説明

複合機

【課題】従来の複合機(MFP)では、内部の記憶装置に蓄積されている保存データが起動時に異常である場合には起動処理が反復される場合があった。
【解決手段】ファイルDB21aに蓄積されている保存データをバックアップするバックアップSW21dがインストールされており、起動時に保存データの異常に起因して再起動される場合には、バックアップSW21dが過去にバックアップしておいたバックアップデータによって起動処理を再度行なう。バックアップデータはユーザが任意に設定したタイミングで自動的にバックアップされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一台で複写機、ファクシミリ装置、スキャナ、プリンタ等として使用可能な複合機に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、画像処理装置として、用紙にハードコピーされた画像を走査して画像データを取り込み、取り込んだ画像データに基づく画像を形成して出力する複写機能,取り込んだ画像データを外部装置へ送信する送信機能,ファクシミリ通信を用いて他のファクシミリ装置との間でデータを送受信するファクシミリ機能,及び通信線等を介して外部装置から取得したデータを出力するプリンタ機能等、複数の機能を搭載したデジタル複合機(以下、MFP:Multi Function Printerという)が普及している。このようなMFPは、取り込んだ画像データ及び外部装置から取得した画像データ等を記憶するハードディスク等の不揮発性の大容量の記憶装置を備えることにより、各機能の処理を並行して行なうことが可能に構成されている。
【0003】
また、MFPにおいては、上述したように、取り込んだ画像データ及び外部装置から取得した画像データ等を記憶装置に記憶させておき、記憶させてあるデータを必要に応じて記憶装置から読み出して用紙へプリント処理したり、外部に接続されたコンピュータ等の外部装置へ送信したりする構成を採ることにより、画像データのファイルサーバ、即ち文書管理装置としての機能を有するものもある。このようなファイルサーバとしての機能を有するMFPを用いることにより、ユーザは、一度出力処理を行なった画像データを再利用することが可能になるので、文書または画像を必要に応じて即座に出力させることができると共に、文書または画像を複数のユーザで共用することが可能になる。
【0004】
ところで、上述したようなファイルサーバ機能を有するMFPでは、ユーザがパーソナルコンピュータ等から送信して記憶装置に記憶させたデータ(ユーザデータ)、スキャナ機能を利用して読み込んだデータ(スキャン原稿データ)、ファクシミリ機能又は電子メール機能により受信したデータ(受信データ)等の種々のデータが保存データとして大量に内部に蓄積されて保存されている。このようなMFPの記憶装置に蓄積された大量の保存データは、それぞれのデータが保存された時点、又は外部からのアクセスによって変更された時点でのみ更新される。
【0005】
ところで、MFPの電源が一旦遮断された後に再起動する際には、上述のような大量の保存データの整合性がチェックされ、保存データが正常ではないと判断された場合には自動的に再起動することによって、保存データの整合性が確保されるように構成されている。従って、たとえば一つの文書ファイルに本来は含まれる複数のページそれぞれの画像データへのリンクが切れていたり、消失していたりして整合性がない場合、または保存されているデータそのものがMFPの保存データとして整合性がない場合等には、再起動が繰り返される可能性がある。たとえば、停電が発生した場合、または不用意に電源プラグをコンセントから抜いてしまった場合等には、MFPの記憶装置に保存されている保存データそのもの、又はリンク関係等に不整合が生じる可能性が大きい。
【0006】
ところで、上述のような問題はMFPに限らず、コンピュータシステムを利用した種々のシステムにおいても生じ得る。たとえば特許文献1には、コンピュータシステムを利用した業務システムにおいて障害が発生した場合に、コンピュータ内のアプリケーションの再起動、コンピュータのリブート、バックアップデータによるコンピュータ内データの修復及び処理経路変更のいずれかの内の最も短時間で復旧可能な方法を選択する障害復旧方法の発明が開示されている。また、特許文献2には、画像形成装置の不揮発性メモリ内に記憶されているデータ(管理情報)に異常が発生した際に生じる不都合を、不揮発性メモリに記憶されているデータを外部装置に定期的にバックアップしておき、不揮発性メモリの記憶内容に異常が生じた場合にはバックアップしてあるデータをロードすることにより解消する発明が開示されている。
【特許文献1】特開2006−190153号公報
【特許文献2】特開2006−192813号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上述のような特許文献1に開示されている発明における障害とはアプリケーションソフトウェアの障害であり、従ってアプリケーションソフトウェア自体を再起動させることにより通常は復旧すると思われる。また特許文献2に開示されている発明では、画像形成装置の不揮発性メモリ内に記憶される管理情報、具体的には画像形成装置そのものが本来有している種々の情報を対象としている。従って、特許文献1及び2に開示されているいずれの発明も、処理対象のデータを対象としたものではない。具体的には、特許文献1に開示されている発明ではアプリケーションソフトウェアによる処理対象のデータが対象ではなく、特許文献2に開示されている発明ではアプリケーションソフトウェアそのもの及びそれが処理対象とするデータのいずれも対象にはしていない。従って、特許文献1及び2に開示されているいずれの発明においても、対象とされているデータは限定されており、そのようなデータを復旧することは比較的容易である。
【0008】
本発明は以上のような事情に鑑みてなされたものであり、複合機による処理対象であるデータ(保存データ)を対象とし、再起動の処理を行なうのみでは復旧不可能な状態、即ち保存データそのものが複合機の保存データとして不整合である場合、又は保存データに不整合が生じているような場合に、再起動の処理が反復されるのみで起動しないという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る文書管理装置の第1の態様は、処理対象の情報を記憶する記憶手段と、起動時に前記記憶手段の記憶内容の整合性を判断する整合性判断手段とを備え、起動時に前記整合性判断手段により整合性がないと判断された場合に再起動するように構成された複合機において、前記記憶手段の記憶内容をバックアップするバックアップ手段を備え、前記整合性判断手段は、起動時に整合性がないと判断した後の再起動時に前記バックアップ手段によりバックアップされた前記記憶手段の記憶内容の整合性を判断するようにしてあることを特徴とする。
【0010】
このような本発明に係る文書管理装置の第1の態様では、記憶手段の記憶内容がバックアップされ、起動時に整合性がないと判断した後の再起動時にバックアップ手段によりバックアップされた記憶手段の記憶内容の整合性が判断される。
【0011】
本発明に係る文書管理装置の第2の態様は上記の第1の態様において、前記バックアップ手段による前記記憶手段の記憶内容をバックアップする周期の設定を受け付けるバックアップ周期受付手段を更に備え、前記バックアップ手段は、前記バックアップ周期受付手段が受け付けた周期で前記記憶手段の記憶内容をバックアップするようにしてあることを特徴とする。
【0012】
このような本発明に係る文書管理装置の第2の態様では上記の第1の態様において、記憶手段の記憶内容をバックアップする周期の設定が受け付けられ、この受け付けられた周期で記憶手段の記憶内容がバックアップされる。
【0013】
本発明に係る文書管理装置の第3の態様は上記の第2の態様において、前記整合性判断手段は、前記バックアップ手段が前記周期で複数回バックアップした前記記憶手段の記憶内容を時系列的に新しい方から順に整合性を判断するようにしてあることを特徴とする。
【0014】
このような本発明に係る文書管理装置の第3の態様では上記の第2の態様において、記憶手段の記憶内容が設定された周期で複数回バックアップされており、これらの内の時系列的に新しい方から順に整合性が判断される。
【0015】
本発明に係る文書管理装置の第4の態様は前記の第2の態様において、前記バックアップ手段が前記周期で複数回バックアップした前記記憶手段の記憶内容の内のいずれか一つの指定を受け付ける受付手段を更に備え、前記整合性判断手段は、前記受付手段が指定を受け付けた前記記憶手段の記憶内容の整合性を判断するようにしてあることを特徴とする。
【0016】
このような本発明に係る文書管理装置の第4の態様では前記の第2の態様において、記憶手段の記憶内容が設定された周期で複数回バックアップされており、これらの内の指定された記憶内容がの整合性が判断される。
【発明の効果】
【0017】
上述のような本発明に係る文書管理装置の第1の態様によれば、起動時に記憶手段の記憶内容に整合性がないと判断された後の起動時に、バックアップ手段によりバックアップされている過去の記憶手段の記憶内容の整合性が判断されるので、たとえ一旦再起動に失敗した場合にも直ちに再起動に成功する可能性が大きい。
【0018】
また本発明に係る文書管理装置の第2の態様によれば上記の第1の態様において、設定されたバックアップの周期で自動的に記憶手段の記憶内容がバックアップされるので、ユーザはバックアップの周期を設定するのみの手間で済む。
【0019】
更に本発明に係る文書管理装置の第3の態様によれば上記の第2の態様において、設定されたバックアップの周期で自動的に記憶手段の記憶内容が複数回バックアップされ、それらの内の時系列的に新しい方から順に整合性が判断されるので、起動処理に失敗した場合においても、記憶手段の記憶内容が可能な限り近い過去の状態で再起動することが可能になる。
【0020】
また更に本発明に係る文書管理装置の第4の態様によれば前記の第2の態様において、設定されたバックアップの周期で自動的に記憶手段の記憶内容が複数回バックアップされ、それらの内の任意の時点のバックアップ状態をユーザが指定することができるので、起動処理に失敗した場合には、任意の時点のバックアップ状態で再起動することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下に、本発明に係る複合機をデジタル複合機(以下、MFP:Multi Function Printerという)として実現した場合の実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。図1は本発明に係るMFPのネットワーク構成例を示す模式図であり、図1において参照符号1はMFPを示している。
【0022】
MFP1は、LAN(Local Area Network)を介して外部装置としての複数のパーソナルコンピュータ(以下、PCという)2,2と接続されている。また、MFP1は、公衆電話交換網PSTNを介して外部のMFP3及びファクシミリ装置4とも接続されている。なお、LANには図示されている他にも多数のPCが接続されており、公衆電話交換網PSTNには図示されている他にも多数のMFP及びファクシミリ装置が接続されていることは言うまでもない。更に、MFP1はLANを介してインターネットINとも接続している。インターネットINには種々の端末装置、たとえばPC,インターネットファクシミリ装置,携帯電話機,PDA等が接続可能であることはいうまでもない。従って、MFP1は、LANを介して複数のPC2,2と、公衆電話交換網PSTNを介して他の多数のMFP3及びファクシミリ装置4と、更にインターネットINを介して種々の端末装置と通信可能である。
【0023】
なお、図1において、参照符号1Aは後述する読取部15により原稿の画像を読み取る際に原稿が載置されるADF等の原稿載置台を示している。また、参照符号1Pは後述する操作部18及び表示部19を一体化した操作パネルを示している。
【0024】
図2はMFP1の内部構成例を示すブロック図である。MFP1は、CPU(Central Processing Unit)又はMPU(Micro Processor Unit)等で構成された制御部10を備えている。制御部10は、バスを介して、ROM11、RAM12、NCU(Network Control Unit)13、モデム14、読取部15、画像メモリ16、プリント部17、操作部18、表示部19、LANに接続するためのLANインタフェース20、蓄積部21、画像データの符号化/復号化処理を行なうコーデック(CODEC)22等と接続されている。
【0025】
制御部10は、上述したようなハードウェア各部を制御すると共に、ROM11に予め格納されている制御プログラムに従って、種々のソフトウェア的機能を実現する。ROM11に格納されている制御プログラムとしては、MFP1としての一般的な動作に必要な種々のプログラム,及びLANインタフェース20を介してPC2とデータ通信を行なうためのプログラム,モデム14を介して外部のMFP3,ファクシミリ装置4との間でファクシミリ通信を行なうためのファクシミリ通信プログラム等が含まれる他、本発明のMFP1としての動作に必要なプログラムも含まれる。また、RAM12は、SRAM又はフラッシュメモリ等で構成されており、制御部10による制御プログラムの実行時に発生するデータを一時的に記憶する。
【0026】
モデム14は、ファクシミリ通信が可能なファックスモデムで構成されており、NCU13とも直接的に接続されている。NCU13は、公衆電話交換網PSTNと接続されており、必要に応じてモデム14を公衆電話交換網PSTNと接続し、公衆電話交換網PSTNを介して外部のMFP3及びファクシミリ装置4との間でのファクシミリ通信を可能としている。
【0027】
読取部15は、CCD(Charge Coupled Device) を利用したスキャナで構成されており、図1に参照符号1Aで示されている原稿載置台に載置された原稿を読み取ることにより画像データを取得し、取得した画像データを画像メモリ16に記憶させる。画像メモリ16は、DRAMにより構成されており、モデム14及びNCU13を介したファクシミリ通信により受信した画像データ、及び読取部15により読み取った画像データを一時的に記憶する。このようにして画像メモリ16に一時的に記憶された画像データは、最終的にはファイル化されて後述するファイルデータベース(DB)21aに保存データとして蓄積される。
【0028】
プリント部17は、例えば電子写真方式のプリンタ装置であって、画像メモリ16に記憶させてある画像データを、A3縦,B4縦,A4縦,B5横及びA5横等の各サイズの用紙又はOHP(Over Head Projector) シート等から最適なサイズのものを選択してハードコピーすることによりプリント処理する。
【0029】
操作部18は、MFP1を直接操作するために、たとえばMFP1の原稿載置台1Aに載置された原稿を直接ファクシミリ送信したりするような場合に必要なテンキー、短縮ダイヤルキー及び各種のファンクションキー等を備えた操作パネルとして構成されている。また、このような操作部18は、ユーザが、MFP1の原稿載置台1Aに載置された原稿を読み取らせて画像データのファイルとして蓄積部21の後述するファイルデータベース(DB)21に蓄積させる操作を指示するためにも使用される。更に、操作部18は、詳細は後述するが、ファイルDB21aに蓄積されている保存データのバックアップ周期を設定するためのバックアップ周期受付手段としても機能する。
【0030】
表示部19は、液晶ディスプレイ(LCD)等の表示装置であり、MFP1の動作状態、操作部18から入力された文字、ユーザに通知すべき情報等の表示を行なう。なお、表示部19をいわゆるタッチパネル方式の操作部とすることにより、操作部18の全体、又は一部の機能を表示部19で兼用するように構成することが出来る。なお、図1には操作部18及び表示部19が一体化された操作パネル1Pが示されている。
【0031】
上述した構成により、MFP1は、原稿載置台1Aにユーザが載置した原稿を読取部15により読み取って得られた画像データを画像メモリ16に一旦記憶した後、コーデック22によってファクシミリ画像データに符号化してNCU13及びモデム14を介して公衆電話回線網PSTNに接続されている他のMFP3及びファクシミリ装置4へ送信し、また、外部のMFP3及びファクシミリ装置4がファクシミリ通信にて送信したファクシミリ画像データを公衆電話回線網PSTNを介して受信し、画像メモリ16に一旦記憶した後、コーデック22により通常の画像データ、たとえばビットマップ,MPEG,TIFF等の形式に復号化するファクシミリ装置として機能する
【0032】
また、MFP1は、原稿載置台1Aに載置された原稿を読取部15により読み取って得られた画像データをプリント部17で用紙にハードコピーすることにより複写する複写装置としても機能し、更にLANインタフェース20を介してLANに接続されているPC2,2から受信したデータに基づく画像をプリント部17で用紙にハードコピーしてプリントするネットワークプリンタとしても機能する。更に、MFP1は、読取部15により原稿を読み取って得られた画像データをLANインタフェース20を介してLANに接続されているPC2,2へ送信するネットワークスキャナとしても機能する。
【0033】
ところで、MFP1は、不揮発性で大記憶容量の記憶手段としてハードディスク又はフラッシュメモリ等からなる蓄積部21を備えている。蓄積部21にはファイルデータベース(DB)21aが適宜の領域に設定されている。このファイルDB21aには上述したようなファクシミリ通信により外部から受信した画像データ、読取部15により原稿から読み取った画像データ、及びLANを介して外部のPC2,2から受信した画像データが画像ファイルの形で保存データとして保存されている。また、MFP1は、上述したように、各種の画像データをユーザが再利用できるように画像ファイルとして蓄積部21のファイルDB21aに保存データとして蓄積させておくことにより、画像データのファイルサーバとしても機能する。
【0034】
MFP1はまた、蓄積部21にウェブサーバ装置としての動作に必要な制御プログラムであるウェブサーバプログラム21b,MFP1をPC2等の外部装置から操作するためのウェブページ等の種々のウェブページ21cを記憶させている。これにより、MFP1は、蓄積部21のファイルDB21aに登録されている画像ファイルをウェブページ21c上からPC2,2に提供するウェブサーバ装置としても動作すると共に、PC2等の外部装置に表示されたウェブページ21c上に入力された種々の指示に応じて、ファイルDB21aに蓄積されているファイルを外部装置、たとえばPC2等へダウンロードさせることも可能である。
【0035】
更に、蓄積部21の適宜の領域にはバックアップソフトウェア(SW)21dがインストールされている。バックアップSW21dは、ファイルDB21aに蓄積されている保存データのバックアップを行なうための手段である。具体的には、バックアップSW21dは、後述するようにユーザが設定した周期のタイミングにおいて、ファイルDB21aに蓄積されている保存データのバックアップデータをファイルDB21aに記憶させるソフトウェアである。従って、ファイルDB21aには少なくとも、現時点で実際に使用可能な保存データと、この保存データと同一のデータ、または過去のある時点で保存データをバックアップしたバックアップデータとが記憶されている。
【0036】
以上のような構成により、たとえばPC2からMFP1へログインが行なわれるとウェブサーバプログラム21bが起動し、ファイルDB21aに蓄積されているファイルのリスト(各ファイルを特定する情報、たとえば文書名等のリスト)がログインしたPC2へウェブページ21cの画面として送信されてPC2側で表示される。このリスト上でPC2のユーザがある文書名を指定すると、指定された文書ファイルを特定する情報がPC2からMFP1へ送信される。MFP1では受信した文書名がファイルDB21aに与えられ、ファイルDB21aは与えられた文書ファイルを特定する情報に対応する画像データを読み出す。これにより、指定された文書ファイルの画像データをその文書ファイルを指定したPC2へウェブページ21cとして送信したり、プリント部17でプリント処理したりすることが可能になる。
【0037】
図3はMFP1の操作部18及び表示部19の外観の構成例、より具体的には両者を一体化させた操作パネル1Pの外観の構成例を示す模式図である。
【0038】
操作パネル1Pは操作部18の中央部分に、操作部18の一部として機能するタッチパネル方式の表示部19を併設して構成されている。左側には、上側から順に、「コピー」キー101、「ファックス」キー102、「読み込み」キー103、「バックアップ設定」キー104が配設されている。
【0039】
「コピー」キー101は、原稿載置台1Aにユーザが載置した原稿を読取部15により読み取らせる指示を与えるキーである。「ファックス」キー102は、原稿載置台1Aにユーザが載置した原稿を読取部15により読み取らせてファクシミリ送信させるためのキーである。「読み込み」キー103は、新たな文書ファイルとしてファイルDB21aに登録するために原稿載置台1Aに載置されている原稿を読取部15に読み取らせる指示を与えるキーである。「バックアップ設定」キー104は、保存データをバックアップさせるためのキーである。
【0040】
操作部18の右側には、テンキー105、短縮キー106、「停止」キー107、「リセット」キー108、「スタート」キー109等が配設されている。
【0041】
テンキー105は基本的にはファクシミリ送信の際の送信先のファクシミリ番号(電話番号)を入力するために使用される。しかしその他に、印刷部数の指定、印刷ページの指定等のような、数字を入力する必要がある場合にもテンキー105が使用される。更にテンキー105の各数字キーは保存データをバックアップする間隔、時刻等を入力するためにも使用される。
【0042】
短縮キー106は、ファクシミリ送信の送信先のファクシミリ番号が予め任意の2桁の数字で登録されているキーである。具体的には、ユーザがテンキー105を操作してファクシミリ番号を入力した上で、「01」〜「16」までのいずれかの短縮キーをたとえば所定時間押し続ける等の操作により、テンキー105の操作で入力されたファクシミリ番号が短縮キー106のいずれかのキーに登録される。
【0043】
「停止」キー107は何らかの処理の実行中にその処理を停止させるためのキーである。たとえば、読取部15による原稿の読み取りを開始した後に途中で停止させたいような場合にこの「停止」キー107をユーザが操作すると、その時点で読取部15による原稿の読み取りが停止される。
【0044】
「リセット」キー108は、ユーザが種々の設定、入力をリセットしたり、または取り消したりする場合に使用される。たとえば、ユーザがテンキー105を操作して入力したファクシミリ番号又はパスワードが誤りであったような場合に、入力済みのファクシミリ番号又はパスワードを取り消すような場合に使用される。
【0045】
「スタート」キー109は種々の処理の開始を指示するためのキーである。たとえば、ユーザが「ファックス」キー102を操作し、原稿載置台1Aに原稿を載置し、テンキー105又は短縮キー106の操作により送信先を入力した後、「スタート」キー109を操作することにより、原稿が読取部15により読み取られてファクシミリ送信される。
【0046】
次に、本発明に係る画像管理装置であるMFP1の動作例について説明する。図4(a), (b), (c) はバックアップのタイミングを設定するために表示部19に表示される画面の例を示す模式図である。なお、この画面は「バックアップ設定」キー104が操作された場合に表示される。
【0047】
ユーザが操作部18を適宜に操作することにより、図4(a), (b), (c) に示すバックアップ設定画面が表示される。バックアップのタイミングはユーザがMFP1を使用する状況に応じて「毎日」、「毎週」、「毎月」等のような周期で任意に設定することが可能である。図4(a)に示されている例では「毎日」が選択されており、この場合にはユーザは一日の内に複数回バックアップをさせるように設定することが可能である。具体的には、図4(a) に示されている例では、各日の「9:00」、「12:00」、「17:00」の3回の時刻にバックアップが行なわれるように設定されている。
【0048】
また、図4(b) に示す例では「毎週」が選択されており、この場合にはユーザは一週の内のいずれかの曜日と時刻とを設定することが可能である。具体的には、図4(b) に示されている例では、各週の「日曜日」の時刻「0:00」にバックアップが行なわれるように設定されている。更に、図4(c) に示す例では「毎月」が選択されており、この場合にはユーザは一月の内のいずれかの日と時刻とを設定することが可能である。具体的には、図4(c) に示されている例では、各月の「1日」の時刻「0:00」にバックアップが行なわれるように設定されている。
【0049】
以上のような画面を介して設定されたバックアップのタイミングを設定するためのデータはたとえば不揮発性の記憶装置であるファイルDB21aの適宜の領域に記憶される。なお、以下の説明においては、過去にいくつかの保存データが既にバックアップデータとしてファイルDB21aに記憶されているとする。また、以下の説明においては、最新の、具体的にはMFP1の電源がオンである場合はその時点の保存データ、MFP1の電源がオフである場合は直近に電源がオフにされた辞典の保存データを「現用保存データ」と称し、この「現用保存データ」よりも以前にバックアップされた保存データを「バックアップ保存データ」と称する。
【0050】
図5はMFP1による起動時の処理(起動処理)の処理手順の第1の実施の形態を示すフローチャートである。なお、図5のフローチャートに示す処理手順は、制御部10がROM11に記憶されている制御プログラム及び蓄積部21に予めインストールされているバックアップSW21dに従って実行することにより実現される。
【0051】
たとえば、MFP1の電源がオフされている状態(ステップS11でNO)からオンされると(ステップS11でYES)、制御部10はファイルDB21aに保存されている現用保存データにより起動処理を実行する(ステップS12)。この結果、起動に成功すれば(ステップS13でYES)、MFP1の起動処理が終了して使用可能な状態になる。一方、ステップS12での起動処理が成功しなかった、即ち失敗した場合(ステップS13でNO)、制御部10は、起動処理の失敗の原因が現用保存データの不整合によるか否かを判断する(ステップS14)。起動処理の失敗の原因が現用保存データの不整合ではない場合は(ステップS14でNO)、制御部10は起動処理が失敗した原因に応じた復旧処理を実行する(ステップS15)。このステップS15で行なわれる復旧処理はたとえばOSの再起動等である。
【0052】
起動処理の失敗の原因が現用保存データの不整合であった場合は(ステップS14でYES)、制御部10はファイルDB21aに保存されている現用保存データを削除する(ステップS16)。そして、制御部10は最新のバックアップ保存データにより起動処理を実行する(ステップS17)。この結果、起動に成功すれば(ステップS18でYES)、MFP1の起動処理が終了して使用可能な状態になる。但しこの際、制御部10は、起動に成功した最新のバックアップ保存データをその時点以降の現用保存データにする(ステップS19)。従って、このようにして起動処理が成功した以降は、ユーザは起動処理が成功した最新のバックアップ保存データを現用保存データとしてMFP1を使用することが可能になる。
【0053】
一方、ステップS17での起動処理が成功しなかった、即ち失敗した場合(ステップS18でNO)、制御部10は、起動に失敗した原因となった最新のバックアップ保存データを削除し(ステップS20)、ステップS17へ処理を戻す。この時点では、MFP1が起動処理を開始した時点の現用保存データ及び最新のバックアップ保存データのいずれも既に削除されているので、起動処理が開始された時点では2番目に新しかったバックアップ保存データが最新のバックアップデータになっている。従って、制御部10はこの時点での最新のバックアップ保存データ(起動処理開始時点での2番目に新しいバックアップ保存データ)により起動処理を実行する(ステップS17)。
【0054】
この後は上述同様の処理が実行されるので、起動処理が成功するまで、新しい方のバックアップ保存データから時系列的に過去へ順次遡りつつ起動処理に使用され、起動処理が成功した時点で使用されたバックアップ保存データがそれ以降の現用保存データにされる。
【0055】
いずれにしろ、起動処理が成功した以降は、ユーザは起動処理が成功したバックアップ保存データを現用保存データとしてMFP1を使用することが可能になる。また、起動処理が成功したバックアップ保存データよりも過去の時刻に保存されたバックアップ保存データはそのままファイルDB21aに保存される。
【0056】
図6及び図7はMFP1による起動時の処理(起動処理)の処理手順の第2の実施の形態を示すフローチャートである。なお、図6及び図7のフローチャートに示す処理手順は、制御部10がROM11に記憶されている制御プログラム及び蓄積部21に予めインストールされているバックアップSW21dに従って実行することにより実現される。
【0057】
たとえば、MFP1の電源がオフされている状態(ステップS31でNO)からオンされると(ステップS31でYES)、制御部10はファイルDB21aに保存されている現用保存データにより起動処理を実行する(ステップS32)。この結果、起動に成功すれば(ステップS33でYES)、MFP1の起動処理が終了して使用可能な状態になる。一方、ステップS32での起動処理が成功しなかった、即ち失敗した場合(ステップS33でNO)、制御部10は、起動処理の失敗の原因が現用保存データの不整合によるか否かを判断する(ステップS34)。起動処理の失敗の原因が現用保存データの不整合ではない場合は(ステップS34でNO)、制御部10は起動処理が失敗した原因に応じた復旧処理を実行する(ステップS35)。このステップS35で行なわれる復旧処理はたとえばOSの再起動等である。
【0058】
起動処理の失敗の原因が現用保存データの不整合であった場合は(ステップS34でYES)、制御部10はファイルDB21aに保存されているバックアップ保存データのリストを表示部19に表示する(ステップS36)。図8はこのステップS36の処理によってMFP1の表示部19に表示されるバックアップ保存データのリストの例を示す模式図である。図8に示す例は、図4(a) に例示した各日に3回バックアップした場合のバックアップデータのリストであり、バックアップした時期が現在に近い方から順に、時系列的にバックアップが行なわれたタイミング(年月日時分)で示されて配列されている。
【0059】
この図8に示すような画面において、ユーザがリスト中のいずれかのバックアップタイミングを指定すると(ステップS37でYES)、制御部10は指定されたバックアップのタイミングに対応するファイルDB21aに保存されているバックアップ保存データにより起動処理を実行する(ステップS38)。この結果、起動処理が成功すれば(ステップS39でYES)、制御部10は、起動処理が成功したバックアップ保存データよりも新しいバックアップ保存データ及び現用保存データをファイルDB21aから削除し(ステップS40)、起動処理が成功したバックアップ保存データ、即ち表示部19に表示されたリスト中の指定されたバックアップ保存データをそれ以降は最新の保存データ、即ち現用保存データとし(ステップS41)、起動処理を終了する。
【0060】
従って、このようにして起動処理が成功した以降は、ユーザは起動処理が成功したバックアップ保存データ、即ち表示部19に表示されたリスト中のユーザ自身が指定したバックアップ保存データを現用保存データとしてMFP1を使用することが可能になる。
【0061】
一方、表示部19に表示されたリスト中の指定されたバックアップ保存データで起動処理が失敗した場合は(ステップS39でNO)、制御部10は起動処理が失敗したバックアップ保存データ、即ち表示部19に表示されたリスト中のユーザが指定したバックアップ保存データをファイルDB21aから削除し(ステップS42)、再度ステップS36へ処理を戻す。従ってこの場合は、表示部19には起動処理に失敗したバックアップ保存データ(実際の表示画面上ではそのバックアップ保存データがバックアップされた年月日時分)が削除されて残りのバックアップ保存データが表示される。ユーザはこのようにして表示部19に表示されたリストから再度バックアップ保存データを選択することにより、そのバックアップ保存データによりMFP1に起動処理を再度実行させることが可能になる。
【0062】
以上のようにして、表示部19に表示されるバックアップ保存データの内のいずれかによりMFP1の起動処理が成功すると、起動処理が失敗したバックアップ保存データと、起動処理が成功したバックアップ保存データよりも時系列的に新しい時刻に保存されたバックアップ保存データ及び現用保存データとがファイルDB21aから削除され、最終的に起動処理が成功したバックアップ保存データよりも過去の時刻に保存されたバックアップ保存データはそのままファイルDB21aに保存される。
【0063】
なお上述の実施の形態では、バックアップが実行された時点の現用保存データをバックアップ保存データとしてそのままMFP1に備えられている蓄積部21内のファイルDB21aに保存する構成としてる。しかし、ファイルDB21aの記憶容量をセーブする観点から、一つ前の時点でバックアップされたバックアップ保存データとの差分を保存する構成としてもよい。また、MFP1内にバックアップ保存データ専用の記憶装置を別途設ける構成としてもよい。更に、バックアップ保存データをMFP1外のサーバ等に保存する構成としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明に係るMFPのネットワーク構成例を示す模式図である。
【図2】MFPの内部構成例を示すブロック図である。
【図3】MFPの操作部及び表示部の外観の構成例、より具体的には両者を一体化させた操作パネルの外観の構成例を示す模式図である。
【図4】バックアップのタイミングを設定するために表示部に表示される画面の例を示す模式図である。
【図5】MFPによる起動時の処理(起動処理)の処理手順の第1の実施の形態を示すフローチャートである。
【図6】MFPによる起動時の処理(起動処理)の処理手順の第2の実施の形態を示すフローチャートである。
【図7】MFPによる起動時の処理(起動処理)の処理手順の第2の実施の形態を示すフローチャートである。
【図8】図6及び図7に示すフローチャートの処理によってMFPの表示部に表示されるバックアップ保存データのリストの例を示す模式図である。
【符号の説明】
【0065】
1 MFP(複合機)
1P 操作パネル
10 制御部
15 読取部
17 プリント部
18 操作部
19 表示部
21a ファイルデータベース(DB)
21d バックアップソフトウェア(SW)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理対象の情報を記憶する記憶手段と、起動時に前記記憶手段の記憶内容の整合性を判断する整合性判断手段とを備え、起動時に前記整合性判断手段により整合性がないと判断された場合に再起動するように構成された複合機において、
前記記憶手段の記憶内容をバックアップするバックアップ手段を備え、
前記整合性判断手段は、起動時に整合性がないと判断した後の再起動時に前記バックアップ手段によりバックアップされた前記記憶手段の記憶内容の整合性を判断するようにしてあること
を特徴とする複合機。
【請求項2】
前記バックアップ手段による前記記憶手段の記憶内容をバックアップする周期の設定を受け付けるバックアップ周期受付手段を更に備え、
前記バックアップ手段は、前記バックアップ周期受付手段が受け付けた周期で前記記憶手段の記憶内容をバックアップするようにしてあること
を特徴とする請求項1に記載の複合機。
【請求項3】
前記整合性判断手段は、前記バックアップ手段が前記周期で複数回バックアップした前記記憶手段の記憶内容を時系列的に新しい方から順に整合性を判断するようにしてあることを特徴とする請求項2に記載の複合機。
【請求項4】
前記バックアップ手段が前記周期で複数回バックアップした前記記憶手段の記憶内容の内のいずれか一つの指定を受け付ける受付手段を更に備え、
前記整合性判断手段は、前記受付手段が指定を受け付けた前記記憶手段の記憶内容の整合性を判断するようにしてあること
を特徴とする請求項2に記載の複合機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−289099(P2008−289099A)
【公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−134630(P2007−134630)
【出願日】平成19年5月21日(2007.5.21)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】