説明

複合半透膜およびその製造方法

【課題】高塩除去率であり、中性領域で非解離であるホウ素を高い除去率で分離できる複合半透膜およびその製造方法を提供すること。
【解決手段】微多孔性支持膜上にポリアミド分離機能層を形成してなり、該ポリアミド分離機能層の内部および/または表面に、一官能アミンや脂肪族アシル基を結合および/または吸着している複合半透膜とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液状混合物の選択分離に有用な複合半透膜およびその製造方法に関し、たとえば海水やかん水からホウ素を除去するにあたって好適に用いることができる、微多孔性支持膜上にポリアミド分離機能層を形成した複合半透膜およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、複合半透膜を用いた海水の淡水化が試みられ、世界中の水処理プラントで実用化されてきている。複合半透膜は、一般に微多孔性支持膜上に分離機能層を被覆してなり、その分離機能層を架橋芳香族ポリアミドから形成した場合には、ベンゼン環を含むことによって剛直性に富み、芳香族多官能アミンと芳香族多官能酸ハロゲン化物との界面重縮合により容易に製膜できるという利点があり、さらに高塩除去率、高透過流束であることが知られている(特許文献1、2)
しかしながら、水質基準はますます厳しくなっており、特に海水中に微量含まれるホウ素については、通常の処理では飲料水に適用できる濃度にまで低減することが困難であり、これを解決するための複合半透膜がいくつか提案されているものの(特許文献3、特許文献4)、これらの膜では25℃、pH6.5、ホウ素濃度5ppm、TDS濃度3.5重量%の海水を5.5MPaの操作圧力で透過させたときに、膜透過流束が0.5m/m・日以下、ホウ素除去率はせいぜい91〜92%程度と予測され、さらに高い阻止性能を有する複合半透膜の開発が望まれていた。
【0003】
複合半透膜の溶質阻止性能向上の手段の一つとして、反応薬液中に新規な反応剤を添加することが挙げられる。この方法では、従来の製造方法に対して大きな変更点がないため、簡便な改善方法として有用である。例えば、複合半透膜において、分子中に2以上のアミノ基を有するポリアミン成分と、新規な反応剤として分子中に2以上のハロゲン化カルボニル基を有する線状脂肪族ポリ酸ハライドを含有する酸成分とから架橋ポリアミドを構成する旨が開示されている(特許文献5)。該方法によれば、高い塩阻止率と高い透過流速を有する複合半透膜およびその製造方法を提供できると記されているが、この方法によってもホウ素阻止率を向上させるには至っていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平1−180208号公報
【特許文献2】特開平2−115027号公報
【特許文献3】特開平11−19493号公報
【特許文献4】特開2001−259388号公報
【特許文献5】特許第3031763号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、高い塩除去率とともに、ホウ酸のような中性領域では非解離の物質にも高い阻止性能を示す複合半透膜およびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための本発明は、以下の構成をとる。
【0007】
(1)微多孔性支持膜上にポリアミド分離機能層を形成してなる複合半透膜において、該分離機能層の内部および/または表面に脂肪族アシル基が結合し、25℃、pH6.5、ホウ素濃度5ppm、TDS濃度3.5重量%の海水を5.5MPaの操作圧力で透過させたときに、TDS透過係数が3.0×10−8m/s以下であり、かつ、下式の関係を満足することを特徴とする複合半透膜。
ホウ素除去率(%)≧95−4×膜透過流束(m/m・日)。
【0008】
(2)微多孔性支持膜上にポリアミド分離機能層を形成してなり、該ポリアミド分離機能層が、多官能アミン水溶液と、多官能酸ハロゲン化物の有機溶媒溶液と、これとは異なる炭素数が1〜4の範囲内の脂肪族酸ハロゲン化物の有機溶媒溶液とを微多孔性支持膜上で接触させ界面重縮合させることで得られた架橋ポリアミドであることを特徴とする(1)に記載の複合半透膜。
【0009】
(3)微多孔性支持膜上にポリアミド分離機能層を形成してなり、該ポリアミド分離機能層が、多官能アミン水溶液と、多官能酸ハロゲン化物およびこれとは異なる炭素数が1〜4の範囲内の脂肪族酸ハロゲン化物を含有する有機溶媒溶液とを微多孔性支持膜上で接触させ界面重縮合させることで得られた架橋ポリアミドであることを特徴とする(1)に記載の複合半透膜。
【0010】
(4)脂肪族酸ハロゲン化物が、メタンスルホニルクロリド、アセチルクロリド、プロピオニルクロリド、ブチリルクロリド、オキサリルクロリド、マロン酸ジクロリド、こはく酸ジクロリド、マレイン酸ジクロリド、フマル酸ジクロリド、クロロスルホニルアセチルクロリドおよびN,N−ジメチルアミノカルボニルクロリドからなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする上記(2)または(3)に記載の複合半透膜。
【0011】
(5)25℃、pH6.5、ホウ素濃度5ppm、TDS濃度3.5重量%の海水を5.5MPaの操作圧力で透過させたときの膜透過流束が0.5m/m・日以上、ホウ素除去率が93%以上であることを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれかに記載の複合半透膜。
【0012】
(6)微多孔性支持膜上に、少なくとも2個の一級および/または二級アミノ基を有する多官能アミン水溶液を接触させた後、少なくとも2個の酸ハライド基を有する多官能酸ハロゲン化物を含む、水と非混和性の有機溶媒溶液を接触させ、界面重縮合によって微多孔性支持膜上に架橋ポリアミドを含む分離機能層を形成した後、その分離機能層に、前記多官能酸ハロゲン化物とは異なる炭素数が1〜4の範囲内の脂肪族酸ハロゲン化物を前記多官能酸ハロゲン化物に対して5mol%以上含有する有機溶媒溶液を接触させることを特徴とする複合半透膜の製造方法。
【0013】
(7)微多孔性支持膜上に、少なくとも2個の一級および/または二級アミノ基を有する多官能アミン水溶液を接触させた後、少なくとも2個の酸ハライド基を有する多官能酸ハロゲン化物を含み、かつ、前記多官能酸ハロゲン化物とは異なる炭素数が1〜4の範囲内の脂肪族酸ハロゲン化物を前記多官能酸ハロゲン化物に対して5〜50mol%の範囲内で含む、水と非混和性の有機溶媒溶液を接触させ、界面重縮合によって微多孔性支持膜上に架橋ポリアミドを含む分離機能層を形成することを特徴とする複合半透膜の製造方法。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、脱塩性能が高く、かつ、これまでの逆浸透膜では高度に阻止することが難しかった中性領域で非解離の物質も高い除去率で阻止することができる複合半透膜となる。したがって、この複合半透膜によれば、特に、海水の脱塩において、これまで高度に阻止することが難しかったホウ素を高い除去率で阻止することができるため、逆浸透処理による飲料水製造において好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】実施例および比較例で作製した膜の、膜透過流束とホウ素除去率との関係を示したグラフである。
【図2】実施例および比較例で作製した膜の、膜透過流束とホウ素除去率との関係を示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明に係る複合半透膜は、25℃、pH6.5、ホウ素濃度5ppm、TDS濃度3.5重量%の海水を5.5MPaの操作圧力で透過させたときに、下式の関係を満足するものである。
【0017】
ホウ素除去率(%)≧95−4×膜透過流束(m/m・日)
かかる複合半透膜を得るためには、たとえば、内部や表面に脂肪族アシル基を存在させる方法を挙げることができ、たとえば実質的に分離性能を有さない微多孔性支持膜上に実質的にイオン等の分離性能を有する分離機能層を設け、その分離機能層の内部および/または表面に脂肪族アシル基を存在せしめる。脂肪族アシル基は結合によって分離機能層中もしくは分離機能層表面に存在していればよい。
【0018】
分離機能層は、酸やアルカリに対して化学的安定性が高い架橋ポリアミドからなるもの、もしくは架橋ポリアミドを主成分とするものからなることが好ましい。架橋ポリアミドは、多官能アミンと多官能酸ハロゲン化物との界面重縮合により形成され、多官能アミンまたは多官能酸ハロゲン化物成分の少なくとも一方が3官能以上の化合物を含んでいることが好ましい。
【0019】
分離機能層の厚みは、十分な分離性能および透過水量を得るために、通常0.01〜1μmの範囲内、好ましくは0.1〜0.5μmの範囲内である。
【0020】
ここで、多官能アミンとは、一分子中に少なくとも2個の一級および/または二級アミノ基を有するアミンをいい、たとえば、2個のアミノ基がオルト位やメタ位、パラ位のいずれかの位置関係でベンゼンに結合したフェニレンジアミン、キシリレンジアミン、1,3,5ートリアミノベンゼン、1,2,4−トリアミノベンゼン、3,5−ジアミノ安息香酸などの芳香族多官能アミン、エチレンジアミン、プロピレンジアミンなどの脂肪族アミン、1,2−ジアミノシクロヘキサン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、ピペラジン、1,3−ビスピペリジルプロパン、4−アミノメチルピペラジンなどの脂環式多官能アミン等を挙げることができる。中でも、膜の選択分離性や透過性、耐熱性を考慮すると一分子中に2〜4個の一級および/または二級アミノ基を有する芳香族多官能アミンであることが好ましく、このような多官能芳香族アミンとしては、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、1,3,5−トリアミノベンゼンが好適に用いられる。中でも、入手の容易性や取り扱いのしやすさから、m−フェニレンジアミン(以下、m−PDAと記す)を用いることがより好ましい。これらの多官能アミンは、単独で用いたり、混合して用いてもよい。
【0021】
多官能酸ハロゲン化物とは、一分子中に少なくとも2個のハロゲン化カルボニル基を有する酸ハロゲン化物をいう。たとえば、3官能酸ハロゲン化物では、トリメシン酸クロリド、1,3,5−シクロヘキサントリカルボン酸トリクロリド、1,2,4−シクロブタントリカルボン酸トリクロリドなどを挙げることができ、2官能酸ハロゲン化物では、ビフェニルジカルボン酸ジクロリド、アゾベンゼンジカルボン酸ジクロリド、テレフタル酸クロリド、イソフタル酸クロリド、ナフタレンジカルボン酸クロリドなどの芳香族2官能酸ハロゲン化物、アジポイルクロリド、セバコイルクロリドなどの脂肪族2官能酸ハロゲン化物、シクロペンタンジカルボン酸ジクロリド、シクロヘキサンジカルボン酸ジクロリド、テトラヒドロフランジカルボン酸ジクロリドなどの脂環式2官能酸ハロゲン化物を挙げることができる。多官能アミンとの反応性を考慮すると、多官能酸ハロゲン化物は多官能酸塩化物であることが好ましく、また、膜の選択分離性、耐熱性を考慮すると、一分子中に2〜4個の塩化カルボニル基を有する多官能芳香族酸塩化物であることが好ましい。中でも、入手の容易性や取り扱いのしやすさの観点から、トリメシン酸クロリドを用いるとより好ましい。これらの多官能酸ハロゲン化物は、単独で用いたり、混合して用いてもよい。
【0022】
脂肪族アシル基を分離機能層に存在させる方法は特に限定されるものではなく、たとえば、多官能アミンと多官能酸ハロゲン化物との界面重縮合により形成された分離機能層の表面に脂肪族酸ハロゲン化物溶液を接触させたり、多官能アミンと多官能芳香族酸ハロゲン化物との界面重縮合の際に脂肪族酸ハロゲン化物を共存させることで、分離機能層中に共有結合によって存在せしめればよい。
【0023】
すなわち、微多孔性支持膜上にポリアミド分離機能層を形成するにあたり、そのポリアミド分離機能層を、多官能アミン水溶液と、多官能酸ハロゲン化物の有機溶媒溶液と、これとは異なる炭素数が1〜4の範囲内の脂肪族酸ハロゲン化物の有機溶媒溶液とを微多孔性支持膜上で接触させ界面重縮合させることでなるものとしたり、ポリアミド分離機能層を、多官能アミン水溶液と、多官能酸ハロゲン化物およびこれとは異なる炭素数が1〜4の範囲内の脂肪族酸ハロゲン化物を含有する有機溶媒溶液とを微多孔性支持膜上で接触させ界面重縮合させてなるものとすればよい。
【0024】
その場合、本発明において用いられる脂肪族酸ハロゲン化物は、通常炭素数1〜4で、好ましくは炭素数2〜4であると、立体障害が小さいために反応点への接近が容易となり、円滑に膜が形成される。
【0025】
かかる脂肪族酸ハロゲン化物としては、メタンスルホニルクロリド、アセチルクロリド、プロピオニルクロリド、ブチリルクロリド、オキサリルクロリド、マロン酸ジクロリド、こはく酸ジクロリド、マレイン酸ジクロリド、フマル酸ジクロリド、クロロスルホニルアセチルクロリド、N,N−ジメチルアミノカルボニルクロリド、などが挙げられ、これらは単独でも2種以上を同時に使用しても良い。
【0026】
このようにして得られる複合半透膜は、25℃、pH6.5、ホウ素濃度5ppm、TDS濃度3.5重量%の海水を5.5MPaの操作圧力で透過させたときに、TDS透過係数が0.1×10−8m/s以上3×10−8m/s以下であると、本発明の効果であるホウ素除去性能向上が十分得られる。なお、溶質の透過係数は以下の方法により求めることができる。非平衡熱力学に基づいた逆浸透法の輸送方程式として、以下の式が知られている。
【0027】
Jv=Lp(ΔP−σ・Δπ) (1)
Js=P(Cm−Cp)+(1−σ)C・Jv (2)
ここで、Jvは膜透過体積流束(m/m/s)、Lpは純水透過係数(m/m/s/Pa)、ΔPは膜両側の圧力差(Pa)、σは溶質反射係数、Δπは膜両側の浸透圧差(Pa)、Jsは溶質の膜透過流束(mol/m/s)、Pは溶質の透過係数(m/s)、Cmは溶質の膜面濃度(mol/m)、Cpは透過液濃度(mol/m)、Cは膜両側の濃度(mol/m)、である。膜両側の平均濃度Cは、逆浸透膜のように両側の濃度差が非常に大きな場合には実質的な意味を持たない。そこで(2)式を膜厚について積分した次式がよく用いられる。
【0028】
R=σ(1−F)/(1−σF) (3)
ただし、
F=exp{−(1−σ)Jv/P} (4)
であり、Rは真の阻止率で、
R=1−Cp/Cm (5)
で定義される。ΔPを種々変化させることにより(1)式からLpを算出でき、またJvを種々変化させてRを測定し、Rと1/Jvをプロットしたものに対して(3)、(4)式をカーブフィッティングすることにより、Pとσを同時に求めることができる。
【0029】
上述のように構成することで、本発明の複合半透膜は、25℃、pH6.5、ホウ素濃度5ppm、TDS濃度3.5重量%の海水を5.5MPaの操作圧力で透過させたときに、下式
ホウ素除去率(%)≧95−4×膜透過流束(m/m・日)
の関係が成立する。該式を満たす複合半透膜は、従来にない高ホウ素阻止性能を提供するものであり、海水淡水化におけるホウ素除去の用途などにおいて非常に有用である。
【0030】
そして、特に分離機能層の内部および/または表面に一官能アミンを結合および/または吸着させた複合半透膜を用いることで、25℃、pH6.5、ホウ素濃度5ppm、TDS濃度3.5重量%の海水を5.5MPaの操作圧力で透過させたときの膜透過流束を0.5m/m・日以上1.5m/m・日以下、ホウ素除去率を93%以上とすることができる。なお、ホウ素濃度はICP発光分析装置を使用して測定することができる。
【0031】
本発明において微多孔性支持膜は、実質的にイオン等の分離性能を有さず、実質的に分離性能を有する分離機能層に強度を与えるためのものである。孔のサイズや分布は特に限定されないが、例えば、均一で微細な孔、あるいは分離機能層が形成される側の表面からもう一方の面まで徐々に大きな微細孔をもち、かつ、分離機能層が形成される側の表面で微細孔の大きさが0.1nm以上100nm以下であるような支持膜が好ましい。
【0032】
微多孔性支持膜に使用する材料やその形状は特に限定されないが、たとえばポリエステルまたは芳香族ポリアミドから選ばれる少なくとも一種を主成分とする布帛により強化されたポリスルホンや酢酸セルロースやポリ塩化ビニル、あるいはそれらを混合したものが好ましく使用される。使用される素材としては、化学的、機械的、熱的に安定性の高いポリスルホンを使用するのが特に好ましい。
【0033】
具体的には、次の化学式に示す繰り返し単位からなるポリスルホンを用いると、孔径が制御しやすく、寸法安定性が高いため好ましい。
【0034】
【化1】

【0035】
たとえば、上記ポリスルホンのN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)溶液を、密に織ったポリエステル布あるいは不織布の上に一定の厚さに注型し、それを水中で湿式凝固させることによって、表面の大部分が直径数10nm以下の微細な孔を有した微多孔性支持膜を得ることができる。
【0036】
上記の多孔質支持体および基材の厚みは、複合半透膜の強度およびそれをエレメントにしたときの充填密度に影響を与える。十分な機械的強度および充填密度を得るためには、50〜300μmの範囲内にあることが好ましく、より好ましくは75〜200μmの範囲内である。また、多孔質支持体の厚みは、10〜200μmの範囲内にあることが好ましく、より好ましくは30〜100μmの範囲内である。
【0037】
多孔質支持膜形態は、走査型電子顕微鏡や透過型電子顕微鏡、原子間顕微鏡により観察できる。例えば走査型電子顕微鏡で観察するのであれば基材から多孔質支持体を剥がした後、これを凍結割断法で切断して断面観察のサンプルとする。このサンプルに白金または白金−パラジウムまたは四塩化ルテニウム、好ましくは四塩化ルテニウムを薄くコーティングして3〜6kVの加速電圧で高分解能電界放射型走査電子顕微鏡(UHR−FE−SEM)で観察する。高分解能電界放射型走査電子顕微鏡は、日立製S−900型電子顕微鏡などが使用できる。得られた電子顕微鏡写真から多孔質支持体の膜厚や表面孔径を決定する。なお、本発明における厚みや孔径は平均値を意味するものである。
【0038】
次に、本発明の複合半透膜の製造方法について説明する。
【0039】
複合半透膜を構成する分離機能層は、例えば、前述の多官能アミンを含有する水溶液と、多官能酸ハロゲン化物を含有する、水と非混和性の有機溶媒溶液とを用い、微多孔性支持膜の表面で界面重縮合を行うことによりその骨格を形成できる。
【0040】
ここで、多官能アミン水溶液における多官能アミンの濃度は2.5〜10重量%の範囲内であることが好ましく、さらに好ましくは3〜5重量%の範囲内である。この範囲であると十分な塩除去性能および透水性を得ることができ、溶質透過係数を3×10−8m/s以下とすることができる。多官能アミン水溶液には、多官能アミンと多官能酸ハロゲン化物との反応を妨害しないものであれば、界面活性剤や有機溶媒、アルカリ性化合物、酸化防止剤などが含まれていてもよい。界面活性剤は、多孔性支持膜表面の濡れ性を向上させ、アミン水溶液と非極性溶媒との間の界面張力を減少させる効果があり、有機溶媒は界面重縮合反応の触媒として働くことがあり、添加することにより界面重宿合反応を効率よく行える場合がある。
【0041】
界面重縮合を多孔性支持膜上で行うために、まず、上述の多官能アミン水溶液を多孔性支持膜に接触させる。接触は、多孔性支持膜面上に均一にかつ連続的に行うことが好ましい。具体的には、たとえば、多官能アミン水溶液を多孔性支持膜にコーティングする方法や多孔性支持膜を多官能アミン水溶液に浸漬する方法を挙げることができる。多孔性支持膜と多官能アミン水溶液との接触時間は、1〜10分間の範囲内であることが好ましく、1〜3分間の範囲内であるとさらに好ましい。
【0042】
多官能アミン水溶液を多孔性支持膜に接触させたあとは、膜上に液滴が残らないように十分に液切りする。十分に液切りすることで、膜形成後に液滴残存部分が膜欠点となって膜性能が低下することを防ぐことができる。液切りの方法としては、たとえば、特開平2−78428号公報に記載されているように、多官能アミン水溶液接触後の多孔性支持膜を垂直方向に把持して過剰の水溶液を自然流下させる方法や、エアーノズルから窒素などの風を吹き付け、強制的に液切りする方法などを用いることができる。また、液切り後、膜面を乾燥させ、水溶液の水の一部を除去することもできる。
【0043】
次いで、多官能アミン水溶液接触後の支持膜に、多官能酸ハライドを含む有機溶媒溶液を接触させ、界面重縮合により架橋ポリアミド分離機能層の骨格を形成させる。
【0044】
有機溶媒溶液中の多官能酸ハライドの濃度は、0.01〜10重量%の範囲内であると好ましく、0.02〜2.0重量%の範囲内であるとさらに好ましい。この範囲であると、十分な反応速度が得られ、また副反応の発生を抑制することができる。さらに、この有機溶媒溶液にN,N−ジメチルホルムアミドのようなアシル化触媒を含有させると、界面重縮合が促進され、さらに好ましい。
【0045】
有機溶媒は、水と非混和性であり、かつ酸ハロゲン化物を溶解し微多孔性支持膜を破壊しないことが望ましく、アミノ化合物および酸ハロゲン化物に対して不活性であるものであればよい。好ましい例としては、たとえば、n−ヘキサン、n−オクタン、n−デカンなどの炭化水素化合物が挙げられる。
【0046】
多官能酸ハロゲン化物の有機溶媒溶液のアミノ化合物水溶液相への接触の方法は、多官能アミン水溶液の微多孔性支持膜への被覆方法と同様に行えばよい。
【0047】
上述したように、酸ハロゲン化物の有機溶媒溶液を接触させて界面重縮合を行い、多孔性支持膜上に架橋ポリアミドを含む分離機能層を形成したあとは、余剰の溶媒を液切りするとよい。液切りの方法は、たとえば、膜を垂直方向に把持して過剰の有機溶媒を自然流下して除去する方法を用いることができる。この場合、垂直方向に把持する時間としては、1〜5分間の間にあることが好ましく、1〜3分間であるとより好ましい。短すぎると分離機能層が完全に形成せず、長すぎると有機溶媒が過乾燥となり欠点が発生しやすく、性能低下を起こしやすい。
【0048】
上述の方法により得られた複合半透膜は、50〜150℃の範囲内、好ましくは70〜130℃の範囲内で1〜10分間、より好ましくは2〜8分間熱水処理する工程などを付加することで、複合半透膜の排除性能や透水性をより一層向上させることができる。
【0049】
分離機能層に脂肪族アシル基が結合した複合半透膜を製造するにあたっては、たとえば上述の多官能アミン水溶液接触後の支持膜に、上述の多官能酸ハロゲン化物およびこれとは異なる脂肪族酸ハロゲン化物を含有する有機溶媒溶液を接触させたり、上述の多官能アミン水溶液接触後の支持膜に上述の多官能酸ハロゲン化物を接触せしめて界面重縮合によって多孔性支持膜上に架橋ポリアミドを含む分離機能層を形成した後、さらに上述の前記多官能酸ハロゲン化物とは異なる脂肪族酸ハロゲン化物を含有する有機溶媒溶液を接触せしめる。
【0050】
そして、この際の有機溶媒溶液中の多官能酸ハロゲン化物の濃度も、0.01〜10重量%の範囲内であると好ましく、0.02〜2重量%の範囲内であるとさらに好ましい。0.01重量%以上とすることで十分な反応速度が得られ、また、10重量%以下とすることで副反応の発生を抑制することができるためである。さらに、この有機溶媒溶液にN,N−ジメチルホルムアミドのようなアシル化触媒を含有させると、界面重縮合が促進され、さらに好ましい。
【0051】
脂肪族酸ハロゲン化物は、多官能アミンと多官能酸ハロゲン化物との界面重縮合により実質的な分離機能層を形成した後に接触させる場合、その濃度は、多官能酸ハロゲン化物に対して5mol%以上であることが好ましい。5mol%を下回るとホウ素阻止の効果が小さくなる。そして、100mol%を越えて用いてもホウ素阻止の効果に変化が見られず、多量の未反応試薬による環境悪化や処理のための経済的負担が増大するので、100mol%以下であることが好ましい。そして、10mol%〜50mol%の範囲内であるとより好ましい。一方、多官能酸ハロゲン化物と脂肪族酸ハロゲン化物とを単一の有機溶媒溶液に混合させて分離機能層を形成する場合は、脂肪族酸ハロゲン化物の濃度が多官能酸ハロゲン化物に対して5mol%〜50mol%の範囲内であることが好ましく、10mol%〜30mol%の範囲内であることがさらに好ましい。5mol%以上とすることで、本発明の効果であるホウ素除去性能向上が発揮され、また、50mol%以下とすることで塩除去性能および透過流束の低下を抑制することができるためである。
【0052】
このように形成される本発明の複合半透膜は、プラスチックネットなどの原水流路材と、トリコットなどの透過水流路材と、必要に応じて耐圧性を高めるためのフィルムと共に、多数の孔を穿設した筒状の集水管の周りに巻回され、スパイラル型の複合半透膜エレメントとして好適に用いられる。さらに、このエレメントを直列または並列に接続して圧力容器に収納した複合半透膜モジュールとすることもできる。
【0053】
また、上記の複合半透膜やそのエレメント、モジュールは、それらに原水を供給するポンプや、その原水を前処理する装置などと組み合わせて、流体分離装置を構成することができる。この分離装置を用いることにより、原水から飲料水などの透過水と、膜を透過しなかった濃縮水を分離して、目的にあった水を得ることができる。
【0054】
流体分離装置の操作圧力は高い方がホウ素除去率は向上するが、運転に必要なエネルギーも上昇すること、また、複合半透膜の耐久性を考慮すると、複合半透膜に被処理水を透過する際の操作圧力は、1.0MPa以上、10MPa以下が好ましい。供給水温度は、高くなるとホウ素除去率が低下するが、低くなるにしたがい膜透過流束も減少するので、5℃以上、45℃以下が好ましい。また、供給水pHは、高くなると供給水中のホウ素がホウ酸イオンに解離するためホウ素除去率が向上するが、海水などの高塩濃度の供給水の場合、マグネシウムなどのスケールが発生する恐れがあり、また、高pH運転による膜の劣化が懸念されるため、中性領域での運転が好ましい。
【実施例】
【0055】
実施例および比較例における測定は次のとおり行った。
【0056】
(脱塩率)
複合半透膜に、温度25℃、pH6.5に調整した海水(TDS濃度約3.5%、ホウ素濃度約5.0ppm)を操作圧力5.5MPaで供給するときの透過水塩濃度を測定することにより、次の式から求めた。
【0057】
脱塩率=100×{1−(透過水中の塩濃度/供給水中の塩濃度)}
(膜透過流束)
供給水として海水を使用し、膜面1平方メートル当たり、1日の透水量(立方メートル)から膜透過流束(m/m・日)を求めた。
【0058】
(ホウ素除去率)
供給水と透過水中のホウ素濃度をICP発光分析装置で分析し、次の式から求めた。
【0059】
ホウ素除去率=100×{1−(透過水中のホウ素濃度/供給水中のホウ素濃度)}
(TDS透過係数)
「膜処理技術大系」、上巻、p171、中垣 正幸 監修,フジテクノシステム(1991)記載の以下の計算式から求めた。
【0060】
TDS透過係数(m/s)={(100−脱塩率)/脱塩率}×膜透過流束×115.7×10−7
(実施例1〜9、比較例1)
ポリエステル繊維からなるタフタ(縦糸、横糸とも166デシテックスのマルチフィラメント糸を用いた。織密度は縦90本/インチ、横67本/インチ、厚さ160μm)上にポリスルホンの15.7重量%ジメチルホルムアミド(DMF)溶液を200μmの厚みで室温(25℃)でキャストし、ただちに純水中に浸漬して5分間放置することによって繊維補強ポリスルホン支持膜(以下FR−PS支持膜と略す)からなる微多孔性支持膜を作製した。このようにして得られた微多孔性支持膜(厚さ210〜215μm)を、m−フェニレンジアミン3.4重量%水溶液中に2分間浸漬し、該支持膜を垂直方向にゆっくりと引き上げ、エアーノズルから窒素を吹き付け支持膜表面から余分な水溶液を取り除いた後、表1記載の濃度で調製した多官能芳香族酸ハロゲン化物および脂肪族酸ハロゲン化物のn−デカン混合溶液を、表面が完全に濡れるように塗布して1分間静置してから、膜を垂直に1分間保持して液切りした。続いて風乾にてデカン溶媒を蒸発させ、水道水で膜中の残存薬液を流水洗浄した。その後、90℃の熱水で2分間洗浄し、pH7、塩素濃度200mg/lに調整した次亜塩素酸ナトリウム水溶液に2分間浸漬してから、1,000mg/l亜硫酸水素ナトリウム水溶液中に浸漬した。さらに、この膜を95℃の熱水で2分間再洗浄した。
【0061】
このようにして得られた複合半透膜を評価したところ、膜透過流束、脱塩率、ホウ素除去率、TDS透過係数はそれぞれ表1に示す値となった。
【0062】
(比較例2)
n−デカン溶液中に脂肪族酸ハロゲン化物を加えなかったこと以外は実施例1〜9と同様にして複合半透膜を作製した。得られた複合半透膜の評価したところ、脱塩率、膜透過流束、ホウ素除去率、TDS透過係数はそれぞれ表1に示す値となった。
【0063】
【表1】

【0064】
(実施例10〜18)
実施例1と同じ微多孔性支持膜を、m−フェニレンジアミン3.4重量%水溶液中に2分間浸漬し、該支持膜を垂直方向にゆっくりと引き上げ、エアーノズルから窒素を吹き付け支持膜表面から余分な水溶液を取り除いた後、表2記載の多官能芳香族酸ハロゲン化物のn−デカン溶液を表面が完全に濡れるように塗布して1分間静置してから、膜を垂直に1分間把持して液切りした。次に表2記載の脂肪族酸ハロゲン化物のn−デカン溶液を表面が完全に濡れるように塗布して1分間静置してから、膜を垂直に1分間保持して液切りした。続いて風乾にてデカン溶媒を蒸発させ、水道水で膜中の残存薬液を流水洗浄した。その後、90℃の熱水で2分間洗浄し、pH7、塩素濃度200mg/lに調整した次亜塩素酸ナトリウム水溶液に2分間浸漬してから、1,000mg/l亜硫酸水素ナトリウム水溶液中に浸漬した。さらに、この膜を95℃の熱水で2分間再洗浄した。
【0065】
このようにして得られた複合半透膜を評価したところ、膜透過流束、脱塩率、ホウ素除去率、TDS透過係数はそれぞれ表2に示す値となった。
【0066】
(比較例3)
脂肪族酸ハロゲン化物n−デカン溶液を塗布しなかったこと以外は実施例10〜18と同様にして複合半透膜を作製した。得られた複合半透膜の評価したところ、脱塩率、膜透過流束、ホウ素除去率、TDS透過係数はそれぞれ表2に示す値となった。
【0067】
【表2】

【0068】
なお、表中、mPDAはメタフェニレンジアミン、MAはメチルアミン、EAはエチルアミン、DBAはジブチルアミン、TMCはトリメシン酸クロリド、OCはオキサリルクロリド、ACはアセチルクロリド、FCはフマル酸ジクロリド、SCはこはく酸ジクロリド、CSACはクロロスルホニルアセチルクロリドである。
【0069】
また、実施例1〜18および比較例1〜3の結果を図1に示す。
【0070】
(比較例4〜9)
実施例1と同じ微多孔性支持膜を、表3記載成分を溶解した水溶液中に2分間浸漬し、該支持膜を垂直方向にゆっくりと引き上げ、エアーノズルから窒素を吹き付け支持膜表面から余分な水溶液を取り除いた後、表3記載の濃度で調製した多官能芳香族酸ハロゲン化物および脂肪族酸ハロゲン化物のn−デカン混合溶液を、表面が完全に濡れるように塗布して1分間静置してから、膜を垂直に1分間把持して液切りした。続いて風乾にてデカン溶媒を蒸発させ、水道水で膜中の残存薬液を流水洗浄した。その後、90℃の熱水で2分間洗浄し、pH7、塩素濃度200mg/lに調整した次亜塩素酸ナトリウム水溶液に2分間浸漬してから、1,000mg/l亜硫酸水素ナトリウム水溶液中に浸漬した。さらに、この膜を95℃の熱水で2分間再洗浄した。
【0071】
このようにして得られた複合半透膜を評価したところ、膜透過流束、脱塩率、ホウ素除去率、TDS透過係数はそれぞれ表3に示す値となった。
【0072】
【表3】

【0073】
なお、表中、mPDAはメタフェニレンジアミン、EDAはエチレンジアミン、TMCはトリメシン酸クロリド、OCはオキサリルクロリド、ε−CLはε−カプロラクタムである。
【0074】
また、比較例4〜9、さらに比較のため比較例3および実施例4の結果を図2に示す。表3および図2の結果から、本発明ではTDS透過係数が3×10−8m/s以下である場合に顕著なホウ素除去性能向上効果が現れることがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明の複合半透膜は、高塩除去率、高透過流束を達成でき、また、ホウ素のような中性領域では非解離の物質にも高い阻止性能を示すので、原子力発電所の冷却水やメッキ廃水の処理、高濃度かん水や海水の淡水化による飲料水製造等に好適に用いることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
微多孔性支持膜上にポリアミド分離機能層を形成してなる複合半透膜において、該分離機能層の内部および/または表面に脂肪族アシル基が結合し、25℃、pH6.5、ホウ素濃度5ppm、TDS濃度3.5重量%の海水を5.5MPaの操作圧力で透過させたときに、TDS透過係数が3×10−8m/s以下であり、かつ、下式の関係を満足することを特徴とする複合半透膜。
ホウ素除去率(%)≧95−4×膜透過流束(m/m・日)
【請求項2】
微多孔性支持膜上にポリアミド分離機能層を形成してなり、該ポリアミド分離機能層が、多官能アミン水溶液と、多官能酸ハロゲン化物の有機溶媒溶液と、これとは異なる炭素数が1〜4の範囲内の脂肪族酸ハロゲン化物の有機溶媒溶液とを微多孔性支持膜上で接触させ界面重縮合させることで得られた架橋ポリアミドであることを特徴とする請求項1に記載の複合半透膜。
【請求項3】
微多孔性支持膜上にポリアミド分離機能層を形成してなり、該ポリアミド分離機能層が、多官能アミン水溶液と、多官能酸ハロゲン化物およびこれとは異なる炭素数が1〜4の範囲内の脂肪族酸ハロゲン化物を含有する有機溶媒溶液とを微多孔性支持膜上で接触させ界面重縮合させることで得られた架橋ポリアミドであることを特徴とする請求項1に記載の複合半透膜。
【請求項4】
脂肪族酸ハロゲン化物が、メタンスルホニルクロリド、アセチルクロリド、プロピオニルクロリド、ブチリルクロリド、オキサリルクロリド、マロン酸ジクロリド、こはく酸ジクロリド、マレイン酸ジクロリド、フマル酸ジクロリド、クロロスルホニルアセチルクロリドおよびN,N−ジメチルアミノカルボニルクロリドからなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項2または3に記載の複合半透膜。
【請求項5】
25℃、pH6.5、ホウ素濃度5ppm、TDS濃度3.5重量%の海水を5.5MPaの操作圧力で透過させたときに、膜透過流束が0.5m/m・日以上、ホウ素除去率が93%以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の複合半透膜。
【請求項6】
微多孔性支持膜上に、少なくとも2個の一級および/または二級アミノ基を有する多官能アミン水溶液を接触させた後、少なくとも2個の酸ハライド基を有する多官能酸ハロゲン化物を含む、水と非混和性の有機溶媒溶液を接触させ、界面重縮合によって微多孔性支持膜上に架橋ポリアミドを含む分離機能層を形成した後、その分離機能層に、前記多官能酸ハロゲン化物とは異なる炭素数が1〜4の範囲内の脂肪族酸ハロゲン化物を前記多官能酸ハロゲン化物に対して5mol%以上含有する有機溶媒溶液を接触させることを特徴とする複合半透膜の製造方法。
【請求項7】
微多孔性支持膜上に、少なくとも2個の一級および/または二級アミノ基を有する多官能アミン水溶液を接触させた後、少なくとも2個の酸ハライド基を有する多官能酸ハロゲン化物を含み、かつ、前記多官能酸ハロゲン化物とは異なる炭素数が1〜4の範囲内の脂肪族酸ハロゲン化物を前記多官能酸ハロゲン化物に対して5〜50mol%の範囲内で含む、水と非混和性の有機溶媒溶液を接触させ、界面重縮合によって微多孔性支持膜上に架橋ポリアミドを含む分離機能層を形成することを特徴とする複合半透膜の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−78980(P2011−78980A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−3680(P2011−3680)
【出願日】平成23年1月12日(2011.1.12)
【分割の表示】特願2004−147748(P2004−147748)の分割
【原出願日】平成16年5月18日(2004.5.18)
【出願人】(000003159)東レ株式会社 (7,677)
【Fターム(参考)】