説明

製管装置

【課題】 過大な負荷のかかる接合機構部の外面ローラ周辺における剛性を高めるとともに既設管の内周面の凹凸や障害物等との接触を回避するように外面ローラを保護して、作業効率を高め、精度よく製管する。
【解決手段】 一実施形態としての製管装置1は、既設管200の内側に設置される成形フレーム2に、回転自在に軸支されて更生管130の内面に当接する複数の案内ローラ3と、巻回された帯状部材100の接合部同士を接合する接合機構部4とを備える。接合機構部4には、歯車機構を納めた箱体44に、帯状部材100を内側と外側とから挟み込む内面ローラ42及び外面ローラ43が片持ち状に軸支され、既設管200の内壁に接触して回転する送りローラ46が外面ローラ43と同軸上に設けられており、外面ローラ43の側部近傍には剛性を有する外装フレーム5が配設されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、老朽化した下水道管、上水道管、農業用水管、ガス管などの既設管を更生する更生管を帯状部材から製管する更生管の製管装置及び製管装置を用いた更生管の製管方法に関する。
【背景技術】
【0002】
農業用水管、下水道管、上水道管などの既設管においては、ひび割れや腐食などにより既設管が老朽化した際の対策として、既設管の内周面を合成樹脂などにてライニングすることによって既設管を更生することが実施されている。
【0003】
このような既設管の内周面をライニング施工する方法として、両側縁部に接合部が形成された長尺の帯状部材を既設管内において螺旋状に巻回し、ライニング用の管状体を製管して更生管とする方法が知られている。
【0004】
例えば、特許文献1、2等に記載されているように、帯状部材を巻き重ねたドラムを地上に設置し、既設管内に製管装置を配置して、ドラムから帯状部材を既設管内の製管装置に連続的に供給する。そして、製管装置を既設管の軸心回りに回転させて互いに隣接した帯状部材の接合部同士を接合して更生管を製管し、製管されている更生管に新たに帯状部材を供給して更生管が既設管の軸心方向に付加形成されていく。
【0005】
この種の既設管の更生に用いられる製管装置は、図16に示すように、複数個の案内ローラ3が軸支されて環状に形成された成形フレーム2と、帯状部材100の両側縁部の接合部同士を接合するための接合機構部4を備えている。
【0006】
接合機構部4は、図17に示すように、内面ローラ42と外面ローラ43とが組になったピンチローラ41を備え、箱体44内に納められた歯車機構40を介して油圧モータにより回転させている。内面ローラ42及び外面ローラ43の各回転軸は、ともに管軸方向に配置され、箱体44に回転自在に軸支されている。
【0007】
製管装置10により更生管130を製管するとき、接合機構部4の外面ローラ43が既設管200の内壁に近接して周回移動する。このとき、形成する更生管130が、既設管200の内壁より余裕空間を設けて管内の中心に形成される場合には、接合機構部4が内壁に接触せずに施工することができる。しかし、既設管200に対して更生管130の断面損失が大きくなるのは好ましくなく、既設管200の管径に可能な限り近づけて更生管130を形成し、図16に示すように、更生管130を既設管200の断面いっぱいの寸法として形成している。
【0008】
そうすると、更生管130の製管工程において、接合機構部4が既設管200の内壁に接触する場合が考えられる。特に、接合機構部4が周回して既設管200の内壁を下方へ移動したときには、その自重によって、外面ローラ43等が既設管200に接触することは避けられなくなる。また、既設管200の内部に、堆積した土砂や石などの障害物203や、老朽化によって生じた凹凸部等があると、接合機構部4の外面ローラ43が障害物203等に乗り上げるなどして傾きを生じ、既設管200の内壁に接触しやすくなってしまう。
【0009】
外面ローラ43は製管装置10の回転と逆位相の回転をすることから、このような場合には、外面ローラ43が損傷を受けるだけでなく、製管装置10の円滑な回転を阻害する要因ともなってしまう。
【0010】
そこで、接合機構部4の外面ローラ43が既設管200の内壁に接触するのを防止して、装置10自体を円滑に送るために、接合機構部4に送りローラ46を設けたり、スペーサローラ47を設けたりして、製管装置10の回転方向と同一方向に回転駆動させるという構成も提案されている。送りローラ46は、接合機構部4の外面ローラ43を保護するとともに、既設管200の内壁に接触して、その回転による反作用を受けて装置に回転力を付与し、円滑な製管を可能にしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特許第3035471号公報
【特許文献2】特開平9−32968号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、接合機構部4において外面ローラ43が前記のように外側に露出した構造であると、例えば、既設管200の内壁に生じた亀裂や段差部分に送りローラ46が嵌り込んでしまうなどすると、接合機構部4が傾き、外面ローラ43も傾いて、管軸との平行な状態を維持できなくなる。そして、外面ローラ43が既設管200内の障害物203に接触して傾いたり凹凸に引っ掛かったりしてしまうと、円滑に回転することができなくなり、スムーズに製管作業を進めることができないおそれがある。また、既設管200に外面ローラ43が接触して作業を進められない場合には、引っ掛かった外面ローラ43を引き抜こうとしたり障害物等を回避させようとしたりして、外面ローラ43に無理な力を加えてしまうことも考えられる。
【0013】
また、図17に示すように、送りローラ46やスペーサローラ47が既設管200の内壁に当接しつつ回転し、外面ローラ43が既設管200に接しない状態であると、外面ローラ43に作用する荷重を、送りローラ46及びスペーサローラ47と既設管200との接点部分における支点反力により受けることとなる。そうすると、外面ローラ43には大きな曲げモーメントがかかるため、破断しやすくなってしまうと考えられる。
【0014】
このように、外面ローラ43が破損してしまうと、当然、外面ローラ43を新規なものに交換しなければならず、その作業手間とコストがかかるという不都合を生じる。そこで、曲げモーメントが外面ローラ43に作用しても破壊されないように、外面ローラ43の許容耐力を高めるべく、回転軸の寸法を大きくすることも考えられる。しかし、図17からわかるように、既設管200に対する断面欠損を最小限に抑える配置形態とされた外面ローラ43において、現行寸法の変更を可能にする十分なスペースを接合機構部4、特に内面ローラ42と既設管200の間に確保することは困難である。
【0015】
本発明は、上記のような事情にかんがみてなされたものであり、過大な負荷のかかる接合機構部の外面ローラ周辺における剛性を高めるとともに既設管の内周面の凹凸や障害物等との接触を回避するように外面ローラを保護して、円滑な回転を促進し、作業効率を高めて精度よく製管することを可能にする製管装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記した目的を達成するため、本発明に係る製管装置は、幅方向の両側縁部に接合部が形成された長尺の帯状部材を連続的に供給し、この帯状部材を螺旋状に巻回し、巻回により隣接した帯状部材の接合部同士を互いに接合して管状に形成するとともに、さらに帯状部材を供給して更生管を付加形成する。既設管の内側に設置される成形フレームには、回転自在に軸支されて更生管の内面に当接する複数の案内ローラと、巻回された帯状部材の接合部に対して供給された帯状部材の接合部を接合させる接合機構部とが設けられている。また、接合機構部は、歯車機構を納めた箱体に、帯状部材を内側と外側とから挟み込む内面ローラ及び外面ローラが片持ち状に軸支されるとともに、既設管の内壁に接触して回転する送りローラが外面ローラと同軸上に設けられており、外面ローラの側部近傍には剛性を有する外装フレームが配設されていることを特徴としている。
【0017】
このような構成の製管装置により、外面ローラは外装フレームによって保護されるとともに補剛されて、既設管内に堆積物や亀裂、凹凸部等が存在しても破損するのを防ぐことができる。
【0018】
また、本発明では前記構成の製管装置において、前記外面ローラの外装フレームは、外面ローラの軸方向と平行となるように接合機構部の箱体から延設された一対の板状体であり、外面ローラにおける帯状部材の送り出し方向の前後両側にそれぞれ配設されていることを特徴とする。
【0019】
あるいは、前記外面ローラの外装フレームは、外面ローラの軸方向と平行に設けられた矩形状の枠体であり、基端部が接合機構部の箱体に結合されて形成されていてもよい。この場合、外装フレームは他端部側に外面ローラの自由端部を受ける軸受け凹部が設けられていることが好ましい。
【0020】
このような構成により、外面ローラが既設管の内壁を周回移動していく際に、既設管の内壁の堆積物等を外面ローラに接触しないように排除することができ、外面ローラに過大な負荷が作用するのを回避することができる。また、外面ローラを補剛する作用もなすので、破損を防止することができる。
【0021】
また、前記外装フレームの他端部には、既設管の内壁に沿って回転可能な回転ローラが軸支され、この回転ローラの軸心が外面ローラの軸心よりも既設管の内壁寄りに設けられていることが好ましい。
【0022】
このように回転ローラを設けることにより、送りローラと回転ローラとが既設管の内壁に接触しつつ回転し、外面ローラと既設管の内壁との間隔を一定に保った状態で帯状部材を接合することが可能となる。また、既設管に障害物や凹凸部等があっても、外面ローラに過大な曲げモーメントを作用させることなく、安定的に保持することができる。
【0023】
さらに、前記外装フレームには既設管の内壁と非接触状態で設けられて外装フレームの傾斜時に既設管の内壁に接触する補助ローラが備えられてもよい。また、かかる補助ローラは、外装フレームの側面の複数箇所に設けられていることが好ましい。
【0024】
このように補助ローラを備えることで、送りローラや回転ローラが既設管の内壁に形成された凹凸部等に嵌り込んだり乗り上げたりするような場合にも、外面ローラを既設管の内壁に接触させないように補助ローラが支持するものとなり、外面ローラの損傷を防ぐことができる。
【0025】
また、本発明では、前記構成の製管装置において、外装フレームは、既設管の内壁に対向する辺縁部が内壁形状に沿う方向に面取りされていることが好ましい。これにより、外装フレームが既設管の内壁に接触させずに接合機構部を駆動させることができ、また、傾きを生じたり、障害物等が存在したりしても、円滑に製管作業を進めることが可能となる。
【発明の効果】
【0026】
上述のように構成される本発明の製管装置によれば、長期の使用により堆積物や亀裂等の凹凸部を有する既設管に用いる場合にも、過大な負荷のかかる接合機構部の外面ローラ及びその周辺機構部における剛性を高め、既設管の内壁状況にかかわらず、効率よく更生管の製管作業を進めることが可能である。そして、外面ローラは、既設管の内壁との接触が回避され、また堆積物等から外面ローラを保護して、円滑に回転することが可能な構造とされている。これにより、外面ローラの交換や修理等の手間をなくし、交換にかかる費用も削減して、精度よく製管することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本実施形態に係る製管装置を用いた既設管の更生工法の一例を示す説明図である。
【図2】本実施形態において更生管を形成する帯状部材の一例を示す断面図である。
【図3】図2の帯状部材と、隣接して供給された帯状部材とを相互に接合する様子を示す説明図である。
【図4】前記帯状部材同士を接合した状態を示す説明図である。
【図5】本発明に係る製管装置の一例を示す正面図である。
【図6】実施例に係る製管装置の成形フレームを構成するリンク体を示し、図6(a)は正面図、図6(b)は平面図である。
【図7】実施例1に係る製管装置の接合機構部を示す側面図である。
【図8】前記接合機構部のピンチローラを示す側面図である。
【図9】図7に示す接合機構部における外面ローラ等の機構部分を抜き出して示した斜視図である。
【図10】図9に示した外装フレームの変形例を示す斜視図である。
【図11】図10における矢符A方向から見た接合機構部の正面図である。
【図12】実施例2に係る製管装置において、外面ローラの周辺機構部を示す平面図である。
【図13】図12における矢符B方向から見た接合機構部の正面図である。
【図14】実施例2の外面ローラの周辺機構部の他の例を示す平面図である。
【図15】図15(a)は、帯状部材の他の例を示す断面図であり、図15(b)は接合部の部分斜視図である。
【図16】従来の製管装置の一例を示す斜視図である。
【図17】前記製管装置における接合機構部を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施の形態に係る製管装置を実施するための形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0029】
以下、本発明に係る製管装置の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0030】
図1は本発明の製管装置を用いた既設管の更生工法の一例を示す説明図である。
【0031】
図1に示すように、製管装置1は、既設管200内に連続的に供給される長尺の帯状部材100を、螺旋状に巻回させて更生管130に製管していく装置である。また、製管装置1は、形成した更生管130に対して、続けて長尺の帯状部材100を供給して、更生管130を付加形成する。
【0032】
ここで、本発明において更生管130を形成するのに用いる帯状部材100の一実施形態について説明する。
【0033】
図2は、更生管を形成する帯状部材の一例を示す断面図、図3は、図2の帯状部材と、隣接して供給された帯状部材とを相互に接合する様子を示す説明図、図4は、帯状部材同士を接合した状態を示す説明図である。
【0034】
図2に例示する帯状部材100は、例えば硬質塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレンなどの合成樹脂系材料を用いて押出成形され、可撓性を有する長尺帯状に形成されている。帯状部材100の両側縁部には、互いに嵌め合わされて係合しうる接合凸部101と接合凹部102とが長手方向に沿ってそれぞれ形成されている。
【0035】
接合凸部101は、支柱部104と先端の断面略円形状の嵌入部105を備えている。また、接合凹部102は、接合凸部101の反対側の側縁部に形成され、断面略円形状に形成された被嵌入部106と、この被嵌入部106の外側(図2における上方側)に形成されたフランジ部107を備えている。接合凸部101の近傍には、帯状部材100,100同士を接合したときに滑りを防止し、互いを密着させるエラストマー等の帯状の軟質弾性体があらかじめ配設されていてもよい。
【0036】
帯状部材100の接合凸部101と接合凹部102との間には、複数条のリブ103…103が長手方向に沿って立設されている。これらのリブ103…103の先端部は、断面略T字状に形成されて、接合凹部102のフランジ部107と同様のフランジを備えた構成となっている。
【0037】
また、かかる帯状部材100は、接合凹部102の外縁側に、斜め方向に屈折させて延設された傾斜片108を有している。この傾斜片108の先端部は、接合凹部102が、隣接する帯状部材100の接合凸部101に嵌め合わされたとき、この接合凸部101の側部に形成されたリブ103の略T字状の先端部に係止しうるように構成されている。
【0038】
このような構造で形成された帯状部材100は、後述する製管装置1により螺旋状に巻回される。そして、かかる巻回過程において、図3に示すように、互いに隣接する2つの帯状部材100,100のうち、一方の帯状部材100の接合凹部102に、他方の帯状部材100の接合凸部101が、内側(既に巻回されている帯状部材100の内側)から嵌め込まれる。また、帯状部材100の傾斜片108は押圧され、隣接する帯状部材100のリブ103の先端部に嵌め込まれる。これにより、図4に示すように、互いに隣接する帯状部材100,100同士が相互に接合される。また、帯状部材100、100は、接合凸部101と接合凹部102との接合と、傾斜片108の接合とによって接合強度が高められ、形成する更生管130の止水性も高められている。帯状部材100は、図1に示すように、巻取ドラム91に巻き取られて、この巻取ドラム91から繰り出されるように施行現場に用意される。
【実施例1】
【0039】
次に、実施例1に係る製管装置について図面を参照しつつ説明する。図5は、製管装置の一例を示す正面図であり、図6は製管装置の成形フレームを構成するリンク体を示し、図6(a)は正面図、図6(b)は平面図である。
【0040】
製管装置1は、帯状部材100を螺旋状に案内する成形フレーム2と、成形フレーム2に回転自在に設けられた複数個の案内ローラ3と、成形フレーム2に取り付けられて、隣接する帯状部材100を互いに接合する接合機構部4とを備えている。
【0041】
例示する成形フレーム2は、図5に示すように複数個のリンク体21を備え、各リンク体21に案内ローラ3が回転自在に設けられている。図6(a)に示すように、成形フレーム2は、一組のリンクフレーム22、23が連結軸24を介して回動自在に連結されて一つのリンク体21を構成し、複数個のリンク体21…21が相互に連結されて略環状をなすように形成されている。
【0042】
図6(b)に示すように、各リンク体21を構成するリンクフレーム22、23は、対向する一対のリンクプレート221,231と、これらの対向する一対のリンクプレート221,231の一端部間に架設された連結プレート222,232とからコ字状に形成したものである。そして、リンクフレーム22における一対のリンクプレート221,221の各他端部に、リンクフレーム23における一対のリンクプレート231,231の各他端部をそれぞれ重ね合わせ、連結軸24を介して回転自在に連結することにより、リンク体21が形成されている。
【0043】
また、隣接するリンク体21,21は、リンクフレーム22,23の連結プレート222,232及びリンクフレーム22,23の連結プレート222,232を適宜突き合わせ、ボルトナット等を介して着脱自在に連結されている。
【0044】
このような各リンク体21は、成形フレーム2を直線状に形成するために特定の隣接する一対のリンク体21,21間が着脱できるならば、残りの連結プレート222,232については、溶接などによって着脱不能に固定されていてもよい。
【0045】
リンクフレーム22の一対のリンクプレート221、221の各他端部には、回動規制片26が設けられている。また、リンクフレーム23の一対のリンクプレート231、231の各他端部には、回動規制片26に対応する切欠部27が設けられている。切欠部27は、連結軸24の回転中心を中心とする設定半径上の一定範囲にわたって形成されている。これにより、リンクフレーム22、23の相互の回転動作を、回動規制片26と切欠部27とが当接するまでの角度範囲に規制し、リンク体21が内方或いは外方へ屈曲することを防止している。
【0046】
案内ローラ3は、各リンク体21の連結軸24にそれぞれ回転自在に設けられている。ここで、案内ローラ3は、合成樹脂製または金属製であり、軸受25を介して連結軸24回りに回転自在に支持され、帯状部材100の平坦な内面、すなわち、更生管130の内周面に接触する。
【0047】
また、案内ローラ3は、既設管200内において、接合機構部4によって互いに接合された隣接する帯状部材100,100から製管された更生管130の内周面に接触して周回移動しつつ製管装置1を既設管200の軸心方向に移動させるために、更生管130を構成する帯状部材100に対し直角となるように配置されている。この案内ローラ3を更生管130を構成する帯状部材100に対し直角となるように配置するには、例えば、成形フレーム2の、接合機構部4に隣接する一対のリンク体21,21同士の連結部において、一方のリンク体21を他方のリンク体21に対して管軸方向に移動させ、移動させた状態でそれぞれ接合機構部4に固定すればよい。
【0048】
図7は、製管装置の接合機構部を示す側面図であり、図8は、接合機構部のピンチローラを示す側面図である。なお、図7及び図8では、接合機構部が既設管の下方(管底部)に移動した状態を示している。
【0049】
接合機構部4は、図示しない歯車機構を納めた箱体44に、帯状部材100を内側と外側とから挟み込むピンチローラ41が軸支され、箱体44の外側面には、既設管200の内壁に接触して回転する送りローラ46が設けられている。
【0050】
ピンチローラ41は、内面ローラ42及び外面ローラ43を対として備え、帯状部材100を内側と外側とから挟み込む。また、接合機構部4には油圧モータ45が備えられ、成形フレーム2におけるリンク体21のリンクフレーム23に固定された箱体44内の歯車機構を介してピンチローラ41を回転させる。油圧モータ45は、図1に示したように、油圧ユニット93から圧油ホースを介して供給される圧油によって駆動され、発電機92から供給される電力によって油圧ユニット93が駆動されている。
【0051】
内面ローラ42及び外面ローラ43は、箱体44の側面に片持ち状に軸支されている。すなわち、内面ローラ42の回転軸及び外面ローラ43の回転軸は、更生管130のリード角に対して軸線方向が直交するように配置され、箱体44に回転自在に支持されている。油圧モータ45が回転駆動すると、その出力軸、内面ローラ42の回転軸、及び外面ローラ43の回転軸にそれぞれ固定されて互いに噛み合った歯車機構を介し、内面ローラ42及び外面ローラ43が互いに逆方向に回転し、内面ローラ42及び外面ローラ43の間に帯状部材100を挟み込んで送り出す仕組みとなっている。
【0052】
内面ローラ42は、帯状部材100の幅寸法の2倍以上の長さを有して鋼材等によって円筒状に形成されている。また、先行する帯状部材100と、後続する帯状部材100とが接合された平滑な内周面に、この内面ローラ42の外周面が接触して回転するように外径が設定されている。
【0053】
外面ローラ43は、先行する帯状部材100と、後続する帯状部材100とが互いに隣接した接合箇所に接するように配置され、既設管200の内壁の内側軌道を周回移動する。外面ローラ43には、帯状部材100のリブ103…103間に配置される複数の円盤状のローラ431…431が、円柱状の軸部432周りに設けられている。ローラ431は、隣り合うリブ103、103間に挿入可能な幅で形成されている。また、外面ローラ43の外周面(ローラ431の外径)と内面ローラ42の外周面との間に、帯状部材100の基板101の厚みに相当する間隔を有するように外径寸法が設定されている。
【0054】
また、帯状部材100は、図8に示す例では、補強材110が装着されている。補強材110は、長手方向に連続した帯板状の鋼板を断面略W字状に折曲形成したものであり、帯状部材100の隣り合うリブ103、103間に装着されて、形成する更生管130の強度を高める。この場合、外面ローラ43における複数個のローラ431のうち、補強材110の装着されたリブ103、103間に対応するローラ431には、帯状部材100の補強材110の凸部に嵌り合う溝部433が凹設されているとよい。
【0055】
このような外面ローラ43は、各帯状部材100の各リブ103の先端部が軸部432の外周面に接しつつ回転する。外面ローラ43の外周面にはローレット加工が施されていることが好ましく、例示の形態では、軸部432の外周面にローレット加工が施され、帯状部材100(リブ103の先端部)に対して滑ることなく回転するようになっている。
【0056】
図9は、図7に示す接合機構部4における外面ローラ43等の機構部分を抜き出して示した斜視図である。
【0057】
接合機構部4には、既設管200の内壁に接触して回転する送りローラ46が設けられている。送りローラ46は、箱体44に軸支された外面ローラ43と同軸上に設けられ、外面ローラ43の外径よりも大径に形成されている。
【0058】
さらに、箱体44の内部において、外面ローラ43の回転軸には、外面ローラ43の外径よりも大径のスペーサローラ47が設けられている。送りローラ46及びスペーサローラ47は、外周面が既設管200の内壁に接触して回転することにより、その反作用によって既設管200の内壁を接合機構部4が周回移動することとなる。よって、接合機構部4が駆動するとき、製管装置1は更生管130の軸心を中心として公転するように構成されている。
【0059】
かかる製管装置1には、外面ローラ43の側部近傍を取り囲むように、剛性を有する外装フレーム5が配設されている。
【0060】
外装フレーム5は、外面ローラ43の軸方向と平行に設けられ、鋼材製の矩形状の枠体で構成されている。例示の形態では、外装フレーム5は、外面ローラ43における帯状部材100の送り出し方向の前後両側にそれぞれ配置される略板状の前後フレーム51、51と、外面ローラ43の自由端部を取り囲むように配置される端部フレーム52とを備える。
【0061】
前後フレーム51、51は、一端部がそれぞれ接合機構部4の箱体44に結合されて一体とされている。前後フレーム51、51の他端部は、外面ローラ43の軸心方向に屈曲し、外面ローラ43の自由端部を受ける軸受け凹部53を形成している。軸受け凹部53は、外面ローラ43の軸部432の外形状に沿う略円弧状の凹溝として形成されている。
【0062】
端部フレーム52は、前後フレーム51、51の他端部の外側に一体に連結されており、上面視略コ字状に形成され、外面ローラ43の軸心方向に直交する端面521を備えている。端面521には後述する回転ローラ54が設けられている。外装フレーム5は、これらの前後フレーム51、51及び端部フレーム52によって剛性を保持し、接合機構部4の箱体44に取り付けられている。これにより、外装フレーム5は、外面ローラ43を補剛する作用をなしている。
【0063】
また、外装フレーム5は、図7及び図9に示されるように、既設管200の内壁に対向する辺縁部(内面ローラ42との対向辺縁部の反対側)5aが、面取りされている。この外装フレーム5の辺縁部5aは、外面ローラ43が既設管200の内壁の内側を周回移動するのに対応して、内壁形状に近似的に沿う方向に傾斜させて面取りされている。面取りする辺縁部5aは、外装フレーム5において、帯状部材100の送り出し方向の前後フレーム51、51と、端部フレーム52に連続して施されていることが好ましい。
【0064】
さらに、この外装フレーム5の他端部に一体に連結された端部フレーム52には、既設管200の内壁に沿って回転可能な回転ローラ54が端面521に軸支されている。この回転ローラ54の軸心は、外面ローラ43の軸心よりも、その既設管200の内壁寄りに設けられている。
【0065】
回転ローラ54は、内面ローラ42及び外面ローラ43に挟み込まれる帯状部材100に接触しない範囲の空間部に設けられる。すなわち、図8に示すように、回転ローラ54は、既設管200の内壁(底面)と、帯状部材100のリブ103先端との間の空間にあって、既設管200の内壁に接触し、かつ帯状部材100には干渉せずに納まる範囲で外径が規定されて備えられている。この場合、回転ローラ54の回転軸は、外面ローラ43の回転軸よりも、既設管200の内壁寄り(成形フレーム2の外側寄り)に設定される。
【0066】
これにより、外面ローラ43は、箱体44に軸支された状態で送りローラ46、スペーサローラ47及び回転ローラ54の3箇所において既設管200の内壁に支持され、安定的に回転することが可能となる。
【0067】
なお、接合機構部4の箱体44に対して、外装フレーム5はボルトナット等の適宜の止着具により着脱自在に連結されても、また、溶接等によって一体に結合されていてもよく、着脱の必要に応じて固定方法が選択される。接合機構部4の箱体44には、リンク体21に連結される連結部441、441が設けられている。
【0068】
次に、このように構成された製管装置1を用いて既設管200を更生する施工手順について説明する。
【0069】
既設管200には所定スパンごとにマンホール201、202が設けられており、これらのマンホール201,202を利用して既設管200内に更生管130を製管していく。更生管130の製管は、既設管200の発進側マンホール201から到達側マンホール202に向けて行う。
【0070】
施工前の準備として、更生管130の製管には、図1に示した帯状部材100を巻き重ねた回転台付きの巻取ドラム91、発電機92、油圧ユニット93などを用意する。巻取ドラム91は、発進側マンホール201側の地上に設置し、発電機92は到達側マンホール202側の地上に設置する。また、製管装置1および油圧ユニット93は、発進側マンホール201を通して更生対象となる既設管200内の上流側端部に搬入して設置する。その際、製管装置1は、案内ローラ3を設けた成形フレーム2、接合機構部4等を分解して搬入し、その後組み立てる。油圧ユニット93からの圧油ホースは製管装置1の接合機構部4の油圧モータ45に接続する。
【0071】
なお、成形フレーム2については、隣接する一対のリンク体21,21の連結部の連結を外し、複数個のリンク体21を1本の列にして搬入し、再び隣接する一対のリンク体21,21の連結部を連結して略環状に形成することが好ましい。また、製管装置1は、製管する更生管130の管径に合わせて、成形フレーム2の周長(リンク体21の数)を調整しておく。製管装置1は、更生する既設管200の内径および使用する帯状部材100の幅に対応する螺旋ピッチとなるように調整しておく。
【0072】
このような準備作業が完了すれば、地上に配置した巻取ドラム91の内周側から帯状部材100を引き出して発進側マンホール201を経て既設管200内に引き込み、製管装置1における接合機構部4のピンチローラ41に挿通し、成形フレーム2に設けた案内ローラ3の外側に送り出す。
【0073】
次いで、案内ローラ3の外側に送り出された帯状部材100を既設管200の内壁との間に挟み込んだ状態で製管装置1を既設管200の軸心回りに回転させ、帯状部材100を成形フレーム2の周囲に数回(1〜3回)巻き回し、開始用更生管を製管する。この際、製管装置1、すなわち、接合機構部4が周回移動することにより、先行する螺旋状の帯状部材100の接合凹部102に、後続する螺旋状の帯状部材100の接合凸部101を内周側から嵌入するとともに、互いに隣接した帯状部材100、100の傾斜片108と、リブ103の略T字状の先端部とを係止させて、隣接する螺旋状の帯状部材100、100を互いに接合する。
【0074】
開始用更生管の製管が完了した後に、製管装置1の接合機構部4を駆動する。これにより、接合機構部4の油圧モータ45が回転駆動してピンチローラ41を回転させ、製管ローラ42および駆動ローラ43は帯状部材100を挟み込んで送り出す。また、接合機構部4は、帯状部材100に沿って、相対的にその送り出し方向とは逆方向に周回移動(公転)する。
【0075】
この際、ピンチローラ41の回転によって周回移動する成形フレーム2、案内ローラ3に案内されて開始用更生管に隣接するように相対的に送り込まれた帯状部材100は、図2〜4に示したように、接合凸部101を開始用更生管の帯状部材100の接合凹部102に内周側から嵌入させるとともに、リブ103と傾斜片108とを係合させて、隣接する螺旋状の帯状部材100,100を互いに接合して更生管130を製管する。
【0076】
接合機構部4のピンチローラ41は、先行する螺旋状の帯状部材100に後続する螺旋状の帯状部材100を接合して更生管130を製管しつつ既設管200の内壁に沿って周回移動していく。これにより、製管装置1は、帯状部材100を更生管130に製管し、その際、周方向に移動(公転)するとともに、到達側マンホール202に向けて既設管200の軸心に移動する。
【0077】
このとき、図7に示したように、ピンチローラ41の外面ローラ43は、既設管200の内壁との間隔を一定に保った状態で周回移動する。すなわち、既設管200の内壁を、箱体44に軸支された送りローラ46及びスペーサローラ47が接触しつつ移動するとともに、その反対側の端部を回転ローラ54が既設管200の内壁に接触しつつ移動する。回転ローラ54は、箱体44に結合された外装フレーム5を介して外面ローラ43を安定的に支承している。
【0078】
このため、製管駆動中に既設管200の内壁に障害物や凹凸部等があっても、既設管200の管軸方向に対して外面ローラ43の軸心方向を一定に保持しつつ周回移動を継続させることができ、外面ローラ43に過度の負荷をかけることなく製管作業を進めることができる。
【0079】
また、外面ローラ43の外装フレーム5が、既設管200の内壁の障害物等を排除する作用もなすので、外面ローラ43に直接、障害物等が接触して外面ローラ43に損傷が及ぶのを回避することができる。加えて、外面ローラ43に外力が作用することがあっても、外装フレーム5が外面ローラ43の剛性を補って、負荷を軽減するものとなる。
【0080】
このように、製管装置1に供給された帯状部材100は、接合機構部4のピンチローラ41によって隣接する帯状部材100,100が互いに接合されて更生管130に製管されるとともに、製管された更生管130は回転することなく既設管200に配置され、その更生管130の到達側マンホール202側に新たに螺旋状の帯状部材100が供給されて更生管130が到達側マンホール202に向けて既設管200の軸心方向に順に付加形成されていく。
【0081】
さらに、製管装置1は、略環状の構造を有しているため、製管する際に製管装置1が既設管200を塞いでしまうことがなく、通水状態でも既設管200内に安定的に更生管130を製管することができる。
【0082】
既設管200の施工対象領域(更生領域)の全長にわたって更生管130の製管が終了すれば、更生管130の管端部の帯状部材100を切断し、次いで、製管装置1を分解し、製管装置1および油圧ユニット93などを撤去する。成形フレーム2は、複数のリンク体21を相互に連結して形成されたものであるので、隣接する一対のリンク体21,21の連結部の連結を外すことで、成形フレーム2をリンク体21の1本の列とすることができる。
【0083】
なお、図10、11に示すように、製管装置1の接合機構部4において、外面ローラ43を補剛する外装フレーム5には、さらに、補助ローラ55が備えられた構成であってもよい。図10は、図9に示した外装フレーム5の変形例を示す斜視図であり、図11は、図10における矢符A方向から見た接合機構部4の正面図である。
【0084】
この例では、外装フレーム5の前後フレーム51、51の複数箇所に補助ローラ55が設けられている。図11に示すように、補助ローラ55は、回転ローラ54等よりも小さい径のローラ55が取付部511に回転自在に設けられており、前後フレーム51、51から斜め外方へ向けて突設されている。また、補助ローラ55は、接合機構部4の周回方向の前後両側にそれぞれ均等に配置されている。
【0085】
図11に示す平常状態では、補助ローラ55が既設管200の内壁に対して非接触状態となるように設けられている。よって、このとき、更生管130の製管に際して補助ローラ55は何ら関与していない。しかし、接合機構部4が周回移動する中で、既設管200の内壁に堆積した障害物や、亀裂、段差等の凹凸部が存在した場合に、かかる補助ローラ55が作用する。
【0086】
すなわち、既設管200の内壁の凹凸等によって、送りローラ46、スペーサローラ47、又は回転ローラ54と既設管200の内壁との安定的な接触回転が維持されず、外面ローラ43や外装フレーム5に傾きを生じるような場合に、補助ローラ55がこれに代わって既設管200の内壁に接触して回転するものとなり、外面ローラ43及び外装フレーム5を支持する。したがって、外面ローラ43に過大な曲げモーメントが作用する状況を回避することができ、外面ローラ43を既設管200の障害物等に接触させず、安定的に保持しつつ製管作業を進めることが可能となる。
【0087】
このように構成されることにより、過大な負荷のかかる接合機構部4の外面ローラ43周辺における剛性を高め、外面ローラ43を保護して、既設管200の内壁の凹凸や障害物等との接触を回避することが可能となり、外面ローラ43の破損を最大限に防ぐことができるので、作業効率も高められ、製管装置1の円滑な駆動が可能となる。
【実施例2】
【0088】
次に、実施例2に係る製管装置について図面を参照しつつ説明する。図12及び図13は、実施例2に係る製管装置を示し、外面ローラの周辺機構部の平面図である。
【0089】
なお、実施例2に係る製管装置1は、図示した外面ローラの周辺機構部に特徴を有するものであるため、その他の各部構成については詳細な説明を省略し、実施例1と共通の符号を用いて説明を行うこととする。
【0090】
図12に示す外装フレーム5は、外面ローラ43の軸方向と平行となるように、接合機構部4の箱体44から延設された一対の板状体として備えられている。この場合、外装フレーム5は、外面ローラ43における帯状部材100の送り出し方向の前後両側にそれぞれ配設されており、既設管200の内壁を周方向に移動する接合機構部4の前方に位置する前方フレーム56と、後方に位置する後方フレーム57とからなる。前方フレーム56及び後方フレーム57はそれぞれ、箱体44の側面にボルトナット等の止着具を介して着脱自在に設けられても、また溶接等により箱体44と一体的に設けられていてもよい。
【0091】
図13に示すように、前方フレーム56及び後方フレーム57は、ともに既設管200の内壁に対向する辺縁部(内面ローラ42との対向辺縁部の反対側)5aが、面取りされている。すなわち、外面ローラ43が既設管200の内壁の内側を周回移動するのに対応して、内壁形状に近似的に沿う方向に傾斜させて辺縁部5aが面取りされている。これにより、既設管200の内壁とこれらの外装フレーム5の辺縁部5aとが接触しにくいように構成され、また外面ローラ43の回転も阻害しないものとされている。
【0092】
また、図12に示すように、外装フレーム5のうち前方フレーム56は、外側面が傾斜面561となされている。例示の形態では、前方フレーム56の基端部から自由端部の方向に向けて漸次、その厚みが薄くなるように傾斜面561が形成されている。これにより、接合機構部4が周回移動して更生管130を製管する過程で、既設管200の内壁の堆積物や小石等の障害物が外面ローラ43に接近しても、外装フレーム5が排除し、外面ローラ43に接触するのを防ぐことができる。特に、前方フレーム56は傾斜面561を有するので、前方フレーム56に接触した障害物を傾斜面561に沿って外面ローラ43から遠ざけ、製管装置1の製管方向の後方へと排除することができる。
【0093】
さらに、外装フレーム5は、図14に示すような構成であってもよい。この例では、外装フレーム5に、前方フレーム56及び後方フレーム57を接続する端部フレーム58が架設されている。端部フレーム58は、外面ローラ43の自由端部を取り囲むように、前方フレーム56と後方フレーム57との間に配置されている。
【0094】
端部フレーム58には、外面ローラ43の自由端部を受ける軸受け凹部59が形成されている。軸受け凹部59は、外面ローラ43の軸部432の外形状に沿う略円弧状の凹溝として形成されている。
【0095】
かかる端部フレーム58は、前方フレーム56及び後方フレーム57の他端部に一体に連結され、前後両フレーム56、57の間隔を一定に保って補強するとともに、外面ローラ43の剛性を高める作用をなす。これにより、外装フレーム5は、既設管200内に存する障害物等を排除するだけでなく、外装フレーム5に障害物等が接触した際の外面ローラ43に生じる曲げモーメントを低減して、外面ローラ43が破損するのを防ぐものとなる。
【0096】
よって、本実施例に係る製管装置1においても、過大な負荷のかかる接合機構部4の外面ローラ43周辺における剛性を高めるとともに、外面ローラ43を保護することが可能であり、既設管200の内壁の凹凸や障害物等との接触を回避して、外面ローラ43の破損を最大限に防ぐことができるので、作業効率が高められ、外面ローラ43の交換も不要とし、製管装置1の円滑な駆動が可能となる。
【0097】
なお、本発明において、帯状部材100は例示した上記形態のものに限定されず、例えば、図15(a)及び図15(b)に示すような形態であってもよい。
【0098】
この形態の帯状部材100は、合成樹脂(例えば硬質塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレンなど)を長尺状に成形したものであって、複数のリブ113…113が長手方向に沿って形成されており、長尺帯状のコネクタ140を用いて側縁部同士が接続されるようになっている。
【0099】
すなわち、帯状部材100の両側縁部にはそれぞれ接合凹部112が長手方向に沿って形成されている。また、コネクタ140には、帯状部材100の接合凹部112に接合することが可能な2つの接合凸部141が長手方向に沿って互いに平行に形成されている。
【0100】
そして、このような構造の帯状部材100は、その両側縁部の接合凹部112,112の片方にコネクタ140の接合凸部141の一方を嵌め込んだ状態で、製管装置1により螺旋状に巻回されて更生管130を形成する。その巻回過程において、図15(a)及び図15(b)に示すように、互いに隣接する2つの帯状部材100,100のうち、一方の帯状部材100の接合凹部112に、他方の帯状部材100の接合凹部112に嵌め込んだコネクタ140の接合凸部141を、内側(既に巻回されている帯状部材100の内側)から嵌め込むことにより、これら互いに隣接する帯状部材100,100を相互に接合することができるものである。
【0101】
また、本発明において上記の形態では、接合機構部4等の駆動源として油圧モータを採用したが、電動モータや水圧モータなどであってもよく、外装フレーム5の形状も上記の形態に特に限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0102】
本発明は、老朽化した下水道管、上水道管、農業用水管、ガス管などの既設管を更生する更生管を帯状部材から製管する製管装置として好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0103】
1 製管装置
2 成形フレーム
21 リンク体
22、23 リンクフレーム
24 連結軸
3 案内ローラ
4 接合機構部
42 内面ローラ
43 外面ローラ
44 箱体
5 外装フレーム
51 前後フレーム
52 端部フレーム
53 軸受け凹部
54 回転ローラ
55 補助ローラ
56 前方フレーム
57 後方フレーム
58 端部フレーム
91 巻取ドラム
92 発電機
93 油圧ユニット
100 帯状部材
101 接合凸部
102 接合凹部
103 リブ
108 傾斜片
110 補強材
130 更生管
200 既設管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
幅方向の両側縁部に接合部が形成された長尺の帯状部材を連続的に供給し、この帯状部材を螺旋状に巻回し、巻回により隣接した帯状部材の接合部同士を互いに接合して管状に形成するとともに、さらに帯状部材を供給して更生管を付加形成する製管装置であって、
既設管の内側に設置される成形フレームには、回転自在に軸支されて更生管の内面に当接する複数の案内ローラと、巻回された帯状部材の接合部に対して供給された帯状部材の接合部を接合させる接合機構部とが設けられ、
接合機構部は、歯車機構を納めた箱体に、帯状部材を内側と外側とから挟み込む内面ローラ及び外面ローラが片持ち状に軸支されるとともに、既設管の内壁に接触して回転する送りローラが外面ローラと同軸上に設けられており、外面ローラの側部近傍には剛性を有する外装フレームが配設されていることを特徴とする製管装置。
【請求項2】
請求項1に記載の製管装置において、
前記外面ローラの外装フレームは、外面ローラの軸方向と平行となるように接合機構部の箱体から延設された一対の板状体であり、外面ローラにおける帯状部材の送り出し方向の前後両側にそれぞれ配設されていることを特徴とする製管装置。
【請求項3】
請求項1に記載の製管装置において、
前記外面ローラの外装フレームは、外面ローラの軸方向と平行に設けられた矩形状の枠体であり、基端部が接合機構部の箱体に結合されて形成されていることを特徴とする製管装置。
【請求項4】
請求項3に記載の製管装置において、
前記外装フレームは他端部側に外面ローラの自由端部を受ける軸受け凹部が設けられていることを特徴とする製管装置。
【請求項5】
請求項3又は4に記載の製管装置において、
前記外装フレームの他端部には、既設管の内壁に沿って回転可能な回転ローラが軸支され、この回転ローラの軸心が外面ローラの軸心よりも既設管の内壁寄りに設けられていることを特徴とする製管装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一つの請求項に記載の製管装置において、
前記外装フレームには既設管の内壁と非接触状態で設けられて外装フレームの傾斜時に既設管の内壁に接触する補助ローラが備えられていることを特徴とする製管装置。
【請求項7】
請求項6に記載の製管装置において、
前記補助ローラは、外装フレームの側面の複数箇所に設けられていることを特徴とする製管装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一つの請求項に記載の製管装置において、
前記外装フレームは、既設管の内壁に対向する辺縁部が内壁形状に沿う方向に面取りされていることを特徴とする製管装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2011−5827(P2011−5827A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−153896(P2009−153896)
【出願日】平成21年6月29日(2009.6.29)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】