説明

製造ライン通信システム

【課題】本発明は、各製造装置の処理の複雑化を防止し、システム構築費用を抑え、システム立ち上げ工期を短縮することができる、製造ライン通信システムを提供する。
【解決手段】本発明に係る製造ライン通信システムは、製造ラインに設置され、第一の通信方式での通信を行う、複数の製造装置3と、第一の通信方式と異なる第二の通信方式での通信を行い、製造装置3から送信されるデータを取得する、ホストコンピュータ2と、製造装置3とホストコンピュータ2との通信経路間に配設され、予め設定されている通信定義に基づいて通信方式の相互変換を行う通信コントローラ1とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体や液晶などの製造ラインに適用可能であり、ホストコンピュータと製造ラインに設置される各製造装置との間での通信を行い、製造装置の動作制御や管理を行う製造ライン通信システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体や液晶の製造ラインにおいて、製造ラインに沿って複数の製造装置が設置され、各製造装置は、製品に対して各製造工程を実施する。ここで、各製造装置には、ホストコンピュータが通信可能に接続されており、当該ホストコンピュータは、各製造装置からの情報に基づき各製造装置の動作を制御し、各製造装置から送信される製造工程の結果に関する情報を保持・管理している。
【0003】
図7に示すような従来の技術では、ホストコンピュータ100に加えて各製造装置110においても、HSMS(High Speed Message Service)通信機能が実装されており、ホストコンピュータ100と各製造装置110とは、HSMS通信の手順に従って通信を行っている(たとえば特許文献1参照)。そして、各製造装置110とホストコンピュータ100とが直接HSMS通信を行う製造ライン通信システムの構成により、ホストコンピュータ100による製造装置110の制御・管理を実行している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−6063号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のように、各製造装置とホストコンピュータとが直接HSMS通信を行うシステム構成では、製造ライン内に数十台設置される全製造装置に複雑なHSMS通信機能を実装しなければならない。そして、全製造装置にHSMS通信機能を実施することにより、製造装置の処理が複雑化し、システム構築費用が高価になり、システム立ち上げ工期も多くかかるという問題点があった。
【0006】
そこで、本発明は、各製造装置の処理の複雑化を防止し、システム構築費用を抑え、システム立ち上げ工期を短縮することができる、製造ライン通信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、本発明に係る製造ライン通信システムは、製造ラインに設置され、第一の通信方式での通信を行う、複数の製造装置と、前記第一の通信方式と異なる第二の通信方式での通信を行い、前記製造装置から送信されるデータを取得する、ホストコンピュータと、前記製造装置と前記ホストコンピュータとの通信経路間に配設され、予め設定されている通信定義に基づいて、前記第一の通信方式と前記第二の通信方式との間での通信方式の相互変換を行う、通信コントローラとを、備えている。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る製造ライン通信システムは、製造ラインに設置され、第一の通信方式での通信を行う、複数の製造装置と、前記第一の通信方式と異なる第二の通信方式での通信を行い、前記製造装置から送信されるデータを取得する、ホストコンピュータと、前記製造装置と前記ホストコンピュータとの通信経路間に配設され、予め設定されている通信定義に基づいて、前記第一の通信方式と前記第二の通信方式との間での通信方式の相互変換を行う、通信コントローラとを、備えている。
【0009】
したがって、各製造装置側においては、当該製造装置での実装が容易である、コントローラレベルネットワーク(フィールドネットワークとも称する)での通信を行うことができる。つまり、製造ラインに存する数十台全ての製造装置において、たとえば複雑なHSMS通信機能を実装させる必要がなくなる。したがって、製造装置側の処理が簡素化でき、システム構築費用を抑え、システム立ち上げ工期も短縮することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施の形態1に係る製造ライン通信システムの構成を示す図である。
【図2】実施の形態1に係る通信コントローラ1の内部構成を示すブロック図である。
【図3】実施の形態2に係る通信コントローラ1Aの内部構成を示すブロック図である。
【図4】実施の形態3に係る製造ライン通信システムの構成を示す図である。
【図5】実施の形態3に係る通信コントローラ1Bの内部構成を示すブロック図である。
【図6】実施の形態4に係る製造ライン通信システムの動作を説明するフローチャートである。
【図7】従来技術に係る製造ライン通信システムの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、この発明をその実施の形態を示す図面に基づいて具体的に説明する。
【0012】
<実施の形態1>
図1は、本実施の形態1に係る製造ライン通信システムの構成を示した図である。図1に示すように、本実施の形態1に係る製造ライン通信システムは、通信コントローラ1と、ホストコンピュータ2と、複数の製造装置3から構成されている。
【0013】
複数の製造装置3は、半導体や液晶の製造ラインに沿って設置される。各製造装置3には、流れ作業的に順次、各製品が搬送される。各製造装置3は、自装置に搬送されてきた製品に対して、自装置の有する機能に基づいた各種製造工程(たとえば、加熱処理やプレス処理など)を実施する。そして、各種製造工程終了後、各製造装置3は、次の製造装置3に対して、自装置における製造工程を実施した製品を出力する。
【0014】
また、各製造装置3は、コントローラレベルネットワーク(フィールドネットワークとも称する)での通信を行う。つまり、各製造装置3には、コントローラレベルネットワークを介した通信が可能なように、第一の通信方式(つまり、第一の通信方式は、各製造装置3側で実行できる通信のフォーマットである)が実装されている。各製造装置3は、当該第一の通信方式に従う通信により、製造プロセス情報やライン流動情報の送信や作業指示情報の受信を行う。
【0015】
ここで、ライン流動情報とは、製造ライン上における製品の位置を示す情報であり、より具体的には、各製品がどの製造装置3内に滞留しているのかを示す情報である。また、製造プロセス情報とは、製造装置3で製品に対して実施された製造工程(プロセス)に関する情報である。たとえば、製品が製造装置3を通過した時間、製造装置3が製品に対して実施された製造工程に要した時間、製造装置3が製品に対して加熱処理を施す場合には、当該加熱処理が実施されたときの温度、製造装置3が製品に対して電気処理を施す場合には、当該電気処理が実施されたときの電圧値や電流値、また、製造装置3が製品に対してプレス処理を施す場合には、当該プレス処理が実施される際に使用した金型に関する情報などである。
【0016】
また、作業指示情報を受信することにより各製造装置3は、当該作業指示情報に従った製造工程を製品に対して実施する。
【0017】
一方、ホストコンピュータ2には、HSMS通信機能が実装されており、上記第一の通信方式とは異なる第二の通信方式(つまり、第二の通信方式は、ホストコンピュータ2側で実行できる通信のフォーマットである)での通信を行う。本実施の形態では、ホストコンピュータ2は、各製造装置3から送信されたライン流動情報や製造プロセス情報などを保持・管理する。
【0018】
また、当該ホストコンピュータ2は、各製造装置3から送信されたライン流動情報を受信する。そして、ホストコンピュータ2は、当該受信した流動情報を用いて演算を行い、当該演算結果として、前記ライン流動情報を送信した製造装置3または他の製造装置3に対する作業指示情報を生成する。そして、ホストコンピュータ2は、当該生成した作業指示情報を、前記ライン流動情報を送信した製造装置3または他の製造装置3に向けて出力する。
【0019】
通信コントローラ1は、ホストコンピュータ2と各製造装置3との通信経路の途中に配置されている。つまり、通信コントローラ1は、第一の通信方式での通信が可能なように各製造装置3と接続されている一方、第二の通信方式での通信が可能なようにホストコンピュータ2と接続されている。
【0020】
図2は、本実施の形態1に係る通信コントローラ1の内部構成を示すブロック図である。
【0021】
図2に示すように、通信コントローラ1は、第一の送受信部8、第二の送受信部4、通信情報変換部5を有する。ここで、通信情報変換部5には、通信定義6および変換マスタ7などのデータが格納されている。
【0022】
第一の送受信部8は、第一の通信方式に従って、各製造装置3との間でデータの送受信を行う。他方、第二の送受信部4は、第二の通信方式に従って、ホストコンピュータ2との間でデータの送受信を行う。
【0023】
通信情報変換部5では、予め設定されている通信定義6を用いて、第一の通信方式と第二の通信方式との間での通信方式の相互変換を行う。また、通信情報変換部5では、予め設定されている変換マスタ7を用いて、データフォーマットの変換を行う(たとえば、10進バイナリデータからアスキーデータへの変換(その逆も含む)など、製造装置3で実行できるフォーマットからホストコンピュータ2で処理できるフォーマットへの変換(その逆も含む))。
【0024】
次に、本実施の形態に係る製造ライン通信システムの動作について説明する。
【0025】
各製造装置3から、第一の通信方式に基づいて、ライン流動情報や製造プロセス情報などのデータが送信される。すると、通信コントローラ1における第一の送受信部8は、当該送信されたデータを受信する。
【0026】
第一の送受信部8は、当該受信したデータを、通信コントローラ1内の通信情報変換部5へと送信する。通信情報変換部5では、通信定義6に基づいて、第一の通信方式で受信したデータを、第二の通信方式に変換する。たとえば、通信情報変換部5は、各製造装置3から送信されてきたデータを、SEMI規格準拠HSMS通信の手順に変換する(つまり、HSMS通信(第二の通信方式)のフォーマットに変換する)。
【0027】
また、通信情報変換部5では、変換マスタ7に基づいて、データの型を変換する(たとえば、バイナリデータ→アスキーデータ変換など)。
【0028】
ここで、通信情報変換部5は、通信方式の変換を行った後に、データの型の変換を行っても良く、その逆であっても良い。または、通信情報変換部5は、通信方式の変換とデータの型の変換とを、並列的に実行しても良い。
【0029】
通信情報変換部5での各変換処理が実施されたデータは、第二の送受信部4へと送信される。そして、第二の送受信部4は、第二の通信方式に従って、受信したデータをホストコンピュータ2に対して出力する。
【0030】
ホストコンピュータ2において、第二の送受信部4から送信されたデータを受信すると、各種処理を行う。たとえば、当該受信したデータが製造プロセス情報であれば、ホストコンピュータ2は、当該製造プロセス情報を保持・管理する。また、当該受信したデータがライン流動情報であれば、当該ライン流動情報を保持・管理すると共に、ホストコンピュータ2は、当該ライン流動情報を用いて所定の演算を行い、作業指示データを生成する。
【0031】
ところで、ホストコンピュータ2は、データを各製造装置3に向けて出力することもある。たとえば、ホストコンピュータ2は、第二の通信方式に従って、作業指示情報を所定の製造装置3に向けて出力する。
【0032】
すると、当該出力されたデータは、第二の送受信部4が受信し、第二の送受信部4は、受信したデータを通信変換処理部5へと送信する。通信変換処理部5では、上記とは逆の各種変換を行う。具体的に、通信情報変換部5では、通信定義6に基づいて、第二の通信方式で受信したデータを、第一の通信方式に変換する。また、通信情報変換部5では、変換マスタ7に基づいて、データの型を変換する(たとえば、アスキーデータ→バイナリデータ変換など)。
【0033】
ここで、上記同様、通信情報変換部5は、通信方式の変換を行った後に、データの型の変換を行っても良く、その逆であっても良い。または、通信情報変換部5は、通信方式の変換とデータの型の変換とを、並列的に実行しても良い。
【0034】
通信情報変換部5での各変換処理が実施されたデータは、第一の送受信部8へと送信される。そして、第一の送受信部8は、第一の通信方式に従って、受信したデータを所定の製造装置3に対して出力する。
【0035】
所定の製造装置3において、第一の送受信部8から送信されたデータを受信すると、各種処理を行う。たとえば、当該受信したデータが作業指示情報であれば、所定の製造装置3は、当該作業指示情報に従った各種製造工程を製品に対して実施する。
【0036】
以上のように、本実施の形態に係る製造ライン通信システムでは、通信コントローラ1において、予め設定されている通信定義6に基づいて、前記第一の通信方式と前記第二の通信方式との間での通信方式の相互変換を行っている。
【0037】
したがって、各製造装置3側においては、当該製造装置3での実装が容易である、コントローラレベルネットワーク(フィールドネットワークとも称する)での通信を行うことができる。つまり、製造ラインに存する数十台全ての製造装置3において、たとえば複雑なHSMS通信機能を実装させる必要がなくなる。したがって、製造装置3側の処理が簡素化でき、システム構築費用を抑え、システム立ち上げ工期も短縮することが可能となる。
【0038】
また、通信コントローラ1側において設定されている通信定義6を変更することにより、システム稼働中においても、通信方式の変更を容易かつ柔軟に行うことができる。
【0039】
<実施の形態2>
実施の形態1では、ホストコンピュータ2側において、ライン流動情報の保持・管理を行い、当該ライン流動情報に基づいた作業指示情報の生成を行っていた。本実施の形態2では、当該ライン流動情報の保持・管理および作業指示情報の生成を、通信コントローラ1側で行う。
【0040】
図3は、本実施の形態に係る通信コントローラ1Aの内部構成を示すブロック図である。
【0041】
図3に示すように、通信コントローラ1A内には、実施の形態1に係る通信コントローラ1内部の構成に加えて、ライン制御部9がさらに設けられている。
【0042】
当該ライン制御部9では、各製造装置3から送信されるライン流動情報10を保持・管理する。さらに、ライン制御部9では、受信したライン流動情報10に基づいて、当該ライン流動情報10を送信した製造装置3または他の製造装置3に対する、作業指示情報を生成する。
【0043】
次に、本実施の形態に係る通信コントローラ1Aの動作について説明する。
【0044】
各製造装置3から第一の通信方式に従って送信されたデータを、第一の送受信部8が受信する。すると、第一の送受信部8は、当該受信したデータがライン流動情報10であるか否かを判断する。そして、ライン流動情報10であると判断したときには、第一の送受信部8は、当該ライン流動情報10として判断したデータを、ライン制御部9へと送信する。
【0045】
ライン制御部9では、受信したライン流動情報10を保持・管理する。さらに、ライン制御部9では、受信したライン流動情報10に基づいて、当該ライン流動情報10を送信した製造装置3または他の製造装置3に対する、作業指示情報を生成する。
【0046】
その後、ライン制御部9は、当該生成した作業指示情報を第一の送受信部8へと送信し、第一の送受信部8は、受信した作業指示情報を、第一の通信方式に従って、前記ライン流動情報10を送信した製造装置3または他の製造装置3に対して送信する。そして、製造装置3では、受信した作業指示情報に従った各種製造工程を、製品に対して実施する。
【0047】
なお、第一の送受信部8が、ライン流動情報10以外のデータを受信したときには、実施の形態1で説明した動作(通信方式の変換、データの型の変換)を行い、第二の送受信部4を介して、第二の通信方式に従って、ホストコンピュータ2に、形式変換後のデータを送信する。
【0048】
また、ホストコンピュータ2から各製造装置3宛てに送信されるデータに対する、通信コントローラ1Aの動作は、実施の形態1に係る通信コントローラ1の動作と同じである。
【0049】
以上のように、本実施の形態では、通信コントローラ1Aには、ライン制御部9が配設されている。
【0050】
したがって、ライン流動情報10に関しては、通信コントローラ1Aは、通信方式の変換等を行わず、当該ライン流動情報10に基づいた作業指示情報を生成している。よって、実施の形態1に係るシステム構成よりも、より迅速に、作業指示情報を各製造装置3へと送信することができる。したがって、各製造装置3側において、作業指示情報に従った製品に対する製造工程が遅延することを防止できる。
【0051】
<実施の形態3>
本実施の形態3に係る製造ライン通信システムでは、図4に示すように、通信コントローラ1Bの他に別途、ライン制御コントローラ20が設けられている。図5は、本実施の形態に係る通信コントローラ1Bおよびライン制御コントローラ20の内部構成を示すブロック図である。
【0052】
実施の形態1では、ホストコンピュータ2側において、ライン流動情報の保持・管理を行い、当該ライン流動情報に基づいた作業指示情報の生成を行っていた。本実施の形態では、ライン制御コントローラ20が、各製造装置3で実施される動作を制御する。具体的には、ライン制御コントローラ20が、各製造装置3から送信されるライン流動情報の保持・管理および作業指示情報の生成を行う。
【0053】
図5に示すように、ライン制御コントローラ20内には、送受信部21およびライン制御部23が配設されている。他方、本実施の形態に係る通信コントローラ1Bでは、第一の送受信部8が省略されている。当該第一の送受信部8が省略されている以外、本実施の形態に係る通信コントローラ1Bと実施の形態1に係る通信コントローラ1とは、同じ構成である。
【0054】
送受信部21では、各製造装置3との間で、第一の通信方式に従った通信を行う。送受信部21が、各製造装置3から送信されたデータ受信すると、送受信部21は、当該受信したデータを、ライン流動情報24とライン流動情報以外の他の情報とに仕分けする。そして、送受信部21は、ライン流動情報24は、ライン制御部23に送信する。他方、送受信部21は、他の情報に関しては、送受信バッファ22として、予め設定された所定期間だけ一時的に保持する。そして、送受信部21は、当該所定期間後、一時的に保持していた他の情報を通信コントローラ1B(より具体的には、通信情報変換部5)へと送信する。
【0055】
ライン制御部23では、各製造装置3から送信されるライン流動情報24を保持・管理する。さらに、ライン制御部23では、受信したライン流動情報24に基づいて、当該ライン流動情報24を送信した製造装置3または他の製造装置3に対する、作業指示情報を生成する。
【0056】
次に、本実施の形態に係る製造ライン通信システムの動作について説明する。
【0057】
各製造装置3から第一の通信方式に従って送信されたデータを、送受信部21が受信する。すると、送受信部21は、当該受信したデータがライン流動情報24であるか否かを判断する。そして、ライン流動情報24であると判断したときには、送受信部21は、当該ライン流動情報24として判断したデータを、ライン制御部23へと送信する。
【0058】
ライン制御部23では、受信したライン流動情報24を保持・管理する。さらに、ライン制御部23では、受信したライン流動情報24に基づいて、当該ライン流動情報24を送信した製造装置3または他の製造装置3に対する、作業指示情報を生成する。
【0059】
その後、ライン制御部23は、当該生成した作業指示情報を送受信部21へと送信し、送受信部21は、受信した作業指示情報を、第一の通信方式に従って、前記ライン流動情報24を送信した製造装置3または他の製造装置3に対して送信する。そして、製造装置3では、受信した作業指示情報に従った各種製造工程を、製品に対して実施する。
【0060】
一方、送受信部21が、ライン流動情報24以外のデータを受信したときには、送受信部21は、当該データを送受信バッファ22として、予め設定された所定期間だけ一時的に保持する。
【0061】
当該所定期間経過すると、送受信部21は、当該一時的に保持していたデータを、通信コントローラ1B内の通信情報変換部5へと送信する。その後、通信情報処理部5では、実施の形態1で説明した動作(通信方式の変換、データの型の変換)を行い、第二の送受信部4を介して、第二の通信方式に従って、ホストコンピュータ2に、形式変換後のデータを送信する。
【0062】
なお、ホストコンピュータ2から所定の製造装置3宛てに送信されるデータは、第二の通信方式に従って第二の送受信部4が受信し、当該受信したデータに対して通信情報変換部5は、実施の形態1で説明した動作(通信方式の変換、データの型の変換)を行う。そして、各種変換処理により形式の変換を完了したデータは、ライン制御コントローラ20内の送受信部21へと送信する。そして、送受信部21は、受信したデータ上記所定の製造装置3へと送信する。
【0063】
以上のように、本実施の形態に係る製造ライン通信システムでは、通信コントローラ1Bとは別に、ライン制御コントローラ20が配設されている。
【0064】
したがって、ライン流動情報24に関しては、通信コントローラ1Bは、通信方式の変換等を行わず、当該ライン流動情報24に基づいた作業指示情報を生成している。よって、実施の形態1に係るシステム構成よりも、より迅速に、作業指示情報を各製造装置3へと送信することができる。したがって、各製造装置3側において、作業指示情報に従った製品に対する製造工程が遅延することを防止できる。
【0065】
また、本実施の形態では、ライン制御コントローラ20は、受信したデータを、ライン流動情報24と他の情報とに仕分けし、ライン流動情報24をライン制御部23に送信し、他の情報に関しては、所定期間保持後、通信コントローラ1Bへと送信する、送受信部21を備えている。
【0066】
したがって、各製造装置3から常時報告される製造プロセス情報を一定期間保持することができる。よって、製造ライン流動中でも、通信コントローラ1Bの動作を一時的に停止させることができる。これにより、通信コントローラ1Bの設定内容の変更が可能な倍には、ユーザは、送受信バッファ22での所定期間の一時的に保持のタイミングにおいて、頻繁に変更される通信定義の変更や変換マスタの変更を、ライン流動中でもライン制御に一切影響を与えることなく、行うことができる。
【0067】
<実施の形態4>
実施の形態3では、送受信部21は、通信コントローラ1Bへ送信するデータを、予め設定されていた所定期間だけ一時的に保持し、当該一時的に保持しているタイミングで、通信コントローラ1B内の設定内容(通信定義6および/または変換マスタ)を変更する。
【0068】
これに対して、本実施の形態では、予め設定された所定の条件を満たすときに、通信コントローラ1B内の設定内容(通信定義6および/または変換マスタ)を変更する。
【0069】
図5における通信コントローラ1Bは、実施の形態3と同様、設定内容(通信定義6および/または変換マスタ)が可能である。そして、本実施の形態では、図5に示すライン制御部23は、所定の条件を予め設定しておくことができる。ここで、所定の条件とは、時間(たとえば、○時×分)であったり、製品の流動状況(たとえば、n台の製品が製造ラインを通過したなど)に関する条件などである。
【0070】
各製造装置3から送信されるライン流動情報24や時計などの情報から、ライン制御部23は、前記所定の条件を満たすか否かを判断する。そして、当該所定の条件を満たすと判断したとき、ライン制御部23は、設定変更指示情報を生成し、当該設定変更指示情報を通信コントローラ1Bに送信する。
【0071】
次に、本実施の形態に係る製造ライン通信システムの動作を、図6に示すフローチャートを用いて説明する。
【0072】
図5において、通信コントローラ1Bには、通信定義6および変換マスタ7が既に設定され、これらの設定内容を用いた各種変換処理実施されている。他方、ライン制御部23には、所定の条件が予め設定されている。また、本実施の形態においても、実施の形態3と同様に、送受信部21は、通信コントローラ1Bに送信されるデータ一時的に保持する。
【0073】
ステップST1において、ユーザは、通信コントローラ1Bに対して、変更を希望する設定内容(通信定義6および/または変換マスタ7)を予約する。ここで、当該設定内容の予約と共に、ライン制御部23に対して所定の条件の設定を行っても良い。
【0074】
ステップST1後、送受信部21におけるデータの一時格納期間中において、ライン制御部23は、受信したライン流動情報や、外部または内部から通知されるその他の情報(たとえば、時間に関する情報)を用いて、製造ラインの現在の流動状況が予め設定されている所定の条件を満たしたか否かを判断する(ステップST2)。
【0075】
ライン制御部23がデータの一時格納期間中に所定の条件を満たしていないと判断した場合には、ステップST2で「No」となり、ライン制御部23はステップST2の判断を再開する。当該ステップST2の判断は、データの一時格納期間中に所定の条件を満たしたと判断されるまで、繰り返し実施される。
【0076】
これに対して、ライン制御部23がデータの一時格納期間中に所定の条件を満たしたと判断した場合には、ステップST2で「Yes」となり、ライン制御部23は、設定変更指示情報を生成し、当該生成した設定変更指示情報を送受信部21へ送信する(ステップST3)。そして、送受信部21は、受信した設定変更指示情報を即、通信コントローラ1Bに対して送信する(ステップST3)。通信コントローラ1Bが設定変更指示情報を受信すると、既に設定されている設定内容(通信定義6や変換マスタ7)を、ステップST1で予め予約されていた設定内容に変更する(ステップST3)。
【0077】
以上のように、本実施の形態では、ユーザが指定した所定の条件を満たしたときに、既存のものからステップST1予約したものへと、通信情報変換部5における設定内容の変更が実行される。
【0078】
したがって、通信情報変換部5における設定内容(通信定義6や変換マスタ7)の変更を、ラインの流動状況を加味した最適なタイミングで実施することができる。
【符号の説明】
【0079】
1,1A,1B 通信コントローラ
2 ホストコンピュータ
3 製造装置
4 第二の送受信部
5 通信情報変換部
6 通信定義
7 変換マスタ
8 第一の送受信部
9,23 ライン制御部
10,24 ライン流動情報
20 ライン制御コントローラ
21 送受信部
22 送受信バッファ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
製造ラインに設置され、第一の通信方式での通信を行う、複数の製造装置と、
前記第一の通信方式と異なる第二の通信方式での通信を行い、前記製造装置から送信されるデータを取得する、ホストコンピュータと、
前記製造装置と前記ホストコンピュータとの通信経路間に配設され、予め設定されている通信定義に基づいて、前記第一の通信方式と前記第二の通信方式との間での通信方式の相互変換を行う、通信コントローラとを、備えている、
ことを特徴とする製造ライン通信システム。
【請求項2】
前記通信コントローラは、
前記製造装置から送信されるライン流動情報に基づいて、前記製造装置に対する作業指示情報を生成する、ライン制御部を備えている、
ことを特徴とする請求項1に記載の製造ライン通信システム。
【請求項3】
前記製造装置で実施される動作を制御するライン制御コントローラを、さらに備えている、
ことを特徴とする請求項1に記載の製造ライン通信システム。
【請求項4】
前記ライン制御コントローラは、
前記製造装置から送信されるライン流動情報に基づいて、前記製造装置に対する作業指示情報を生成する、ライン制御部と、
前記製造装置から送信されるデータを受信し、当該受信したデータを、前記ライン流動情報と前記ライン流動情報以外の他の情報とに仕分けし、前記ライン流動情報を前記ライン制御部に送信し、前記他の情報を所定期間保持し、当該所定期間保持後、前記他の情報を前記通信コントローラへと送信する、送受信部とを、備えている、
ことを特徴とする請求項3に記載の製造ライン通信システム。
【請求項5】
前記通信コントローラは、
設定内容の変更が可能であり、
前記ライン制御部は、
予め設定されている所定の条件を満たすとき、設定変更指示情報を前記通信コントローラに対して送信し、
前記通信コントローラは、
前記設定変更指示情報を受信したとき、既に設定されている設定内容を、予め予約されていた前記設定内容に変更する、
ことを特徴とする請求項4に記載の製造ライン通信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−216126(P2012−216126A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−81831(P2011−81831)
【出願日】平成23年4月1日(2011.4.1)
【出願人】(501137636)東芝三菱電機産業システム株式会社 (904)
【Fターム(参考)】