説明

複合材料製品を製造するための膜、該膜の製造方法、及び該膜を使用した複合材料製品の製造方法

複合材料製品(2)の製造に使用するための樹脂拘束膜(1)であって、二軸延伸ポリプロピレンからなる支持膜(6)と、複合材料製品(2)を形成することになる半製品(2’)と接触することを意図された支持膜(6)の前面(6a)を被覆する脱着化学物質の中間層(7)と、真空蒸着によって中間層(7)上に適用された金属被覆材料の表面層(8)とによって形成された拘束膜(1)を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複合材料製品を製造するための膜、該膜の製造方法、及び該膜を使用した複合材料製品の製造方法に関する。
【0002】
より詳細には、本発明は、管状形状を有する複合材料製品の製造に使用するための樹脂拘束膜に関し、以下の説明は、いかなる一般性の喪失も示唆せず、単に例として参照すべきものである。
【背景技術】
【0003】
周知のとおり、管状形状及び非管状形状を有する複合材料製品は、適当に編まれ、かつ/または互いに積層され、かつエポキシ、フェノール、またはポリエステル熱硬化性樹脂のマトリクス中に埋め込まれた、ガラス繊維及び/または炭素繊維及び/またはアラミド繊維及び/または綿、リネン、ヘンプまたはその他の有機材料繊維の1層または複数の積層された層によって基本的に形成される。
【0004】
製造工程においては、複合材料製品は、依然として半固体状態(「プリプレグ」とも称される)にある樹脂を含浸した繊維の半仕上げのマットから得られ、得られる製品の形状に従うように成形され、次いでその間に樹脂の重合がもたらされ、その後不可逆凝固する熱硬化サイクルが施される。
【0005】
複合材料製品が管状形状を有する場合、事前に半製品は樹脂が完全に固まるまで半製品内に樹脂を保持するように作用する可塑性材料テープ(一般的にポリプロピレン)で巻かれ、半製品は金属チャックの周りに巻きつけられ、次いで樹脂の重合が起こる炉内に配置される。
【0006】
たいていの場合、樹脂拘束テープは、樹脂重合工程の最後に複合材料製品から除去される。
【0007】
樹脂拘束テープを使用する必要性は、重合工程の初期段階の間に、熱硬化性樹脂は体積が膨張してその流動性の増加を受けるため、固定されていない場合、固化する前に重力によって半製品の外へ流れ出す傾向にあり、製品の構造的完全性を低下させるためである。
【0008】
最後に、用途によっては、複合材料製品の表面に着色する必要がある。
この場合、製造方法は、熱硬化性樹脂が完全に重合工程を完了した後に、スプレーまたはブラシによって複合材料製品の表面上に直接有色塗料層を塗布するか、または重合工程を実施する前に、スプレーまたはブラシによって半製品の表面上に直接有色塗料層を塗布する方法を提供する。
【0009】
この第2のケースでは、重合工程の間、熱硬化性樹脂は有色顔料の粒子を安定に組み込むことができるため、製品の表面仕上げを向上させる。
【0010】
実際には、周知のとおり、有色塗料は、液体と、よく混合された実質的に透明な樹脂及び希釈剤/溶媒、及び透明液体混合物中に懸濁された可変量の基本顔料粒子(すなわち所望の発色物質の微細に粉砕された粒子)の混合物とからなる。希釈剤/溶媒は、樹脂を液体状態に維持する機能を有し、一方で、樹脂は、依然として液相であるときに製品の表面をとらえ、希釈剤/溶媒が蒸発によって自然に分散される場合に、顔料粒子を保持するように製品の表面に安定に接着する化学物質である。
【0011】
有色塗料に使用される樹脂が複合材料製品の熱硬化性樹脂と化学的に適合する場合、重合工程の初期段階の間に、複合材料製品の表面にある熱硬化性樹脂は、その中に有色塗料を形成する顔料粒子及び樹脂を組み込むことによって、複合材料製品の表面を着色する。
【0012】
特許文献1から3に記載されているように、近年、管状形状複合材料製品の製造では、製造工程の単純化及び高速化のために、複合材料製品の表面に接触することを意図されたポリプロピレンテープの表面上に有色塗料を直接適用し、重合工程の間に、テープの表面上に存在する顔料粒子をその中に組み込む役割を製品の熱硬化性樹脂に委ねることを開始した。
【0013】
この場合、有色塗料とポリプロピレン拘束テープの表面との間に中弱分子結合を形成するために、有色塗料は、ブラシまたはスクリーン印刷によって、ポリプロピレン拘束テープの「未処理」面、すなわち定義により表面張力が38ダイン/cm未満の値を有する面に直接適用されなければならない。
【0014】
実際には、複合材料製品の表面上の熱硬化性樹脂が38ダイン/cm超の表面張力を有するポリプロピレン表面と直接接触すると、拘束テープと永久に結合されるため、サンドペーパーなどによる機械的表面研磨によってしか除去することができないことは周知である。この処理は、複合材料製品の表面を修復不可能なまでに損傷することになる。
【0015】
明らかに、拘束テープは、有色塗料の非常に薄い層がテープの表面上で乾燥した後に、複合材料製品の製造及び着色に使用される。
【0016】
複合材料製品の製造及び着色費用を大幅に低減させたとしても、スクリーン印刷によって着色した面を有するポリプロピレン拘束テープの使用では、熱硬化性樹脂の重合工程の最後に複合材料製品に直接スプレーまたはブラシ塗布することによって得られたものに匹敵する強度、輝度及び光沢を有する着色表面を実現することはできない。
【0017】
最後に、前述の製造方法では、複合材料製品の表面に金属様外観を与えることはできない。実際のところ、この種の表面仕上げを得るために、複合材料製品の製造では一般的に、熱硬化性樹脂を含浸させる前に繊維に表面金属化工程が施される半仕上げのマットが使用される。
【0018】
残念ながら、最終的な美的結果は、相当な製造コストの増加を相殺するものではない。つまり、半製品の繊維の表面金属化は、特に長時間かつ高価な表面処理の結果であり、樹脂の重合の最後に、複合材料製品は、均一な金属様の外観の表面被覆を有さない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【特許文献1】特許第11309797号公報
【特許文献2】特開第2000‐062032号公報
【特許文献3】欧州特許第1621322号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0020】
従って、本発明の目的は、熱硬化性樹脂の重合工程の最後に複合材料製品を直接スプレーまたはブラシ塗布することによって得られるものに匹敵する強度、輝度、光沢及び/または金属外観を有する着色表面を複合材料製品上に実現する、テープまたはシート形態である、複合材料製品を製造するための拘束膜を製造することである。
【0021】
上記目的に応じて、本発明によると、複合材料製品を製造するための拘束膜は、請求項1に記載されたとおり提供され、必ずしもそうではないが好ましくは従属請求項のいずれか1つに記載されたとおり提供される。
【0022】
本発明によると、複合材料製品を製造するための拘束膜の製造方法はまた、請求項9に記載されたとおり提供され、必ずしもそうではないが好ましくは従属請求項のいずれか1つに記載されたとおり提供される。
【0023】
最後に、本発明によると、複合材料製品の製造方法は、請求項17に記載されたとおり提供され、必ずしもそうではないが好ましくは従属請求項のいずれか1つに記載されたとおり提供される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の教示によって実現される複合材料製品を製造するための膜を概略的に示す図である。
【図2】本発明の教示によって実施される複合材料製品の製造方法の段階を概略的に示す図である。
【図3】本発明の教示によって実施される複合材料製品の製造方法の別の段階を概略的に示す図である。
【図4】本発明の教示によって実施される複合材料製品の製造方法のさらに別の段階を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下では、添付の図面を参照して本発明を説明する。これらの図面は非限定的な実施形態を示すものである。
【0026】
図1及び4を参照すると、参照符号1は、全体として、必ずしもそうではないが好ましくは平坦または管状の形状を有し、互いに適当に重なり合うかまたは編まれ、かつエポキシ、フェノール、ポリエステル熱硬化性樹脂または類似のもののマトリクス中に埋め込まれた、以降において参照符号3で示される、ガラス繊維及び/または炭素繊維及び/またはアラミド繊維及び/または綿繊維及び/またはリネン繊維及び/またはヘンプ繊維及び/またはその他の有機あるいは無機材料からなる繊維の重なり合った層の1つまたは複数によって実質的に形成される、複合材料製品2の製造に使用されるように特に設計された熱硬化性樹脂拘束膜を示す。
【0027】
より具体的には、図1及び2を参照すると、複合材料製品は、実現される複合材料製品2の形状に従い、かつ依然として高粘度液体状態にある熱硬化性樹脂4を含浸した繊維3の層の1つまたは複数によって形成される半製品2’に、熱硬化性樹脂4の重合の後に不可逆凝固をもたらす熱硬化サイクルを施すことによって製造される。テープまたはシートの形状である拘束膜1は、重合処理の間に半製品2’内に熱硬化性樹脂4を維持するように、半製品2’の周囲に巻きつけられるように設計される。
【0028】
上記に加えて、拘束膜1はまた、熱硬化性樹脂4の重合処理の最後に、結果として得られる複合材料製品2の表面に永久に隣接する、非常に薄い外側被覆膜5を、半製品2’の外表面2a上に堆積するように設計される。
【0029】
図1を参照すると、拘束膜1は、必ずしもそうでないが好ましくは二軸延伸ポリプロピレンまたは同様の可塑性高分子からなる支持膜6と、半製品2’と接触するようになることが意図された支持膜6の前面6aを完全に被覆する脱着化学物質の中間層7と、均一であり、必ずしもそうでないが好ましくは金属種である被覆材料であり、中間層7を完全に被覆し、かつ真空蒸着処理によって実現される表面層8と、によって実質的に形成される。
【0030】
より具体的には、現在使用されている解決策とは違って、半製品2’と接触するように意図された前面6aの表面上に配置された可塑性高分子が局所的に、必ずしもそうでないが好ましくは45ダイン/cmから70ダイン/cmの間の範囲であり、いかなる場合であっても38ダイン/cm超の値の表面張力Tを有し、かつ、脱着化学物質が下部の膜6の表面に接着して後続の真空蒸着による堆積を許容することができるように、脱着化学物質の中間層7がフレキソ印刷処理または類似のもの(例えば、スクリーン印刷、輪転グラビア印刷、オフセット印刷、及び輪転オフセット印刷など)によって膜6の前面6a上に広げられるように、膜6が構成される。
【0031】
言い換えると、脱着化学物質の中間層は、ポリプロピレンまたは類似のものからなる膜6の「処理済み」面上、すなわち38ダイン/cm超の値の表面張力Tを局所的に有する面上に適用される。
【0032】
上記に加えて、中間層7を形成する脱着化学物質の厚さは、必ずしもそうでないが好ましくはポリプロピレン膜6の厚さdよりも少なくとも1桁薄い。
【0033】
代わりに、金属被覆材料が中間層を形成する脱着化学物質に永久に固着して、中間層7に完全に接着するように、かつ、被覆金属材料の厚さが必ずしもそうでないが好ましくは中間層7の厚さよりも薄い0.5μm(即ち10−6m)未満となるように、表面層8が真空蒸着処理によって中間層7上に直接堆積される。
【0034】
示された実施例では、特に、拘束膜1は、約35μmの厚さを有する二軸延伸ポリプロピレン膜6から生成される。半製品2’と接触されることを意図された前面6aの表面には表面電気化学処理が施される。高強度電場に投入(コロナ処理)されるかまたは高エネルギーイオン化粒子を衝突させられるか、コールドプラズマのジェットを衝突させられるか、炎でなめられることによって、ポリプロピレンの表面張力Tsが局所的に約50ダイン/cmの値を有するようになる。中間層7は、フレキソ印刷を用いて適用された透明塗料、例えばFlintGroup Italia S.p.a.社からPLURICEL RC ARLの商品名で販売されている透明塗料などの層によって形成される。
【0035】
本件では、有色塗料とは異なって、透明塗料は精密に混合された樹脂及び希釈剤/溶媒のみからなり、かつ塗料を形成している化学物質が実質的に無色であるため常に実質的に透明であることに留意されたい。
【0036】
被覆材料の表面層8に関しては、拘束膜1の製造方法によって、表面層8の最終的な厚さが、必ずしもそうではないが好ましくは0.5μm(すなわち10−6m)未満となるように、真空蒸着法によって中間層7上に被覆材料が堆積される。示された実施例では、特に、表面層8の最終的な厚さが0.005から0.01μmの間の範囲となるように、アルミニウムからなる表面層8を形成する被覆材料が真空蒸着法によって中間層7上に直接堆積される。
【0037】
アルミニウムの代替として、表面層8は、表面層8の最終的な厚さが必ずしもそうではないが好ましくは0.05μm未満となるように、銅、クロム、銀、金、白金、鋼、真ちゅう、ニッケル、及びそれらの合金、またはその他の揮発可能な金属材料、あるいは非金属材料、例えばケイ素(場合によってはアモルファス)、黒鉛、テトラフルオロエチレン(テフロン(登録商標)としても知られる)または真空蒸着法によって堆積可能なその他の可塑性材料などからもなり得る。
【0038】
真空蒸着法としても知られる真空蒸発法は、すでに広く認識されかつ使用されている技術であるため、さらなる説明は省略する。
【0039】
図2、3及び4を参照すると、複合材料製品2は、第1に、実現される複合材料製品2の形状を複製し、場合によっては編まれ、かつ依然として高粘度液体状態にある熱硬化性樹脂4を含浸した繊維3の層の1つまたは複数によって形成される半製品2’を実現する製造方法によって作製される。
【0040】
半製品2’の実現に続いて、複合材料製品の製造方法は、膜の表面層8が半製品2’と直接接触して、つまり半製品2’の外表面2a上の熱硬化性樹脂4と直接接触して配置されるように拘束膜1が配向されるように処理して、半製品2’の外表面2aを拘束膜1で完全に被覆する。
【0041】
熱硬化性樹脂4が依然として高粘度液体状態にある、半製品2’を密閉するために、半製品2’を拘束膜1で被覆した後、複合材料製品の製造方法は、熱硬化性樹脂4の完全な重合の後に続く不可逆凝固をもたらす熱硬化サイクルを施すために、半製品2’を拘束膜1で完全に被覆する(図3参照)。
【0042】
熱硬化サイクルの特性が半製品2’に使用される熱硬化性樹脂4の種類に依存することは明らかである。
【0043】
半製品2’の熱硬化性樹脂4の重合が完了すると、複合材料製品の製造方法は、半製品2’を炉から取り出し、その後、必ずしもそうでないが好ましくは、拘束膜1を半製品2’から除去して、拘束膜1の中間層7及び表面層8によって形成された薄い外側膜5によって被覆された表面を有する複合材料製品2を得る。
【0044】
重合工程の間、半製品2’の熱硬化性樹脂4は、拘束膜1の表面層8に完全に結合し、表面層8を半製品2’の外表面2aに安定的かつ永久的に接着させる。
【0045】
真空蒸着の結果、拘束膜1の表面層8と中間層7との間に形成された分子結合は、拘束膜1の中間層7と残りの部分(すなわち膜6)との間に形成された分子結合よりもずっと強いため、拘束膜1を除去する間に拘束膜1の残りの部分から(すなわち膜6から)破砕することなく中間層7を分離することができ、その結果、半製品2’上の層7及び8の完全な転写がもたらされる。
【0046】
必ずしもそうではないが好ましくは、半製品2’の熱硬化性樹脂4の重合が完了し、拘束膜1を半製品2’から除去した後、複合材料製品の製造方法は、結果として得られる製品2の外側膜5を、選択的かつ代替的に、必ずしもそうではないが好ましくはスプレーによって適用される透明塗料の層で被覆するか、透明熱硬化性樹脂の層で被覆し、この第2の樹脂の重合をもたらすために新たな熱硬化サイクルを実施するか、または場合によっては自己接着性を有し、ポリウレタンまたはその他の可塑性高分子樹脂からなる透明膜で被覆する。
【0047】
製品2の外側膜5に安定的に結合させた後、塗料の層、樹脂の層、または可塑性高分子膜は、補助的透明表面層を形成し、製品2の外側膜5をスクラッチ及びあらゆる種類の機械的磨耗から保護するように作用する。
【0048】
前述の拘束膜1の使用によって多くの利点がもたらされる。
【0049】
まず初めに、表面層8を製品の外側膜5へと転写して、複合材料製品2の表面上に表面層8を直接堆積できることによって、拘束膜1は、表面層8を形成する材料に典型的な色で製品2の表面を着色することができる。
【0050】
熱硬化性樹脂のマトリクスに分散された顔料の多量の微細粒子によってではなく、有色材料の均一層によって得られるため、製品2上の色は、熱硬化性樹脂の重合工程の最後に、スプレーまたはブラシによって複合材料製品を塗ることで得られるものに匹敵する強度、輝度及び光沢を有する。
【0051】
さらに、拘束膜1を使用することによって、表面層8を形成する金属材料を製品2の表面上に転写することが可能であり、その結果、事前に選択された材料で製品2の外側膜5が得られる。こうして得られた外側膜5は、均一かつ小型であり、最終製品上に直接表面被覆、電気分解、または真空堆積することによって得られるものに匹敵する金属系表面仕上げを有する。拘束膜1を使用することによって、複合材料製品2の表面は、非常に限られた費用で、金、銀及び白金で高品格化することができる。外側膜5を形成するために必要な表面単位あたりの高価な材料の量は、実際に非常に少量である。
【0052】
上記に加えて、金属材料からなる表面層8を有する拘束膜1を使用することによって、複合材料製品2の表面は完全に金属被覆され得、その結果、導電性となる。この特徴は、
顔料の微細粒子が、優れた絶縁体として周知の熱硬化性樹脂中に分散されたままである従来の着色方法では得られない。
【0053】
テフロンからなる表面層8を有する拘束膜1を使用することによって、そのような材料特有の接着防止特性を製品2の表面に与えることが可能となる。
【0054】
拘束膜1、その製造方法、及びこの膜を使用した複合材料製品2の製造方法に、本発明の範囲から逸脱することなく、変更及び変形が加えられ得ることは明らかである。
【0055】
例えば、透明塗料によって形成する代わりに、拘束膜1の脱着化学物質の中間層7を、フレキソ印刷または類似の方法によって適用される有色塗料の層、例えば、FlintGroup Italia S.p.a.社からDAILOX ARLの名称で販売されている印刷インクによって形成することも可能である。
【0056】
有色塗料と同様に、印刷インクは液体、及び混合された樹脂及び希釈剤/溶媒の実質的に透明な混合物によって形成され、また、実質的に透明な液体混合物中に懸濁した可変量の基本顔料粒子(すなわち所望の発色剤の細かく粉砕した粒子)によって形成される。樹脂は液相状態にある場合に膜6の表面をとらえ、希釈剤/溶媒が蒸発によって自然と分散された場合に顔料粒子を保持する膜6の表面に安定に付着する化学物質である一方で、希釈剤/溶媒は、樹脂を液体状態に維持するように作用する。
【0057】
複合材料製品の製造方法はまた、多層表面構造を有する複合材料製品を作製するために使用することができる。
【0058】
この場合、半製品2’の熱硬化性樹脂4の重合が完了した後、製品2の外側膜5を形成するために拘束膜1を半製品2’から除去した後、場合によっては保護機能を有する補助的表面層を実現した後、複合材料製品の製造方法は、製品2の外側膜5上、またはさらには保護機能を有する補助的表面層上に、下部の樹脂の重合工程の最後に、製品2に組み込まれて多層構造での表面被覆を提供する第2拘束膜1を適用するステップを提供することができる。
【0059】
製品2上に得られた表面被覆の単一層の各々が、製造方法において使用される拘束膜1の表面層8を形成する材料の物理的特性(例えば導電性)を有するように、異なる種類の拘束膜1を2、3、4層、またはそれ以上重ねることが可能であることは明らかである。
【符号の説明】
【0060】
1 拘束膜
2 複合材料製品
2’ 半製品
3 繊維
4 熱硬化性樹脂
5 外側膜
6 支持膜
7 中間層
8 表面層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複合材料製品(2)の製造に使用するための拘束膜(1)であって、可塑性高分子支持膜(6)と、前記複合材料製品(2)を形成することになる半製品(2’)と接触することを意図された前記支持膜(6)の前面(6a)を被覆する脱着化学物質の中間層(7)と、真空蒸着によって前記中間層(7)上に適用された被覆材料の表面層(8)と、を備えることを特徴とする拘束膜。
【請求項2】
前記半製品(2’)と接触することを意図された前記支持膜(6)の前面(6a)の表面上に位置する可塑性高分子が局所的に38ダイン/cm超の表面張力(T)を有するように、前記支持膜(6)が構成されていることを特徴とする、請求項1に記載の拘束膜。
【請求項3】
前記支持膜(6)の前面(6a)の表面上に位置する前記可塑性高分子が、45ダイン/cmから70ダイン/cmの間の範囲の値の表面張力(T)を局所的に有することを特徴とする、請求項2に記載の拘束膜。
【請求項4】
前記支持膜(6)がポリプロピレンからなることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の拘束膜。
【請求項5】
前記支持膜(6)が二軸延伸ポリプロピレンからなることを特徴とする、請求項4に記載の拘束膜。
【請求項6】
前記表面層(8)が金属材料からなることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の拘束膜。
【請求項7】
前記表面層(8)がケイ素、黒鉛、テフロン(登録商標)または真空蒸発によって堆積され得るその他の材料からなることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の拘束膜。
【請求項8】
前記中間層(7)がフレキソ印刷工程または類似の方法によって、前記支持膜(6)の前面(6a)上に広げられる透明または有色塗料の層によって形成され、前記中間層(7)の厚さが前記支持膜(6)の厚さ(d)よりも少なくとも1桁小さいことを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の拘束膜。
【請求項9】
複合材料製品(2)の製造に使用するための樹脂拘束膜(1)の製造方法であって、
フレキソ印刷工程または類似の方法によって、脱着化学物質の第1層(7)を可塑性高分子支持膜(6)の表面上に実現するステップであって、前記複合材料製品(2)を形成することになる半製品(2’)と接触することを意図された前記膜の前面(6a)を被覆するステップと、
真空蒸着によって、脱着化学物質の前記第1層(7)を覆う被覆材料の第2層(8)を実現するステップと、
を含むことを特徴とする拘束膜の製造方法。
【請求項10】
前記第1層を実現するステップの前に、前記前面(6a)の表面上に位置する前記可塑性高分子が38ダイン/cm超の値の表面張力(T)を局所的に有するように、前記支持膜(6)の前面(6a)に表面処理を施すステップをさらに含むことを特徴とする、請求項9に記載の拘束膜の製造方法。
【請求項11】
前記表面処理の最後に、前記支持膜(6)の前面(6a)の表面上に位置する前記可塑性高分子が45から70ダイン/cmの間の範囲の値の表面張力(T)を局所的に有することを特徴とする、請求項10に記載の拘束膜の製造方法。
【請求項12】
前記支持膜(6)がポリプロピレンからなることを特徴とする、請求項9から11のいずれか一項に記載の拘束膜の製造方法。
【請求項13】
前記支持膜(6)が二軸延伸ポリプロピレンからなることを特徴とする、請求項12に記載の拘束膜の製造方法。
【請求項14】
前記第2層(8)が金属材料からなることを特徴とする、請求項9から13のいずれか一項に記載の拘束膜の製造方法。
【請求項15】
前記第2層(8)がケイ素、黒鉛、テフロンまたは真空蒸発によって堆積され得るその他の材料からなることを特徴とする、請求項9から13のいずれか一項に記載の拘束膜の製造方法。
【請求項16】
前記第1層(7)が前記支持膜(6)の厚さ(d)より薄い厚さを有する透明または有色塗料の層から形成されることを特徴とする、請求項9から15のいずれか一項に記載の拘束膜の製造方法。
【請求項17】
熱硬化性樹脂(4)のマトリクス中に埋め込まれた、有機または無機材料の繊維(3)を1層または複数層積層させた層によって形成される複合材料製品(2)の製造方法であって、
製造される複合材料製品(2)の形状に従い、かつ依然として高粘度状態にある熱硬化性樹脂(4)を含浸した前記繊維(3)の1層または複数層によって形成される半製品(2’)を実現するステップと、
依然として高粘度液体状態にある熱硬化性樹脂(4)を前記半製品(2’)内に拘束するために、前記半製品(2’)の表面(2a)の少なくとも1つを、請求項1から9のいずれか一項に従って製造された拘束膜(1)で被覆し、さらに表面層(8)が半製品(2’)と直接接触して配置されるように前記拘束膜(1)が配向されるように処理するステップと、
前記熱硬化性樹脂(4)の重合の後にその不可逆凝固がもたらされるように、前記拘束膜(1)によって被覆された前記半製品(2’)に熱硬化サイクルを施すステップと、
を順に含むことを特徴とする複合材料製品の製造方法。
【請求項18】
前記熱硬化性樹脂(4)の重合が完了するとすぐに、前記半製品(2’)上に外側被覆膜(5)を形成するために、前記拘束膜(1)が前記半製品(2’)の前記表面(2a)上に安定に接着したその表面層(8)を残すように、前記半製品(2’)から前記拘束膜(1)を除去するステップをさらに含むことを特徴とする請求項17に記載の複合材料製品の製造方法。
【請求項19】
前記半製品(2’)から前記拘束膜(1)を除去するとすぐに、結果として得られる製品(2)の前記外側被覆膜(5)上に、透明塗料の層、熱硬化性透明樹脂の層、または透明可塑性高分子膜を適用するステップをさらに含むことを特徴とする請求項18に記載の複合材料製品の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2012−521313(P2012−521313A)
【公表日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−501283(P2012−501283)
【出願日】平成22年3月23日(2010.3.23)
【国際出願番号】PCT/EP2010/053768
【国際公開番号】WO2010/108916
【国際公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(511230576)
【Fターム(参考)】