説明

製袋充填包装装置

【課題】 角底袋の角底に可及的に接近した状態で製品の積み下ろしすることにより、製品の充填時における製品の変形や損傷を回避して包装体としての商品価値の低下を防止すると共に、装置の小型化を図ることができる製袋充填包装装置を提供する。
【解決手段】 筒状包装材Ftは充填筒3の外側を案内され、充填筒3の下方に配置されている横シール機構4による横断方向のシールで角底袋Bに形成される。製品Aは金属テープ43,43の下端に設けられた製品受け44,44で支持され、金属テープ43,43が充填筒3内でテープガイド50,50によって案内されつつ下降する。巻取り部から下方に向かって繰り出される各金属テープ43の先端がテープガイド50の枠屈曲部56を移動するときに製品受け44は開き動作を行い、製品Aは、角底袋Bの角底に可及的に接近した状態で、角底袋B内に投入される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ガゼット袋のような角底の包装袋を形成しつつ内部に製品を充填し、袋包装体を連続的に製造する製袋充填包装装置に関する。
【背景技術】
【0002】
和菓子や洋菓子のような個々の大きさが比較的大きな製品は、個別に袋に包装された状態で流通又は販売されていることが多い。従来、ガゼット袋のような角底袋に1個又は数個単位で製品を包装する包装装置として、予め別途形成された角底袋の開口を開いて充填位置に供給し、充填位置に到来した角底袋毎に製品を投入し、袋の開口部を閉鎖して製品を包装する個別包装装置が知られている(特許文献1参照)。この型式の包装装置は、個々の角底袋をコンベヤによって横方向に順次間欠的に搬送・供給し、搬送途中で角底袋を開口し、開口した角底袋に製品を個別に投入し、製品投入済みの角底袋の開口部を閉鎖する工程を繰り返すことで、連続して製品を包装することができる。
【特許文献1】特公昭44−5592号公報(図1、図2)
【0003】
しかしながら、上記の個別包装装置は、和菓子や洋菓子のような個別製品を人手による煩雑な包装作業に頼ることなく自動的に包装可能とする点で優れているが、予め製造された角底袋を用いているので、製袋充填包装機のようにウェブ状包装材から連続的に製作される袋を用いて製品の充填と袋の開口部の閉鎖とを行う場合と比較して包装コストが割高である。また、袋の素材となる包装材料の品質によっては包装装置の作動安定性が変わり、常に良好な包装状態が得られるとは限らない。更に、上記の個別包装装置は、予め製造され且つコンベヤで搬送されてくる角底袋に製品を充填する型式の装置であるため、コンベヤだけでも作業場において広いスペースを占める傾向がある。また、袋の保持・開口・閉鎖を行う各機構としてそれぞれ複雑な機構を各ステーションに配置しているので、装置の価格も高くなる。
【0004】
一方、平坦な包装フィルムから筒状の包装フィルムを成形し、筒状の包装フィルムから包装袋を形成しつつ製品を投入し、横断方向にシール等を施すことによって製品入りの袋包装体を連続的に製造する包装機として、縦型製袋充填包装機が知られている。この型式の包装機を角底袋の製袋とその角底袋への製品の充填に応用して、個別製品入りの角底袋を連続的に製造することも考案されている。この縦型製袋充填包装装置は、平坦な包装フィルムから一旦、円筒状の包装フィルムを成形し、その後、円筒状の包装フィルムを、円筒形から断面形状を徐々に断面角形に変更された製筒ガイドの外周面に案内させることによって、断面角形の筒状包装フィルムを成形し、断面角形の筒状包装フィルムにエンドシールを行う際に袋の側方からガゼットを折り込むことによって、角底袋を形成している。その角底袋内に個別製品を投入し、角底袋の開口を閉鎖することによって、角底袋による個別製品の包装が行われている。
【0005】
上記型式の包装装置の一例として、胴部が断面四角形の角筒状であって、下底が平底であって上底が片流れ傾斜式に絞り封止され、その合縁部がヒートシールや接着剤等を介して封止され、軽量で嵩張るスナック菓子等や調味剤等の塊状の物品、粉粒状体、ジュース等の液体、粘性体等の商品を所定の重量又は容量を充填し、段ボール等のケースへの箱詰めを充填率良く行うことができる角筒包装袋製造装置が提案されている(特許文献2参照)。この製袋充填包装装置においては、フィルム状の包装シートはフォーマから一体的に下延する二重筒式のシリンダーによって角筒に形成されるが、シリンダーは、上部から途中部分までは円筒形状のシリンダーに、途中部分から下部にかけては次第に断面形状が長方形まで滑らかに連続的に変化する内外が相対スライド自在な角筒状シリンダーに形成されている。従って、包装シートは、フォーマによって円筒状に成形された後、シリンダーによって次第に角筒状に断面形状が変形される。
【特許文献2】特開平7−285511号公報(段落[0025]、図1、図3及び図4)
【0006】
また、別の製袋充填包装の例として、本出願人は、エンドシーラと角床形成用ガゼット爪との間に角床部分を形成している三角形に折り込まれるウェブ内面部分を密着シールすることにより、角床部の三角形の重ね折り部分に被包装物の入り込みを無くすとともに、ボトムシールリブを横倒しでき、平滑な角床袋を形成することができる縦型製袋充填方法を提供している(特許文献3参照)。この縦型製袋充填方法においても、連続するウェブをフォーマによって曲成しフォーマの内側に通された断面円筒の製品落下筒を包む態様に折り上げ、製品落下筒の前側に合わさるウェブ両縁を縦シールして包装筒に形成している。製品落下筒の下部は、水平断面が円形から矩形に変化している異形筒と矩形筒に構成されており、断面円形の包装筒を矩形に変化させてガゼット成形をしやすくしている。
【特許文献3】特開平10−59308号公報(段落[0006]、図1)
【0007】
上記の製袋充填包装方法及び装置においては、いずれも、平坦なウェブ状包装材を一旦、断面円形の筒状包装フィルムに成形し、その後、連続的に変形させて断面矩形の筒状包装フィルムを得ている。図4は、従来の製筒ガイドとそれによって走行案内される筒状包装材を模式的に示す斜視図である。図4に示すように、製筒ガイド60は、上側に置かれ長さL1を持ち断面円形の円筒ガイド部61から、長さL2を持ち連続的な断面形状変遷部62を経て、下側に置かれた長さL3を持つの断面矩形の角筒ガイド部63を有している。平坦なウェブ状包装材は、円筒ガイド部61において断面円形の筒状包装フィルム65に成形されて走行案内され、断面形状変遷部62において断面円形から断面矩形に連続的に変形される筒状包装フィルム66となり、角筒ガイド部63において断面矩形の筒状包装フィルム67の状態で走行案内される。従って、製筒ガイド60は、断面円形の筒状包装フィルム65のまま製袋充填を行う製筒ガイドと比較して、少なくとも断面形状変遷部62の長さの分、長手方向に長くならざるを得ない。その結果、製袋充填包装装置の高さが高くなり、装置が大型化して、広い設置スペースが必要になる、あるいは装置価格が上昇する等の問題点がある。
【0008】
また、上記の製袋充填包装方法及び装置においては、包装すべき製品がスナック菓子等のバラ製品や粉粒体である場合には、ホッパ内に滞留され且つ計量された所定量の製品を充填筒内に投下しても、製品は、破損が殆ど問題になることなく包装される。しかしながら、饅頭等の和菓子やカップケーキ等の洋菓子は、一般には上下の向きがあって袋内に正しく置かれないと商品価値が低下するおそれがある。また、上記製品は、一般に脆弱であり、単純な充填筒内への投入では袋底に着地したときの衝撃によって形が崩れる可能性があり、やはり商品価値が低下するおそれがある。こうした製品の充填について、角底袋の角底に接近した状態で製品を投入することができれば製品が受ける衝撃を小さくすることができるが、長くなった充填筒を用いるときには角底に接近する位置まで製品を供給する供給手段の設計が困難である。しかしながら、製袋充填包装において製造される袋については、包装材の使用量が少ないことが好ましいので充填筒の径についても製品投入を可能にする程度の大きさに設定されるのが通常である。製品の両側を把持又は底部を支持する一対の長尺な開閉アームで供給手段を構成することが考えられるが、長く且つ断面が狭い填筒内で一対の長尺な開閉アームを開閉させることは一般的には困難であるので、このような製品については製袋充填包装方法及び装置を用いた包装が事実上不可能であった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで、角底袋を製造しながら製品を充填包装する製袋充填包装装置においては、充填筒内で広さを取らずに充填方向に延びることができる供給手段を用いることにより、角底袋の角底に可及的に接近した状態で製品を積み下ろしして、製品の投入時に製品が袋の角底から受ける衝撃を少なくする点で解決すべき課題がある。
【0010】
この発明の目的は、角底袋の角底に可及的に接近した状態で製品の積み下ろしすることにより、製品の充填時に製品が袋の角底に衝突することによる製品の変形や損傷を回避して包装体としての商品価値の低下を防止すると共に、装置の小型化を図ることができる製袋充填包装装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するため、この発明による製袋充填包装装置は、内部において製品を投入可能であると共に外部において筒状包装材を走行案内可能とする充填筒、前記充填筒内を昇降可能であり且つ先端部に前記製品を支持可能な製品受けを備えている金属テープと前記充填筒内に延び前記金属テープが下降する際に前記製品受けを開く態様で前記金属テープの昇降を案内するテープガイドとを備えた製品投入機構、及び前記充填筒の下方に配置され且つ前記筒状包装材を横断方向にシールする横シール機構から成っている。
【0012】
この製袋充填包装装置によれば、充填筒の外側を案内されて下方に走行する筒状包装材は、充填筒の下方に配置されている閉鎖手段によって横断方向にシールされて袋が形成される。袋には、充填筒の内部を通して包装すべき製品が充填される。また、製品が充填された袋を筒状包装材から切断分離して、袋開口をヒートシール等の閉鎖を行うことも可能である。先行して形成される袋において、袋開口の閉鎖は後続の袋において横断方向のシールによる袋底の形成と同時に行うことができる。製品投入機構は、充填筒の上方に搬送された単品物品としての製品を製品受けによって個別に支持し、支持状態にある製品を金属テープを繰り出すことにより充填筒内で降下させ、製品が袋底に接近した際に製品受けを開くことにより製品の支持を解放するので、充填される製品の落下距離が短くなり、製品の姿勢や形が崩れるのを防止することができる。なお、製袋充填包装装置は、充填筒が内部を垂下して配置されており且つ平坦なウェブ状包装材を筒状包装材に成形するフォーマ、及び前記筒状包装材の両側端縁をシールする縦シール機構を備えることができる。
【0013】
この製袋充填包装装置において、製品の投入は、製品をその両側から抱えるようにして底部を支持するのが好ましい。そこで、前記製品投入機構を、前記金属テープと前記テープガイドとを一つのユニットとした二つの投入ユニットを前記充填筒内で対向して配置して構成し、前記両金属テープを前記充填筒の上方に配置されている巻取り部から下方に向かって繰り出され又は上方に向かって巻き取りされることで互いに同期して昇降駆動する。このように構成することで、充填筒内で対向して配置された二つの投入ユニットに備わる各金属テープの製品受けによって製品がその両側から抱えるようにして支持され、しかも両金属テープが互いに同期して下降駆動されることで、製品はバランスが崩れることなく安定して支持される。
【0014】
二つの投入ユニットを有する製袋充填包装装置において、金属テープは、摩耗粉が可能な限り発生しないように駆動するのが好ましい。そこで、前記両投入ユニットは、前記金属テープの巻取り又は繰出しのため、前記金属テープに接触して走行させる駆動ローラを備えることができる。投入ユニットをこのように構成した場合、駆動ローラは摩擦力で金属テープを走行させて金属テープの巻取り又は繰出しを行う。駆動ローラと金属テープとはころがり摩擦力による接触であるので、製品が食品である場合にも、清潔な環境下で製品を投入することができる。この場合、駆動ローラは金属テープを表裏両側で挟むように対に配設することによって金属テープを安定して走行させるのが好ましい。
【0015】
この製袋充填包装装置において、前記各テープガイドは、対応する前記金属テープをテープ幅方向とテープ厚み方向に摺動案内する構成とすることができる。各テープガイドによって各金属テープをテープ幅とテープ厚みの両方向で摺動案内することにより、両金属テープは、昇降の際に横方向や互いに接離方向に不安定な動きをすることがなく、安定して昇降することができる。
【0016】
その際、前記各テープガイドは、前記金属テープの少なくとも両側端縁部を正面側から側端縁を回って背面側に囲んで摺動案内する断面コ字状のガイド枠を備える構成とすることができる。断面コ字状のガイド枠で金属テープの少なくとも両側端縁部を囲むことで、各金属テープをテープ幅とテープ厚みの両方向で摺動案内することができる。
【0017】
更に、この断面コ字状のガイド枠を用いる場合、前記各ガイド枠は、前記充填筒の長手方向に平行に真っ直ぐに延びる枠本体部と、前記金属テープが下降する際に前記先端部を案内して前記製品受けを開くため前記枠本体部から下側に連続し且つ相手側の前記テープガイドから遠ざかる方向に滑らかに曲がる枠屈曲部とを備える構成とすることができる。両金属テープの先端部が枠屈曲部を下降するときに、両先端部は互いに遠ざかるように変位し金属テープの下端部が枠屈曲部に沿って屈曲するので、両製品受けは互いに下に開いて製品の支持を解放し、製品を投下することができる。
【0018】
この製袋充填包装装置において、前記充填筒は少なくとも下部外面が断面角筒形に形成されており、前記横シール機構が前記筒状包装材を横断方向にシールするときに角底袋のための角底を形成することができる。下部外面が断面角筒形に形成されている充填筒によって、筒状包装材は最終的に断面角形に形成されて角底袋が形成される。なおその際に、横断方向にシールの前に、適宜、側方よりガゼットの折込みを行うことで、角底を積極的に形成することが好ましい。
【0019】
この製袋充填包装装置において、前記製品投入機構に対して上流側に製品搬送機構が連設されており、前記製品搬送機構は、前記製品を搬送する搬送手段と、前記搬送手段によって搬送された前記製品を受けると共に前記充填筒の上端部に近接する進出位置で前記製品を前記製品投入機構に受け渡した後に後退位置に退くシャッタとを備えていることができる。製品投入機構に対して上流側にこのような製品搬送機構を連設することにより、搬送手段によって搬送された製品は、シャッタ上に受け取られ、その後、シャッタによって充填筒の上端部に近接する進出位置に運ばれる。製品は、進出位置において製品投入機構に受け渡されシャッタが後退位置に退く。製品投入機構は、製品を支持した状態で充填筒内を降下可能となる。
【発明の効果】
【0020】
この発明による製袋充填包装装置は、上記のように構成されており、特に、充填筒の内部を通して袋に製品を投入する製品投入機構が巻取り部から繰り出し又は巻き取られて昇降する金属テープを用いているので、充填筒の横断面スペース内において金属テープが占める位置は充填筒の内面に近接させることができ且つ金属テープが占める割合を非常に小さくすることができる。したがって、充填筒内のスペースは専ら製品の投入に利用することができるので、製品の大きさに対して充填筒の径を小さくすることができる。また、金属テープは巻き取る形態に構成することができるので、充填筒上方の構造が簡単になると共に占めるスペースも少なくて済む。その結果、装置を横縦に小型化して製造コストを低減する製袋充填包装装置を提供することができる。また、袋の余剰な部分を少なくすることができるので、包装材の使用量も少なくすることもできる。更に、製品を袋の角底に可及的に接近させた状態で製品の支持を解放するので、製品の落下距離が短くなり、製品が袋の角底に衝突することによる製品の姿勢や形が崩れるのを防止して包装体としての商品性の低下を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、添付した図面に基づいて、この発明による製袋充填包装装置の実施例を説明する。図1は、この発明による製袋充填包装装置の一実施例を示す斜視図であり、(a)は、全体斜視図、(b)は製品投入機構による製品の支持状態を示す部分斜視図である。
【0022】
図1に示す製袋充填包装装置1は、平坦なウェブ状包装材Fwを断面略角形の筒状包装材Ftに成形するセーラ形のフォーマ2と、フォーマ2の内部をその下方にまで垂下して配置されている断面角筒形の充填筒3とを有している。フォーマ2は、セーラ部10においては平坦なウェブ状包装材を円筒形の筒状包装材に成形する従来の製袋充填包装装置に用いられるフォーマと類似した形状を有しているが、内周側の筒状部11においては充填筒3に対応して略角筒状に形成されている。充填筒3は、内部が中空に形成されていて製品Aを投入可能であると共に、外部の四角筒面がフォーマ2によって成形された筒状包装材Ftを受けて、筒状包装材Ftの走行を案内可能である。製袋充填包装装置1は、また、充填筒3の下方に配置され且つ充填筒3によって断面角形に形成された筒状包装材Ftを横断方向にシールして角底袋Bを形成する横シール機構4を有している。
【0023】
包装される製品Aは、各角底袋Bに個別に包装される饅頭等の和菓子やカップケーキ等の洋菓子等の脆弱な単品食品とすることができ、底面に品質保持剤Cが付着されている。充填筒3の上端部12に接近して、製品Aを送り込む製品搬送機構5が配設されている。製品搬送機構5は、充填筒3の上端部12の上方位置への進出とその位置からの後退との作動を行うシャッタ16と、その上流に配設されていてシャッタ16に製品を搬送する搬送手段(詳細は図3参照)を備えている。シャッタ16は、充填筒3の上端部12を覆う進出位置で上面である載置面17に製品Aを受けて載置し、想像線で示す後退位置に退くことで、載置していた製品Aが上端部12の開口12aから充填筒3内へ投入される。
【0024】
充填筒3の左右両側方には、充填筒3の外面14との間で筒状包装材Ftを挟み、筒状包装材Ftを外面14に押し当てた状態で筒状包装材Ftを下方に引き下ろす包装材送り機構6が配設されている。また、充填筒3の正面には、筒状包装材Ftの側縁部をシールする縦シール機構7が配設されている。包装材送り機構6及び縦シール機構7は、断面円筒形の充填筒を有する型式の製袋充填包装機において用いられている周知の構造のものでよい。包装材送り機構6は、例えば、筒状包装材Ftに高い摩擦力で接触する歯付きベルト18と、歯付きベルト18が巻き掛けられる歯付きの駆動プーリ19及び歯付きの従動プーリ20とから成っている。歯付きベルト18は、断面角筒形の充填筒3の平らな側面に対して筒状包装材Ftを挟むので、筒状包装材Ftを確実に送ることができる。縦シール機構7は、例えば、互いに接近したときに側縁部を挟み込んでヒートシールする一対の縦ヒートシールバー21,22から成っている。
【0025】
横シール機構4は、断面円筒形の充填筒を有する型式の製袋充填包装機において用いられている周知の構造のものでよく、例えば、先行して形成される角底袋Bの上端部をヒートシールして閉鎖する下側の組のヒートシールバー23と、後続の筒状包装材Ftをヒートシールして角底袋の角底を形成する上側の組のヒートシールバー24と備えている。両組のヒートシールバー23,24の間には、筒状包装材Ftを切断して先行して形成される角底袋Bを切り出すカッタ機構25を備えることもできる。
【0026】
充填筒3の下端部13の下方には、横シール機構4の上下においてそれぞれガゼット折込み機構8,9が設けられている。この例では、閉鎖手段4の上方に設けられるガゼット折込み機構8は、筒状包装材Ftに向かって先端が尖った水平姿勢で配置され且つ断面角筒形の筒状包装材Ftの両側面に向かって進退可能な一対の三角板26,26である。また、横シール機構4の下方に設けられるガゼット折込み機構9は、筒状包装材Ftに向かって上側の先端から側面が滑らかに後退した形状を持ち、筒状包装材Ftの同じ両側面に向かって進退可能な一対の垂直板27,27である。
【0027】
充填筒3に関連して、製品Aを角底袋Bの角底近傍まで降下させる製品投入機構40が設けられている。製品投入機構40は、対向配置された一対の投入ユニット41,41から成っており、各投入ユニット41は、充填筒3の上方に配置されている巻取り部(図1に示す例では図示せず。図3の符号42が付された要素を参照)と、巻取り部から下方に向かって繰り出され又は上方に向かって巻き取りされることで充填筒3内を昇降可能な金属テープ43を備えている。図1(b)に示すように、各金属テープ43の先端部43aには、製品受け44が直角に折り曲がって一体的に形成されており、一対の投入ユニット41,41の製品受け44,44が製品Aの底部を両側から抱え込んで載置させる態様で、製品Aを支持可能である。金属テープ43の巻取り又は繰出しを行うため、上端部12の上方には金属テープ43に接触して走行させる駆動ローラ45が設けられている。金属テープ43を表裏両側で挟むように駆動ローラ45,45が対に配設されており、金属テープ43を安定して走行させることができる。駆動ローラ45は、サーボモータのような駆動手段によって駆動される。駆動ローラ45を回転駆動するとき、駆動ローラ45はころがり摩擦力で金属テープ43を走行させるので、摩耗粉の発生が極めて少なく、製品Aが食品である場合にも清潔な環境下で製品Aを投入することができる。金属テープ43を正しく巻き取るため、巻取り部のリールには金属テープ43を巻取り方向に付勢するばねを設けることができる。
【0028】
各金属テープ43の昇降を安定的に案内し、その先端部43aに設けられている製品受け44を開いて製品Aを角底に投下させるため、各金属テープ43に対応してテープガイド50が設けられている。図2は、図1に示す製袋充填包装装置に用いられる金属テープを案内するテープガイドの一例を示す図である。図2(a)は金属テープとそれを案内する一対のテープガイドの側面図であり充填筒の中途の部分を省いて示す断面図、図2(b)は、図2(a)におけるI−I断面図であり、製品受け44,44が枠本体部に位置しているときに製品Aを支持している状態を示す図である。図2に示すように、一対のテープガイド50,50は、互いに対向配置されており、充填筒3の上端部12の上方で包装装置の適宜のフレーム(図示せず)に取り付けられており、上方より充填筒3内に降下して充填筒3の下端部13の近傍までの間、即ち、製品受け44,44が少なくともシャッタ16から製品Aを受け取る位置から製品Aを袋の角底部に投下する位置までの間に渡って延びている。
【0029】
図2(b)の正面図に示すように、各テープガイド50は、金属テープ43の側縁部46,46を囲むガイド枠51,51から成っている。ガイド枠51,51は、断面で見て金属テープ43の背面を案内する背面壁部52と、背面壁部52の両端で側縁部46,46を回る側壁部53,53と、側壁部53,53から金属テープ43の正面側に回って金属テープ43の側縁部46をその正面側から案内する端縁部54,54とから形成されている。背面壁部52は、側壁部53,53を連結してガイド枠51,51の剛性を高めることができる。したがって、ガイド枠51,51は、金属テープ43をそのテープ幅方向とテープ厚み方向とで位置規制して揺れることなく摺動案内することができる。各金属テープ43の先端部43aから折れ曲がって形成された製品受け44は、端縁部54,54と干渉しないように端縁部54,54の間から相手側の金属テープ43側に向かって延びている。各テープガイド50は、金属テープ43よりも剛性が高く製作されており、金属テープ43が昇降するときにも金属テープ43を横方向や互いに接離方向に揺れることなく確実に案内することができる。テープガイド50,50は、長手方向に見た場合、充填筒3の長手方向と平行な方向に真っ直ぐに延びる枠本体部55,55と、枠本体部55,55の下側において枠本体部55,55から連続して互いに次第に遠ざかるように滑らかに曲げられた枠屈曲部56,56とから成っている。
【0030】
製袋充填包装装置1によれば、フォーマ2が平坦なウェブ状包装材Fwを断面略角形の筒状包装材Ftに成形する。筒状包装材Ftは、フォーマ2の内部を垂下して配置されている断面角筒形の充填筒3の外側面14を案内されて下方に走行し、充填筒3の下方に配置されている横シール機構4によって、横断方向にシールして角底袋Bの角底が形成される。角底袋Bには、充填筒3の内部を通して投入された製品Aが充填される。角底袋Bには、横シール機構4による横断方向のシールの前に、ガゼット折込み機構8,9によって、適宜、側方よりガゼットが折り込まれる。製品Aが充填された角底袋Bは、筒状包装材Ftから切断分離される。先行して形成される角底袋B1の袋開口の閉鎖は、後続の角底袋B2において横断方向のシールによる角底の形成と同時に行うことができる。
【0031】
充填筒3は、上部から既に断面角形に形成されているので、途中に断面形状変遷部が不要であり、角底袋Bを形成するにもかかわらず長さが短い。従って、充填筒3の内部を通して投入される製品Aの下降距離が短くなり、製袋充填包装装置1の高さを低く抑えることができる。また、充填筒3内に製品Aを送り込む製品搬送機構5は、シャッタ16として示すように、充填筒3の上端部12aの直上方に近接配置されているので、製品投入機構40が製品Aを受け取ってから金属テープ43が下降する距離が可及的に短くなり、金属テープ43が昇降する作動範囲を短く構成することができる。
【0032】
製品Aは、製品受け44,44で支持された状態で金属テープ43,43がテープガイド50,50に案内されつつ繰り出されるとき、充填筒3の内部を角底袋Bの角底近くまで降下される。即ち、金属テープ43,43が上方から降下するときに枠本体部55,55に案内されている間は、製品受け44,44は開かず、製品Aは製品受け44,44に載置されたまま降下される。枠屈曲部56,56が下方に向かうに従って次第に開く形状を有しているので、金属テープ43,43が枠屈曲部56,56に案内されて降下するとき、金属テープ43,43の先端部43a,43aを含む部分は枠屈曲部56,56の形状に倣って屈曲し、先端部43a,43aに直角に突出している製品受け44,44は図2(a)の想像線で示すように下に開いて製品Aの載置を解き、製品Aを角底が形成された袋に投下する。金属テープ43,43は、製品Aを投下した後、テープガイド50,50に案内されながら製品Aの供給位置まで上昇し、以下、上記の工程を繰り返す。
【0033】
金属テープ43,43は、厚みが薄く且つ充填筒3の内面に近接した状態で昇降するので、金属テープ43,43が通過するために要するスペースは充填筒3の内面に近接し且つ狭い範囲に限定され、充填筒3内のスペースは実質的に製品Aの投入に必要なスペースとして供される。したがって、充填筒3の断面での大きさを最小限に抑えて、製袋充填包装装置1の横サイズを小型化し、製品Aの包装に必要な包装材の使用量を抑制することもできる。製品Aが饅頭等の和菓子やカップケーキ等の洋菓子等の脆弱であって個別包装される物品であっても、製品受け44による製品Aの支持が解放されてから製品Aが実際に落下する距離が短いので、製品Aの角底袋B内への充填時における製品Aの姿勢や形が崩れるのを防止することができる。
【0034】
図3は、図1に示す製袋充填包装装置において、製品搬送機構と製品投入機構とを含む製袋充填包装装置の上部を示す斜視図である。図1に示す製袋充填包装装置においてした説明と重複する説明については省略する。製品搬送機構30は、充填筒3の上方に配設されており、製品Aを順次供給する供給コンベヤ31と、供給コンベヤ31から1個ずつ供給された製品Aを載置するシャッタ32と、シャッタ32上の製品Aを充填筒3の直上方の位置まで送り出すプッシャ33とを備えている。シャッタ32上の製品Aは既出のシャッタ16上に移され、プッシャ33によって製品投入機構40への移載位置まで送られる。充填筒3の上方において、巻取り部42,42が対向配置して示されている。巻取り部42,42から繰り出される金属テープ43,43は、互いに平行なまま真っ直ぐに下方に延びて充填筒3内に配置されているテープガイド50内に挿通されている。金属テープ43,43が巻き取られて製品受け44,44が最上位置まで上昇しても、金属テープ43,43がテープガイド50から外れることはない。製品受け44,44は、最上位置まで上昇した位置でシャッタ16上の製品Aを受ける。シャッタ16の作動時に、製品Aをシャッタ16の作動方向前後の位置で規制して製品受け44,44上に正確に受け渡すことができる。その後、金属テープ43,43の繰り出しによって製品受け44,44は降下し、製品Aを支持した状態のまま角底袋Bの角底近くまで投入し、枠屈曲部56,56にガイドされるときに製品受け44,44が開いて製品Aを投入する。
【0035】
上記の各実施例では、充填筒3は、断面角筒形としたが、長さ方向に亙って断面円筒形、或いは途中で断面円筒形から断面角筒形に変化する筒であっても良いことは明らかである。また、製品投入機構40の巻取り部42には金属テープ43の巻取りと繰出し時に金属テープ43が出入りするガイド口部を充填筒3の上部開口に合わせた位置に設けて、充填筒3内に向かって金属テープ43を昇降案内させることができる。また、製品Aが比較的剛性の高いものである場合には、製品供給手段40を、充填筒3の内面近傍に沿って片側のみの一つのユニットから構成することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】この発明による製袋充填包装装置の一実施例を示す斜視図である。
【図2】この発明による製袋充填包装装置の投入ユニットの概略を示す図である。
【図3】この発明による製袋充填包装装置の製品投入機構を示す斜視図である。
【図4】従来の充填筒とそれに走行案内される筒状包装材とを示す斜視図である。
【符号の説明】
【0037】
1 製袋充填包装装置 2 フォーマ
3 充填筒 4 横シール機構
5 製品搬送機構 6 包装材送り機構
7 縦シール機構 8,9 ガゼット折込み機構
10 セーラ部 11 筒状部
12 上端部 12a 開口
13 下端部 14 外面
16 シャッタ 17 載置面
18 歯付きベルト 19 駆動プーリ
20 従動プーリ
21,22 縦ヒートシールバー
23,24 ヒートシールバー
25 カッタ機構 26 三角板
27 垂直板
30 製品搬送機構 31 供給コンベヤ
32 シャッタ 33 プッシャ
40 製品投入機構 41 投入ユニット
42 巻取り部 43 金属テープ
44 製品受け 45 駆動ローラ
46 側縁部
50 テープガイド 51 ガイド枠
52 背面壁部 53 側壁部
54 端縁部
55 枠本体部 56 枠屈曲部
A 製品 B 角底袋 C 品質保持剤
Fw ウェブ状包装材 Ft 筒状包装材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部において製品を投入可能であると共に外部において筒状包装材を走行案内可能とする充填筒、前記充填筒内を昇降可能であり且つ先端部に前記製品を支持可能な製品受けを備えている金属テープと前記充填筒内に延び前記金属テープが下降する際に前記製品受けを開く態様で前記金属テープの昇降を案内するテープガイドとを備えた製品投入機構、及び前記充填筒の下方に配置され且つ前記筒状包装材を横断方向にシールする横シール機構から成る製袋充填包装装置。
【請求項2】
前記製品投入機構は、前記金属テープと前記テープガイドとを一つのユニットとした二つの投入ユニットを前記充填筒内で対向して配置されて成り、前記両金属テープは前記充填筒の上方に配置されている巻取り部から下方に向かって繰り出され又は上方に向かって巻き取りされることで互いに同期して昇降駆動されることから成る請求項1に記載の製袋充填包装装置。
【請求項3】
前記両投入ユニットは、前記金属テープの巻取り又は繰出しのため、前記金属テープに接触して走行させる駆動ローラを備えていることから成る請求項2に記載の製袋充填包装装置。
【請求項4】
前記各テープガイドは、対応する前記金属テープをテープ幅方向とテープ厚み方向に摺動案内することから成る請求項1〜3のいずれか1項に記載の製袋充填包装装置。
【請求項5】
前記各テープガイドは、前記金属テープの少なくとも両側端縁部を正面側から側端縁を回って背面側に囲んで摺動案内する断面コ字状のガイド枠を備えていることから成る請求項4に記載の製袋充填包装装置。
【請求項6】
前記各ガイド枠は、前記充填筒の長手方向に平行に真っ直ぐに延びる枠本体部と、前記金属テープが下降する際に前記先端部を案内して前記製品受けを開くため前記枠本体部から下側に連続し且つ相手側の前記テープガイドから遠ざかる方向に滑らかに曲がる枠屈曲部とを備えていることから成る請求項5に記載の製袋充填包装装置。
【請求項7】
前記充填筒は少なくとも下部外面が断面角筒形に形成されており、前記横シール機構が前記筒状包装材を横断方向にシールするときに角底袋のための角底を形成することから成る請求項1に記載の製袋充填包装装置。
【請求項8】
前記製品投入機構に対して上流側に製品搬送機構が連設されており、前記製品搬送機構は、前記製品を搬送する搬送手段と、前記搬送手段によって搬送された前記製品を受けると共に前記充填筒の上端部に近接する進出位置で前記製品を前記製品投入機構に受け渡した後に後退位置に退くシャッタとを備えていることから成る請求項1に記載の製袋充填包装装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−16047(P2006−16047A)
【公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−196142(P2004−196142)
【出願日】平成16年7月1日(2004.7.1)
【出願人】(000148162)株式会社川島製作所 (90)
【Fターム(参考)】