説明

複数の時間区分にわたり胎児及び産婦のECGを特定する方法

【課題】産婦及び胎児ECG信号を選別する。
【解決手段】産婦患者の腹部20全体にわたって一連のECG電極18を配置させ、複数の別々のチャンネル全体からECG入力波形を受け取る。本方法はICAアルゴリズム30を用いてこれらのチャンネルを処理し、一連のICA出力波形36を作成する。ICA出力波形36は、これらのチャンネルのうちのいずれが産婦信号46または胎児信号源42を含むかを決定するために各個々の時間区分ごとに解析される。どのチャンネルが胎児信号や産婦信号を含むかの決定に基づいて、特定したチャンネル上にあるICA出力波形36に対して後続の処理を実行し、患者及び胎児に関する生理学的特性を取得する。次の時間区分の間でも同じ信号処理が実行され、これによって本システムは、胎児性と産婦性が時間区分ごとにチャンネルがジャンプする場合であっても胎児信号と産婦信号を特定することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は全般的には、胎内にある胎児の心拍動及びECGを非侵襲的に監視する方法に関する。より具体的には本開示は、産婦患者の連続監視時に産婦患者から取得した心電図(ECG)から産婦及び胎児の心拍数を決定すると共に産婦及び胎児ECG信号を選別する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
心電図(ECG)は、小児と成人の両者において心臓の疾患及び異常を診断する際に非常に重要なツールの1つである。信号処理の最近の発展により提供された新たな検出能力によって胎児の心臓電気活動から有益な情報を取得することが可能である。胎児ECG(fECG)を用いると、心臓異常を早期に検出し監視することが可能となり、これにより妊娠期間全体また特に周産期においてより良好な情報を提供することができる。
【0003】
しかし母親の腹部から取得される胎児情報は微弱であるため、正確な胎児ECGを取得することは困難である。具体的には、必要なECG情報の収集のために母親の腹部上に複数のECG電極を配置させると、明瞭に幾つかの問題が生じる。その第1は、母親のECGが存在しており、これが胎児のECGより通常かなり大きいことである。第2に、妊娠の晩期における監視の場合では、子宮収縮が存在しこのために胎児信号をかき消すか覆い隠すような大きな電気アーチファクトを生じることがある。第3に、多くの場合において母親は不快感を覚えて静止して居ることが不可能であり、これが大きな電気筋肉アーチファクトを生じさせる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願公開第20050267377号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
目下のところ、後で処理できるようなクリーンな波形を提供するために母親から取得した入力ECG信号を利用した独立成分解析(ICA)アルゴリズムの使用を含む信号処理技法が存在している。多くの場合においてICAアルゴリズムからの出力は、胎児心拍数を検出するための信号を提供するために使用することができる。典型的には、胎児心拍数を決定するためには、マルチチャンネル腹部産婦ECGリードのうちの1つのチャンネルが用いられている。ICAアルゴリズムは4〜5秒などある決まった長さを有する時間区分にわたって1組の波形に対して実行される。ICAアルゴリズム出力からのある特定のチャンネルを用いて当該時間区分に関する胎児心拍数を特定することができるが、胎児及び産婦のECG信号は多くの場合に時間区分ごとにチャンネルが変わっている。分離されたfECG信号は時間区分ごとに同じ波形位置にないことがあるため、胎児心拍数を決定する目的のためにはICA出力のチャンネルジャンプが問題となる。さらに、胎児ECGを特定し監視するための自動化技法は、複数の時間区分にわたって胎児と産婦の両信号のチャンネルが変化することによってさらに複雑になる。したがって、任意の時間区分からの絡み合った複数のICA出力波形の中のどれが胎児ECG、産婦ECG、子宮収縮また単なるノイズであるのかを認識する方法及び手段を有することが必要である。胎児ECG及び産婦ECGを長い時間期間にわたって監視できるように一連の時間区分の各時間区分ごとにこの決定を実施できる必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は全般的には産婦患者から取得したECG及び心拍数情報を含む産婦バイタルサイン及び胎児バイタルサインを監視する方法に関する。より具体的には本開示は、アルゴリズムを一連の連続した時間区分全体にわたって動かしたときに、産婦患者からのECG信号より導出されたICAチャンネルのどれが胎児及び産婦のECG源により発生したものであるかを特定する方法に関する。
【0007】
先ず、複数のECG電極を産婦患者の腹部上に配置して産婦患者からECG信号を取得する。これらの電極は、入力ECG波形を検出し受け取り心拍数やその他のECG特性を監視できるように収集システムに接続される。
【0008】
ECG監視デバイスにおいて入力波形を受け取った後、ある規定した時間区分にわたり波形のそれぞれに対して別々に独立成分解析(ICA)アルゴリズムが適用される。典型的にはこの規定の時間区分は、時間区分の持続時間全体にわたって波形に対してICAアルゴリズムを適用できるようにその長さが4〜5秒の間である。ICAアルゴリズムは、よく知られかつ広範に利用可能な処理アルゴリズムからなる一群である。
【0009】
ICAアルゴリズムによる処理後に、複数のチャンネルのそれぞれについてICA出力波形が作成されかつ関連付けされる。ICAアルゴリズムは、ECG電極からの元の入力波形から隠れた独立源を増強し特定すると共により有用な出力波形を作成するためのフィルタ処理/クリーニング・アルゴリズムの役割を果たす。このシステム及び方法は所与の数のチャンネルを利用するため、ICAアルゴリズムはこれと同じ数の個々に別々のICA出力波形を作成するのが通常である。
【0010】
ICAアルゴリズムは患者から得たECGの各読み取りチャンネルからの入力波形を処理するために容易に利用可能であるが、本開示は目下の時間区分について複数のICA出力チャンネルのどのチャンネルが胎児信号源でどのチャンネルが産婦信号源であるかを特定するための改良式処理技法を提供する。産婦及び胎児のICA出力信号は時間区分ごとにチャンネルを変える可能性があるため、本開示のシステム及び方法は各個々の時間区分ごとにチャンネルが産婦信号と胎児信号のいずれであるかを特定するように動作する。
【0011】
第1の方法では、各ICA出力波形ごとに高速フーリエ変換(FFT)を用いて離散形フーリエ変換(DFT)が算定される。FFTアルゴリズムはよく知られており、以下に開示している方法についてDFTが必要となる場合には常に使用されることになる。ICA出力波形のそれぞれごとのFFTは分類されると共に、複数のチャンネルのそれぞれごとのICA出力波形に関して有意の周波数ピーク及び該ピークの箇所が決定される。
【0012】
ICA出力波形に関するFFTがすべて決定し終わり周波数ピークが特定された後、本システムはICA出力波形のそれぞれごとのFFTのピークを以前の時間区分から決定された既知の典型的な産婦信号と比較する。周波数ピークが以前の時間区分からの産婦信号と一致した場合は、そのICA出力波形は産婦信号であると分類され後続の処理のために保存される。
【0013】
本システムが解析中のICA出力波形が既知の産婦信号と一致しないと決定すると、本システムはICA出力波形のFFTが以前の時間区分からの既知の胎児信号と一致するか否かを決定する。信号が以前の時間区分からの既知の胎児信号と一致する場合、そのICA出力波形は胎児信号であると分類され、後続の処理のためにメモリ内に保存される。
【0014】
本システムがある具体的なICA出力波形が既知の産婦信号と既知の胎児信号のいずれにも一致しないと決定した場合、本システムはそのICA出力波形のFFTを既知の子宮信号と比較することがある。そのICA出力波形のFFTが既知の子宮信号と一致する場合、その波形は子宮活動を表す波形として保存される。
【0015】
ICA出力波形が既知の産婦信号、既知の胎児信号及び既知の子宮信号と一致しない場合、そのICA出力波形はノイズであると分類される。
【0016】
本システムがその特性についてどのチャンネルが胎児性や産婦性であると決定した後、周知の方式での解析のためにこれらのチャンネルからの波形は別々の胎児及び産婦ECGプロセッサに供給される。この方法は、本システム及び方法によって各時間区分ごとにどのICA出力波形が胎児性あるいは産婦性であるかが特定されるように各時間区分中に実行される。
【0017】
代替的な方法では本開示のシステム及び方法は、どのICA出力チャンネルが胎児源信号や産婦源信号であるかを決定するために相関関数を利用する。この代替的な方式では、本システムは先ず、以前のある時間区分など以前のある時点から胎児QRSテンプレートを取得する。所与の胎児QRSテンプレートが当該時間区分のICA出力波形からの胎児源信号に関するQRS構造と相関する可能性が高いため、本システムは目下の時間区分波形の及ぶ時間全体にわたって既知の胎児QRSテンプレートの相関を計算する。少なくとも1つのチャンネルが胎児源信号であると予期されるため、テンプレートをICA出力波形のQRSと整列させたときに胎児特性を含むチャンネルの相関が高い相関を示すことになる、このことは当該のICA波形が胎児源信号である場合にある一定のパターンで離間した高相関のピークが生じることを意味する。最良の相関を生じさせたICA出力信号に基づいて、このICA出力波形は胎児信号を含むものと特定される。残りのICA出力波形チャンネルが胎児源信号でなければ、これらのチャンネルはより低くより広範な相関信号を有することになり胎児源信号に分類されない。
【0018】
本システム及び方法は、胎児QRSテンプレートを利用するのに加え、同じく以前のある時間区分などの以前の時間期間から決定された産婦QRSテンプレートを利用することができる。胎児源信号の特定に必要な工程と同様に、本システムはICA出力波形のそれぞれごとに相関を計算し、この相関に基づいてICA出力波形のうちのいずれが産婦源信号であるかを決定する。
【0019】
本システムがどのチャンネルが産婦信号や胎児信号であるかを決定し終えた後、これらのチャンネルからの波形は後続の処理のために胎児ECGプロセッサ及び産婦ECGプロセッサに導かれ患者と胎児の両者に関するECG信号が表示される。検討した2つの方法(すなわち、FFT法と相関法)はそれぞれ、それぞれに固有の長所及び欠点を有する。FFT技法はテンプレートを必要とせず、適当な源信号波形のFFT中の基本波及び高調波ピークの位置を記録することによって胎児と産婦の心拍数を瞬時に特定することができ、また本システムによる心拍数計算を支援するような簡単な周波数領域フィルタ処理を可能にする。他方、相関技法は必要とされる期間によって明瞭な相関ピークを生成することによって心拍数計算を支援しているが、常には容易に利用可能でないようなテンプレートが必要となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本開示による産婦患者の腹部上に位置決めされた1組のECG電極を表した図である。
【図2】胎児ECG抽出に対して適用されるICAアルゴリズムを利用する本開示の方法に関するデータ流れ図である。
【図3】産婦腹部に付着させた電極からのICA出力波形の一例の図である。
【図4】FFT後の胎児波形の周波数成分の一例の図である。
【図5】FFT後の産婦波形の周波数成分の一例の図である。
【図6】サンプル胎児QRSテンプレートの図である。
【図7】胎児ICA出力波形に対して胎児QRSテンプレートを用いた相関出力の一例の図である。
【図8】産婦波形に対して胎児QRSテンプレートを用いた相関出力の一例の図である。
【図9】ノイズ分離された波形に対して胎児QRSテンプレートを用いた相関出力の一例の図である。
【図10】周波数成分を用いてある波形が胎児信号や産婦信号を含むか否かを決定するための工程を表した流れ図である。
【図11】相関解析技法を利用してある波形が胎児信号を含むか否かを決定するための流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1は、ECGモニタ12によって患者10からの生理学的データと患者10に育まれている胎児(図示せず)からの生理学的データの両方を監視できるように産婦患者10にECGモニタ12が接続されているところを表している。図1に示すようにこのECGモニタは、患者10の腹部20に取り付けられた電極18にその各々が接続されている個々のチャンネルまたはリード16を含むセンサケーブル14を受け入れている。図1に示した実施形態では、センサケーブル14は母親の腹部20上で間隔をとって配列22状に位置決めした16個の別々のECG電極18を含む。16個のECG電極18に加えて、センサケーブル14はさらに患者10からのECG計測値を記録する際に慣例の接地電極及び比較電極を含むことができる。図1に示した電極配置は一般的な4×4の配列であるが、本開示の趣旨の域内で動作させながら別の様々な電極配列を利用することが可能である。
【0022】
良好な分離を実現するためには、腹部ECG電極18の配置をあまり近づけすぎないようにして腹部の広い範囲を含むようにすべきである。典型的には、等間隔にした16個の電極が患者10の皮膚表面全体を覆うように間隔調整する。ECG電極18のそれぞれは、患者の皮膚面に存在する電気信号を検出し、検知された電気信号を一連の別々の患者リード16を介してECGモニタ12に戻している。
【0023】
より詳細には以下で記載することにするが、ECGモニタ12はECG電極18から1組の複数の入力波形を受け取る。ECGモニタ12は、母親に関するECG及び生理学的情報を胎児に由来するECG情報及び生理学的パラメータから分離するように動作するようなオペレーティングプログラム及びソフトウェア(より詳細には以下で記載することにする)を含む。この開示の残りの部分全体を通じて使用する際に、母親と胎児の両者に関して導出される可能性がある生理学的情報は、少なくとも産婦及び胎児の心拍数を含んでおり、また産婦呼吸数、産婦及び胎児の別のECG特性及びエレクトロヒストグラム(EHG)を含むことがある。
【0024】
ここで図2を参照すると、本開示の方法の最初の工程は、工程24に示したように妊娠患者の腹部を配列状に電極を付着するように準備することである。この準備は典型的には、腹部20を覆う衣類を取り除いて腹部を清浄し、図1に示すように個々のECG電極18が良好に表面接触するように皮膚を準備することを含む。図2に戻ると、本方法の次の工程は工程26に示したように、16個のECG電極と、1つの基準ECG電極と、1つの接地ECG電極を患者上に配置することである。典型的には、これらの電極のそれぞれは患者の腹部に付着させると共に必要となる低インピーダンスの皮膚対電極の接触を生成し、患者と胎児の両者の内部における電気活動に由来して患者の表面上に存在する電気信号を検知する。
【0025】
患者の腹部20上に個々の電極18を配置させた後に、図1に示した16個のリード16を介してECGモニタの位置で16個の別々の個別入力波形が受け取られる。図2の工程28に示したようにECGモニタ12は、電極から個々の入力波形を受け取りECGモニタ12の位置にある16個の別々のチャンネル上で受け取った16個の別々の入力波形の初期処理を提供するフロントエンド電子回路、差動増幅器、隔絶デバイス及びコモンモード除去の構成要素を含む。ECGモニタは、個々の入力波形を受け取り担当医が使用する監視データを出力するために算定手段及び記憶手段を含むことが好ましい。こうしたディジタル式の機器は、アルゴリズム及びフィルタ処理演算を利用することによって入力波形を処理できることは当業者であれば十分に理解されるであろう。さらにこの算定手段は、入力波形を記録するための記憶構成要素を含むことができる(これについては以下で詳細に説明することにする)。提示した開示の実施形態では、ECGモニタ12は16個の別々のチャンネル全体にわたって受け取った入力波形に対する初期処理を提供すると共に、この入力波形をECGモニタ内部に包含されたメモリ内に記録する。各チャンネルごとの波形はECGモニタの位置で連続して受け取られるため、ECGモニタ12は入力波形をECGモニタ内部に包含されたメモリデバイス内に連続して保存する。
【0026】
上に記載したように、ECGモニタ12に接続された16個のチャンネルから取得した入力波形は大量のノイズや不要な信号情報を含んでいる。アーチファクトを除去すると共にECG電極から直接取得した入力波形内で産婦源と胎児源からの所望の情報を分離するために、図2に示したシステム及び方法は、患者の腹部に付着させた個々の電極からの16個の別々のチャンネルに対して適用される独立成分解析(ICA)アルゴリズムを用いるブラインド信号分離(BSS)を利用する。工程30で示すICAアルゴリズムを適用するために、ECGモニタはある規定の時間期間にわたって16個のチャンネルの各々からの連続入力波形を保存する。
【0027】
ECG電極に接続された16個のチャンネルの各々に関して保存された入力波形は、個々の時間区分にセグメント分けして保存される。典型的には1つの時間区分は1つの固定の持続時間を有しており、これによりこの時間区分にわたる個々の波形の各々に対して信号処理技法を実行することができる。本開示に示した実施形態では、1つの時間区分は典型的には概ね4〜5秒の持続時間を有しているが、別の持続時間も企図される。各時間区分は患者10と胎児の両者に関する心拍周期を超える持続時間を有することが好ましい。図3に示した区分持続時間32により図示したように、本開示の実施形態では時間区分の持続時間を5秒と示している。
【0028】
図2に戻ると、工程30において1組の入力波形に対してICAアルゴリズムが適用され、母親、胎児及び16個のECGチャンネル18の収集中に現れることがある別の任意の独立源の電気活動を示すクリーンで分離された信号が作成される。工程30のBSS/ICAデータ処理技法は当業者によく知られていると共に、多数の箇所から容易に利用可能であるか、あるいは意図した目的向けに開発し最適化することができる。工程30のICAアルゴリズムは、ECGモニタの内部に包含された算定手段上でリアルタイムで実現されることが好ましい。ICAアルゴリズムは、ECG電極から直接取得した入力波形をフィルタ処理しており、これによりフィルタ処理済み波形を別の構成要素によってさらに容易に処理することができる。記載したように、ICAアルゴリズムはよく知られており、かなり長い間にわたって使用されてきている。一例としてICAアルゴリズムはFASTICAやCUBICAなどの周知の任意のアルゴリズムとすることが可能であるが、本開示の趣旨域内にあるような別のタイプのICAアルゴリズムも企図される。
【0029】
入力波形の各々は別々のECG電極からの別々のチャンネル上で受け取られているため、ICAアルゴリズム30は工程34に示したように、それぞれが別々の独立源に関連するような16個の別々の波形を作成する。ICAアルゴリズム30は入力波形からノイズのうちの多くをフィルタ処理して除去するため、工程34で作成した16個のICA出力波形を利用して、どのチャンネル上に胎児や産婦の心拍数とECG信号が現れるかを決定することができる。チャンネルが特定された後で、その産婦及び胎児信号に対して後続の処理を実施することができる。
【0030】
ここで図3を参照すると、図2の工程30に示したICAアルゴリズムから作成されたICA出力波形36を表している。ICA出力波形36は、その各々が患者の腹部上に配置した電極から取得される複数の波形のうちの1つを表している16個のチャンネル38のそれぞれに沿って提示されている。図3から分かるように、図3に示した16個のチャンネル38のうちの多くのチャンネルが、ノイズや胎児及び産婦のECGと心拍数の監視において有用性がほとんどない信号だけしか提示しないようなICA出力波形を含む。しかし図3のこの具体的実施形態で示したように、チャンネル8上のICA出力波形は、胎児からの心拍動及びECG信号を表している一連のシグナチャQRS事象40を含む。したがって、時間区分32の胎児信号42はチャンネル8上に存在すると言える。
【0031】
同様にチャンネル15は、産婦患者から受け取った心拍数及びECG信号を表した一連のQRS事象42を含む。したがってこの時間区分32からのチャンネル15は産婦信号46を含む。QRS事象44に加えて、産婦信号46もICAアルゴリズムの適用に続くT波を含む。
【0032】
図3に示した複数のICA出力波形で理解できるように、ICA出力波形36は患者と胎児の両者に関する有意の生理学的特性を決定するために利用することができる。具体的には、チャンネル15上に現れたICA出力波形36を利用して産婦患者からの生理学的特性を決定することができ、またチャンネル8上に現れたICA出力波形を利用して胎児に関する生理学的特性を決定することができる。図3に示したICA出力波形を作成するためのICAアルゴリズムのこうした利用は一般によく知られており、最新技術で規定される。
【0033】
しかし上で記載したように、胎児信号42と産婦信号46は、時間区分ごとにチャンネルを変える可能性がある(また典型的には、チャンネルを変えており)、このため第1の時間区分に関して産婦及び胎児信号が決定されていても、次の時間区分に関する産婦及び胎児信号は異なるチャンネル上に位置する可能性がある。したがって、ECG情報に基づいて患者からの生理学的パラメータを決定するために自動化技法を使用するときは、胎児信号42と産婦信号46の両者を含むチャンネルが既知である必要があり、このことが本開示が対処する大きな問題となっている。
【0034】
図2に戻ると、本開示の方法における次の工程はあるタイプの波形ソートアルゴリズム48を利用し、どのチャンネルが産婦源信号や胎児源信号を含むかを特定することである。波形ソートアルゴリズム48によってどのチャンネルが産婦や胎児の信号を含むかが決定された後、これらのチャンネルからの情報が後続の処理のために産婦ECGプロセッサ50と胎児ECGプロセッサ52のいずれかに供給される。産婦ECGプロセッサ50は産婦信号を含むICA出力波形の解析に基づいて産婦患者に関する生理学的特性を決定することができ、一方胎児ECGプロセッサ52は胎児に関する生理学的特性を作成するための処理技法を実行することができる。産婦及び胎児ECGプロセッサ50、52に加えて本システムはさらに、胎児の出産に先立つ収縮中の産婦患者からの収縮強度、収縮間隔及び関連する別の情報など患者の子宮活動を監視するために使用可能な子宮活動プロセッサ54を含むことができる。
【0035】
上述のように、ICAアルゴリズム30だけを利用してどのチャンネルが胎児信号や産婦信号を含むかを決定することにより生じる大きな問題の1つは、選択した時間区分に関するこれらの信号の箇所を決定することができるが、時間区分ごとにこれらの信号の箇所の変化があり得ることである。したがって、本開示に従ってどの信号がどのチャンネル上にあるかを決定する少なくとも2つの代替的方法が開発されている。
【0036】
どのチャンネルが産婦信号や胎児信号を含むのかを決定する第1の方法を図10の流れ図でその全体を示し説明する。図10に示したように、16個の別々の独立のICA出力波形を作成し終えた後、本システムは工程51においてこれらの波形を特定する処理を開始する。源特定処理が開始された後、本方法は先ず工程53に示すようにしてICA出力波形の各々ごとに高速フーリエ変換(FFT)を計算する。図10に示した処理では、本方法はチャンネル1〜チャンネル16まで逐次ICA波形の各々を計算する(これについては後で記載することにする)。
【0037】
ICA出力波形のそれぞれごとのFFTを計算し終えた後、本システムは工程55において各波形ごとに有意の周波数ピークを特定する。図4及び5は、胎児波形56のFFT及び産婦波形58のFFTを表している。図4及び5では胎児波形のFFTと産婦波形のFFTを示したが、胎児波形と産婦波形のいずれをも含まないICA出力波形のFFTは図4及び5に示したもの以外の異なるエネルギー特性を提示することを理解すべきである。
【0038】
図4に示すように、胎児波形に関する第1のピーク60は胎児に関する胎児心拍数を表している。図4に示した実施形態では、ピーク60は概ね2.5Hzに位置に生じており、胎児の心拍数を表している。同様に図5に示した産婦波形58も産婦心拍数を表したピーク62を含む。図5に示した実施形態では、ピーク62は概ね1.5Hzの位置に生じており、産婦患者の基本的心拍数を表している。
【0039】
図10に戻ると、工程54において各波形ごとの有意の周波数ピークを特定し終えた後、本システムは工程64において、ICA出力波形をすべてソートし終えたか否かを決定する。ICA出力波形をすべてソートし終えていない場合、本システムは工程66に進み、解析中の目下のチャンネルからのICA出力波形に基づいたFFTの分類を試みる。工程66では本システムは工程55において特定したエネルギーピークを以前の時間区分から計算した典型的な産婦信号あるいはメモリ箇所内に以前に保存しておいた典型的な産婦信号内に存在するピークと比較する。工程68において本システムが解析しているFFT波形の周波数ピークが産婦信号に対応すると決定した場合、工程70に示すように本システムはこの波形を後続の処理のために産婦メモリ記憶箇所内に配置させる。
【0040】
図5に戻り産婦波形では、周波数レンジ72域内にかなりの数のエネルギーピークが生じている(図示した実施形態では、概ね10〜20Hzの間に発生している)。波形58は周波数レンジ72の域内にかなりの量のエネルギーとピークを含んでいるため、図5に示した波形58は本方法によって産婦波形であると分類される。図5に示した波形と異なり、図4に示した波形56は10〜20Hzの周波数レンジ域内にあまり多くのピークを含んでいない。したがって図4に示した波形56が産婦波形でないことは明らかである。胎児ECG信号は産婦ECG信号と比べてより高速の成分(すなわち、より高い高調波周波数においてより高いエネルギー)を包含することが予期されることに留意されたい。
【0041】
図10に戻ると工程68において本システムがその周波数ピークが産婦性でないと決定したとき、工程74において本システムは周波数ピークを以前の時間区分から決定した典型的な胎児信号と比較する。工程74における比較に基づいて本システムは、工程76においてその周波数ピークが典型的な胎児信号と一致するか否かを決定する。周波数ピークが典型的な胎児信号と一致した場合、本システムは工程78に示すように後続の処理のためにその波形をメモリ記憶内に配置する。
【0042】
ここで図4を参照すると、図4に示した波形56は周波数レンジ80域内にかなりの量のエネルギー及びピークを有しており、このことは典型的には胎児波形を表している。図示した実施形態では、周波数レンジ80は概ね20〜50Hzである。比較として図5に示した波形58は20〜50Hzの間の周波数レンジ内に含むエネルギーは非常に少ない量であり、このことは波形58が胎児波形でないことを示しており、上で記載したように波形58は産婦波形に対応するものである。
【0043】
本システムが工程76において周波数ピークが胎児性でないと決定した場合、工程82に示したように本システムはこのピークを以前の時間区分から決定した典型的な子宮信号と比較する。以前の時間区分からの典型的な子宮信号は収縮時など患者の腹部筋肉の収縮に由来するものである。工程84において周波数ピークが性質上子宮性と分類された場合、工程86において本システムは後続の処理のためにこの波形をメモリ内に配置させる。しかし本システムが周波数ピークが性質上から産婦性、胎児性または子宮性のいずれでもないと決定した場合、工程88に示したように本システムはこの波形をノイズに分類する。当該チャンネルに対するICA出力波形のFFTを分類した後、本システムは工程54に戻り、次のチャンネル上の次の波形に関する有意の周波数ピークを特定する。ICA波形のすべてをソートし終えた後、本システムは工程90に進み、以前の解析の決定に従ったどのチャンネルが胎児信号でありかつどのチャンネルが産婦信号であるかの知見に基づいて胎児及び産婦の心拍数情報を決定する。
【0044】
上で検討したように、本システムが複数のチャンネルのうちのどのチャンネルが胎児性でありかつどれが産婦性であるかを決定した後、図2に示すように胎児信号及び産婦信号はそれぞれの胎児ECGプロセッサ52と産婦ECGプロセッサ50に送られる。図10に示した方法によれば、本システムは特性上どのチャンネルが胎児性でありかつ産婦性であるかを決定し、これにより当業者によく知られた方法によって追加の処理を実行することができる。
【0045】
上の開示で理解できるように、本システムは、各ICA出力波形ごとのFFTの解析及び比較に基づいて、どのチャンネルが胎児信号や産婦信号であるかを決定する。例えば産婦信号及び胎児信号に関する以前の時間区分からの既知のFFTのピークは、新たに取得する時間区分に関して出現することが予期されることになる。さらにFFTピークは、産婦信号と胎児信号のいずれかに関する既知の心拍数の近傍に来ることが予期されるため、これを信号の適正な分類を識別するのに役立てることができる。目下の時間区分に関する波形を解析した後、本システムは産婦及び胎児信号に関する波形をメモリ内に保存し、これにより次の時間区分に関するICA出力波形を解析する際に保存済み信号を利用できるようにしている。この方式では本開示のシステム及び方法は、目下の時間区分に関する信号を分類するために最も最近の時間区分からの情報を利用する。
【0046】
上述した各波形ごとのFFTを利用する方法に対する代替的な一方法として、本システムはさらにICA出力波形のどのチャンネルが胎児源信号あるいは産婦源信号であるかを分類するためにも相関方法を利用することができる。相関を計算するためのアルゴリズムは当業者によく知られており、本質的に2つの入力信号間の波形パターンの一致が1つの尺度となる。本明細書の説明の目的では、相関アルゴリズムは入力のうちの1つとして既知のテンプレートを必要とする。QRS事象や子宮収縮事象などの何らかのベンチマーク事象の周囲の時間間隔を利用することによって相関計算において使用するためのテンプレートの指定が可能となるが、別の手段を用いて適当なテンプレートを見出すことも可能である。どのチャンネルが胎児信号や産婦信号を含むかを決定する方法について、ここで図11の流れ図を参照しながら説明することにする。先ず本システムは工程92における特定処理で開始される。工程92において処理が開始された後、本システムは工程93に示したように以前の時間期間または以前の時間区分から胎児QRSテンプレートを取得する。図6に示すように胎児QRSテンプレート94は、持続時間100にわたって1つのQピーク96と1つのRピーク98を含んだQRS現象を規定している。QRSテンプレート94は、以前の時間区分の間においてどのICA出力波形が胎児信号を含むかに関する特定に基づいて決定されることが好ましい。
【0047】
図11に戻ると、QRSテンプレートを決定し終えた後、本システムは工程102に示したようにこのQRSテンプレート94に基づいてICA出力波形のそれぞれごとに相関を計算する。複数のチャンネルの各チャンネル上のICA出力波形と以前の時間区分からの胎児QRSテンプレート94との相関をとることによって波形が胎児信号を含まない場合に高い相関を有しない波形が得られる一方、QRSテンプレートを胎児信号を含む波形に当てたときには、胎児心拍数の期間との高い相関ピークが与えられることになる。したがって高い相関ピークをもたらす波形は胎児源信号の波形となる一方、相関が低い波形は胎児成分を含まない波形となる。
【0048】
ここで図7を参照すると、相関結果に基づいて胎児信号を含むとしたICA出力波形に対する胎児QRSテンプレートの相関を表している。図7に示したように、相関信号104は相関ベースライン108を超えて延びた多数のピーク106を含んでいる。周知のように、相関波形が1に近づくと、QRSテンプレートと解析中の信号の間にはほとんど同一性の相関が存在する。図7に示した実施形態ではしきい値108は、テンプレートと解析中の信号の間の相関の度合いが高いことを示すような相関0.8のところに位置させている。図7に示したように相関信号104は、しきい値108を超えて延びた多数の周期的ピーク106を含んでいる。したがって図7に示した相関信号104は非常に高い相関を有し、これによって解析中のチャンネルはその特性が胎児性であることを示している。
【0049】
ここで図8を参照すると、図7に示したものと異なるチャンネルに関する相関信号110を表している。図8に示したように、しきい値108を超えて延びるピーク106はわずかであり、しきい値を超えて延びたピークについてもその各ピーク106はしきい値を若干延び出ているに過ぎない。したがって2つの相関信号104及び110を比較すると、相関信号104は胎児信号を示すことが明らかである一方、図8に示した相関信号110は胎児信号を示していない。後続の信号処理に基づいて、図8に示したチャンネル上のICA出力波形は産婦信号であると決定された。したがって図8に示した相関信号110は胎児信号を表わさず、産婦信号を表している。
【0050】
図9は、ノイズを示すさらに別のチャンネル上のICA出力波形に関する相関信号112を表している。図示で明瞭であるように、ピーク106はいずれもしきい値108に達しておらず、解析中のチャンネル上のICA出力波形は胎児信号を含まないことは明らかである。
【0051】
図11に戻ると本システムは工程114において、すべてのチャンネル上のすべての波形を評価し終えたか否かを決定する。全部の波形を評価し終えていない場合、本システムは工程116においてチャンネルを選択して波形相関を評価する。そのチャンネルの相関信号が工程118の決定に従って最も適当な間隔のピークを有する場合、本システムは当該チャンネルが胎児信号を含んでいると決定すると共に、工程120に示したようにそのICA出力波形を後続の処理のためにメモリ記憶内に配置させる。しかし波形が適当な間隔のピークを有さない場合、本システムは工程114に戻り、チャンネルのいずれが胎児信号を含むかを決定するために各チャンネルの解析を続ける。図11に示した方法は、ICA出力波形と図6に示した胎児QRSテンプレートの間の相関に基づいてチャンネルのいずれが胎児信号を含むかを決定するように動作可能である。
【0052】
相関方法についてどのチャンネルが胎児信号を含むのかを特定するものとして説明してきたが、産婦QRSテンプレートを利用してチャンネルのいずれが産婦信号を含むのかを決定するために同じ方法が実行される。この手順において本システムは、各チャンネルごとに産婦QRSテンプレートに対するICA出力波形の相関を生成する。どのチャンネルが最も適当な間隔のピークを含むのかに基づいて、本システムはどのチャンネルが産婦信号を含むのかを決定する。同じ工程は、どのチャンネルが子宮活動に関連する信号を含むのかを決定するためにも実行することができる。
【0053】
本システム及び方法によりどのチャンネルが産婦信号、胎児信号及び子宮信号を含むのかを決定した後、本システムは工程122に進む。図2の工程48に対応する工程122では、本システムはICA出力波形を追加の解析のために要求されたチャンネルから胎児ECGプロセッサ52、産婦ECGプロセッサ50及び子宮活動プロセッサ54に転送する。
【0054】
上の説明によって理解できるように、図11の方法は以前の時間区分から取得した胎児QRSテンプレートに依拠している。同様に、どの処理チャンネルが産婦信号を含むのかを特定するために、以前の時間区分からの産婦QRSテンプレートが利用される。上の説明によって理解できるように、第1の時間区分が本開示のシステム及び方法によって解析されているときに問題が生じる。第1の時間区分に関しては過去の時間区分からのQRSテンプレートが利用できないため、どの波形が胎児性、産婦性、子宮性、筋肉アーチファクトあるいは何か別のアーチファクトであるのかに関して決定を実施しなければならない。この決定を実施した後には、本システムは過去の時間区分からのQRSテンプレートを利用して記載した方法を実行することが可能となる。どのチャンネルが様々な信号を含むことに関する初期決定はQRSが発生する割合、QRS群の周波数成分、信号の振幅、及び信号の一般周波数成分などの別の基準に基づくことができる。一例として、胎児QRS群は産婦QRSと比べて若干高い周波数成分を有することが典型的に知られており、また胎児心拍数は産婦心拍数と比べてより高い。どのチャンネルが産婦及び胎児信号を含むのかに関する第1の決定を生成するための異なる様々な方法も本開示の趣旨の域内で実施しながら利用することができることを理解すべきである。第1の胎児及び産婦信号を決定し終えた後、本システムは上述の方法を利用してどのチャンネルが産婦信号や胎児信号を含むのかの監視を続ける。
【0055】
この記載では、本発明(最適の形態を含む)を開示するため、並びに当業者による本発明の製作及び使用を可能にするために例を使用している。本発明の特許性のある範囲は添付の特許請求の範囲によって規定していると共に、当業者により行われる別の例を含むことができる。こうした別の例は、本特許請求の範囲の文字表記と異ならない構造要素を有する場合や、本特許請求の範囲の文字表記と実質的に差がない等価的な構造要素を有する場合があるが、本特許請求の範囲の域内にあるように意図したものである。
【符号の説明】
【0056】
10 患者
12 ECGモニタ
14 センサケーブル
16 リード
18 電極
20 腹部
22 配列
24 工程
26 工程
28 工程
30 ICAアルゴリズム
32 区分持続時間
34 工程
36 ICA出力波形
38 チャンネル
40 QRS事象
42 胎児信号
44 QRS事象
46 産婦信号
48 波形ソートアルゴリズム
50 産婦ECGプロセッサ
51 工程
52 胎児ECGプロセッサ
53 工程
54 子宮活動プロセッサ
55 工程
56 胎児波形
58 産婦波形
60 ピーク
62 ピーク
64 工程
66 工程
68 工程
70 工程
72 周波数レンジ
74 工程
76 工程
78 工程
80 周波数レンジ
82 工程
84 工程
86 工程
88 工程
90 工程
92 工程
93 工程
94 QRSテンプレート
96 Qピーク
98 Rピーク
100 持続時間
102 工程
104 相関信号
106 ピーク
108 ベースライン
110 相関信号
112 相関信号
114 工程
116 工程
118 工程
120 工程
122 工程

【特許請求の範囲】
【請求項1】
産婦患者10及び胎児に関する産婦バイタルサイン及び胎児バイタルサインを監視する方法であって、
産婦患者10の腹部20の上に複数の電極18を配置する工程と、
前記複数の電極を介して所定の時間区分32にわたって産婦患者から複数の別々の入力波形を取得する工程と、
前記入力波形に対して前記時間区分にわたって独立成分解析(ICA)30を実施し複数のICA出力波形36を作成する工程と、
前記ICA出力波形36のうちのいずれが産婦信号源から発せられたものでありかつ前記ICA出力波形36のうちのいずれが胎児信号源から発せられたものであるかを決定する工程と、
産婦ECG信号46を含んだICA出力波形36を処理し産婦患者10に関する生理学的情報を作成する工程と、
胎児ECG信号42を含んだICA出力波形36を処理し胎児に関する生理学的情報を作成する工程と、
を含む方法。
【請求項2】
一連の連続した時間区分の各時間区分32ごとに入力波形に対してICA30を実施する工程と、
前記ICA出力波形36のうちのいずれが産婦信号源から発せられたものでありかつ前記ICA出力波形36のうちのいずれが胎児信号源から発せられたものであるかを、一連の連続した時間区分の各時間区分32ごとに独立に決定する工程と、
をさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
どのICA出力波形36が産婦ECG信号46を含みかつどのICA出力波形36が胎児ECG信号42を含むかを決定する前記工程は、
ICA出力波形36のそれぞれごとに離散形フーリエ変換(DFT)52を計算する工程と、
DFTのそれぞれ内でエネルギーピーク60、62を特定する工程と、
DFTのそれぞれ内のエネルギーピーク60、62を産婦信号に関する典型的なプロフィール及び胎児信号に関する典型的なプロフィールと比較する工程と、
産婦ECG信号46及び胎児ECG信号42に関する典型的なプロフィールと最も密に対応するICA出力波形36を選択する工程と、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記産婦ECG信号46に関する典型的なプロフィール及び前記胎児ECG信号42に関する典型的なプロフィールは産婦ECG信号46及び胎児ECG信号42に関する以前の時間区分からのDFTに基づいている、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
産婦ECG信号に関する典型的なプロフィールと最も密に対応するICA波形36をメモリ内の保存する工程と、
胎児ECG信号に関する典型的なプロフィールと最も密に対応するICA波形36をメモリ内の保存する工程と、
前記保存されたICA波形を利用して患者及び胎児の生理学的情報を作成する工程と、
をさらに含む請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記所定の時間区分32は産婦患者の心拍動間の持続時間を超える持続時間を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
産婦患者及び胎児から導出される前記生理学的情報は少なくとも心拍数を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
ICA出力波形のうちのいずれが子宮活動信号を含むかを検出する工程と、
前記子宮活動信号を含むICA出力波形36を処理して子宮収縮に関する情報を作成する工程と、
をさらに含む請求項3に記載の方法。
【請求項9】
どのICA出力波形36が子宮活動信号を含むかを決定する前記工程は、
各ICA出力波形ごとのDFTに関するエネルギーピークを以前の時間区分からの子宮活動信号より決定したエネルギーピークと比較する工程と、
既知の子宮活動信号と最も密に対応するICA出力波形を選択する工程と、
を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
以前の時間区分のうちの1つからのベンチマーク事象に基づいてテンプレート94を決定する工程と、
前記テンプレートとの比較に基づいてICA出力波形36のうちのいずれが胎児ECG信号42を含むかを決定する工程と、
胎児ECG信号42を含むICA出力波形36を処理して胎児に関する生理学的情報を作成する工程と、
をさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記テンプレート94は前記以前の時間区分のうちの1つからの胎児ECG信号を含むICA出力波形からの既知のQRS現象を含む、請求項10に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−160410(P2009−160410A)
【公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−847(P2009−847)
【出願日】平成21年1月6日(2009.1.6)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【Fターム(参考)】