説明

複合板と型材の締結構造および型材

【課題】 リベット打込みの際に複合板のリベット挿入穴周囲の金属シートのめくれを防止できる複合板と型材の締結構造を提供する。
【解決手段】 複合板と型材の締結構造は、芯材板(11)に金属シート(12)を積層して成る複合板(1)に対し、リベット(3)により型材(2)が締結された構造であり、リベット(3)は、マンドレル(33)の引抜操作により、大径のマンドレル頭部(33c)によってリベット軸部(32)の先端を拡開する構造のブラインドリベットであり、複合板(1)に対する型材(2)の接合部(23)は、複合板(1)に打ち込んだリベット(3)の弛みを弾性力によって防止する溝状のリベット装着部(25)とを備えている。そして、リベット装着部(25)には、リベット(3)による締結操作の際にリベット挿入穴(10)の周囲の金属シート(12)の浮上りを規制する一対の張出片(27)が設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複合板と型材の締結構造および型材に関するものであり、詳しくは、建材などとして使用される複合板とこれを建物の躯体などに取り付けるための型材との締結構造、および、当該型材締結構造に適用される型材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ビル等の建物の外壁には、軽量性、耐候性、施工性などの観点から、図3に示す様な型材一体型のいわゆる外装パネルが使用される。図3は、複合板に型材を締結して成る外装パネルの外観を一部破断して示す斜視図であり、図4は、従来の複合板と型材の締結構造を示す断面図である。
【0003】
上記の外装パネルは、図示する様に、例えば、ポリエチレンから成る芯材板(11)の両面にアルミニウムシート等の金属シート(12)を積層して成る複合板(1)と、躯体に取り付けるために複合板(1)の周縁部に締結された型材(4)とから構成される。型材(4)は、施工性、目地部における止水性などを考慮して種々の形状に設計できるが、基本的には、図4に示す様に、外側に張出され且つ構造物に固定される被係止部(41)と、当該被係止部から垂直に立ち上げられた脚部(42)と、当該脚部からこれに直交する方向に張出された複合板接合用の接合部(支持部)(43)とを備えている。そして、複合板(1)は、型材(2)が取り付けられていることにより、躯体表面に一定の隙間を介して配置される。
【0004】
また、上記の外装パネルにおいては、複合板(1)に型材(4)を締結するにあたり、先端部が複合板(1)の内部に埋め込まれるブラインドリベット(3)が使用される。斯かるリベット(3)は、リベット頭部(31)からリベット軸部(32)に亙って形成されたマンドレル挿通孔にマンドレル(33)が挿通され、リベット頭部(31)側からのマンドレル(33)の引抜操作により、マンドレル挿通孔の内径よりも大径のマンドレル頭部によってリベット軸部(32)の先端を拡開し、拡開が投錨効果を発揮する構造を備えている。外装パネルにおいては、上記の様なリベット(3)を使用することにより、複合板(1)の表面にリベット(3)の先端が露出することがなく、意匠性を高めることが出来る。
【0005】
更に、上記の型材(4)の接合部(43)は、複合板(1)の金属シート(12)に当接する接合面(44)と、当該接合面の長手方向に沿って複合板(1)と反対方向に溝状に没入したリベット装着部(屈曲部)(45)とを備えており、リベット装着部(45)は、これを貫通させて複合板(1)に打ち込んだリベット(3)の弛みを弾性力によって防止する機能を発揮する。すなわち、リベット装着部(45)は、これを介して複合板(1)にリベット(3)を打ち込んだ場合、リベット装着部(45)が弾性的に介在し、恰もスプリングワッシャの如く機能するため、仮にリベット(3)を引き抜く方向に複合板(1)に外力が加えられた場合でもリベット(3)の弛みの発生が防止され、強い締結力が維持される様になされている。なお、上記の様な外装パネルにおいて、複合板(1)の芯材板(11)としては、アルミニウム製ハニカム板も提案されている。
【特許文献1】特開平9−41555号公報
【特許文献2】特開平9−41554号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記の外装パネル等において、複合板(1)と型材(4)の締結に使用されるリベット(3)としては、錆が発生を低減するため、防錆性に優れた材質のリベット、例えばステンレス製のリベットが使用される傾向にある。しかしながら、ステンレス製のリベットは、鉄製リベットに比べ、高硬度であり、且つ、より強い力でマンドレル(33)の引抜操作が行われるため、引抜操作の際、リベット軸部(32)先端の拡径部分によりリベット挿入穴(10)の周囲の金属シート(12)が破損し、その結果、リベット(3)の抜けが生じて複合板(1)に型材(4)を締結できないと言う問題や、締結後にリベット(3)が緩み、型材(4)が外れると言う問題を惹起する。
【0007】
本発明は、上記の実情に鑑みなされたものであり、その目的は、芯材板の両面に金属シートを積層して成る複合板に対し、ブラインドリベットにより型材が締結された複合板と型材の締結構造であって、リベット打込みの際に複合板のリベット挿入穴周囲の金属シートのめくれを防止でき、複合板と型材の締結強度の低下を防止し得る様に改良された締結構造を提供することにある。また、本発明の他の目的は、上記の締結構造に好適な型材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、本発明においては、型材の接合部に備えられた溝状のリベット装着部の内側に張出片を設け、リベットによる締結操作の際、複合板のリベット挿入穴の周囲の金属シートがめくれる現象を前記の張出片によって抑制する様にした。
【0009】
すなわち、本発明の要旨は、非金属製材料または金属製ハニカムから成る芯材板の両面に金属シートを積層して成る複合板に対し、リベットにより型材が締結された締結構造であって、前記リベットは、リベット頭部からリベット軸部に亙って形成されたマンドレル挿通孔にマンドレルが挿通され、前記リベット頭部側からの前記マンドレルの引抜操作により、前記マンドレル挿通孔の内径よりも大径のマンドレル頭部によって前記リベット軸部の先端を拡開する構造のブラインドリベットであり、前記複合板に対する前記型材の接合部は、前記複合板の金属シートに当接する接合面と、当該接合面の長手方向に沿って前記複合板と反対方向に溝状に没入し且つこれを貫通させて前記複合板に打ち込んだ前記リベットの弛みを弾性力によって防止するリベット装着部とを備え、そして、前記リベット装着部には、その両側壁から当該リベット装着部内部にそれぞれ張り出し且つ前記リベットによる締結操作の際に前記リベット軸部の先端部が挿入された前記複合板のリベット挿入穴の周囲の金属シートの浮上りを規制する一対の張出片が設けられていることを特徴とする複合板と型材の締結構造に存する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、型材のリベット装着部に特定の張出片が設けられているため、リベットによる締結操作によってリベット挿入穴内部の芯材板にリベット軸部の強い引抜力が作用した際にも、リベット挿入穴の周囲の金属シートが大きくめくれる現象を防止でき、その結果、リベットの抜けや締結強度の低下を防止することが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明に係る複合板と型材の締結構造ならびに当該締結構造に使用される型材の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明に係る複合板と型材の締結構造に適用される主要な構成部材を型材の長手方向に直交する断面で示す断面図であり、図2は、本発明に係る複合板と型材の締結構造を型材の長手方向に直交する断面で示す断面図である。また、複合板と型材の締結構造の利用例として図3を併用して説明する。なお、以下の説明においては、複合板と型材の締結構造を「締結構造」と略記する。
【0012】
本発明の締結構造は、建物分野や土木分野における各種の構造物などにおいて利用できるが、例えば、図3に示す様に、複合板(1)の周縁部に型材(2)をリベット締結して構成され且つ建物の外壁を構成する外装パネルに適用される。斯かる外装パネルは、躯体表面側に配列された下地鉄骨などに対し、後述する型材(2)の被係止部(21)(図1中の鎖線の部位)をテックス等の螺子を使用して固定することにより、躯体壁面に多数碁盤目状に配列される。上記の様な外装パネル等に適用される本発明の締結構造は、図1に示す様に、非金属製材料または金属製ハニカムから成る芯材板(11)の両面に金属シート(12)を積層して成る複合板(1)に対し、リベット(3)により特定の型材(2)を締結して構成される。
【0013】
複合板(1)の平面形状は、通常、図3に示す様に、方形に形成される。図1に示す様に複合板(1)の芯材板(11)を構成する非金属製材料としては、各種の合成樹脂、セラミック、石膏、石綿セメント硅酸カルシウム、セメント等の無機材料が使用される。合成樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリヒドロキシルエーテル、酢酸ビニル等の熱可塑性樹脂が挙げられる。勿論、熱硬化性樹脂であってもよい。芯材板(11)は、通常、約1〜6mmの厚さに形成される。
【0014】
一方、金属シート(12)としては、アルミニウム、ステンレス、鉄、銅、チタン、錫、ニッケル等の金属または各種の合金が使用される。そして、これらの金属シートは、約0.1〜1mm、通常は0.3〜0.5mmの厚さとされる。金属シート(12)は、接着剤を使用して芯材板(11)に十分に密着させた状態で設けられる。接着剤としては、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−グリシジルアクリレート共重合体、エチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリオレフイン(ポリエチレン等)の不飽和カルボン酸またはその無水物のグラフト変性物などが挙げられる。上記の様な複合板(1)は、溶融押出しされた合成樹脂シートの両面に金属シートを重ね合わせ、回転ロールの間に通過させて製造される。
【0015】
また、複合板(1)において、芯材板(11)は、金属製ハニカムによって構成されてもよい。金属製ハニカムとしては、軽量で且つ剛性および強度に優れたアルミニウム製のハニカムが挙げられる。アルミニウム製ハニカムは、帯状に形成されたアルミニウム箔を積層し且つ所定のパターンで部分的に接着して積層体を構成した後、斯かる積層体をその積層方向に展開することにより、展開方向に六角形のセルを蜂の巣状に多数形成した構造を備えている。すなわち、ハニカムの芯材板(11)の全体的な外形は、各セルの高さをその厚さとする板状に形成される。アルミニウム製ハニカムの芯材板(11)は、通常、約5〜52mmの厚さ(セルの高さ)に形成され、かつ、アルミニウム箔の厚さやセルの寸法などによって規定される所謂コアの見掛け密度を20〜90Kg/m程度に設計される。
【0016】
金属シート(12)としては、上記と同様の各種の合金が使用され、斯かる金属シート(12)は、接着剤を使用して芯材板(11)に十分に密着させた状態で設けられる。接着剤としては、エポキシ系、シアノアクリレート系などの接着剤が挙げられる。接着剤は、通常、ハニカムの芯材板(11)の表面に200〜500μm程度の厚さの接着性フィルムとして積層して使用される。また、不燃性を高めるため、金属シート(12)は、ハニカムの芯材板(11)に対してロウ付けされてもよい。ロウ付け加工は、芯材板(11)と金属シート(12)の接合面にこれらよりも低融点のアルミニウム製ロウ材を予め積層し、不活性ガス雰囲気中でロウ材を加熱溶融することにより行われる。
【0017】
なお、ポリエチレン製の芯材板(11)に金属シート(12)(アルミニウムシート)を積層して成る複合板(1)としては、例えば、三菱化学社製の商品「アルポリック」を挙げることが出来、また、アルミニウム製ハニカムの芯材板(11)に金属シート(12)(アルミニウムシート)を積層して成る複合板(1)としては、例えば、三菱アルミニウム社製の商品「アルミニウムハニカム・パネル」を挙げることが出来る。これらの商品は、建材分野を初めとして各種の分野で広く使用されている。
【0018】
本発明で使用されるリベット(3)は先端埋込み型の所謂ブラインドリベットであり、斯かるリベット(3)は、リベット頭部(31)からリベット軸部(32)に亙って形成されたマンドレル挿通孔にマンドレル(33)が挿通され、リベット頭部(31)側からのマンドレル(33)の引抜操作により、マンドレル挿通孔の内径よりも大径のマンドレル頭部(33c)によってリベット軸部(32)の先端を拡開する構造を有する。
【0019】
すなわち、上記のリベット(3)は、リベット軸部(32)先端側のマンドレル挿通孔の内面に軸線に沿って複数の切り込みが設けられており、リベット軸部(32)とマンドレル(33)との相対的引抜操作により、リベット軸部(32)の先端を拡開して複数の爪に分割し、被締結物(複合板(1)の芯材板(11))に対して投錨効果を発揮する。なお、マンドレル(33)は、リベット軸部(32)先端に拡開部が形成された段階で切断され、その先端の大径のマンドレル頭部(33c)が前記の拡開部の内側に残存する様になされている。通常、リベット(3)の直径(リベット軸部(32)の直径)は3〜6mm程度、長さは3〜15mm程度である。
【0020】
本発明において、リベット(3)としては、防錆性に優れ且つ低コストの材料から成るリベット、具体的にはステンレス製のリベットが使用される。この様な鉄よりも高硬度の金属から成るリベット(3)を上記の様な複合板(1)に適用した場合には、リベット挿入穴(10)周囲の金属シート(12)においてめくれを生じ易いため、本発明の効果をより顕著に発揮できる。なお、上記の様な構造のマンドレル挿入型のブラインドリベットは、例えば、三菱化学社製の商品名「アクロリベット」として種々の型式のものが知られており、また、マンドレルの引抜操作は、エアー工具などを用いて行うことが出来る。
【0021】
複合板(1)に締結される型材(2)は、例えば外装パネルにおいては建築物へ複合板(1)を固定するための桁状の支持具であり、複合板(1)の各辺に沿って合計4本取り付けられる。型材(2)は、電気腐食を防止するため、通常、複合板(1)表面の金属シート(12)と同種の金属材料、例えばアルミニウムを使用して押し出し成形される。型材(2)の板厚は、通常、アルミニウム製の場合で1〜5mm程度とされる。
【0022】
型材(2)は、その長手方向に直交する断面の形状を種々の形状に設計することが出来るが、建築や土木分野に使用されるものにおいては、基本的には、当該型材の長手方向に沿って外側に張出され且つ構造物に固定される被係止部(21)と、当該型材の長手方向に沿って被係止部(21)から垂直に立ち上げられた脚部(22)と、当該型材の長手方向に沿って脚部(22)からこれに直交する方向に張出された接合部(23)とを備えている。図1には、最もシンプルな形状の型材(2)を例示しており、図示した型材(2)は、長手方向に直交する断面が左右対称の形状に形成されたものである。
【0023】
型材(2)において、複合板(1)に対する接合部(23)は、複合板(1)の金属シート(12)に当接する接合面(24)と、当該接合面の長手方向に沿って複合板(1)と反対方向に溝状に没入し且つこれを貫通させて複合板(1)に打ち込んだリベット(3)の弛みを弾性力によって防止するリベット装着部(25)とを備えている。接合部(23)のリベット装着部(25)は、複合板(1)から離間する方向へ膨出するブリッジ状の屈曲部に形成され、リベット(3)を打込んだ場合、当該リベット装着部の溝構造の底部がリベット頭部(31)を金属シート(12)表面から離間させ且つ複合板(1)とリベット頭部(31)との間に弾性的に介在することにより、締結後に型材(2)を通じてリベット(3)に加わる外力を干渉する機能を有する。なお、溝状のリベット装着部(25)の底部には、型材(2)の長手方向に沿ってリベット挿通穴(26)が設けられる。
【0024】
本発明においては、上記のリベット(3)によって複合板(1)に型材(2)を締結した際、複合板(1)における前述の金属シート(12)のめくれを防止するため、型材(2)のリベット装着部(25)には、その両側壁(25f)から当該リベット装着部内部にそれぞれ張り出し且つリベット(3)による締結操作の際にリベット軸部(32)の先端部が挿入された複合板(1)のリベット挿入穴(10)の周囲の金属シート(12)の浮上りを規制する一対の張出片(27)が設けられる。
【0025】
張出片(27)は、接合面(24)から立ち下るリベット装着部(25)の平行な2つの側壁(25f)から相互の先端縁が対向する状態にそれぞれ突設されており、各張出片(27)の間には、リベット(3)のリベット軸部(32)を挿通可能な大きさのスリットが設けられている。2つの張出片(27)の間のスリット幅(W)は、リベット(3)の直径を勘案して設計されるが、リベット(3)のリベット軸部(32)が容易に通過する大きさであって、且つ、張出片(27)の張出長さがリベット挿入穴(10)の周囲の金属シート(12)のめくれを抑制するに足る十分な長さとなる様な大きさとされる。
【0026】
また、張出片(27)の接合面(24)からの後退距離(H)、すなわち、複合板(1)の金属シート(12)表面に接合面(24)を当接させた場合の張出片(27)の金属シート(12)表面からの距離は、リベット(3)を打ち込んだ際、金属シート(12)のめくれ(芯材板(11)の材料を含む金属シート(12)の浮上り)によるリベット挿入穴(10)の変形をリベット軸部(32)の先端部が芯材板(11)から容易に抜けることのない程度に抑制し得る範囲内とされる。換言すれば、張出片(27)は、出来る限り金属シート(12)に接近しているのが好ましい。上記の後退距離(H)は、リベット(3)のリベット軸部(32)の直径に応じて決定されるが、通常、6mm以下、好ましくは1mm以下である。
【0027】
また、上記の型材(2)において、接合部(23)は、複合板(1)の金属シート(12)に対し、粘着剤または熱可塑性樹脂系もしくはエラストマー系接着剤からなる接着層(図示省略)を介して締結されてもよい。接合部(23)の接合面(24)に接着層を設けた場合は、接着層がリベット(3)と協働的に機能するため、複合板(1)と型材(2)との締結強度を一層高めることが出来、かつ、複合板(1)の金属シート(12)と型材(2)の接合部(23)との間の止水性を向上させることが出来る。しかも、上記の接着層として粘着剤または熱可塑性樹脂系もしくはエラストマー系接着剤を使用した場合は、接着強度は低いが弾性を有するため、そのクッション効果により、リベット挿入穴(10)の穿孔や締結操作の際に危惧される金属シート(12)の歪みをより低減できる。なお、接着層は、施工性を高める観点から、粘着テープによって構成されてもよい。
【0028】
更に、型材(2)には、複合板(1)の小口を塞ぐため、当該型材の長手方向に沿って接合部(23)から脚部(22)と反対側に立上り片が枠部として設けられてもよい。枠部は、いわゆる落ち子と称する内部で拡がる目地を形成するため、脚部(22)に対し接合面(24)と反対側に幾分張り出した状態で接合面(24)の端縁から立ち上げられる。上記の枠部は、美観的に好ましいばかりでなく、複合板(1)の小口に対する止水構造を構成する。また、図示しないが、複合板(1)そのものに対する止水性をより高め、芯材板(11)と金属シート(12)の剥離を防止するため、複合板(1)の小口と上記の枠部の間には、前述の接着層と同様の粘着剤または接着剤から成る接着層が介装されてもよい。
【0029】
また、図示しないが、型材(2)には、軽量性を維持しつつ耐荷重性能を向上させるため、脚部(22)と接合部(23)の角部に当該型材の長手方向に沿って中空部が形成されてもよい。しかも、型材(2)に上記の中空部が設けられている場合には、外装パネル等を製作するにあたり、複合板(1)に四周部に4本の型材(2)を取り付ける際、極めて簡便に且つ精度良く組み立てることが出来る。
【0030】
具体的には、型材(2)の長手方向の端部は、外方に突出する角部が平面視して45°の角度をなす様に切断されており、互いに隣接する型材(2)は、直角の出隅部(コーナー部)を形成する様に突き合わせられる。従って、複合板(1)に型材(2)を取り付ける際、四隅を構成する型材(2)同士の突合わせ部分において、90°に折曲されたL字状の芯材を双方の中空部に嵌入することにより、複合板(1)に対して型材(2)を簡単に仮止めすることが出来、正確に取り付けることが出来る。
【0031】
本発明の締結構造は、複合板(1)の一面側の金属シート(12)に型材(2)をあてがい、こられをリベット(3)によって締結することにより構成される。具体的には、先ず、複合板(1)表面の金属シート(12)に型材(2)の接合部(23)を重ね合わせ、リベット装着部(25)の背面側(型材(2)の被係止部(21)側)から、リベット挿通穴(26)を介してドリルにより複合板(1)にリベット挿入穴(10)を形成する。リベット挿入穴(10)の深さは、芯材板(11)の略中心に至る程度の比較的浅い深さとされる。
【0032】
次いで、型材(2)のリベット装着部(25)のリベット挿通穴(26)にリベット(3)挿通してその先端を芯材シート(12)の浅孔に挿入した後、図2に示す様に、リベット(3)のリベット軸部(32)とマンドレル(33)との相対的引抜き操作により、リベット軸部(32)の先端を拡開することにより複数の爪に分割する。これにより、リベット(3)が複合板(1)の芯材板(11)に対して投錨効果を発揮するため、複合板(1)の意匠面側の金属シート(11)にリベット(3)の先端を露出させることなく、複合板(1)に型材(2)を締結することが出来る。
【0033】
本発明においては、上記の様に、型材(2)の接合部(23)に溝状に屈曲したリベット装着部(25)が設けられており、図2に示す様に、打ち込んだリベット(3)のリベット頭部(31)と複合板(1)との間にリベット装着部(25)が弾性的に介在し、恰もスプリングワッシャの如く機能するため、外装パネル等に適用した際、仮に複合板(1)にリベット(3)を引く抜く方向に外力が加えられてもリベット(5)の弛みの発生が防止され、強い締結力が維持される。
【0034】
そして、本発明においては、型材(2)のリベット装着部(25)に対し、リベット軸部(32)の先端部が挿入された複合板(1)のリベット挿入穴(10)の周囲の金属シート(12)の浮上りを規制する一対の張出片(27)が設けられているため、上記の様なリベット(3)による締結操作によってリベット挿入穴(10)内部の芯材板(11)にリベット軸部(32)の強い引抜力が作用した際にも、複合板(1)の芯材板(11)と共にリベット挿入穴(10)の周囲の金属シート(12)が大きくめくれる現象を防止でき、その結果、リベット(3)の抜けを防止でき、また、複合板(1)と型材(2)の締結強度の低下を防止することが出来る。特に、リベット(3)として、鉄よりも高硬度のステンレス等の金属から成るリベットを使用し、より大きな引抜操作によりリベット(3)を打ち込んだ場合でも、張出片(27)によってリベット挿入穴(10)の周囲のめくれ現象を防止でき、複合板(1)と型材(2)の所要の締結強度を確保できる。
【0035】
また、上記の締結構造に適用される型材(2)は、外側に張出され且つ躯体壁面などの構造物に固定される被係止部(21)と、当該被係止部から垂直に立ち上げられた脚部(22)と、当該脚部からこれに直交する方向に張出された上記の特定の接合部(23)とを備えているため、先端埋込み型のリベット(3)によって複合板(1)に締結した際、リベット挿入穴(10)の周囲の金属シート(12)のめくれを防止でき、所要の締結強度を確保できる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明に係る複合板と型材の締結構造に適用される主要な構成部材を型材の長手方向に直交する断面で示す断面図である。
【図2】本発明に係る複合板と型材の締結構造を型材の長手方向に直交する断面で示す断面図である。
【図3】複合板に型材を締結して成る一般的な外装パネルの外観を一部破断して示す斜視図である。
【図4】従来の複合板と型材の締結構造を示す断面図である。
【符号の説明】
【0037】
1 :複合板
10:リベット挿入穴
11:芯材板
12:金属シート
2 :型材
21:被係止部
22:脚部
23:接合部
24:接合面
25:リベット装着部
25f:側壁
26:リベット挿通穴
27:張出片
H :接合面からの後退距離
W :スリット幅
3 :リベット
31:リベット頭部
32:軸部
33:マンドレル
33c:マンドレル頭部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
非金属製材料または金属製ハニカムから成る芯材板の両面に金属シートを積層して成る複合板に対し、リベットにより型材が締結された締結構造であって、前記リベットは、リベット頭部からリベット軸部に亙って形成されたマンドレル挿通孔にマンドレルが挿通され、前記リベット頭部側からの前記マンドレルの引抜操作により、前記マンドレル挿通孔の内径よりも大径のマンドレル頭部によって前記リベット軸部の先端を拡開する構造のブラインドリベットであり、前記複合板に対する前記型材の接合部は、前記複合板の金属シートに当接する接合面と、当該接合面の長手方向に沿って前記複合板と反対方向に溝状に没入し且つこれを貫通させて前記複合板に打ち込んだ前記リベットの弛みを弾性力によって防止するリベット装着部とを備え、そして、前記リベット装着部には、その両側壁から当該リベット装着部内部にそれぞれ張り出し且つ前記リベットによる締結操作の際に前記リベット軸部の先端部が挿入された前記複合板のリベット挿入穴の周囲の金属シートの浮上りを規制する一対の張出片が設けられていることを特徴とする複合板と型材の締結構造。
【請求項2】
リベットが、鉄よりも高硬度の金属から成るリベットである請求項1に記載の締結構造。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の締結構造に使用される型材であって、外側に張出され且つ構造物に固定される被係止部と、当該被係止部から垂直に立ち上げられた脚部と、当該脚部からこれに直交する方向に張出された接合部とを備えていることを特徴とする型材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−132180(P2006−132180A)
【公開日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−321959(P2004−321959)
【出願日】平成16年11月5日(2004.11.5)
【出願人】(000236159)三菱化学産資株式会社 (101)
【Fターム(参考)】