説明

補給用キャリア、補給用現像剤、補給用現像剤カートリッジ、及び画像形成装置

【課題】会合粒子を含まない場合に比べて、表面のガサツキが抑制された画像が得られる補給用キャリア。
【解決手段】現像手段を用いて潜像保持体上の潜像を現像するに際して、補給用現像剤を補給しながら現像を行なうトリクル現像方式の補給用現像剤に用いられ、芯材と該芯材を被覆する樹脂層とを有する単体粒子が樹脂層を介して結着した会合粒子を含む補給用キャリア。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、補給用キャリア、補給用現像剤、補給用現像剤カートリッジ、及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真法を利用して画像を形成する複写機等の画像形成装置は、近年、広く普及するに伴い、その用途も多種多様に広がり、高画質化が求められている。高画質化に対応するために、使用されるトナーやキャリアは小径化しつつある。また、現像によって消費されるトナーと一緒にキャリアを補給するトリクル現像システムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
一方、トナーの重量平均粒子径よりも大きい球状のスペーサー粒子(磁性キャリア粒子)の混合物からなる補給キットが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特公平2−21591号公報
【特許文献2】特開2004−333514号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、会合粒子を含まない場合に比べて、画像形成装置で使用した場合、表面のガサツキが抑制された画像が得られる補給用キャリアを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題は以下の本発明により達成される。
すなわち、請求項1に係る発明は、
現像手段を用いて潜像保持体上の潜像を現像するに際して、補給用現像剤を補給しながら現像を行なうトリクル現像方式の補給用現像剤に用いられ、
芯材と該芯材を被覆する樹脂層とを有する単体粒子が樹脂層を介して結着した会合粒子を含むことを特徴とする補給用キャリアである。
【0007】
請求項2に係る発明は、
平均粒径が50μm以上300μm以下であることを特徴とする請求項1に記載の補給用キャリアである。
【0008】
請求項3に係る発明は、
トナーと、請求項1又は請求項2に記載の補給用キャリアと、を含むことを特徴とする補給用現像剤である。
【0009】
請求項4に係る発明は、
現像手段を用いて潜像保持体上の潜像を現像するに際して、補給用現像剤を補給しながら現像を行なうトリクル現像方式の補給用現像剤を収容し、該補給用現像剤が請求項3に記載の補給用現像剤であることを特徴とする補給用現像剤カートリッジである。
【0010】
請求項5に係る発明は、
潜像保持体と、該潜像保持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、該潜像保持体上の静電潜像をトナーを含む現像剤により現像して、トナー像を形成する現像手段と、該トナー像を被転写体上に転写する転写手段と、該被転写体上に転写されたトナー像を定着する定着手段と、を有し、
前記現像に際して、補給用現像剤を補給しながら現像を行なうトリクル現像方式の画像形成装置であり、
前記補給用現像剤として、請求項3に記載の補給用現像剤を用いることを特徴とする画像形成装置である。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に係る発明によれば、会合粒子を含まない場合に比べて、画像形成装置で使用した場合、表面のガサツキが抑制された画像が得られる補給用キャリアが提供される。
請求項2に係る発明によれば、平均粒径が50μm以上300μm以下でない場合に比べて、画像形成装置で使用した場合、画像毎の濃度変動、もしくは画像表面のガサツキが抑制されるという効果が発揮される。
【0012】
請求項3に係る発明によれば、会合粒子を含む補給用キャリアを含まない場合に比べて、画像形成装置で使用した場合、表面のガサツキが抑制された画像が得られる補給用現像剤が提供される。
【0013】
請求項4に係る発明によれば、会合粒子を含む補給用キャリアを含む補給用現像剤を収容しない場合に比べて、画像形成装置で使用した場合、表面のガサツキが抑制された画像が得られる。
【0014】
請求項5に係る発明によれば、会合粒子を含む補給用キャリアを含む補給用現像剤を用いない場合に比べて、表面のガサツキが抑制された画像が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本実施形態に係る会合粒子の断面構造の一例を示す概略模式図である。
【図2】本実施形態に係る画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
【図3】本実施形態における現像装置の一例を示す概略構成図である。
【図4】本実施形態における攪拌搬送装置の一例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
<補給用キャリア>
本実施形態に係る補給用キャリアは、現像手段を用いて潜像保持体上の潜像を現像するに際して、補給用現像剤を補給しながら現像を行なうトリクル現像方式の補給用現像剤に用いられ、芯材と該芯材を被覆する樹脂層とを有する単体粒子が樹脂層を介して結着した会合粒子を含むことを特徴とする。
【0017】
現在、電子写真方式の画像形成は、高画質化のため、トナーは小粒径化もしくは狭粒度分布化に、また、キャリアは現像剤保持体上での現像剤ブラシのより精緻な穂立ち実現のため小粒径化されてきている。キャリアの小径化は、トナーに対してムラ無く帯電するため、高画質化に有利である。しかし、一方でキャリアの小径化により比表面積が大きくなりトナー消費の影響を受けやすく、帯電の低下が発生して長期にわたり安定した帯電を得ることが難しい場合がある。
【0018】
これに対し、現像によって消費されるトナーと一緒にキャリアを補給するトリクル現像システムが前記特許文献1に提案されているが、トナーはトナー補給装置内で最密充填構造をとり易く、密集性が高く成り易い。トナー補給装置内で密集性が高くなると、トナーの取り出し性が低下する。また、過度な密集が発生するとトナーが凝集した状態で取り出される場合があり、低帯電のトナーが発生する。更に、トナーの画像密度によっては、トナーの取り出し性も変動し易くなり、時間が経つにつれて濃度変動が発生する。すなわちトナー画像密度が低いと補給用現像剤カートリッジでの攪拌回数が少なくなり、取り出し性が低くなる。一方、トナー画像密度が高いと補給用現像剤カートリッジでの攪拌回数が多くなり、取り出し性はトナー画像密度が低いときと比べて高くなる。
【0019】
また、トナーの重量平均粒子径よりも大きい球状の磁性キャリア粒子の混合物からなる補給キットが前記特許文献2に提案されているが、トナーの重量平均粒子径よりも大きい球状の磁性キャリア粒子では、時間が経つにつれて密集性が高まってしまい、濃度変動が生じる場合があった。また、磁性キャリア粒子が現像装置内に補給されると、現像剤保持体上に現像剤ブラシが形成される際に、精緻な穂立ちが達成されず、鮮明な画像が得られない場合があった。
【0020】
本実施形態に係る補給用キャリアは、芯材と該芯材を被覆する樹脂層とを有する単体粒子が樹脂層を介して結着した会合粒子を含むことにより、細密充填構造を形成することが防止され、過度な密集が抑制される。その結果、時間が経つにつれての濃度変動が抑制される。これは(1)凝集体の作製を防止、且つ、会合粒子の存在により過度な密集が抑制されており、密集の抑制及び会合粒子の自重によることと、(2)トナー画像密度の変動によるトナー取り出し性の不安定化が抑制されることによるものと考えられる。
【0021】
前記会合粒子は、後述するように補給用現像剤や現像装置(現像手段)において、攪拌搬送部材等により分解され、現像剤保持体上に現像剤ブラシが形成される際には、単一粒子となり、元々現像装置内に収容されていたキャリアと同等の粒径及び形状となるため、精緻な穂立ちが形成され、画像毎の濃度変動を抑制し、更に表面のガサツキが抑制された画像が長期に渡って得られる。
以下、本実施形態に係る補給用キャリアについて、詳細に説明する。
【0022】
前記会合粒子は、2個以上の単体粒子が樹脂層を介して結着した不定形状のキャリア粒子である。この会合粒子は、一の単体粒子の樹脂層の一部分と他の単体粒子の樹脂層の一部分とが固着したり接着したりして一体化し連結した状態のキャリア粒子を意味する。会合粒子は、キャリアに用いられる単体粒子を作製する際の作製条件(具体的には、芯材表面に樹脂層を形成する際の製造条件)を制御することにより作製される。また、この他にも、一旦作製された単体粒子を、樹脂層の融着が起こる程度に加熱処理することなどによっても作製される。
【0023】
図1は、本実施形態に係る会合粒子の断面構造の一例を示す概略模式図である。図1に示すように、2つの単体粒子が樹脂層を介して結着して会合粒子を形成している。ここで、310は第1の単体粒子、312は芯材、314は樹脂層、320は第2の単体粒子、322は芯材、324は樹脂層、330は結着部、340は会合粒子を表す。
図1に示す会合粒子340は、2つの単体粒子310、320を有し、芯材312とこれを被覆する樹脂層314とからなる第1の単体粒子310の樹脂層314の一部分と、芯材322とこれを被覆する樹脂層324とからなる第2の単体粒子320の樹脂層324の一部分とが、連結して結着部330を形成してなるものである。
キャリア粒子が会合粒子、単体粒子のいずれであるのかは、走査型電子顕微鏡を用いてキャリアを観察した際に、キャリア粒子に結着部330が存在するか否かにより容易に判別される。
【0024】
なお、図1に示した例では、2つの単体粒子が結着した会合粒子について示したが、会合粒子を構成する単体粒子の数(以下、「会合数」と称す場合がある)は2個以上あれば特に限定されないが、その上限は15個以下であることが好ましく、10個以下であることがより好ましい。会合数が15個を超えると、この会合粒子の作製が困難となる場合があったり、画質欠陥が発生しやすくなる場合がある。
【0025】
本実施形態に係る補給用キャリアは、上述のように会合粒子を含むがその割合は、単体粒子の粒子数をN1、会合粒子の粒子数をN2としたときに、(N2/(N1+N2)×100)で表すと、30個数%以上95個数%以下が好ましく、50個数%以上90個数%以下がより好ましい。前記会合粒子の割合が30個数%未満であると、細密充填構造の形成を抑制する効果が小さく、画像毎の濃度変動が大きくなる場合があり、95個数%を超えると、画像欠陥が発生する場合がある。
【0026】
ここで、粒子数比N2/(N1+N2)は以下のようにして求めた。まず、走査型電子顕微鏡により観察視野内に観察されるキャリア粒子について、単体粒子か会合粒子かを問わず無差別に100個選択する。続いて、選択したキャリア粒子中100個(すなわちN1+N2個)中に、何個(すなわち、N2個)の会合粒子が存在するかをカウントする。そしてこれらの値から、粒子数比N2/(N1+N2)を計算する。
【0027】
本実施形態に係る補給用キャリアの平均粒径Dtは、50μm以上300μm以下であることが好ましく、60μm以上250μm以下であることがより好ましく、75μm以上200μm以下であることが更に好ましい。補給用キャリアの平均粒径Dtが50μm未満であると、密集抑制の効果が発揮されない場合があり、300μmを超えると、現像剤保持体上に現像剤ブラシを形成する際に、充分に単体粒子へ解砕されず、精緻な穂立ちが形成されない場合がある。また、トナーへのストレスが大きくなる場合がある。
【0028】
ここで、補給用キャリアの平均粒径Dtは、以下のようにして求めた。まず、走査型電子顕微鏡によりキャリアを観察した際に、観察視野内に確認される100個の単体粒子のみを選択する。続いて、個々の単体粒子の面積と同じ面積を有する真円に対応する直径(真円相当径)を求める。最後に、この真円相当径の平均値を求め、これを平均粒径D1とした。また、会合粒子の平均粒径D2についても、上記と同様の手順で求めた。
更に、補給用キャリアの平均粒径Dtは、平均粒径D1及び平均粒径D2から下式(1)に基づいて求めた。
・式(1) Dt=D1×N1/(N1+N2)+D2×N2/(N1+N2)
但し、式(1)中、D1は単体粒子の平均粒径、D2は会合粒子の平均粒径、N1は単体粒子の粒子数、N2は会合粒子の粒子数を意味する。
【0029】
また、本実施形態に係る補給用キャリアは、形状係数が110以上230以下であることが好ましく、130以上220以下であることがより好ましく、140以上200以下であることが更に好ましい。前記形状係数が110未満であると、密集抑制の効果が発揮されない場合があり、230を超えると、現像剤保持体上に現像剤ブラシを形成する際に、充分に単体粒子へ分解されず、精緻な穂立ちが形成されない場合がある。また、トナー消費が顕著に発生するなる場合がある。
【0030】
ここで、補給用キャリアの形状係数は、以下のようにして求めた。走査型電子顕微鏡により観察視野内に観察されるキャリア粒子100個を無作為にサンプリングし、その画像情報をインターフェイスを介して、画像解析装置に導入して解析を行い、下式により算出した。尚、式中、Rは最大長、Sは投影面積を示す。
形状係数=R/S×π/4×100
【0031】
−芯材−
本実施形態に係る補給用キャリアにおける芯材としては、特に制限はなく、公知のキャリア用の芯材が用いられる。例えば、鉄、ニッケル、コバルト等の磁性金属、フェライト、マグネタイト等の磁性酸化物、磁性粉が樹脂中に分散されてなる磁性粉分散型粒子、ガラスビーズ等が挙げられるが、トナーにストレスがかからず、濃度ムラがより抑制される点で、磁性粉分散型粒子が好ましい。前記芯材の体積平均粒径としては、10μm以上150μm以下が好ましく、30μm以上100μm以下がより好ましい。
【0032】
一方、前記磁性粉分散型粒子に用いられる磁性粉としては、従来公知のいずれのものも使用されるが、フェライトやマグネタイト、マグヘマタイトが好ましい。特に、強磁性の磁性粉粒子としては、マグネタイト、マグヘマタイトが選択され、他の磁性粉粒子として、例えば鉄粉が知られている。鉄粉の場合は比重が大きいためトナーを劣化させやすいので、フェライトやマグネタイト、マグヘマタイトの方が安定性に優れている。フェライトの例としては、一般的に下記式(3)で表される。
(MO)(Fe ・・・ 式(3)
(式中、Mは、Cu、Zn、Fe、Mg、Mn、Ca、Li、Ti、Ni、Sn、Sr、Al、Ba、Co、Mo等から選ばれる少なくとも1種を含有する:またX、Yは質量mol比を示し、かつ条件X+Y=100を満たす)
【0033】
上記Mは、Li、Mg、Ca、Mn、Sr、Snの1種もしくは数種の組み合わせで、それら以外の成分の含有量が1質量%以下であるフェライト粒子であることが好ましい。Cu、Zn、Ni元素は添加することにより低抵抗になり易く、電荷リークが起こり易い。また、被覆樹脂し難い傾向にあり、また環境依存性も悪くなる傾向にある。さらに、重金属であり、比重が大きいためかキャリアに与えられるストレスが強くなり、寿命に対し悪影響を与えることがある。
【0034】
また、安全性の観点から近年ではMnやMg元素を含有するものが一般に普及している。フェライト芯材が好適であり、磁性粒子の原料としては、Feを必須成分として用いられる磁性粉分散型樹脂コアに含有される磁性粉粒子としては、マグネタイト、マグヘマイトなどの強磁性酸化鉄粒子粉末、鉄以外の金属(Mn、Ni、Zn、Mg、Cu等)を1種又は2種以上含有するスピネルフェライト粒子粉末、バリウムフェライトなどのマグネットプランバイト型フェライト粒子粉末、表面に酸化被膜を有する鉄や鉄合金の粒子粉末が用いられる。
【0035】
磁性粉として、具体的には、例えばマグネタイト、γ−酸化鉄、Mn−Zn系フェライト、Ni−Zn系フェライト、Mn−Mg系フェライト、Li系フェライト、Cu−Zn系フェライトなどの鉄系酸化物が挙げられる。中でも安価なマグネタイトが、より好ましく用いられる。また、これらの磁性粉は、単種で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
【0036】
磁性粉の体積平均粒径は、0.01μm以上1μm以下の範囲であることが好ましく、0.03μm以上0.5μm以下の範囲であることがより好ましく、0.05μm以上0.35μm以下の範囲であることが更に好ましい。磁性粉の体積平均粒径が0.01μm未満の場合、磁力の低下を招いたり、或いは組成物溶液の粘度が増大し、粒径のムラが無い芯材が得られない場合がある。一方、磁性粉の粒径が1μmを超えると、均質な芯材を得ることができない場合がある。
上記磁性粉の体積平均粒径は、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置により測定する。
【0037】
また、磁性粉の芯材中における含有量としては、30質量%以上98質量%以下の範囲であることが好ましく、45質量%以上95質量%以下の範囲であることがより好ましく、60質量%以上95質量%以下の範囲であることが更に好ましい。含有量が30質量%未満であると、キャリア1個当たりの磁力が低いことから拘束力が得られなくなり、結果として飛散等を招くことがあり、98質量%を越えると、球状化が困難となるだけでなく、強度が低下することがある。また、トナーへのストレスも大きくなり、キャリアの穂が硬くなることがある。
【0038】
磁性粉分散型粒子を構成する樹脂成分としては、架橋されたスチレン系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン−アクリル系共重合樹脂、フェノール系樹脂等が挙げられる。
また、上記キャリアの芯材には、目的に応じて、更にその他の成分を含有していてもよい。その他の成分としては、例えば、帯電制御剤、フッ素含有粒子などが挙げられる。
【0039】
前記磁性粉分散型粒子の製造方法は、例えば、前記磁性粉とスチレンアクリル樹脂等の樹脂とを、バンバリーミキサー、ニーダなどを用いて溶融混練し、冷却した後に粉砕し、分級する溶融混練法(特公昭59−24416号公報、特公平8−3679号公報等)や、結着樹脂のモノマー単位と磁性粉とを溶媒中に分散して懸濁液を調製し、この懸濁液を重合させる懸濁重合法(特開平5−100493号公報等)や、樹脂溶液中に磁性粉を混合分散した後、噴霧乾燥するスプレードライ法などが知られている。
上記の溶融混練法、懸濁重合法、及びスプレードライ法はいずれも、磁性粉をあらかじめ何らかの手段により調製しておき、この磁性粉と樹脂溶液とを混合し、樹脂溶液中に磁性粉を分散させる工程を含む。
【0040】
−樹脂層−
前記芯材を被覆する樹脂層に用いられる樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリ塩化ビニル、ポリビニルエーテル、ポリビニルケトン、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、オルガノシロキサン結合からなるストレートシリコーン樹脂またはその変性品、フッ素樹脂、ポリエステル、ポリカーボネート、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等が例示されるが、これらに限定されるものではない。
【0041】
芯材を被覆する樹脂量は、芯材100質量部に対して0.1質量部以上10質量部以下の範囲が好ましく、0.5質量部以上10質量部以下の範囲が好ましく、1質量部以上5質量部以下がより好ましく、1質量部以上3質量部以下が更に好ましい。
樹脂量が0.5質量部より少ないと、芯材の表面露出が多すぎるため、現像電界が注入しやすくなる場合がある。また樹脂量が10質量部より大きいと、樹脂層から遊離する樹脂粉が多くなり、初期から現像剤中に剥がれたキャリア樹脂粉が含有されるようになってしまう場合がある。
【0042】
樹脂層には、抵抗を制御するためなどの目的で、必要に応じて導電粉が含まれても良い。
導電粉(電気抵抗を低くするために用いる物質)として具体的には例えば、金、銀、銅等の金属粒子;カーボンブラック;ケッチェンブラック;アセチレンブラック;酸化チタン、酸化亜鉛、酸化物粒子(酸化チタン、酸化亜鉛、硫酸バリウム、ホウ酸アルミニウム、チタン酸カリウム粉末等の表面を酸化スズ)、カーボンブラック、金属等で覆った粒子などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0043】
導電粉としては、製造安定性、コスト、電気抵抗を低くする効果等が良好である点で、カーボンブラック粒子が好ましい。
カーボンブラックの種類としては、特に制限はないが、DBP吸油量が50250ml/100g以上250ml/100g以下であるカーボンブラックが、製造安定性に優れて好ましい。
【0044】
導電粉の体積平均粒子径は、0.5μm以下のものが好ましく、0.05μm以上0.5μm以下の範囲内がより好ましく、0.05μm以上0.35μm以下の範囲内が更に好ましい。体積平均粒子径が0.05μmより小さいと、逆に導電粉の凝集性が悪化しキャリア粒子間の体積抵抗に差を生じやすくなり、体積平均粒子径が0.5μmより大きいと、導電粉が樹脂層から脱落しやすく、安定した帯電性が得られなくなる場合性がある。
【0045】
導電粉の体積平均粒子径は、レーザー回析式粒度分布測定装置(LA−700:堀場製作所製)を用いて測定する。
測定法としては、界面活性剤、好適にはアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムの5%水溶液50ml中に測定試料を2g加え、超音波分散機(1,000Hz)にて2分間分散して、試料を作製し、測定する。
得られたチャンネルごとの体積平均粒子径を、体積平均粒子径の小さい方から累積し、累積50%になったところを体積平均粒子径とする。
【0046】
導電粉の体積電気抵抗は、10Ω・cm以上1012Ω・cm以下であることが好ましく、10Ω・cm以上10Ω・cm以下がより好ましい。
また導電粉の体積電気抵抗は、芯材の体積電気抵抗と同様にして測定する。
【0047】
導電粉の含有量は、樹脂層全体に対し、0.05質量%以上1.5質量%以下が好ましく、0.10質量%以上1.0質量%以下がより好ましい。含有量が1.5質量%より大きいと、キャリア抵抗の低下を招き、現像像へのキャリア付着などにより画像欠損を引き起こす場合がある。一方、含有量が0.05質量%より小さいと、キャリアが絶縁化され、現像時、キャリアが現像電極として働きにくくなり、特に黒のベタ画像を形成した際にエッジ効果が出る等、ソリッド画像の再現性が劣る場合がある。
また樹脂層は、他に樹脂粒子を含有しても良い。樹脂粒子としては、例えば、熱可塑性樹脂粒子、熱硬化性樹脂粒子等があげられる。これらの中でも、比較的硬度を上げることが容易な観点から熱硬化性樹脂が好ましく、トナーに負帯電性を付与する観点からは、N原子を含有する含窒素樹脂による樹脂粒子が好ましい。なお、これらの樹脂粒子は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0048】
樹脂粒子の体積平均粒子径としては、例えば、0.1μm以上2.0μm以下が好ましく、0.2μm以上1.0μm以下がより好ましい。樹脂粒子の平均粒径が0.1μm未満であると、樹脂層における樹脂粒子の分散性が非常に悪くなる場合があり、一方、2.0μmを越えると、樹脂層から樹脂粒子の脱落が生じ易く、本来の効果を発揮しなくなることがある。
【0049】
樹脂粒子の体積平均粒子径は、導電粉の体積平均粒子径と同様な測定を行うことによって求められる。
【0050】
樹脂粒子の含有量は、樹脂層全体に対し、1容量%以上50容量%以下であることが好ましく、1容量%以上30容量%以下がより好ましく、1容量%以上20容量%以下が更に好ましい。樹脂粒子の含有率が1容量%よりも少ないと、樹脂粒子の効果が発現しない場合があり、50容量%を超えると、樹脂層からの脱落が生じ易く、安定した帯電性が得られない場合がある。
【0051】
樹脂層による芯材表面の被覆率は95%以上であることが好ましく、98%以上であることがより好ましく、100%であることが最も好ましい。被覆率が95%未満の場合には、長期に渡って使用した場合にキャリアへの電荷注入が発生し、電荷注入が起こったキャリアが静電潜像保持体上へ移行し、画像上に白点が発生してしまう場合がある。
なお、樹脂層の被覆率は、XPS測定(X線光電子分光測定)により求められる。XPS測定装置としては、日本電子製、JPS80を使用し、測定は、X線源としてMgKα線を用い、加速電圧を10kV、エミッション電流を20mVに設定して測定する。
【0052】
−キャリアの諸物性−
キャリアの飽和磁化は、40emu/g以上であることが好ましく、50emu/g以上であることがより好ましい。
磁気特性の測定としての装置は振動試料型磁気測定装置VSMP10−15(東英工業社製)を用いる。測定試料は内径7mm、高さ5mmのセルに詰めて前記装置にセットする。測定は印加磁場を加え、最大1000エルステッドまで掃引する。ついで、印加磁場を減少させ、記録紙上にヒステリシスカーブを作製する。カーブのデータより、飽和磁化、残留磁化、保持力を求める。本発明においては、飽和磁化は1000エルステッドの磁場において測定された磁化を示す。
【0053】
キャリアの体積抵抗率は、1×10Ω・cm以上1×1015Ω・cm以下の範囲に制御されることが好ましく、1×10Ω・cm以上1×1014Ω・cm以下の範囲であることがより好ましく、1×10Ω・cm以上1×1013Ω・cm以下の範囲であることがさらに好ましい。
キャリアの体積電気抵抗が1×1015Ω・cmを超える場合、高抵抗になり、現像時に現像電極として働きにくくなるため、特にベタ画像部でエッジ効果が出るなど、ソリッド再現性が低下する場合がある。一方、1×10Ω・cm未満の場合、低抵抗になるため、現像剤中のトナー濃度が低下した時に現像ロールからキャリアへ電荷が注入し、キャリア自体が現像されてしまう不具合が発生しやすくなる場合がある。
またキャリアの体積電気抵抗は、磁性粒子の体積電気抵抗と同様にして測定を行う。
【0054】
−キャリアの製造方法−
キャリアの作製に際して、芯材の表面に樹脂層を形成する場合、樹脂層を構成する樹脂等の各種成分を適当な溶媒に溶解した樹脂層形成用溶液を用いる。
樹脂層形成用溶液の溶媒としては、特に限定されるものではなく、使用する樹脂や、芯材への樹脂層形成用溶液の塗布方法等を勘案して選択すればよいが、例えば、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;などが挙げられる。
【0055】
具体的な樹脂層の形成方法としては、芯材を樹脂層形成用溶液中に浸漬する浸漬法、樹脂層形成用溶液を芯材表面に噴霧するスプレー法、芯材を流動エアーにより浮遊させた状態で樹脂層形成用溶液を噴霧する流動床法、ニーダーコーター中で芯材と樹脂層形成用溶液とを混合し、溶剤を除去するニーダーコーター法が挙げられる。
【0056】
なお、ニーダーコーター法を利用する場合は、従来の単体粒子のみからなるキャリアを作製する場合と比べて、真空脱気型ニーダー等のコーティング装置の羽回転数をより低回転数側に制御することにより、単体粒子と共に会合粒子が作製される。このため、この方法を利用すれば、本実施形態に係るキャリアを一度に作製される。
【0057】
また、予め作製しておいた単体粒子を用いて、樹脂層が融着する程度の温度で加熱して会合粒子を作製し、篩で分級してこれを単体粒子と混合することによって、本実施形態に係るキャリアが作製される。
【0058】
<補給用現像剤>
本実施形態に係る補給用現像剤は、既述の本実施形態に係る補給用キャリアとトナーを含む二成分現像剤である。二成分現像剤における本実施形態に係る補給用キャリア100質量部に対するトナーの比率は、70質量部以上95質量部以下が好ましい。
【0059】
また、本実施形態に係る補給用キャリアと共に、本実施形態に係る補給用現像剤を構成するトナーは、後述する画像形成に用いる現像剤(初期現像剤)と同じトナーが用いられるが、現像剤保持体表面において精緻な穂立ちを形成し、濃度ムラ及び表面のガサツキが抑制された画像が長期に渡って得られるという効果が発揮される点で、本実施形態に係る補給用現像剤では特に、トナーの体積平均粒子径(Dv)が2.0μm以上7.0μm以下(3.0μm以上6.0μm以下がより好ましい。)であり、該体積平均粒径(Dv)を前記トナーの個数平均粒径(Dn)で割った値が1.0以上1.25以下(1.0以上1.20以下がより好ましい。)となるトナーが好ましい。
【0060】
ここで、前記トナーの体積平均粒子径(Dv)及びトナーの個数平均粒径(Dn)は以下の方法で測定される。
コールターマルチマイザーII(ベックマン−コールター社製)等の測定器を用い、電解液はISOTON‐II(ベックマンーコールター社製)を使用して測定する。
測定に際しては、分散剤として界面活性剤(アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムが好ましい)の5%水溶液2ml中に測定試料を0.5mg以上50mg以下加える。これを電解液100ml以上150ml以下中に添加する。
試料を懸濁した電解液は超音波分散器で1分程度分散処理を行い、前記コールターマルチマイザーII型により、アパーチャー径として100μmアパーチャーを用いて2μm以上60μm以下の範囲の粒径の粒子の粒度分布を測定する。なお、サンプリングする粒子数は50000個である。
得られた粒度分布を基にして分割された粒度範囲(チャネル)に対して体積、数をそれぞれ小径側から累積分布を描いて、累積50%となる粒径を体積平均粒子径(Dv)又は個数平均粒径(Dn)として求める
【0061】
以下、本実施形態に用いられるトナーについてより詳細に説明する。
トナーの結着樹脂としては、エチレン、プロピレン、ブチレン、イソプレン等のモノオレフィン;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル、酪酸ビニル等のビニルエステル;アクリル酸メチル、アクリル酸フェニル、アクリル酸オクチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ドデシル等のα−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルブチルエーテル等のビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類;等の単独重合体又は共重合体等が挙げられる。これらの中でも特に代表的な結着樹脂としては、例えばポリスチレン、スチレン−アクリル酸アルキル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリスチレン、ポリプロピレン等が挙げられる。さらに、ポリエステル、ポリウレタン、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリアミド、変性ロジン等が挙げられる。
【0062】
また結晶性の結着樹脂としては、例えば、メチレン基を6以上直鎖状につなげたアルキル基を主鎖に持つ、ノナンジオール、デカンジオール、ドデカンジオール等のジアルコールとデカンニ酸、ドデカンニ酸等のジカルボン酸との縮合により形成されるポリエステル樹脂や、前記メチレン基を6以上直鎖状につなげたアルキル基を側鎖に持つアクリル酸デシル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸ステアリルを重合単位として有する樹脂などが挙げられる。
【0063】
着色剤としては、特に制限はないが例えば、カーボンブラック、アニリンブルー、カルコイルブルー、クロムイエロー、ウルトラマリンブルー、デユポンオイルレッド、キノリンイエロー、メチレンブルークロリド、フタロシアニンブルー、マラカイトグリーンオキサレート、ランプブラック、ローズベンガル、C.I.ピグメント・レッド48:1、C.I.ピグメント・レッド122、C.I.ピグメント・レッド57:1、C.I.ピグメント・イエロー97、C.I.ピグメント・イエロー12、C.I.ピグメント・ブルー15:1、ピグメント・ブルー15:3等が挙げられる。
【0064】
またトナーは、必要に応じて帯電制御剤を含んでいてもよい。その際、特にカラートナー等に用いる場合には、色調に影響を与えない無色又は淡色の帯電制御剤が好ましい。その帯電制御剤としては、公知のものが使用されるが、アゾ系金属錯体;サルチル酸もしくはアルキルサルチル酸の金属錯体もしくは金属塩;等を用いることが好ましい。
【0065】
さらに、トナーには、必要であれば、オフセットの防止等を目的として、離型剤が含まれていてもよい。
離型剤は例えば、次のものが挙げられる。パラフィンワックス及びその誘導体、モンタンワックス及びその誘導体、マイクロクリスタリンワックス及びその誘導体、フィッシャートロプシュワックス及びその誘導体、ポリオレフィンワックス及びその誘導体等である。誘導体とは酸化物、ビニルモノマーとの重合体、グラフト変性物を含む。この他に、アルコール、脂肪酸、植物系ワックス、動物系ワックス、鉱物系ワックス、エステルワックス、酸アミド等も利用してよい。
【0066】
またトナーは、内部に無機酸化物粒子を添加しても良い。無機酸化物粒子としては例えば、SiO、TiO、Al、CuO、ZnO、SnO、CeO、Fe、MgO、BaO、CaO、KO、NaO、ZrO、CaO・SiO、KO・(TiO)n、Al・2SiO、CaCO、MgCO、BaSO、MgSO等が例示される。これらのうち、特にシリカ粒子、チタニア粒子が好ましい。酸化物粒子の表面は、必ずしも予め疎水化処理されている必要はないが、疎水化処理されていてもよい。疎水化処理されていると、内部の無機粒子の一部がトナー表面に露出した場合においても、帯電の環境依存性およびキャリア汚染性が、効果的に少なく抑えられる。
【0067】
疎水化処理は、疎水化処理剤に無機酸化物を浸漬等することにより行う。疎水化処理剤としては特に制限はないが、例えば、シランカップリング剤、シリコーンオイル、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤等が挙げられる。これらは、一種単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。これらの中でもシランカップリング剤が好適に挙げられる。
【0068】
シランカップリング剤としては、例えばクロロシラン、アルコキシシラン、シラザン、特殊シリル化剤のいずれかのタイプを使用してもよい。具体的には、メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、ジフェニルジクロロシラン、テトラメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、N,O−(ビストリメチルシリル)アセトアミド、N,N−(トリメチルシリル)ウレア、tert−ブチルジメチルクロロシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシピロピルトリメトキシシラン、β−(3、4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
【0069】
疎水化処理剤の量としては、無機酸化物粒子の種類等により異なり一概に規定することはできないが、通常無機酸化物粒子100質量部に対して、5質量部以上50質量部以下が好ましい。
【0070】
またトナーは、無機酸化物粒子をトナー表面に添加してもよい。トナー表面に添加される無機酸化物粒子としては、SiO、TiO、Al、CuO、ZnO、SnO、CeO、Fe、MgO、BaO、CaO、KO、NaO、ZrO、CaO・SiO、KO・(TiO)n、Al・2SiO、CaCO、MgCO、BaSO、MgSO等が例示される。これらのうち、特にシリカ粒子、チタニア粒子が好ましい。酸化物粒子は、表面が予め疎水化処理されていることが望ましい。この疎水化処理によりトナーの粉体流動性改善のほか、帯電の環境依存性、キャリア汚染性が効果的に少なく抑えられる。
【0071】
疎水化処理は、上記と同様に、疎水化処理剤に無機酸化物を浸漬等することにより行う。疎水化処理剤としては特に制限はないが、例えば、シランカップリング剤、シリコーンオイル、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤等が挙げられる。これらは、一種単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。これらの中でもシランカップリング剤が好適に挙げられる。
【0072】
トナーの製造方法は、一般に使用されている混練粉砕法や湿式造粒法等が利用される。ここで、湿式造粒法としては、懸濁重合法、乳化重合法、乳化重合凝集法、ソープフリー乳化重合法、非水分散重合法、in−situ重合法、界面重合法、乳化分散造粒法、凝集・合一法等が用いられる。
【0073】
混練粉砕法でトナーを作製するには、結着樹脂、必要に応じて着色剤やその他の添加剤等を、ヘンシェルミキサー、ボールミル等の混合機により充分混合し、加熱ロール、ニーダー、エクストルーダの如き熱混練機を用いて溶融混練して樹脂類を互いに相溶せしめた中に、赤外線吸収剤、酸化防止剤等を分散又は溶解せしめ、冷却固化後粉砕及び分級を行ってトナーが得られる。
【0074】
<画像形成装置、補給用現像剤カートリッジ>
本実施形態に係る画像形成装置は、潜像保持体と、該潜像保持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、該潜像保持体上の静電潜像をトナーを含む現像剤により現像して、トナー像を形成する現像手段と、該トナー像を被転写体上に転写する転写手段と、該被転写体上に転写されたトナー像を定着する定着手段と、を有し、前記現像に際して、補給用現像剤を補給しながら現像を行なうトリクル現像方式の画像形成装置であり、前記補給用現像剤として、既述の本実施形態に係る補給用現像剤を用いることを特徴とする。
また、本実施形態に係る補給用現像剤カートリッジは、現像手段を用いて潜像保持体上の潜像を現像するに際して、補給用現像剤を補給しながら現像を行なうトリクル現像方式の補給用現像剤を収容し、該補給用現像剤が既述の本実施形態に係る補給用現像剤であることを特徴とする
【0075】
以下、図面を用いて、本実施形態に係る画像形成装置及び補給用現像剤カートリッジを説明する。
図2は本実施形態に係る画像形成装置の一例の基本構成を概略的に示す概略構成図である。図2に示す画像形成装置200は、中間転写方式のカラー画像を形成する画像形成装置である。
図2に示す画像形成装置200は、ハウジング400内において4つの電子写真感光体(潜像保持体)401a乃至401dが中間転写ベルト409に沿って相互に並列に配置されている。
電子写真感光体401a乃至401dは、例えば、電子写真感光体401aがイエロー、電子写真感光体401bがマゼンタ、電子写真感光体401cがシアン、電子写真感光体401dがブラックの色からなる画像をそれぞれ形成される。
【0076】
電子写真感光体401a乃至401dのそれぞれは回転し(紙面上は反時計回り)、その回転方向に沿って帯電ロール402a乃至402d、現像装置(現像手段)404a乃至404d、1次転写ロール(転写手段)410a乃至410d、クリーニングブレード415a乃至415dが配置されている。現像装置404a乃至404dのそれぞれには、補給用現像剤カートリッジ405a乃至405dに収容されたブラック、イエロー、マゼンタ、シアンの4色のトナーそれぞれと、本実施形態に係る補給用キャリアを含む本実施形態に係る補給用現像剤が供給され、また、1次転写ロール410a乃至410dはそれぞれ中間転写ベルト409を介して電子写真感光体401a乃至401dに接している。
【0077】
さらに、ハウジング400内には露光装置403が配置されており、露光装置403から出射された光ビームを帯電後の電子写真感光体401a乃至401dの表面に照射し、電子写真感光体401a乃至401d表面それぞれに静電潜像が形成される。これにより、電子写真感光体401a乃至401dの回転工程において帯電、露光、現像、1次転写、クリーニングの各工程が順次行われ、各色のトナー像が中間転写ベルト409上に重ねて転写される。
【0078】
中間転写ベルト409は駆動ロール406、ロール408及び407により張力をもって支持されており、これらのロールの回転によりたわみを生じることなく回転する。また、2次転写ロール413は、中間転写ベルト409を介してロール408と接するように配置されている。ロール408と2次転写ロール413とに挟まれながら通った中間転写ベルト409は、例えばクリーニングブレード416により清浄面化された後、次の画像形成プロセスに繰り返し供される。
【0079】
また、ハウジング400内には収納部材(被転写媒体収納部材)411が設けられており、収納部材411内の紙などの被転写媒体(被転写体)500が移送ロール412により中間転写ベルト409と2次転写ロール413とに挟まれる位置、さらには相互に接する2個の定着ロール414に挟まれながら順次移送された後、ハウジング400の外部に排紙される。
【0080】
図2に示す画像形成装置200では、現像装置404a乃至404dは、補給用現像剤カートリッジ405a乃至405dから既述の本実施形態に係る補給用現像剤を補給されながら現像を行なう。以下、図2に示す画像形成装置200において、405a乃至405dで表される補給用現像剤カートリッジ、及び404a乃至404dで表される現像装置の好ましい例を説明する。
【0081】
本実施形態における現像装置(現像手段)の一例について図3を用いて説明する。図3は、本実施形態における現像装置の一例を示す概略構成図である。
図3において、現像装置20は、現像領域で静電潜像保持体11に対向して配置されており、例えば、負(−)極性に帯電するトナー及び正(+)極性に帯電するキャリアで構成される2成分現像剤を収容する現像剤収容容器141を有している。現像剤収容容器141は、現像剤収容容器本体141Aとその上端を塞ぐ現像剤収容容器カバー141Bとを有している。
【0082】
現像剤収容容器本体141Bはその内側に、現像ロール(現像剤保持体)142を収容する現像ロール室142Aを有しており、現像ロール室142Aに隣接して、第1攪拌室143Aと第1攪拌室143Aに隣接する第2攪拌室144Aとを有している。また、現像ロール室142A内には、現像剤収容容器カバー141Bが現像剤収容容器本体141Aに装着されたときに現像ロール142表面の現像剤の層厚を規制するための層厚規制部材145が設けられている。
【0083】
第1攪拌室143Aと第2攪拌室144Aとを隔てる仕切り壁141Cにより仕切られており、図示しないが、第1攪拌室143A及び第2攪拌室144Aの仕切り壁141Cの長手方向(現像装置長手方向)両端部には通路が設けられており、第1攪拌室143A及び第2攪拌室144Aによって循環攪拌室(143A+144A)を構成している。
【0084】
そして、現像ロール室142Aには、静電潜像保持体110と対向するように現像ロール142が配置されている。現像ロール142は、図示しないが磁性を有する磁性ロール(固定磁石)の外側にスリーブを設けたものである。第1攪拌室143Aの現像剤は磁性ロールの磁力によって現像ロール142の表面上に吸着されて、現像領域に搬送される。また、現像ロール142はそのロール軸が現像剤収容容器本体141Aに回転自由に支持されている。ここで、現像ロール142と静電潜像保持体110とは、逆方向に回転し、対向部において、現像ロール142の表面上に吸着された現像剤は、静電潜像保持体11の進行方向と同方向から現像領域に搬送するようにしている。
【0085】
また、現像ロール142のスリーブには、不図示のバイアス電源が接続され、現像バイアスが印加されるようになっている(本実施の形態では、現像領域に交番電界が印加されるように、直流成分(DC)に交流成分(AC)を重畳したバイアスを印加)。
【0086】
第1攪拌室143A及び第2攪拌室144Aには現像剤を攪拌しながら搬送する第1攪拌搬送部材143及び第2攪拌搬送部材144が配置されている。第1攪拌部材143は、現像ロール142の軸方向に伸びる第1回転軸と、回転軸の外周に螺旋状に固定された攪拌搬送羽根(突起部)とで構成されている。また、第1攪拌部材143と同様に、第2攪拌部材144も、第2回転軸及び攪拌搬送羽根(突起部)とで構成されている。なお、攪拌部材は現像剤収容容器本体141Aに回転自由に支持されている。そして、第1攪拌部材143及び第2攪拌部材144は、その回転によって、第1攪拌室143A及び第2攪拌室144Aの中の現像剤は互いに逆方向に搬送されるように配設されている。
【0087】
そして、第2攪拌室144Aの長手方向一端側には、供給用トナー及び供給用キャリアを含む供給用現像剤を第2攪拌室144Aへ適宜供給するための現像剤供給手段146の一端が連結されており、現像剤供給手段146の他端には、供給用現像剤を収容している現像剤カートリッジ147が連結されている。また、第2攪拌室144Aの長手方向一端側には、収容している現像剤を適宜排出するための現像剤排出手段148の一端も連結されており、現像剤排出手段148の他端には図示しないが排出した現像剤を回収する現像剤回収容器と連結されている。
【0088】
現像装置20は、現像剤カートリッジ147から現像剤供給手段146を経て供給用現像剤を現像装置20(第2攪拌室144A)へ適宜供給し、古くなった現像剤を現像剤排出手段148から適宜排出する、所謂トリクル現像方式(現像剤の帯電性能の低下を防止して現像剤交換のインターバルを延ばすために、現像装置内に供給用現像剤(トリクル現像剤)を徐々に供給する一方で、過剰になった(劣化したキャリアを多く含む)劣化現像剤を排出しながら現像を行う現像方式である)を採用している。
【0089】
現像剤カートリッジ147は、補給用現像剤150を収容しており、補給用現像剤150を現像装置20に供給する。また、現像剤カートリッジ147は攪拌部材149を有している。この攪拌部材149は必須ではないが、補給用現像剤150をある程度攪拌することにより、現像装置20において、補給用現像剤150における会合粒子が解砕され、現像ロール(現像剤保持体)142表面においてより精緻な穂立ちを形成され、濃度ムラ及び表面のガサツキが抑制された画像が長期に渡って得られるという効果がより顕著になる。攪拌部材148としては、コイル状の部材が挙げられる。
【0090】
本実施形態に係る画像形成装置は、現像手段が攪拌搬送部材を有していることが好ましい。現像手段が攪拌搬送部材を有することにより、現像剤カートリッジ147から供給された補給用現像剤150が攪拌されながら現像ロール142へ搬送されるため、現像ロール142に搬送された補給用現像剤150は、会合粒子が解砕され、現像ロール142表面においてより精緻な穂立ちを形成され、濃度ムラ及び表面のガサツキが抑制された画像が長期に渡って得られるという効果がより顕著になる。
【0091】
前記攪拌搬送部材は、図3に示す現像装置20では、第1攪拌搬送部材143及び第2攪拌搬送部材144が該当する。攪拌搬送部材の形状は、補給用現像剤を現像ロールに攪拌しながら搬送するものであれば特に限定されないが、回転軸と、該回転軸を中心にコイル状に形成された部材と、で構成されていることが好ましい。
【0092】
攪拌搬送部材について、図4を用いて説明する。図4は、本実施形態における攪拌搬送部材の構成を示す斜視図である。攪拌搬送部材は、図4の(A)、(B)に示す通り、回転軸124と、回転軸124周りを螺旋状に形成した羽根126と、で構成され、更に、この羽根126の外周部に回転軸124と平行に、羽根部材128を羽根126の搬送面126Aと反搬送面126Bとを架け渡している。つまり、回転軸124と平行に複数の羽根部材128を1本に連続させた状態で、羽根126の外周部と羽根部材128の外面とが同一面となるように設けている。
【0093】
現像装置20に用いる供給用現像剤150として、既述の本実施形態に係る供給用現像剤を用いる。また、現像装置20に用いる初期現像剤としては、キャリアとトナーを含む二成分現像剤が用いられる。初期現像剤におけるトナーと記キャリアとの混合比(質量比)としては、トナー:キャリア=1:100乃至30:100が好ましく、3:100乃至20:100の範囲がより好ましい。初期現像剤におけるキャリアとしては、既述の本実施形態に係る供給用キャリアと同様のものが好ましく用いられるが、会合していないキャリアも好ましく用いられる。一方、初期現像剤に用いられるトナーとしては、既述の本実施形態に係る補給用現像剤におけるトナーと同様のものが用いられる。
【実施例】
【0094】
以下に、本発明を実施例を挙げてより詳細に説明する。但し、本発明は以下の実施例にのみ限定されるものではない。なお、以下の説明において「部」は「質量部」を意味する。
【0095】
(芯材粒子(A)の作製)
ヘンシェルミキサーに体積平均粒径0.40μmの球状マグネタイト粒子粉500部を投入し、攪拌した後、チタンネートカップリング剤5部を添加し、約100℃まで昇温し30分間混合攪拌することによりチタネート系カップリング剤被覆された球状マグネタイト粒子を得た。
次に、1Lの四つ口フラスコに、フェノール55部、35%ホルマリン70部、上記球状マグネタイト粒子500部、アンモニア水18部、水55部をいれ、攪拌混合した。次に、攪拌しながら50分間で85℃に上昇させ、同温度で3時間反応させた。その後、25℃まで冷却し、500mlの水を添加した後、上澄み液を除去、沈殿物を水洗、乾燥させ、体積平均粒径29.3μmの球状の芯材粒子(A)を得た。
【0096】
(芯材粒子(B)の作製)
ヘンシェルミキサーに体積平均粒径0.60μmの球状マグネタイト粒子粉500部を投入し、攪拌した後、チタンネートカップリング剤10部を添加し、約100℃まで昇温し30分間混合攪拌することによりチタネート系カップリング剤被覆された球状マグネタイト粒子を得た。
次に、1Lの四つ口フラスコに、フェノール55部、ホルマリン70部、上記球状マグネタイト粒子500部、アンモニア水18部、水55部をいれ、攪拌混合した。次に、攪拌しながら70分間で85℃に上昇させ、同温度で3時間反応させた。その後、25℃まで冷却し、500mlの水を添加した後、上澄み液を除去、沈殿物を水洗、乾燥させ、体積平均粒径65μmの球状の芯材粒子(B)を得た。
【0097】
(芯材粒子(C)の作製)
ヘンシェルミキサーに体積平均粒径0.60μmの球状マグネタイト粒子粉250部を投入し、攪拌した後、チタンネートカップリング剤5部を添加し、約100℃まで昇温し30分間混合攪拌することによりチタネート系カップリング剤被覆された球状マグネタイト粒子aを得た。また、別のヘンシェルミキサーに体積平均粒径0.40μm球状マグネタイト粒子粉250gを投入し、撹拌した後、チタンネートカップリング剤15部を添加し、約100℃まで昇温し30分間混合撹拌することによりチタネート系カップリング剤処理されたマグネタイト粒子bを得た。
【0098】
次に、1Lの四つ口フラスコに、フェノール55部、ホルマリン70部、親油化処理された上記球状マグネタイト粒子a250部とマグネタイト粒子b250部とアンモニア水18部、水55部を攪拌混合した。次に、攪拌しながら70分間で90℃に上昇させ、同温度で3時間反応させた。その後、25℃まで冷却し、500mlの水を添加した後、上澄み液を除去、沈殿物を水洗、乾燥させ、体積平均粒径67mの球状の芯材粒子(C)を得た。
【0099】
(被覆層形成用原料溶液の調製)
下記成分を60分間スターラーにて撹拌/分散し、被覆層形成用原料溶液(1)を調製した。
・トルエン:85部
・スチレン−メタクリレート共重合体(成分比30:70):15部
・カーボンブラック(キャボット社製、商品名:R330):1.8部
【0100】
下記成分を60分間スターラーにて撹拌/分散し、被覆層形成用原料溶液(2)を調製した。
・トルエン:85部
・スチレン−メタクリレート共重合体(成分比30:70):15部
・カーボンブラック(キャボット社製、商品名:R330):3.0部
【0101】
初期現像剤用キャリアAの製造
(キャリアAの製造)
樹脂層形成用溶液(1)100部と、芯材粒子(A)500部と、を真空脱気装置を付け加えた卓上型ニーダー(Irie Shokai Co.,Ltd社製、PNV−1H)に入れ温度60℃に保って羽回転数50rpmで10分間攪拌した後、減圧してトルエンを留去した後冷却し、75μmの篩を用いて分粒することによりキャリア(A)を得た。平均粒径は37μmで、形状係数は104であった。
【0102】
(キャリア1の製造)
樹脂層形成用溶液(1)100部と、芯材粒子(A)500部と、を真空脱気装置を付け加えた卓上型ニーダー(Irie Shokai Co.,Ltd社製、PNV−1H)に入れ温度60℃に保って羽回転数15rpmで10分間攪拌した後、減圧してトルエンを留去した後冷却し、75μmの篩を用いて分粒することによりキャリア(1)を得た。得られたキャリア(1)を走査型電子顕微鏡で観察したところ、観察視野内のキャリア粒子の樹脂層を介した会合粒子の比率(N2/(N1+N2)×100)は70個数%であった。また、平均粒子径は既述の方法で100個をサンプリングして求めた(以下のキャリアも同様)。平均粒径は65μmで、形状係数は120であった。
【0103】
(キャリア2の製造)
樹脂層形成用溶液(1)100部と、芯材粒子(A)500部と、を真空脱気装置を付け加えた卓上型ニーダー(Irie Shokai Co.,Ltd社製、PNV−1H)に入れ温度60℃を保って羽回転数10rpmで10分間攪拌した後、減圧してトルエンを留去した後冷却し、180μmの篩を用いて分粒することによりキャリア(2)を得た。得られたキャリア(2)を走査型電子顕微鏡で観察したところ、会合粒子の比率(N2/(N1+N2)×100)は75個数%であった。また、平均粒径は153μmで、形状係数は112であった。
【0104】
(キャリア3の製造)
樹脂層形成用溶液(2)100部と、芯材粒子(A)500部とを、真空脱気装置を付け加えた卓上型ニーダー(Irie Shokai Co.,Ltd社製、PNV−1H)に入れ温度60℃を保って羽回転数10rpmで10分間攪拌した後、減圧してトルエンを留去した後冷却し、180μmの篩を用いて分粒することによりキャリア(3)を得た。得られたキャリア(3)を走査型電子顕微鏡で観察したところ、会合粒子の比率(N2/(N1+N2)×100)は80個数%であった。平均粒径は156μmで、形状係数は170であった。
【0105】
(キャリア4の製造)
樹脂層形成用溶液(2)100部と、芯材粒子(A)500部と、を真空脱気装置を付け加えた卓上型ニーダー(Irie Shokai Co.,Ltd社製、PNV−1H)に入れ温度60℃を保って羽回転数10rpmで10分間攪拌した後、減圧してトルエンを留去した後冷却し、355μmの篩を用いて分粒し、分粒して得た粒子を250μmの篩を通し網上のキャリア(4)を得た。得られたキャリア(4)を走査型電子顕微鏡で観察したところ、会合粒子の比率(N2/(N1+N2)×100)は70個数%であった。また、平均粒径は285μmで、形状係数は130であった。
【0106】
(キャリア5の製造)
樹脂層形成用溶液(1)100部と、芯材粒子(B)500部と、を真空脱気装置を付け加えた卓上型ニーダー(Irie Shokai Co.,Ltd社製、PNV−1H)に入れ温度60℃を保って羽回転数25rpmで10分間攪拌した後、減圧してトルエンを留去した後冷却し、75μmの篩を用いて分粒することによりキャリア(5)を得た。得られたキャリア(5)を走査型電子顕微鏡で観察したところ、観察視野内のキャリア粒子は単一粒子であることを確認した。また、平均粒径は67μmで、形状係数は104であった。
【0107】
(キャリア6の製造)
樹脂層形成用溶液(1)100部と、芯材粒子(C)500部と、を真空脱気装置を付け加えた卓上型ニーダー(Irie Shokai Co.,Ltd社製、PNV−1H)に入れ温度60℃を保って羽回転数25rpmで10分間攪拌した後、減圧してトルエンを留去した後冷却し、75μmの篩を用いて分粒することによりキャリア(6)を得た。得られたキャリア(6)を走査型電子顕微鏡で観察したところ、観察視野内のキャリア粒子は単一粒子であることを確認した。また、平均粒径は65μmで、形状係数は113であった。
【0108】
(キャリア7の製造)
樹脂層形成用溶液(2)100部と、芯材粒子(A)500部とを、真空脱気装置を付け加えた卓上型ニーダー(Irie Shokai Co.,Ltd社製、PNV−1H)に入れ温度60℃を保って羽回転数25rpmで10分間攪拌した後、減圧してトルエンを留去した後冷却し、53μmの篩を用いて分粒することによりキャリア(7)を得た。キャリアを走査型電子顕微鏡で観察したところ、会合粒子の比率(N2/(N1+N2)×100)は25個数%であった。また、平均粒径は43.5μmで、形状係数は117であった
【0109】
(キャリア8の製造)
樹脂層形成用溶液(2)100部と、シランカップリング剤処理された芯材粒子(A)500部と、を真空脱気装置を付け加えた卓上型ニーダー(Irie Shokai Co.,Ltd社製、PNV−1H)に入れ温度60℃を保って羽回転数10rpmで10分間攪拌した後、減圧してトルエンを留去した後冷却し、355μmの篩を用いて分粒し、分粒して得た粒子を300μmの篩を通し網上のキャリア(8)を得た。得られたキャリア(8)を走査型電子顕微鏡で観察したところ、会合粒子の比率(N2/(N1+N2)×100)は95個数%であった。また、平均粒径は320μmで、形状係数は150であった。
【0110】
(トナーAの作製)
体積平均粒子径(Dv)が5.6μmで、体積平均粒径(Dv)を個数平均粒径(Dn)で割った値が1.20であるトナーAを用意した。
【0111】
(トナーBの作製)
体積平均粒子径(Dv)が7.5μmで、体積平均粒径(Dv)を個数平均粒径(Dn)で割った値が1.24であるトナーBを用意した。
【0112】
(トナーCの作製)
体積平均粒子径(Dv)が5.8μmで、体積平均粒径(Dv)を個数平均粒径(Dn)で割った値が1.3であるトナーCを用意した。
【0113】
<実施例1乃至8、比較例1乃至2>
画像形成装置として、補給用現像剤カートリッジを備えた富士ゼロックス社製DocuCentre Color400(DCC400)の改造機を用いた。表1に示す組み合わせのトナー及びキャリアAを、トナー20部、キャリア200部の比率でVブレンダーに投入して混合し、これを初期現像剤としてDCC400の改造機に収容した。一方、同じ種類のトナー及び表1に示すキャリアを、トナー300部、キャリア30部の比率でVブレンダーに投入して混合し、補給用現像剤として前記補給用現像剤カートリッジDCC400の改造機に収容した。
【0114】
(濃度変動)
次に、2cm×2cmのベタ画像を、現像装置内における現像剤のトナー濃度が初期の値を維持するように、補給用現像剤を補給しながら5000枚印刷した。その際、500枚毎にベタ画像の濃度を反射濃度計X−rite社製のX−rite404にて測定した。測定したベタ画像の濃度からMax濃度値とMin濃度値を求め、以下の基準で濃度変動を評価した。その結果を表1に示す。
◎:Max濃度値とMin濃度値の差分が0.3未満。
○:Max濃度値とMin濃度値の差分が0.3以上0.5未満。
△:Max濃度値とMin濃度値の差分が0.5以上0.8未満。
×:Max濃度値とMin濃度値の差分が0.8以上。
【0115】
(画像表面のガサツキ)
上記濃度変動の評価で得られたベタ画像それぞれについて、目視及びルーペにて以下の基準で画像表面のガサツキを評価した。その結果を表1に示す。
◎:目視レベルでガサツキが全く見られず、ルーペで覗いてもガサツキが見られない。
○:目視レベルではガサツキは無いように見られるが、ルーペで覗くと一部ガサツキが見 られる。
△:目視レベルで一部ガサツキが見られる。
×:目視レベルでガサツキがはっきり見られる。
【0116】
【表1】

【符号の説明】
【0117】
20、404a乃至404d 現像装置
147、405a乃至405d 補給用現像剤カートリッジ
200 画像形成装置
310 第1の単体粒子
312 芯材
314 樹脂層
320 第2の単体粒子
322 芯材
324 樹脂層
330 結着部
340 会合粒子
400 ハウジング
404a乃至404d 現像装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
現像手段を用いて潜像保持体上の潜像を現像するに際して、補給用現像剤を補給しながら現像を行なうトリクル現像方式の補給用現像剤に用いられ、
芯材と該芯材を被覆する樹脂層とを有する単体粒子が樹脂層を介して結着した会合粒子を含むことを特徴とする補給用キャリア。
【請求項2】
平均粒径が50μm以上300μm以下であることを特徴とする請求項1に記載の補給用キャリア。
【請求項3】
トナーと、請求項1又は請求項2に記載の補給用キャリアと、を含むことを特徴とする補給用現像剤。
【請求項4】
現像手段を用いて潜像保持体上の潜像を現像するに際して、補給用現像剤を補給しながら現像を行なうトリクル現像方式の補給用現像剤を収容し、該補給用現像剤が請求項3に記載の補給用現像剤であることを特徴とする補給用現像剤カートリッジ。
【請求項5】
潜像保持体と、該潜像保持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、該潜像保持体上の静電潜像をトナーを含む現像剤により現像して、トナー像を形成する現像手段と、該トナー像を被転写体上に転写する転写手段と、該被転写体上に転写されたトナー像を定着する定着手段と、を有し、
前記現像に際して、補給用現像剤を補給しながら現像を行なうトリクル現像方式の画像形成装置であり、
前記補給用現像剤として、請求項3に記載の補給用現像剤を用いることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−230873(P2010−230873A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−76989(P2009−76989)
【出願日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】