説明

製袋包装機

【課題】筒状包装材に形成の際に、既に形成された縦シール部の倒れが生じようとしても、その影響が縦ヒートシーラ内の縦シール部や側縁部に及ぶまで大きくなるのを防止することができる製袋包装機を提供する。
【解決手段】縦ヒートシーラ15によって形成された縦シール部52が縦ヒートシーラ15から送り出されたときに、その倒れを防止する規制部材20が設けられている。製袋包装機10の間欠的な動作に伴って縦ヒートシーラ15が間欠的に閉じ動作するときに、縦ヒートシーラ15内部に位置している縦シール部52及び未シール部としての側縁部は起立状態にあって縦ヒートシーラ15によって正しく挟み込まれる。したがって、縦シール部52は、倒れた状態で縦ヒートシールされることが防止され、既に形成されている縦シール部と綺麗に繋がった連続性のある縦シール部が形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ウェブ状の包装材を筒状包装材に形成するため間欠走行される包装材の走行両側の側縁部を縦ヒートシーラによって合掌状の縦シール部にシールする縦ヒートシールを備えている製袋包装機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、製袋充填包装機やピロー包装機においては、ウェブ状の包装材から筒状包装材に成形して、筒状包装材から袋を製造しながらその中に包装物を投入・充填することにより、袋包装体を連続的に製造している。この種の包装機は、ウェブ状の包装材の側縁部分をシールして筒状に成形する縦シール手段と、袋底や袋頂部を形成するために筒状包装材を横断的にシールする横シール手段とを備えている。
【0003】
製袋充填包装機においては、縦シール手段は、製袋筒の外側において、位置が固定されているバー状の固定側ヒートシーラ部と、当該固定側ヒートシーラ部に対して接近又は離間するバー状の可動側ヒートシーラ部とを備えている。ウェブ状包装材は、側端縁部がシール代となるように重ねられた形態に曲成され、その当該側端縁部が両ヒートシーラ部間に置かれた状態で、製袋筒にガイドされながら走行される。曲成包装材は、ベルトやローラのような紙送り機構によって、袋の形成及び製品の充填とタイミングを合わせて間欠的に走行される。間欠走行の停止時に縦シール手段が作動して、重ねられた側端縁部が両ヒートシーラ部間に挟まれてヒートシールされる。
【0004】
包装機の一例として、長尺な包装フィルムを長手方向に沿って筒状に成形しながら移送する包材送り機構と、前記包装フィルムの端縁同士を接合して縦シール部を形成し、筒形態とする縦シール機構と、前記縦シール部に開封のための部分的な切れ込みを入れるノッチ機構と、前記筒形態包装フィルムの所定部位を一定間隔毎に接合して横シール部を形成し、封筒状とする横シール機構と、前記封筒状包装フィルム内に充填物を充填する充填機構とを備えたピロー包装形態の自動包装機械において、前記ノッチ機構は、前記縦シール機構と横シール機構との間に設けられ、当該ノッチ機構の駆動動作を包装フィルム移送動作と同期して制御されることを特徴とした自動包装機械が提案されている。ノッチ機構は、ノッチ形成刃を備えた刃回転体と、当該ノッチ形成刃と当接する当接回転体と、縦シール部の起立状態を維持するガイド部材で構成されている。
【特許文献1】特開2004−99174号公報(段落06〜09、18〜20、図1、図4)
【0005】
上記自動包装機械によれば、前記ノッチ機構は、ノッチ形成刃を備えた刃回転体と、当該ノッチ形成刃と当接する当接回転体と、縦シール部の起立状態を維持するガイド部材で構成され、当該ノッチ機構の駆動動作を包装フィルム移送動作と同期制御されているので、包装フィルムの移送動作中に確実にノッチを形成できるようになり、しかも内容物の落下距離が短い状態で自由にノッチ位置を変更することが可能である。しかしながら、ガイド部材は、ノッチ形成刃と当接回転体とでノッチを形成する際に、そのノッチ形成部分で縦シール部の起立状態を維持すればよいとされるものである。ガイド部材から外れている縦シール部が倒れて、その影響で縦シール機構において合わされた側端縁が起立状態を維持できなくなることについては何らの認識もなされておらず、その結果、当然ながら縦シール機構における側端縁の倒れに対する対策は何も示されていない。
【0006】
ところで、当該側端縁部は、曲成包装材の停止中に、両ヒートシーラ部間に挟まれてヒートシールが施される。曲成包装材の走行は間欠的であるので、縦シール部を連続的に形成するには、図4において従来の製袋包装機の要部を示すように、新たに縦シール部50が形成されようとする重合された側縁部51が前回のシール済の縦シール部52と確実に連続的に繋がるように、ヒートシール部分が長手方向に若干重なってヒートシールが施される(長さLh部分)。即ち、縦シール部の連続性を確保するため、先行して形成された縦シール部52のシール後端部分と、次回の縦シール部51のシール先端部分とは、充分な距離に渡って重なり部分Lhとなるように、包装材の送り量が制御された上でヒートシールが行われている。そのため、重なり部分Lhは、袋ピッチに対して必ず縦ヒートシーラによる2度のシール打ち(重ね打ち)が行われる部分となる。
【0007】
一方、製袋包装機の縦ヒートシーラ15は、製袋包装機のフレームに固定される固定側ヒートシーラ部15aと、当該固定側ヒートシーラ部15aに対向して配置され且つ固定側ヒートシーラ部15aに対して接離するように駆動される可動側ヒートシーラ部15bとを備えている。固定側ヒートシーラ部15aには予熱ヒーターが内蔵されており、可動側ヒートシーラ部15bは、縦ヒートシーラで形成される縦シール部を後続の横ヒートシーラによって横シール部を形成する際に予め片側に倒しておく目的もあって、固定側ヒートシーラ部15aの温度よりも高い温度に設定されている。例えば、固定側ヒートシーラ部15aは予熱ヒーターによって80〜100℃とされ、可動側ヒートシーラ部15bは包装材にもよるが120〜160℃に設定される。このとき、縦シール部は、両ヒートシーラ部15a,15bが離間すると加熱された部分の冷却が始まり、図示のように、縦シール部52は想像線で示すように左側に折れるように倒れたり又はカールする。この縦シール部52の倒れやカールの程度は、両ヒートシーラ部15a,15bが離間してからの開き時間が長く経過するほど強くなる。この縦シール部52の倒れる方向は、包装材の種類やヒートシーラ15の温度によって決まる(正面で向かって、右折れ又は左折れと称される)が、製造された袋包装体の印刷や表示の観点からユーザーの仕様で定められる。
【0008】
図5(a)に示すように、既にシールされた縦シール部52が片側に倒れる或いはカールすると、縦シール部52に連続し且つこれからシールされるために重ねられた包装材の側縁部51が上記の倒れやカールの影響を受け、2度のシール打ちの際に縦シール部50,52が綺麗に連続しないことがある。即ち、図5(b)に示すように、倒れた縦シール部52を縦ヒートシーラ部15a,15bが不規則に挟み込む等の不具合が生じる。また、図5(c)に示すように、縦のシール筋目53が連続しなくなり、見栄えが悪くなる。こうした縦シール部の不規則な挟み込みは、不完全な縦シール部の原因になり得ると共に、製造された袋包装体の美観を損ね、好ましくない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで、間欠的に走行する包装材の両側縁部が縦ヒートシーラで合掌状にヒートシールされて筒状包装材に形成される製袋包装機において、筒状包装材に形成の際に、既に形成された縦シール部の倒れが生じようとしても、その影響が縦ヒートシーラ内の縦シール部や側縁部に及ぶまで大きくなるのを防止する点で解決すべき課題がある。
【0010】
この発明の目的は、間欠作動中の停止のみならず、何らかの都合で製袋包装機を一旦停止した結果、縦シール部の冷却時間が長く続くような場合であっても、上記のような縦シール部の倒れに起因した不良な縦ヒート部の発生を未然に回避して、ヒートシールが綺麗で、袋又は袋包装体の仕上がりが良好な製袋包装機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するため、この発明による製袋包装機は、間欠送りされる包装材を筒状包装材に成形するため前記包装材の走行両側の側縁部を合掌状の縦シール部にシールする縦ヒートシーラを備えており、前記縦ヒートシーラから送り出された前記縦シール部の倒れを規制する規制部材が配設されていることから成っている。
【0012】
この製袋包装機によれば、縦ヒートシーラによって形成された縦シール部が縦ヒートシーラから送り出されたときに、その縦シール部の倒れを防止する規制部材が設けられており、規制部材は縦ヒートシーラから送り出されたシール済の縦シール部の倒れを防止している。規制部材は、縦シール部の連続性のために縦ヒートシーラ内において一部が残されているシール済の縦シール部及びそれに続く未シール部としての側縁部の状態にも影響を及ぼし、曲成された包装材からの起立状態を維持している。したがって、包装機の間欠的な動作に伴って縦ヒートシーラが間欠的に閉じ動作するときに、縦ヒートシーラ内部に位置している縦シール部及び側縁部は起立状態にあって縦ヒートシーラによって正しく挟み込まれる。その結果、開いた縦ヒートシーラ内に位置している縦シール部及び側縁部が、倒れた状態で縦ヒートシールされることが防止され、既に形成されている縦シール部と綺麗に繋がった連続性のある縦シール部が形成される。
【0013】
この製袋包装機において、前記規制部材を、前記縦ヒートシーラの前記縦シール部が送り出される側の端部に直近して連結させることができる。規制部材をこのように配設することにより、規制部材は、縦シール部の連続性のために縦ヒートシーラ内において一部が残されている縦シール部及びそれに続く未シール部としての側縁部の状態に最も効果的に影響を及ぼし、曲成された包装材からの起立状態を維持することができる。
【0014】
この製袋包装機において、前記縦ヒートシーラは固定側縦ヒートシーラ部と当該固定側縦ヒートシーラ部に対して接離可能な可動側縦ヒートシーラ部とを備えるものとし、前記規制部材は前記固定側縦ヒートシーラ部に連結することができる。固定側縦ヒートシーラ部は、可動側縦ヒートシーラ部と異なり、製袋包装機の作動中に位置を変えないので、規制部材を固定側縦ヒートシーラ部に配置することによって、製袋包装機の運転中において規制部材を縦シール部及びそれに続く未シール部としての側縁部に対して一定の相対位置に置くことができる。
【0015】
この製袋包装機において、前記規制部材は、前記縦シール部の各側方にそれぞれに対向配置された規制片と、前記規制片を開閉可能に作動させるアクチュエータ部とを備えることができる。規制片を縦シール部の各側方にそれぞれに対向配置させることで、縦シール部の倒れようとする方向がいずれであっても、規制部材において部品等の何らの交換も要することなく、その倒れを規制することができる。また、規制片を開閉可能に作動させるアクチュエータ部を備えることにより、規制片を縦シール部から遠く後退させた開き位置と、開き位置よりは閉じていて縦シール部に接近させた接近位置との間で開閉させることができる。規制片は、接近位置では、完全に閉じて縦シール部を挟み込む状態ではなく、ある程度開いていて縦シール部の通過を許容する。
【0016】
この製袋包装機において、前記両規制片は、前記規制部材の前記製袋包装機へのセットの際、及び前記製袋包装機からセット解除の際に、前記アクチュエータ部によって開状態とされることが好ましい。規制部材を製袋包装機へセットする際、及び製袋包装機からセット解除する際に、両規制片の開閉程度を変更することができる。即ち、両規制片は、運転開始に先立っての規制部材の製袋包装機へのセットに際してはアクチュエータ部によって開状態とされ、規制片が、規制部材の製袋包装機へのセット時に既シール部としての縦シール部や未シール部としての重なった側縁部と干渉するのが回避される。規制部材のセットの後、アクチュエータ部の作動によって、両規制片を閉じて縦シール部や側縁部に接近した接近位置を取らせることができる。製袋包装機のメンテナンス等の場合にセット解除する際にも、予め規制片を開いた状態として縦シール部や側縁部と干渉しない位置とすることが好ましい。
【0017】
この製袋包装機において、前記規制部材を支持し且つ前記製袋包装機の正面に対して左端又は右端に設けられた縦軸の回りに回動して開閉する扉状の第1フレームと、前記第1フレームを前記製袋包装機の正面に対して進退自在に支持する第2フレームとを更に備えることができる。このような第1及び第2のフレームを備えることにより、規制部材及び縦ヒートシーラのセット解除に際しては、第2フレームを作動させて、第1フレームの全体を製袋包装機の正面に対して後退させ、その状態で第1フレームを回動させて、製袋包装機の正面を開くことができる。また、規制部材及び縦ヒートシーラのセットに際しては、第1フレームを回動させて製袋包装機の正面に据え、その状態で第2フレームを作動させて第1フレームの全体をそのまま製袋包装機の正面に前進させてセットする。このような回動動作と進退動作とを第1及び第2のフレームに分担させて組み合わせることにより、規制部材及び縦ヒートシーラを回動動作で直接セットするときに、縦シール部や側縁部と干渉するのを防止することができる。
【0018】
この製袋包装機において、前記両規制片は、少なくとも前記包装材の送り開始時からその後の前記縦ヒートシーラの作動開始時までに渡って、前記アクチュエータ部によって前記縦シール部に接近した接近位置に作動させることができる。これにより、製袋包装機の運転において、少なくとも、包装材の送りが開始されてその後、送りが停止され、更に縦ヒートシーラの作動が開始される時まで、規制部材の規制片は縦シール部に比較的接近して縦シール部の倒れを防止することができる。
【0019】
この製袋包装機において、前記両規制片は、ワイヤ状、ロッド状又はプレート状の形態を備えたものとすることができる。規制片の形態は、ワイヤ状、ロッド状、プレート状のいずれでも可能であるが、走行の際の摩擦抵抗の小さい材料や表面形態、例えば、滑らかなテフロン(登録商標)表面を選択することが好ましい。
【発明の効果】
【0020】
この発明による製袋包装機は、上記のように構成されているので、間欠的に走行する包装材の両側縁部が縦ヒートシーラで合掌状にヒートシールされて筒状包装材に形成される際に、縦シール部の縦ヒートシーラによる挟み込みが解除されても、既に形成された縦シール部の倒れやカールの発生を規制部材が規制することができる。即ち、縦シール部の倒れに起因してその影響が縦ヒートシーラ内の縦シール部や側縁部に及ぶが、規制部材を設けることで、この影響を未然に防止することができる。包装機の運転中を含む縦ヒートシーラ及び規制部材が包装機にセットされている状態では、間欠作動中の停止のみならず、何らかの都合で製袋包装機を一旦停止した結果、たとえ縦シール部の冷却時間が長く続くような場合であっても、規制部材を縦シール部に接近された規制部材は、縦ヒートシーラ内における縦シール部及び側縁部の起立状態とし、縦シール部の倒れに起因した縦ヒートシールの不良を未然に回避する。したがって、縦ヒートシーラがヒートシール動作を再開したときに、後続の縦シール部はシール済の縦シール部に対して綺麗に連続した縦シールとなり、袋又は袋包装体の仕上がりを良好にする。包装機の運転中止中で、縦ヒートシーラ及び規制部材を製袋包装機へのセット状態から解除する場合には、規制部材を開くとともに製袋包装機から手前側に後退させ、その後、左右に開くなどして製袋包装機へのセット状態から解除することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、添付した図面に基づいて、この発明による製袋包装機の実施形態を説明する。図1は、この発明による製袋包装機を具体化した縦型製袋充填包装機の斜視図である。縦型製袋充填包装機(以下、「製袋充填包装機」という)10は、公知の構造であるが、ウェブ状包装材が巻き取られている包装材ロールから繰り出されるウェブ状包装材Fwは幾つかのガイドローラや張力付与機構(図示しない)を経て、製袋充填包装機10のフォーマ11に供給される。供給途上のウェブ状包装材には、必要な印字が施される。また、包装材上のマークがセンサで読み取られており、袋の形成及び袋内部への製品の充填とのタイミングを計って、包装材がフォーマ11に供給される。製袋充填包装機10は、更に、筒状に曲成された包装材Fwをその両側端縁51,51に縦シールを施して筒状包装材Ftに成形する縦シール手段としての縦ヒートシーラ15、サーボモータによって駆動され筒状包装材Ftの縦シール部を含む横断領域を挟み込んで横シールを施して袋を形成する横シール手段としての横ヒートシーラ16,16を備えている。
【0022】
製袋充填包装機10においては、フォーマ11内に製品を投入案内するための投入筒12が貫通配置されており、投入筒12の上部は断面が拡大したホッパ13とされている。フォーマ11によってその内部に筒状に曲成された包装材は、投入筒12の周囲を取り巻くように案内され、同期して作動する包装材送り用の左右一対のベルト送り機構14,14(一方側のみ示す)によって、下方へ間欠的に紙送りされる。筒状に曲成された包装材は、投入筒12の周囲を下方に走行される間の間欠動作の停止中に縦ヒートシーラ15によって、側端縁51,51同士が熱溶着されて、筒状包装材Ftに成形される。縦ヒートシーラ15は、側端縁51,51同士を挟み込んでヒートシールを施すバー状の二つのヒートシーラ部15a,15bを備え、側端縁51,51に合掌貼りを施す。各ヒートシーラ部は、公知であるが、先端側にヒートパイプを、また中央部分にカートリッジヒータを備えている。
【0023】
筒状包装材Ftは、投入筒12の下端から下方へ送り出される。製品が投入・充填された筒状包装材は、横ヒートシーラ16,16によって、袋の天シール部と次の袋の底シール部Sとが形成される。包装材は間欠ながら順次供給されて、製品を包装した袋包装体Pが順次製造される。
【0024】
図1を参照すると、製袋充填包装機10は、包装材を筒状包装材に成形する縦ヒートシーラ15から送り出された縦シール部52が間欠送りに伴って縦ヒートシーラ15から送り出されたときに、縦シール部52の倒れを規制する規制部材20を備えている。
【0025】
図2は、この発明に用いられる規制部材の一例を示す平面図である。規制部材20は、ロボットや工作機械等の技術分野で、対象物を把持する把持手段として市場で入手可能なものである。規制部材20は、縦シール部の各側方にそれぞれに対向配置された規制片21,21と、規制片21,21を開閉可能に作動させるアクチュエータ部22とを備えている。アクチュエータ部22は、エアの供給を受けて作動するアクチュエータである。アクチュエータの型式として、開閉動作の一方のみをエアシリンダで行う単動型、又は開閉動作の両方をエアシリンダで行う複動型があり、単動型の場合には反対側の動作を行わせるため、ばねと組み合わせることができる。把持手段の場合、エアシリンダの作動をフィンガ23,23の回動動作に変換することで、フィンガ23,23間に対象物を把持又は把持解除を行う。
【0026】
図3は、この発明による製袋充填包装機10の要部を示す図であって、(a)は正面図、(b)は横断面図である。上記把持手段が縦シール部52の倒れの規制に用いられる規制部材20として適用されるときは、フィンガ23,23にそれぞれ規制片21,21が取り付けられる。各規制片21は、縦シール部52の各側方にそれぞれに対向配置される。アクチュエータ部22の作動によってフィンガ23,23を介して規制片21,21を開閉可能に作動させることで、規制片21,21を縦シール部52から遠く後退させた開き位置と、開き位置よりは閉じていて縦シール部52に接近させた接近位置との間で開閉させることができる。規制部材20は、規制片21,21が接近位置を占めるときに縦シール部52に接近するけれども完全に閉じることはなく、隙間Gだけ開いている。規制片21,21は、接近位置では、縦シール部52がいずれの方向に倒れようとしても、またカールを生じようとしても、規制片21,21が縦シール部52をその幅内に規制することで、そうした現象を防止することができる。したがって、製袋充填包装機10の間欠的な動作に伴って、包装材が送られるときには縦シール部52が規制片21,21間の隙間Gを通過可能である。また、縦ヒートシーラ15が間欠的に閉じ動作するときに、縦ヒートシーラ15内部に位置している縦シール部52及び側縁部51,51は起立状態にあって縦ヒートシーラ15によって正しく挟み込まれる。その結果、縦シール部52及び側縁部51,51が倒れた状態のままで縦ヒートシールされることが防止され、既に形成されている縦シール部52と綺麗に繋がった連続性のある縦シール部が形成される。
【0027】
各規制片21は、図示のものではプレート状の形態とされているが、ワイヤ状のものを曲げ加工したもの、ロッド状のものとすることができる。また、材料としては、走行の際に摩擦抵抗の小さい材料や表面形態、例えば、滑らかなテフロン(登録商標)表面を選択することが好ましい。
【0028】
規制部材20は、この例では、縦ヒートシーラ15の縦シール部52が送り出される下側端部15cに直近位置に連結されている。具体的には、規制部材20は、縦ヒートシーラ15の固定側縦ヒートシーラ部15aの下側端部に機械的に連結されていて、製袋充填包装機の作動中に位置を変えない。このように配置された規制部材20は、縦ヒートシーラ15内において一部が残されている縦シール部52及びそれに続く未シール部としての側縁部51,51が倒れを生じようとしても、一定の位置から最も効果的に影響を及ぼし、曲成された包装材Ftからの起立状態を維持する。
【0029】
製袋充填包装機10をメンテナンス等のために、縦ヒートシーラ15を左側又は右側に設けられた縦軸の回りに開いて製袋充填包装機10の正面から移動させる場合がある。このとき規制部材20も縦ヒートシーラ15とともに移動される。規制部材20の両規制片21,21を閉じた状態で縦軸の回りに開くと、閉じた両規制片21,21をメンテナンス終了後に縦軸の回りに閉じて再セットするときには、規制片21が縦シール部52(倒れる又はカールしている可能性が高い)に干渉するおそれがある。同様に、縦ヒートシーラ15及びそれに関連する部品も縦シール部52に干渉するおそれがある。こうした干渉は、縦シール部52を変形させる等の不都合な影響を及ぼす。
【0030】
そこで、規制部材20については、製袋充填包装機10へのセットの際、及びセット解除の際には、両規制片21,21をアクチュエータ部22によって予め開き状態にしておくことが好ましい。このようにすることで、規制部材20の製袋充填包装機10へのセットの際、及びセット解除の際に、両規制片21,21が縦シール部52や未シール部としての重なった側縁部51,51に干渉するのを防止することができる。規制部材20のセットの後、アクチュエータ部22の作動によって両規制片21,21を閉じて縦シール部52や側縁部51,51に接近した接近位置を取らせることができる。製袋充填包装機10のメンテナンス等の場合にセット解除する際にも、予め規制片21,21を開いた状態として縦シール部52や側縁部51,51と干渉しない位置とすることが好ましい。
【0031】
規制部材20について製袋充填包装機10へのセットの際、及びセット解除の際に、縦シール部52や未シール部としての重なった側縁部51,51との干渉を更に回避するために、規制部材20及び縦ヒートシーラ15を、製袋充填包装機10の正面に対して進退可能とする動作と、左側又は右側に開く回動動作とを組み合わせることが好ましい。
【0032】
即ち、図1に示されているように、規制部材20を支持し且つ製袋充填包装機10の正面に対して左端又は右端に設けられた縦軸30の回りに回動して開閉する第1フレーム31と、第1フレーム31を製袋充填包装機1の正面に対して進退自在に支持する第2フレーム32とを備えている。第1フレーム31は右側の縦軸30の回りに回動可能であり、第1フレーム31を左側の第2フレーム32aに対してロック又はロック解除させる操作のために、第1フレーム31にはハンドル33が設けられている。第1フレーム31には、縦ヒートシーラ15と規制部材20とが取り付けられている。
【0033】
一方、第2フレーム32は、左側の第2フレーム32aとともに右側の第2フレーム32bを有している。第2フレーム32a,32bには、それぞれ、製袋充填包装機10の背面に設けられたモータ34によって駆動されるねじ伝動機構35,35が備わっており、同期して作動することにより、前後方向に約30mm程度平行移動可能である。なお、縦シール部52の幅は約15mm程度である。
【0034】
第1フレーム31及び第2フレーム32を備えることにより、規制部材20及び縦ヒートシーラ15のセット解除に際しては、先ず第2フレーム32を作動させて、第1フレーム31の全体を製袋充填包装機10の正面に対して手前側に後退させる。第2フレーム32の動作によって、規制部材20(この際には、規制片21,21は開かれている)は、縦シール部52との干渉を防ぎながら縦シール部52から後退する。その状態で第1フレーム31を縦軸30の回りに回動させることで、規制部材20及び縦ヒートシーラ15を含んだ第1フレーム31を製袋充填包装機10の正面を開くことができる。また逆に、規制部材20及び縦ヒートシーラ15を製袋充填包装機10にセットするに際しては、第1フレーム31を回動させて製袋充填包装機10の正面に据え、その状態で第2フレーム32を作動させて第1フレーム31の全体をそのまま製袋充填包装機10の正面に対して前進させてセットする。このような回動動作と進退動作とを第1フレーム31及び第2フレーム32に分担させて組み合わせることにより、規制部材20及び縦ヒートシーラ15を縦軸30に回りにおける回動動作のみで直接セットするときに生じやすい縦シール部52や側縁部51,51との干渉を、未然に防止することができる。
【0035】
この製袋包装機において、両規制片21,21は、少なくとも包装材の送り開始時からその後の縦ヒートシーラ15の作動開始時までに渡って、アクチュエータ部22によって縦シール部52に接近した接近位置に作動させることができる。これにより、製袋充填包装機10の運転において、少なくとも、包装材の送りが開始されてその後、送りが停止され、更に縦ヒートシーラ15の作動が開始される時まで、規制部材20の規制片21,21は縦シール部52に比較的接近して縦シール部52の倒れを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】この発明による製袋包装機を具体化した縦型製袋充填包装機の斜視図である。
【図2】この発明に用いられる規制部材の一例を示す平面図である。
【図3】この発明による製袋包装機の要部を示す図である。
【図4】従来の製袋包装機の要部を示す図である。
【図5】従来の製袋包装機の縦ヒートシーラとその動作を示す図である。
【符号の説明】
【0037】
10 製袋充填包装機 11 フォーマ
12 投入筒 13 ホッパ
14 ベルト送り機構 15 縦ヒートシーラ
15a 固定側ヒートシールバー 15b 可動側ヒートシールバー
15c 下側端部 16 横ヒートシーラ
20 規制部材 21 規制片
22 アクチュエータ部 23 フィンガ
30 縦軸 31 第1フレーム
32(32a,32b) 第2フレーム
33 ハンドル 34 モータ
35 ねじ伝動機構
50,52 縦シール部 51,51 側端縁
Fw ウェブ状包装材 Ft 筒状包装材
G 隙間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
間欠送りされる包装材を筒状包装材に成形するため前記包装材の走行両側の側縁部を合掌状の縦シール部にシールする縦ヒートシーラを備えた製袋包装機において、前記縦ヒートシーラから送り出された前記縦シール部の倒れを規制する規制部材が配設されていることから成る製袋包装機。
【請求項2】
前記規制部材は、前記縦ヒートシーラの前記縦シール部が送り出される側の端部に直近して連結されていることから成る請求項1に記載の製袋包装機。
【請求項3】
前記縦ヒートシーラは固定側縦ヒートシーラ部と当該固定側縦ヒートシーラ部に対して接離可能な可動側縦ヒートシーラ部とを備え、前記規制部材は前記固定側縦ヒートシーラ部に連結されていることから成る請求項2に記載の製袋包装機。
【請求項4】
前記規制部材は、前記縦シール部の各側方にそれぞれに対向配置された規制片と、前記規制片を開閉可能に作動させるアクチュエータ部とを備えていることから成る請求項1〜3のいずれか1項に記載の製袋包装機。
【請求項5】
前記両規制片は、前記規制部材の前記製袋包装機へのセットの際、及び前記製袋包装機からセット解除の際に、前記アクチュエータ部によって開状態とされることから成る請求項4に記載の製袋包装機。
【請求項6】
前記規制部材を支持し且つ前記製袋包装機の正面に対して左端又は右端に設けられた縦軸の回りに回動して開閉する扉状の第1フレームと、前記第1フレームを前記製袋包装機の正面に対して進退自在に支持する第2フレームとを更に備えていることから成る請求項5に記載の製袋包装機。
【請求項7】
前記両規制片は、少なくとも前記包装材の送り開始時からその後の前記縦ヒートシーラの作動開始時までに渡って、前記アクチュエータ部によって前記縦シール部に接近した接近位置に作動されることから成る請求項4に記載の製袋包装機。
【請求項8】
前記両規制片は、ワイヤ状、ロッド状又はプレート状の形態を備えていることから成る請求項4に記載の製袋包装機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−18997(P2008−18997A)
【公開日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−194966(P2006−194966)
【出願日】平成18年7月14日(2006.7.14)
【出願人】(000148162)株式会社川島製作所 (90)
【Fターム(参考)】