説明

製剤入り容器及びその製造方法

【課題】 本発明は、開封後の常温保管で微生物の生育を長期間抑制することが可能な製剤入り容器及び該製剤入り容器の製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】 製剤入り容器は、汚染防止機構が設けられた容器に、微生物の生育を抑制する成分を含有する製剤を、滅菌環境下で充填してなる。製剤入り容器の製造方法は、60℃以上70℃以下の温度で上記の製剤を上記の容器に充填する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製剤入り容器及び製剤入り容器の製造方法に係わり、開封後の常温保管で1か月以上微生物の生育を抑制することが可能な製剤入り容器及び製剤入り容器の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、微生物の生育を抑制することを目的として配合される防腐剤、防カビ剤、殺菌剤、顔料、色素、香料等の添加物は、皮膚刺激を惹起する場合があることが知られている。皮膚刺激を可能な限り低減する目的で、これらの添加物が添加されていない無添加の化粧品、医薬部外品又は医薬品では、開封後は、使用時に手指、外気等と接触することにより、微生物に汚染され、常温において長期保管することが難しかった。
【0003】
したがって、無添加の化粧品、医薬部外品又は医薬品は、冷蔵庫に保管して使用することで微生物の生育を抑制するか、短期間で消費される小容量の容器を用いることで微生物汚染の機会を減少させることにより、使用されてきた。
【0004】
一方、2価アルコール及び抗菌作用を有する植物抽出液を組み合わせることにより、抗菌活性を向上させ、かつ皮膚に対する刺激性の低い皮膚外用剤が得られることが知られている(特許文献1参照)。また、ポンプ内の貯留空間に流入した内容物の容器本体への逆流を防止し、不使用時に吐出口が閉じられているディスペンサー容器が知られている(特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2002−145793号公報
【特許文献2】特開2003−81311号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示されている方法では、開封後の常温保管で微生物の生育を長期間抑制することができない。また、特許文献2に開示されている容器では、内容物を外部に放出した後に減圧状態となった容器本体に外気を導入する仕組みであるために、外気と共に微生物を導入する問題がある。
【0006】
本発明は、上記の従来技術が有する問題に鑑み、開封後に常温保管で微生物の生育を長期間抑制することが可能な製剤入り容器及び該製剤入り容器の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、製剤入り容器において、汚染防止機構が設けられた容器に、微生物の生育を抑制する成分を含有する製剤を、滅菌環境下で充填してなることを特徴とする。
【0008】
請求項1に記載の発明によれば、汚染防止機構が設けられた容器に、微生物の生育を抑制する成分を含有する製剤を、滅菌環境下で充填してなるので、開封後に常温保管で微生物の生育を長期間抑制することが可能な製剤入り容器を提供することができる。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の製剤入り容器において、前記汚染防止機構は、前記容器の吐出口を弁部材で開閉する機構及び前記容器のポンプに吸入された前記製剤が逆流しない機構の少なくとも一方を含有する。
【0010】
請求項2に記載の発明によれば、前記汚染防止機構は、前記容器の吐出口を弁部材で開閉する機構及び前記容器のポンプに吸入された前記製剤が逆流しない機構の少なくとも一方を含有するので、吐出口から容器内部に外気が侵入することを抑制することができる。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の製剤入り容器において、前記容器は、内部に前記製剤が収容されている製剤収容部を有し、前記製剤の吐出に伴って前記製剤収容部の容積が減少する構成であることを特徴とする。
【0012】
請求項3に記載の発明によれば、前記容器は、内部に前記製剤が収容されている製剤収容部を有し、前記製剤の吐出に伴って前記製剤収容部の容積が減少する構成であるので、容器内部に外気が侵入することを抑制することができる。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の製剤入り容器において、前記微生物の生育を抑制する成分は、エタノール又はエタンジオール、プロパンジオール、ブタンジオール、ペンタンジオール及びヘキサンジオールからなる群より選択されるジオール化合物を含有することを特徴とする。
【0014】
請求項4に記載の発明によれば、前記微生物の生育を抑制する成分は、エタノール又はエタンジオール、プロパンジオール、ブタンジオール、ペンタンジオール及びヘキサンジオールからなる群より選択されるジオール化合物を含有するので、皮膚への刺激性が低い状態で微生物の生育を抑制することができる。
【0015】
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の製剤入り容器において、前記微生物の生育を抑制する成分は、ウイキョウ抽出液、タイム抽出液、オウレン抽出液、オウバク抽出液及びオウゴン抽出液からなる群より選択される植物抽出液を含有することを特徴とする。
【0016】
請求項5に記載の発明によれば、前記微生物の生育を抑制する成分は、ウイキョウ抽出液、タイム抽出液、オウレン抽出液、オウバク抽出液及びオウゴン抽出液からなる群より選択される植物抽出液を含有するので、皮膚への刺激性が低い状態で微生物の生育を抑制することができる。
【0017】
請求項6に記載の発明は、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の製剤入り容器において、前記製剤は、化粧品、医薬部外品又は医薬品であることを特徴とする。
【0018】
請求項6に記載の発明によれば、前記製剤は、化粧品、医薬部外品又は医薬品であるので、開封後に常温保管で長期間微生物の生育を抑制することが可能な化粧品、医薬部外品又は医薬品を得ることができる。
【0019】
請求項7に記載の発明は、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の製剤入り容器の製造方法において、60℃以上70℃以下の温度で前記製剤を前記容器に充填することを特徴とする。
【0020】
請求項7に記載の発明によれば、60℃以上70℃以下の温度で前記製剤を前記容器に充填するので、開封後に常温保管で長期間微生物の生育を抑制することが可能な製剤入り容器の製造方法を提供することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、開封後に常温保管で長期間微生物の生育を抑制することが可能な製剤入り容器及び該製剤入り容器の製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
次に、本発明を実施するための最良の形態を図面と共に説明する。
【0023】
図1は、本発明の第一の実施形態である製剤入り容器10Aを示す。製剤収容部としての繰り上げ式内筒11の上部にキャップ13を備え、このキャップ13に取り付けたポンプ20と連通するノズル31をスパウト30に取り付け、このスパウト30を摺動自在となるようにキャップ13に取り付け、このキャップ13とスパウト30に摺動自在となるようにスパウトカバー40を取り付けている。
【0024】
キャップ13は、その頂部にスパウトカバー40を支える外側ガイド壁13aが備えられ、外側ガイド壁13aの内側にスパウト30を摺動自在に支える内側ガイド壁13bが備えられている。スパウト30の内側には、ピストン22が支えられており、ピストン22の下方にシリンダ21が摺動自在に取り付けられている。
【0025】
さらに、スパウト30には、ノズル31が備えられ、吐出口32を開閉する口元シール弁33も備えられる。口元シール弁33は、吐出口32を閉じる位置にスプール33aを保持するためのスプリング34が備えられ、吐出口32を開く位置にスプール33aを移動させるための従動カム面33bが備えられている。
【0026】
スパウトカバー40は、円筒体であって、キャップ13の外側ガイド壁13aの内周に沿って、スパウトカバー40の外周が摺動自在に形成され、スパウト30の外周に沿って、スパウトカバー40の内周が摺動自在に形成されている。また、スパウトカバー40にはカム部41が備えられ、カム部41が従動カム面33bに当接している。
【0027】
ポンプ20は、キャップ13に取り付けたシリンダ21と、このシリンダ21に摺動自在に配置されたピストン22とからなり、シリンダ21には下側流路21aを開閉するボール弁23が設けられ、ピストン22には上側流路22aを開閉するボール弁24が設けられ、ピストン22を上方に向けて付勢するスプリング25が備えられている。
【0028】
次に、製剤入り容器10Aの動作を説明する。製剤入り容器10Aの不使用時の状態においては、ピストン22は、スプリング25の張力で上方に付勢され、キャップ13に当接している。
【0029】
また、ピストン22の上側流路22aは、ボール弁24で閉じられていると共に、シリンダ21の下側流路21aは、ボール弁23で閉じられ、ポンプ20の貯溜空間26には製剤50が充填されている。さらに、スプール33aは、スプリング34で付勢され、吐出口32に当接して閉じている。また、スパウトカバー40は、カム部41が従動カム面33bで押圧されて、持ち上げられた状態に保たれている。
【0030】
次に、製剤入り容器10Aを使用する状態では、スパウトカバー40を押し下げることにより、カム部41で従動カム面33bを押圧し、スプール33aがスプリング34の張力に抗して吐出口32から離れる方向に移動して吐出口32が開けられる。
【0031】
スパウトカバー40を継続して押し下げると、スパウト30が下降を開始するが、スパウト30が下降することで、ピストン22が押し下げられて貯溜空間26の内圧が高まり、ボール弁24が上昇してピストン22の上側流路22aを開口することになる。
【0032】
これにより、貯溜空間26内の製剤50は、上側流路22aからノズル31に流出し、吐出口32から吐出されることになる。このとき、シリンダ21の下側流路21aは、ボール弁23で閉じられているので、繰り上げ式内筒11内の製剤50が貯溜空間26に流入することはなく、また貯留空間26内の製剤50が繰り上げ式内筒11に逆流することもない。
【0033】
次に、スパウトカバー40の押し下げを解除すると、スプリング25の張力でピストン22が上方に移動するのに伴い、貯溜空間26の内圧が低下し、ノズル31とボール弁24との間の流路に残留した製剤50を、その自重で効率よく貯溜空間26に戻すことができる。また、貯溜空間26の内圧が低下することで、ボール弁24が自重で降下してピストン22の上側流路22aを閉じる。
【0034】
ピストン22がある程度上昇してボール弁24が上側流路22aを閉じた後は、ピストン22が継続して上昇することで、貯溜空間26の内圧がさらに低下する。これにより、ボール弁23が上昇してシリンダ21の下側流路21aが開き、繰り上げ式内筒11内の製剤50が貯溜空間26に流入する。
【0035】
なお、繰り上げ式内筒11内の製剤50が下側流路21aから貯溜空間26に流入することで、繰り上げ式内筒11内の内圧が低下するが、可動底部11aが繰り上げ式内筒11の内周に密接しながら繰り上がって容積を減少させることにより、繰り上げ式内筒11は、元の圧力に戻る。続いて、ピストン22が最上位まで上昇することで、吐出口32がスプール33aで閉じられる。なお、繰り上げ式内筒11は、製剤との反応性を有さないことが好ましく、可動底部11aの摺動に対する耐久性を有することがさらに好ましい。
【0036】
このように、製剤入り容器10Aは、不使用時においては、吐出口32が閉じられており、使用する際は、製剤50が貯留空間26から繰り上げ式内筒11に逆流しない構成となっているため、外気中の微生物の流入を抑制することができる。このため、微生物の生育を抑制する成分を含有する製剤を、滅菌環境下で充填することにより、開封後に常温保管で長期間微生物の生育を抑制することが可能な製剤入り容器を得ることができる。
【0037】
なお、図1では、可動底部11aが摺動する繰り上げ式内筒11を示したが、可動頂部が摺動する繰り下げ式内筒を用いても構わない。
【0038】
図2は、本発明の第二の実施形態である製剤入り容器10Bを示し、製剤収容部が繰り上げ式内筒11から内袋12に替わっている以外は、製剤入り容器10Aと同様である。このため、製剤入り容器を使用する際の押圧操作も上記と同様であるが、内袋12の内圧が内袋12の収縮により、元の圧力状態に戻る点が異なる。なお、内袋12は、製剤との反応性を有さず、収縮性を有することが好ましく、耐久性を有することがさらに好ましい。製剤入り容器10Bも、外気中の微生物の流入を抑制することができる。これにより、微生物の生育を抑制する成分を含有する製剤を、滅菌環境下で充填することにより、開封後に常温保管で長期間微生物の生育を抑制することが可能な製剤入り容器を得ることができる。
【0039】
本発明で用いられる製剤は、微生物の生育を抑制する成分を含有する。微生物の生育を抑制する成分としては、1価又は2価のアルコール、植物抽出液等が挙げられる。その中でも、1価又は2価のアルコールとしては、エタノール又はエタンジオール、プロパンジオール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオールからなる群より選択されるジオール化合物を含有することが好ましく、植物抽出液としては、ウイキョウ抽出液、タイム抽出液、オウレン抽出液、オウバク抽出液及びオウゴン抽出液からなる群より選択される植物抽出液を含有することが好ましい。このような微生物の生育を抑制する成分は、単独又は2種以上を混合して用いることができる。製剤の重量に対する1価又は2価のアルコールの重量の比は、0.1〜25重量%であることが好ましく、0.5〜15重量%が特に好ましい。また、製剤の重量に対する植物抽出液の乾燥固形分の重量の比は、0.0001〜5重量%であることが好ましく、0.001〜1重量%が特に好ましい。これにより、皮膚への刺激性が低い状態で微生物の生育を抑制することができる。
【0040】
本発明で用いられる製剤は、化粧品、医薬部外品又は医薬品であることが好ましい。これにより、開封後に常温保管で長期間微生物の生育を抑制することが可能な化粧品、医薬部外品又は医薬品を得ることができる。
【0041】
本発明で用いられる製剤には、上記の成分以外の各種原料を、本発明の特性を損なわない限り、任意に配合することができる。それらの原料としては、油分、保湿剤、金属イオン封鎖剤、界面活性剤、水溶性高分子、中和剤、pH調整剤、酸化防止剤、薬剤等が挙げられる。
【0042】
油分は、極製油と非極性油に分類され、非極性油としては、炭化水素油又はシリコーン油等が使用できる。炭化水素油としては、流動パラフィン、オゾケライト、スクワラン、スクワレン、プリスタン、パラフィン、イソパラフィン、セレシン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス等が挙げられる。シリコーン油としては、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン等の鎖状シリコーン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等の環状シリコーン等が挙げられる。
【0043】
極性油には、各種エステル油があり、オクタン酸セチル等のオクタン酸エステル、ラウリン酸ヘキシル等のラウリン酸エステル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル等のミリスチン酸エステル、パルミチン酸オクチル等のパルミチン酸エステル、ステアリン酸イソセチル等のステアリン酸エステル、イソステアリン酸イソプロピル等のイソステアリン酸エステル、イソパルミチン酸オクチル等のイソパルミチン酸エステル、オレイン酸イソデシル等のオレイン酸エステル、アジピン酸ジイソプロピル等のアジピン酸ジエステル、セバシン酸ジエチル等のセバシン酸ジエステル、リンゴ酸ジイソステアリル等が挙げられる。
【0044】
保湿剤としては、ポリエチレングリコール、ヘキシレングリコール、グリセリン、エリスリトール、ジグリセリン、キシリトール、マルチトール、マルトース、D−マンニット、水アメ、ブドウ糖、果糖、乳糖、コンドロイチン硫酸ナトリウム、ヒアルロン酸ナトリウム、アデノシンリン酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、胆汁酸塩、ピロリドンカルボン酸塩、グルコサミン、シクロデキストリン、トレハロース等が挙げられる。
【0045】
金属イオン封鎖剤としては、アラニン、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム等が挙げられる。
【0046】
界面活性剤としては、アニオン性界面活性剤、親油性非イオン性界面活性剤、親水性非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤等のいずれも使用することができる。アニオン性界面活性剤としては、セッケン用素地、ラウリン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム等の脂肪酸セッケン、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸カリウム等の高級アルキル硫酸エステル塩、POEラウリル硫酸トリエタノールアミン、POEラウリル硫酸ナトリウム等のアルキルエーテル硫酸エステル塩が挙げられる。また、ラウロイルサルコシンナトリウム等のN−アシルサルコシン酸、N−ミリストイル−N−メチルタウリンナトリウム、ヤシ油脂肪酸メチルタウリッドナトリウム、ラウリルメチルタウリッドナトリウム等の高級脂肪酸アミドスルホン酸塩、POEオレイルエーテルリン酸ナトリウム、POEステアリルエーテルリン酸等のリン酸エステル塩、ジ−2−エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウム、モノラウロイルモノエタノールアミドポリオキシエチレンスルホコハク酸ナトリウム、ラウリルポリプロピレングリコールスルホコハク酸ナトリウム等のスルホコハク酸塩も挙げられる。さらに、リニアドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、リニアドデシルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミン、リニアドデシルベンゼンスルホン酸等のアルキルベンゼンスルホン酸塩、N−ラウロイルグルタミン酸モノナトリウム、N−ステアロイルグルタミン酸ジナトリウム、N−ミリストイル−L−グルタミン酸モノナトリウム等のN−アシルグルタミン酸塩、硬化ヤシ油脂肪酸グリセリン硫酸ナトリウム等の高級脂肪酸エステル硫酸エステル塩も挙げられる。これらの他に、ロート油等の硫酸化油、POEアルキルエーテルカルボン酸、POEアルキルアリルエーテルカルボン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、高級脂肪酸エステルスルホン酸塩、2級アルコール硫酸エステル塩、高級脂肪酸アルキロールアミド硫酸エステル塩、ラウロイルモノエタノールアミドコハク酸ナトリウム、N−パルミトイルアスパラギン酸ジトリエタノールアミン、カゼインナトリウム等も挙げられる。
【0047】
親油性非イオン性界面活性剤としては、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノイソステアレート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンセスキオレエート、ソルビタントリオレエート、ペンタ−2−エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン、テトラ−2−エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン等のソルビタン脂肪酸エステル類が挙げられる。さらに、モノ綿実油脂肪酸グリセリン、モノエルカ酸グリセリン、セスキオレイン酸グリセリン、モノステアリン酸グリセリン、α,α’−オレイン酸ピログルタミン酸グリセリン、モノステアリン酸グリセリン等のモノグリセリン及びポリグリセリン脂肪酸類、モノステアリン酸プロピレングリコール等のプロピレングリコール脂肪酸エステル類、硬化ヒマシ油誘導体、グリセリンアルキルエーテル等も挙げられる。
【0048】
親水性非イオン性界面活性剤としては、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン等のPOEソルビタン脂肪酸エステル類、POE−ソルビットモノラウレート、POE−ソルビットモノオレエート、POE−ソルビットペンタオレエート、POE−ソルビットモノステアレート等のPOEソルビット脂肪酸エステル類、POE−グリセリンモノステアレート、POE−グリセリンモノイソステアレート、POE−グリセリントリイソステアレート等のPOEグリセリン脂肪酸エステル類が挙げられる。また、POEモノオレエート、POEジステアレート、POEモノジオレエート、ジステアリン酸エチレングリコール等のPOE脂肪酸エステル類、POEラウリルエーテル、POEオレイルエーテル、POEステアリルエーテル、POEベヘニルエーテル、POE2−オクチルドデシルエーテル、POEコレスタノールエーテル等のPOEアルキルエーテル類、POEオクチルフェニルエーテル、POEノニルフェニルエーテル、POEジノニルフェニルエーテル等のPOEアルキルフェニルエーテル類、ブルロニック等のプルアロニック型類も挙げられる。さらに、POE・POPセチルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンデシルテトラデシルエーテル、POE・POPモノブチルエーテル、POE・POP水添ラノリン、POE・POPグリセリンエーテル等のPOE・POPアルキルエーテル類、テトロニック等のテトラPOE・テトラPOPエチレンジアミン縮合物類、POEヒマシ油、POE硬化ヒマシ油、POE硬化ヒマシ油モノイソステアレート、POE硬化ヒマシ油トリイソステアレート、POE硬化ヒマシ油モノピログルタミン酸モノイソステアリン酸ジエステル、POE硬化ヒマシ油マレイン酸等のPOEヒマシ油硬化ヒマシ油誘導体が挙げられる。この他に、POEソルビットミツロウ等のPOEミツロウ・ラノリン誘導体、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、ラウリン酸モノエタノールアミド、脂肪酸イソプロパノールアミド等のアルカノールアミド、POEプロピレングリコール脂肪酸エステル、POEアルキルアミン、POE脂肪酸アミド、ショ糖脂肪酸エステル、POEノニルフェニルホルムアルデヒド縮合物、アルキルエトキシジメチルアミンオキシド、トリオレイルリン酸等が挙げられる。
【0049】
両性界面活性剤としては、2−ウンデシル−N,N,N−(ヒドロキシエチルカルボキシメチル)−2−イミダゾリンナトリウム、2−ココイル−2−N−カルボキシメチル−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン等のイミダゾリン系両性界面活性剤、2−ヘプタデシル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、アルキルベタイン、アミドベタイン、スルホベタイン等のベタイン系界面活性剤等が挙げられる。
【0050】
水溶性高分子としては、アラビアゴム、トラガカント、ガラクタン、キャロブガム、グァーガム、カラヤガム、カラギーナン、ペクチン、カンテン、クインスシード(マルメロ)、デンプン(コメ、トウモロコシ、バレイショ、コムギ)、アルゲコロイド(褐藻エキス)等の植物系高分子、デキストラン、サクシノグルカン、プルラン等の微生物系高分子、コラーゲン、カゼイン、アルブミン、ゼラチン等の動物系高分子、カルボキシメチルデンプン、メチルヒドロキシプロピルデンプン等のデンプン系高分子、メチルセルロース、ニトロセルロース、エチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、セルロース硫酸ナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、結晶セルロース、セルロース粉末等のセルロース系高分子がある。アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル等のアルギン酸系高分子、ポリビニルメチルエーテル、カルボキシビニルポリマー、アルキル変性カルボキシビニルポリマー等のビニル系高分子、ポリオキシエチレン系高分子、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体系高分子、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリルアミド等のアクリル系高分子、ポリエチレンイミン、カチオン性ポリマー、ベントナイト、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ラポナイト、ヘクトライト、無水ケイ酸等の無機系水溶性高分子等も挙げられる。
【0051】
中和剤としては、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、トリエタノールアミン、炭酸ナトリウム等が挙げられる。
【0052】
pH調整剤としては、乳酸、乳酸ナトリウム、クエン酸、クエン酸ナトリウム、グリコール酸、コハク酸、酒石酸、dl−リンゴ酸、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素アンモニウム、リン酸水素ナトリウム等が挙げられる。
【0053】
酸化防止剤としては、アスコルビン酸、α−トコフェロール、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール等が挙げられる。
【0054】
薬剤としては、ビタミンA油、レチノール、パルミチン酸レチノール、イノシット、塩酸ピリドキシン、ニコチン酸ベンジル、ニコチン酸アミド、ニコチン酸DL−α−トコフェロール、アスコルビン酸リン酸マグネシウム、ビタミンD2(エルゴカシフェロール)、dl−α−トコフェロール、酢酸dl−α−トコフェロール、パントテン酸、ビオチン等のビタミン類、エストラジオール、エチニルエストラジオール等のホルモン、アルギニン、アスパラギン酸、システイン、メチオニン、セリン、ロイシン、トリプトファン等のアミノ酸が挙げられる。また、アラントイン、グリチルレチン酸、アズレン等の坑炎症剤、アルブチン等の美白剤、酸化亜鉛、タンニン酸等の収斂剤、L−メントール、カンフル等の清涼剤、イオウ、塩化リゾチーム、塩酸ピリドキシン、γ−オリザノール等も挙げられる。さらに、防腐効果のあるヒノキチオール等も薬剤として使用できる。なお、このような薬物は、遊離の状態で使用される他に、塩及びエステルの状態で使用することができるが、それらが親油性物質の場合には、安定に乳化できる範囲で配合できる。
【0055】
本発明の製剤入り容器の製造方法は、60℃以上70℃以下の温度で製剤を容器に充填する。これにより、皮膚に対する刺激性が低い製剤が充填されており、開封後に常温保管で長期間微生物の生育を抑制することが可能な製剤入り容器を製造することができる。なお、60℃以上70℃以下の温度は、滅菌環境の一例であるが、本発明はこれに限定されず、他の滅菌環境で製剤を容器に充填しても構わない。
【実施例】
【0056】
本実施例で用いられる部数は全て重量部であり、これらの実施例により本発明は限定されない。
(実施例1)
イオン交換水残余、1,3−ブチレングリコール7.00部、グリセリン2.00部、POE(24)POP(13)デシルテトラデシルエーテル0.50部、グリチルリン酸ジカリウム0.14部、ビタミンE0.02部、クエン酸0.02部、クエン酸ナトリウム0.03部及びエデト酸3ナトリウム0.03部からなる化粧水を60℃の無菌状態で図1に示す気密性容器に充填した。
【0057】
この化粧水を1日2回使用するテストを63名が実施したが、2週間経過しても微生物による汚染は見られなかった。
(実施例2)
イオン交換水残余、1,3−ブチレングリコール6.00部、グリセリン8.80部、3.00部のポリエチレングリコール1500、カルボキシビニルポリマー0.40部、キサンタンガム0.08部、スクワラン3.00部、流動パラフィン1.50部、ワセリン3.00部、シリコーン油5.00部、ミリスチン酸イソプロピル1.00部、ウイキョウ抽出液0.10部、タイム抽出液0.10部、ヘキサメタリン酸ナトリウム0.01部、水酸化カリウム0.15部からなる乳化クリームを60℃の無菌状態で図2に示す気密性容器に充填した。
【0058】
この乳化クリームを1日2回使用するテストを63名が実施したが、2週間経過しても微生物による汚染は見られなかった。
(比較例1)
実施例1と同様の化粧水を細口ガラス瓶に充填した。
【0059】
この化粧水を1日2回使用するテストを63名で実施すると、2週間経過後に14名で微生物による汚染が見られた。
(比較例2)
実施例2と同様の乳化クリームを通常の広口ガラス瓶に充填した。
【0060】
この乳化クリームを1日2回使用するテストを62名で実施すると、2週間経過後に45名で微生物による汚染が見られた。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の第一の実施形態である製剤入り容器を示す図である。
【図2】本発明の第二の実施形態である製剤入り容器を示す図である。
【符号の説明】
【0062】
10A、10B 製剤入り容器
11 繰り上げ式内筒
11a 可動底部
12 内袋
13 キャップ
13a 外側ガイド壁
13b 内側ガイド壁
20 ポンプ
21 シリンダ
21a 下側流路
22 ピストン
22a 上側流路
23、24 ボール弁
25、34 スプリング
26 貯留空間
30 スパウト
31 ノズル
32 吐出口
33 口元シール弁
33a スプール
33b 従動カム面
40 スパウトカバー
41 カム部
50 製剤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
汚染防止機構が設けられた容器に、微生物の生育を抑制する成分を含有する製剤を、滅菌環境下で充填してなることを特徴とする製剤入り容器。
【請求項2】
前記汚染防止機構は、前記容器の吐出口を弁部材で開閉する機構及び
前記容器のポンプに吸入された前記製剤が逆流しない機構の少なくとも一方を含有することを特徴とする請求項1に記載の製剤入り容器。
【請求項3】
前記容器は、内部に前記製剤が収容されている製剤収容部を有し、
前記製剤の吐出に伴って前記製剤収容部の容積が減少する構成であることを特徴とする請求項1又は2に記載の製剤入り容器。
【請求項4】
前記微生物の生育を抑制する成分は、エタノール又はエタンジオール、プロパンジオール、ブタンジオール、ペンタンジオール及びヘキサンジオールからなる群より選択されるジオール化合物を含有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の製剤入り容器。
【請求項5】
前記微生物の生育を抑制する成分は、ウイキョウ抽出液、タイム抽出液、オウレン抽出液、オウバク抽出液及びオウゴン抽出液からなる群より選択される植物抽出液を含有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の製剤入り容器。
【請求項6】
前記製剤は、化粧品、医薬部外品又は医薬品であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の製剤入り容器。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか一項に記載の製剤入り容器の製造方法において、
60℃以上70℃以下の温度で前記製剤を前記容器に充填することを特徴とする製剤入り容器の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−199335(P2006−199335A)
【公開日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−12711(P2005−12711)
【出願日】平成17年1月20日(2005.1.20)
【出願人】(000001959)株式会社資生堂 (1,748)
【Fターム(参考)】