説明

複合機エミュレータ、複合機エミュレート方法および複合機連携アプリケーション開発システム

【課題】デバッグ用ソフトウェアを別途用意することなく、複合機と連携するアプリケーションのデバッグ情報を効率的に提示する。
【解決手段】SOAP実装部は、動作テストの対象となるアプリケーションがインストールされたサーバにネットワークを介して接続され、SOAPに基づいてパケットデータ化されたメッセージをサーバとの間で送受信する。パケットキャプチャ部は、受信されたパケットデータを取得し、パケットデータを解析してメッセージを取得する。ジョブ実行部は、取得されたメッセージで実行要求されたジョブを実行する。ログ記憶部は、ジョブ実行時におけるログデータを記憶する。Web画面生成部は、ログデータに基づいてパケットデータ、メッセージ、ジョブのID、実行時間、実行結果および実行回数を含むデバッグ情報を含むWeb画面を生成する。Webサーバは、生成されたWeb画面を出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、複合機エミュレータ、複合機エミュレート方法および複合機連携アプリケーション開発システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、複合機を様々なシステムと連携させるための外部I/Fが提案されている。複合機を含む画像処理システムは、複合機の外部に存在するサーバ上の外部ソフトウェアから複合機の機能を利用したり、複合機が記録するデータを参照することが可能な環境を提供する。このような画像処理システムを開発する開発者は、複合機の外部に存在するサーバ上で外部ソフトウェアを開発し、必要に応じて、開発者が開発した外部ソフトウェアのデバックを行う必要がある。しかし、開発者が外部ソフトウェアを開発する場合に実際の複合機を使用すると、複合機は1つの筐体であっても高額であることから、開発コストが嵩んでしまう。
【0003】
そこで、外部ソフトウェアの開発コストを低減するために、開発者は、複合機と複合機の外部I/Fを模倣するソフトウェア、または、そのソフトウェアが実装された情報処理装置(以下、「複合機エミュレータ」と呼ぶ)を用いて、外部ソフトウェアを開発する手法が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−44764号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来技術においては、SOAPのような外部I/Fを使用する外部ソフトウェアをソフトウェア開発者がデバッグする際には、当該ソフトウェアがどのようなメッセージを送受信しているのかを表示することが出来なかった。そのため、ソフトウェア開発は、デバッグの際、送受信されたメッセージを調べるためにパケットキャプチャ用のソフトウェアなどのデバッグ用ソフトウェアを別途用意しなければならなかった。また、メッセージと実行ジョブや実行時間との関係を一覧で表示することが出来ないため、デバッグの効率が悪かった。
【0006】
そこで、本発明は、上記従来技術の問題に鑑み、デバッグ用ソフトウェアを別途用意することなく、デバッグ情報を効率的に提示可能な複合機エミュレータ、複合機エミュレート方法および複合機連携アプリケーション開発システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態に係る複合機エミュレータは、SOAP実装部、パケットキャプチャ部、ジョブ実行部、カウンタ部、ログ記憶部、Web画面生成部およびWebサーバを備える。
【0008】
SOAP実装部は、動作テストの対象となるアプリケーションがインストールされたサーバにネットワークを介して接続され、SOAPに基づいてパケットデータ化されたメッセージをサーバとの間で送受信する。パケットキャプチャ部は、SOAP実装部で受信されたパケットデータを取得し、パケットデータを解析してメッセージを取得する。ジョブ実行部は、パケットキャプチャ部で取得されたメッセージで実行要求されたジョブを実行する。カウンタ部は、ジョブ実行部におけるジョブの実行回数をジョブの実行単位で計数する。ログ記憶部は、パケットキャプチャ部で取得されたパケットデータおよびメッセージ、ジョブ実行部で実行されたジョブのID、実行時間、実行結果、並びにカウンタ部で計数された実行回数を含むログデータを記憶する。Web画面生成部は、ログ記憶部に記憶されたログデータに基づいてパケットデータ、メッセージ、ジョブのID、実行時間、実行結果および実行回数を含むデバッグ情報を含むWeb画面を生成する。Webサーバは、Web画面生成部で生成されたWeb画面を出力する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施形態に係る複合機エミュレータを含む複合機連携アプリケーション開発システムの概略構成例を示す図。
【図2】図1に示す複合機エミュレータのハードウェア構成例を示す図。
【図3】図1に示す複合機エミュレータ、アプリケーションサーバおよび開発者端末の全体構成例を示す図。
【図4】図1に示す複合機エミュレータにおける起動処理の具体例を示すフローチャート。
【図5】図1に示す複合機エミュレータにおけるジョブ実行処理の具体例を示すフローチャート。
【図6】図1に示す複合機エミュレータにおけるデバッグ画面生成処理の具体例を示すフローチャート。
【図7】図1に示す開発者端末に表示されるログイン画面D1の具体例を示す図。
【図8】図1に示す開発者端末に表示されるデバッグ画面D2の具体例を示す図。
【図9】図1に示す開発者端末に表示されるデバッグ詳細画面D3の具体例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る複合機エミュレータ1を含む複合機連携アプリケーション開発システムの概略構成例を示す図である。この複合機連携アプリケーション開発システムは、開発者が複合機エミュレータ1を用いてアプリケーションを開発するシステムである。ここでは、複合機連携アプリケーション開発システムは、複合機と複合機の外部I/Fを模倣するソフトウェアが実装された複合機エミュレータ1、LANやインターネットなどのネットワーク2、アプリケーションを実行するアプリケーションサーバ3、および開発者がアプリケーションを開発するために使用するパーソナルコンピュータなどの開発者端末4を備える。開発者端末4は、開発中のアプリケーションをアプリケーションサーバ3上で実行することで、ネットワーク2を介して接続する複合機エミュレータ1上のMFP(Multi Function Peripheral)機能を利用することができる。
【0011】
図2は、図1に示す複合機エミュレータ1のハードウェア構成例を示す図である。同図に示されるように、制御装置10は、CPU(Central Processing Unit)11、ROM(Read Only Memory)12、RAM(Random Access Memory)13を備え、入出力インターフェース14にシステムバス15を介して接続されている。
【0012】
CPU11は、ROM12やRAM13に格納されたプログラムやデータなどを用いて各種の演算処理を実行する処理装置である。ROM12は、コンピュータを機能させるための基本プログラムや環境ファイルなどを記憶する読み取り専用の記憶装置である。RAM13は、CPU11が実行するプログラムおよび各プログラムの実行に必要なデータを記憶する記憶装置であり、高速な読み出しと書き込みが可能である。入出力インターフェース14は、各種のハードウェアとシステムバス15との接続を仲介する装置およびプログラムである。システムバス15は、CPU11、ROM12、RAM13および入出力インターフェース14で共有される情報伝達路である。
【0013】
また、入出力インターフェース14には、入力装置16、表示装置17、補助記憶装置18、通信装置19などのハードウェアが接続されている。入力装置16は、ユーザからの入力を処理する装置であり、例えばキーボードやマウスなどである。表示装置17は、ユーザに対して演算結果や作成画面などを表示する装置であり、例えばCRT、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイなどである。補助記憶装置18は、プログラムやデータを蓄積する大容量の記憶装置であり、例えばハードディスク装置などである。通信装置19は、モデム、ターミナルアダプタ、およびネットワークインタフェース(図示省略)などから構成される。
【0014】
更に、入出力インターフェース14には、必要に応じてドライブ20が接続され、磁気ディスク21(フロッピディスクを含む)、光ディスク22(CD−ROM(Compact Disk-Read Only Memory)、DVD(Digital Versatile Disk)を含む)、光磁気ディスク23、あるいは半導体メモリ24などが適宜装着され、これらから読み出したコンピュータプログラムは必要に応じて補助記憶装置18内にインストールされる。尚、アプリケーションサーバ3および開発者端末4についても同様の構成のコンピュータであるため、説明は省略する。
【0015】
図3は、図1に示す複合機エミュレータ1、アプリケーションサーバ3および開発者端末4の全体構成例を示す図である。図3に示すように、複合機エミュレータ1は、ユーザ情報設定部101、ユーザ情報記憶部102、Webサーバ103、認証処理部104、SOAP実装部105、パケットキャプチャ部106、パケットログ記憶部107、ジョブ実行部108、ジョブログ記憶部109、カウンタ部110、カウンタログ記憶部111、パケットフィルタ部112およびWeb画面生成部113を備えている。
【0016】
ユーザ情報設定部101は、ジョブ実行部108におけるジョブの実行指示権限を有するユーザの情報を定義し、ユーザ情報記憶部102に記憶するプログラムである。
【0017】
Webサーバ103は、HTTPに基づいて開発者端末4(クライアントマシン)のWebブラウザ402に対して、HTMLやオブジェクト(画像など)の表示を提供するプログラム、または、そのサービスが動作する装置である。
【0018】
認証処理部104は、開発者端末4のWebブラウザ402からWebサーバ103へ送信された認証情報をWebサーバ103から取得し、認証情報に基づいてユーザ情報記憶部102を参照してユーザの認証を行うプログラムである。
【0019】
SOAP実装部105は、SOAP(Simple Object Access Protocol)に基づいてパケットデータ化されたメッセージをアプリケーションサーバ3との間で送受信するための外部I/Fである。SOAPは、ソフトウェア同士がメッセージ(オブジェクト)を交換するリモートプロシージャコール(RPC:Remote Procedure Call)で使用される代表的なプロトコルである。SOAPは、拡張可能で分散的なフレームワークでもあるため、HTTPやSMTPなど様々なコンピュータネットワークの通信プロトコルで利用することができる。具体的には、SOAPによる通信では、XML文書にエンベロープ(封筒)と呼ばれる付帯情報が付いたメッセージをHTTPなどのプロトコルによって交換する。サービスを利用するクライアントと、サービスを提供するサーバの双方がSOAPの生成・解釈エンジンを持つことで、異なる環境間でのオブジェクト呼び出しを可能にしている。本実施形態の場合は、アプリケーションサーバ3がクライアント、複合機エミュレータ1がサーバに該当する。
【0020】
パケットキャプチャ部106は、SOAP実装部105で受信されたパケットデータを取得し、パケットデータを解析してメッセージを取得するプログラムである。パケットログ記憶部107は、パケットキャプチャ部106で取得されたパケットデータおよびメッセージを含むパケットログデータを記憶する記憶装置である。
【0021】
ジョブ実行部108は、パケットキャプチャ部106で取得されたメッセージで実行要求されたジョブを実行するプログラムである。ジョブログ記憶部109は、ジョブ実行部108で実行されたジョブのID、実行時間、実行結果(戻り値)を含むジョブログデータを記憶する記憶装置である。
【0022】
カウンタ部110は、ジョブ実行部108におけるジョブの実行回数をジョブの実行単位で計数するプログラムであり、本実施形態ではスキャンカウンタ、プリントカウンタおよびコピーカウンタの3種類備えている。カウンタログ記憶部111は、ジョブ実行部108でジョブが実行された際にカウンタ部110で計数された実行回数を含むカウンタログデータを記憶する記憶装置である。ユーザ情報記憶部102、パケットログ記憶部107、ジョブログ記憶部109およびカウンタログ記憶部111は別装置であってもよく、同一の装置として設けても良い。
【0023】
Web画面生成部113は、パケットログ記憶部107、ジョブログ記憶部109およびカウンタログ記憶部111にそれぞれ記憶されたログデータに基づいてパケットデータ、メッセージ、ジョブのID、実行時間、実行結果および実行回数を含むデバッグ情報を作成し、このデバッグ情報を表示するWeb画面を生成するプログラムである。
【0024】
パケットフィルタ部112は、パケットログ記憶部107に記憶されたパケットデータからTCPプロトコルに係る部分以外を除去して新たなパケットデータを作成し、パケットログ記憶部107へ出力するプログラムである。
【0025】
また、アプリケーションサーバ3は、SOAP実装部301と開発アプリケーション302を備えている。SOAP実装部301は、上述した複合機エミュレータ1のSOAP実装部105と同様の機能を有する外部I/Fであり、協働して複合機エミュレータ1とアプリケーションサーバ3間の通信を可能にする。
【0026】
開発アプリケーション302は、複合機の外部に存在するサーバにインストールされ、外部から複合機の機能を利用したり、複合機が記録するデータを参照することを可能とすべく開発中のアプリケーションである。
【0027】
また、開発者端末4は、統合開発環境401とWebブラウザ402を備えている。統合開発環境(IDE:Integrated Development Environment)401は、コンパイラ、テキストエディタ、デバッガなどの機能を一つの対話型操作環境(例えばGUI)から利用できるようにしたソフトウェア開発環境である。このような統合開発環境を使用することによって、巨大かつ複雑なソフトウェアであっても、アプリケーション開発者に負担をかけることなく開発することができる。アプリケーション開発者は、開発アプリケーション302がアプリケーションサーバ3にインストールされた後には、開発者端末4から開発アプリケーション302の動作テストが可能となっている。
【0028】
Webブラウザ402は、Webページを閲覧するためのアプリケーションソフトであり、ネットワーク2を介して接続されている複合機エミュレータ1のWebサーバ103からHTMLファイルや画像ファイルなどをダウンロードし、レイアウトを解析して表示・再生する機能をもつ。また、表示された各種画面(HTMLで記述されたWebページ)で入力したデータをWebサーバ103に送信し、認証要求やデバッグ情報の表示要求等を行う。
【0029】
以下、複合機エミュレータ1の動作を図4乃至図9を用いて説明する。上述のように、アプリケーション開発者は、開発者端末4内で動作する統合開発環境(IDE)402を使用してアプリケーションサーバ3上で動作させるアプリケーションを開発するが、動作テスト時は複合機エミュレータ1を予め起動させておく必要がある。図4は、図1に示す複合機エミュレータ1における起動処理の具体例を示すフローチャートである。先ず、ジョブ実行部108を起動し(S401)、パケットキャプチャ部106を起動し(S402)、SOAP実装部105を起動し(S403)、最後にWebサーバ103を起動する(S404)。
【0030】
また、アプリケーション開発者が、開発アプリケーション302を起動すると、開発アプリケーション302はアプリケーションサーバ3側のSOAP実装部31を介して複合機エミュレータ1内のサービスを呼び出す。そして、複合機エミュレータ1は、サービス呼び出しメッセージに応じた処理を実行する。図5は、図1に示す複合機エミュレータ1におけるジョブ実行処理の具体例を示すフローチャートである。
【0031】
先ず、複合機エミュレータ1のSOAP実装部105は、アプリケーションサーバ3のSOAP実装部301からサービス呼び出しメッセージを受け取る(S501)。
【0032】
次に、既に起動しているパケットキャプチャ部106は、SOAP実装部105から取得したサービス呼び出しメッセージに係るパケットデータとメッセージ取得時刻を含むログデータをパケットログ記憶部107へ記憶する(S502)。
【0033】
次に、ジョブ実行部108は、S501で受け取ったメッセージに基づいてジョブを実行する(S503)。本実施形態では、スキャン(Scan)、プリント(Print)およびコピー(Copy)のいずれかのジョブを実行するものとする。
【0034】
次に、ジョブ実行部108は、ジョブ内容とジョブ実行時刻を含むログデータをジョブログ記憶部109に記憶する(S504)。
【0035】
次に、カウンタ部110は、ジョブ実行部108で実行されたジョブ内容を判定する(S505)。ここで、実行ジョブがスキャン(ジョブID=“Scan”)であると判定した場合は、スキャンカウンタを更新し(S506)、ジョブIDとスキャンカウンタの更新時刻を含むログデータをカウンタログ記憶部111に記憶し(S507)、S512へ進む。
【0036】
また、カウンタ部110は、実行ジョブがプリント(ジョブID=“Print”)であると判定した場合は、プリントカウンタを更新し(S508)、ジョブIDとプリントカウンタの更新時刻を含むログデータをカウンタログ記憶部111に記憶し(S509)、S512へ進む。
【0037】
また、カウンタ部110は、実行ジョブがプリント(ジョブID=“Copy”)であると判定した場合は、コピーカウンタを更新し(S510)、ジョブIDとコピーカウンタの更新時刻を含むログデータをカウンタログ記憶部111に記憶し(S511)、S512へ進む。
【0038】
そして、ジョブ実行部108は、SOAP実装部105を介してアプリケーションサーバ3へ応答メッセージを送信し(S512)、処理を終了する。
【0039】
<デバッグ画面表示処理>
アプリケーション開発者は、上記処理によってログデータが蓄積された後には、開発者端末4のWebブラウザ402と複合機エミュレータ1のWebサーバ103間の通信によってログデータを参照し、デバッグが可能となる。図6は、図1に示す複合機エミュレータ1におけるデバッグ画面生成処理の具体例を示すフローチャートである。
【0040】
先ず、開発者端末4のWebブラウザ402から複合機エミュレータ1のWebサーバ103に対してログイン画面へのアクセス要求が行われると、Web画面生成部113は認証用のログイン画面D1を生成し、Webサーバ103へ出力する。図7は、図1に示す開発者端末4に表示されるログイン画面D1の具体例を示す図である。
【0041】
次に、開発者端末4のWebブラウザ402上に表示されたログイン画面D1で入力されたログインID(ユーザアカウント)とパスワードをWebサーバ103が取得する(S602)と、認証処理部104はユーザ情報記憶部102を参照し、ログイン権限の有無を判定する(S603)。ここで、ログイン権限有りと判定した場合(S603:Yes)は、S605へ進む。これに対し、ログイン権限無しと判定した場合(S603:No)は、ログインエラーメッセージをログイン画面D1上に出力し(S602)、再入力を促す。
【0042】
次に、認証が完了すると、Web画面生成部113は、パケットログ記憶部107、ジョブログ記憶部109およびカウンタログ記憶部111からパケットログ、ジョブログおよびカウンタログをそれぞれ読込む(S605)。
【0043】
次に、パケットフィルタ部112は、Web画面生成部113からの要求に応じてパケットログ記憶部107からパケットログを取得すると共に、TCPプロトコルのみを抽出するフィルタをかけ、Web画面生成部113へ出力する(S606)。
【0044】
そして、Web画面生成部113は、各ログデータおよびカウンタ値をジョブの実行時刻順でソートし(S607)、ソートした情報に基づいてデバック画面D2を生成して、Webサーバ103へ出力する。これにより、開発者端末4のWebブラウザ402上ではデバック画面D2が表示され、デバッグ情報を参照可能となる。図8は、図1に示す開発者端末4に表示されるデバッグ画面D2の具体例を示す図である。ここでは、デバック情報としてジョブ実行時間(Time)、送信元IPアドレス(Sorce)、送信先IPアドレス(Destination)、メッセージ(Message)、ジョブID(Job)、累計スキャン回数(Total Scan)、累計プリント回数(Total Print)および累計コピー回数(Total Copy)が項目として挙げられている。
【0045】
また、図9は、図1に示す開発者端末4に表示されるデバッグ詳細画面D3の具体例を示す図である。ここでは、画面左側に16進数表記のパケットデータ、画面右側に文字変換されたメッセージを表示した場合が示されている。この画面は、例えば、図8に示すデバック画面D2の各情報にHTMLリンクを張っておき、アプリケーション開発者がマウスなどで指定した際に遷移できると好適である。また、戻るボタンの押下によってデバック画面D2へ戻れるものとする。
【0046】
このように、本実施形態に係る複合機エミュレータ1によれば、開発アプリケーション302から呼ばれた外部インターフェース名、引数、応答メッセージなどのデバッグ情報をWebサーバ103を介して開発者端末4のWebブラウザ402に時系列に沿って表示することが可能となる。したがって、アプリケーション開発者は、複合機の外部I/Fを使用するアプリケーションを開発する際、デバッグ情報を確認するためのソフトウェアを別途用意することなく、一般に普及しているWebブラウザ402を用いてデバッグが可能である。また、外部I/Fの呼び出し、ジョブ実行、ジョブ実行後のカウント値を時系列に沿って一覧表示あるいは詳細表示によって見ることができるため、効率的に開発アプリケーション302のデバッグ作業を行うことができる。
【0047】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施することが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0048】
1…複合機エミュレータ
2…ネットワーク
3…アプリケーションサーバ
4…開発者端末
11…CPU
12…ROM
13…RAM
14…入出力インターフェース
15…システムバス
16…入力装置
17…表示装置
18…補助記憶装置
19…通信装置
20…ドライブ
101…ユーザ情報設定部
102…ユーザ情報記憶部
103…Webサーバ
104…認証処理部
105…SOAP実装部
106…パケットキャプチャ部
107…パケットログ記憶部
108…ジョブ実行部
109…ジョブログ記憶部
110…カウンタ部
111…カウンタログ記憶部
112…パケットフィルタ部
113…Web画面生成部
301…SOAP実装部
302…開発アプリケーション
401…統合開発環境
402…Webブラウザ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
動作テストの対象となるアプリケーションがインストールされたサーバにネットワークを介して接続され、SOAPに基づいてパケットデータ化されたメッセージを前記サーバとの間で送受信するSOAP実装部と、
前記SOAP実装部で受信された前記パケットデータを取得し、前記パケットデータを解析して前記メッセージを取得するパケットキャプチャ部と、
前記パケットキャプチャ部で取得された前記メッセージで実行要求されたジョブを実行するジョブ実行部と、
前記ジョブ実行部における前記ジョブの実行回数を前記ジョブの実行単位で計数するカウンタ部と、
前記パケットキャプチャ部で取得された前記パケットデータおよび前記メッセージ、前記ジョブ実行部で実行された前記ジョブのID、実行時間、実行結果、並びに前記カウンタ部で計数された前記実行回数を含むログデータを記憶するログ記憶部と、
前記ログ記憶部に記憶された前記ログデータに基づいて前記パケットデータ、前記メッセージ、前記ジョブのID、前記実行時間、前記実行結果および前記実行回数を含むデバッグ情報を作成し、Web画面を生成するWeb画面生成部と、
前記Web画面生成部で生成された前記Web画面を出力するWebサーバと、
を備えることを特徴とする複合機エミュレータ。
【請求項2】
前記ログ記憶部に記憶された前記パケットデータからTCPプロトコルに係る部分以外を除去して新たなパケットデータを作成し、前記ログ記憶部へ出力するパケットフィルタ部を更に備えることを特徴とする請求項1記載の複合機エミュレータ。
【請求項3】
前記ジョブ実行部における前記ジョブの実行指示権限を有するユーザの情報を記憶するユーザ情報記憶部と、
前記ネットワークを介して接続された開発者端末のWebブラウザから前記Webサーバへ送信された認証情報を前記Webサーバから取得し、前記認証情報に基づいて前記ユーザ情報記憶部を参照して前記ユーザの認証を行う認証処理部と、
を更に備えることを特徴とする請求項2記載の複合機エミュレータ。
【請求項4】
動作テストの対象となるアプリケーションがインストールされたアプリケーションサーバおよび前記アプリケーションの前記動作テストを指示する開発者端末にネットワークを介して接続され、前記アプリケーションから受信したメッセージに応じて複合機の機能を模倣したジョブを実行する複合機エミュレータにおける複合機エミュレート方法であって、
SOAPに基づいてパケットデータ化された前記メッセージを前記アプリケーションサーバとの間で送受信するSOAP実装ステップと、
前記SOAP実装ステップで受信された前記パケットデータを取得し、前記パケットデータを解析して前記メッセージを取得するパケットキャプチャステップと、
前記パケットキャプチャステップで取得された前記メッセージで実行要求されたジョブを実行するジョブ実行ステップと、
前記ジョブ実行ステップにおける前記ジョブの実行回数を前記ジョブの実行単位で計数する計数ステップと、
前記パケットキャプチャステップで取得された前記パケットデータおよび前記メッセージ、前記ジョブ実行ステップで実行された前記ジョブのID、実行時間、実行結果、並びに前記計数ステップで計数された前記実行回数を含むログデータを記憶装置内に記憶するログ記憶ステップと、
前記ログ記憶ステップで前記記憶装置内に記憶された前記ログデータに基づいて前記パケットデータ、前記メッセージ、前記ジョブのID、前記実行時間、前記実行結果および前記実行回数を含むデバッグ情報を作成し、Web画面を生成するWeb画面生成ステップと、
前記Web画面生成ステップで生成された前記Web画面を前記開発者端末へ出力するWeb画面出力ステップと、
を有することを特徴とする複合機エミュレート方法。
【請求項5】
前記ログ記憶ステップにおいて前記記憶装置に記憶された前記パケットデータからTCPプロトコルに係る部分以外を除去して新たなパケットデータを作成し、前記記憶装置へ出力するパケットフィルタステップを更に有することを特徴とする請求項4記載の複合機エミュレート方法。
【請求項6】
前記ジョブ実行部における前記ジョブの実行指示権限を有するユーザ情報を前記記憶装置に予め記憶するユーザ情報記憶ステップと、
前記開発者端末のWebブラウザから前記Webサーバへ送信された認証情報を前記Webサーバから取得し、前記認証情報に基づいて前記記憶装置内の前記ユーザ情報を参照して認証を行う認証ステップと、
を更に有することを特徴とする請求項5記載の複合機エミュレート方法。
【請求項7】
動作テストの対象となるアプリケーションがインストールされたアプリケーションサーバと、
前記アプリケーションサーバにネットワークを介して接続され、前記アプリケーションから受信したメッセージに応じて複合機の機能を模倣したジョブを実行する複合機エミュレータと、
前記アプリケーションサーバおよび前記複合機エミュレータに前記ネットワークを介して接続され、前記アプリケーションの前記動作テストを指示する開発者端末と、
を備え、
前記複合機エミュレータは、
SOAPに基づいてパケットデータ化された前記メッセージを前記アプリケーションサーバとの間で送受信するSOAP実装部と、
前記SOAP実装部で受信された前記パケットデータを取得し、前記パケットデータを解析して前記メッセージを取得するパケットキャプチャ部と、
前記パケットキャプチャ部で取得された前記メッセージで実行要求されたジョブを実行するジョブ実行部と、
前記ジョブ実行部における前記ジョブの実行回数を前記ジョブの実行単位で計数するカウンタ部と、
前記パケットキャプチャ部で取得された前記パケットデータおよび前記メッセージ、前記ジョブ実行部で実行された前記ジョブのID、実行時間、実行結果、並びに前記カウンタ部で計数された前記実行回数を含むログデータを記憶するログ記憶部と、
前記ログ記憶部に記憶された前記ログデータに基づいて前記パケットデータ、前記メッセージ、前記ジョブのID、前記実行時間、前記実行結果および前記実行回数を含むデバッグ情報を作成し、Web画面を生成するWeb画面生成部と、
前記Web画面生成部で生成された前記Web画面を前記開発者端末へ出力するWebサーバと、
を備えることを特徴とする複合機連携アプリケーション開発システム。
【請求項8】
前記複合機エミュレータは、前記ログ記憶部に記憶された前記パケットデータからTCPプロトコルに係る部分以外を除去して新たなパケットデータを作成し、前記ログ記憶部へ出力するパケットフィルタ部を更に備えることを特徴とする請求項7記載の複合機連携アプリケーション開発システム。
【請求項9】
前記複合機エミュレータは、
前記ジョブ実行部における前記ジョブの実行指示権限を有するユーザの情報を記憶するユーザ情報記憶部と、
前記開発者端末のWebブラウザから前記Webサーバへ送信された認証情報を前記Webサーバから取得し、前記認証情報に基づいて前記ユーザ情報記憶部を参照して前記ユーザの認証を行う認証処理部と、
を更に備えることを特徴とする請求項8記載の複合機連携アプリケーション開発システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−61862(P2013−61862A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−200740(P2011−200740)
【出願日】平成23年9月14日(2011.9.14)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】