。そこで、最近では、そのようなフロアパネルに要求される側突安全基準に対する対応策の一つとして、フロアパネルに対して、その剛性を高める長手の補強ブレースが、車幅方向に延出して配置された状態で、取り付けられるようになってきている。
【0003】
このフロアパネル用補強ブレースとしては、例えば、鋼製のパイプ材からなるもの(例えば、下記特許文献1参照)や、超ハイテン材からなる長手の平板を熱間プレスにより断面コ字状に成形加工したプレス成形品にて構成されたもの等が、知られている。ところが、それらパイプ材や断面コ字状のプレス成形品からなる従来の補強ブレースには、それぞれ、以下のような問題点が内在していた。
【0004】
すなわち、パイプ材からなる補強ブレースでは、長手方向(軸方向)の両端側に設けられた取付部に対して、補強ブレースをフロアパネルに取り付けるためのボルト等の締結部材の挿通孔が、それぞれ、複数個ずつ形成されている。ところが、かかる補強ブレースにおいては、長手方向の両端側部分が扁平状に押し潰されて、取付部が形成されているため、取付部の幅が、パイプ材の外径により制限されて、不可避的に狭い幅となってしまう。それ故、そのような狭幅の取付部に対する複数の挿通孔の形成位置や配置間隔を自由に設定することが難しく、そのため、取付部の挿通孔に挿通された締結部材のフロアパネルに対する取付位置を自由に設定することも困難であった。一方、補強ブレースが取り付けられるべきフロアパネルは、一般に、多くの凹凸部分を有し、また、各種の部材や部品が取り付けられている。従って、フロアパネル用補強ブレースとして、パイプ材からなる補強ブレースを用いる場合には、取付部の挿通孔に挿通された締結部材のフロアパネルに対する取付位置を、フロアパネルの平坦部分で、且つフロアパネルに取り付けられる他の部材や部品と干渉しないような位置に設定した上で、かかる締結部材にて、補強ブレースをフロアパネルに対して安定的に取り付けることが、容易ではなかったのである。
【0005】
なお、そのようなパイプ材からなる補強ブレースにあっても、パイプ材の長手方向両端部に、広幅の平板状ブラケットを溶接等により接合し、このブラケットにて取付部を形成すれば、取付部に対する複数の挿通孔の形成位置や配置間隔を自由に設定出来る。しかしながら、そうすると、補強ブレースの製造に際して、ブラケットの溶接のための設備や工程が増加し、また、パイプ部材とは別体のブラケットを用いる分だけ、補強ブレースの部品点数も不可避的に増加する。その結果、補強ブレースの製作性の低下や製造コストの高騰等が不可避的に惹起されることとなる。
【0006】
一方、断面コ字状のプレス成形品からなる補強ブレースは、長手の平板部分の幅方向両側に側壁部がそれぞれ立設されてなる形態を有している。それ故、この補強ブレースでは、その形成材料たる被加工鋼板の幅や、被加工鋼板に対するプレス加工により形成される側壁部の高さ等に応じて、長手方向の両端部分からなる平板状の取付部の幅を自由に設定出来、それによって、取付部に対する複数の挿通孔の形成位置や配置間隔も自由に設定可能となっている。しかしながら、かかるプレス成形品からなる補強ブレースでは、平板部分の幅が大きくなればなる程、ねじれ剛性が低下し、パイプ材からなる補強ブレースと同等のねじれ剛性を確保することが困難となる。しかも、このような補強ブレースをフロアパネルの下面に対して車幅方向に延びるように取り付けたときには、平板部分の幅方向両側に立設された側壁部がフロアパネルから鉛直下方に突出して配置されるようになる。そうすると、車両走行時における車体下部での空気抵抗が増大して、空力性能が低下するといった問題が生ずる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−279951号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ここにおいて、本発明は、上述の如き事情を背景にして為されたものであって、その解決課題とするところは、車両下部での空力性能の低下を招くことなく、フロアパネルの下面に対して安定的に取り付けられて、フロアパネルの剛性を有利に高めることが出来る、製作性とコスト性に優れた補強ブレースを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記した課題、又は本明細書全体の記載や図面から把握される課題を解決するために、以下に列挙する各種の態様において、好適に実施され得るものである。また、以下に記載の各態様は、任意の組み合わせにおいても、採用可能である。そして、本発明の態様乃至は技術的特徴は、以下に記載のものに何等限定されることなく、明細書全体の記載並びに図面に開示の発明思想に基づいて、認識され得るものであることが、理解されるべきである。
【0010】
(1)車両のフロアパネルの下面に対して車幅方向に延びるように取り付けられて、フロアパネルを補強する補強ブレースであって、鋼板の幅方向両端部が厚さ方向一方側にそれぞれプレス曲げ加工されてなる長手のプレス成形品にて構成されて、長手方向の中間部に筒状部が設けられていると共に、長手方向の両側端部に、プレス曲げ加工されていない平板部が設けられており、更に、前記フロアパネルへの取付状態下における該筒状部の車両前後方向の最大幅が、その上下方向の最大幅よりも大きく、且つ該筒状部の上下方向幅が、車両前後方向の中間部から車両前後方向の両側端部に向かって滑らかに漸減する軸直角方向断面形状を、該筒状部が有していることにより、該筒状部の外面が、車両の走行時に前記フロアパネルの下部を通過する気流を整えて、空気抵抗を低減させる整流面とされている一方、該平板部に対して、該平板部を該フロアパネルに取り付けるための締結部材の挿通孔が、複数形成されていることを特徴とする補強ブレース。
【0011】
(2)前記プレス曲げ加工された鋼板の幅方向両端部が、前記筒状部の軸方向中央部位と軸方向両端側部位のみにおいて互いに突き合わされて、相互に溶接されている一方、該筒状部の軸方向中央部位と軸方向両端側部位以外の部分では、該プレス曲げ加工された鋼板の幅方向両端部の間に隙間が形成されて、該プレス曲げ加工された鋼板の幅方向両端部が互いに非接触とされている上記態様(1)に記載の補強ブレース。
【0012】
(3)前記プレス曲げ加工された鋼板の幅方向両端部に、該鋼板の幅方向両端縁部をそれぞれ厚さ方向一方側に折曲してなる平板状の折曲リブがそれぞれ設けられて、かかる一対の折曲リブが、前記筒状部の内側に突出し且つ軸方向に連続して延びるように配置されていると共に、該筒状部の内側において、該一対の折曲リブの間に隙間が形成されて、該一対の折曲リブが互いに非接触とされている上記態様(1)又は(2)に記載の補強ブレース。
【0013】
(4)前記筒状部の軸直角方向に対応する前記平板部の幅方向両側に、前記鋼板の幅方向両端縁部をそれぞれ厚さ方向一方側に曲げ加工してなる、外面が湾曲面とされた補強リブが、それぞれ設けられている上記態様(1)乃至(3)のうちの何れか一つに記載の補強ブレース。
【0014】
(5)前記筒状部の軸直角方向の最小幅が、該筒状部の軸直角方向における前記平板部の最大幅よりも小さくされている上記態様(1)乃至(4)のうちの何れか一つに記載の補強ブレース。
【0015】
(6)長手方向に対して直角な方向の幅が、長手方向の中央部位から長手方向の両端部位に向かって滑らかに漸増する平面形状を有している上記態様(1)乃至(5)のうちの何れか一つに記載の補強ブレース。
【0016】
(7)前記複数の挿通孔が、前記平板部に対して、前記筒状部の軸方向と実質的に直角な方向に並んで位置するように形成されている上記態様(1)乃至(6)のうちの何れか一つに記載の補強ブレース。なお、ここで言う筒状部の軸方向と実質的に直角な方向とは、筒状部の軸方向との交角が直角な方向に加えて、筒状部の軸方向との交角が、直角よりも多少小さいか或いは多少大きな角度となる方向とを含んだものを言う。
【0017】
(8)少なくとも前記筒状部が、前記フロアパネルへの取付状態下で、軸方向において該フロアパネル側に向かって凸となるように湾曲する形態を有している上記態様(1)乃至(7)のうちの何れか一つに記載の補強ブレース。
【発明の効果】
【0018】
すなわち、本発明に従う補強ブレースにあっては、鋼板をプレス曲げ加工してなる長手のプレス成形品にて構成されているため、良好な製作性が効果的に確保され得る。しかも、そのようなプレス成形品の長手方向の中間部に筒状部が設けられているところから、鋼製のパイプ部材からなる補強ブレースと略同等の曲げ剛性とねじれ剛性とが、共に有利に発揮され得る。
【0019】
また、本発明に係る補強ブレースにおいては、長手方向の両側端部に、プレス曲げ加工されていない平板部が設けられ、そして、この平板部に対して、複数の挿通孔が形成されている。即ち、平板部を含む長手方向両側端部が、フロアパネルへの取付部として、それぞれ構成されている。このため、かかる補強ブレースでは、断面コ字状のプレス成形品からなる補強ブレースと同様に、例えば、補強ブレースの形成材料たる鋼板の幅等に応じて、フロアパネルへの取付部の幅を自由に且つ容易に設定可能となっている。それ故、本発明に係る補強ブレースにあっては、長手方向中間部が筒状部とされているにも拘わらず、ブラケット等の別部材を長手方向両端部に接合することもなしに、締結部材を挿通する複数の挿通孔を、その形成位置や配置間隔において十分な自由度をもって、長手方向の両側端部に形成することが出来る。これによって、各挿通孔に挿通される締結部材が、フロアパネルの平坦部分に対して、他の部材や部品と干渉しないように容易に締結され得るのであり、以て、補強ブレースの全体が、フロアパネルの下面の所定の位置に、安定的に且つ確実に取り付けられ得るのである。
【0020】
さらに、本発明に係る補強ブレースにおいては、筒状部の外面が、車両の走行時にフロアパネルの下側を通過する気流を整えて、空気抵抗を低減させる整流面とされている。それ故、車両のフロアパネルの下面に対して、車幅方向に延びるように取り付けられた状態下で、車両の下部を通過する空気の流れを整流面にて整えて、空気抵抗の低減を図ることが出来る。このため、フロアパネルへの取付に起因して、車両の空力性能が低下するようなことが効果的に回避され得る。
【0021】
従って、かくの如き本発明に従う補強ブレースにあっては、フロアパネルへの取付による車両下部での空力性能や製作性の低下を何等招くことなく、しかも可及的に低いコストで、フロアパネルの剛性を安定的に且つ確実に高めることが出来るのである。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明に従う補強ブレースの一実施形態を示す斜視説明図である。
【図2】図1におけるII矢視説明図である。
【図3】図1に示された補強ブレースを自動車のフロアパネルの下面に取り付けた状態を示す説明図である。
【図4】図1のIV−IV断面における端面拡大説明図である。
【図5】図1のV−V断面における端面拡大説明図である。
【図6】図1のVI−VI断面における端面拡大説明図である。
【図7】図1のVII−VII断面における端面拡大説明図である。
【図8】本発明に従う補強ブレースの別の実施形態を示す図2に対応する図である。
【図9】本発明に従う補強ブレースの更に別の実施形態を示す図4に対応する図である。
【図10】本発明に従う補強ブレースの他の実施形態を示す図4に対応する図である。
【図11】本発明に従う補強ブレースの更に他の実施形態を示す図4に対応する図である。
【図12】本発明に従う補強ブレースの別の実施形態を示す図4に対応する図である。
【図13】本発明に従う補強ブレースの更に別の実施形態を示す図4に対応する図である。
【図14】本発明に従う補強ブレースの他の実施形態を示す図4に対応する図である。
【図15】本発明に従う補強ブレースの更に他の実施形態を示す図4に対応する図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明することとする。
【0024】
先ず、図1及び図2には、本発明に従う補強ブレースの一実施形態として、自動車のフロアパネルに取り付けられるフロアパネル用補強ブレースが、その斜視形態と側面形態とにおいて、それぞれ示されている。それらの図から明らかなように、本実施形態の補強ブレース10は、1枚の長手の被加工鋼板を、プレス曲げ加工してなる長手のプレス成形品にて構成されており、長手方向の中間部に、筒状部12が設けられている一方、長手方向両側の端部には、取付部14,14がそれぞれ設けられている。そして、図3に示されるように、この補強ブレース10が、自動車のフロアパネル16の下面に対して、自動車の幅方向に延びるように配置されて、取り付けられている。なお、ここでは、補強ブレース10の筒状部12が、フロアパネル16の下面の幅方向中間部に下方に向かって開口して設けられた凹部18を横切って延びるように配置されている。また、そのような配置状態下で、補強ブレース10の二つの取付部14,14が、フロアパネル16の下面における凹部18の幅方向両サイド部位に対して、それぞれボルト固定されている。
【0025】
より具体的には、補強ブレース12の形成材料たる被加工鋼板(図示せず)の長手方向中間部における幅方向(長手方向に対して直角な方向)の両端部が、互いに突き合わされるように、或いはそれに近い状態となるように、厚さ方向一方側にプレス曲げ加工(例えば、UO曲げ加工)されることにより、筒状部12が、形成されている。
【0026】
この筒状部12は、図1乃至図3に示されるように、軸方向(長手方向)の中央部から、その両側端部に向かって、幅(軸方向に対して直角な方向の寸法)が滑らかに漸増する平面形状を有している。また、筒状部12の軸方向と幅方向の両方向に対して直角な方向(図2の上下方向)での厚さ寸法が、筒状部12の全長に亘って略同一の大きさとされている。そうして、筒状部12の長手方向中央部分が、最も小さな太さを有する中央筒状部20とされている一方、長手方向両端側部分が、中央筒状部20よりも大きな太さを有する端部側筒状部22,22とされ、更に、長手方向において、中央筒状部20と各端部側筒状部22,22の間に位置する部分が、中央筒状部20よりも太く且つ各端部側筒状部22,22よりも細い中間筒状部24,24とされている。
【0027】
図4に示されるように、中央筒状部20は、図4の左右方向(補強ブレース10がフロアパネル16に設置されたときの車両前後方向に相当する方向)の最大幅:W1 が、図4の上下方向(補強ブレース10がフロアパネル16に設置されたときの上下方向に相当する方向)の最大幅:W2 よりも所定寸法大きな楕円状の軸直角方向断面形状を有している。つまり、中央筒状部20の軸直角方向断面形状が、図4の左右方向を長軸方向とした横長楕円形状とされている。これにより、自動車のフロアパネル16の下面への補強ブレース10の設置状態下において、中央筒状部20の上下方向の幅が、車両前後方向の中間部から前方と後方の両側に向かって徐々に且つ滑らかに減少せしめられている。
【0028】
かくして、中央筒状部20の外周面の全体が、図4の左右方向に流れる空気に対しての抵抗を小さく為す形状を呈する中央整流面26とされている。また、それにより、補強ブレース10がフロアパネル16の下面に設置された自動車の走行時に、フロアパネル16の幅方向中央部分の下側を通過する気流が、中央整流面26にて整えられて、空気抵抗が低減されるようになっている。なお、以下からは、自動車のフロアパネル16の下面への補強ブレース10の設置状態(図2参照)を考慮して、図4及び後述する図5乃至図7における上下方向を、単に、上下方向と言い、それら図4乃至図7における左右方向を前後方向と言う。
【0029】
また、中央筒状部20は、その周上の一箇所が、突合せ部28とされている。この突合せ部28は、前記被加工鋼板の幅方向両端側部分が、プレス曲げ加工により互いに突き合わされることによって形成されている。そして、そのような突合せ部28を形成する被加工鋼板の幅方向両端側部分が、互いに溶接されている。これにより、溶接部30が、突合せ部28に対して、軸方向に所定長さで延びるように形成されている。
【0030】
一方、図5に示されるように、各中間筒状部24は、前後方向の最大幅:W3 が、上下方向の最大幅W4 よりも所定寸法大きな略長円状の軸直角方向断面形状を有している。即ち、中間筒状部24においては、前後方向両端側部分の軸直角方向断面形状が、中央筒状部20の横長楕円状の軸直角方向断面形状に対応した横長半楕円形状とされている一方、前後方向中間部分の軸直角方向断面形状が、水平方向に延びる二つの平板を上下方向において互いに対向配置してなる形状とされている。これにより、各中間筒状部24の上下方向の幅が、前後方向の中間部では略一定の大きさとされているものの、前後方向の両端部側において、その中間部から前後方向両端側に向かって徐々に且つ滑らかに減少せしめられている。
【0031】
かくして、二つの中間筒状部24,24の外周面の全体が、それぞれ、図5の左右方向に流れる空気に対しての抵抗を小さく為す形状を呈する中間整流面32,32とされている。そして、それによって、補強ブレース10がフロアパネル16の下面に設置された自動車の走行時に、フロアパネル16の幅方向中央部と両側端部との間の二つの中間部分の下側を通過する気流が、二つの中間整流面32,32にて整えられて、空気抵抗が低減されるようになっている。
【0032】
また、各中間筒状部24は、前記被加工鋼板の幅方向両端側部分が互いに非接触となるようにプレス曲げ加工されて、形成されている。即ち、各中間筒状部24においては、その周上の一箇所に、狭幅の隙間34が、軸方向に延びるように設けられているのである。
【0033】
図6に示されるように、各端部側筒状部22は、前後方向の最大幅:W5 が、上下方向の最大幅W6 よりも大きく、しかも、中間筒状部24の前後方向の最大幅:W3 よりも所定寸法だけ大きな略長円状の軸直角方向断面形状を有している。このような端部側筒状部22にあっても、中間筒状部24と同様に、前後方向両端側部分の軸直角方向断面形状が、中央筒状部20の横長楕円状の軸直角方向断面形状に対応した横長半楕円形状とされている一方、前後方向中間部分の軸直角方向断面形状が、水平方向に延びる二つの平板を上下方向において互いに対向配置してなる形状とされている。これにより、各端部側筒状部22の上下方向の幅が、前後方向の中間部では略一定の大きさとされているものの、前後方向の両端部側において、その中間部から前後方向両端側に向かって徐々に且つ滑らかに減少せしめられている。なお、各端部側筒状部22においては、前後方向中間部分の前後方向幅が、中間筒状部24の前後方向中間部分の前後方向幅よりも大きくされており、以て、端部側筒状部22全体の前後方向幅が、中間筒状部24全体の前後方向幅よりも大なる大きさとされている。
【0034】
かくして、二つの端部側筒状部22,22の外周面の全体が、それぞれ、図6の左右方向に流れる空気に対しての抵抗を小さく為す形状を呈する端部側整流面36,36とされている。そして、それにより、補強ブレース10がフロアパネル16の下面に設置された自動車の走行時に、フロアパネル16の幅方向両側部分の下側を通過する気流が、二つの端部側整流面36,36にて整えられて、空気抵抗が低減されるようになっている。
【0035】
また、各端部側筒状部22は、中央筒状部20と同様に、周上の一箇所が、突合せ部38とされている。この突合せ部38は、被加工鋼板の幅方向両端側部分が、プレス曲げ加工により互いに突き合わされることによって形成されている。そして、そのような突合せ部38を形成する被加工鋼板の幅方向両端側部分が、互いに溶接されている。これにより、溶接部40が、突合せ部38に対して、軸方向に所定長さで延びるように形成されている。
【0036】
そして、図4乃至図6に示されるように、中央筒状部20と中間筒状部24,24と端部側筒状部22,22とからなる筒状部12の内側には、一対の折曲リブ42,42が、前後において互いに対向位置するように一体形成されている。それら各折曲リブ42は、中央筒状部20と各端部側筒状部22のそれぞれの突合せ部28,38や、各中間筒状部24の隙間34を間に挟んで両側に位置する部位から内側に向かって下方に突出し、且つ筒状部12の軸方向に連続して延びる平板状形態を有している。また、そのような一対の折曲リブ42,42のうち、前側に位置するものが、下方に向かって前傾している一方、後側に位置するものが、下方に向かって後傾している。これにより、前後方向に対向する一対の折曲リブ42,42が、互いに非接触とされている。なお、ここでは、一対の折曲リブ42,42が、被加工鋼板の幅方向両端縁を厚さ方向一方側(筒状部12を形成するのに被加工鋼板をプレス曲げ加工する側)にプレス曲げ加工することで形成されている。
【0037】
このように、筒状部12にあっては、軸直角方向断面形状が横長の楕円形状や長円形状とされていることに加えて、内側に突出する一対の折曲リブ42,42が軸方向に延びるように一体形成されていることによって、十分に大きな曲げ剛性が、より有利に発揮されるようになっている。
【0038】
また、筒状部12は、横長の楕円状や長円状の軸直角方向断面形状を有していることにより、ねじれ剛性も、効果的に高められている。しかも、筒状部12がねじれ変形した際に、その変形起点部となる軸方向中央部と軸方向両端側部分にそれぞれ位置する中央筒状部20と各端部側筒状部22の各突合せ部28,38とに対して、溶接部30,40がそれぞれ形成されている。これによって、筒状部12のねじれ剛性が、更に一層効果的に高められている。
【0039】
さらに、筒状部12の外周面が、中央整流面26と中間整流面32,32と端部側整流面36,36とからなっている。それ故、補強ブレース10がフロアパネル16の下面に設置された自動車の走行時に、フロアパネル16の下側を通過する気流が、筒状部12の外周面の全体にて整えられて、空気抵抗が有利に低減されるようになっている。
【0040】
一方、図1及び図7に示されるように、筒状部12を間に挟んで補強ブレース10の長手方向両側にそれぞれ位置する取付部14,14は、何れも、平板部44,44を有している。それら各平板部44は、前記被加工鋼板の長手方向両端部のプレス曲げ加工されていない部分からなっている。また、各平板部44は、補強ブレース10の長手方向両端部側に向かって、前後方向幅が次第に増大する略三角形状の平面形状を呈している。各平板部44の前後方向の最大幅:W7 は、端部側筒状部22の前後方向の最大幅:W5 よりも大きくされている。
【0041】
そして、補強ブレース10の長手方向における各平板部44の両端部位に、それらの部位を貫通する二つの挿通孔46,46が、前後方向(筒状部12の軸方向に直角な方向)に並んで位置するように形成されている。また、それら二つの挿通孔46,46は、各平板部44の前後方向両端側に位置している。それによって、二つの挿通孔46,46の配置間隔が、中央筒状部20の前後方向幅や各中間筒状部24の前後方向幅よりも十分に大きくされている。
【0042】
また、各取付部14の平板部44を間に挟んだ前後方向両側には、補強リブ48が、それぞれ一つずつ一体形成されている。それら各補強リブ48は、取付部14の前後方向(幅方向)両端部を、取付部14の上面が内側面となるように湾曲させた形態を有し、前後方向の断面形状(筒状部12の軸直角方向断面形状に対応する断面形状)が、略円形状又は横長楕円形状とされている。これにより、平板部44を有する取付部14の曲げ剛性やねじれ剛性が、有利に高められている。また、図2から明らかなように、各補強リブ48においては、筒状部12の軸方向と幅方向の両方向に対して直角な方向(図2の上下方向)での厚さ寸法が、補強ブレース10の中央部側(筒状部12側)から、その長手方向両端側に向かって徐々に小さくされている。そして、そのような各補強リブ48の外面が凸状湾曲面とされて、前述した筒状部12の各整流面26,32,36による空気抵抗の低減作用を阻害しないようになっている。
【0043】
また、図1に示されるように、各補強リブ48の前後方向幅は、補強ブレース10の長手方向両端側から中央部側に向かって徐々に且つ滑らかに増大されている。これにより、各補強リブ48と筒状部12とが滑らかに連結され、以て、補強ブレース10に対して曲げ荷重やねじれ荷重が加えられたときに、各取付部14や筒状部12において無用な応力集中等が生じないようになっている。更に、各補強リブ48の湾曲先端部は、平板部44に対して非接触とされている。なお、ここでは、各補強リブ48が、被加工鋼板の長手方向両側端部における幅方向両端縁を厚さ方向一方側(筒状部12を形成するのに被加工鋼板をプレス曲げ加工する側)にプレス曲げ加工することで形成されている。
【0044】
このように、本実施形態の補強ブレース10にあっては、一枚の被加工鋼板をプレス曲げ加工してなるプレス成形品にて構成されている。また、軸方向中間部に、優れた曲げ剛性及びねじれ剛性を備えた筒状部12が設けられると共に、軸方向両側端部に、軸直角方向に並んで位置する二つの挿通孔46,46を備えた平板部44を有する取付部14,14が設けられている。更に、筒状部12の外周面が、気流をスムーズに整流する中央整流面26と中間整流面32,32と端部側整流面36,36とからなっている。
【0045】
それ故、かかる補強ブレース10においては、従来のパイプ材からなる補強ブレースとは異なって、軸方向両側端部にブラケット等を溶接することなく、フロアパネル16に対する取付ボルトの取付位置と取付ピッチとが、フロアパネル16の凹凸形状や、フロアパネル16に設けられる各種の部材等に干渉しないように、自由に設定可能となっている。また、従来の断面コ字状のプレス成形品からなる補強ブレースとは異なって、鋼製のパイプ材に匹敵する曲げ剛性とねじれ剛性とが有利に発揮され得るだけでなく、フロアパネル16の下面に車幅方向に延びるように取り付けられた状態下で、走行時における自動車下部での空気抵抗を効果的に低減させることが出来る。
【0046】
従って、かくの如き本実施形態に係る補強ブレース10にあっては、フロアパネル16の下面に対して安定的に且つ確実に取り付けられ得る。そして、自動車下部での空力性能の低下や、ブラケット等の余分な部材の使用による製作性の低下及び製作コストの高騰等を、何等招くことなく、フロアパネル16の幅方向における剛性を、極めて有利に高めることが出来るのである。
【0047】
また、かかる補強ブレース10では、筒状部12の内側に一対の折曲リブ42,42が軸方向に延びるように設けられている。そして、それに加えて、筒状部12においてねじれ変形の起点となる中央筒状部20と端部側筒状部22,22の各突合せ部28,38に溶接部30,40がそれぞれ設けられている。これによって、筒状部12の曲げ剛性とねじれ剛性とが、より一段と高められている。その結果として、フロアパネル16の剛性の向上が、更に一層効果的に図られ得る。
【0048】
さらに、本実施形態の補強ブレース10は、一枚の被加工鋼板をプレス曲げ加工してなるプレス成形品にて構成され、しかも、各取付部14の補強リブ48,48と筒状部12とが連続したプレス曲げ部分にて形成されている。それ故、例えば、複数の鋼板を接合してなる被加工鋼板のプレス成形品にて構成される場合よりも、更に高い強度乃至は剛性が発揮され得る。これによっても、フロアパネル16の剛性が、より有利に高められ得る。
【0049】
更にまた、かかる補強ブレース10においては、各平板部44の両端部位に、二つの挿通孔46,46が、筒状部12の軸方向に直角な方向に並んで位置するように形成されている。これによっても、フロアパネル16の剛性の向上が期待され得る。
【0050】
また、本実施形態においては、筒状部12の中間筒状部24,24が、被加工鋼板の幅方向両端側部分を互いに非接触となるようにプレス曲げ加工することで形成されて、それら各中間筒状部24の周上の一箇所に、狭幅の隙間34が、軸方向に延びるように設けられている。また、一対の折曲リブ42,42同士が非接触とされていると共に、各取付部14に一体形成された各補強リブ48の湾曲先端部が、平板部44に対して非接触とされている。つまり、本実施形態の補強ブレース10では、溶接部30,40が形成された中央筒状部20と端部側筒状部22,22の各突合せ部28,38以外において、互いに接触する部分が皆無とされている。
【0051】
それ故、かかる補強ブレース10にあっては、その外周面のうち、溶接部30,40の内部に埋入される以外の部分の全体に対して、防錆のための塗膜(例えば、カチオン塗膜)やメッキ膜等が、確実に形成され得る。従って、補強ブレース10が、防錆面において過酷な条件が強いられるフロアパネル16の下面に取り付けられて、使用されるにも拘わらず、優れた防錆効果が、長期に亘って、より有効に維持され得、以て、より優れた耐久性が極めて有利に発揮され得る。
【0052】
加えて、本実施形態では、筒状部12の上下方向幅が略一定の大きさとされた上で、その前後方向幅が、筒状部12の軸方向中央から軸方向両側端部に向かって徐々に大きくされている。しかも、そのような筒状部12の前後方向の最小幅が、各取付部14の平板部44の前後方向の最大幅よりも小さくされている。それ故、補強ブレース10の形成材料たる被加工鋼板として、幅寸法が長さ方向の両端から中央部に向かって徐々に小さくなる形状を有するものの使用が、可能となる。従って、例えば、全長に亘って幅寸法が一定の大きさとされた矩形の被加工鋼板を用いてなる補強ブレースに比して、軽量化が有利に達成され得る。
【0053】
次に、図8には、前記実施形態とは構造が一部異なる別の実施形態が示されている。なお、この図8に示される実施形態については、前記実施形態と同様な構造とされた部材及び部位について、図1乃至図7と同一の符号を付すことにより、その詳細な説明を省略する。
【0054】
すなわち、図8から明らかなように、本実施形態の補強ブレースにあっては、筒状部12と、その軸方向両側に位置する二つの取付部14,14とを含む全体の形状が、長手方向において湾曲した弓形を呈している。そして、特に、その湾曲形態が、補強ブレースのフロアパネル16への取付状態下で、フロアパネル16側、つまり上側に向かって凸となる形態とされている。
【0055】
ここで、本発明者等の研究によれば、パイプ材や断面コ字状のプレス成形品等からなり、且つ水平方向に真っ直ぐに延びる形態を有する従来の補強ブレースが下面に取り付けられたフロアパネル16が、側面衝突によって車幅方向に折れ曲がるか或いは湾曲するように変形した場合、補強ブレースも、フロアパネル16側とは反対側、つまり下側に向かって凸となる方向に湾曲変形してしまうことが判明している。このことから、側面衝突時には、フロアパネル16に取り付けられた補強ブレースに対して、それを下側に向かって凸となる方向に湾曲変形させる力が作用するものと考えられる。
【0056】
これに対して、本実施形態の補強ブレースは、上記の如く、フロアパネル16への取付状態下で、上側(図8では下側)に向かって凸となる湾曲形態を有している。それ故、このような本実施形態の補強ブレースでは、フロアパネル16の下面に取り付けられた状態下で、側面衝突が発生したときに、補強ブレースに対して、下側に向かって凸となる方向に湾曲変形させるような力が作用しても、かかる作用力に対して十分な強度乃至は剛性が発揮されて、容易には曲げ変形しないようになっている。
【0057】
従って、本実施形態に補強ブレースにあっては、フロアパネル16の下面に取り付けられた状態下で側面衝突発生したときに、容易に変形しないことで、フロアパネル16の剛性を高める機能が、より確実に且つ安定的に発揮され得る。そして、その結果として、フロアパネル16の剛性を、更に有効に且つ安定的に高めることが出来るのである。
【0058】
以上、本発明の具体的な構成について詳述してきたが、これはあくまでも例示に過ぎないのであって、本発明は、上記の記載によって、何等の制約をも受けるものではない。
【0059】
例えば、前記第一の実施形態では、筒状部12の軸直角方向断面形状が、中央筒状部20と中間筒状部24,24と端部側筒状部22,22とにおいて、互いに異なる形状とされていた。しかしながら、筒状部12の軸直角方向断面形状は、軸方向の全長に亘って同一の形状であっても良い。
【0060】
また、筒状部12の軸直角方向断面形状の具体的な形状も、例示のものに何等限定されるものではなく、フロアパネル16への取付状態下における筒状部12の車両前後方向の最大幅が、その上下方向の最大幅よりも大きく、且つ筒状部12の上下方向幅が、車両前後方向の中間部から車両前後方向の両側端部に向かって滑らかに漸減する形状を有しておれば良い。
【0061】
すなわち、筒状部12の軸直角方向断面形状を、例えば、図9に示されるように、前側半分が半楕円形状とされ、且つ後側半分が、略三角形状、或いは前側半分の半楕円形状よりも長軸が大きな半楕円形状とされた翼形状としても良い。また、筒状部12の軸直角方向断面形状を、図10に示されるような半円形状としたり、図11に示される如き三角形形状、図12に示されるような逆三角形形状、図13に示されるような台形形状、図14に示される如き逆台形形状、図15に示されるような菱形形状とすることも出来る。なお、図9乃至図15に示される幾つかの実施形態においては、前記第一の実施形態と同様な構造とされた部材及び部位について、図1乃至図7と同一の符号を付すことにより、その詳細な説明を省略した。
【0062】
筒状部12の内側に突出する一対の折曲リブ42,42は、本発明において必須のものではない。しかしながら、一対の折曲リブ42,42を筒状部12に形成する場合には、図9乃至図15から明らかなように、筒状部12の内側への各折曲リブ42の突出方向が、上方と下方の何れであっても良く、また、形成位置も、適宜に変更可能である。
【0063】
さらに、補強ブレース10の前後方向幅が、全長に亘って一定の大きさとされていても良い。つまり、筒状部12の前後方向幅が、その全長に亘って一定とされ、更に、それが、各取付部14の前後方向幅と同一の大きさとされていても、何等差し支えない。
【0064】
また、各平板部44に対する挿通孔46の形成位置は、例示のものに特に限定されるものではなく、その形成個数も、3個以上であっても良い。それらは、例えば、フロアパネル16の形状や、フロアパネル16に対する補強ブレース10の取付位置等に応じて、適宜に可能である。
【0065】
さらに、前記第二の実施形態では、筒状部12と二つの取付部14,14とを含む補強ブレース全体が、上側に向かって凸となるように湾曲する弓形状とされていたが、少なくとも筒状部12が、そのような湾曲形状乃至は弓形状とされておれば良い。即ち、各取付部14は、水平方向に真っ直ぐに延びる形状とされていて良いのである。そうした場合には、各取付部14の平板部44が、フロアパネル16の下面の平坦部分等に確実に密接されるようになる。そして、その結果、各取付部14がフロアパネル16に対して確実且つ安定的に取り付けられ得ることとなる。
【0066】
加えて、本発明は、自動車以外の車両のフロアパネルの下面に取り付けられる補強ブレースの何れに対しても、有利に適用されるものであることは、勿論である。
【0067】
その他、一々列挙はしないが、本発明は、当業者の知識に基づいて種々なる変更、修正、改良等を加えた態様において実施され得るものである。また、そのような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限り、何れも、本発明の範囲内に含まれるものであることは、言うまでもないところである。
【符号の説明】
【0068】
10 補強ブレース 12 筒状部
14 取付部 16 フロアパネル
26 中央整流面 30,40 溶接部
32 中間整流面 34 隙間
36 端部側整流面 44 平板部
46 挿通孔
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のフロアパネルの下面に対して車幅方向に延びるように取り付けられて、フロアパネルを補強する補強ブレースであって、
鋼板の幅方向両端部が厚さ方向一方側にそれぞれプレス曲げ加工されてなる長手のプレス成形品にて構成されて、長手方向の中間部に筒状部が設けられていると共に、長手方向の両側端部に、プレス曲げ加工されていない平板部が設けられており、更に、前記フロアパネルへの取付状態下における該筒状部の車両前後方向の最大幅が、その上下方向の最大幅よりも大きく、且つ該筒状部の上下方向幅が、車両前後方向の中間部から車両前後方向の両側端部に向かって滑らかに漸減する軸直角方向断面形状を、該筒状部が有していることにより、該筒状部の外面が、車両の走行時に前記フロアパネルの下部を通過する気流を整えて、空気抵抗を低減させる整流面とされている一方、該平板部に対して、該平板部を該フロアパネルに取り付けるための締結部材の挿通孔が、複数形成されていることを特徴とする補強ブレース。
【請求項2】
前記プレス曲げ加工された鋼板の幅方向両端部が、前記筒状部の軸方向中央部位と軸方向両端側部位のみにおいて互いに突き合わされて、相互に溶接されている一方、該筒状部の軸方向中央部位と軸方向両端側部位以外の部分では、該プレス曲げ加工された鋼板の幅方向両端部の間に隙間が形成されて、該プレス曲げ加工された鋼板の幅方向両端部が互いに非接触とされている請求項1に記載の補強ブレース。
【請求項3】
前記プレス曲げ加工された鋼板の幅方向両端部に、該鋼板の幅方向両端縁部をそれぞれ厚さ方向一方側に折曲してなる折曲リブがそれぞれ設けられて、かかる一対の折曲リブが、前記筒状部の内側に突出し且つ軸方向に連続して延びるように配置されていると共に、該筒状部の内側において、該一対の折曲リブの間に隙間が形成されて、該一対の折曲リブが互いに非接触とされている請求項1又は請求項2に記載の補強ブレース。
【請求項1】
車両のフロアパネルの下面に対して車幅方向に延びるように取り付けられて、フロアパネルを補強する補強ブレースであって、
鋼板の幅方向両端部が厚さ方向一方側にそれぞれプレス曲げ加工されてなる長手のプレス成形品にて構成されて、長手方向の中間部に筒状部が設けられていると共に、長手方向の両側端部に、プレス曲げ加工されていない平板部が設けられており、更に、前記フロアパネルへの取付状態下における該筒状部の車両前後方向の最大幅が、その上下方向の最大幅よりも大きく、且つ該筒状部の上下方向幅が、車両前後方向の中間部から車両前後方向の両側端部に向かって滑らかに漸減する軸直角方向断面形状を、該筒状部が有していることにより、該筒状部の外面が、車両の走行時に前記フロアパネルの下部を通過する気流を整えて、空気抵抗を低減させる整流面とされている一方、該平板部に対して、該平板部を該フロアパネルに取り付けるための締結部材の挿通孔が、複数形成されていることを特徴とする補強ブレース。
【請求項2】
前記プレス曲げ加工された鋼板の幅方向両端部が、前記筒状部の軸方向中央部位と軸方向両端側部位のみにおいて互いに突き合わされて、相互に溶接されている一方、該筒状部の軸方向中央部位と軸方向両端側部位以外の部分では、該プレス曲げ加工された鋼板の幅方向両端部の間に隙間が形成されて、該プレス曲げ加工された鋼板の幅方向両端部が互いに非接触とされている請求項1に記載の補強ブレース。
【請求項3】
前記プレス曲げ加工された鋼板の幅方向両端部に、該鋼板の幅方向両端縁部をそれぞれ厚さ方向一方側に折曲してなる折曲リブがそれぞれ設けられて、かかる一対の折曲リブが、前記筒状部の内側に突出し且つ軸方向に連続して延びるように配置されていると共に、該筒状部の内側において、該一対の折曲リブの間に隙間が形成されて、該一対の折曲リブが互いに非接触とされている請求項1又は請求項2に記載の補強ブレース。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2011−917(P2011−917A)
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−143888(P2009−143888)
【出願日】平成21年6月17日(2009.6.17)
【出願人】(308013436)小島プレス工業株式会社 (386)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年6月17日(2009.6.17)
【出願人】(308013436)小島プレス工業株式会社 (386)
【Fターム(参考)】
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