説明

複数の投影対物レンズを備えた投影露光装置

【課題】本発明は、複数の投影対物レンズ(10)のうち各々が1つの物体視野(50)を像視野(60)の中に結像する投影対物レンズを備える投影露光装置(1)に関する。
【解決手段】像視野(60)は基板領域(40)において1つの基板平面の中に配置されており、基板領域(40)が所定の走査方向(5)で複数の投影対物レンズと相対的に移動可能であり、前記投影対物レンズの少なくとも1つが前記基板平面に対して垂直に延びない該投影対物レンズの光軸の部分区間を有し、かつ前記部分区間の投影が基板平面の中へ走査方向(5)と平行に延びない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の投影対物レンズを備えた投影露光装置に関する。特に本発明は、個々の投影対物レンズに対してより大きい取付スペースが可能になる投影露光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、LC(="liquid crystal"「液晶」)またはFP(="flat panel"「フラット・パネル」)表示装置のリソグラフィによる製造に必要な大きい像視野(たとえば直径1m以上)を製造するための幾つかのアプローチが知られている。特に、投影対物レンズを2つの列から互いに変位させ、照明プロセスにおいて重なり合う視野区間を形成するように、複数の投影対物レンズを互いにこの両列に走査方向とそれに対する横方向とに配置することが知られており、これは図27および28に示されている。図27に示された公知の投影露光装置1’は、たとえば複数の照明システム2と、複数の投影対物レンズ3とを有し、それらの間にマスクホルダ4が、投影露光装置1’のマスクすなわちレチクル面に配置されたマスク5を保持し、そのマスクの構造が投影対物レンズ3によって基板すなわちウエハ面に投影され、基板ホルダ6によって保持された基板7上に形成される。
【0003】
従来の技術において1または複数の列に配置された対物レンズを備える系は、たとえば特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5、特許文献6、特許文献7、特許文献8、特許文献9、特許文献10、特許文献11、特許文献12、特許文献13に記載されている。
【0004】
増大する開口と共に投影対物レンズの必要な取付スペースが光学素子の増大する直径のために増大し、ここで特にカタジオプトリック系が(たとえば0.5m以上の直径を有する)大きい中空ミラーを使用する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第5,579,147号
【特許文献2】米国特許第5,581,075号
【特許文献3】米国特許第5,602,620号
【特許文献4】米国特許第5,614,988号
【特許文献5】米国特許第5,617,181号
【特許文献6】米国特許第5,617,211号
【特許文献7】米国特許第5,623,343号
【特許文献8】米国特許第5,625,436号
【特許文献9】米国特許第5,668,624号
【特許文献10】米国特許第5,912,726号
【特許文献11】米国特許第6,795,169号
【特許文献12】国際特許出願第0019261号
【特許文献13】米国特許第6,144,495号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は個々の投影対物レンズに対してより大きい取付スペースが可能になる複数の投影対物レンズを備えた投影露光装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る投影露光装置は1つのアプローチに従って少なくとも2つの投影対物レンズのうち各々が1つの物体視野を1つの像視野の中に結像する投影対物レンズを有し、前記像視野が、所定の走査方向で複数の投影対物レンズと相対的に移動可能である基板領域において1つの基板平面の中に配置されており、
前記投影対物レンズの少なくとも1つが、前記基板平面に対して垂直に延びない前記投影対物レンズの光軸の部分区間を有し、かつ
前記部分区間の投影が基板平面の中で走査方向と平行に延びない。
【0008】
好ましい一実施態様において前記投影の少なくとも1つと走査方向との間の角度が量に関して2°以上、好ましくは3°以上、かつさらに好ましくは4°以上である。もう1つの好ましい実施態様において2つの前記のような投影の間の角度が量に関して2°以上、好ましくは3°以上、かつさらに好ましくは4°以上である。
【0009】
本発明により、特に全てのそれぞれ走査方向と横方向に連続する投影対物レンズが直線的(すなわち従来のように走査方向に対して垂直に延びる直線)に配置されず、むしろそれから変位して走査方向に対してまたは互いに傾斜された投影対物レンズの配置が実施され、この配置が、個々の投影対物レンズの拡大された取付スペースとすることができる投影対物レンズの配置が選択される。特に少なくとも1つの基板領域に対して垂直に延びない光軸の部分区間を有する折畳光路を備えた1つまたは複数の投影対物レンズが、光軸の前記部分区間と共に走査方向に対して斜めに置かれる。この種の折畳光路を有する投影対物レンズはしばしば光軸の折り畳まれた区間の終端に凹面鏡を有し、該凹面鏡に対して本発明に係る配列によってそこで拡大された取付スペースが提供される。そのために特に光軸の折り畳まれた区間がそれぞれ走査方向と平行に延び、かつ隣接する投影対物レンズの凹面鏡がすでにより小さい直径で衝突する従来の直線的な投影対物レンズの配置に比べて凹面鏡がより大きい直径を有することができる。
【0010】
もう1つのアプローチによれば、本発明に係る投影露光装置は少なくとも2つの投影対物レンズのうち各々が1つの物体視野を1つの像視野の中に結像する投影対物レンズを有し、前記像視野が1つの基板領域に配置されており、前記基板領域は所定の走査方向で複数の投影対物レンズと相対的に移動可能であり、前記像視野の少なくとも1つが直線的に延びる複数の側辺によって、前記側辺の最も長い側辺の法線が走査方向と平行に延びないように制限されている。
【0011】
好ましい一実施態様において前記法線の少なくとも1つと走査方向との間の角度が量に関して2°以上、好ましくは3°以上、かつさらに好ましくは4°以上である。もう1つの好ましい実施態様において2つの前記のような法線の間の角度が量に関して2°以上、好ましくは3°以上、かつさらに好ましくは4°以上である。
【0012】
もう1つのアプローチによれば、本発明に係る投影露光装置は少なくとも2つの投影対物レンズのうち各々が1つの物体視野を1つの像視野の中に結像する投影対物レンズを有し、前記像視野が1つの基板領域に配置されており、前記基板領域が所定の走査方向に複数の投影対物レンズと相対的に移動可能であり、前記像視野の各々が複数のコーナーポイントを有し、かつ前記像視野の1つの中の2つのコーナーポイントの間に発生する最も長い連結線が、前記他の像視野の中の2つのコーナーポイントの間に発生する最も長い連結線と平行にならないように像視野が配置されている。
【0013】
好ましい一実施態様において前記連結線の間の角度が量に関して2°以上、好ましくは3°以上、かつさらに好ましくは4°以上である。
【0014】
もう1つのアプローチによれば、本発明に係る投影露光装置は複数の投影対物レンズのうち各々が1つの物体視野を1つの像視野の中に結像する投影対物レンズを有し、前記像視野が1つの基板領域の中に配置されており、前記基板領域が所定の走査方向に複数の投影対物レンズと相対的に移動可能であり、かつ少なくとも3つの走査方向と横方向に連続的に配置された像視野が非直線状の曲線上にある。
【0015】
もう1つのアプローチによれば、本発明に係る投影露光装置は複数の投影対物レンズのうち各々が1つの物体視野を1つの像視野の中に結像する投影対物レンズを有し、前記像視野が1つの基板領域の中に配置されており、前記基板領域が所定の走査方向に複数の投影対物レンズと相対的に走査プロセス中に移動可能であり、前記像視野が少なくとも2つのそれぞれ走査方向と横方向に延びるグループの中に、一方のグループの像視野が他方のグループの像視野を基準にして走査方向と横方向に変位しており、かつ前記グループの少なくとも一方の像視野が、非直線状に延びる曲線に沿って配置されるように配置されている。
【0016】
また上記の、本発明に係る別のアプローチにおいても、全てのそれぞれ走査方向に横方向に連続的にまたは隣接して像視野が直線に沿っては形成されておらず、特に像視野が少なくとも1つの非直線状の曲線上に配置されており、それによって該当する像視野を発生する投影対物レンズに対して拡大された取付スペースが提供されるようなそれぞれ1つの投影対物レンズの配置が選択されている。得られた拡大された取付スペースによってこの投影対物レンズがより大きい直径の光学素子(特にミラーおよびレンズ)を使用でき、かつそれによってより高い開口も達成することができる。
【0017】
もう1つの好ましい実施態様によれば、複数の投影対物レンズがさらに走査方向を基準に第1の非直線状の曲線と第2の非直線状の曲線との間に配置された像視野の第3のグループを生成する投影対物レンズの第3のグループを有する。このような3列の配置において走査プロセス中に照明された基板平面内の視野に対して、より多くの像視野が走査プロセス中に互いに接合され、または重ね合わされるので個々の投影対物レンズによって生成された像視野が、たとえば2列の配置の場合よりも小さくすることができる。そのため個々の投影対物レンズはさらにより小さい光学素子を有することができ、その結果、さらに良好な空間利用を達成できる。
【0018】
もう1つの好ましい実施態様によれば、隣接する投影対物レンズは該投影対物レンズの光学素子の互いに逆になった配置を有する。この場合、比較的大きい部分系またはその光学素子が比較的小さい部分系またはその光学素子の横に配置されるとき、さらに効率的な空間利用が生じ、これは全体的に、それぞれ隣接する対物レンズの最大の光学素子(たとえば凹面鏡)が並設されている構造に比べて省スペースの配置をもたらす。
【0019】
走査方向と横方向に正の結像倍率と、走査プロセスの経過中に基板平面内に発生した像視野の結像の忠実な相互接合を保証するために投影対物レンズは、好ましい実施態様において、たとえば奇数の中間像を生成し、および/またはたとえば中間像なしの像倒置のためのリッジ型プリズムまたはリッジ型ミラー配列を有することができる。
【0020】
もう1つの態様に従って、本発明は複数の投影対物レンズのうち各々が1つの物体視野を像視野の中に結像する該投影対物レンズを備える投影露光装置において、像視野が1つの基板領域の中に配置されており、前記基板領域が所定の走査方向に複数の投影対物レンズと相対的に移動可能であり、かつ投影対物レンズの少なくとも幾つかが第1の部分系と少なくとも1つの第2の部分系とを有し、第1の部分系がカタジオプトリック部分系であり、かつ第2の部分系が純屈折性の部分系である投影露光装置に関する。
【0021】
それによってコンパクトな構造を達成することができる。特にその際に両部分系の光軸は互いに平行に変位させることができる。好ましくは次に第1の部分系によって生成された中間像が第2の部分系の光軸に対して中心に配置されている。この種の配置は、第2の部分系のレンズ群をより小さく形成でき、かつ第2の部分系の中の収差の視野依存性も低減されるので第2の純屈折性の部分系の寸法に関して有利である。
【0022】
もう1つの好ましい実施態様によれば、物体視野の中に投影対物レンズによって結像されるパターンが超小型電子機械システム(MEMS)、特に1つまたは複数のディジタルマイクロミラー装置(DMD)が製造される。
【0023】
この場合の像の方位がDMDの使用を介して電子的に所望の方法で制御できるので、一方で中間像の生成または正の結像倍率の製造のためのリッジ型プリズムの使用を省くことができる。さらに、ここで生成された物体視野を投影対物レンズと相対的な移動も省くことができ、これが結果的に相当な構造的な簡素化と低減された調節費用を生ぜしめる。さらにマスク製造の費用のかかるプロセスも回避される。
【0024】
そのためもう1つの態様に従って、本発明はまた複数の投影対物レンズのうち各々がそれぞれ1つの物体視野を1つの像視野の中に結像する該投影対物レンズを備える投影露光装置において、前記像視野が1つの基板領域の中に配置されており、前記基板領域が所定の走査方向へ複数の投影対物レンズと相対的に移動可能であり、かつ物体視野が複数の投影対物レンズと相対的に一定の位置に配置された投影露光装置に関する。
【0025】
本発明は、さらに微細構造化素子のマイクロリソグラフィ製造のための方法ならびにこのような方法を利用して製造された微細構造化素子、特にLCD装置またはフラットパネルディスプレイに関する。
【0026】
本発明の別の実施態様は明細書ならびに従属請求項から読み取れる。
【0027】
本発明は以下添付の図面に示した例を利用してより詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】複数の投影対物レンズを備える本発明に係る投影露光装置の構造の模式透視図である。
【図2a】それぞれ平面図における本発明に係る投影露光装置を利用して生成された像視野の配置の模式図である。
【図2b】それぞれ平面図における本発明に係る投影露光装置を利用して生成された像視野の配置の模式図である。
【図2c】それぞれ平面図における本発明に係る投影露光装置を利用して生成された像視野の配置の模式図である。
【図2d】それぞれ平面図における本発明に係る投影露光装置を利用して生成された像視野の配置の模式図である。
【図2e】それぞれ平面図における本発明に係る投影露光装置を利用して生成された像視野の配置の模式図である。
【図2f】それぞれ平面図における本発明に係る投影露光装置を利用して生成された像視野の配置の模式図である。
【図3】従来の投影露光装置で提供される取付スペース(図3a)に比べて本発明に係る投影露光装置(図3b)の投影対物レンズのフレームに対して提供される取付スペースの具示のための模式図である。
【図4a】本発明に係る投影露光装置に使用するための視野遮光体の例示の配置の模式図である。
【図4b】本発明に係る投影露光装置に使用するための視野遮光体の例示の配置の模式図である。
【図5】本発明に係る投影露光装置のそれぞれ個々の投影対物レンズの複数の実施形態である。
【図6】本発明に係る投影露光装置のそれぞれ個々の投影対物レンズの複数の実施形態である。
【図7】本発明に係る投影露光装置のそれぞれ個々の投影対物レンズの複数の実施形態である。
【図8】本発明に係る投影露光装置のそれぞれ個々の投影対物レンズの複数の実施形態である。
【図9】本発明に係る投影露光装置のそれぞれ個々の投影対物レンズの複数の実施形態である。
【図10】本発明に係る投影露光装置のそれぞれ個々の投影対物レンズの複数の実施形態である。
【図11】本発明に係る投影露光装置のそれぞれ個々の投影対物レンズの複数の実施形態である。
【図12】本発明に係る投影露光装置のそれぞれ個々の投影対物レンズの複数の実施形態である。
【図13】本発明に係る投影露光装置のそれぞれ個々の投影対物レンズの複数の実施形態である。
【図14】本発明に係る投影露光装置のそれぞれ個々の投影対物レンズの複数の実施形態である。
【図15】本発明に係る投影露光装置の隣接する投影対物レンズの有利な配列である。
【図16】本発明に係る投影露光装置の隣接する投影対物レンズの有利な配列である。
【図17】本発明のもう1つの実施形態による平面図における本発明に係る投影露光装置を利用して生成された像視野の配置の模式図である。
【図18】図17記載の像視野の配置を生成する投影露光装置の構造の模式図である。
【図19a】本発明のもう1つの態様による投影露光装置の構造の模式図である。
【図19b】本発明のもう1つの態様による投影露光装置の構造の模式図である。
【図20】別の好ましい実施形態による投影露光装置の複数の実施形態である。
【図21】別の好ましい実施形態による投影露光装置の複数の実施形態である。
【図22】別の好ましい実施形態による投影露光装置の複数の実施形態である。
【図23】別の好ましい実施形態による投影露光装置の複数の実施形態である。
【図24】別の好ましい実施形態による投影露光装置の複数の実施形態である。
【図25】別の好ましい実施形態による投影露光装置の複数の実施形態である。
【図26】もう1つの実施形態による複数の投影対物レンズを備える本発明に係る投影露光装置の構造模式透視図である。
【図27】従来の技術による複数の投影対物レンズを備える投影露光装置の構造の模式透視図である。
【図28】平面図における図27の投影露光装置を利用して生成された像視野の配置の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1は、本発明の原理を説明するための模式透視図において複数の投影対物レンズを備える投影露光装置を示す。
【0030】
投影露光装置1は複数の照明システム10と複数の投影対物レンズ20とを有し、それらの間にマスクホルダ31が投影露光装置1のマスクすなわちレチクル面の中に配置されたマスク30を保持し、該マスクの構造が投影対物レンズ20によって基板平面またはウエハ面の中に投影され、かつ基板ホルダ41によって保持された基板40に形成される。複数の投影対物レンズ20によって複数の像視野60上に結像される複数の物体視野50の配置が図1に点線で暗示されている。投影対物レンズ20の光軸は互いに平行に延びる。投影対物レンズ20はそれぞれ1つの結像倍率β≒1を有し、さらに結像倍率が走査方向に対する(つまり図1のy方向に)方向(つまり図1のx方向)に適用される結像倍率がβx=1なり、その結果、たとえば垂直の物体視野50から垂直の像視野60も生成され、かつその際に走査プロセス中に生成される個々の像視野60が互いに適合することが保証されている。
【0031】
特に図1、図2の表示は、単に具体的に示すために用いられ、たとえば投影対物レンズと物体視野または像視野の数は任意であり、また典型的には本質的により大きい。
【0032】
図1に従って投影対物レンズ20の配置は、投影対物レンズ20によって形成された物体視野50と生成された像視野60(より正確には物体視野50または生成された像視野60の各中心)が2つの互いに凹面状の曲線A、Bに沿って配置されるように選択されており、これは生成された像視野の模式平面図を表す図2aからさらにより良く明らかである。図2b、図2cにそれぞれ像視野60’(図2b)または60”(図2c)の別の形状を有する対応する配置が示されており、像視野60’は六角の形状を、かつ像視野60”が台形状の形状を有し、ここに図示しない物体視野はそれぞれ対応する形状を有する。この場合も像視野60’または60”が2つの互いに凹面状の曲線A’、B’(図2b)またはA”、B”(図2c)に沿って配置されている。物体視野または像視野50、60の配置を、記載する前記曲線の延びに対してそれぞれ1つの好適な個々の物体視野または像視野50、60に対して、単一の形状の基準を考慮することができ、たとえば前記曲線はそれぞれ形状の中心または物体視野または像視野50、60の重心を通って延びる。
【0033】
図2a〜cに、さらに各像視野60、60’または60”に対して2つの方向x、yが暗示されており、しかも描かれた様々な像視野に対してx1〜x7またはy1〜y7として番号を付けている。方向x1〜x7またはy1〜y7は、それぞれ最長の(または図2a、2bのように複数の同じ長さの)直線的に延びる側辺が割り当てられており、x方向はそれぞれ前記側辺と平行に、かつy方向は該側辺に対して垂直に延びる。それぞれ湾曲した曲線A、Bの1つに沿って配置された像視野に対して帰属するy方向(すなわち最長の側辺上の法線の方向)も走査方向Sに対して平行である。従って、像視野をそれぞれ生成する投影対物レンズの本発明に係る配置は、前記基準を介して、各像視野の最長の側辺(群)の法線が走査方向Sに対してある1つの角度となると定義することができ、この角度は、好ましくは少なくとも2°、好ましくは少なくとも3°およびさらに好ましくは4°になる。
【0034】
図2d〜fにおいて対応する像視野60、60’、60”のもう1つの表示は、それぞれ2つのコーナーポイントの間に発生する最長の連結線をd1〜d7で表す。図2d(四角形の像視野60を有する)に従って、この連結線はそれぞれ四角形の像視野60の中の対角線に相当する。図2e(四角形の像視野60’を有する)において、この連結線はそれぞれ両方の最外側の互いに向き合っているコーナーポイントの間の接続に相当し、かつ図2f(台形の像視野60”を有する)において、この連結線は台形の最長の側辺に相当する。それぞれ湾曲した曲線A、Bの1つに沿って配置された像視野に帰属する連結線d1〜d7は走査方向Sと平行ではないことを識別できる。従って像視野をそれぞれ生成する投影対物レンズの本発明に係る配置は、前記基準を介して、各像視野の2つのコーナーポイントの間に発生する最長の連結線が走査方向Sに対してある1つの角度になると定義することができ、この角度は好ましくは少なくとも2°、好ましくは少なくとも3°、かつさらに好ましくは少なくとも4°になる。
【0035】
物体視野または像視野50または60は、図4記載の(投影対物レンズ20のそれぞれの実施形態に応じて物体面または中間像面に配置された)視野遮光体70または71によって図2a、図4aのように四角形に、図4bのように台形に、または任意のその他の好適な形態で、マスクホルダ31と基板ホルダ41の両者が幅広の矢印“S”によって表した走査方向に移動させられる照明プロセスにおいて、像視野60が両方の曲線“A”と“B”で重ね合わさるように形成されており、これはそれぞれ図2a〜cに記載された垂直の点線からも明らかである。
【0036】
図3から明らかなように、本発明に係る配置は、個々の投影対物レンズ20が、広がった取付スペースを有するようになっている。そのために本発明に係る配置で提供される取付スペース(図3bの斜線面による)に図27と図28記載の物体視野または像視野の従来の直線的配置で提供される取付スペース(図3aの斜線面による)が対比されている。図3bの斜線面の台形は、四角形(小さい側長が斜線面の台形の小さい側長に相当)に対して広がっている三角形面が付加して得られていることを識別可能であり、前記三角形面はたとえば基板平面上の2次元の投影で付加して得られた取付スペースを示している。
【0037】
図3bに示した取付スペースを本質的に満たし、図3aまたは3bに示したように像視野へ配置された投影対物レンズは、それぞれ折畳光路を有する投影対物レンズであり、図3bに各台形面のより長い中軸が、折り畳まれた光軸の方向へ延び、この方向はp1〜p7で表されている。個々の投影対物レンズの本発明に係る配置は、基板平面に対して垂直ではなく(図3bに従って矢印p1〜p7の方向へ)延び、走査方向と平行に延びず、走査方向に対してある角度となることを識別でき、前記角度は好ましくは少なくとも2°、さらに好ましくは少なくとも3°、かつさらに好ましくは少なくとも4°になる。
【0038】
本発明により達成された拡大された取付スペースによって投影露光装置1の投影対物レンズ20はより大きい直径の光学素子(特にミラーおよびレンズ)を使用すると共により高い開口を達成することができる。
【0039】
投影対物レンズ20またはこの投影対物レンズによって生成された像視野60の配置は具体的に図2、3に示された配置に制限されていない。つまり本発明により目指されている取付スペースの追加利得は、湾曲した曲線上の他の好適な配置でも発生する。好ましくは湾曲した曲線A、Bに沿って投影対物レンズ20の像視野60が配置された曲線はさらに好ましくは曲線A、Bの間に延びる中軸に対して鏡像対称に配置された互いに凹面状の曲線である。曲線A、Bは、本発明がそれに制限されることはないが、特に円弧とすることができ、しかしたとえば別の円の切片の形状、たとえば放物線または楕円形とすることができる。
【0040】
それぞれ個々の投影対物レンズの例による実施形態は以下、本発明がこのような実施形態に制限されることはないが、図5〜14を引用して説明する。
【0041】
図5aに従って、個々の投影対物レンズ110は、たとえば1つの純屈折性かつ非折畳光路を有し、それぞれ2つの正のレンズ群111、112または113、114を有する2つの部分系110aと110bから構成することができ、部分系の間に1つの中間像が生成される。図5bによれば、それぞれ2つの正のレンズ群121、122または123、124を有する2つの部分系120aと120bと、中間像の近傍で実施された折畳部を有するそれぞれ1つの折畳ミラー125または126とを有する投影対物レンズ120の構造が示されている。図5cによれば、2つの二重ミラー131、132を有する折畳光路と中間像とを有する投影対物レンズ130のもう1つの変形態様が示されており、二重ミラー131、132の間に第1の正のレンズ群133、第2の負のレンズ群134、第3の正のレンズ群135、第4の正のレンズ群136が配置されている。
【0042】
図6によれば、投影対物レンズ140は生成された像の倒置と共に全体的に正の結像倍率を走査方向に対して垂直の方向(すなわち図1のx方向)に中間像の存在なしでも生成するリッジ型プリズム141を有することができる。図示した投影対物レンズ140は折畳ミラー142、正のレンズ群143、凹面鏡145の近傍の負のレンズ群144とリッジ型プリズム141を有する。
【0043】
図示した投影対物レンズ140はダイソン型であり、そのもとに本出願の意味において凹面鏡(この場合:“145”)と正のレンズ群(この場合:“143”)とを備えた系を有する対物レンズが理解されている。名称「ダイソン型(Dyson-type)」のもとに前記凹面鏡と正のレンズ群が必ずしも互いに同心的に配置する必要がなく、かつ(ここに図示したように)さらに色誤差の修正のために負のレンズ群144が凹面鏡145に配置できる系も理解されるであろう。
【0044】
図7によれば、投影対物レンズ150は投影対物レンズ140の変形であって、凹面鏡145に代わり平面鏡155を有することができ、その他の点で機能同一の部分は“10”だけ増加した参照符号で表している。
【0045】
図8によれば、投影対物レンズ160はオフナー型(Offner-type)のカタジオプトリック系としても構成することができ、本出願の意味において光路内に同心的な順序で凹面鏡、凸面鏡、凹面鏡から構成された系である対物レンズが示されている。図示した投影対物レンズ160は折畳ミラー161、凹面鏡162、凸面鏡163(この凸面鏡に光が凹面鏡162の前後両方で反射される)、リッジ型プリズム164を有する。
【0046】
図9によれば、リッジ型プリズムは適切なミラー配置に置換することもでき、この場合プリズムと異なり反射面171、172(図9a)または173、174(図9b)が外側にあり、かつリッジ型プリズムと同様に像の反転が1つの空間方向(たとえばx方向)にのみ達成され、細い実線によりそれぞれ2つの光s1、s2(図9a)またはs3、s4(図9b)の延びが暗示されている。
【0047】
図10によれば、投影対物レンズ180の中にそれぞれダイソン型である2つの部分系180aと180bも互いに組合せてまたは連続的に配置することもでき、該部分系の間に1つの中間像が形成される。部分系180a、180bの各々は二重折畳ミラー181aまたは181b、正のレンズ群182aまたは182b、負のレンズ群183aまたは183bおよび凹面鏡184aまたは184bを有する。
【0048】
図11によれば、投影対物レンズ190の中に2つの部分系190aと190bのうち一方がオフナー型であり、かつ一方がダイソン型である部分系を互いに組合せてまたは連続的に配置することもでき、該部分系の間に1つの中間像IMIが形成されている。オフナー型の部分系190aは折畳ミラー191、凹面鏡192、凸面鏡193、折畳ミラー194を有する。ダイソン型の部分系190bは折畳ミラー195、正のレンズ群196、負のレンズ群197、凹面鏡198、第2の折畳ミラー199を有する。ここで両部分系190aと190bの光軸を一致させる必要がなく、これがダイソン型の部分系S2の寸法に関して有利である。
【0049】
図12によれば、投影対物レンズ200の中にそれぞれオフナー型である2つの部分系200aと200bを互いに組合せてまたは連続的に配置することもでき、該部分系の間に1つの中間像が形成される。オフナー型の部分系200aと200bの各々はそれぞれ1つの折畳ミラー201aまたは201b、1つの凹面鏡202aまたは202b、1つの凸面鏡203aまたは203b、1つの折畳ミラー204aまたは204bを有する。
【0050】
図13によれば、投影対物レンズ210の中に2つの部分系210aと210bのうち、一方がダイソン型であり、かつ一方が純屈折型である部分系も互いに組合せてまたは連続的に配置することもでき、該部分系の間に1つの中間像が形成される。ダイソン型の部分系210aは1つの折畳ミラー211、1つの正のレンズ群212、1つの負のレンズ群213、1つの凹面鏡214、1つの第2の折畳ミラー215を有する。純屈折型部分系210bは2つの正のレンズ群216、217を有する。この場合も両部分系210aと210bの光軸は一致する必要がなく、これは純屈折型部分系210bの寸法に関して有利である。それによって、両部分系の光軸が互いに1つの平行の変位を有する場合に有利であり、さらに好ましくは図13によれば、第1の部分系210aによって生成された中間像が第2の部分系210bの光軸に対して中心に配置されている。別の言葉によれば、第2の部分系210bは中間像に対してセンタリングすることができる。この配置の長所は、第2の部分系210bのレンズ群216、217をより小さく構成することができ、かつ収差の視野依存性も第2の部分系210bの中で低減されることにある。
【0051】
図14によれば、投影対物レンズ220の中に2つの部分系S1とS2のうち一方がオフナー型であり、かつ一方が純屈折型である部分系も互いに組合せてまたは連続的に配置することもでき、該部分系の間に中間像IMIが形成される。オフナー型の部分系S1は1つの折畳ミラー221、1つの凹面鏡222、1つの凸面鏡223、1つの折畳ミラー224を有する。純屈折型部分系S2は2つの正のレンズ群225、226を有する。この場合も両部分系S1およびS2の光軸は一致する必要がなく、これが純屈折型部分系S2の寸法に関して有利であり、これについては図13の説明を参照されたい。
【0052】
基本的に全ての投影対物レンズが本発明に係る投影露光装置において特に上記の有利な実施形態の1つに従ってそれぞれ同一の構造とすることができ、他方、それぞれ互いに隣接する投影対物レンズの相対的配置が体系的に変化される別の好ましい配置が有る。それに基づき以下に説明する例は、個々の投影対物レンズの上記実施形態において一般的にそれぞれオフナー型の部分系によって必要となる取付スペースは、ダイソン型の部分系によって必要となる取付スペースよりも大きいことに基づき、前記取付スペースはさらに純屈折型の部分系によって必要になる取付スペースよりも大きい。この事実関係は両者の以下の例においてそれぞれ取付スペースに関して好適な連続投影対物レンズの相対的な配置の選択によって考慮される。
【0053】
図15によれば、連続的な投影対物レンズ内の配置は、第1の投影対物レンズ230が組み合わせてまたは連続的に第1のオフナー型部分系230aと、第2のダイソン型部分系230bとを有するように選択され、それによって前記投影対物レンズは構造において図11の投影対物レンズ190に相当する。第1の投影対物レンズ230に隣接して第2の投影対物レンズ240が続き、この投影対物レンズは組み合わせてまたは連続的に第1のダイソン型部分系240aと第2のオフナー型部分系240bを有する。
【0054】
図16によれば、連続する投影対物レンズ内の配置は、第1の投影対物レンズ250が組み合わせてまたは連続的に第1の純屈折型部分系250aと、第2のダイソン型部分系250bとを有する。第1の投影対物レンズ250に隣接して互いに組合せてまたは連続的に第1のダイソン型部分系260aと、第2の純屈折型部分系260bとを有する第2の投影対物レンズ260があり、その結果、第2の投影系260は構造において図13の投影対物レンズ210に相当する。
【0055】
図15と図16記載の配置は、それぞれ同様に図1記載の各々1つの列の投影対物レンズ20に沿って連続させることができ、その結果、比較的大きい部分系またはその光学素子が比較的小さい部分系またはその光学素子の横に配置されることによってもう1つの取付スペースの節約が生じ、これが全体的に省スペースの配置またはより大きい空間利用をもたらす(たとえば種々のオフナー系230a、240bからなる大きい凹面鏡が隣接する投影対物レンズの中に並設されている構造との比較)。
【0056】
図17、18に示したもう1つの本発明の態様によれば、投影対物レンズは本発明に係る投影露光装置の中に3つの(2つに代わり)列を配置することができ、さらに図17に従って生成された像視野が2つの互いに凹面状の曲線A、Bに沿って配置されるように両方の外側の列の中に投影対物レンズが好ましく配置されており、それらの間に次に投影対物レンズによって中央列で生成された像視野があり、しかも再び図17に従って走査プロセス中に生成された像視野60が互いに適合し、かつ互いに重ね合わせるような変位した配置にある。このような実施形態は走査プロセス中に照明された基板平面内の視野の一定の総量に対する3列の配置によって、より多くの像視野が走査プロセス中に互いに接合されまたは重ね合わせられるので、個々の投影対物レンズによって生成された像視野をたとえば2列の配置の場合よりも小さくすることができる別の長所を有する。その結果、個々の投影対物レンズは再びより小さい光学素子を有することができ、それによって特に前記配置(たとえば図15、16記載)との関連性により良好な空間領域を達成することができる。
【0057】
3つの(図17の方向“a−a”から見たとき点線に沿って配置された)投影対物レンズの(単に例示しかつ制限しない)構造は、図18に示されている。それによって中心曲線“C”上に像視野を生成するための投影対物レンズ300に対して純屈折型系が使用され、これは図18に従って第1の正の群301と第2の正の群302とからなる第1の部分系300aと、第1の正の群303と第2の正の群304とからなる第2の部分系300bbとを有し、それらの部分系の間に1つの中間像が生成される。外側の(湾曲した)曲線“A”および“B”上に像視野を生成するための投影対物レンズは、図10との関連性で説明した投影対物レンズ180の構造を有する投影対物レンズが使用され、その中にそれぞれダイソン型である各々2つの部分系180a、180bが互いに組合せてまたは連続的に配置されており、該部分系の間に1つの中間像が形成される。
【0058】
本発明のもう1つの態様によれば、図1を利用して説明した走査プロセスの変形において、可動マスクホルダと、全体として可動部材とをマスク−またはレチクル面で省くことができるような走査プロセスまたは投影露光装置を使用することもできる。本発明のこの態様によれば、従来のマスクに代わり、いわゆる“DMD”(DMD="digital micromirror device"=ディジタルマイクロミラー装置、また:可変形性マイクロミラー装置)が使用され、この装置は自体公知の方法で複数のそれぞれ軸周りに回動可能のマイクロミラーからなるマトリックス状の配列を有し、この配列の電子駆動によって光が − それぞれ各ミラーの反射方向に応じて − 標定して対物レンズの光路内に入射または出射させることができ、その結果、対物レンズの中に入射した光の電子制御変調が達成される(これはそれ以外では、たとえば従来のレチクル上のクロム被覆によって達成される)。
【0059】
可動レチクル面または−プラットフォームの廃止の可能性、それに伴って現れる削減された調節費用とマスク製造の費用のかかるプロセスの回避のほかに、まさに本発明に係る投影露光装置へのDMDの使用は、像の具体的な方位がDMDの使用を介して電子的に所望の方法で制御可能であるので、正の結像倍率または垂直の像方位の発生のために中間像の生成を省くことができる別の長所を有する。この態様によれば、生成された像視野が複数の列に沿って配置されるように複数の投影対物レンズが配置されている。これは特に2列(図2と同様)でも3列(図17と同様)であってもよく、この2列(または図17記載の3列の場合、両方の外側の列)が再び提供される取付スペースの上記の有利な拡大を達成するために好ましくは凹面状の曲線の形状を有する。
【0060】
しかしながらDMDの使用の前記の長所は、投影対物レンズの直線状の配置の場合でも達成される。本願のもう1つの態様によれば、これは、それにより一般的に複数の投影対物レンズを備える投影露光装置にも係り、該投影対物レンズの中に少なくとも1つのMEMS(="microelectromechanical system"超小型電子機械システム)、特にDMDが投影対物レンズによって結像される物体視野の生成に使用される。
【0061】
図19〜24に、特に照明光の入射に関して区別されるDMDの使用による結像システムの様々な実施形態が示されている。
【0062】
図19aによれば、結像システム400の中に照明光学系402を備えた光源401によって生成される照明光の入射がビームスプリッタキューブ403を介して行われ、該ビームスプリッタキューブがその部分透過層404で反射した光をDMD405へ偏向させ、そこからDMD構造で電子制御によって反射した光が部分透過層404の通過後に対物レンズ406へ入射する。図19bによれば、光源401と照明光学系402から到来する光をまず折畳ミラー407へ偏向させることができる。
【0063】
光源411、照明光学系412、部分透過層414、DMD415を有するビームスプリッタキューブ413を有する結像システム410のもう1つの可能な配列を、図20に示してある。この場合DMD415からの光がビームスプリッタキューブ413を通って通過した後で、屈折群416と2つの平面ミラー面417、418を通過し、それらの間に1つの中間像が形成される。折畳ミラー419は像面に対して光路を折り畳む。中間像の生成は上記実施形態によれば、DMDの使用により像の正確な方位が電子的に所望の方法で制御可能であるので、不要である。
【0064】
光源421、照明光学系422、部分透過層424を有するビームスプリッタキューブ423、DMD425を有する結像システム420のもう1つの可能な配列は、図21に示されており、光路はビームスプリッタキューブ423の後方に正のレンズ群424、負のレンズ群425、凹面鏡426、折畳ミラー427を含む。
【0065】
光源431、照明光学系432、部分透過層434を有するビームスプリッタキューブ433、DMD435を有する結像システム430のもう1つの可能な配列は、図22に示しており、正のレンズ群436がビームスプリッタキューブ433とDMD435との間に、かつもう1つの正のレンズ群437がビームスプリッタキューブ433と像面との間に配置されている。この構造において正のレンズ群436は、該正のレンズ群がDMD435へ誘導され、かつDMD435から到来する光線も通過させるので、照明システムの一部も投影対物レンズの一部も形成する。照明はここで瞳付近で対物レンズの中へ入射される。
【0066】
図23および図24はビームスプリッタキューブなしの結像システム440と450を示し、この場合、反射後にDMD443または454で各投影対物レンズ444または455を通過する前に、それぞれ照明光が(図23により直接または図24により折畳ミラー453を介して)DMDの中へ斜めに入射される。
【0067】
もう1つの実施形態において結像される物体を、複数のDMDから構成することができる。ここでDMDの周縁部を現さないように、視野セグメントの光学的関係は追加システムを利用して行われる。図25に模式的に配置500が示されており、この配置の中にたとえば3つのセグメントを接合することができ、これは3つの異なるDMD501、502、503に相当する。DMD501、502、503の照明は光源508から共通の照明光学系504を介して行われ、ビームスプリッタキューブ505を利用して正のレンズ群506の中に入射され、その後で3つのセグメントが集められ、これらは3つの異なるDMD501、502、503に相当する。集められたセグメントは直接的または図25のように投影対物レンズ507を介して基板平面またはウエハ面に結像される。もちろん3DMDの数も単なる例示であり、その結果、2または3以上のDMDも同様の方法で組み合わせることもできる。
【0068】
この態様に従っても複数の結像システムまたは投影対物レンズは、生成された像視野が複数の列に沿って配置されるように配置されている。対応する投影対物露光装置600の構造の模式透視図は図26に示されており、光源602を有する照明光学系601、DMD603、投影対物レンズ604が図26に示された相対的配置を有する。
【0069】
列における配置は再び特に2列(図2と同様)でも3列(図17と同様)でも実施することができ、この2列(または図17記載の3列の場合は両方の外側の列)が再び好ましくは提供される取付スペースの上記の有利な拡大を達成するために、凹面状の曲線の形態を有する。
【0070】
本発明は特殊の実施形態を利用しても記載された場合、当業者に対してたとえば個々の実施形態の特徴の組合せおよび/または交換による多数の変形態様および別法の実施形態が考えられる。それによって当業者に対して本発明のこの種の変形態様および別法の実施形態が併含されており、かつ本発明の到達距離は添付した特許請求の範囲とその類似体の意味でのみ制限されていることは自明である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つの投影対物レンズ(20)のうち各々が1つの物体視野(50)を像視野(60、60’、60”)の中に結像させる投影対物レンズを有し、
前記像視野(60、60’、60”)が、基板領域(40)において1つの基板平面の中に配置され、前記基板領域(40)が所定の走査方向(S)で複数の投影対物レンズ(20)と相対的に移動可能であり、
前記投影対物レンズ(20)の少なくとも1つが前記基板平面に対して垂直に延びないその投影対物レンズの光軸の部分区間を有し、かつ
前記部分区間の投影(p1−p7)が基板平面の中で走査方向(S)と平行に延びていないことを特徴とする投影露光装置。
【請求項2】
前記投影(p1−p7)と走査方向との間の角度が量に関して2°以上、好ましくは3°以上、かつさらに好ましくは4°以上であることを特徴とする請求項1記載の投影露光装置。
【請求項3】
様々な投影対物レンズの2つの前記のような投影(p1−p7)の間の角度が量に関して2°以上、好ましくは3°以上、かつさらに好ましくは4°以上であることを特徴とする請求項1または2記載の投影露光装置。
【請求項4】
少なくとも2つの投影対物レンズ(20)のうち各々が1つの物体視野(50)を1つの像視野(60、60’、60”)の中に結像させる投影対物レンズを有し、
前記像視野(60、60’、60”)が基板領域(40)に配置され、前記基板領域が所定の走査方向(S)で複数の投影対物レンズ(20)と相対的に移動可能であり、
前記像視野(60、60’、60”)の少なくとも1つが、直線的に延びる複数の側辺によって、前記側辺の最も長い側辺の法線(y1−y7)が走査方向(S)と平行に延びないように制限されていることを特徴とする投影露光装置。
【請求項5】
前記法線と走査方向(S)との間の角度が量に関して2°以上、好ましくは3°以上、かつさらに好ましくは4°以上であることを特徴とする請求項4記載の投影露光装置。
【請求項6】
様々な像視野の少なくとも2つの前記のような法線の間の角度が量に関して2°以上、好ましくは3°以上、かつさらに好ましくは4°以上であることを特徴とする請求項4または5記載の投影露光装置。
【請求項7】
少なくとも2つの投影対物レンズ(20)のうち各々が1つの物体視野(50)を像視野(60、60’、60”)の中に結像させる投影対物レンズを有し、
前記像視野(60、60’、60”)が1つの基板領域(40)に配置されており、前記基板領域が所定の走査方向(S)に複数の投影対物レンズ(20)と相対的に移動可能であり、
前記像視野(60、60’、60”)の各々が複数のコーナーポイントを有し、かつ
2つのコーナーポイントの間に発生する最も長い連結線(d1−d7)が、前記像視野の1つの中で2つのコーナーポイントの間に発生する最も長い連結線(d1−d7)と平行になっている前記像視野が他方の中にないように像視野が配置されていることを特徴とする投影露光装置。
【請求項8】
前記の連結線の間の角度が量に関して2°以上、好ましくは3°以上、かつさらに好ましくは4°以上であることを特徴とする請求項7記載の投影露光装置。
【請求項9】
複数の投影対物レンズ(20)のうち各々が1つの物体視野(50)を像視野(60)の中に結像させる投影対物レンズを有し、
前記像視野(60)が1つの基板領域(40)の中に配置されており、前記基板領域が所定の走査方向(S)に複数の投影対物レンズ(20)と相対的に移動可能であり、かつ 少なくとも3つの走査方向に横方向に連続して配置された像視野(60)が非直線状の曲線(A、B)上にあることを特徴とする投影露光装置。
【請求項10】
複数の投影対物レンズ(20)のうち各々が1つの物体視野(50)を像視野(60、60’、60”)の中に結像させる投影対物レンズを有し、
前記像視野(60、60’、60”)が1つの基板領域(40)の中に配置されており、前記基板領域が所定の走査方向(S)に複数の投影対物レンズ(20)と相対的に走査過程中に移動可能であり、
前記像視野(60、60’、60”)が少なくとも2つのそれぞれ走査方向と横方向に延びるグループの中に、一方のグループの像視野が他方のグループの像視野を基準にして走査方向と横方向に変位しており、かつ
前記グループの少なくとも一方の像視野(60、60’、60”)が非直線状に延びる曲線(A、B)に沿って配置されるように配置されていることを特徴とする投影露光装置。
【請求項11】
両グループの像視野(60、60’、60”)が非直線状に延びる曲線(A、B)に沿って配置されていることを特徴とする請求項10記載の投影露光装置。
【請求項12】
第1の非直線状の曲線(A)と第2の非直線状の曲線とが互いに相対的に凹面状に湾曲していることを特徴とする請求項11記載の投影露光装置。
【請求項13】
複数の投影対物レンズ(20)が、さらに走査方向を基準に第1の非直線状の曲線(A)と第2の非直線状の曲線(B)との間に配置された像視野(60、60’、60”)の第3のグループを生成する投影対物レンズ(20)の第3のグループを有することを特徴とする請求項11または12記載の投影露光装置。
【請求項14】
像視野の第3のグループの像視野(60、60’、60”)が直線に沿って走査方向と横方向に配置されていることを特徴とする請求項13記載の投影露光装置。
【請求項15】
第1の非直線状の曲線(A)と第2の非直線状の曲線(B)とが互いに鏡像対称に配置されていることを特徴とする請求項11ないし14のいずれか1項に記載の投影露光装置。
【請求項16】
第1の非直線状の曲線(A)と第2の非直線状の曲線(B)とがそれぞれ円の切片の形状を有することを特徴とする請求項11ないし15のいずれか1項に記載の投影露光装置。
【請求項17】
像視野(60)の第3のグループの像視野(60、60’、60”)がそれぞれ1つの投影対物レンズ(300)によって生成され、その投影対物レンズが純屈折性の構造を有することを特徴とする請求項13ないし16のいずれか1項に記載の投影露光装置。
【請求項18】
少なくとも幾つかの投影対物レンズの中に各投影対物レンズの全部分系の光軸が前記投影対物レンズの統一的な光軸を形成することを特徴とする上記請求項のいずれか1項に記載の投影露光装置。
【請求項19】
投影対物レンズの少なくとも幾つかが第1の部分系(210a、220a)と少なくとも1つの第2の部分系(210b、220b)とを有し、第1の部分系(210a、220a)がカタジオプトリック部分系であり、かつ第2の部分系(210b、220b)が純屈折性の部分系であることを特徴とする上記請求項のいずれか1項に記載の投影露光装置。
【請求項20】
両部分系の光軸が互いに平行に変位されていることを特徴とする請求項19記載の投影露光装置。
【請求項21】
第1の部分系(210a、220a)によって生成された中間像が、第2の部分系(210b、220b)の光軸に対して中心に配置されていることを特徴とする請求項20記載の投影露光装置。
【請求項22】
投影対物レンズ(20)がそれぞれ同一の構造を有することを特徴とする上記請求項のいずれか1項に記載の投影露光装置。
【請求項23】
隣接する投影対物レンズ(230、240、250、260)がその投影対物レンズの光学素子の互いに逆になった配列を有することを特徴とする上記請求項のいずれか1項に記載の投影露光装置。
【請求項24】
投影対物レンズ(20)が1つの結像倍率β=1を有することを特徴とする上記請求項のいずれか1項に記載の投影露光装置。
【請求項25】
投影対物レンズ(20)の少なくとも1つが折畳ミラーを備えていないことを特徴とする上記請求項のいずれか1項に記載の投影露光装置。
【請求項26】
投影対物レンズ(20)の少なくとも1つが少なくとも1つの中間像を生成することを特徴とする上記請求項のいずれか1項に記載の投影露光装置。
【請求項27】
投影対物レンズ(20)の少なくとも1つが奇数の中間像を生成することを特徴とする請求項26記載の投影露光装置。
【請求項28】
投影対物レンズの少なくとも1つが少なくとも1つの凹面鏡を備えた少なくとも1つのカタジオプトリック部分系を有することを特徴とする上記請求項のいずれか1項に記載の投影露光装置。
【請求項29】
投影対物レンズ(140,150、160)の少なくとも1つが、少なくとも1つのリッジ型プリズム(141、151、164)またはリッジ型ミラー配列(171〜174)を有することを特徴とする上記請求項のいずれか1項に記載の投影露光装置。
【請求項30】
投影対物レンズの少なくとも1つが少なくとも1つのオフナー型部分系を有することを特徴とする上記請求項のいずれか1項に記載の投影露光装置。
【請求項31】
投影対物レンズの少なくとも1つが少なくとも1つのダイソン型部分系を有することを特徴とする上記請求項のいずれか1項に記載の投影露光装置。
【請求項32】
投影対物レンズの少なくとも1つが少なくとも1つのオフナー型部分系と、少なくとも1つのダイソン型部分系とを有することを特徴とする上記請求項のいずれか1項に記載の投影露光装置。
【請求項33】
第1の投影対物レンズ(230)が第1のオフナー型部分系(230a)と、第2のダイソン型部分系(230b)とを有し、かつ第1の投影対物レンズに隣接する第2の投影対物レンズ(240)が第1の投影対物レンズ(230)の第1の部分系(230a)に隣接する第1のダイソン型部分系(240a)と、第1の投影対物レンズ(230)の第2の部分系(230b)に隣接する第2のオフナー型部分系(240b)とを有することを特徴とする上記請求項のいずれか1項に記載の投影露光装置。
【請求項34】
第1の投影対物レンズが第1のオフナー型部分系と、第2の純屈折性の部分系とを有し、かつ第1の投影対物レンズに隣接する第2の投影対物レンズが第1の投影対物レンズの第1の部分系に隣接する第1の純屈折性の部分系と、第1の投影対物レンズの第2の部分系に隣接する第2のオフナー型部分系とを有することを特徴とする上記請求項のいずれか1項に記載の投影露光装置。
【請求項35】
第1の投影対物レンズ(260)が第1のダイソン型部分系(260a)と、第2の純屈折性の部分系(260b)とを有し、かつ第1の投影対物レンズ(260)に隣接する第2の投影対物レンズ(250)が第1の投影対物レンズ(260)の第1の部分系(260a)に隣接する第1の純屈折性の部分系(250a)と、第1の投影対物レンズ(260)の第2の部分系(260b)に隣接する第2のダイソン型部分系(250b)とを有することを特徴とする上記請求項のいずれか1項に記載の投影露光装置。
【請求項36】
投影対物レンズの少なくとも1つが2つのオフナー型部分系を有し、該部分系の間に1つの中間像が生成されることを特徴とする上記請求項のいずれか1項に記載の投影露光装置。
【請求項37】
投影対物レンズの少なくとも1つが2つのダイソン型部分系を有し、該部分系の間に1つの中間像が生成されることを特徴とする上記請求項のいずれか1項に記載の投影露光装置。
【請求項38】
複数の投影対物レンズ(20)のうち各々が1つの物体視野(50)を像視野(60)の中に結像させる投影対物レンズを有し、
前記像視野(60)が1つの基板領域(40)の中に配置されており、前記基板領域が所定の走査方向(S)へ複数の投影対物レンズ(20)と相対的に移動可能であり、かつ 投影対物レンズの少なくとも1つが第1の部分系(210a、220a)と、少なくとも1つの第2の部分系(210b、220b)とを有し、
第1の部分系(210a、220a)が、カタジオプトリック部分系であり、かつ第2の部分系(210b、220b)が、純屈折性の部分系であることを特徴とする投影露光装置。
【請求項39】
両部分系の光軸が互いに平行に変位されることを特徴とする請求項38記載の投影露光装置。
【請求項40】
第1の部分系(210a、220a)によって生成された中間像が第2の部分系(210b、220b)の光軸に対して中心に配置されていることを特徴とする請求項39記載の投影露光装置。
【請求項41】
物体視野(50)がレチクル領域(30)の中に配置され、前記レチクル領域が所定の走査方向で複数の投影対物レンズ(20)と相対的に移動可能であることを特徴とする上記請求項のいずれか1項に記載の投影露光装置。
【請求項42】
物体視野(50)が複数の投影対物レンズ(20)と相対的に一定の位置に配置されたことを特徴とする請求項1ないし40のいずれか1項に記載の投影露光装置。
【請求項43】
物体視野の少なくとも1つの中に投影対物レンズによって結像されるパターンが超小型電子機械システム(MEMS)によって生成可能であることを特徴とする請求項42記載の投影露光装置。
【請求項44】
超小型電子機械システム(MEMS)が少なくとも1つの1つのディジタルマイクロミラー装置(DMD)を有することを特徴とする請求項43記載の投影露光装置。
【請求項45】
物体視野の少なくとも1つの中にそれぞれ投影対物レンズによって結像されるパターンが複数のDMDによって生成されることを特徴とする請求項44記載の投影露光装置。
【請求項46】
複数のDMDによって生成されたパターンが1つの共通の物体視野と組み合わされることを特徴とする請求項45記載の投影露光装置。
【請求項47】
動作波長が、250nm以下、好ましくは200nm以下、さらに好ましくは160nm以下に指定されていることを特徴とする上記請求項のいずれか1項に記載の投影露光装置。
【請求項48】
複数の投影対物レンズ(20)のうち各々が1つの物体視野(50)を像視野(60)の中に結像させる投影対物レンズを有し、
前記像視野(60)が1つの基板領域(40)の中に配置されており、前記基板領域が所定の走査方向へ複数の投影対物レンズ(20)と相対的に移動可能であり、かつ
物体視野(50)が複数の投影対物レンズ(20)と相対的に一定の位置に配置されたことを特徴とする投影露光装置。
【請求項49】
物体視野(50)の中にそれぞれ投影対物レンズ(20)によって結像されるパターンが超小型電子機械システム(MEMS)によって生成可能であることを特徴とする請求項48記載の投影露光装置。
【請求項50】
超小型電子機械システム(MEMS)が少なくとも1つの1つのディジタルマイクロミラー装置(DMD)を有することを特徴とする請求項49記載の投影露光装置。
【請求項51】
微細構造化素子のマイクロリソグラフィによる製造のための方法において、
少なくとも領域ごとに感光性材料からなる層が塗布された基板(40)を配置するステップと、
被結像構造を有するマスク領域(30)を設けるステップと、
請求項1ないし50のいずれか1項に記載の投影露光装置を形成するステップと、
投影露光装置を利用し、層の1つの領域へのマスク領域(30)の少なくとも一部を投影するステップとを有する方法。
【請求項52】
微細構造化素子のマイクロリソグラフィによる製造のための方法において、
少なくとも領域ごとに感光性材料からなる層が塗布されている基板(40)を配置するステップと、
少なくとも1つのディジタルマイクロミラー装置(DMD)を利用する物体視野を生成するステップと、
上記請求項のいずれか1項に記載の投影露光装置を形成するステップと、
投影露光装置を利用し、層の1つの領域への物体視野の少なくとも一部を投影するステップとを有する方法。
【請求項53】
請求項51または52記載の方法の適用下に製造される微細構造化素子。
【請求項54】
請求項51または52記載の方法の適用下に製造されることを特徴とするLCD装置。
【請求項55】
請求項51または52記載の方法の適用下に製造されることを特徴とするフラットパネルディスプレイ。

【図1】
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【図2a】
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【図2b】
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【図2c】
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【図2d】
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【図2e】
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【図2f】
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【図3】
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【図4a】
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【図4b】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19a】
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【図19b】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【公開番号】特開2012−168550(P2012−168550A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−94123(P2012−94123)
【出願日】平成24年4月17日(2012.4.17)
【分割の表示】特願2008−518844(P2008−518844)の分割
【原出願日】平成18年6月28日(2006.6.28)
【出願人】(503263355)カール・ツァイス・エスエムティー・ゲーエムベーハー (435)
【Fターム(参考)】