説明

複数部材から成るコアプレート

平面状の加工用材料の直線部分から形成される複数の打ち抜かれた金属製半台形部材を備えるコアプレートが提供される。各部材は共通縁に沿って歯を有するとともに一体型コードにより隣接部材と連結される。部材は閉環状に巻回される。

【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本発明は、2005年10月6日付けで出願された米国仮特許出願第60/724,546号明細書の利益を主張する。
【技術分野】
【0002】
本発明は、自動車車両変速機用の摩擦板(摩擦ディスクと称されることもある)又は相手板に使用されるコアプレートに関する。
【背景技術】
【0003】
自動車車両変速機における摩擦装置は典型的には、摩擦板と相手板(separator plate)との組み合わせを有する。多くの用途において、摩擦板は両面を摩擦フェーシングにより被覆される平坦な金属製環状部材(コアプレートと称される)である。相手板は摩擦フェーシングを伴う、又は伴わない、ほぼ平坦な金属製環状部材である。摩擦板及び相手板用の多くのコアプレートは平坦な加工用供給材料から打ち抜かれる。打抜き加工では比較的高価な鋼鉄材料について高いスクラップ率が発生する。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、平面状の加工用材料の直線部分から形成される複数の打ち抜かれた金属製半台形部材を含むコアプレートを提供することにより、はるかに低いスクラップ率の摩擦板又は相手板用コアプレートを提供する。各部材は共通縁に沿って歯を有するとともに一体型コードにより隣接部材に連結される。部材は閉環状に巻回される。
【0005】
本発明が添付の図面及び発明の詳細な説明のなかでさらに明らかにされることに伴い、当業者には本発明の他の特徴がより明白なものとなるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
図1は本発明のコアプレート7の構成を概略的に図示する。さらに図2、3を参照すると、コアプレート7は複数(典型的には5個以上)の部材又は断片部8から作製される。断片部8は、平面状の加工用材料の直線部分から形成される打ち抜かれた金属製半台形部材(metal semi-trapezoidal member)である。各断片部8は共通の径方向内側縁12に沿って少なくとも1個及び好ましくは複数の歯10を有する。図3Aの代替的実施形態において、断片部13は共通の径方向外側縁17に沿って複数の歯15を有する。一体型の変形可能コード14は断片部8を互いに連結する。コード14は好ましくは凹状の両側辺16及び18を有する。コアプレート7が巻回されると(図1及び3)、径方向内側辺16は圧縮状態になるであろうとともに径方向外側辺18は引張状態になるであろう。
【0007】
断片部8は当接する横側辺20を有する(断片部8は説明のため図3においては間隙を伴い示される)。側辺20は、溶接、ろう付け、リベット打ち(図12)、嵌合係止、接着剤、又は他の好適な方法により互いに連結される。製造においてコアプレート7は円形マンドレル23の周りに巻回される。末端断片部は、他方の末端断片部により提供される溝26内に嵌合される突起24を有する。突起24は溝26と組み合わさってさねはぎ継ぎ(tongue and groove connection)を提供する。さねはぎ継ぎは突起24と溝26との間の締まり嵌め(interference fit)によりさらに強化され得る。2個の端部断片部間の連結は先述される連結方法によりさらに強化され得る。
【0008】
図4及び5はコアプレート17を提供する。コアプレート17は大多数の断片部32の間にさねはぎ継ぎを有する。コアプレート17はまた、コードの側辺16により形成される油孔36も有する。
【0009】
図10及び11を参照すると、2枚のコアプレート17が平面状の加工用材料38の直線部分から形成されている。一連の予備打抜き40が行われる。次に、コアプレート分離加工42が実施される。次に歯の打抜き加工44が実施される。次に断片部分離加工46が実施される。十分な数の断片部32が打ち抜かれたことに伴い切断加工(図示せず)が行われる。上述される加工はパンチプレス50で完了する。孔付きストリップ52が巻回ステーション54の一方に送られる。次に巻回されたコアプレート17が溶接ステーション56に送られ溶接により(示される例において)断片部32が連結される。
【0010】
図6及び7を参照すると、コアプレート17は完全環状摩擦フェーシング70と連結され摩擦板27を形成する。摩擦フェーシング70はコアプレート17の油孔36と整列される油孔72を有する。フェーシング70によりコアプレート17について横方向の安定がさらに図られる。
【0011】
図8及び9を参照すると、コアプレート17は断片部からなる摩擦フェーシング90と連結され摩擦板87を形成する。フェーシング90はコアプレートの油孔36と整列される油孔91及び溝92を有する。フェーシング断片部間のさねはぎ継ぎ型間隙96により摩擦板87の径方向内側辺と外側辺との間を油が通過可能となる。別の実施形態(図示せず)において、間隙96は油孔36と整列され得る。フェーシング断片部90のうち2個が共通のコアプレート断片部32に重なることでコアプレート17に対し横方向のさらなる安定性を提供する。
【0012】
図12はコアプレートの2個の断片部102がリベット104により接続される実施形態を示す。
【0013】
本発明の好ましい実施形態が開示されたが、これは単に例として記載されたものであるとともに、以下の請求項の範囲に包含されるとおりの本発明の精神と範囲から逸脱することなく様々な修正が加えられ得ることは理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】マンドレルの周りに巻回されている本発明のコアプレートの概略図である。
【図2】巻回されていない状態の図1に示されるコアプレートの一部の部分拡大図である。
【図3】巻回されているコアプレートの一部の図2と同様の図である。
【図4】本発明の好ましい代替的実施形態のコアプレートの図1の図と同様の図である。
【図5】巻回されていない状態の図4に示されるコアプレートの一部の部分図である。
【図6】本発明のコアプレートを利用する摩擦板の正面図である。
【図7】図6の線7−7に沿った図である。
【図8】本発明のコアプレートを利用する別の摩擦板の正面図である。
【図9】図8の線9−9に沿った図である。
【図10】図4のコアプレートを作製するために利用される打抜き加工の概略図である。
【図11】本発明のコアプレートを作製するための製造ステーションの概略図である。
【図12】断片部が共にリベット打ちされている本発明のコアプレートの一部の図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面状の加工用材料の直線部分から形成される複数の打ち抜かれた金属製半台形部材を備え、各部材が共通縁に沿って歯を有し、前記部材が一体型の変形可能コードにより互いに連結され、前記部材が閉環状に巻回される、自動車変速機用摩擦コアプレート。
【請求項2】
前記コアプレートが相手板の一部を形成する請求項1に記載の摩擦コアプレート。
【請求項3】
前記コアプレートが摩擦板の一部を形成する請求項1に記載の摩擦コアプレート。
【請求項4】
前記歯が径方向内縁に沿う請求項1に記載の摩擦コアプレート。
【請求項5】
前記歯が径方向外縁に沿う請求項1に記載の摩擦コアプレート。
【請求項6】
前記部材の少なくとも2個の間にさねはぎ継ぎがある請求項1に記載の摩擦コアプレート。
【請求項7】
前記さねはぎ継ぎに締まり嵌めがある請求項6に記載の摩擦コアプレート。
【請求項8】
大多数の前記部材間にさねはぎ継ぎがある請求項1に記載の摩擦コアプレート。
【請求項9】
前記コードが凹状の両側辺を有する請求項1に記載の摩擦コアプレート。
【請求項10】
前記コードの側辺が油孔を形成する請求項1に記載の摩擦コアプレート。
【請求項11】
前記コードが圧縮状態の径方向内側辺及び引張状態の径方向外側辺を有する請求項1に記載の摩擦コアプレート。
【請求項12】
平面状の加工用材料の直線部分から形成される複数の打ち抜かれた金属製半台形部材を備え、各部材が共通縁に沿って歯を有し、前記部材が一体型の変形可能コードにより互いに連結され、前記部材が閉環状に巻回される摩擦コアプレート、及び
前記コアプレート上に連結される摩擦フェーシング、
を備える自動車変速機用摩擦板。
【請求項13】
前記フェーシングが完全な環状である請求項12に記載の摩擦板。
【請求項14】
前記フェーシングが断片部からなる請求項12に記載の摩擦板。
【請求項15】
前記コアプレートが、それを貫通して延在する油孔を有する請求項12に記載の摩擦板。
【請求項16】
前記フェーシングが前記油孔と整列される溝を有する請求項15に記載の摩擦板。
【請求項17】
平面状の加工用材料の直線部分から複数の金属製半台形部材を打ち抜く工程であって、各部材が共通縁に沿って歯を有し、前記部材が一体型変形可能コードにより互いに接続されるような打ち抜く工程、及び
前記部材を閉環状に巻回する工程、
を含む自動車変速機摩擦コアプレートを形成する方法。
【請求項18】
摩擦フェーシングを前記コアプレート上に連結する工程をさらに含む請求項17に記載の方法。
【請求項19】
摩擦フェーシングを前記コアプレート上に連結する工程であって、前記フェーシングの断片部が、共通のコアプレート部材と重なる工程をさらに含む請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記コアプレートに油孔を打ち抜く工程をさらに含む請求項17に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図3A】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公表番号】特表2009−511832(P2009−511832A)
【公表日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−534688(P2008−534688)
【出願日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際出願番号】PCT/US2006/039016
【国際公開番号】WO2007/041683
【国際公開日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【出願人】(500124378)ボーグワーナー・インコーポレーテッド (302)
【Fターム(参考)】