説明

製袋包装機およびその横熱封止機構

【課題】製袋包装機において、包材内の充填物間の隙間を詰めることにより、封止面での充填物の噛み込みを防止することができる横熱封止機構を提供する。
【解決手段】充填物Wが充填された後の筒状の包材Sに、封止処理を行う製袋包装機における横熱封止機構10であって、包材Sを形成するフォーマ2の下流に配置された一対の横熱封止手段20と、駆動手段Qに接続されて横熱封止手段20を互いに逆方向に旋回動させる駆動力伝達手段Pとを備えている。さらに、包材S内での充填物Wの充填効率を向上させるために、包材Sに収納された充填物Wを包材Sの前後方向Xの両側および移送方向Aの上流側から形成中の袋を押しつけて、充填物W間の隙間を詰める押込具50を備えている。しごき部材42は、横熱封止の直前および押込具50による押込動作の後に横熱封止手段20の間で充填物が噛み込まれないように、袋に落とされた充填物を下方にしごき落とすために横熱封止手段20に取り付けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品のような充填物の充填と並行して包装を行う包装機に関するものである。特に、本発明は横方向における包材の熱封止に用いられてる横熱封止機構に関するものである。
【背景技術】
【0002】
袋を作成しながらこの袋に食品のような充填物を充填して包装する製袋包装機、例えば、ピロー包装機は、帯状の包材(以下、フィルムとする)をフォーマにより筒状に形成しつつ重ね合った縦の縁を溶着し、次いで、筒状に形成したこの包材を引き出してゆく過程で、充填物を筒状の包材の中に充填する充填筒の出口端下方に配設した一対の横熱封止手段ような横熱封止機構により、包材の底部を熱封止するものであり、包材の形成と包材内への充填物の充填とを同時にかつ連続的に行うことができる点で作業性に優れた装置とされている。
【0003】
例えば、特許文献1に開示された装置は、熱封サイクルを短縮した場合においても横熱封止処理に十分な時間をとることができるよう、一対の横熱封止手段を包材の引出し方向に沿って直線的に走行させながら、その加熱面を包材に接触させるようにした、いわゆる回転駆動型である。
【特許文献1】特開昭63−30725号公報
【0004】
この種の装置において、図8(a)に示すように、袋Sの容積が充填物Wに対して十分大きいときは、一対の横熱封止手段Bを閉めて熱封止しても、充填物Wが封止面に噛み込むことはないが、充填物Wの種類によって、例えばポテトチップスのように、ジャガイモの水分量などの変化により同一の袋Sに対する充填物Wの体積が大きくなる場合があり、図8(b)に示すように横熱封止手段Bを閉めても袋Sに入りきらない状態が発生し、封止面に充填物Wが噛み込んで、不良品を大量に作ることになる。
【0005】
一方、封止面での充填物Wの噛み込みを防止するために、しごき手段Cを有する装置も知られている(特許文献2参照)。このしごき手段Cは、図8(c)に示すように、実際に熱封止する部分で、横熱封止手段Bを少し隙間をあけた状態にしたまましごき手段Cを下方へ移動させて袋Sをしごき、その部分の充填物をなくすためのものである。この操作は通常、しごきとして知られている。このようなしごき手段Cは、袋の中の隙間を詰める目的に必ずしも効果があるわけではなく、単に横熱封止が開始する位置よりも下方に充填物Wをしごくためのものである。
【特許文献2】特開平5−77805号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、しごき手段Cは袋Sをしごいて充填物Wを下方にしごき落とすだけであるので、充填物W間の隙間を詰めるのに十分ではなく、しごき落とした充填物Wを収納すべき袋内のスペースがない場合には、充填物Wが落ちずに封止面に噛み込んだ状態のままになり、結局不良品が発生してしまうという問題があった。
【0007】
本発明は、包材内の充填物間の隙間を詰めることにより、充填物が熱封止手段間に噛み込まれるのを防止することができる製袋包装機における改良された横熱封止機構を提供することを目的とする。本発明はまた、改良された横熱封止機構を組み込んだ包装機を提供することも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の製袋包装機における横熱封止機構は、充填物が充填された後の筒状の包材をその移送方向と交差する前後方向に挟んで、左右方向に熱封止するものであって、前記経路を挟んで対向するように配置された一対の横熱封止手段と、駆動手段に接続されて前記一対の横熱封止手段を互いに逆方向に旋回動させる駆動力伝達手段と、前記包材に収納された充填物を包材の前後方向の両側および移送方向の上流側から押しつけて、充填物間の隙間を詰める押込具とを備えている。
【0009】
上記構成によれば、押込具が、包材に収納された充填物を包材の前後方向の両側から押圧して充填物間の隙間を詰めるので、充填効率を高めて、包材の封止面での充填物の噛み込みを防止することができる。
【0010】
本発明の好適な実施形態では、前記駆動力伝達手段は前記横熱封止手段を旋回させる旋回部材を有し、この旋回部材に前記押込具が支持されている。前記押込具は前記旋回部材に前記押込具をそれぞれ位置調節可能に取付ける位置調節取付手段を有し、この位置調節取付手段は前記押込具または前記旋回部材のいずれか一方に設けた長孔と、この長孔に挿通されて前記押込具と前記旋回部材を締付ける締結部材とを有している。袋の中の充填物に作用する力はこのように調整される。前記押込具は、前記包材の前後方向に弾性変形しながら前記充填物を包材の前後方向の両側から押圧する弾性変形可能なバーを有している。バーが弾性変形しながら包材を押圧するので、押圧力が抑制され、包材を破ったり、包材に収納された充填物を破損させるおそれが少ない。
【0011】
本発明のさらに好適な実施形態では、前記駆動力伝達手段は前記経路に沿う直線部を含む所定の軌跡に沿って前記横熱封止手段を移動させる軌跡形成手段を有し、前記横熱封止手段は互いに接合する封止面と、その封止面から互いに向かって突出した前記包材を挟むしごき部材とを備え、前記軌跡形成手段は前記封止面が封止を開始する直前に、一対の前記しごき部材で前記包材を挟ませて袋を実質的に閉じ、この状態で一対の前記しごき部材を前記包材の移送方向に移動させることによって前記包材をしごくように構成されている。したがって、充填物の封止面への噛み込みが防止されて、熱封止が確実になされる。
【0012】
本発明の製袋包装機は、帯状の包材(フィルム)を所定の移送経路に沿って移送するウェブ移送する一対のプルダウンベルトと、前記フィルムを筒状に曲げるフィルム前記経路に配置されたフォーマと、筒状に形成されたフィルムの縦の合わせ目に縦熱封止を施す縦熱封止機構と、袋を形成中のフィルムに充填物を充填するホッパと、上述した本発明の横熱封止機構とを備える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を図面にしたがって説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る横熱封止機構を備えたピロー製袋包装機を示したものである。この包装機は、充填シリンダを使用しない型式の装置として構成したもので、ホッパ1の下方に取付けたフォーマ2により、帯状の包材(フィルム)Sを袋にするために筒状に曲成し、その下方に対向配設した一対の吸引チェンバー4付きプルダウンベルト3,3によって筒状を維持させるように外面を吸着保持しつつ、同時に、この縦の合わせ目aに縦熱封止機構5による縦熱封止を施して、後述する横熱封止機構10のもとへ送り出すように構成されている。前記ホッパ1は筒状の包材Sの内側へ充填物を充填する手段を構成している。また、前記プルダウンベルト3は包材Sを所定の移送経路に沿って移送するウェブ移送手段を構成している。
【0014】
一方、このプルダウンベルト3の下方に配設した横熱封止機構10は、フィルムSにその移送方向と交差する左右方向Yに熱封止を施すもので、フィルムSの移送経路を挟んで対向する一対の横熱封止手段20を常に一定の向きに保持して同期回転させる前後一対の旋回部材11と、これらの横熱封止手段20にD字形を呈する閉路の回転軌跡を画かせるべく、垂直方向に旋回アーム12の回転軸を接近・離間させるように移動させる左右一対の外側可動枠30と内側可動枠34とを備えている。上記旋回部材11は、横熱封止手段20がD字形の回転軌跡で互いに接近したときに、横熱封止手段20の動作方向とフィルムSの動作方向が一致するように矢印Rで示す方向に旋回する。
【0015】
図2は、この旋回部材11の一方を詳細に示した断面図で、この旋回部材11は、左右の旋回アーム12を結合軸13で結合してU字状に構成されており、さらに、これらの旋回アーム12の一方(図2の左側)は、一方の可動枠30,34、つまり、図中左方に位置する可動枠30,34の先端内方に突設した支軸14に、他方の旋回アーム12(図2の右側)は、図中右方に位置する可動枠30,34の先端内方に突出した入力軸15にそれぞれ固定されて、入力軸15に伝達される駆動力によりこれらの軸14,15を中心として回転するように構成されている。
【0016】
フィルムSを横方向に熱封止する横熱封止手段20は、結合軸13によって回転可能に支持されたスリーブ17に固定される。スリーブ17の一側端には、太陽歯車24と同じ歯数をなす遊星歯車21が一体的に取り付けられていて、支軸14を貫通する固定軸23の端部に固定した太陽歯車24と、アイドラ22を介して噛み合っている。
【0017】
図1と図2を同時に参照すると、駆動軸27の旋回動作はアーム旋回用サーボモータ29によって駆動され、対応する入力軸15に伝達される。リンク26を介して結合した3枚の円板25a,25b,25cよりなる周知の一対のシュミットカップリング機構25の第1の円板25aは、駆動軸27に、第3の円板25cは、上記した入力軸15にそれぞれ結合されていて、両者間に生じる軸心のずれの如何にかかわりなく、回転角のずれや伝達トルクの変動をもたらすことなく駆動軸27の回転を入力軸15に伝える。これにより、両シュミットカップリング機構25のそれぞれの駆動軸27端に設けられて互いに噛み合う歯車28をもって、一対の旋回部材11を図1の矢印Rで示されるように互いに逆向きに回転するように構成されている。尚、各旋回部材11の回転は、入力軸15を中心とした公転である。
【0018】
所定のD字形の軌道に熱封止手段を動かす上記の構成要素は、軌跡形成手段Hとして以下に参照される。旋回部材11、軌跡形成手段Hおよびシュミットカップリング機構25が本発明の駆動力伝達手段Pを構成し、駆動軸27、歯車28およびサーボモータ29が駆動手段Qを形成している。
【0019】
しごき部材42は、封止が開始する位置で充填物が噛み込まれないように、フィルムSの上部を封止する直前にフィルムS内部の充填物を下端にしごき落とすためのもので、図2に示すように、細い線材等によりU字状に形成され、かつ、旋回アーム12の内面側に固定したブラケット43に両脚部42aを挿通して、図5に示すばね材44により、両脚部42aにばね力を付加し、図2のしごきバー部42bが、横熱封止手段20の前端封止面MよりもフィルムS寄りに突出してフィルムSを挟むように取り付けられている。図1の軌跡形成手段Hは、前記封止面Mが互いに接合し、図1に示す包材Sの移送方向Aに移動する前に、形成中の袋に充填される充填物が封止の開始位置よりも下方にしごかれるように、一対のしごき部材42を近接させてフィルムSを挟ませる。
【0020】
本発明による横熱封止機構10は、図4に示すように旋回アーム12の一方に固定された一対の押込具50を備えている。押込具50は、図5のしごき部材42によるフィルムSの上部のしごきに先立って、意図的にフィルムSを閉じることなく、両外側からフィルムSを押しつけることにより、充填物をフィルムS内部に沈降させるように下方に押圧して充填物間の隙間を詰めるためのものである。押込具50は、図4のコイルスプリングからなる押込バー52を有しており、この押込バー52が、図5に示すようにフィルムSの前後方向Xに弾性変形しながら充填物をフィルムSの前後方向Xの両側から押圧する。
【0021】
図4のコイルスプリング52は、左右方向Yに伸びた状態で、保持部材54の両端の突起53にその両端が係止され、保持部材54は連結部材56にねじ55で結合されている。連結部材56には位置調整用の長孔58が形成され、他方、旋回アーム12における横熱封止手段20が支持された一端部と反対側の他端部にねじ孔(図示せず)が形成されており、この長孔58に挿通したボルトのような締付け・弛緩自在な締結部材59を旋回アーム12の上記ねじ孔にねじ込むことにより、連結部材56と旋回アーム12が固定される。したがって、長孔58の余裕分だけ連結部材56の旋回アーム12に対する位置をずらせることにより、旋回アーム12に対する押込具50の取り付け位置を適宜変えて、図5のフィルムSに対する押圧力を調整することができる。こうして、押込具50は、連結部材56、長孔58および締結部材59を含む位置調節取付手段Uにより、旋回アーム12に対して位置調整可能に固定されている。
【0022】
なお、この実施形態では図4に示すように連結部材56側に長孔58を設けているが、旋回アーム12側に長孔58を設け、連結部材56にねじ孔を設けてもよい。
【0023】
他方、図1の一対の旋回部材11を保持してこれらを互いに接近・離間させるように駆動する外側可動枠30と内側可動枠34はそれぞれ、フィルムSの移送経路から離れた後部に固定した各結合板31、35によって旋回部材11を囲むように平面視でU字状に構成された上、さらに外側可動枠30は、本体フレーム46上を前後方向Xにスライドし、内側可動枠34も外側可動枠30内で前後方向にスライドするようにそれぞれ取り付けられている。
【0024】
図1、3に示すように、ターンバックル38は、横熱封止手段20に側面視で所定のD字形、つまり直線軌跡が含まれた形の回転軌跡を画かせるべくこれら2つの各可動枠30、34を互いに関連させて前後に移動させるためのものであり、このターンバックル38は、図3に示すように、本体フレーム46(図1)に固定された枠体45に軸支されている。このターンバックル38には、その右ねじ部38aと左ねじ部38bに、それぞれ外側可動枠30と内側可動枠34の各結合板31、35が、リニアベアリング32、36を介して螺装されていて、ターンバックル38の正転及び反転により、前記両可動枠30,34を前後に互いに逆方向に駆動して、図1の旋回部材11を互いに接近及び離間させる。
【0025】
前記リニアベアリング32、36は前記両ねじ部38a、38bに噛み合う多数のボールを有する公知のものであり、封止圧力の反作用によって両可動枠30,34に前後方向の力が作用したとき、ターンバックル38を回転させる、つまり、アーム軸移動用モータ40にトルクを付加する。アーム軸移動用モータ40はACサーボモータで、タイミングベルト39を通してターンバックル38に接続し、トルク制御とスピード制御の動作モードを切り替える。
【0026】
トルク制御動作モードでは、モータ40のトルクはスピードによらない一定レベルであるが、この一定レベルは安定的に変化できる。スピード制御動作モードでは、旋回スピードはトルクによらず一定である。アーム軸移動用モータ40は、横熱封止手段20に図5の特定のD字形軌跡81を画かすことができるよう、アーム旋回用サーボモータ29で調整して、正転及び反転し得るように構成されている。
【0027】
つぎに、このように構成された装置の動作について説明する。図2において、前後一対の旋回部材11は、シュミットカップリング機構25(または旋回アーム12の回転軸)を介して支軸14と入力軸15の回りに回転し、また、この旋回部材11は、太陽歯車24と噛み合う遊星歯車21に自転と公転運動を行わせて、これと一体をなす横熱封止手段20を常時横熱封止方向に向いた姿勢を保持させつつ安定的に旋回させている。
【0028】
一方、図3のターンバックル38の左右のねじ部38a、38bに螺合した外側可動枠30と内側可動枠34は、旋回部材11の回転と同期して正転,反転するアーム軸移動用モータ40により相互に離間・接近を繰り返し、これらの先端に支持した旋回部材11を介して前後の横熱封止手段20に、図5に示す所定のD字形軌跡81を描かせている。この軌跡81は、横熱封止手段20の結合軸13(図2)の移動経路を示している。
【0029】
他方、図1のフィルムSは、フォーマ2により筒状に曲成され、ついでプルダウンベルト3により引き下ろされて先端部が横熱封止手段20により横熱封止されて袋状となり、ついで上方のホッパ1から投入された充填物Wが袋状のフィルムSの中に供給される。旋回部材11,11は図6(a)に示す押込開始点へ旋回する。一対の横熱封止手段20および一対のしごき部材42はお互いに離れているが、一対の押込バー52は、袋を意図的に閉じるために近接するわけではなく、図6(b)に示すように袋内の隙間を徐々に詰めるために前後方向Xの両側から袋に対する押しつけを開始する。
【0030】
各旋回アーム12の旋回スピードは、図示しない制御装置によって制御される。図5に示すしごき開始位置Iから横熱封止開始位置IIを経て、横熱封止終了位置III までは、横熱封止手段20がフィルムSの移送方向Aに沿ってその移送速度と同一の速度で移動するように、旋回アーム12の旋回スピードは比較的遅く設定され、横熱封止終了位置III からしごき開始位置Iまでは、比較的速く設定されている。押込バー52が押込開始位置IVに位置する時は、二点鎖線で示すように横熱封止手段20はIII からIへの移動中であるため、旋回アーム12の旋回スピードは速い。その結果、この時点での押込バー52の下流側への移動速度、つまりフィルムSの移送方向Aへの速度成分は、しごき開始位置Iから横熱封止終了位置III までの領域における横熱封止手段20の下流側への移動速度よりも速くなる。こうして、押込バー52の移送方向Aへの速度成分とフィルムSの移送速度との差によって、押込バー52が移送方向Aの上流側からも袋を押し込み、充填物Wを下方へ沈降させる。この押込または充填物Wの沈降操作は、押込終了位置V(図6(c)の状態)まで続き、押込バー52はD字形を呈する閉路の軌跡91を移動する。
【0031】
旋回部材11の周期的な動作における押込開始(図6(a))から押込終了(図6(c))までの間、一対の押込バー52は弾性変形しながら、押圧力は小さいが、相対向する方向からフィルムSを実質的に閉めることなく押しつける。これにより、形成されている袋の中の充填物W間の隙間が詰まる。このとき、一対の押込バー52は弾性変形しながら充填物Wを押圧するので、包材Sを破ったり、充填物Wを破損させることがない。
【0032】
次に、一対の旋回部材11は、図6(c)に示すように、横熱封止手段20,20の封止面Mよりも前方に突出したしごき部材42,42をフィルムSの表面と実質的にお互いに当接させ、フィルムSを表面から挟むようにして、しごき部材42の先端のしごきバー部42bを包材Sの移送方向Aに移動させて、内部の充填物Wを下方へしごき落とす。なお、しごき動作の詳細は、特開平5−77805号公報に記載されている。これにより、残存した充填物Wのかす等の封止面Mへの噛み込みが防止される。一方、横熱封止手段20,20は、しごきが終了すると、図6(d)に示すように、包材Sを前後方向Xから押圧し、包材Sと一緒に移送方向Aに移動しながら、この部分を確実に熱封止する。以上が、製袋包装機の周期的な横熱封止動作である。
【0033】
尚、押込具50による押込動作は、横熱封止の直前に行われるしごき動作よりも先に行われる。したがって、図6に模式的に示し、図2にはさらに明確に示すように、各しごき部材42は押込バー52よりも横熱封止手段20の表面Mに近接して配置されている。
【0034】
前記の押込具50に代えて、図7に示すような押込具70を用いることもできる。この押込具70は、左右方向Yに延び、弾性変形の小さい樹脂または金属の棒材からなる押込バー72を備える。押込バー72の一方の端部は保持部材74で一対の旋回アーム12の一方に取付けられている。押込バー72の一方の端部は保持部材74に固定されているが、保持部材74はY方向に直交するZ方向に動くことができるように、旋回アーム12に取付けられている。このためには、一対の連結部材76の各々が旋回アーム12と保持部材74に、旋回できるように取付けられ、連結部材76は互いに平行を保っている。方向Zは、2つの連結部材76を旋回アーム12に支持する2つの回動軸の相対的な位置によって決まる。旋回部材11が押込開始点にある時、押込バー72は通常フィルムS方向に突出するように、連結部材76の一つにはバイアスしているばね78が設けられいる。押込具70はこのように構成され、押込バー72自体は殆ど弾性的に変形しないが、その保持部材74がばね78によって容易に移動されるので、押込動作は包装される充填物Wの破損、またはフィルムSを破ることなく十分な効果が得られる。
【0035】
なお、前記実施形態では、アーム軸移動手段として一対の外側可動枠30と内側可動枠34を用いているが、これをカムあるいはエアシリンダ等を用いた他の軸移動手段に代えることができる。図5と6は押込動作としごき動作の基本を示すための模式図である。押込バー52の軌跡91は、連結部材56または連結部材76の適当な固定によって、包装される充填物Wの性質に応じて変化してもよい。要するに、開示の内容は広く解釈されるべきである。例えば、本発明による押込具は、しごきを意味するのではなく、充填物を沈降させることを第一に意図する。このために、両外側からフィルムを押しつけている間に袋が閉じることを意図してはいないが、しかし、本発明は、例えば押込動作中に瞬間的に袋が閉じるのを確実に防止する必要もない。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の実施形態に係る横熱封止機構を備えたピロー製袋包装機を示す斜視図である。
【図2】同上装置におけるアーム旋回機構の縦断正面図である。
【図3】同上装置におけるアーム軸移動機構の概要を示した平面図である。
【図4】同上装置における押込具を示す斜視図である。
【図5】同上装置における横熱封止手段、押込具の軌跡を示した概略側面図である。
【図6】(a)〜(d)は、押込具としごき部材の動作を示した概略側面図である。
【図7】本発明の押込具の他の実施形態を示す斜視図である。
【図8】(a)〜(c)は、従来の横熱封止動作およびしごき動作を示した概略側面図である。
【符号の説明】
【0037】
1…ホッパ(充填物を筒状の包材に充填する手段)、2…フォーマ、3…プルダウンベルト(ウェブ移送手段)、5…縦熱封止機構、10…横熱封止機構、11…旋回部材、20…横熱封止手段、42…しごき部材、50…押込具、52…押込バー(弾性変形可能なバー)、58…長孔、59…締結部材、A…移送経路、H…軌跡形成手段、P…駆動力伝達手段、Q…駆動手段、S…包材、U…位置調節取付手段、X…前後方向、Y…左右方向、W…充填物。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状の包材を筒状に形成するフォーマを有し、前記包材が所定の経路にそって移送される間にこの包材に充填物を充填し、前記充填物が充填された後の筒状の包材をその移送方向と交差する前後方向に挟んで、左右方向に熱封止する製袋包装機における横熱封止機構であって、前記経路と交差する左右方向に前記包材を熱封止するように前記フォーマの下流に前記経路を挟んで対向して配置された一対の横熱封止手段と、駆動手段に接続されて前記一対の横熱封止手段に互いに逆方向の公転する旋回動作を与える駆動力伝達手段と、前記駆動力伝達手段に接続されて、前記横熱封止手段の前記旋回動作とは異なった旋回動作を受け、前記充填物を前記前後方向の両側および移送方向の上流側から押しつけて、前記筒状の包材内の前記充填物間の隙間を詰める押込具とを備えた横熱封止機構。
【請求項2】
請求項1において、前記駆動力伝達手段は前記横熱封止手段を旋回させる旋回部材を有し、この旋回部材に前記押込具が支持された横熱封止機構。
【請求項3】
請求項2において、前記押込具は前記旋回部材に前記押込具をそれぞれ位置調節可能に取付ける位置調節取付手段を有する横熱封止機構。
【請求項4】
請求項3において、前記位置調節取付手段は前記押込具または前記旋回部材のいずれか一方に設けた長孔と、この長孔に挿通されて前記押込具と前記旋回部材を締付ける締結部材とを有する横熱封止機構。
【請求項5】
請求項1において、前記押込具は前記前後方向に弾性変形しながら前記包材をその両側から押圧する弾性変形可能なバーを有する横熱封止機構。
【請求項6】
請求項1において、前記駆動力形成手段は前記経路に沿う直線部を含む所定の閉路軌跡上に前記横熱封止手段を移動させる軌跡形成手段を有し、前記横熱封止手段は互いに接合する封止面とその封止面から突出して相対向する一対のしごき部材とを備え、前記軌跡形成手段は、前記封止面が封止を開始する直前に、一対の前記しごき部材で前記包材を挟ませて、前記包材を前記しごき部材間で実質的に閉じた状態で前記経路に沿って一対の前記しごき部材を移動させることによって前記包材をしごくように構成されている横熱封止機構。
【請求項7】
請求項6において、前記押込具が前記包材を押しつけた後に前記しごき部材が前記包材をしごく横熱封止機構。
【請求項8】
請求項5において、前記横熱封止手段は互いに接合する封止面とその封止面から突出して相対向する一対のしごき部材とを備え、前記駆動力伝達手段は、前記封止面が封止を開始する直前に、一対の前記しごき部材で前記包材を挟ませて、前記包材を前記しごき部材間で実質的に閉じた状態で前記経路に沿って一対の前記しごき部材を移動させることによって前記包材をしごくように構成され、前記封止面が前記押込具の前記弾性変形可能なバーよりも前記しごき部材に近接して配置された横熱封止機構。
【請求項9】
請求項1において、前記押込具がD字形軌跡上を移動する横熱封止機構。
【請求項10】
請求項2において、接近・離間する回転軸の回りを前記旋回部材と前記押込具の両方が完全に回転する横熱封止機構。
【請求項11】
帯状の包材を所定の移送経路に沿って移送するウェブ移送手段と、前記包材を筒状に形成する前記経路に配置されたフォーマと、前記筒状の包材の縦の合わせ目に縦熱封止を施す縦熱封止機構と、前記筒状の包材に充填物を充填する手段と、前記包材が前記ウェブ移送手段により前記経路に沿って移送する間に前記筒状の包材を前記移送方向と交差する前後方向に挟んで、左右方向に熱封止する横熱封止機構とを備えた製袋包装機であって、前記横熱封止機構は、請求項1ないし10のいずれかに記載の横熱封止機構からなる製袋包装機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−302347(P2007−302347A)
【公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−192798(P2007−192798)
【出願日】平成19年7月25日(2007.7.25)
【分割の表示】特願平9−145455の分割
【原出願日】平成9年6月3日(1997.6.3)
【出願人】(000147833)株式会社イシダ (859)
【Fターム(参考)】