説明

複数先端クリアランス測定システムおよび操作方法

【課題】一つ先端エラーおよび変動を検出して、修正することによって、2つの部品の間のクリアランスの正確な測定を提供する複数先端クリアランス測定システムを提供することにある。
【解決手段】複数先端クリアランス測定システム(12)が開示されている。本複数先端クリアランス測定システム(12)は、第1の対象物(24)に配置され、該センサが第2の対象物(26)に対応する検出されたパラメータを表示する信号を生成するように構成される複数のプローブ先端部(62、64、66、68)を含むセンサ(28)と、異常値プローブ先端部を検出して、それぞれの異常値プローブ先端部のゲインまたはオフセットを調整するためにプローブ先端部(62、64、66、68)から検出されたパラメータのサブセットから信号を評価し、該信号に基づき第1の対象物(24)と第2の対象物(26)との間のクリアランスを測定するように構成される処理装置(34)とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に一般にクリアランス測定システムに関し、より詳しくは、回転機器の静止部品と可動部品との間にクリアランスを測定するための複数先端クリアランス測定システムに関する。
【背景技術】
【0002】
様々な形のセンサは、2つの対象物の間の距離を測定するために用いられている。加えて、これらのセンサが、さまざまなアプリケーションで用いられている。例えば、蒸気タービンは、キャリアに隣接して配置される回転バケットを備えている。回転バケットとキャリアとの間のクリアランスは、さまざまな運転条件(例えば温度の変化、バケット先端の酸化、その他)のため変化する。回転バケットおよびキャリア間のギャップまたはクリアランスが蒸気タービンの動作の間、維持されることが望ましい。
【0003】
1つの既存のセンサは、静止部品と可動部品との間にある半径方向と軸方向のクリアランスを測定するための静電容量を測定するために、複数のプローブ先端部を含む複数先端静電容量センサである。典型的には、測定されたクリアランスは、センサのすべてのプローブ先端部からのすべての信号のゲインの関数である。残念なことに、このゲインにおけるエラー、すなわち期間時間の上の変動は、システム性能に悪化させる。更に、特定のシステムはプローブ先端部から来る個々の信号の健全状態を評価するために信号処理を行い、伝達関数は測定された信号をクリアランスに変換するために用いられる。また、プローブ先端部のそれぞれのゲインのエラー補正は、この種のシステムでは対処されない。
【0004】
さらに、これらのクリアランス測定システムは、典型的には、設計およびオフライン・テストの間、部品間のクリアランスを測定するために使用される。残念なことに、他の要因の中でも、これらの既存のシステムは、部品の形状寸法の変化によって、発生するノイズおよび変動のため実使用期間中での測定には使用できない。その代わりに、実使用期間中でのクリアランス制御は、以前部品の設計およびオフライン・テストの段階で測定されたクリアランス測定に基づいてなされる。部品が実使用を通して磨耗するにつれて、オフラインでの測定値は実使用上のクリアランス制御のためには使えなくなる。
【0005】
したがって、一つ先端エラーおよび変動を検出して、修正することによって、2つの部品の間のクリアランスの正確な測定を提供する複数先端クリアランス測定システムを提供するためのニーズが存在していた。運転中のパーツのための、正確なクリアランス測定に使用できる自己調整可能なクリアランス測定システムを提供することも、有利である。
【特許文献1】米国特許第4,063,167号明細書
【特許文献2】米国特許第4,806,848号明細書
【特許文献3】米国特許第6,691,222号明細書
【特許文献4】欧州特許第0879394号明細書
【発明の開示】
【0006】
簡単に言えば、一実施例に従って複数先端クリアランス測定システムが提供されている。本クリアランス測定システムは、第1の対象物に配置され、該センサが第2の対象物に対応する検出されたパラメータを表示する信号を生成するように構成される複数のプローブ先端部を含むセンサと、異常値プローブ先端部を検出して、それぞれの異常値プローブ先端部のゲインまたはオフセットを調整するためにプローブ先端部から検出されたパラメータのサブセットから信号を評価し、該信号に基づき第1の対象物と第2の対象物との間のクリアランスを測定するように構成される処理装置とを含む。
【0007】
他の実施形態では、第1の対象物と第2の対象物との間のクリアランスを測定する方法が開示されている。この方法は、複数のプローブ先端部を有するセンサを介して第1であるか第2の対象物に対応する検出されたパラメータを表示する複数の信号を受信して、プローブ先端部から検出されたパラメータの同時に得られたサブセットに基づいて第1の対象物と第2の対象物との間のクリアランスを測定することを含む。本方法は、また異常値プローブ先端部を検出するためにプローブ先端部から検出された上記パラメータの上記サブセットから上記測定されたクリアランスを分析し、かつ、上記複数の信号に基づいて上記クリアランスを測定する為に、上記複数の信号に基づき上記異常値プローブ先端部のゲインかオフセットを調整する。
【0008】
他の実施形態では、第1の対象物と第2の対象物との間のクリアランスを測定する方法が提供されている。本方法は、複数のプローブ先端部を有するセンサを介して第1か第2の対象物に対応する検出されたパラメータを表す複数の信号を受信して、このプローブ先端部から検出したパラメータの同時に得られたサブセットに基づく第1の対象物と第2の対象物との間のクリアランスを測定することを含む。本方法は、異常値プローブ先端部を検出するためにプローブ先端部から検出された上記パラメータの上記サブセットから上記測定されたクリアランスを分析して、上記異常値プローブ先端部以外のプローブ先端部から検出された信号に基づいてこのクリアランスを測定するも含む。
【0009】
他の実施形態では、回転機器が用いられている。この回転機器は、静止部品から離れて間隔を置いた回転要素と、静止部品に配置され、回転要素に対応した検出されたパラメータを表示する信号を生成するように構成される複数のプローブ先端部を含む。この回転機器は、静止部品と回転部品との間にクリアランスを測定するために、このプローブ先端部から検出されたこのパラメータのサブセットからの信号を評価し、異常値プローブ先端部を検出し、各異常値プローブ先端部のゲインまたはオフセットを調整するように構成される処理装置も含む。
【0010】
他の実施形態では、複数先端クリアランス測定システムの健全を監視する方法が、提供されている。この方法は、複数のプローブ先端部を有するセンサを介して第1か第2の対象物に対応する検出されたパラメータを表す複数の信号を受信して、この複数のプローブ先端部から受け取られる複数の信号を保存することを含む。この方法は、プローブ先端部から検出されたパラメータの同時に得られたサブセットに基づく第1の対象物と第2の対象物との間のクリアランスを測定して、異常値プローブ先端部を検出するためにプローブ先端部から検出されたパラメータのサブセットから測定されたクリアランスを分析することも含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下の詳述が、図面の全体にわたって同じ文字が同じパーツを表された添付図面を参照しながら読み込まれるときに、本発明のこれらのそしてまた他の、特徴、態様および効果はよりよくよく理解されているようになる。
【0012】
以下に詳説されるとおり、蒸気タービン、発電機、タービンエンジン(例えば飛行機タービンエンジン)、回転要素を有する機械のようなさまざまなシステムの2つの対象物の間にクリアランスの正確な測定値を提供する技術機能の実施例が述べられる。特に、本技術は、プローブ先端部エラーを検出し補正する半径方向のおよび軸方向のクリアランス測定システムにおけるゲインエラー補正のための信号補正法を使用する。図面を参照しながら、図1は、蒸気タービン10の2つの対象物の間にクリアランスを測定するための複数先端クリアランス測定システム12を有する蒸気タービン10を例示する。図示の実施例では、クリアランス測定システム12は蒸気タービン10の回転部品14と静止部品16との間にクリアランスを測定するために構成される複数のプローブ先端部を有するセンサを含む。そして、それは以下に詳細に記載されている。
【0013】
図2は例えば図1にて図示したように、蒸気タービン20のような回転機器を例示する。そこにおいて、本技術の態様は回転部品と静止部品との間にクリアランスを測定するために組み込まれることができる。蒸気タービン20は、固定ハウジング24の中に配置されるローター22を含む。バケットと呼ばれる複数のタービン羽根26は、ローター22に添付される。動作時に、ブレード26には高温および圧力の蒸気に照射されて、このブレード26は軸を中心に回転する。このブレード26は、ブレード26周辺に放射状に、そして、円周方向に配置される固定ハウジングまたは囲い板24の範囲内で回転する。ブレード26と囲い板24との間に動作流体(すなわち蒸気)の過剰なリークも防止すると共に、囲い板24の範囲内でブレード26の回転を促進するために、比較的小さいクリアランスがブレード26と囲い板24との間に存在する。本技術によれば、例えば参照番号28、30、32によって、表した一つ以上のクリアランス・センサは、静止囲い板24周辺で円周方向に配置される。図示の実施例では、クリアランス・センサ28、30および32の各々は、ブレード26に対応する検出されたパラメータの信号を生成するように構成される複数のプローブ先端部を含む。更に、ブレード26と囲い板24との間のクリアランスは、すべてのプローブ先端部からの信号のゲインの関数として、測定される。
【0014】
一つの実施例では、クリアランス・センサ28、30および32は容量プローブを含む、そして、検出されたパラメータは静電容量を含む。他の実施形態では、クリアランス・センサ28、30および32は渦電流センサを含む、そして、検出されたパラメータは誘導電流を含む。以下に詳細に説明されるように、センサ28、30および32の各々は、それぞれの周囲の場所で囲い板24に関してブレード26の半径方向のおよび軸方向の位置を表す信号を生成するように構成される。
【0015】
図2において、例示される実施例において、検出されたパラメータを表す信号はセンサ28、30および32により検出される。そして、信号はそれから、信号を処理するための処理装置34に送られる。特に、プローブ先端部から同時に検出されたパラメータのサブセットは、ブレード26と囲い板24との間にクリアランスを測定するための異常値・プローブ先端部を検出するために評価される。より詳しくは、他のサブセットとの一致に、ブレード26と囲い板24との間にクリアランスを測定するように、それぞれの異常値プローブ先端部のゲインは調整される。更に、センサ28、30および32によるクリアランス測定は、クリアランス制御装置36を介して囲い板24とタービンブレード26との間のクリアランスを制御するために使われる。センサ28、30および32の各々のための異常値プローブ先端部の検出技術は、図5から図6を参照しながら下記のとおりより詳細に記載されている。
【0016】
さて、図3を参照して、横断面図は図1の蒸気タービン10の一番下または下部40のために示される。そして、本技術で測定されることができる典型的な半径方向のおよび軸方向のクリアランスを例示する。図示の実施例では、ブレード26の先端は、囲い板24の内周部に提供した溝44へかみ合う包装歯またはシール歯42を含む。本実施例において、クリアランス測定システム12(図1を参照)は、ブレード26の先端と囲い板24との間の半径方向のおよび軸方向におけるクリアランスを測定するための囲い板24に連成されていてもよい。
【0017】
図4は、囲い板の部分46および図3の蒸気タービンのブレードの詳細な横断面図である。図示するように、シール歯42および囲い板24間の半径方向のクリアランスは参照番号48として、そして、歯42と囲い板24の軸方向のクリアランスは参照番号50によって、表した。本実施例において、半径方向のおよび軸方向のクリアランス48および50は、中心の歯と囲い板との間のクリアランスを表す。当業者により理解されるように、他のシール歯と囲い板24との間のクリアランスは、本技術によって、同じように測定されることができる。
【0018】
ある種の実施形態では、囲い板24およびローター26の熱膨張の率の違いのため、軸方向のクリアランス48がゼロまで減る可能性が有り、シール歯42と溝44との間の干渉を導く。更に、この膨張率の差のために、ローター26は囲い板24に関して軸方向に伸びることがあり、溝44の中で歯42の軸方向の摩擦が生じ、部品上の磨耗率を上昇させる。これらの望ましくない干渉も、部品の損傷につながる。本技術は半径方向のおよび軸方向のクリアランス48および50のオンライン測定を提供する。そして、それはこれらのクリアランスを許容範囲の中の値に維持するために閉ループ制御策に組み込むことができる。この制御策は、例えば、囲い板24の熱アクチュエーションを含むことができ、囲い板24およびシール歯42間のクリアランスが減少するときに適切に拡大される。本実施例において、熱アクチュエータは、囲い板24の変化をもたらすために、熱膨張の特性を利用して。特定の他の実施例において、機械アクチュエータは、囲い板24の中でブレード26の軸方向の伸びを補償するために用いることができる。
【0019】
当業者により理解されるように、2つの対象物間の静電容量は、2つの対象物間の重なり域と分離の関数である。本実施例において、ローター26および囲い板24間の静電容量は軸方向のクリアランス48および重なり域の関数である。そして、それは囲い板24に関してシール歯42の軸方向のクリアランス50に正比例する。ローター26が放射状に拡大するにつれて、シール歯42と囲い板24との間の軸方向のクリアランス48は変化する。同様に、シール歯42が軸方向に溝44を横切るにつれて、シール歯42によって、カバーされるセンサヘッドの領域は変化する。これらの変化は、測定された静電容量の変化を生じさせることになる。後述する本技術の態様によれば、静電容量の変化は軸方向のおよび半径方向の変位と相関しており、それ故、複合的なクリアランス測定を行うことができる。複数先端クリアランス測定システム12を経た半径方向のおよび軸方向のクリアランス48および50の測定値は、図5―6を用いて更に後述する。
【0020】
前述のように、複数先端クリアランス測定システム12は、検出されたパラメータの信号を生成するように構成される複数のプローブ先端部を有するセンサを含む。加えて、プローブ先端部のサブセットからの信号は、2つの対象物の間にクリアランスを測定するための処理装置34(図2を参照)を介して評価される。特に、複数のプローブ先端部からの信号は、異常値プローブ先端部を検出して、異常値プローブ先端部のゲインやオフセットを調整するために、各々に対して評価され、それに2つの対象物の間にクリアランスを測定する為に他の先端部と整合するようされている。一実施例では、センサは、少なくとも3つのプローブ先端部を含む。他の実施形態では、センサは、図5を用い後述するように、静止部品24と回転部品26との間に半径方向のおよび軸方向のクリアランス48および50を測定するように構成される少なくとも4つのプローブ先端部を含む。
【0021】
図5は、図1の複数先端クリアランス測定システム12のために使用されるセンサ26、28および30の典型的な構成60の平面図を例示する。図示の実施例では、センサ60は、例えば、電気伝導軸を含むことができる複数の容量性プローブ先端部62、64、66および68を含む。プローブ62、64、66および68の図示された形状寸法および相対的な位置は、大きな軸方向変位範囲(例えば0.5インチ以上)の測定を可能とする一方、例えば、0.01インチのオーダーといった、半径方向の変位測定するために望ましい解像度をも提供する。上記の特徴は、回転部品14(図1を参照)の軸方向変位量が囲い板16(図1を参照)に関する半径方向の変位より実質的に大きいアプリケーションで有利である。特定の他の応用例において、半径方向の変位が軸方向変位量より大きい所で、より大きいプローブ先端部は必要となり得る。更に、この種の装置は、比較的大きい軸方向の分離が所望の軸方向の解像度を成し遂げる為に必要となる。一実施例において、センサ60は、楕円形要素を含むことができる。代替の実施形態では、センサ60は、重なり合う三角形素子を含むことができる。
【0022】
図示の実施例では、プローブ62、64、66および68はスタガー方法に置かれる。そして、重なり域の変化に感度を最大にするセンサヘッドに、ダイヤモンド形の構成を有する。他のスタガー構成は、プローブの数が大小しる複数の実施例において、考えられることが可能である。ヘッドまたはチップ部のプローブ62、64、66および68の直径は、それら間とブレード14の先端との十分なオーバーラップ領域を提供するのに十分且つ適度に大きい。例示の実施例において、すなわち蒸気タービン・アプリケーションのために、プローブ62、64、66および68は、ニッケル、アルミニウム、コバルトまたはそれらの組み合わせ(例えばコバー)から成る材料から形成されることができる。しかしながら、より高い温度(例えば摂氏1000度を上回る温度)を含んでいるアプリケーションで、材料から成っているプラチナ、ロジウムまたはそれらの組み合わせが、プローブ62、64、66および68のために用いられることが可能である。
【0023】
プローブ先端部62、64、66および68は、静止部品16と回転部品14(図1を参照)との間に静電容量を表示する信号を生成するように構成される。更に、静止部品16と回転部品14との間のクリアランスは、プローブ先端部62、64、66および68から検出された静電容量の同時に得られるサブセットに基づいて測定される。図示の実施例では、各サブセットは、少なくとも2つのプローブ先端部から検出された静電容量を含む。当業者により理解されるように、センサ構成によっては、検出されたパラメータのサブセットがより大きな数のプローブ先端部の為に想定される。ある具体例では上記のプローブ先端部構成60のために、検出された静電容量の6つのサブセットが、クリアランス推定のために分析される。例えば、例示の実施例で、第1のサブセットはプローブ先端部62および64から検出された静電容量を含み、第2のサブセットはプローブ先端部62および66から検出された静電容量を含む。同様に、第3のサブセットはプローブ先端部62および68から検出された静電容量を含み、第4のサブセットはプローブ先端部64および66から検出された静電容量を含む。更に、第5のサブセットはプローブ先端部64および68から検出された静電容量を含み、第6のサブセットはプローブ先端部66および68から検出された静電容量を含む。3つの先端のさらに3つのサブセットは、各々分析されることもできる。
【0024】
動作時において、処理装置34(図2を参照)を介して、上記のサブセットの各々のためにクリアランス・ルックアップが実行される。この処理装置34はルックアップ表または較正曲線を使用できる、または、検出された静電容量に基づいたクリアランスを測定するためのアナリティカルテーブルまたは計算、またはそれらの組み合わせが用いられる。ある種の実施形態では、サブセットのいくつかは、エラーまたは変動のため大きいクリアランスを経験することがあるが、このよう場場合には評価から除去され得る。軸方向の位置に応じて、若干のサブセットがバケットから物理的に大きな間隔をおいて配置されてもよく、これは、非常に小さい信号を発生する。概して、小さい信号は、ノイズまたはその他にエラー源よって支配されやすい。この種のサブセットは、考慮から除外されるか、または、他のサブセットより低くウエイトで考慮されてもよい。すべての残りの同時に得られたサブセットからの測定されたクリアランスが一致している場合、信号は健全であると考えられ、そして、クリアランスの推定はこの種のサブセットからの信号に基づいて完了される。あるいは、すべての同時に得られたサブセットからの測定されたクリアランスが一致していると言えない場合、この種の信号は複数のプローブ先端部62、64、66および68の中の異常値先端を検出するために分析される。
【0025】
例えば、プローブ先端部62、64および64、66第1のおよび第4のサブセットからの検出された静電容量がこれらのサブセットから測定されたクリアランスに大きいエラーを呈する場合、プローブ先端部64が異常値先端であると検出される。一実施例において、クリアランスは、異常値先端以外の先端からの信号に基づき測定されることができる。例えば、本実施例において、クリアランスは、プローブ先端部62、66および68から信号を処理することにより測定されることができる。代替の実施形態では、異常値先端のゲイン、または、オフセットが、他のプローブ先端部と一致するように調整され、長期間にわたって起り得るパフォーマンス変動を修正される。このように、上記の例示的実施形態で、調整されたゲインを有するプローブ先端部64とともに、プローブ先端部62、66、68からクリアランスは測定される。
【0026】
図6は、図1の複数先端クリアランス測定システム12を作動する方法70を図示しているフローチャートである。本方法は、ステップ72により表されるように、複数のプローブ先端部を有するセンサから複数の信号を受け取ることを含む。複数の信号は、第1の対象物と第2の対象物との間で検出されたパラメータを表す。一実施例において、センサは容量プローブを含み、検出されたパラメータは静電容量を含む。あるいは、センサは渦電流センサを含む、そして、検出されたパラメータは誘導電流を含む。ステップ74で、検出されたパラメータの複数の同時に得られたサブセットが形成される。一実施例において、各同時に得られたサブセットは、少なくとも2つのプローブ先端部から検出されたパラメータを含む。更に、ステップ76により表されるように、第1の対象物と第2の対象物との間のクリアランスは処理装置を介してプローブ先端部から検出されたパラメータの同時に得られたサブセットの各々に基づいて測定される。特定の実施例においては、ルックアップ表または較正曲線、あるいは、アナリティカルテーブル、または計算、またはそれらの組み合わせが、検出されたパラメータに基づくクリアランスを測定するために使用されることができる。
【0027】
ステップ78で、検出されたパラメータの同時のサブセットから測定されたクリアランスがすべてのサブセット間で一致しているかどうか、処理装置は決定する。測定されたクリアランスがサブセット間で一致している場合、クリアランス処理は完了されて、第1の対象物と第2の対象物との間のクリアランスはすべてのこの種のサブセット(ステップ80)からの信号に基づいて測定される。あるいは、サブセットからの測定されたクリアランスがすべてのサブセット間で一致していると言えない場合、処理装置はゲイン(ステップ82)におけるエラーに貢献している異常値プローブ先端部を決定する。「ゲイン」という用語が電子回路を含んでいる完全なクリアランス測定システム12のゲインを参照する点に留意する必要がある。例えば、実施例において、プローブ先端部が腐食して、サイズがより小さくなる場合、システムの電子的なゲインは変化しないが、全体の信号はシステムのゲインの減少という効果に貢献して小さくくなる。
【0028】
一実施例において、ステップ84により表されるように、異常値先端のゲイン、またはオフセットが残りのプローブ先端と一致するように調整される。更に、ステップ86により表されるように、クリアランスは調整されたゲインあるいはオフセットによって、異常値プローブ先端部を含むすべてのプローブ先端部からの信号に基づいて測定される。代替の実施形態では、異常値プローブ先端部からの信号はクリアランス推定から除去されて、クリアランスは異常値先端以外のプローブ先端部からの信号に基づいて測定される(ステップ88および86)。複数先端クリアランス・システムの複数のプローブ先端部の中の異常値先端を検出することがクリアランス測定システムの健全状態の監視をする点に留意する必要がある。実施例において、クリアランスの正確な推定のために異常値先端は、クリアランス測定システムから交換されることができる。あるいは、異常値プローブ先端部からの信号はクリアランス推定から除去されることができる。あるいは、異常値プローブ先端部のゲインは、それぞれのプローブ先端部に起因するエラーまたは変動を修正するように調整されることができる。
【0029】
上記の方法のさまざまな態様は、異なるアプリケーションに利用することが出来る。例えば、上記技術は、蒸気タービンの回転部品と静的部品との間にクリアランスを測定するために使うことができる。この技術が、特定のほかの応用において、例えば発電機の静止部品と回転部品との間にクリアランスを測定するために、用いる事もできる。上記のように、さらに一般的に言えば、本願明細書において、記載されている方法は、センサエレメントの誤り検出とデータセンサートラッキングのためのデータ・サブセットを用いた複数先端クリアランス測定システムによる対象物間のクリアランスの正確な測定を提供するために有利であり、このことにより必要な信号調整のレベルを減らしている。更に、本技術は特にパーツ間の正確なクリアランス測定のための、自己調整しているセンサシステムを提供するために有利であり、運転中の長期間にわたる間、パーツ間のより良好なクリアランス制御を可能にする。
【0030】
本発明の特定の特徴だけが例示されて、本願明細書において、開示されているが、多くの変更と改変が当業者によって、なされ得る。従って、添付された特許請求の範囲は、本発明の要旨の範囲内に含まれるこのようなすべての変更と改変をカバーすることを意図している。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本技術の実施例に従う複数先端クリアランス測定システムを有する蒸気タービンを表す斜視図。
【図2】本技術の実施例に従って回転バケットとキャリアとの間のクリアランスを測定するための複数先端クリアランス測定システムを有する図1の蒸気タービンの透視図。
【図3】本クリアランス制御技術が現在の技術の実施例に従って使うことができる図2の一部の蒸気タービンの横断面図。
【図4】本技術の実施例に従う、図3の詳細な横断面図。
【図5】本技術の実施例に従う、図1の複数先端クリアランス測定システムのために使用されるセンサの典型的な構成を例示する。
【図6】本技術の実施例に従う、図1の複数先端クリアランス測定システムを作動する方法を例示している流れ図。
【符号の説明】
【0032】
10 蒸気タービン
12 複数先端クリアランス測定システム
14 回転部品
16 静止部品
20 タービン
22 ローター
24 囲い板(ハウジング)
26 ブレード
28 センサ
30 センサ
32 センサ
34 処理装置
36 クリアランス制御装置
40 下部
42 シール歯
44 溝
48 ラジアルクリアランス
50 クリアランス
60 センサ(プローブ先端部構成)
62 プローブ先端部
64 プローブ先端部
66 プローブ先端部
68 プローブ先端部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の対象物(24)に配置されたセンサであって第2の対象物(26)に対応する検出されたパラメータを表示する信号を生成するように構成される複数のプローブ先端部(62、64、66、68)を含むセンサ(28)と、
異常値プローブ先端部を検出して、それぞれの異常値プローブ先端部のゲインまたはオフセットを調整するためにプローブ先端部(62、64、66、68)から検出されたパラメータのサブセットから信号を評価し、該信号に基づき第1の対象物(24)と第2の対象物(26)との間のクリアランスを測定するように構成される処理装置(34)と、
を含む複数先端クリアランス測定システム(12)。
【請求項2】
前記センサ(28)が少なくとも3つのプローブ先端部を含む請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
処理装置(34)が異常値プローブ先端部以外のプローブ先端部に対応する信号を処理することによって、第1の対象物(24)と第2の対象物(26)との間のクリアランスを測定するように構成された請求項1記載のシステム。
【請求項4】
前記センサ(28)は静電容量センサを含み、前記検出されたパラメータは静電容量を含む請求項1記載のシステム。
【請求項5】
前記センサ(28)は渦電流センサを含み、前記検出されたパラメータは誘導電流を含む請求項1記載のシステム。
【請求項6】
前記処理装置(34)がルックアップ表、または較正曲線、または分析モデル、または計算、またはこれらの組み合わせを含み、前記プローブ先端部(62、64、66、68)から検出されたパラメータのサブセットからの信号に基づいて、クリアランスを測定し、異常値プローブ先端部を検出する請求項1記載のシステム。
【請求項7】
複数のプローブ先端部を有するセンサを介して第1の対象物または第2の対象物に対応する検出されたパラメータを表示する複数の信号を受信し、
前記プローブ先端部から検出されたパラメータの同時に得られたサブセットに基づいて前記第1の対象物と第2の対象物との間のクリアランスを測定し、
異常値プローブ先端部を検出するためにプローブ先端部から検出された前記パラメータの前記サブセットから前記測定されたクリアランスを分析し、かつ、
前記複数の信号に基づいて前記クリアランスを測定する為に、前記複数の信号に基づき前記異常値プローブ先端部のゲインかオフセットを調整する第1の対象物と第2の対象物との間のクリアランスを測定する方法。
【請求項8】
複数のプローブ先端部を有するセンサを介して第1の対象物または第2の対象物に対応する検出されたパラメータを表示する複数の信号を受信し、
前記プローブ先端部から検出されたパラメータの同時に得られたサブセットに基づいて前記第1の対象物と前記第2の対象物との間のクリアランスを測定し、
異常値プローブ先端部を検出するためにプローブ先端部から検出された前記パラメータの前記サブセットから前記測定されたクリアランスを分析し、かつ、
前記異常値プローブ先端部以外のプローブ先端部から検出された信号に基づいて前記クリアランスを測定する第1の対象物と第2の対象物との間のクリアランスを測定する方法。
【請求項9】
静止部品(24)から離れて間隔を置いた回転部品(22)と、
静止部品(24)に配置され、回転部品(22)に対応した検出されたパラメータを表示する信号を生成するように構成される複数のプローブ先端部(62、64、66、68)を含むセンサ(28)と、
前記静止部品(22)と前記回転部品(24)との間にクリアランスを測定するために、前記プローブ先端部(62、64、66、68)から検出された前記パラメータのサブセットからの信号を評価し、異常値プローブ先端部を検出し、各異常値プローブ先端部のゲインまたはオフセットを調整するように構成される処理装置(34)と、を含む回転機器(20)。
【請求項10】
複数のプローブ先端部を有するセンサを介して第1の対象物か第2の対象物に対応する検出されたパラメータを表す複数の信号を受信し、
前記複数のプローブ先端部から受けた前記複数の信号を格納し、
プローブ先端部からの検出されたパラメータの同時に得られたサブセットに基づく前記第1の対象物と前記第2の対象物との間のクリアランスを測定し、かつ、
異常値プローブ先端部を検出するために該プローブ先端部から検出されたパラメータのサブセットから測定されたクリアランスを分析する複数先端クリアランス測定システムの健全を監視する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−271625(P2007−271625A)
【公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−88560(P2007−88560)
【出願日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【Fターム(参考)】