説明

製箱装置

【課題】製箱装置の積み重ね装置に送り込まれる折り畳み箱に、損傷が生じないようにすることである。
【解決手段】折り畳み装置1と積み重ね装置10との間に、折り畳み装置1から排出される折り畳み箱Aの排出速度Vよりも低速の搬送速度Vで駆動される低速コンベアとしての中間コンベア2を介在させ、中間コンベア2の搬送速度Vを(1)式を満足するように設定することにより、積み重ね装置10のストッパ11で受け止められる折り畳み箱Aの衝撃を小さくするとともに、折り畳み箱A間に間隔を開けて積み重ね装置10に送り込むようにした。
・L/(L+S)< V <V (1)
ここに、Lは折り畳み箱Aの搬送方向の長さ寸法、Sは減速前の折り畳み箱A間の搬送間隔である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブランクを環状に折り畳んで箱用の折り畳み箱を形成する折り畳み装置と、形成した折り畳み箱を積み重ねる積み重ね装置を備えた製箱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
製箱装置は、所定の間隔を開けて順次供給される箱の展開形状とされた段ボールや厚紙のブランクを、搬送ベルトで搬送しながら環状に折り畳み、環状に折り畳んだブランクの両端部を接着して箱用の折り畳み箱に形成する折り畳み装置の下流側に、折り畳み装置から間隔を開けて順次1枚ずつ送り込まれる折り畳み箱を積み重ねる積み重ね装置を配置したものである。
【0003】
このような製箱装置には、ブランクの各フラップを略矩形状とし、後に箱に組み立てるときに、対向する一対の内フラップの外側に一対の外フラップを重ね合わせる折り畳み箱を形成するフォルダグルアと、各フラップを異形形状とし、箱に組み立てるときに、これらのフラップを互い違いに重ねるように組み合せて、接着テープや止め金具等を用いずに底の抜け止めをするワンタッチ式の折り畳み箱を形成するワンタッチ箱形成用グルア等がある。
【0004】
前記フォルダグルアには、枚葉状のカットシートにフレキソ印刷を施す印刷装置と、印刷を施されたカットシートに折り曲げ用の罫線を入れる回転式クリーザやカットシートから箱の展開形状のブランクを形成するために溝切りを行う回転式スロッタ等を有するブランク形成装置とを備えた加工装置を、折り畳み装置の上流側に配置したフレキソフォルダグルアが多い。また、ワンタッチ箱形成用グルアでは、通常、予め印刷や所定の箱の展開形状への打ち抜きを施されたブランクが折り畳み装置に供給される。
【0005】
前記折り畳み装置から送り出される折り畳み箱は、直接または送り込みコンベアを介して、積み重ね装置に間隔を開けて順次送り込まれ、積み重ね装置は、送り込まれる折り畳み箱を送り込み方向に対向させて配設したストッパで受け止めて、ほぼ水平な姿勢でホッパ内に落下させて上側から順次積み重ねる。
【0006】
前記積み重ね装置には、ホッパ内に上側から一旦積み重ねられた折り畳み箱を、ホッパの下側から1枚ずつ排出コンベアに排出し、排出される折り畳み箱の枚数を計測して、排出コンベアの下流側で下側から所定の枚数に積み上げるタイプのもの(例えば、特許文献1参照)と、積み重ね装置の入口で送り込まれる折り畳み箱の枚数を計測して、ホッパ内に上側から積み重ねた折り畳み箱を所定の枚数ずつ排出コンベアに排出するタイプのもの(例えば、特許文献2参照)とがある。
【0007】
前記印刷装置やブランク形成装置を備えた加工装置を折り畳み装置の上流側に配置したフレキソフォルダグルアのような製箱装置では、折り畳み装置での搬送速度が加工装置での搬送速度と同じ速度に設定される。例えば、折り畳み装置での搬送速度が印刷装置での印刷速度と同じ速度に設定されるフレキソフォルダグルアでは、搬送速度が400m/分以上の高速となることがあり、折り畳み装置に供給されるブランク間の間隔は、印刷装置の版胴の周長とカットシートの印刷方向の長さ寸法によって決まる。この折り畳み装置での搬送速度とブランク間の間隔は一定に保持され、形成された折り畳み箱は、高速で間隔を開けて送り出されて、積み重ね装置に送り込まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第3363397号公報
【特許文献2】特許第4213963号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述した製箱装置では、折り畳み装置から高速で送り出されて積み重ね装置に送り込まれる折り畳み箱が、送り込み方向に対向させて配設された積み重ね装置のストッパで受け止められるので、ストッパと衝突するときの衝撃によって、先端部に折れ曲がり等の損傷が生じる問題がある。送り込まれる折り畳み箱が水平面内で傾き、その先端がストッパと斜めに衝突する場合は、損傷がより激しくなる。このような損傷が生じた折り畳み箱は不良品となる。
【0010】
そこで、本発明の課題は、製箱装置の積み重ね装置に送り込まれる折り畳み箱に、損傷が生じないようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するために、本発明は、折り畳み装置の下流側に積み重ね装置を配置し、前記折り畳み装置で、所定の間隔を開けて順次供給される箱の展開形状とされた段ボールまたは厚紙のブランクを搬送しながら環状に折り畳み、その両端部を接着して箱用の折り畳み箱を形成し、この折り畳み装置から間隔を開けて送り出される折り畳み箱を前記下流側の積み重ね装置に送り込み、前記積み重ね装置で、前記送り込まれる折り畳み箱を、送り込み方向に対向させて配設したストッパで受け止めて、下方に積み重ねるようにした製箱装置において、前記折り畳み装置と前記積み重ね装置との間に、折り畳み装置での搬送速度Vよりも低速の搬送速度Vで駆動される低速コンベアを介在させ、前記折り畳み箱の搬送方向の長さ寸法をL、前記折り畳み装置から送り出される折り畳み箱間の間隔をSとしたときに、前記低速コンベアの搬送速度Vを、下記の(1)式を満足するように設定し、前記低速コンベアで搬送速度Vに減速された折り畳み箱を、前記積み重ね装置のストッパで受け止めるようにした構成を採用した。
・L/(L+S)< V <V (1)
【0012】
すなわち、折り畳み装置と積み重ね装置との間に、折り畳み装置での搬送速度Vよりも低速の搬送速度Vで駆動される低速コンベアを介在させ、折り畳み箱の搬送方向の長さ寸法をL、折り畳み装置から送り出される折り畳み箱間の間隔をSとしたときに、低速コンベアの搬送速度Vを、(1)式を満足するように設定し、低速コンベアで搬送速度Vに減速された折り畳み箱を、積み重ね装置のストッパで受け止めることにより、ストッパで受け止められる折り畳み箱の衝撃を小さくして、折り畳み箱に損傷が生じないようにした。
【0013】
前記低速コンベアの搬送速度Vを(1)式で規制したのは、以下の理由による。折り畳み装置から速度V、間隔Sで送り出される折り畳み箱が、搬送速度Vの低速コンベアで搬送されるときの間隔をSとすると、送り出される各折り畳み箱が継続して低速コンベアで搬送されるという移動時間の連続性から、次式が成立する。
(L+S)/V=(L+S)/V (3)
ここに、V<Vであるので、S<Sとなって、低速コンベアでの折り畳み箱の搬送間隔Sは、折り畳み装置から送り出される間隔Sよりも狭くなる。また、S=0すなわち、低速コンベアでの搬送間隔Sがなくなるときの搬送速度Vは次式で表される。
=L/(L+S)・V (4)
【0014】
したがって、(1)式を満足しないV≦V・L/(L+S)の状態になると、減速したときの折り畳み箱間の間隔がなくなって、低速コンベアに受け取られる折り畳み箱の先端が、先に受け取られた折り畳み箱の後端に衝突し、衝突した折り畳み箱が損傷する恐れがあるため、低速コンベアの搬送速度Vを(1)式で規制した。前述した積み重ね装置の入口で送り込まれる折り畳み箱の枚数を計測して、ホッパ内に積み重ねた折り畳み箱を所定の枚数ずつ排出コンベアに排出するタイプの積み重ね装置を備えたものでは、折り畳み箱間の間隔がなくなると、送り込まれる折り畳み箱の枚数の計測が困難になる問題もある。
【0015】
また、本発明は、折り畳み装置の下流側に積み重ね装置を配置し、前記折り畳み装置で、所定の間隔を開けて順次供給される箱の展開形状とされた段ボールまたは厚紙のブランクを搬送しながら環状に折り畳み、その両端部を接着して箱用の折り畳み箱を形成し、この折り畳み装置から間隔を開けて送り出される折り畳み箱を前記下流側の積み重ね装置に送り込み、前記積み重ね装置で、前記送り込まれる折り畳み箱を、送り込み方向に対向させて配設したストッパで受け止めて、下方に積み重ねるようにした製箱装置において、前記折り畳み装置の入口に、前記所定の間隔Sを開けて供給されるブランクの速度Vよりも低速の搬送速度Vで駆動される低速コンベアを接続し、前記ブランクの搬送方向の長さ寸法をLとしたときに、前記低速コンベアの搬送速度Vを、下記の(2)式を満足するように設定し、前記低速コンベアで搬送速度Vに減速された折り畳み箱を、前記積み重ね装置のストッパで受け止めるようにした構成も採用した。
・L/(L+S)< V <V (2)
【0016】
すなわち、折り畳み装置の入口に、所定の間隔Sを開けて供給されるブランクの速度Vよりも低速の搬送速度Vで駆動される低速コンベアを接続し、ブランクの搬送方向の長さ寸法をLとしたときに、低速コンベアの搬送速度Vを、(2)式を満足するように設定し、低速コンベアで搬送速度Vに減速された折り畳み箱を、積み重ね装置のストッパで受け止めることにより、ストッパで受け止められる折り畳み箱の衝撃を小さくして、折り畳み箱に損傷が生じないようにした。
【0017】
前記低速コンベアの搬送速度Vを(2)式で規制したのは、前記(1)式での規制理由と同様に、低速コンベアに受け取られるブランクの先端が、先に受け取られたブランクの後端に衝突しないようにするためと、折り畳み装置でのブランク間の搬送間隔がなくなって、折り畳み箱を形成できなくなることを防止するためである。
【0018】
前記低速コンベアまたはこの低速コンベアの上流側に接続されるコンベアを、搬送ベルトの搬送面が低摩擦係数とされたベルトコンベアとすることにより、低速コンベアを低摩擦係数のベルトコンベアとした場合は、折り畳み箱またはブランクのシート状搬送物を低速コンベアに受け取るときに、高速で低速コンベアの搬送面と接触するシート状搬送物の前部側が搬送面を滑るようにして、シート状搬送物の前部側の突っ掛かりによる湾曲変形や表面疵を防止することができる。また、上流側に接続されるコンベアを低摩擦係数のベルトコンベアとした場合は、シート状搬送物を下流側の低速コンベアに受け渡すときに、上流側コンベアの搬送面と接触しているシート状搬送物の後部側が搬送面を滑るようにして、同様に、シート状搬送物の前部側の突っ掛かりによる湾曲変形や表面疵を防止することができる。
【0019】
前記ベルトコンベアを、前記搬送ベルトの裏面側にサクション装置を設けたものとし、前記搬送ベルトを織物で形成して、この織物の織り目の隙間から前記サクション装置で空気を吸引することにより、低速コンベアに受け取られるか、または低速コンベアに受け渡される折り畳み箱またはブランクのシート状搬送物の底面全体をサクション装置で搬送面に吸着して、安定して搬送することができる。織物で形成した搬送ベルトは、織り目の隙間から空気を吸引することができるので、別途の吸引孔を設ける必要がなく、従来の吸引孔を一定間隔で設けた搬送ベルトよりも、シート状搬送物の底面を満遍なく吸着することができる。
【0020】
前記織物の搬送ベルトを、表面が低摩擦係数の糸で織成することにより、搬送面が低摩擦係数で、サクション性の優れた搬送ベルトを得ることができる。表面が低摩擦係数の糸としては、ポリアミド繊維、ポリエステル系繊維、ポリフッ化エチレン系繊維等で形成された糸を挙げることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係る製箱装置は、折り畳み装置と積み重ね装置との間に、折り畳み装置での搬送速度Vよりも低速の搬送速度Vで駆動される低速コンベアを介在させ、折り畳み箱の搬送方向の長さ寸法をL、折り畳み装置から送り出される折り畳み箱間の間隔をSとしたときに、低速コンベアの搬送速度Vを、(1)式を満足するように設定し、低速コンベアで搬送速度Vに減速された折り畳み箱を、積み重ね装置のストッパで受け止める構成を採用したので、ストッパで受け止められる折り畳み箱の衝撃を小さくして、折り畳み箱に損傷が生じないようにすることができるとともに、低速コンベアに受け取られる折り畳み箱間の間隔を確保することができる。
【0022】
また、本発明に係る製箱装置は、折り畳み装置の入口に、所定の間隔Sを開けて供給されるブランクの速度Vよりも低速の搬送速度Vで駆動される低速コンベアを接続し、ブランクの搬送方向の長さ寸法をLとしたときに、低速コンベアの搬送速度Vを、(2)式を満足するように設定し、低速コンベアで搬送速度Vに減速された折り畳み箱を、積み重ね装置のストッパで受け止める構成も採用したので、ストッパで受け止められる折り畳み箱の衝撃を小さくして、折り畳み箱に損傷が生じないようにすることができるとともに、低速コンベアに受け取られるブランク間の間隔を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】第1の実施形態の製箱装置を示す概略正面図
【図2】図1の製箱装置における折り畳み箱の形成と積み重ねまでの過程を説明する概念図
【図3】図1の印刷装置の出側でのカットシートの搬送形態を説明する概念図
【図4】図1の折り畳み装置と積み重ね装置の間に介在させた中間コンベアを示す正面図
【図5】図4の平面図
【図6】図1の積み重ね装置を示す正面図
【図7】(a)、(b)、(c)は、図6の積み重ね装置の動作を説明する正面図
【図8】第2の実施形態の製箱装置を示す概略正面図
【図9】第3の実施形態の製箱装置を示す概略正面図
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面に基づき、本発明の実施形態を説明する。図1乃至図7は、第1の実施形態を示す。図1および図2に示すように、この製箱装置は、コルゲータ(図示省略)で製造された段ボールのカットシートCに高速でフレキソ印刷を施す印刷装置21と、印刷されたカットシートCに縦方向の折り曲げ用の罫線を入れる回転式クリーザ22aやカットシートCから箱の展開形状のブランクBを形成するための溝切り等の縦方向の切り込みを行う回転式スロッタ22bを有するブランク形成装置とを備えた加工装置20を、折り畳み装置1の上流側に配置したフレキソフォルダグルアである。加工装置20から供給されるブランクBから折り畳み箱Aを形成する折り畳み装置1の下流側には積み重ね装置10が配置され、折り畳み装置1と積み重ね装置10との間に、折り畳み装置1から印刷装置21での印刷速度と同じ速度Vで送り出される折り畳み箱Aを、低速の搬送速度Vに減速する低速コンベアとしての中間コンベア2と、減速された折り畳み箱Aを積み重ね装置10に送り込む送り込みコンベア9が順に配置されている。
【0025】
前記コルゲータで製造された枚葉状のカットシートCには、予め横方向の折り曲げ用の罫線31aが入れられている。印刷装置21は3色用として3台設けられ、回転する各版胴21aによって、カットシートCに印刷32を施す。印刷装置21の印刷速度は300〜400m/分の高速とされ、印刷されたカットシートCは、出側に配置された印刷面を幅方向に走査する一次元のCCDカメラ23によって、印刷32の良否を検査され、搬送コンベア24によって、印刷速度と同じ速度Vで回転式クリーザ22aに送り込まれる。
【0026】
図3に示すように、前記搬送コンベア24によって速度Vで搬送される各カットシートC間には一定の間隔Sが開けられる。この間隔Sは、カットシートCの搬送方向の長さ寸法をL、各版胴21aの周長をDとすると、S=D−Lとなる。
【0027】
前記搬送コンベア24から間隔Sを開けて速度Vで送り込まれる印刷32を施されたカットシートCは、回転式クリーザ22aで縦方向の折り曲げ用の罫線31bを入れられた後、回転式スロッタ22bによって、フラップ形成用の複数の縦方向の切欠き溝33を切り込まれるとともに、一端側に接着用の継ぎ代34を切り込みで形成され、箱の展開形状のブランクBとされる。ブランクBの搬送方向の長さ寸法Lは、カットシートCの長さ寸法Lと同じであり、回転式スロッタ22bは、形成された各ブランクBを、印刷速度と同じ速度Vと間隔Sで折り畳み装置1の供給端に供給する。
【0028】
前記折り畳み装置1は、回転式スロッタ22bから間隔Sを開けて供給される各ブランクBを、供給端から排出端まで連なる上ベルト1aと、搬送方向で2分割された下ベルト1b、1cによって挟持し、間隔Sを開けて挟持した各ブランクBを、印刷速度と同じ速度Vで搬送しながら、両側の縦方向の罫線31bに沿って下方へ環状に折り畳み、環状に折り畳んだブランクBの両端部を継ぎ代34で接着して、折り畳み箱Aを形成する。形成された折り畳み箱Aは、上ベルト1aと排出端側の下ベルト1cに挟持されて、排出端に接続された中間コンベア2上に高速の排出速度Vで排出される。折り畳み箱Aの搬送方向の長さ寸法Lも、カットシートCの長さ寸法LおよびブランクBの長さ寸法Lと同じであり、折り畳み箱Aの排出間隔も、ブランクBの搬送間隔Sと同じになる。
【0029】
図4および図5に示すように、前記中間コンベア2は、無端の搬送ベルト2aを3本のローラ3a、3b、3cに巻回したベルトコンベアとされ、コントローラ(図示省略)によって、その搬送速度Vが、折り畳み装置1から排出される折り畳み箱Aの排出速度Vに対して、(1)式を満足するように設定される。
・L/(L+S)< V <V (1)
なお、折り畳み箱Aの搬送方向の長さ寸法Lと、版胴21aの周長Dから算出される折り畳み箱Aの排出間隔S(=D−L)は、予めコントローラに入力されている。したがって、低速の搬送速度Vとした中間コンベア2での折り畳み箱A間の搬送間隔Sが確保されるので、中間コンベア2に受け取られる折り畳み箱Aの先端が、先に受け取られた折り畳み箱Aの後端に衝突することはない。また、後述する光学式センサ8で間隔を開けた各折り畳み箱Aの到来を検出できるので、その枚数の計測を正確に行うことができる。
【0030】
具体的には、前記中間コンベア2での折り畳み箱A間の搬送間隔S(<S)の目標値を設定し、前記搬送速度Vを、(1)式を満足し、前記(3)式から導かれる次式で設定している。
=V・(L+S)/(L+S) (5)
この実施形態では、搬送間隔Sの目標値が250mmに設定されており、(5)式で設定される搬送速度Vは、平均値で排出速度Vの半分程度に減速される。
【0031】
前記中間コンベア2は、搬送ベルト2aの搬送面の裏側にサクション装置4が設けられるとともに、搬送ベルト2aがポリエステル系繊維の糸を織成した織物で形成され、搬送ベルト2aの織り目の隙間から空気を吸引し、折り畳み装置1から排出される折り畳み箱Aの底面を搬送面に満遍なく吸着して、安定して搬送するようになっている。
【0032】
前記サクション装置4は、上面に多数の吸引孔5aが設けられ、搬送方向に延びる複数のサクションボックス5を搬送ベルト2aの搬送面の裏側の幅方向に配列し、真空源(図示省略)に接続された吸引配管6によって、各サクションボックス5から空気を吸引するものであり、複数のサクションボックス5は搬送ベルト2aの搬送面の裏側の全面を覆うように配列されている。
【0033】
前記ポリエステル系繊維の糸を織成した織物の搬送ベルト2aは、搬送面が低摩擦係数となり、折り畳み装置1から高速で排出される折り畳み箱Aを受け取るときに、搬送面と接触する折り畳み箱Aの前部側が搬送面を滑るので、折り畳み箱Aの前部側の突っ掛かりによる湾曲変形や表面疵を防止することができる。なお、搬送ベルト2aを織成する糸は、搬送面が低摩擦係数となるものであればよく、ポリアミド繊維やポリフッ化エチレン系繊維等で形成してもよい。
【0034】
また、前記中間コンベア2の入口には、折り畳み装置1から高速で排出される折り畳み箱Aを搬送面に押し付けるブラシ7aが下り勾配で下流側へ向けて設けられ、中間コンベア2の出口には、減速されて送り込みコンベア9に送り出される折り畳み箱Aを搬送面に軽く押し付けるように、下流側へ向けて下り勾配となっているブラシ7bと、間隔を開けて送り出される折り畳み箱Aの到来によってその枚数を計測する光学式センサ8が設けられている。
【0035】
前記送り込みコンベア9は、中間コンベア2から送り出される各折り畳み箱Aを上ベルト9aと下ベルト9bで挟持して、中間コンベア2の搬送速度Vと同じ速度で、その相互間に間隔を開けて積み重ね装置10に送り込む。
【0036】
図6に示すように、前記積み重ね装置10は、送り込みコンベア9から間隔を開けて送り込まれる折り畳み箱Aを、送り込み方向に対向させて垂直に配設した板状のストッパ11で受け止め、ほぼ水平な姿勢でホッパ12内に落下させて上側から積み重ねるものである。この積み重ね装置10では、上述したように、折り畳み装置1から高速で送り出された折り畳み箱Aが、折り畳み装置1と積み重ね装置10の間に介在する中間コンベア2で減速された後で送り込まれるので、ストッパ11で受け止められるときの衝撃が小さく、折り畳み箱Aに先端部の折れ曲がり等の損傷が生じる恐れがない。
【0037】
前記ストッパ11は送り込み方向に延びる平行な2本のガイドロッド13に、送り込み方向に進退可能に支持され、送り込まれる折り畳み箱Aの長さ寸法Lに応じて進退させて、送り込みコンベア9の排出端に垂下された板状のガイド14との間の間隔、すなわち、折り畳み箱Aを積み重ねるホッパ12の長さ寸法を調整する。なお、ホッパ12を形成するストッパ11とガイド14は、複数の垂直に延びる棒状部材を送り込み方向と直角な方向に並設したものであってもよい。
【0038】
この積み重ね装置10は、前記光学式センサ8で計測される折り畳み箱Aの枚数に基づいて、ホッパ12内に所定の枚数ずつ積み重ねた折り畳み箱Aを排出コンベア15に排出する特許文献2に記載されたものと同様のタイプであり、ストッパ11の背面側からホッパ12内へ、交互に送り込み方向と対向する方向に進退する2つの受け取り棚16a、16bと、送り込みコンベア9の排出端の下側からホッパ12内の底側へ、交互に送り込み方向に進退する2つの積み重ね棚17a、17bを備えている。
【0039】
前記受け取り棚16a、16bと積み重ね棚17a、17bは、進退動作のほかに昇降動作も行なうようになっており、受け取り棚16a、16bは、これらの組み合わせ動作を時計回りに行い、積み重ね棚17a、17bは、これらの組み合わせ動作を反時計回りに行う。すなわち、各受け取り棚16a、16bは、ストッパ11の背面側に後退した位置で上昇動作を行い、ホッパ12内に前進した位置で下降動作を行う。また、各積み重ね棚17a、17bは、送り込みコンベア9の排出端の下側に後退した位置で上昇動作を行い、ホッパ12内に前進した位置で下降動作を行う。図示は省略するが、各受け取り棚16a、16bと各積み重ね棚17a、17bは、時計回りまたは反時計回りに動作するときに、それぞれの相手方と干渉しないように、互いにラインの左右方向の反対側で駆動装置に片持ち支持されている。
【0040】
図示は省略するが、前記各受け取り棚16a、16bと各積み重ね棚17a、17bは平面視で櫛状に形成されている。ストッパ11には下端に開口する複数の縦向きスリット11aが設けられており、櫛状の各受け取り棚16a、16bは、これらのスリット11aの隙間からホッパ12内に進退する。また、排出コンベア15は、幅方向に隙間を開けた複数の狭幅の搬送ベルト15aで形成されたベルトコンベアとされており、櫛状の各積み重ね棚17a、17bは、これらの搬送ベルト15a間の隙間に進退する。
【0041】
前記ストッパ11で受け止められて落下する折り畳み箱Aは、送り込みコンベア9の排出端の下側で上昇後にホッパ12内に前進した一方の積み重ね棚17aの上に、上側から所定枚数ずつ積み重ねられる。このとき、積み重ね棚17aは、各折り畳み箱Aの落差を小さく一定に保つように、積み重ね枚数の増加に伴って徐々に下降する。また、一方の受け取り棚16aは、ストッパ11の背面側で上昇後にホッパ12内に前進して、ホッパ12の上方の送り込みコンベア9の排出口よりも高い位置に待機している。
【0042】
図7(a)に示すように、前記積み重ね棚17aの上に所定枚数の折り畳み箱Aが積み重ねられると、積み重ね棚17aはホッパ12内で排出コンベア15の搬送面まで最下降して、所定枚数積み重ねた折り畳み箱Aを排出コンベア15上に移載するともに、二点鎖線で示すように上方に待機していた受け取り棚16aもホッパ12内で下降し、落下する折り畳み箱Aを一時的に受け取る。
【0043】
図7(b)に示すように、所定枚数積み重ねた折り畳み箱Aが排出コンベア15に移載されると、最下降した積み重ね棚17aは送り込みコンベア9の下側へ後退し、送り込みコンベア9の排出端の下側で最上昇した他方の積み重ね棚17bがホッパ12内に前進するとともに、受け取り棚16aがストッパ11の背面側へ後退して、その上に一時的に受け取られた折り畳み箱Aが前進した積み重ね棚17b上に移載される。前進する積み重ね棚17bの上面は、後退する受け取り棚16aの上面よりも低い位置にある。また、ホッパ12内の上方には、ストッパ11の背面側で上昇した他方の受け取り棚16bが前進して、ホッパ12の上方の送り込みコンベア9の排出口よりも高い位置に待機する。
【0044】
図7(c)に示すように、排出コンベア15に移載された折り畳み箱Aがホッパ12の下方から排出されると、受け取り棚16aから折り畳み箱Aを移載された積み重ね棚17bがホッパ12内に最前進し、その上に移載された折り畳み箱Aの上に、さらに落下する折り畳み箱Aが積み重ねられる。
【0045】
図示は省略するが、積み重ね棚17bに所定枚数の折り畳み箱Aが積み重ねられると、積み重ね棚17bが最下降して、積み重ねた折り畳み箱Aが排出コンベア15に移載、排出され、下降する受け取り棚16bに落下する折り畳み箱Aが一時的に受け取られたのち、ホッパ12内に前進する積み重ね棚17aに移載されて、図6に示したように、積み重ね棚17a上に落下する折り畳み箱Aが積み重ねられる。このように、送り込みコンベア9から送り込まれる折り畳み箱Aは、間断なく交互に2つの積み重ね棚17a、17bに所定枚数ずつ積み重ねられたのち下降して、排出コンベア15に排出される。
【0046】
上述した第1の実施形態では、中間コンベア2を低速コンベアとして、折り畳み装置1から高速の排出速度Vで排出される折り畳み箱Aを、中間コンベア2で低速の搬送速度Vに減速するようにしたが、折り畳み箱Aが積み重ね装置10に送り込まれる際に減速されていればよいので、送り込みコンベア9を低速コンベアとし、中間コンベア2から高速の搬送速度Vで搬送される折り畳み箱Aを、折り畳み装置1と積み重ね装置10の間に介在する低速コンベアとしての送り込みコンベア9で低速の搬送速度Vに減速して、積み重ね装置10に送り込むようにすることもできる。
【0047】
図8は、第2の実施形態を示す。この製箱装置も、前記印刷装置21、回転式クリーザ22aおよび回転式スロッタ22bを備えた加工装置20を折り畳み装置1の上流側に配置したフレキソフォルダグルアであり、前記中間コンベア2がなく、折り畳み装置1の排出端に直接送り込みコンベア9が接続され、送り込みコンベア9が低速コンベアとされている点が第1の実施形態と異なる。したがって、折り畳み装置1から高速の排出速度Vで排出される折り畳み箱Aは、折り畳み装置1と積み重ね装置10の間に介在する低速コンベアとしての機能を有する送り込みコンベア9で低速の搬送速度Vに減速されて、積み重ね装置10に送り込まれる。その他の構成は、第1の実施形態のものと同じである。
【0048】
図9は、第3の実施形態を示す。この製箱装置も、前記印刷装置21、回転式クリーザ22aおよび回転式スロッタ22bを備えた加工装置20を折り畳み装置1の上流側に配置したフレキソフォルダグルアであり、折り畳み装置1の入口に、低速コンベアとしての入口コンベア18が接続されている点が異なる。その他の構成は、第1の実施形態のものと同じである。
【0049】
この実施形態では、前記回転式スロッタ22bから印刷速度と同じ速度Vと間隔Sで供給されるブランクBが、入口コンベア18で低速に減速されて、折り畳み装置1の供給端に供給されるようになっており、入口コンベア18の搬送速度Vが、(2)式を満足するように設定される。
・L/(L+S)< V <V (2)
なお、ブランクBの搬送方向の長さ寸法Lと、版胴21aの周長Dから算出されるブランクBの排出間隔S(=D−L)は、予めコントローラに入力されている。したがって、入口コンベア18に受け取られるブランクBの先端が、先に受け取られたブランクBの後端に衝突することはなく、折り畳み装置1でのブランクB間の搬送間隔も確保される。
【0050】
また、前記折り畳み装置1、中間コンベア2および送り込みコンベア9は、いずれも入口コンベア18の搬送速度Vと同じ搬送速度に設定され、折り畳み装置1で形成された折り畳み箱Aは、第1の実施形態のものと同様に、送り込みコンベア9から低速の搬送速度Vで、その相互間に間隔を開けて積み重ね装置10に送り込まれる。
【0051】
なお、前記入口コンベア18は、第1の実施形態における中間コンベア2と同じ構成のベルトコンベアとされ、織物で形成された搬送ベルト18aの搬送面の裏側にサクション装置4が設けられるとともに、入口と出口にブランクBを搬送面に押し付けるブラシ7a、7bが下り勾配で下流側へ向けて設けられている。また、搬送ベルト18aはポリエステル系繊維の糸で織成され、搬送面が低摩擦係数とされているので、回転式スロッタ22bから高速で供給されるブランクBに、入口コンベア18に受け渡されるときの前部側の突っ掛かりによる湾曲変形や表面疵が生じることもない。
【0052】
上述した第2および第3の実施形態でも、折り畳み装置1で形成された各折り畳み箱Aは低速の搬送速度Vで積み重ね装置10へ送り込まれるので、ストッパ11で受け止められるときの衝撃が小さく、その先端部に折れ曲がり等の損傷が生じる恐れがない。
【0053】
上述した各実施形態では、積み重ね装置を、ホッパ内に積み重ねた折り畳み箱を所定の枚数ずつ排出コンベアに排出するタイプとしたが、積み重ね装置は、特許文献1に記載されたもののように、ホッパ内に上側から一旦積み重ねられる折り畳み箱を、ホッパの下側から1枚ずつ排出コンベアに排出し、排出される折り畳み箱の枚数を計測して、排出コンベアの下流側で所定の枚数に下側から積み上げるタイプとすることもできる。
【0054】
上述した各実施形態では、折り畳み箱を段ボール製のものとし、製箱装置を、印刷装置、回転式クリーザおよび回転式スロッタを備えた加工装置を折り畳み装置の上流側に配置したフレキソフォルダグルアとしたが、折り畳み箱は厚紙製のものとすることもできる。また、製箱装置は、他の加工装置を上流側に配置したフォルダグルアや、ブランクの供給装置のみを折り畳み装置の上流側に設けたフォルダグルアとすることもできる。さらに、上流側に加工装置がなく、予め印刷や所定の箱展開形状への打ち抜きが施されたブランクが折り畳み装置に供給され、箱の底の組み立てがワンタッチ式である折り畳み箱を形成するワンタッチ箱形成用グルアとすることもできる。
【符号の説明】
【0055】
A 折り畳み箱
B ブランク
C カットシート
1 折り畳み装置
1a 上ベルト
1b、1c 下ベルト
2 中間コンベア
2a 搬送ベルト
3a、3b、3c ローラ
4 サクション装置
5 サクションボックス
5a 吸引孔
6 吸引配管
7a、7b ブラシ
8 光学式センサ
9 送り込みコンベア
9a 上ベルト
9b 下ベルト
10 積み重ね装置
11 ストッパ
11a スリット
12 ホッパ
13 ガイドロッド
14 ガイド
15 排出コンベア
15a 搬送ベルト
16a、16b 受け取り棚
17a、17b 積み重ね棚
18 入口コンベア
18a 搬送ベルト
20 加工装置
21 印刷装置
21a 版胴
22a 回転式クリーザ
22b 回転式スロッタ
23 CCDカメラ
24 搬送コンベア
31a、31b 罫線
32 印刷
33 切欠き溝
34 継ぎ代

【特許請求の範囲】
【請求項1】
折り畳み装置の下流側に積み重ね装置を配置し、前記折り畳み装置で、所定の間隔を開けて順次供給される箱の展開形状とされた段ボールまたは厚紙のブランクを搬送しながら環状に折り畳み、その両端部を接着して箱用の折り畳み箱を形成し、この折り畳み装置から間隔を開けて送り出される折り畳み箱を前記下流側の積み重ね装置に送り込み、前記積み重ね装置で、前記送り込まれる折り畳み箱を、送り込み方向に対向させて配設したストッパで受け止めて、下方に積み重ねるようにした製箱装置において、前記折り畳み装置と前記積み重ね装置との間に、折り畳み装置での搬送速度Vよりも低速の搬送速度Vで駆動される低速コンベアを介在させ、前記折り畳み箱の搬送方向の長さ寸法をL、前記折り畳み装置から送り出される折り畳み箱間の間隔をSとしたときに、前記低速コンベアの搬送速度Vを、下記の(1)式を満足するように設定し、前記低速コンベアで搬送速度Vに減速された折り畳み箱を、前記積み重ね装置のストッパで受け止めるようにしたことを特徴とする製箱装置。
・L/(L+S)< V <V (1)
【請求項2】
折り畳み装置の下流側に積み重ね装置を配置し、前記折り畳み装置で、所定の間隔を開けて順次供給される箱の展開形状とされた段ボールまたは厚紙のブランクを搬送しながら環状に折り畳み、その両端部を接着して箱用の折り畳み箱を形成し、この折り畳み装置から間隔を開けて送り出される折り畳み箱を前記下流側の積み重ね装置に送り込み、前記積み重ね装置で、前記送り込まれる折り畳み箱を、送り込み方向に対向させて配設したストッパで受け止めて、下方に積み重ねるようにした製箱装置において、前記折り畳み装置の入口に、前記所定の間隔Sを開けて供給されるブランクの速度Vよりも低速の搬送速度Vで駆動される低速コンベアを接続し、前記ブランクの搬送方向の長さ寸法をLとしたときに、前記低速コンベアの搬送速度Vを、下記の(2)式を満足するように設定し、前記低速コンベアで搬送速度Vに減速された折り畳み箱を、前記積み重ね装置のストッパで受け止めるようにしたことを特徴とする製箱装置。
・L/(L+S)< V <V (2)
【請求項3】
前記低速コンベアまたはこの低速コンベアの上流側に接続されるコンベアを、搬送ベルトの搬送面が低摩擦係数とされたベルトコンベアとした請求項1または2に記載の製箱装置。
【請求項4】
前記ベルトコンベアを、前記搬送ベルトの裏面側にサクション装置を設けたものとし、前記搬送ベルトを織物で形成して、この織物の織り目の隙間から前記サクション装置で空気を吸引するようにした請求項3に記載の製箱装置。
【請求項5】
前記織物の搬送ベルトを、表面が低摩擦係数の糸で織成した請求項4に記載の製箱装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−167858(P2011−167858A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−31200(P2010−31200)
【出願日】平成22年2月16日(2010.2.16)
【出願人】(000115980)レンゴー株式会社 (502)
【Fターム(参考)】