説明

複数組電池の状態監視ユニット

【課題】高電圧バッテリを構成する複数組電池のセル電圧と充放電電流を、高圧側と低圧側とで別々に測定する場合に、両者の測定タイミングを同期させること。
【解決手段】メインマイコン33が電圧検出起動指令を出力した時点から、各電圧監視用IC21−1〜21−5が対応する単位セルBT1〜BT11,BT12〜BT22,BT23〜BT33,BT34〜BT44,BT45〜BT55の電圧をそれぞれ測定する時点までの所要時間を、予めメインマイコン33のRAM33aに待機時間として格納しておく。そして、電圧検出起動指令を通信線31に出力した後、RAM33aに格納した待機時間が到来する度に、二次電池13の充放電電流を電流センサ37を用いて測定する。同じタイミングで測定された電圧と電流は、関連付けられてメインマイコン33のRAM33aに記憶される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の単位セルを直列接続して所望の電圧を出力する複数組電池の状態を監視するユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、ハイブリッド車両では、モータの駆動電源として、複数組電池を備えている。複数組電池は、例えば、ニッケル・水素電池やリチウム電池などの二次電池(蓄電式電池)の単位セルを複数個直列接続して高電圧を得ている。
【0003】
このような複数組電池においては、各単位セルが過放電状態や過充電状態とならないように、各単位セルの充電状態を監視する必要がある。単位セルの充電状態を監視するには、各単位セルの電圧と複数組電池の充放電電流とを測定する必要がある。これらを測定することで、複数組電池が充電と放電のどちらの状態にあるかを認識した上で各単位セルの充電状態を把握することができ、また、各単位セルの抵抗値を算出して各単位セルの劣化状態を判別することができる。
【0004】
ところで、複数組電池の制御装置は、複数組電池の充放電回路と接続される高圧側と、この高圧系から絶縁された低圧側との2系統設けられる。高圧側の制御装置は各単位セルに対応して複数設けられ、各高圧側の制御装置では各単位セルの電圧測定が行われる。測定した各単位セルの電圧は、フォトカプラ等の非接触コネクタを介して低圧側の制御装置に出力される。低圧側の制御装置では、非接触型の電流センサを用いて複数組電池の充放電電流の測定が行われる。測定された複数組電池の充放電電流は、各高圧側の制御装置から入力された各単位セルの電圧と共に、そのまま又は加工されて、車両の上位コンピュータに出力される。
【0005】
このように、単位セルの電圧を高圧側の制御装置で測定し、複数組電池の充放電電流を低圧側の制御装置で測定する場合は、両者の測定タイミングを同期させる必要がある。その理由の一つとして、ハイブリッド車両では車両の加速と減速とが頻繁に行われることが挙げられる。
【0006】
車両の加速と減速とが入れ替わると、モータジェネレータの力行状態と回生状態とが入れ替わって、複数組電池の充放電状態も入れ替わる。したがって、単位セルの電圧測定のタイミングと複数組電池の充放電電流の測定タイミングとが同期していないと、実際には複数組電池の放電中に測定した単位セルの電圧を、複数組電池の充放電電流の測定結果から充電中の電圧と取り違えて、バッテリの充電状態を誤認識してしまう可能性がある。また、上述した同期が取れていないと、単位セルの電圧と複数組電池の充放電電流とから単位セルの抵抗を正確に判定できなくなる可能性がある。
【0007】
そこで、各高圧側の制御装置から低圧側の制御装置に各単位セルの測定電圧が個別に入力される場合には、単位セルの測定電圧の入力タイミングと同期して低圧側の制御装置が複数組電池の充放電電流を測定することで、上述した同期を取ることができる(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2009−50085号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述した従来技術における同期の取り方は、低圧側の制御装置がどの高圧側の制御装置から単位セルの測定電圧が入力されるかを判別できることを前提としている。そのためには、低圧側の制御装置が各高圧側の制御装置に電圧測定コマンドを個別に出力して、この電圧測定コマンドに呼応した単位セルの測定電圧の入力がどの高圧側の制御装置からのものであるかを、低圧側の制御装置が判別できるようにする必要がある。
【0010】
したがって、低圧側の制御装置が全ての高圧側の制御装置に共通の電圧測定コマンドを出力し、これに呼応して各高圧側の制御装置が対応する単位セルの測定電圧を低圧側の制御装置に出力する場合には、各単位セルの電圧測定のタイミングと複数組電池の充放電電流の測定タイミングとを同期させることが困難になる。それは、各高圧側の制御装置に対する電圧測定コマンドが共通であることから、低圧側の制御装置に単位セルの測定電圧が入力された際に、どの高圧側の制御装置からのものであるかを低圧側の制御装置が判別できないからである。
【0011】
本発明は前記事情に鑑みなされたもので、本発明の目的は、直列に接続された複数の単位セルにそれぞれ対応する全ての高圧側の制御装置が、低圧側の制御装置からの共通の電圧測定コマンドに呼応して、対応する単位セルの測定電圧を低圧側の制御装置に出力する場合にも、各単位セルの電圧測定タイミングと複数組電池の充放電電流の測定タイミングとの同期を図ることができる、複数組電池の状態監視ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するため、請求項1に記載した本発明の複数組電池の状態監視ユニットは、複数組電池の直列に接続された複数の単位セルにそれぞれ対応する複数の電圧監視装置が設けられる高圧側と、該高圧側とは電気的に絶縁されて前記各電圧監視装置を制御する主制御装置が設けられる低圧側とを有し、前記単位セルの電圧測定を指示する電圧測定コマンドが、デイジーチェーン方式の通信回線を介して前記主制御装置から前記各電圧監視装置にそれぞれ送信される複数組電池の状態監視ユニットにおいて、前記主制御装置は、前記電圧測定コマンドの前記通信回線への送信から、該電圧測定コマンドを受信した前記電圧監視装置による前記単位セルの電圧測定までの、前記各電圧監視装置毎の所要時間に基づいて決定された待機時間を記憶する記憶手段を有しており、前記電圧測定コマンドの前記通信回線への送信から前記待機時間が経過した時点で、前記複数組電池の充放電電流を測定することを特徴とする。
【0013】
請求項1に記載した本発明の複数組電池の状態監視ユニットによれば、主制御装置は、各電圧監視装置にデイジーチェーン方式で電圧測定コマンドを送信した後、待機時間が経過すると、複数組電池の充放電電流を測定する。この待機時間は、電圧測定コマンドの送信から各電圧監視装置において単位セルの電圧測定がそれぞれ行われるまでの所要時間に基づいて決定される。
【0014】
したがって、主制御装置が複数組電池の充放電電流を測定するタイミングは、各電圧監視装置が単位セルの電圧を測定するタイミングと関連性を持つタイミングとなる。このため、共通の電圧測定コマンドにより各電圧監視装置にそれぞれ単位セルの電圧を測定させる場合であっても、各単位セルの電圧測定タイミングと複数組電池の充放電電流の測定タイミングとの同期を図ることができる。
【0015】
また、請求項2に記載した本発明の複数組電池の状態監視ユニットは、請求項1に記載した本発明の複数組電池の状態監視ユニットにおいて、前記各電圧監視装置が、対応する前記各単位セルの電圧測定時に出力が変化する測定タイミング検出回路を内蔵しており、前記所要時間が、前記主制御装置による前記電圧測定コマンドの前記通信回線への送信から前記各電圧監視装置の前記測定タイミング検出回路の出力変化までの時間であることを特徴とする。
【0016】
請求項2に記載した本発明の本発明の複数組電池の状態監視ユニットによれば、請求項1に記載した本発明の複数組電池の状態監視ユニットにおいて、各電圧監視装置が対応する単位セルの電圧を測定するタイミングを、各電圧監視装置が内蔵する測定タイミング検出回路の出力変化によって認識できるようになる。したがって、主制御装置が電圧測定コマンドを出力してから電圧監視装置が単位セルの電圧を測定するまでの所要時間を確実に把握できるようにし、主制御装置の記憶手段に記憶させる待機時間を適切な時間に決定することができる。
【0017】
さらに、請求項3に記載した本発明の複数組電池の状態監視ユニットは、請求項1又は2に記載した本発明の複数組電池の状態監視ユニットにおいて、前記各電圧監視装置毎の前記所要時間の最大時間差が、前記単位セルの電圧測定タイミングと前記複数組電池の充放電電流測定タイミングとの間に許容された最大時間差以内に収まっており、前記待機時間が、前記各電圧監視装置毎の前記所要時間の平均値又は該平均値に最も近い中間値に決定されていることを特徴とする。
【0018】
請求項3に記載した本発明の複数組電池の状態監視ユニットによれば、請求項1又2に記載した本発明の複数組電池の状態監視ユニットにおいて、電圧測定コマンドの送信から待機時間が経過して複数組電池の充放電電流が測定されるタイミングに対する、各電圧監視装置が対応する単位セルの電圧をそれぞれ測定するタイミングの時間差は、最大でも、両者の間に許容された最大時間差以内に収まることになる。したがって、各単位セルの電圧測定タイミングと複数組電池の充放電電流の測定タイミングとの間に、必要なレベルでの同期を取ることができる。
【0019】
また、請求項4に記載した本発明の複数組電池の状態監視ユニットは、請求項1又は2に記載した本発明の複数組電池の状態監視ユニットにおいて、前記記憶手段に、前記待機時間として前記各電圧監視装置の前記所要時間がそれぞれ記憶されており、前記主制御装置が、前記電圧測定コマンドの前記通信回線への送信から前記待機時間としての前記各電圧監視装置の前記所要時間がそれぞれ経過した時点で、前記複数組電池の充放電電流をそれぞれ測定することを特徴とする。
【0020】
請求項4に記載した本発明の複数組電池の状態監視ユニットによれば、請求項1又2に記載した本発明の複数組電池の状態監視ユニットにおいて、各電圧監視装置が対応する単位セルの電圧をそれぞれ測定するタイミングが到来する毎に、電圧測定コマンドの送信から待機時間が経過した時点が到来して、複数組電池の充放電電流がその都度測定されることになる。したがって、各単位セルの電圧測定タイミングにそれぞれ複数組電池の充放電電流の測定タイミングを同期させることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明の複数組電池の状態監視ユニットによれば、共通の電圧測定コマンドにより各電圧監視装置にそれぞれ単位セルの電圧を測定させる場合であっても、各単位セルの電圧測定タイミングと複数組電池の充放電電流の測定タイミングとの同期を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施形態に係る複数組電池の状態監視ユニットの電気的な概略構成を示すブロック図である。
【図2】図1の電圧監視装置の詳細な構成を示すブロック図である。
【図3】図2の各電圧監視装置のコントロール部が行う処理を示すフローチャートである。
【図4】図1の主制御装置が行う処理を示すフローチャートである。
【図5】図1の主制御装置が行う処理を示すフローチャートである。
【図6】図1の主制御装置が行う処理を示すフローチャートである。
【図7】本発明の他の実施家板に係る複数組電池の状態監視ユニットの主制御装置が行う処理を示すフローチャートである。
【図8】本発明の他の実施家板に係る複数組電池の状態監視ユニットの主制御装置が行う処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明による複数組電池の状態監視ユニットの実施形態を、図面を参照しながら説明する。
【0024】
図1は本発明の一実施形態に係る複数組電池の状態監視ユニットの電気的な概略構成を示すブロック図である。図1中引用符号10で示す複数組電池の状態監視ユニット(以下、「状態監視ユニット」と略記する。)は、リチウム電池等の単位セルを複数直列接続した二次電池13(請求項中の複数組電池に相当)の電圧を管理するものである。この二次電池13は、車両(図示せず)の推進用モータMの電源として使用される。本実施形態では、55個の単位セルBT−1〜BT−55を直列接続することで二次電池13を構成している。この二次電池13は、例えば、ハイブリッド車両や電気自動車に用いられるモータを駆動するための高電圧バッテリとして用いられる。
【0025】
図1に示すように、本実施形態に係る状態監視ユニット10は、絶縁インターフェース32を介して、高電圧側装置11(請求項中の高圧側に相当)と低電圧側装置12(請求項中の低圧側に相当)に分離されている。
【0026】
高電圧側装置11は、5個の電圧監視用IC、即ち、第1電圧監視用IC21−1〜第5電圧監視用IC21−5(請求項中の電圧監視装置に相当)を備えている。そして、第1電圧監視用IC21−1は、第1ブロック61−1として区切られた11個の単位セルBT1〜BT11の出力電圧を測定する。また、第2電圧監視用IC21−2は、第2ブロック61−2として区切られた11個の単位セルBT12〜BT22の出力電圧を測定し、同様に、第3電圧監視用IC21−3は、第3ブロック61−3として区切られた11個の単位セルBT23〜BT33の出力電圧を測定し、第4電圧監視用IC21−4は、第4ブロック61−4として区切られた11個の単位セルBT34〜BT44の出力電圧を測定し、第5電圧監視用IC21−5は、第5ブロック61−5として区切られた11個の単位セルBT45〜BT55の出力電圧を測定する。
【0027】
また、各電圧監視用IC21−1〜21−5はそれぞれ、A/D変換器26(図2参照)を備えており、A/D変換用の基準電源71−1〜71−5より出力される基準電圧を用いて、各ブロック(第1ブロック〜第5ブロック)に設けられる各単位セル毎に測定された電圧信号をディジタルの電圧信号に変換する。
【0028】
さらに、第2〜第5電圧監視用IC21−2〜21−5は、通信線31(請求項中の通信回線に相当)を介して、第1電圧監視用IC21−1に接続され、該電圧監視用IC21−1は、絶縁インターフェース32を介して、低電圧側装置12側に設けられているメインマイコン33(請求項中の主制御装置に相当)に接続されている。即ち、メインマイコン33と、各電圧監視用IC21−1〜21−5は、絶縁インターフェース32を介して、通信線31によりデイジーチェーン通信で接続されている。なお、通信線31の終端に位置する第5電圧監視用IC21−5(の後述する通信I/F35a)には、ターミネータ(終端抵抗、図示せず)が接続される。
【0029】
図2は、第1電圧監視用IC21−1の内部構成を示すブロック図であり、以下、図2を参照して第1電圧監視用IC21−1の詳細な構成について説明する。なお、第2〜第5電圧監視用IC21−2〜21−5は、第1電圧監視用IC21−1と同一構成であるので、詳細な説明を省略する。
【0030】
図2に示すように、第1電圧監視用IC21−1は、単位セルBT1〜BT11より出力される電力を入力して、所定の電圧を生成する電源回路23と、ブロック61−1に設けられる各単位セルBT1〜BT11と接続され、これらの出力電圧を検出するセル電圧入力部22と、セル電圧入力部22より出力される各単位セルBT1〜BT11の電圧信号を、1系統の時系列的な信号に変換するマルチプレクサ25と、マルチプレクサ25より出力される各単位セルBT1〜BT11の電圧信号をディジタル信号に変換するA/D変換器26と、を備えている。A/D変換器26は、基準電源71−1より出力される基準電圧を用いて、アナログ信号をディジタル信号に変換する。
【0031】
さらに、第1電圧監視用IC21−1は、コントロール部27と、2つの通信I/F35a,35bを備えている。
【0032】
コントロール部27は、データ記憶用のメモリ28及びレジスタ29を備えたワンチップマイコンによって構成することができ、第1電圧監視用IC21−1を総括的に制御する。また、コントロール部27は、A/D変換器26より、各単位セルBT1〜BT11の出力電圧が入力された場合には、入力された単位セルBT1〜BT11の電圧をメモリ28に記憶すると共に、この記憶した各単位セルBT1〜BT11の出力電圧を通信I/F35a,35bを介して、図1に示すメインマイコン33に送信する処理を行う。
【0033】
さらに、第1電圧監視用IC21−1は、ADCタイミングチェック回路36(請求項中の測定タイミング検出回路に相当)を備えている。ADCタイミングチェック回路36は、A/D変換器26によるA/D変換のタイミングを監視する監視モードのオンオフを設定することができる。この設定は、外部からの設定信号によって行うこともでき、あるいは、内蔵する不図示のディップスイッチの操作によって行うこともできる。
【0034】
ADCタイミングチェック回路36は、監視モードがオンに設定されているときに、A/D変換器26がA/D変換を行う度に出力信号のハイローのレベルが反転するチェック信号の出力ポートを有している。この出力ポートから出力されるチェック信号(チェック出力)は、ADCタイミングチェック回路36に接続した外部端末(図示せず)に取り込んで利用することもでき、通信I/F35b及び通信線31を介して図1に示すメインマイコン33に送信するために、コントロール部27に取り込ませることもできる。本実施形態では、ADCタイミングチェック回路36のチェック出力をコントロール部27に取り込ませるものとする。
【0035】
なお、第2〜第5電圧監視用IC21−2〜21−5は、基本的には、第1電圧監視用IC21−1と同一構成である。但し、セル電圧入力部22や電源回路23にそれぞれ接続される単位セルは、各第2〜第5電圧監視用IC21−2〜21−5にそれぞれ対応する各単位セルBT12〜BT22,BT23〜BT33,BT34〜BT44,BT45〜BT55となっている。
【0036】
以上のような構成による第1〜第5電圧監視用IC21−1〜21−5のコントロール部27は、自身を宛先とするコマンドが通信I/F35bから入力されると、そのコマンドにおいて指令された動作のための制御を行う。また、自身以外を宛先とするコマンドが通信I/F35bから入力されると、そのコマンドを通信I/F35aから出力する。さらに、コントロール部27は、通信I/F35aから入力されたデータ等を通信I/F35bから出力する。
【0037】
上述した制御を含む、第1〜第5電圧監視用IC21−1〜21−5のコントロール部27が行う主な処理は、図3のフローチャートに示すとおりである。この図3に示す処理を、第1〜第5電圧監視用IC21−1〜21−5のコントロール部27はそれぞれ繰り返して行う。
【0038】
即ち、図3に示すように、コントロール部27は、まず、後述するメインマイコン33から電圧検出起動指令(請求項中の電圧測定コマンドに相当)が、通信I/F35bから入力されたか否かを確認する(ステップS11)。この電圧検出起動指令は、本実施形態では、第1〜第5電圧監視用IC21−1〜21−5の全てを宛先に含んでいるものとする。入力されていない場合は(ステップS11でNO)、後述するステップS17に進む。
【0039】
一方、メインマイコン33からの電圧検出起動指令が入力された場合は(ステップS11でYES)、コントロール部27は、入力された電圧検出起動指令に呼応して、接続先の各単位セルBT1〜BT11,BT12〜BT22,BT23〜BT33,BT34〜BT44,BT45〜BT55の出力電圧をセル電圧入力部22により検出させる(ステップS12)。そして、これをマルチプレクサ25により1系統の時系列的な各単位セルBT1〜BT11,BT12〜BT22,BT23〜BT33,BT34〜BT44,BT45〜BT55の電圧信号に変換させ、さらに、A/D変換器26によりディジタル信号に変換させた後、メモリ28に一時格納する(ステップS13)。
【0040】
次に、コントロール部27は、自電圧監視用IC(第1〜第5電圧監視用IC21−1〜21−5)が通信線31上の終端機器(第5電圧監視用IC21−5)であるか否かを確認する(ステップS14)。終端機器である(第5電圧監視用IC21−5である)場合は(ステップS14でYES)、メモリ28に一時格納した各単位セルBT45〜BT55のディジタルの電圧信号を、通信線31上の始端側の隣り合う電圧監視用IC(第4電圧監視用IC21−4である)に向けて、通信I/F35bから通信線31に出力する(ステップS15)。その後、処理を終了する。終端機器でない(第1〜第4電圧監視用IC21−1〜21−4である)場合は(ステップS14でNO)、入力された電圧検出起動指令を、通信線31上の終端側の隣り合う電圧監視用IC(第2〜第5電圧監視用IC21−2〜21−5)に向けて通信I/F35aから通信線31に出力する(ステップS16)。その後、処理を終了する。
【0041】
ステップS17では、コントロール部27は、通信線31上の終端側の隣り合う第2〜第5電圧監視用IC21−2〜21−5からの、各単位セルBT12〜BT22,BT23〜BT33,BT34〜BT44,BT45〜BT55のディジタルの電圧信号が、通信I/F35bから入力されたか否かを確認する。入力されていない場合は(ステップS17でNO)、後述するステップS19に進む。
【0042】
一方、各単位セルBT12〜BT22,BT23〜BT33,BT34〜BT44,BT45〜BT55のディジタルの電圧信号が通信I/F35bから入力された場合は(ステップS17でYES)、入力されたディジタルの電圧信号に、メモリ28に一時格納したディジタルの各単位セルBT1〜BT11,BT12〜BT22,BT23〜BT33,BT34〜BT44の電圧信号を加えて、通信I/F35bから通信線31に出力する(ステップS18)。その後、処理を終了する。
【0043】
ステップS19では、コントロール部27は、ADCタイミングチェック回路36からのチェック出力が入力されたか否かを確認する。入力されていない場合は(ステップS19でNO)、ステップS11にリターンする。入力された場合は(ステップS19でYES)、ADCタイミング信号を生成して、通信I/F35bから通信線31に出力する(ステップS20)。その後、処理を終了する。
【0044】
なお、ステップS20で生成するADCタイミング信号は、ADCタイミングチェック回路36からのチェック出力が入力された時点、つまり、A/D変換器26がA/D変換を行ったタイミングを特定できるデータと、自電圧監視用IC(第1〜第5電圧監視用IC21−1〜21−5)を特定できるデータとを含んでいるものとする。A/D変換器26のA/D変換タイミングを特定できるデータは、例えば、コントロール部27が管理している時計手段によってチェック出力の入力時に計時された時刻のタイムスタンプデータであってもよい。
【0045】
図1に示すように、メインマイコン33は、ワークエリア等が設けられるRAM33aと、制御プログラム等が格納されたROM33bとを内蔵している。RAM33aのワークエリアには、待機時間データの格納領域が確保されている。この待機時間データ格納領域には、メインマイコン33に接続された電流センサ37によって二次電池13の充放電電流を非接触で測定するタイミングを示す待機時間のデータが格納されている。なお、メインマイコン33は、動作モードを試験モードと通常モードとに切り替えることができる。動作モードの切り替えは、外部からの設定信号によって行うこともでき、あるいは、内蔵する不図示のディップスイッチの操作によって行うこともできる。
【0046】
メインマイコン33がROM33bに格納された制御プログラムを実行することで行う、二次電池13の状態監視に関する主な処理は、図4のフローチャートに示すとおりである。この図4に示す処理をメインマイコン33は繰り返して行う。
【0047】
即ち、図4に示すように、メインマイコン33は、動作モードが試験モードであるか否かを確認する(ステップS31)。試験モードである場合は(ステップS31でYES)、試験モード処理を実行して(ステップS32)、処理を終了する。試験モードでない場合は(ステップS31でNO)、通常モード処理を実行して(ステップS33)、処理を終了する。
【0048】
ステップS32の試験モード処理では、図5のフローチャートに示すように、メインマイコン33は、試験用の電圧検出起動指令の出力要求が発生したか否かを確認する(ステップS321)。試験用の電圧検出起動指令の出力要求は、外部からの設定信号によって発生させることもでき、あるいは、上述した不図示の内蔵ディップスイッチによる試験モードへの切替操作によって自動的に発生させることもできる。
【0049】
試験用の電圧検出起動指令の出力要求が発生していない場合は(ステップS321でNO)、メインマイコン33は、動作モードが試験モードから通常モードに切り替わったか否かを確認する(ステップS322)。通常モードに切り替わっていない場合は(ステップS322でNO)、ステップS321をリターンする。通常モードに切り替わった場合は(ステップS322でYES)、試験モード処理を終了する。
【0050】
試験用の電圧検出起動指令の出力要求が発生した場合は(ステップS321でYES)、通信線31に試験用の電圧検出起動指令を出力する(ステップS323)。そして、通信線31からのADCタイミング信号が入力されたか否かを確認する(ステップS324)。
【0051】
入力されていない場合は(ステップS324でNO)、ステップS324をリピートする。入力された場合は(ステップS324でYES)、メインマイコン33は、入力されたADCタイミング信号のデータに基づいて、ステップS323における試験用の電圧検出起動指令の通信線31への出力からA/D変換器26によるA/D変換タイミングまでの所要時間を算出する(ステップS325)。そして、算出した所要時間を、ステップS324で入力されたADCタイミング信号のデータから特定される、出力元の電圧監視用IC(第1〜第5電圧監視用IC21−1〜21−5)に関連付けて、RAM33aの待機時間データ格納領域に待機時間のデータとして格納する(ステップS326)。
【0052】
次に、メインマイコン33は、第1〜第5電圧監視用IC21−1〜21−5をそれぞれ出力元とするADCタイミング信号の全てが、通信線31から入力されたか否かを確認する(ステップS327)。一部の第1〜第5電圧監視用IC21−1〜21−5からのADCタイミング信号が入力されていない場合は(ステップS327でNO)、ステップS324にリターンする。入力された場合は(ステップS327でYES)、動作モードが試験モードから通常モードに切り替わったか否かを確認する(ステップS328)。通常モードに切り替わっていない場合は(ステップS327でNO)、ステップS327をリピートする。通常モードに切り替わった場合は(ステップS327でYES)、試験モード処理を終了する。
【0053】
また、ステップS33の通常モード処理では、図6のフローチャートに示すように、メインマイコン33は、電圧検出起動指令の出力タイミングが到来したか否かを確認する(ステップS331)。通常モードにおける電圧検出起動指令の出力タイミングは、一定の時間が経過する毎に到来するものとすることもでき、メインマイコン33の上位に位置する不図示のECUユニット側からの指令によって到来するものとすることもできる。
【0054】
電圧検出起動指令の出力タイミングが到来していない場合は(ステップS331でNO)、後述するステップS339に進む。電圧検出起動指令の出力タイミングが到来した場合は(ステップS331でYES)、メインマイコン33は、通信線31に電圧検出起動指令を出力する(ステップS332)。そして、RAM33aの待機時間データ格納領域に格納されたデータによる待機時間のいずれかが到来したか否かを確認する(ステップS333)。
【0055】
待機時間が到来していない場合は(ステップS333でNO)、ステップS333をリピートする。待機時間が到来した場合は(ステップS333でYES)、メインマイコン33は、電流センサ37により二次電池13の充放電電流を測定し(ステップS334)、充放電電流の測定値を、ステップS331で到来した待機時間に関連付けられた電圧監視用IC(第1〜第5電圧監視用IC21−1〜21−5)に関連付けて、RAM33aに一時格納する(ステップS335)。
【0056】
次に、ステップS336では、メインマイコン33は、RAM33aの待機時間データ格納領域にデータが格納された全ての待機時間で二次電池13の充放電電流を測定し終えたか否かを確認する。一部の待機時間でも二次電池13の充放電電流を測定し終えていない場合は(ステップS336でNO)、ステップS333にリターンする。全ての待機時間で二次電池13の充放電電流を測定し終えた場合は(ステップS336でYES)、通信線31上の最もメインマイコン33寄りに位置する第1電圧監視用IC21−1からの、各単位セルBT1〜BT11,BT12〜BT22,BT23〜BT33,BT34〜BT44,BT45〜BT55のディジタルの電圧信号が、入力されたか否かを確認する(ステップS337)。
【0057】
入力されていない場合は(ステップS337でNO)、ステップS337をリピートする。入力された場合は(ステップS337でYES)、メインマイコン33は、入力されたディジタルの電圧信号によって示される各単位セルBT1〜BT11,BT12〜BT22,BT23〜BT33,BT34〜BT44,BT45〜BT55の測定電圧を、第1〜第5電圧監視用IC21−1〜21−5に関連付けたRAM33aの充放電電流と関連付けて、RAM33aに記憶させる(ステップS338)。そして、ステップS339に進む。
【0058】
即ち、単位セルBT1〜BT11の測定電圧は、単位セルBT1〜BT11に対応する第1電圧監視用IC21−1(待機時間)に関連付けられた充放電電流と関連付けて、RAM33aに記憶させる。以下、同様に、単位セルBT12〜BT22,BT23〜BT33,BT34〜BT44,BT45〜BT55の測定電圧は、対応する第2〜第5電圧監視用IC21−1〜21−5(各待機時間)に関連付けられた充放電電流と関連付けて、RAM33aに記憶させる。
【0059】
なお、RAM33aに記憶させた、単位セルBT1〜BT11,BT12〜BT22,BT23〜BT33,BT34〜BT44,BT45〜BT55の測定電圧と、第1〜第5電圧監視用IC21−1〜21−5(各待機時間)に関連付けたRAM33aの充放電電流との組は、メインマイコン33の上位に位置する不図示のECUユニット側にそのまま出力することもできる。あるいは、単位セルBT1〜BT11,BT12〜BT22,BT23〜BT33,BT34〜BT44,BT45〜BT55の抵抗値を算出してそれを不図示のECUユニット側に出力することもできる。
【0060】
ステップS339では、動作モードが通常モードから試験モードに切り替わったか否かを確認する。試験モードに切り替わっていない場合は(ステップS339でNO)、ステップS331にリターンする。試験モードに切り替わった場合は(ステップS339でYES)、通常モード処理を終了する。
【0061】
以上のように構成された本実施形態の状態監視ユニット10では、メインマイコン33が出力する電圧検出起動指令は、通信線31の一番始端に位置する第1電圧監視用IC21−1が最初に受信し、以後、第2、第3、第4の各電圧監視用IC21−2,21−3,21−4が順に受信して、通信線31の一番終端の第5電圧監視用IC21−5が一番最後に受信する。
【0062】
したがって、電圧検出起動指令の受信に呼応して、各電圧監視用IC21−1〜21−5が対応する単位セルBT1〜BT11,BT12〜BT22,BT23〜BT33,BT34〜BT44,BT45〜BT55の電圧を測定するタイミングは、電圧検出起動指令の受信タイミングと同じ時間差を生じる。
【0063】
そこで、本実施形態の状態監視ユニット10では、メインマイコン33が電圧検出起動指令を出力した時点から、各電圧監視用IC21−1〜21−5が対応する単位セルBT1〜BT11,BT12〜BT22,BT23〜BT33,BT34〜BT44,BT45〜BT55の電圧をそれぞれ測定する時点までの所要時間を、予めメインマイコン33のRAM33aに待機時間として格納しておく。この待機時間(所要時間)は、各電圧監視用IC21−1〜21−5のADCタイミングチェック回路36を監視モードオンに設定し、メインマイコン33を試験モードで動作させることで、取得することができる。
【0064】
つまり、試験モードのメインマイコン33が出力する試験用の電圧検出起動指令に呼応して、各電圧監視用IC21−1〜21−5のセル電圧入力部22が、単位セルBT1〜BT11,BT12〜BT22,BT23〜BT33,BT34〜BT44,BT45〜BT55の電圧を検出する。そして、その検出電圧をA/D変換器26がA/D変換する。A/D変換器26が検出電圧をA/D変換すると、そのタイミングで、ADCタイミングチェック回路36のチェック出力の信号レベルが反転する。そこで、メインマイコン33が、ADCタイミングチェック回路36のチェック出力の反転タイミングと、メインマイコン33による試験用の電圧検出起動指令の出力タイミングとの時間差を算出することで、RAM33aに格納する待機時間(所要時間)を取得することができる。
【0065】
メインマイコン33のRAM33aに待機時間を格納した後は、通常モードのメインマイコン33が必要に応じて電圧検出起動指令を通信線31に出力する。この電圧検出起動指令を受信した各電圧監視用IC21−1〜21−5は、単位セルBT1〜BT11,BT12〜BT22,BT23〜BT33,BT34〜BT44,BT45〜BT55の電圧を測定する。メインマイコン33は、この測定電圧をA/D変換器26がA/D変換するタイミングを、RAM33aに待機時間(所要時間)として持っている。
【0066】
そこで、メインマイコン33では、電圧検出起動指令を通信線31に出力した後、RAM33aに格納した待機時間が到来する度に、二次電池13の充放電電流を電流センサ37を用いて測定する。したがって、電圧検出起動指令を受信した各電圧監視用IC21−1〜21−5が単位セルBT1〜BT11,BT12〜BT22,BT23〜BT33,BT34〜BT44,BT45〜BT55の電圧をそれぞれ測定するタイミングに合わせて、二次電池13の充放電電流を測定することができる。
【0067】
同じタイミングで測定された、各単位セルBT1〜BT11,BT12〜BT22,BT23〜BT33,BT34〜BT44,BT45〜BT55の電圧と二次電池13の充放電電流は、関連付けられてメインマイコン33のRAM33aに記憶される。したがって、同期したタイミングで測定された各単位セルBT1〜BT11,BT12〜BT22,BT23〜BT33,BT34〜BT44,BT45〜BT55の電圧と二次電池13の充放電電流によって、あるいは、それらから求めた各単位セルBT1〜BT11,BT12〜BT22,BT23〜BT33,BT34〜BT44,BT45〜BT55の抵抗値によって、例えばメインマイコン33の上位に位置する不図示のECUユニットにおいて、二次電池13の状態を正確に判定させることができる。
【0068】
なお、メインマイコン33のRAM33aに待機時間として格納しておく所要時間は、上述した実施形態のように、メインマイコン33が電圧検出起動指令を出力した時点から、各電圧監視用IC21−1〜21−5が対応する単位セルBT1〜BT11,BT12〜BT22,BT23〜BT33,BT34〜BT44,BT45〜BT55の電圧をそれぞれ測定する時点までの各所要時間でなくてもよい。
【0069】
例えば、メインマイコン33の上位に位置する不図示のECUユニットにおいて二次電池13の状態を正確に判定できるようにする上で許される、電圧測定のタイミングと充放電電流の測定タイミングとの最大時間差が、±Aμsecである場合、上述した各所要時間の最も短いものと最も長いものとの最大時間差が2Aμsec以内に収まる場合、メインマイコン33のRAM33aに待機時間として格納しておく所要時間は、各所要時間のうち平均値又はその平均値に最も近い中間値とすることができる。このとき、中間値又は平均値と所要時間の最短及び最長値との時間差がAμsecであれば、より好ましい。
【0070】
待機時間を各所要時間の中間値とする場合、メインマイコン33が行う試験モード処理及び通常モード処理は、図5や図6のフローチャートに示す内容からそれぞれ若干変わる。
【0071】
まず、試験モード処理については、図7のフローチャートに示すように、図5のステップS326に代えて、ステップS326Aにおいて、ステップS325で算出した所要時間をRAM33aに一時的に格納する。そして、図5のステップS327において、第1〜第5電圧監視用IC21−1〜21−5をそれぞれ出力元とするADCタイミング信号の全てが、通信線31から入力された場合(YES)に、図7に示すように、ステップS327Aにおいて、RAM33aに一時的に格納した各所要時間の中間値を、待機時間のデータとしてRAM33aの待機時間データ格納領域に格納する。そして、ステップS328に進む。その他の内容は、図5に示す内容と同じである。
【0072】
また、通常モード処理については、図8のフローチャートに示すように、図6のステップS335に代えて、ステップS335Aにおいて、充放電電流の測定値をRAM33aに一時格納する。その後、図6のステップS336を省略して、図8に示すように、ステップS337に進む。そして、ステップS337において、通信線31上の最もメインマイコン33寄りに位置する第1電圧監視用IC21−1からの、各単位セルBT1〜BT11,BT12〜BT22,BT23〜BT33,BT34〜BT44,BT45〜BT55のディジタルの電圧信号が、入力された場合(YES)に、図8に示すように、図6のステップS338に代わるステップS338Aにおいて、入力されたディジタルの電圧信号によって示される各単位セルBT1〜BT11,BT12〜BT22,BT23〜BT33,BT34〜BT44,BT45〜BT55の測定電圧を、RAM33aの充放電電流と関連付けてRAM33aに記憶させる。そして、ステップS339に進む。その他の内容は、図6に示す内容と同じである。
【0073】
このように構成した場合であっても、各単位セルBT1〜BT11,BT12〜BT22,BT23〜BT33,BT34〜BT44,BT45〜BT55の電圧と二次電池13の充放電電流によって、あるいは、それらから求めた各単位セルBT1〜BT11,BT12〜BT22,BT23〜BT33,BT34〜BT44,BT45〜BT55の抵抗値によって、例えばメインマイコン33の上位に位置する不図示のECUユニットにおいて、二次電池13の状態を正確に判定させることができる。
【0074】
また、上述した実施形態では、第1〜第4電圧監視用IC21−1〜21−5のコントロール部27が、通信線31上の終端側の隣り合う第2〜第5電圧監視用IC21−2〜21−5から、各単位セルBT12〜BT22,BT23〜BT33,BT34〜BT44,BT45〜BT55のディジタルの電圧信号が入力されると、それに、自身で測定したディジタルの各単位セルBT1〜BT11,BT12〜BT22,BT23〜BT33,BT34〜BT44の電圧信号を加えて、通信線31上の始端側の隣り合う第1〜第4電圧監視用IC21−1〜21−5に出力する構成とした。
【0075】
しかし、第1〜第5電圧監視用IC21−1〜21−5のそれぞれが、電圧検出起動指令の入力に呼応して各単位セルBT1〜BT11,BT12〜BT22,BT23〜BT33,BT34〜BT44,BT45〜BT55の電圧を測定したときに、測定した電圧を示すディジタルの電圧信号を、通信線31上の始端側に存在する他の第1〜第4電圧監視用IC21−1〜21−4を介して、メインマイコン33に個別に出力する構成としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明は、高電圧バッテリを構成する複数組電池のセル電圧と充放電電流を、高圧側と低圧側とで別々に測定する場合に、極めて有用である。
【符号の説明】
【0077】
10 状態監視ユニット
11 高電圧側装置(高圧側)
12 低電圧側装置(低圧側)
13 二次電池(複数組電池)
21−1 第1電圧監視用IC(電圧監視装置)
21−2 第2電圧監視用IC(電圧監視装置)
21−3 第3電圧監視用IC(電圧監視装置)
21−4 第4電圧監視用IC(電圧監視装置)
21−5 第5電圧監視用IC(電圧監視装置)
22 セル電圧入力部
23 電源回路
25 マルチプレクサ
26 A/D変換器
27 コントロール部
28 メモリ
29 レジスタ
31 通信線(通信回線)
32 絶縁インターフェース
33 メインマイコン(主制御装置)
33a RAM
33b ROM
35a 通信I/F
35b 通信I/F
36 ADCタイミングチェック回路(測定タイミング検出回路)
37 電流センサ
61−1 第1ブロック
61−2 第2ブロック
61−3 第3ブロック
61−4 第4ブロック
61−5 第5ブロック
71−1〜71−5 基準電源
BT−1〜BT−55 単位セル
M 推進用モータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数組電池の直列に接続された複数の単位セルにそれぞれ対応する複数の電圧監視装置が設けられる高圧側と、該高圧側とは電気的に絶縁されて前記各電圧監視装置を制御する主制御装置が設けられる低圧側とを有し、前記単位セルの電圧測定を指示する電圧測定コマンドが、デイジーチェーン方式の通信回線を介して前記主制御装置から前記各電圧監視装置にそれぞれ送信される複数組電池の状態監視ユニットにおいて、
前記主制御装置は、前記電圧測定コマンドの前記通信回線への送信から、該電圧測定コマンドを受信した前記電圧監視装置による前記単位セルの電圧測定までの、前記各電圧監視装置毎の所要時間に基づいて決定された待機時間を記憶する記憶手段を有しており、前記電圧測定コマンドの前記通信回線への送信から前記待機時間が経過した時点で、前記複数組電池の充放電電流を測定する、
ことを特徴とする複数組電池の状態監視ユニット。
【請求項2】
前記各電圧監視装置は、対応する前記各単位セルの電圧測定時に出力が変化する測定タイミング検出回路を内蔵しており、前記所要時間は、前記主制御装置による前記電圧測定コマンドの前記通信回線への送信から前記各電圧監視装置の前記測定タイミング検出回路の出力変化までの時間であることを特徴とする請求項1記載の複数組電池の状態監視ユニット。
【請求項3】
前記各電圧監視装置毎の前記所要時間の最大時間差は、前記単位セルの電圧測定タイミングと前記複数組電池の充放電電流測定タイミングとの間に許容された最大時間差以内に収まっており、前記待機時間は、前記各電圧監視装置毎の前記所要時間の平均値又は該平均値に最も近い中間値に決定されていることを特徴とする請求項1又は2記載の複数組電池の状態監視ユニット。
【請求項4】
前記記憶手段には、前記待機時間として前記各電圧監視装置の前記所要時間がそれぞれ記憶されており、前記主制御装置は、前記電圧測定コマンドの前記通信回線への送信から前記待機時間としての前記各電圧監視装置の前記所要時間がそれぞれ経過した時点で、前記複数組電池の充放電電流をそれぞれ測定することを特徴とする請求項1又は2記載の複数組電池の状態監視ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−47683(P2011−47683A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−194264(P2009−194264)
【出願日】平成21年8月25日(2009.8.25)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】