説明

複素環式自壊的リンカーおよび結合体

本発明は、薬物部分をリガンドに連結するために有用な複素環式リンカー化合物を提供する。上記化合物はまた、選択された細胞集団を標的することができるリガンドを含む薬物−リガンド結合体、および複素環式リンカー部分によってリガンドに結合された薬物も含む。上記リンカー部分は、アミド結合でペプチドを切断する細胞内酵素、例えばカテプシンについての基質であるペプチド配列を含む。上記ペプチドは、薬物とタンパク質ペプチド配列を結合する自壊的部分をさらに含む。細胞内酵素によるペプチド配列の切断時に、自壊化部分は、薬物部分が非誘導体化形態および活性化形態であるように薬物部分からそれ自体を切断する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、薬物部分をリガンドに連結するために有用な複素環式リンカー化合物、および上記リガンドによって標的される特定細胞または組織型において薬物が結合体から酵素的に切断される、薬物−リガンド結合体に関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
標的抗癌治療薬は、従来の癌化学療法に比べて非特異的毒性を低下させ、効果を増大させるように設計される。このアプローチは、極めて強力な複合低分子治療薬を癌細胞に特異的に送達する、モノクローナル抗体の強力なターゲティング能力によって具体化される。毒性の問題に対処する試みとして、化学療法剤(薬物)は、高度の特異性で腫瘍細胞に結合して抗体−薬物結合体(ADC)または免疫結合体と称される化合物を形成する、抗体またはタンパク質レセプターリガンドなどの標的分子に結合された。免疫結合体は、細胞傷害性薬物を特定細胞表面抗原またはレセプターを過剰発現する腫瘍へと向けるので、理論上毒性は低いはずである。この戦略は、一部には大型抗体またはタンパク質レセプターリガンドに結合体化した場合細胞傷害性薬物が不活性になるかまたはより活性が低くなる傾向があるので、その成功は限られてきた。免疫結合体に関する有望な進歩が、腫瘍部位または腫瘍細胞の内部で切断されるリンカーを介して抗体に連結された細胞傷害性薬物に見られた。
【0003】
細胞特異的リガンドに結合体化した細胞傷害性薬物または細胞増殖抑制性薬物の標的送達に対する化学的解決法は、結合体内で薬物部分をリガンドに結合する、「自壊的リンカー(self−immolative linker)」、PABCまたはPAB(パラ−アミノベンジルオキシカルボニル)である(非特許文献1;非特許文献2)。PABリンカー単位は電子カスケードスペーサーとも称される。ペプチド単位のカルボキシ末端とPABのパラアミノベンジルを連結するアミド結合は基質であり得、特定のプロテアーゼによって切断され得る。芳香族アミンは電子供与性となり、脱離基の排除を導く電子カスケードを開始させて、二酸化炭素の脱離後に遊離薬物を放出する(非特許文献3)。カテプシンBは遍在システインプロテアーゼである。転移性腫瘍(非特許文献4)または慢性関節リウマチ(非特許文献5)などの病的状態を除き、カテプシンBは細胞内酵素である。従って、カテプシンB−切断リンカーと共に産生される結合体は、循環中で安定である可能性が高い。PABCに隣接するペプチド結合の切断、すなわち細胞内酵素による切断の際に、薬物がリガンドから遊離し、それによってリンカーの残りの部分の結合がなくなる(非特許文献6;非特許文献7)。
【0004】
ペプチド単位と結合してパラ−アミノベンジルオキシカルボニル(PABまたはPABC)単位を含むリンカーは、薬物部分を抗体などの標的リガンドから遊離させる酵素条件、加水分解条件または他の代謝条件下での1,6脱離および切断の「自壊化(self−immolating)」または「自壊的(self−immolative)」機構によって開発された(特許文献1;特許文献2;特許文献3;特許文献4;特許文献5;特許文献6;特許文献7;特許文献8;特許文献9;特許文献10;特許文献11;特許文献12;特許文献13;特許文献14;特許文献15)。2−ニトロイミダゾール−5−イルメチル基は、切断プロドラッグ単位として報告された(非特許文献8)。プロドラッグおよび結合体におけるPAB単位の使用に関してはまた、非特許文献9;非特許文献10;非特許文献11;非特許文献12;非特許文献13;非特許文献14;非特許文献15も参照のこと。
【特許文献1】米国特許第6214345号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2003/0130189号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2003/0096743号明細書
【特許文献4】米国特許第6759509号明細書
【特許文献5】米国特許出願公開第2004/0052793号明細書
【特許文献6】米国特許第6218519号明細書
【特許文献7】米国特許第6835807号明細書
【特許文献8】米国特許第6268488号明細書
【特許文献9】米国特許出願公開第2004/0018194号明細書
【特許文献10】国際公開第98/13059号パンフレット
【特許文献11】米国特許出願公開第2004/0052793号明細書
【特許文献12】米国特許第6677435号明細書
【特許文献13】米国特許第5621002号明細書
【特許文献14】米国特許出願公開第20040121940号明細書
【特許文献15】国際公開第2004/032828号パンフレット
【非特許文献1】Carlら、「J.Med.Chem.」、1981年、第24巻、p.479−480
【非特許文献2】Chakravartyら、「J.Med.Chem.」、1983年、第26巻、p.638−644
【非特許文献3】de Grootら、「Journal of Organic Chemistry」、2001年、第66巻、第26号、p.8815−8830
【非特許文献4】Sinhaら、「Prostate」、2001年、第49巻、p.172−184
【非特許文献5】Hashimotoら、「Biochem.Biophys.Res.Commun.」、2001年、第283巻、p.334−339
【非特許文献6】de Grootら、「Molecular Cancer Therapeutics」、2002年、第1巻、第11号、p.901−911
【非特許文献7】de Grootら、「J.Med.Chem.」、1999年、第42巻、第25号、p.5277−5283
【非特許文献8】Hayら、「Bioorg.Med.Chem.Lett.」、1999年、第9巻、p.2237
【非特許文献9】Walkerら、「Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters」、2004年、第14巻、第16号、p.4323−4327
【非特許文献10】Devyら、「FASEB Journal」、2004年、第18巻、第3号、p.565−567、10.1096/fj.03−0462fje
【非特許文献11】Franciscoら、「Blood」、2003年、第102巻、第4号、p.1458−1465
【非特許文献12】Doroninaら、「Nature Biotechnology」、2003年、第21巻、第7号、p.778−784
【非特許文献13】Kingら、「Journal of Medicinal Chemistry」、2002年、第45巻、第19号、p.4336−4343
【非特許文献14】Dubowchikら、「Bioconjugate Chemistry」、2002年、第13巻、第4号、p.855−869
【非特許文献15】Dubowchikら、「Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters」、2002年、第12巻、第11号、p.1529−1532
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
PAB型自壊的リンカーの限界は、結合体の低い溶解度と凝集を生じさせる傾向である。さらに、一部のPAB含有結合体は、特定の切断酵素に関して適切な基質ではないか、または切断が遅過ぎて効果を達成できないことがある。自壊的リンカーの構造を最適化することによって薬物−リガンド結合体の性質を改善することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(発明の要旨)
本発明は、式Ia、IIaおよびIIIa:
【0007】
【化6】

から選択される複素環式リンカー化合物を提供し、
ここで、
は、アミノ酸の側鎖であり、必要に応じて保護基で保護されており;
XおよびYは、独立して、Hであるか、Fmoc、Boc、トリフェニルメチルから選択される保護基を形成するか、またはN−ヒドロキシスクシンイミド、パラ−ニトロフェニルカルボネート、パラ−ニトロフェニルカルバメート、ペンタフルオロフェニル、ハロアセトアミドおよびマレイミドから選択される反応性官能基を形成し;そして
mは1、2、3、4、5または6である。
【0008】
本発明の別の局面は、細胞特異的リガンドおよび複素環式リンカーによって結合される薬物を含む、組織特異的薬物−リガンド結合体を提供し、ここで、上記リンカーは、式I、IIおよびIII:
【0009】
【化7】

から選択される複素環式自壊的部分を含み、
ここで、波線は、細胞特異的リガンドおよび薬物部分への共有結合部位を示す。
【0010】
本発明の別の局面は、式IV:
L−[A−Z−X−D] IV
のリガンド−薬物結合体化合物を提供し、ここで、
Lは、選択細胞集団を特異的に標的し得る細胞特異的リガンドであり;
Aはスペーサー単位であり;
Zはアミノ酸であり;
Xは、式I、IIおよびIIIから選択される複素環式自壊的部分であり;
Dは薬物部分であり;
mは1、2、3、4、5または6であり;
nは0または1であり;そして
pは1、2、3、4、5、6、7または8である。
【0011】
別の局面では、本発明は、本発明の結合体化合物の有効量を投与する工程を包含し、上記結合体のリガンドが腫瘍細胞に結合する、哺乳動物において腫瘍を処置する方法を提供する。
【0012】
本発明の別の局面では、本発明の結合体化合物の有効量を投与する工程を包含する、哺乳動物において細胞を死滅させる方法が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
(発明の詳細な説明)
本発明の特定の実施形態を詳細に参照し、付属の構造および式においてそれらの例を示す。列挙した実施形態に関連して本発明を説明するが、それらは、本発明をそれらの実施形態に限定することを意図しないことが理解される。逆に、本発明は、特許請求の範囲によって規定される本発明の範囲内に包含され得る全ての代替物、改変物および等価物を包含することが意図されている。
【0014】
当業者は、本発明の実施において使用できる、本明細書中で記載するものに類似または等価の多くの方法および材料を認識する。本発明は、いかなる意味においても記載される方法および材料に限定されない。
【0015】
以下の詳細な説明および添付の特許請求の範囲の中で、使用される略語および命名法は、アミノ酸およびペプチド化学において標準であるものであることが理解される。
【0016】
(定義)
他に述べない限り、本明細書中で使用する以下の用語および語句は以下の意味を有することが意図される。
【0017】
本明細書中では「抗体」という用語は最も広い意味で使用され、詳細には、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、多重特異性抗体(例えば二重特異性抗体)、およびそれらが所望の生物学的活性を示す限り、抗体フラグメントを包含する。抗体は、マウス抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体または他の種に由来するものであり得る。
【0018】
抗体は、特異的抗原を認識し、結合することができる、免疫系によって産生されるタンパク質である。(Janewayら、(2001)「Immunobiology」、第5版、Garland Publishing,New York)。標的抗原は一般に、多数の抗体上のCDR(相補性決定領域)によって認識される、エピトープとも称される多数の結合部位を有する。異なるエピトープに特異的に結合する各々の抗体は異なる構造を有する。それ故、1個の抗原は2個以上に対応する抗体を有し得る。
【0019】
本明細書中で使用する、「抗体」という用語はまた、全長免疫グロブリン分子または全長免疫グロブリン分子の免疫活性部分、すなわち目的の標的の抗原またはその部分に免疫特異的に結合する抗原結合部位を含む分子を指し、そのような標的としては、癌細胞または自己免疫疾患に関連する自己免疫抗体を産生する細胞が挙げられるが、これらに限定されない。本明細書中で開示する免疫グロブリンは、任意の型(例えばIgG、IgE、IgM、IgDおよびIgA)、クラス(例えばIgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1およびIgA2)またはサブクラスの免疫グロブリン分子でもあり得る。免疫グロブリンはいかなる種に由来してもよい。しかし、1つの局面では、免疫グロブリンはヒト、マウスまたはウサギ起源である。
【0020】
「抗体フラグメント」は、完全長抗体の一部、一般にはその抗原結合領域または可変領域を包含する。抗体フラグメントの例としては、Fabフラグメント、Fab’フラグメント、F(ab’)フラグメントおよびFvフラグメント;ジアボディ(diabodies);線形抗体(linear antibodies);Fab発現ライブラリーによって産生されるフラグメント、抗イディオタイプ(抗Id)抗体、CDR、ECD(細胞外ドメイン)、および癌細胞抗原、ウイルス抗原または微生物抗原に免疫特異的に結合する、上記のいずれかのエピトープ結合フラグメント、一本鎖抗体分子;および抗体フラグメントから形成される多重特異性抗体を含む。
【0021】
本明細書中では「インタクトな抗体」は、VLドメインおよびVHドメイン、ならびに完全軽鎖定常ドメインおよび完全重鎖定常ドメインを含むものである。
【0022】
本明細書中で使用する「モノクローナル抗体」という用語は、実質的に均一な抗体の集団から得られる抗体を指し、すなわち集団を構成する個々の抗体は、わずかな量で存在し得る可能な天然に生じる突然変異を除いて同一である。モノクローナル抗体は高度に特異的であり、単一抗原部位を指向する。さらに、異なる決定基(エピトープ)に対して指向する異なる抗体を含むポリクローナル抗体調製物とは異なり、各々のモノクローナル抗体は抗原上の単一決定基を指向する。それらの特異性に加えて、モノクローナル抗体は、他の抗体によって汚染されずに合成され得るという点で有益である。「モノクローナル」という修飾語句は、実質的に均一な抗体の集団から得られるという抗体の性質を示し、何らかの特定方法による抗体の産生を必要とすると解釈されるべきではない。例えば本発明に従って使用されるモノクローナル抗体は、Kohlerら、(1975)Nature 256:495によって最初に記載されたハイブリドーマ法によって作製され得るか、または組換えDNA法(米国特許第4816567号を参照のこと)によって作製され得る。「モノクローナル抗体」はまた、例えばClacksonら、(1991)Nature,352:624−628;Marksら、(1991)J.Mol.Biol.,222:581−597に記載される技術を用いてファージ抗体ライブラリーから単離され得る。
【0023】
本明細書中で使用する、「キメラ抗体」という用語は、通常組換えDNA技術によって作製される、1つの供給源または種からの可変領域、すなわち結合領域および異なる供給源または種に由来する定常領域の少なくとも一部を含むモノクローナル抗体を指す。マウス可変領域およびヒト定常領域を含むキメラ抗体は、容易に作製され、純粋なマウスモノクローナル抗体よりも抗原性が低いと考えられるので、本発明の特定の適用において、特にヒト治療において特に好ましい。そのようなマウス/ヒトキメラ抗体は、マウス免疫グロブリン可変領域をコードするDNAセグメントおよびヒト免疫グロブリン定常領域をコードするDNAセグメントを含む、発現された免疫グロブリン遺伝子の産物である。キメラモノクローナル抗体は腫瘍関連抗原に対する特異性を有し得る。本発明によって包含される他の形態のキメラ抗体は、クラスまたはサブクラスがもとの抗体のものから修飾されたまたは変更されたものである。このような「キメラ」抗体はまた、「クラス転換抗体」とも称される。キメラ抗体を産生するための方法は、従来の組換えDNAおよび現在当技術分野において周知の遺伝子トランスフェクション技術を含む。例えばMorrison,S.L,ら、Proc.Nat’l Acad.Sci.、81、6851(1984)を参照のこと。
【0024】
フレームワークまたは「相補性決定領域(CDR)」が、親免疫グロブリンのものと比較して異なる特異性の免疫グロブリンのCDRを含むように修飾された抗体である、「ヒト化抗体」の概念は「キメラ抗体」という用語に包含される。例示的実施形態では、「ヒト化抗体」を調製するためにマウスCDRがヒト抗体のフレームワーク領域に移植される。例えばL.Riechmannら、Nature 332,323(1988);M.S.Neubergerら、Nature 314,268(1985)を参照のこと。例示的なCDRは、CDR修飾抗体についてのその教示が本明細書中に参考として援用される、キメラおよび二価抗体(bifunctional antibody)(欧州特許願第0 239 400号)について上述した抗原を認識する配列を提示するCDRに相当する。
【0025】
「アルキル」は、正常の、第二級、第三級または環状の炭素原子を含むC−C18炭化水素部分である。アルキルラジカルの例としては、メチル(Me、−CH)、エチル(Et、−CHCH)、1−プロピル(n−Pr、n−プロピル、−CHCHCH)、2−プロピル(i−Pr、i−プロピル、−CH(CH)、1−ブチル(n−Bu、n−ブチル、−CHCHCHCH)、2−メチル−1−プロピル(i−Bu、i−ブチル、−CHCH(CH)、2−ブチル(s−Bu、s−ブチル、−CH(CH)CHCH)、2−メチル−2−プロピル(t−Bu、t−ブチル、−C(CH)、1−ペンチル(n−ペンチル、−CHCHCHCHCH)、2−ペンチル(−CH(CH)CHCHCH)、3−ペンチル(−CH(CHCH)、2−メチル−2−ブチル(−C(CHCHCH)、3−メチル−2−ブチル(−CH(CH)CH(CH)、3−メチル−1−ブチル(−CHCHCH(CH)、2−メチル−1−ブチル(−CHCH(CH)CHCH)、1−ヘキシル(−CHCHCHCHCHCH)、2−ヘキシル(−CH(CH)CHCHCHCH)、3−ヘキシル(−CH(CHCH)(CHCHCH))、2−メチル−2−ペンチル(−C(CHCHCHCH)、3−メチル−2−ペンチル(−CH(CH)CH(CH)CHCH)、4−メチル−2−ペンチル(−CH(CH)CHCH(CH)、3−メチル−3−ペンチル(−C(CH)(CHCH)、2−メチル−3−ペンチル(−CH(CHCH)CH(CH)、2,3−ジメチル−2−ブチル(−C(CHCH(CH)、3,3−ジメチル−2−ブチル(−CH(CH)C(CH)、1−ヘプチル、1−オクチル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルおよびシクロオクチルなどのC−C炭化水素部分が挙げられる。
【0026】
「アルケニル」は、少なくとも1個の不飽和部位、すなわち炭素−炭素、sp二重結合を有する、正常の、第二級、第三級または環状の炭素原子を含むC−C18炭化水素部分である。アルケニルラジカルの例としては、エチレンまたはビニル(−CH=CH)、アリル(−CHCH=CH)、1−シクロペント−1−エニル、1−シクロペント−2−エニル、1−シクロペント−3−エニル、5−ヘキセニル(−CHCHCHCHCH=CH)、1−シクロへキス−1−エニル、1−シクロへキス−2−エニルおよび1−シクロへキス−3−エニルなどの、但しこれらに限定されない、C−C炭化水素部分が挙げられる
「アルキニル」は、少なくとも1個の不飽和部位、すなわち炭素−炭素、sp三重結合を有する、正常の、第二級、第三級または環状の炭素原子を含むC−C18炭化水素部分である。アルキニルラジカルの例としては、アセチレニック(−C-≡CH)およびプロパルギル(−CHC-≡CH)などの、但しこれらに限定されない、C−C炭化水素部分が挙げられる。
【0027】
「アルキレン」は、親アルカンの同じかまたは2個の異なる炭素原子からの2個の水素原子の除去によって誘導される2個の一価ラジカル中心を有する、1−18個の炭素原子の飽和、分枝または直鎖または環状炭化水素ラジカルを指す。アルキレンラジカルの例としては、メチレン(−CH−)1,2−エチル(−CHCH−)、1,3−プロピル(−CHCHCH−)、1,4−ブチル(−CHCHCHCH−)などのような、但しこれらに限定されない、C−C炭化水素部分が挙げられる。
【0028】
「アルケニレン」は、親アルケンの同じかまたは2個の異なる炭素原子からの2個の水素原子の除去によって誘導される2個の一価ラジカル中心を有する、2−18個の炭素原子の不飽和、分枝または直鎖または環状炭化水素ラジカルを指す。アルケニレンラジカルの例としては、1,2−エチレン(−CH=CH−)などの、但しこれらに限定されない、C−C炭化水素部分が挙げられる。
【0029】
「アルキニレン」は、親アルキンの同じかまたは2個の異なる炭素原子からの2個の水素原子の除去によって誘導される2個の一価ラジカル中心を有する、2−18個の炭素原子の不飽和、分枝または直鎖または環状炭化水素ラジカルを指す。アルキニレンラジカルの例としては、アセチレン(−C≡C−)、プロパルギル(−CHC-≡C−)、および4−ペンチニル(−CHCHCHC≡CH−)などの、但しこれらに限定されない、C−C炭化水素部分が挙げられる。
【0030】
「アリール」は、親芳香環系の1個の炭素原子からの1個の水素原子の除去によって誘導される6−20個の炭素原子の一価芳香族炭化水素ラジカルを意味する。一部のアリール基は、例示的な構造では「Ar」と表わされる。代表的アリール基としては、ベンゼン、置換ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、ビフェニルなどに由来するラジカルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0031】
「アリールアルキル」は、炭素原子、代表的には末端またはsp炭素原子に結合した水素原子の1個がアリールラジカルで置換されている非環式アルキルラジカルを指す。代表的アリールアルキル基としては、ベンジル、2−フェニルエタン−1−イル、2−フェニルエテン−1−イル、ナフチルメチル、2−ナフチルエタン−1−イル、2−ナフチルエテン−1−イル、ナフトベンジル、2−ナフトフェニルエタン−1−イルなどが挙げられるが、これらに限定されない。アリールアルキル基は6−20個の炭素原子を含み、例えばアリ−ルアルキル基の、アルカニル基、アルケニル基またはアルキニル基を含むアルキル部分は1−6個の炭素原子であり、アリール部分は5−14個の炭素原子である。
【0032】
「ヘテロアリールアルキル」は、炭素原子、代表的には末端またはsp炭素原子に結合した水素原子の1個がヘテロアリールラジカルで置換されている非環式アルキルラジカルを指す。代表的ヘテロアリールアルキル基としては、2−ベンズイミダゾリルメチル、2−フリルエチルなどが挙げられるが、これらに限定されない。ヘテロアリールアルキル基は6−20個の炭素原子を含み、例えばヘテロアリ−ルアルキル基の、アルカニル基、アルケニル基またはアルキニル基を含むアルキル部分は1−6個の炭素原子であり、ヘテロアリール部分は、5−14個の炭素原子ならびにN、O、PおよびSから選択される1−3個のヘテロ原子である。ヘテロアリールアルキル基のヘテロアリール部分は、3−7個の環メンバーを有する単環(2−6個の炭素原子)または7−10個の環メンバーを有する二環(4−9個の炭素原子およびN、O、PおよびSから選択される1−3個のヘテロ原子)、例えばビシクロ[4,5]、[5,5]、[5,6]または[6,6]系であり得る。
【0033】
「置換アルキル」、「置換アリール」および「置換アリールアルキル」は、それぞれ、1以上の水素原子が各々独立して置換基で置換されている、アルキル、アリールおよびアリールアルキルを意味する。代表的な置換基としては、−X、−R、−O、−OR、−SR、−S、−NR、−NR、=NR、−CX、−CN、−OCN、−SCN、−N=C=O、−NCS、−NO、−NO、=N、−N、−NC(=O)R、−C(=O)R、−C(=O)NR、−SO、−SOH、−S(=O)R、−OS(=O)OR、−S(=O)NR、−S(=O)R、−OP(=O)(OR)、−P(=O)(OR)、−PO、−PO、−C(=O)R、−C(=O)X、−C(=S)R、−COR、−CO、−C(=S)OR、−C(=O)SR、−C(=S)SR、−C(=O)NR、−C(=S)NR、−C(=NR)NRが挙げられるが、これらに限定されず、ここで、各々のXは、独立してハロゲン:F、Cl、BrまたはIであり;そして各々のRは、独立してH、C−C18アルキル、C−C20アリール、C−C14複素環、または保護基である。上述したアルキレン基、アルケニレン基およびアルキニレン基も同様に置換され得る。
【0034】
「ヘテロアリール」、「ヘテロシクリル」および「複素環」は全て、1以上の環原子がヘテロ原子(例えば窒素、酸素および硫黄)である環系を指す。複素環ラジカルは、1−20個の炭素原子およびN、O、PおよびSから選択される1−5個のヘテロ原子を含む。複素環は、3−7個の環メンバーを有する単環(2−6個の炭素原子およびN、O、PおよびSから選択される1−3個のヘテロ原子)または7−10個の環メンバーを有する二環(4−9個の炭素原子およびN、O、PおよびSから選択される1−3個のヘテロ原子)、例えばビシクロ[4,5]、[5,5]、[5,6]または[6,6]系であり得る。複素環は、Paquette,Leo A.;「Principles of Modern Heterocyclic Chemistry」(W.A.Benjamin,New York,1968)、特に1、3、4、6、7および9章;「The Chemistry of Heterocyclic Compounds,A series of Monographs」(John Wiley & Sons,New York,1950 to present)、特に13、14、16、19および28巻;およびJ.Am.Chem.Soc.(1960)82:5566に述べられている。
【0035】
複素環の例としては、限定ではなく例として、ピリジル、ジヒドロピリジル(dihydroypyridyl)、テトラヒドロピリジル(ピペリジル)、チアゾリル、テトラヒドロチオフェニル、硫黄酸化テトラヒドロチオフェニル、ピリミジニル、フラニル、チエニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、テトラゾリル、ベンゾフラニル、チアナフタレニル、インドリル、インドレニル、キノリニル、イソキノリニル、ベンズイミダゾリル、ピペリジニル、4−ピペリドニル、ピロリジニル、2−ピロリドニル、ピロリニル、テトラヒドロフラニル、ビス−テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、ビス−テトラヒドロピラニル、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、デカヒドロキノリニル、オクタヒドロイソキノリニル、アゾシニル、トリアジニル、6H−1,2,5−チアジアジニル、2H,6H−1,5,2−ジチアジニル、チエニル、チアントレニル、ピラニル、イソベンゾフラニル、クロメニル、キサンテニル、フェノキサチニル、2H−ピロリル、イソチアゾリル、イソキサゾリル、ピラジニル、ピリダジニル、インドリジニル、イソインドリル、3H−インドリル、1H−インダゾリル、プリニル、4H−キノリジニル、フタラジニル、ナフチリジニル、キノキサリニル、キナゾリニル、シンノリニル、プテリジニル、4Ah−カルバゾリル、カルバゾリル、β−カルボリニル、フェナントリジニル、アクリジニル、ピリミジニル、フェナントロリニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フラザニル、フェノキサジニル、イソクロマニル、クロマニル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、ピラゾリジニル、ピラゾリニル、ピペラジニル、インドリニル、イソインドリニル、キヌクリジニル、モルホリニル、オキサゾリジニル、ベンゾトリアゾリル、ベンズイソキサゾリル、オキシインドリル、ベンズオキサゾリニル、およびイサチノイルが挙げられる。
【0036】
限定ではなく例として、炭素結合複素環は、ピリジンの2、3、4、5または6位で、ピリダジンの3、4、5または6位で、ピリミジンの2、4、5または6位で、ピラジンの2、3、5または6位で、フラン、テトラヒドロフラン、チオフラン、チオフェン、ピロールまたはテトラヒドロピロールの2、3、4または5位で、オキサゾール、イミダゾールまたはチアゾールの2、4または5位で、イソキサゾール、ピラゾールまたはイソチアゾールの3、4または5位で、アジリジンの2または3位で、アゼチジンの2、3または4位で、キノリンの2、3、4、5、6、7または8位で、あるいはイソキノリンの1、3、4、5、6、7または8位で結合される。さらにより代表的には、炭素結合複素環としては、2−ピリジル、3−ピリジル、4−ピリジル、5−ピリジル、6−ピリジル、3−ピリダジニル、4−ピリダジニル、5−ピリダジニル、6−ピリダジニル、2−ピリミジニル、4−ピリミジニル、5−ピリミジニル、6−ピリミジニル、2−ピラジニル、3−ピラジニル、5−ピラジニル、6−ピラジニル、2−チアゾリル、4−チアゾリルまたは5−チアゾリルが挙げられる。
【0037】
限定ではなく例として、窒素結合複素環は、アジリジン、アゼチジン、ピロ−ル、ピロリジン、2−ピロリン、3−ピロリン、イミダゾール、イミダゾリジン、2−イミダゾリン、3−イミダゾリン、ピラゾール、ピラゾリン、2−ピラゾリン、3−ピラゾリン、ピペリジン、ピペラジン、インドール、インドリン、1H−インダゾールの1位で、イソインドールまたはイソインドリンの2位で、モルホリンの4位で、およびカルバゾールまたはβ−カルボリンの9位で結合される。さらにより代表的には、窒素結合複素環としては、1−アジリジル、1−アゼテジル、1−ピロリル、1−イミダゾリル、1−ピラゾリルおよび1−ピペリジニルが挙げられる。
【0038】
「炭素環」および「カルボシクリル」は、単環として3−7個の炭素原子または二環として7−12個の炭素原子を有する飽和または不飽和の環を意味する。単環式炭素環は、3−6個の環原子、なおより代表的には5または6個の環原子を有する。二環式炭素環は、例えばビシクロ[4,5]、[5,5]、[5,6]または[6,6]系として配置された、7−12個の環原子、またはビシクロ[5,6]または[6,6]系として配置された、9−10個の環原子を有する。単環式炭素環の例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、1−シクロペント−1−エニル、1−シクロペント−2−エニル、1−シクロペント−3−エニル、シクロヘキシル、1−シクロへキス−1−エニル、1−シクロへキス−2−エニル、1−シクロへキス−3−エニル、シクロヘプチルおよびシクロオクチルが挙げられる。
【0039】
「反応性官能基」としては、オレフィン、アセチレン、アルコール、フェノール、エーテル、酸化物、ハロゲン化物、アルデヒド、ケトン、カルボン酸、エステル、カルボネート、アミド、シアネート、イソシアネート、チオシアネート、イソチオシアネート、アミン、ヒドラジン、ヒドラゾン、ヒドラジド、ジアゾ、ジアゾニウム、ニトロ、ニトリル、メルカプタン(チオール)、スルフィド、ジスルフィド、スルホキシド、スルホン、スルホン酸、スルフィン酸、アセタール、ケタール、無水物、サルフェート、スルフェン酸、イソニトリル、アミジン、イミド、イミデート、ニトロン、ヒドロキシルアミン、オキシム、ヒドロキサム酸、チオヒドロキサム酸、アレン、オルトエステル、スルファイト、エナミン、イナミン、尿素、プソイド尿素、セミカルバジド、カルボジイミド、カルバメート、イミン、アジド、アゾ化合物、アゾキシ化合物およびニトロソ化合物が挙げられるが、これらに限定されない。例示的な反応性官能基としては、N−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)エステル、パラ−ニトロフェニル(PNP)カルボネート、ペンタフルオロフェニル(PFP)カルボネート、およびマレイミドが挙げられる。SandlerおよびKaro編、「Organic Functional Group Preparations」、Academic Press、San Diego、1989を参照のこと。
【0040】
「保護基」という用語は、化合物上の他の官能基と反応するが、特定の官能基をブロックまたは保護するために一般的に用いられる置換基を指す。例えば「アミノ保護基」は、化合物内のアミノ官能基をブロックまたは保護する、アミノ基に結合した置換基である。適切なアミノ保護基としては、アセチル、トリフルオロアセチル、t−ブトキシカルボニル(BOC)、ベンジルオキシカルボニル(CBz)および9−フルオレニルメチレンオキシカルボニル(Fmoc)が挙げられる。同様に、「ヒドロキシ保護基」は、ヒドロキシ官能基をブロックまたは保護する、ヒドロキシ基の置換基を指す。適切な保護基としては、アセチル、ベンジル、ベンゾイル、テトラヒドロピラニルおよびトリアルキルシリルが挙げられる。「カルボキシ保護基」は、カルボキシ官能基をブロックまたは保護する、カルボキシ基の置換基を指す。一般的なカルボキシ保護基としては、−CHCHSOPh、シアノエチル、2−(トリメチルシリル)エチル、2−(トリメチルシリル)エトキシメチル、2−(p−トルエンスルホニル)エチル、2−(p−ニトロフェニルスルフェニル)エチル、2−(ジフェニルホスフィノ)エチル、ニトロエチルなどが挙げられる。保護基の一般的説明およびそれらの使用に関しては、T.W.Greene,Protective Groups in Organic Synthesis,John Wiley & Sons,New York,1991を参照のこと。
【0041】
「リンカー」、「リンカー単位」または「リンク」は、抗体を薬物部分に共有結合する、共有結合または原子の鎖を含む化学成分を意味する。例示的なリンカーの略語としては、MC=6−マレイミドカプロイル、MP=マレイミドプロパノイル、val−cit=バリン−シトルリン、プロテアーゼ切断リンカー内のジペプチド部位、ala−phe=アラニン−フェニルアラニン、プロテアーゼ切断リンカー内のジペプチド部位、PAB=p−アミノベンジルオキシカルボニル、SPP=N−スクシンイミジル4−(2−ピリジルチオ)ペンタノエート、SMCC=N−スクシンイミジル4−(N−マレイミドメチル)シクロヘキサン−1カルボキシレート、SIAB=N−スクシンイミジル(4−ヨード−アセチル)アミノベンゾエートが挙げられる。
【0042】
「キラル」という用語は、鏡像パートナーの重ね合わせ不可能性という性質を有する分子を指し、一方「アキラル」という用語は、それらの鏡像パートナーに重ね合わせ可能である分子を指す。
【0043】
「立体異性体」という用語は、同一化学構造を有するが、空間的な原子または基の配置に関して異なる化合物を指す。
【0044】
「ジアステレオマー」は、2以上のキラル中心を有し、その分子が互いの鏡像ではない立体異性体を指す。ジアステレオマーは異なる物理的性質、例えば融点、沸点、スペクトル特性および反応性を有する。ジアステレオマーの混合物は、電気泳動およびクロマトグラフィーなどの高分解能分析手順の下で分離し得る。
【0045】
「鏡像異性体」は、互いの重ね合わせ不可能な鏡像である、1つの化合物の2つの立体異性体を指す。
【0046】
本明細書中で使用する立体化学の定義および慣例は、一般にS.P.Parker,編,McGraw−Hill Dictionary of Chemical Terms(1984)McGraw−Hill Book Company,New York;ならびにEliel,E.およびWilen,S.,Stereochemistry of Organic Compounds(1994)John Wiley & Sons,Inc.,New Yorkに従う。多くの有機化合物が光学活性形態で存在する、すなわちそれらは、平面偏光の偏光面を回転させる能力を有する。光学活性化合物を記載する場合、DおよびL、またはRおよびSの接頭辞は、そのキラル中心についての分子の絶対立体配置を示すために使用される。dおよびlまたは(+)および(−)の接頭辞は、化合物による平面偏光の回転の記号を表わすために用いられ、(−)またはlは、化合物が左旋性であることを意味する。(+)またはdの接頭辞のついた化合物は右旋性である。所定の化学構造に関して、これらの立体異性体は、互いの鏡像であることを除いて同一である。特定の立体異性体は鏡像異性体とも称されることもあり、そのような異性体の混合物は多くの場合鏡像異性体混合物と呼ばれる。鏡像異性体の50:50混合物はラセミ混合物またはラセミ化合物と称され、化学反応またはプロセスにおいて立体選択性または立体特異性が存在しなかった場合に生じ得る。「ラセミ混合物」および「ラセミ化合物」という用語は、光学活性を欠く、2つの鏡像異性体種の等モル混合物を指す。
【0047】
本明細書において使用する略語は、他に示さない限り、以下の通りである:AcOH:酢酸;Ala:L−アラニン;Alloc:アリルオキシ−カルボニル;Arg:L−アルギニン;Boc:t−ブチルオキシカルボニル;Cit:L−シトルリン;CDI:N,N−カルボニルジイミダゾール;DBU:ジアゾビシクロウンデセン;DCC:ジシクロヘキシルカルボジイミド;DCI:直接化学的イオン化;DCU:ジシクロヘキシル尿素;DIEA:ジイソプロピルエチルアミン;DMAP:4−ジメチルアミノピリジン;DME:1,2−ジメトキシエタン;DOX:ドキソルビシン;DTT:ジチオトレイトール;EEDQ:N−エトキシカルボニル−2−エトキシ−1,2−ジヒドロキノリン;EtOAc:酢酸エチル;Fmoc:フルオレニルメトキシカルボニル;GABA:γ−アミノ酪酸;Gly:グリシン;HOBt:N−ヒドロキシベンゾトリアゾール;HRMS:高分解能質量分析;Ile:L−イソロイシン;LAH:水素化アルミニウムリチウム;Leu:L−ロイシン;Lys:L−リシン;MC:6−マレイミドカプロイル;MMA:マイトマイシンA;MMC:マイトマイシンC;Mtr:4−メトキシトリチル;NHS:N−ヒドロキシスクシンイミド;NMP:N−メチルピロリジノン;PABC:p−アミノベンジル−カルバモイル;PAB−OH:p−アミノベンジルアルコール;Phe:L−フェニルアラニン;PNP:p−ニトロフェノール;PNPCF:p−ニトロフェニルクロロホルメート;TFA:トリフルオロ酢酸;THF:テトラヒドロフラン;Trp:L−トリプトファン;Val:L−バリン;Z:ベンジルオキシカルボニル。
【0048】
(複素環式自壊的連結結合体)
本発明は、選択細胞集団を標的することができるリガンドおよびリンカー部分によってリガンドに結合された薬物を含む新規薬物−リガンド結合体を提供する。リンカー部分は、薬物に結合した式I、IIまたはIIIの複素環式「自壊的部分」を含み、細胞内プロテアーゼによる加水分解時に、最終的に薬物が活性形態で結合体から遊離されるように薬物から自壊的部分を切断する反応を開始させるアミド基を組み込んでいる。リンカー部分は、自壊的部分と共有されるアミド結合でペプチドを切断する細胞内酵素、例えばカテプシンBなどのカテプシン、の基質である、自壊的部分に隣接するペプチド配列をさらに含む。リガンド分子は、抗体もしくはそのフラグメントなどの免疫反応性タンパク質、ボンベシンなどの非免疫反応性タンパク質またはペプチドリガンド、またはレクチンなどの細胞関連レセプターを認識する結合リガンド、またはアミン基(−NH)、アルデヒド基(−CHO)、カルボキシル基(−COOH)もしくはスルフヒドリル基(−SH)などの反応性官能基を有するか、またはそのような官能基を含むように修飾され得る任意のタンパク質またはペプチドであり得る。スペーサー単位は、アミド、アミンまたはチオエーテル結合によってリガンドに連結される。薬物部分は、第一級アミン基または第二級アミン基、ヒドロキシル基、スルフヒドリル基またはカルボキシル基などの、薬物から突き出た化学反応性官能基によってリンカーの自壊的部分に結合される。
【0049】
本発明の結合体は、一般式IV:
L−[A−Z−X−D] IV
によって表され、
ここで、Lは、選択された細胞集団を特異的に標的することができる細胞特異的リガンドであり、Dは薬物部分であり、そして[A−Z−X]はリンカーであり、ここで、Aは必要に応じてスペーサー単位として存在し(nは0または1である)、Zは酵素的に切断可能なペプチド(アミノ酸)配列であり(mは1、2、3、4、5または6である)、そしてXは薬物部分Dおよび酵素的に切断可能なペプチド配列Zを結合する複素環式自壊的部分である。リガンド当りの薬物部分の数、すなわち薬物負荷値pは、1−約8である。複素環式自壊的基Xは、式I、IIおよびIII:
【0050】
【化8】

から選択され、
ここで、波線は、細胞特異的リガンドおよび薬物部分への共有結合部位を示し、ここで、
Uは、O、SまたはNRであり;
Qは、CRまたはNであり;
、VおよびVは、独立にCRまたはNであり、但し、式IIおよびIIIに関してQ、VおよびVの少なくとも1個はNであり;
Tは、上記薬物部分から突き出たNH、NR、OまたはSであり;
、R、RおよびRは、H、F、Cl、Br、I、OH、−N(R、―N(R、C−Cハロゲン化アルキル、カルボキシレート、サルフェート、スルファメート、スルホネート、−SO、−S(=O)R、−SR、−SON(R、−C(=O)R、−CO、−C(=O)N(R、−CN、−N、−NO、C−Cアルコキシ、C−Cハロ置換アルキル、ポリエチレンオキシ、ホスホネート、ホスフェート、C−Cアルキル、C−C置換アルキル、C−Cアルケニル、C−C置換アルケニル、C−Cアルキニル、C−C置換アルキニル、C−C20アリール、C−C20置換アリール、C−C20複素環およびC−C20置換複素環から独立して選択されるか、または一緒になって、RおよびRは、カルボニル(=O)または3−7個の炭素原子のスピロ炭素環を形成し;そして
およびRは、H、C−Cアルキル、C−C置換アルキル、C−Cアルケニル、C−C置換アルケニル、C−Cアルキニル、C−C置換アルキニル、C−C20アリール、C−C20置換アリール、C−C20複素環およびC−C20置換複素環から独立して選択され;
ここで、C−C置換アルキル、C−C置換アルケニル、C−C置換アルキニル、C−C20置換アリールおよびC−C20置換複素環は、F、Cl、Br、I、OH、−N(R、−N(R、C−Cハロゲン化アルキル、カルボキシレート、サルフェート、スルファメート、スルホネート、C−Cアルキルスルホネート、C−Cアルキルアミノ、4−ジアルキルアミノピリジニウム、C−Cアルキルヒドロキシル、C−Cアルキルチオール、−SO、−S(=O)R、−SR、−SON(R、−C(=O)R、−CO、−C(=O)N(R、−CN、−N、−NO、C−Cアルコキシ、C−Cトリフルオロアルキル、C−Cアルキル、C−C12炭素環、C−C20アリール、C−C20複素環、ポリエチレンオキシ、ホスホネートおよびホスフェートから選択される1以上の置換基で独立して置換される。
【0051】
(複素環式自壊的部分(X))
本発明の薬物−リガンド結合体は、薬物部分および切断可能ペプチド配列部分に共有結合した複素環式自壊的部分(X)を用いる。自壊的部分は、2個の間隔をあけた化学的部分を正常に安定な分子へと共有結合することができ、上記の間隔をあけた化学的部分の1個を酵素切断によって分子から放出し、上記酵素切断後に、上記の間隔をあけた化学的部分の他方を二官能性化学基の残りの部分から自発的に切断して放出する、二官能性化学基と定義され得る。本発明に従って、自壊的部分は、その末端の1つで、直接的にまたはスペーサー単位を通して間接的に、アミド結合によってリガンドに共有結合され、そしてその他方の末端で、薬物から突き出た化学反応性部位(官能基)に共有結合される。自壊的部分による薬物の誘導体化は、薬物が切断されるまで、薬物を薬理学的により低い活性(例えばより低い毒性)にし得るかまたは活性でないものにし得る。
【0052】
上記結合体は、細胞外ではまたは自壊的部分のアミド結合を切断し得る酵素の非在下では安定である。しかし、細胞に入ると、または適切な酵素に暴露されると、アミド結合が切断されて自発的自壊的反応が開始され、自壊的部分を薬物に共有結合している結合の切断をもたらし、それによって非誘導体化または薬理学的に活性な形態での薬物の放出を生じさせる。1つの実施形態では、自壊的リンカーは、アミド結合を切断して自壊的反応を開始させる細胞内酵素のための基質を提供する、酵素的に切断可能なペプチド配列を通して、リガンドに連結される。
【0053】
本発明の結合体内の自壊的部分は、1以上のヘテロ原子を組み込んでおり、それによって改善された溶解度を提供し、切断の速度を改善して、結合体の凝集傾向を低下させる。非複素環式PAB型リンカーに対して本発明の複素環式自己犠牲リンカー構築物のこれらの改善は、高い効果、低い毒性およびより望ましい薬物動態などの驚くべき予想外の生物学的性質をもたらし得る。
【0054】
TがNHである場合、薬物部分から突き出た第一級アミン(−NH)から誘導されること(自壊的部分への結合の前に)およびTがNである場合、薬物部分からの第二級アミン(−NH−)から誘導されること(自壊的部分への結合の前に)が理解される。同様に、TがOまたはSである場合、自壊的部分への結合の前に、それぞれ薬物部分から突き出たヒドロキシル(−OH)基またはスルフヒドリル(−SH)基から誘導される。
【0055】
理論または特定の機構に限定されるべきではないが、式I、IIまたはIIIリンカーの複素環上の電子求引性基の存在は、切断の速度を調節し得る。図1は、酵素によって切断される本発明の結合体の自壊的機構を例示する説明図である。
【0056】
1つの実施形態では、自壊的部分は、QがNであり、UがOまたはSである、式Iの基である。そのような基は、結合体の溶解度を改善する非線形構造特徴を有する。これに関して、RはH、メチル、ニトロまたはCFであり得、一方Tは薬物部分Dから突き出たNまたはNHである。1つの実施形態では、QはNであり、UはOであり、それによってオキサゾール環を形成し、そしてRはHである。別の実施形態では、QはNであり、UはSであり、それによって必要に応じてRにおいてMe基またはCF基で置換されたチアゾール環を形成し、そしてTは薬物部分Dから突き出たNまたはNHである。TがNHである場合、薬物部分から突き出た第一級アミン(−NH)から誘導されること(自壊的部分への結合の前に)、およびTがNである場合、薬物部分からの第二級アミン(−NH−)から誘導されること(自壊的部分への結合の前に)が理解される。同様に、TがOまたはSであるときは、自壊的部分への結合の前に、それぞれ薬物部分から突き出たヒドロキシル(−OH)基またはスルフヒドリル(−SH)基から誘導される。
【0057】
別の例示的な実施形態では、自壊的部分は、QがNであり、VおよびVが独立してNまたはCHであり、そしてTがNまたはNHである、式IIの基である。別の実施形態では、Q、VおよびVは各々Nである。別の実施形態では、QおよびVはNであるが、VはCHである。別の実施形態では、QおよびVはNであるが、VはCHである。別の実施形態では、QおよびVはどちらもCHであるが、VはNである。別の実施形態では、QはNであるが、VおよびVはどちらもCHである。
【0058】
別の実施形態では、自壊的部分は、Q、V、VおよびVが各々独立してNまたはCHであり、そしてTがNまたはNHである、式IIIの基である。別の実施形態では、QはNであるが、V、VおよびVは各々Nである。別の実施形態では、Q、VおよびVは各々CHであるが、VはNである。別の実施形態では、Q、VおよびVは各々CHであるが、VはNである。別の実施形態では、Q、VおよびVは各々CHであるが、VはNである。別の実施形態では、QおよびVはどちらもNであるが、VおよびVはどちらもCHである。別の実施形態では、QおよびVはどちらもCHであるが、VおよびVはどちらもNである。別の実施形態では、QおよびVはどちらもNであるが、VおよびVはどちらもCHである。
【0059】
(切断可能ペプチド配列(Z))
式IVの結合体において、各々のmは、独立して1、2、3、4、5または6である。例示的実施形態では、mは、それぞれ1個のアミノ酸、ジペプチドおよびトリペプチドアミノ酸単位を形成するために1、2または3であり得る。アミノ酸単位Zは、天然および非天然のアミノ酸から選択される。側鎖を有する炭素は、DまたはL(RまたはS)立体配置であり得る。アミノ酸単位Zは、アラニン、2−アミノ−2−シクロヘキシル酢酸、2−アミノ−2−フェニル酢酸、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リシン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、バリン、γ−アミノ酪酸、α,α−ジメチルγ−アミノ酪酸、β,β−ジメチルγ−アミノ酪酸、オルニチンおよびシトルリン(Cit)であり得る。アミノ酸単位Zは、必要に応じて、側鎖の反応性官能基が保護されている、保護された形態のアミノ酸を含む。保護されたアミノ酸試薬および中間体は周知であり、アセチル、ホルミル、トリフェニルメチル(トリチル)およびモノメトキシトリチル(MMT)で保護されたリシンを含む。他の保護されたアミノ酸単位としては、トシル基またはニトロ基で保護されたアルギニン、アセチル基またはホルミル基で保護されたオルニチンが挙げられる。
【0060】
各々のZ単位は独立して、以下の四角いかっこ内に示す式を有し、
【0061】
【化9】

ここで、mが0から6までの範囲の整数であり:
ここで、Rとしては、水素、メチル、イソプロピル、イソブチル、sec−ブチル、フェニル、ベンジル、p−ヒドロキシベンジル、−CHOH、−CHSH、−CHCHOH、−CHCHSH、−CH(OH)CH、−CHSCH、−CHCHSCH、−CHCONH、−CHCOOH、−CHCHCONH、−CHCHCOOH、−(CHNHC(=NH)NH、−(CHNH、−(CHNHCOCH、−(CHNHCHO、−(CHNHC(=NH)NH、−(CHNH、−(CHNHCOCH、−(CHNHCHO、−(CHNHCONH、−(CHNHCONH、−CHCHCH(OH)CHNH、2−ピリジルメチル−、3−ピリジルメチル−、4−ピリジルメチル−、フェニル、シクロヘキシル、
【0062】
【化10】

が挙げられるが、これらに限定されない。
【0063】
ペプチド単位配列Zは、一種以上の細胞プロテアーゼによって薬物部分から選択的に酵素切断されるように特異的に調整される。ペプチドリンカーのアミノ酸残基鎖の長さは、1アミノ酸残基から約8アミノ酸残基の範囲である。以下は、例示的な本発明の酵素切断可能ペプチド配列である:どちらかの方向の、Gly−Gly、Phe−Lys、Val−Lys、Phe−Phe−Lys、D−Phe−Phe−Lys、Gly−Phe−Lys、Ala−Lys、Val−Cit、Phe−Cit、Leu−Cit、Ile−Cit、Trp−Cit、Phe−Ala、Ala−Phe、Gly−Gly−Gly、Gly−Ala−Phe、Gly−Val−Cit、Gly−Phe−Leu−Gly、Ala−Leu−Ala−Leu、Phe−N−トシル−Arg、およびPhe−N−ニトロ−Arg。本発明における使用に適する数多くの特異的切断可能ペプチド配列を設計することができ、特定の細胞内酵素、例えば腫瘍関連プロテアーゼによる酵素切断についての選択性を最適化することができる。本発明における使用のための切断可能ペプチドは、Phe−Lys、Ala−PheおよびVal−Citなどの、プロテアーゼ、カテプシンB、CおよびDに対して最適化されるものを含む。本発明における使用のための別のペプチド配列は、腫瘍の浸潤および転移に関与する、腫瘍関連プロテアーゼ、プラスミンによって選択的に認識されるトリペプチドD−Ala−Phe−Lysである(de Grootら、(2002)Molecular Cancer Therapeutics 1(11):901−911;de Grootら、(1999)J.Med.Chem.42(25):5277−5283)。
【0064】
が結合する各々の炭素原子は、独立して(S)立体配置または(R)立体配置またはラセミ混合物である。従って、アミノ酸単位は、鏡像異性的に純粋、ラセミまたはジアステレオマーであり得る。
【0065】
(スペーサー単位(A))
例示的実施形態では、式IVの結合体は、必要に応じて、切断可能ペプチド(Z)のN末端をリガンドLに結合する二価部分であるスペーサー単位「A」(すなわちnは1である)を組み込む。スペーサー単位は、切断可能ペプチド配列が切断酵素(例えばカテプシンB)に接触することおよび切断可能ペプチドを自壊的部分Xに連結するアミド結合の加水分解を可能にする長さである。スペーサー単位Aはアミド結合によってZに共有結合される。あるいは、スペーサー単位は結合であり、リガンドLは自壊的部分Xに直接共有結合する。この場合、リガンドLおよび自壊的部分Xは、タンパク質分解の際に自壊的反応を開始させ、薬物Dを最終的に放出させるアミド結合を形成する。
【0066】
スペーサー単位Aは、アミド基またはチオエーテル基またはジスルフィド基を形成するアミン(例えばLys残基からの−NH)、カルボキシル(Asp残基またはGlu残基からの−COOH)またはスルフヒドリル(例えばCys残基からの−SH)などの、リガンドLから突き出た官能基に共有結合する。スペーサー単位は、アルキルジイル部分、アリールジイル部分、ヘテロアリールジイル部分などの二価ラジカル(例えば、−(CRO(CR−)、アルキルオキシ(例えばポリエチレンオキシ、PEG、ポリメチレンオキシ)の反復単位およびアルキルアミノ(例えばポリエチレンアミノ、JeffamineTM)、およびスクシネート、スクシンアミド、ジグリコレート、マロネートおよびカプロンアミドを含むニ酸エステルおよびアミドを含み得る。
【0067】
スペーサー単位AがリガンドLのスルフヒドリル官能基と反応して(例えばLがCysを含むペプチドまたは還元抗体である場合)チオエーテル結合を形成する本発明の結合体としては、式Va−Veによって表される結合体が挙げられ、
【0068】
【化11】

ここで、スペーサー単位「A」は、かっこ内の化合物であり、
ここで、R17は、(CH、C−Cカルボシクリル、O−(CH、アリーレン、(CH−アリーレン、−アリーレン−(CH−、(CH−(C−Cカルボシクリル)、(C−Cカルボシクリル)−(CH、C−Cヘテロシクリル、(CH−(C−Cヘテロシクリル)、−(C−Cヘテロシクリル)−(CH−、−(CHC(O)NR(CH−、−(CHCHO)−、−(CHCHO)−CH−、−(CHC(O)NR(CHCHO)−、−(CHC(O)NR(CHCHO)−CH−、−(CHCHO)C(O)NR(CHCHO)−、−(CHCHO)C(O)NR(CHCHO)−CH−、および−(CHCHO)C(O)NR(CH−から選択され、rは、独立して1−10の範囲の整数である。L、Y、Z、X、Dおよびmは、上に定義したとおりである。
【0069】
例示的スペーサー単位Aは、マレイミドカプロイル−N−ヒドロキシスクシンイミド(MC−NHS)から作製される、R17が−(CH−である、マレイミドカプロイル(MC):
【0070】
【化12】

を含む式Vaのものである。
【0071】
例示的スペーサー単位Aは、R17が−(CH−である、マレイミド−プロパノイル(MP):
【0072】
【化13】

から誘導される式Vaのものである。
【0073】
別の例示的スペーサー単位Aは、R17が−(CHCHO)−CH−であり、rが2である、式Va:
【0074】
【化14】

のものである。
【0075】
別の例示的スペーサー単位Aは、R17が−(CHC(O)NR(CHCHO)−CH−であり、RがHであり、各々のrが2である式Va:
【0076】
【化15】

のものである。
【0077】
別の例示的スペーサー単位Aは、スクシンイミジル4−(N−マレイミドメチル)−シクロヘキサン−1−カルボキシレート(SMCC、Pierceカタログ)から作製される、Vb:
【0078】
【化16】

におけるようなSMCCである。
【0079】
別の例示的スペーサー単位は、Vc:
【0080】
【化17】

におけるように、m−マレイミドベンゾイル−N−ヒドロキシスクシンイミドエステル(MBS)(Pierceカタログp.E−16(1992))から作製される。
【0081】
別の例示的スペーサー単位は、Vd:
【0082】
【化18】

におけるように、スクシンイミジル4−(p−マレイミドフェニル)ブチレート(SMPB、Pierceカタログ)から作製される。
【0083】
別の例示的スペーサー単位は、Ve:
【0084】
【化19】

におけるように、N−スクシンイミジル(4−ヨードアセチル)アミノベンゾエート(SIAB、Pierce Biotechnology,Inc.)から作製される。
【0085】
スペーサー単位AおよびリガンドLがチオエーテル基によって連結されている他の結合体は、リガンドLから突き出たスルフヒドリル官能基をスペーサー単位Aの活性化ジスルフィド含有前駆体と反応させることによって調製され得る。式VIa−dはこのタイプの結合体を代表する。
【0086】
【化20】


【0087】
別の例示的スペーサー単位は、VIb:
【0088】
【化21】

におけるように、4−スクシンイミジルオキシカルボニル−α−メチル−α−(2−ピリジルジチオ)トルエン(SMPT、Pierce Biotechnology,Inc.)から作製される。
【0089】
別の例示的スペーサー単位は、VIc:
【0090】
【化22】

に示すようなスクシンイミジル6−[3−(2−ピリジルジチオ)−プロピオンアミド]ヘキサノエート(LC−SPDP、Pierce Biotechnology,Inc.)から作製される。
【0091】
別の例示的スペーサー単位は、VIc:
【0092】
【化23】

に示すような、ハロアセトアミド試薬から作製される。
【0093】
別の例示的スペーサー単位Aは、R17が−(CH−である式VIdのもの:
【0094】
【化24】

である。
【0095】
本発明のスペーサー単位は、Pierce Biotechnology,Inc.,Customer Service Department,P.O.Box 117,Rockford,IL.61105 USA,1−800−874−3723、International+815−968−0747から市販されている、架橋試薬:BMPEO、BMPS、EMCS、GMBS、HBVS、LC−SMCC、MBS、MPBH、SBAP、SIA、SIAB、SMCC、SMPB、SMPH、スルホ−EMCS、スルホ−GMBS、スルホ−KMUS、スルホ−MBS、スルホ−SIAB、スルホ−SMCCおよびスルホ−SMPB、およびSVSB(スクシンイミジル(4−ビニルスルホン)ベンゾエート)、ならびにビスマレイミド試薬:DTME、BMB、BMDB、BMH、BMOE、BM(PEO)およびBM(PEO)を用いて調製される結合体を明白に企図するが、これらに限定されない。the Applications Handbook and Catalog、2003−2004、467−498ページを参照のこと。ビスマレイミド試薬は、抗体のシステイン残基のチオール基がチオール含有薬物部分、標識またはリンカー中間体に連続的または同時に結合することを可能にする。抗体のチオール基、薬物部分、標識またはリンカー中間体と反応性であるマレイミド以外の他の官能基としては、ヨードアセトアミド、ブロモアセトアミド、ビニルピリジン、ジスルフィド、ピリジルジスルフィド、イソシアネートおよびイソチオシアネートが挙げられる
【0096】
【化25】


【0097】
有用なスペーサー試薬はまた、Molecular Biosciences Inc.(Boulder,CO)などの他の市販の供給源によって入手され得るか、またはTokiら、(2002)J.Org.Chem.67:1866−1872;Firestoneらの米国特許第6214345号;国際公開第02088172号;米国特許出願公開第2003130189号;米国特許出願公開第2003096743号;国際公開第03026577号;国際公開第03043583号;および国際公開第04032828号に記載されている手順に従って合成され得る。
【0098】
スペーサー単位Aがアミド結合によってリガンドLに結合している本発明の結合体は、リガンドL上の遊離アミン官能基を、スペーサー単位Aの前駆体を含む活性エステルと反応させることによって調製され得る。例えばスペーサー単位上のカルボキシル基は、N−ヒドロキシスクシンイミドと反応させ、次いでL−NHと反応させて、LおよびAがアミド基によって結合される結合体を形成することによって活性化され得る。
【0099】
自然にまたは化学的操作によって、スペーサー単位に連結するための抗体上の有用な官能基としては、スルフヒドリル(−SH)、アミノ、ヒドロキシル、炭水化物のアノマーヒドロキシル基、およびカルボキシルが挙げられるが、これらに限定されない。1つの局面では、抗体上の反応性官能基はスルフヒドリルおよびアミノである。スルフヒドリル基は、抗体の分子内システインジスルフィド結合の還元によって生成され得る。あるいは、スルフヒドリル基は、2−イミノチオラン(トラウト試薬)または別のスルフヒドリル生成試薬を用いた抗体のリシン部分のアミノ基の反応によって生成することができる。
【0100】
別の実施形態では、スペーサー単位は、抗体単位の硫黄原子とスペーサー単位の硫黄原子との間のジスルフィド結合によって抗体単位に連結される。この実施形態の代表的スペーサー単位は、式VIIの四角いかっこ内に示されており、ここで、Ab、R17、Z、X、Dおよびmは上で定義したとおりである。抗体単位当りの薬物部分の平均数はpで表わされ、1−約8であり得る。
【0101】
【化26】


【0102】
なお別の実施形態では、スペーサーの反応基は、抗体の第一級アミノ基または第二級アミノ基と結合を形成し得る反応部位を含む。これらの反応部位の例としては、スクシンイミドエステル、4−ニトロフェニルエステル、ペンタフルオロフェニルエステル、テトラフルオロフェニルエステル、無水物、酸塩化物、スルホニル塩化物、イソシアネートおよびイソチオシアネートなどの活性化エステルが挙げられるが、これらに限定されない。この実施形態の代表的スペーサー単位は、式VIIIaおよびVIIIb:
【0103】
【化27】

の四角いかっこ内に示されている。
【0104】
さらに別の実施形態では、スペーサーの反応基は、グリコシル化抗体の糖(炭水化物)上のアルデヒド基、アセタール基またはケタール基と反応する。例えば過ヨウ素酸ナトリウムなどの試薬を用いて炭水化物を穏やかに酸化することができ、酸化炭水化物の生じた(−CHO)単位を、ヒドラジド、オキシム、第一級アミンまたは第二級アミン、ヒドラジン、チオセミカルバゾン、ヒドラジンカルボキシレート、およびKaneko,T.ら、(1991)Bioconjugate Chem 2:133−41によって記載されているようなアリールヒドラジドなどの官能基を含むスペーサーと縮合することができる。この実施形態の代表的スペーサー単位は、式IXa、IXbおよびIXc:
【0105】
【化28】

の四角いかっこ内に示されている。
【0106】
(薬物部分(D))
本発明の薬物結合体は、対応する薬物が有効であるために有効であり、リガンドに固有の、薬物をそれが特に有益である所望細胞へと輸送する能力に起因して卓越した効果および安全性を有する。さらに、本発明の結合体は、所定の生物学的応答を改変するために使用することができるので、薬物部分は伝統的化学治療薬に限定されると解釈されるべきではない。例えば薬物部分は、所望の生物学的活性を有するタンパク質またはポリペプチドであり得る。このようなタンパク質としては、例えば腫瘍壊死因子などのタンパク質が挙げられ得る。
【0107】
本発明における使用のための例示的薬物は、細胞傷害性薬物、特に癌治療のために使用されるものである。このような薬物としては、一般に、DNA損傷薬、代謝拮抗薬、天然生成物およびそれらの類似体が挙げられる。例示的なクラスの細胞傷害性薬剤としては、ジヒドロ葉酸レダクターゼインヒビターおよびチミジル酸シンターゼインヒビターなどの酵素インヒビター、DNAインターカレート剤、DNA切断剤、トポイソメラーゼインヒビター、アントラサイクリンファミリーの薬物、ビンカ薬物、マイトマイシン、ブレオマイシン、細胞傷害性ヌクレオシド、プテリジンファミリーの薬物、ジイネン、ポドフィロトキシン、ドラスタチン、メイタンシノイド、分化誘導剤およびタキソールが挙げられる。それらのクラスの特に有用なメンバーとしては、例えばメトトレキサート、メトプテリン、ジクロロメトトレキサート、5−フルオロウラシル、6−メルカプトプリン、シトシンアラビノシド、メルファラン、ロイロシン、ロイロシデイン、アクチノマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、マイトマイシンC、マイトマイシンA、カルミノマイシン、アミノプテリン、タリソマイシン、ポドフィロトキシンおよびエトポシドまたはリン酸エトポシドなどのポドフィロトキシン誘導体、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、タキソール、タキソテール、レチノイン酸、酪酸、N8−アセチルスペルミジン、カンプトテシン、カリケアマイシン(calicheamicin)、エスペラマイシン、エン−ジイン、およびそれらの類似体が挙げられる。
【0108】
例示的な薬物としては、ドラスタチンおよびその類似体が挙げられ、ドラスタチンA(米国特許第4486414号)、ドラスタチンB(米国特許第4486414号)、ドラスタチン10(米国特許第4816444号、米国特許第5410024号、米国特許第5504191号、米国特許第5521284号、米国特許第5530097号、米国特許第5599902号、米国特許第5635483号、米国特許第5663149号、米国特許第5665860号、米国特許第5780588号、米国特許第6034065号、米国特許第6323315号)、ドラスタチン13(米国特許第4986988号)、ドラスタチン14(米国特許第5138036号)、ドラスタチン15(米国特許第4879278号)、ドラスタチン16(米国特許第6239104号)、ドラスタチン17(米国特許第6239104号)およびドラスタチン18(米国特許第6239104号)が挙げられる(各々の特許はその全体が本明細書中に参考として援用される)。
【0109】
本発明の例示的実施形態では、薬物部分Dは、マイトマイシン、ビンカアルカロイド、タキソール、アントラサイクリン、カリケアマイシン、メイタンシノイドまたはアウリスタチン(auristatin)である。
【0110】
所望化合物の反応を、本発明の結合体を調製する目的でより好都合にするために、化合物に化学修飾を施し得ることは理解される。例えば官能基(例えばアミン、ヒドロキシルまたはスルフヒドリル)を、薬物の活性または他の性質に最小限のまたは許容される影響を有する位置で薬物に付加し得る。
【0111】
式Iの結合体において、Dは、その骨格にぶら下がった、薬物骨格がそれによってタンパク質ペプチドリンカーに結合する化学反応性官能基を有する薬物部分であり、上記官能基は、第一級アミンまたは第二級アミン、ヒドロキシル、スルフヒドリルまたはカルボキシルからなる群より選択される。
【0112】
自壊的部分への結合のためにアミン官能基を含む薬物としては、マイトマイシン−C、マイトマイシン−A、ダウノルビシン、ドキソルビシン、アミノプテリン、アクチノマイシン、ブレオマイシン、9−アミノカンプトテシン、N8−アセチルスペルミジン、1−(2−クロロエチル)−1,2−ジメタンスルホニルヒドラジド、タリソマイシン、シタラビン、ドラスタチン(アウリスタチンを含む)およびそれらの誘導体が挙げられる。
【0113】
自壊的部分への結合のためにヒドロキシル官能基を含む薬物としては、エトポシド、カンプトテシン、タキソール、エスペラマイシン、1,8−ジヒドロキシ−ビシクロ[7.3.1]トリデカ−4−9−ジエン−2,6−ジイン−13−オン、(米国特許第5198560号)、ポドフィロトキシン、アンギジン、ビンクリスチン、ビンブラスチン、モルホリン−ドキソルビシン、n−(5,5−ジアセトキシ−ペンチル)ドキソルビシンおよびそれらの誘導体が挙げられる。
【0114】
自壊的部分への結合のためにスルフヒドリル官能基を含む薬物としては、エスペラマイシンおよび6−メルカプトプリンおよびそれらの誘導体が挙げられる。
【0115】
自壊的部分への結合のために1以上のカルボキシル官能基を含む薬物としては、メトトレキサート、カンプトテシン(ラクトンの開環形態)、酪酸、レチノイン酸およびこれらの誘導体が挙げられる。
【0116】
本発明における薬物としての使用のための例示的細胞傷害性薬剤としては、以下の式の薬物が挙げられる。
【0117】
式(1)のマイトマイシン群:
【0118】
【化29】

ここで、Rは水素またはメチルであり;Rは、−NH、−OCH、−O(CHOH、−NH(CHSS(CHNHAc、−NHCH−C≡CH、−NH(CHSS(C)NO、−O(CHSS(CHOH、−N=CH−NHOCH、−NH(C)OH、−NH(CHSS(CHNHCO(CHCH(NH)COOH、および:
【0119】
【化30】

である。
【0120】
式(2)のブレオマイシン群:
【0121】
【化31】

ここで、Rは、ヒドロキシ、アミノ、C−Cアルキルアミノ、ジ(C−Cアルキル)アミノ、C−Cポリメチレンアミノ、
【0122】
【化32】

である。
【0123】
式(3)のメトトレキサート群:
【0124】
【化33】

ここで、Rはアミノまたはヒドロキシであり;Rは水素またはメチルであり;Rは、水素、フルオロ、クロロ、ブロモまたはヨードであり;Rは、ヒドロキシまたはカルボン酸の塩を完全にする部分である。
【0125】
式(4)のメルファラン:
【0126】
【化34】


【0127】
式(5)のメルカプトプリン:
【0128】
【化35】


【0129】
式(6)のシトシンアラビノシド:
【0130】
【化36】


【0131】
式(7)のポドフィロトキシン:
【0132】
【化37】

ここで、Rは水素であり、Rは水素または
【0133】
【化38】

であり、
ここで、Rは、NH、OH、OCH、NH(C−Cアルキル)またはN(C−Cアルキル)であり;RはOHまたはNHであり;Rはメチルまたはチエニルであり;そしてRは水素またはメチルまたはそれらのリン酸塩である。
【0134】
式(8)のビンカアルカロイド群の薬物:
【0135】
【化39】

ここで、Rは、H、CHまたはCHOであり;
およびRを1個ずつ考慮する場合、RはHであり、そしてRおよびRの一方はエチルであり、他方はHまたはOHであり;RおよびRを、それらが結合している炭素一緒になっている場合、それらはオキシラン環を形成し、その場合Rはエチルであり;Rは、水素、(C−Cアルキル)−COまたはクロロ置換(C−Cアルキル)−COである。本明細書中で使用する「C−Cアルキル」は1−3個の炭素原子を有する直鎖または分枝炭素鎖を意味し;例としては、メチル、エチル、n−プロピルおよびイソプロピルが挙げられる。
【0136】
式(9)のジフルオロヌクレオシド:
【0137】
【化40】

ここで、Rは、式:
【0138】
【化41】

の内の1つの塩基であり、
ここで、Rは、水素、メチル、ブロモ、フルオロ、クロロまたはヨードであり;Rは、−OHまたは−NHであり;Rは、水素、ブロモ、クロロまたはヨードである。
【0139】
式(10)のタキソール:
【0140】
【化42】

ここで、Rはヒドロキシであり;Rは、水素、ヒドロキシまたはフルオロであり;Rは、水素、ヒドロキシまたはアセトキシであり;Rは、アリール、置換アリール、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニルまたはt−ブトキシであり;Rは、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニルまたは−Z−Rであり;Zは、直接結合、C1−6アルキルまたはC2−6アルケニルであり;Rは、アリール、置換アリール、C3−6シクロアルキル、チエニルまたはフリルである。
【0141】
式(11)のアンギジン:
【0142】
【化43】

ここで、RはOHまたはOであり;RはHまたはOである。アンギジンは、エステルまたはヒドラゾンとしてC−3位、C−4位、C−8位またはC−15位で標的され得る。
【0143】
式(12)のアントラサイクリン系抗生物質:
【0144】
【化44】

ここで、Rは、−CH、−CHOH、−CHOCO(CHCHまたは−CHOCOCH(OCであり;Rは、−OCH、−OHまたはHであり;Rは、−NH、−NHCOCF、4−モルホリニル、3−シアノ−4−モルホリニル、1−ピペリジニル、4−メトキシ−1−ピペリジニル、ベンジルアミン、ジベンジルアミン、シアノメチルアミン、1−シアノ−2−メトキシエチルアミンまたはNH−(CH−CH(OAc)であり;Rは、−OH、−OTHPまたは−Hであり;そしてRは、−OHまたは−Hであり、但し、Rが−OHまたは−OTHPである場合、Rは−OHではない。
【0145】
上記構造および説明は、薬物または薬物の誘導体である化合物、および当該分野において異なる一般名、商標名または慣用名を有する化合物を包含することが認識される。
【0146】
以下の表Iは、本発明における使用のための例示である、多くのアントラサイクリン系薬物とそれらの一般名または慣用名を表わす。表Iに示すドキソルビシン(本明細書中では「DOX」とも称する)は、Rが−CHOHであり、Rが−OCHであり、Rが−NHであり、Rが−OHであり、そしてRが−Hである、式(12)のアントラサイクリンである。
【0147】
【表1】

式(13)のアウリスタチン:
式Iの結合体の薬物部分(D)としては、ドラスタチンおよびそれらのペプチド類似体および誘導体、アウリスタチン(米国特許第5635483号;同第5780588号)が挙げられる。ドラスタチンおよびアウリスタチンは、微小管の動力学、GTP加水分解、ならびに核および細胞の分裂に干渉し(Woykeら、(2001)Antimicrob.Agents and Chemother.45(12):3580−3584)、抗癌活性(米国特許第5663149号)および抗真菌活性(Pettitら、(1998)Antimicrob.Agents and Chemother.42:2961−2965)を有することが示された。ドラスタチンまたはアウリスタチンの薬物部分は、ペプチド薬物部分のN(アミノ)末端またはC(カルボキシル)末端を介して抗体に結合され得る(国際公開第02088172号)。
【0148】
N末端結合したモノメチルアウリスタチン薬物部分DおよびDを含む式Iの抗体−薬物結合体(ADC)の薬物部分(D)の実施形態は、2004年3月28日に発表された、Senterら、Proceedings of the American Association for Cancer Research、第45巻、Abstract Number 623に開示されており、構造:
【0149】
【化45】

を有し、
ここで、DおよびDの波線は、リンカーのA、WまたはYへの共有結合部位を示し、各々の位置で独立して:
は、HおよびC−Cアルキルから選択され;
は、H、C−Cアルキル、C−C炭素環、アリール、C−Cアルキル−(C−C20アリール)、C−Cアルキル−(C−C炭素環)、C−C複素環およびC−Cアルキル−(C−C複素環)から選択され;
は、H、C−Cアルキル、C−C炭素環、C−C20アリール、C−Cアルキル−(C−C20アリール)、C−Cアルキル−(C−C炭素環)、C−C複素環およびC−Cアルキル−(C−C複素環)から選択され;
は、Hおよびメチルから選択され;
またはRとRは結合して炭素環を形成し、式−(CR−を有し、ここで、RおよびRは、H、C−CアルキルおよびC−C炭素環から独立して選択され、nは、2、3、4、5および6から選択され;
は、HおよびC−Cアルキルから選択され;
は、H、C−Cアルキル、C−C炭素環、C−C20アリール、C−Cアルキル−(C−C20アリール)、C−Cアルキル−(C−C炭素環)、C−C複素環およびC−Cアルキル−(C−C複素環)から選択され;
各Rは、H、OH、C−Cアルキル、C−C炭素環およびO−(C−Cアルキル)から独立して選択され;
は、HおよびC−Cアルキルから選択され;
10は、C−C20アリールまたはC−C複素環から選択され;
Zは、O、S、NHまたはNR12であり、ここで、R12はC−Cアルキルであり;
11は、H、C−C20アルキル、アリール、C−C複素環、−(R13O)−R14または−(R13O)−CH(R15から選択され;
mは、1−1000の範囲の整数であり;
13は、C−Cアルキルであり;
14は、HまたはC−Cアルキルであり;
15の各出現例は、独立してH、COOH、−(CH−N(R16、−(CH−SOHまたは−(CH−SO−C−Cアルキルであり;
16の各出現例は、独立してH、C−Cアルキルまたは−(CH−COOHであり;
18は、−C(R−C(R−(C−C20アリール)、−C(R−C(R−(C−C複素環)および−C(R−C(R−(C−C炭素環)から選択され;そして
nは0−6の範囲の整数である。
【0150】
11の例示的実施形態としては、
【0151】
【化46】

が挙げられる。
【0152】
薬物部分Dの1つの例示的実施形態は、MMAE:
【0153】
【化47】

である。
【0154】
薬物部分Dの1つの例示的実施形態は、MMAF:
【0155】
【化48】

である。
【0156】
代表的には、ペプチドに基づく薬物部分は、2以上のアミノ酸および/またはペプチドフラグメントの間にペプチド結合を形成することによって調製され得る。そのようなペプチド結合は、例えばペプチド化学の分野において周知である液相合成法(E.SchroederおよびK.Luebke、「The Peptides」、第1巻、pp76−136,1965,Academic Press)に従って調製され得る。アウリスタチン/ドラスタチン薬物部分は、米国特許第5635483号;米国特許第5780588号;Pettitら、(1989)J.Am.Chem.Soc.111:5463−5465;Pettitら、(1998)Anti−Cancer Drug Design 13:243−277;Pettit,G.Rら、Synthesis,1996、719−725;およびPettitら、(1996)J.Chem.Soc.Perkin Trans.15:859−863の方法に従って調製され得る。
【0157】
カリケアマイシン、エン−ジイン誘導体(14):
式IVの化合物に関する薬物部分の別の有用なクラスは、カリケアマイシンのエン−ジインファミリー(米国特許第5053394号;米国特許第4970198号;米国特許第5079233号;米国特許第5773001号;米国特許第5606040号;米国特許第5739116号;米国特許第5264586号;米国特許第5384412号)およびエスペラマイシン(米国特許第5877296号)である。
【0158】
式(15)のメイタンシノイド誘導体:
式IVの結合体の薬物部分(D)は、構造:
【0159】
【化49】

を有するメイタンシノイドを含み、
ここで、波線は、式IVの化合物、例えば抗体薬物結合体(ADC)のリンカー(L)へのDの硫黄原子の共有結合を示す。Rは独立してHまたはC−Cアルキルであり得る。アミド基を硫黄原子に結合するアルキレン鎖は、メタニル、エタニルまたはプロピルであり得、すなわちmは1、2または3である。
【0160】
マイタンシン(maytansine)化合物は、微小管タンパク質、チューブリンの重合の阻害を介して有糸分裂中の微小管の形成を阻害することによって細胞増殖を阻害する(Remillardら、(1975)Science 189:1002−1005;米国特許第5208020号)。マイタンシンは東アフリカの低木、Maytenus serrataから単離され、メトトレキサート、ダウノルビシンおよびビンクリスチンのような従来の癌化学療法剤よりも100倍から1000倍細胞傷害性であることが示された(米国特許第3896111号)。その後、一部の微生物も、メイタンシノールおよびメイタンシノールのC−3エステルなどのメイタンシノイドを産生することが発見された(米国特許第4151042号)。メイタンシノールの合成C−3エステルおよびメイタンシノールの類似体も報告されている(Kupchanら、(1978)J.Med.Chem.21:31−37;Higashideら、(1977)Nature 270:721−722;Kawaiら、32 Chem.Pharm.(1984)Bull.3441−3451)。C−3エステルが調製されたメイタンシノールの類似体としては、芳香環(例えばデクロロ)上またはC−9、C−14(例えばヒドロキシル化メチル基)、C−15、C−18、C−20およびC−4,5に修飾を有するメイタンシノールが挙げられる。天然に存在するC−3エステルおよび合成C−3エステルは、2つの群:
(a)簡単なカルボン酸を有するC−3エステル(米国特許第4248870号;同第4265814号;同第4308268号;同第4308269号;同第4309428号;同第4317821号;同第4322348号;および同第4331598号)、および
(b)N−メチル−L−アラニンの誘導体を有するC−3エステル(米国特許第4137230号および同第4260608号;およびKawaiら、(1984)Chem.Pharm.Bull.32:3441−3451)に分類され得る。(b)群のエステルは(a)群のエステルよりもはるかに細胞傷害性であることが見出された。
【0161】
他の薬物部分と同様に、メイタンシノイド薬物部分の全ての立体異性体、すなわちDのキラル炭素におけるRおよびS立体配置のいかなる組合せも本発明の化合物に関して企図される。1つの実施形態では、メイタンシノイド薬物部分(D)は以下の立体化学:
【0162】
【化50】

を有する。
【0163】
メイタンシノイド薬物部分の例示的実施形態としては、構造:
【0164】
【化51】

を有する、DM1、(CR=CHCH;DM3、(CR=CHCHCH(CH);およびDM4、(CR=CHCHC(CHが挙げられる。
【0165】
(リガンド(L))
「リガンド」部分Lは、所定の標的細胞集団に結合するレセプターまたは他の受容部分と特異的に結合するかまたは反応的に関連するかまたは複合するいかなる分子もその範囲内に包含する。この細胞反応性分子は、遊離反応性スルフヒドリル(−SH)基、アミン(−NH)基、アルデヒド(−CHO)基またはカルボキシル(−COOH)基によって結合体のリンカー部分に連結されるかまたはそのようなスルフヒドリル基、アミン基、アルデヒド基またはカルボキシル基を含むように修飾され得る。リガンドLは、治療活性薬物部分Dを、そのリガンドが反応する特定標的細胞集団へと送達するように働き、そのような細胞によって内在化されて、そこで活性薬物の放出のための酵素に暴露される。そのようなリガンド分子としては、高分子量タンパク質(例えば抗体)、より低分子量のタンパク質、ポリペプチドまたはペプチドリガンドおよび非ペプチド性リガンドが挙げられるが、これらに限定されない。
【0166】
式IVの抗体−薬物結合体(ADC)においてLを含む有用な非免疫反応性タンパク質、ポリペプチドまたはペプチド抗体としては、トランスフェリン、上皮増殖因子(「EGF」)、ボンベシン、ガストリン、ガストリン放出ペプチド、血小板由来増殖因子、IL−2、IL−6、TGF−αおよびTGF−βなどのトランスフォーミング増殖因子(「TGF」)、ワクシニア増殖因子(「VGF」)、インスリンおよびインスリン様増殖因子IおよびII、レクチンおよび低密度リポタンパク質からのアポタンパク質が挙げられるが、これらに限定されない。
【0167】
(抗体)
式IVのリガンドLが抗体である場合、抗体単位(Ab−)は、所定の標的細胞集団に関連するレセプター、抗原または他の受容成分と結合するかまたは反応的に関連するかまたは複合するいかなる単位の抗体(Ab)もその範囲内に包含する。抗体は、治療的にまたはさもなければ生物学的に改変しようとする細胞集団の部分と結合するか、複合するかまたは反応する任意のタンパク質またはタンパク質様分子であり得る。1つの局面では、抗体単位は、薬物部分を、その抗体単位が反応する特定標的細胞集団に送達するように働く。そのような抗体としては、全長抗体および抗体フラグメントなどの高分子量タンパク質が挙げられるが、これらに限定されない。
【0168】
式IVの抗体−薬物結合体(ADC)においてLを含み、癌の処置において有用であり得る抗体としては、腫瘍関連抗原(TAA)に対する抗体が挙げられるが、これらに限定されない。そのような腫瘍関連抗原は当該分野で公知であり、抗体を産生するときに使用するための当該分野で周知の方法および情報を用いて調製することができる。癌の診断および治療のための有効な細胞標的を発見する試みとして、研究者らは、1以上の正常非癌細胞と比較して、1以上の特定型の癌細胞の表面上で特異的に発現される膜貫通ポリペプチドまたはさもなければ腫瘍関連ポリペプチドを同定しようとした。多くの場合、そのような腫瘍関連ポリペプチドは、非癌細胞の表面と比較して癌細胞の表面上でより豊富に発現される。そのような腫瘍関連細胞表面抗原ポリペプチドの同定は、抗体に基づく治療によって癌細胞を破壊のために特異的に標的する能力を生じさせた。
【0169】
TAAの例としては、以下に列挙するTAA(1)−(35)が挙げられるが、これらに限定されない。便宜上、それら全てが当該分野において公知である、これらの抗原に関する情報が以下に列挙されており、名称、選択的名称、Genbank登録番号および主要参考文献を含む。抗体によって標的される腫瘍関連抗原としては、引用参考文献中で同定される配列に対して少なくとも約70%、80%、85%、90%または95%の配列同一性を有するか、または引用参考文献中に見出される配列を有するTAAと実質的に同じ生物学的性質または特徴を示す、全てのアミノ酸配列改変体およびアイソフォームが挙げられる。例えば改変配列を有するTAAは一般的に、列挙する対応配列を有するTAAに特異的に結合する抗体に特異的に結合することができる。本明細書中で特に列挙する参考文献中の配列および開示は、明白に参考として援用される。
【0170】
(主要関連抗原(1)−(35)):
(1)BMPR1B(骨形態発生タンパク質レセプターIB型、Genbank登録番号NM_001203)
ten Dijke,P.ら、Science 264(5155):101−104(1994),Oncogene 14(11):1377−1382(1997));国際公開第2004063362号(請求項2);国際公開第2003042661号(請求項12);米国特許出願公開第2003134790−A1号(38−39ページ);国際公開第2002102235号(請求項13;296ページ);国際公開第2003055443号(91−92ページ);国際公開第200299122号(実施例2;528−530ページ);国際公開第2003029421号(請求項6);国際公開第2003024392号(請求項2;図112);国際公開第200298358号(請求項1;183ページ);国際公開第200254940号(100−101ページ);国際公開第200259377号(349−350ページ);国際公開第200230268号(請求項27;376ページ);国際公開第200148204号(実施例;図4)。
NP_001194骨形態発生タンパク質レセプターIB型/pid=NP_001194.1−
相互参照:MIM:603248;NP_001194.1;NM_001203_1。
【0171】
(2)E16(LAT1、SLC7A5、Genbank登録番号NM_003486)
Biochem.Biophys.Res.Commun.255(2),283−288(1999),Nature 395(6699):288−291(1998),Gaugitsch,H.W.ら、(1992)J.Biol.Chem.267(16):11267−11273);国際公開第2004048938号(実施例2);国際公開第2004032842号(実施例IV);国際公開第2003042661号(請求項12);国際公開第2003016475号(請求項1);国際公開第200278524号(実施例2);国際公開第200299074号(請求項19;127−129ページ);国際公開第200286443号(請求項27;222、393ページ);国際公開第2003003906号(請求項10;293ページ);国際公開第200264798号(請求項33;93−95ページ);国際公開第200014228号(請求項5;133−136ページ);米国特許出願公開第2003224454号(図3);国際公開第2003025138号(請求項12;150ページ);
NP_003477溶質キャリアファミリー7(陽イオンアミノ酸トランスポーター、y+系)、メンバー5/pid=NP_003477.3−Homo sapiens
相互参照:MIM:600182;NP_003477.3;NM_015923:NM_003486_1。
【0172】
(3)STEAP1(前立腺の6回膜貫通型上皮抗原、Genbank登録番号NM_012449)
Cancer Res.61(15),5857−5860(2001),Hubert,R.S.ら、(1999)Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.96(25):14523−14528);国際公開第2004065577号(請求項6);国際公開第2004027049号(図1L);欧州特許第1394274号(実施例11);国際公開第2004016225号(請求項2);国際公開第2003042661号(請求項12);米国特許出願公開第2003157089号(実施例5);米国特許出願公開第2003185830号(実施例5);米国特許出願公開第200364397号(図2);国際公開第200289747号(実施例5;618−619ページ);国際公開第2003022995号(実施例9;図13A,実施例53;173ページ、実施例2;図2A);
NP_036581 前立腺の6回膜貫通型上皮抗原
相互参照:MIM:604415;NP_036581.1NM_012449_1。
【0173】
(4)0772P(CA125、MUC16、Genbank登録番号AF361486)
J.Biol.Chem.276(29):27371−27375(2001));国際公開第2004045553(請求項14);国際公開第200292836号(請求項6;図12);国際公開第200283866号(請求項15;116−121ページ);米国特許出願公開第2003124140号(実施例16);米国特許出願公開第2003091580号(請求項6);国際公開第200206317号(請求項6;400−408ページ);
相互参照:GI:34501467;AAK74120.3;AF361486_1。
【0174】
(5)MPF(MPF、MSLN、SMR、巨核球増殖因子(megakaryocyte potentiating factor)、メソテリン(mesothelin)、Genbank登録番号NM_005823)
Yamaguchi,N.ら、Biol.Chem.269(2),805−808(1994),Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.96(20):11531−11536(1999),Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.93(1):136−140(1996)、J.Biol.Chem.270(37):21984−21990(1995));国際公開第2003101283号(請求項14);国際公開第2002102235号(請求項13;287−288ページ);国際公開第2002101075号(請求項4;308−309ページ);国際公開第200271928号(320−321ページ);国際公開第9410312号(52−57ページ);
相互参照:MIM:601051;NP_005814.2;NM_005823_1。
【0175】
(6)Napi3b(NAPI−3B、NPTIIb、SLC34A2、溶質キャリアファミリー34(リン酸ナトリウム)、メンバー2、II型ナトリウム依存性リン酸トランスポーター3b、Genbank登録番号NM_006424)
J.Biol.Chem.277(22):19665−19672(2002),Genomics 62(2);281−284(1999),Feild,J.A.ら、(1999)Biochem.Biophys.Res.Commun.258(3):578−582;国際公開第2004022778号(請求項2);欧州特許第1394274号(実施例11);国際公開第2002102235号(請求項13;326ページ);欧州特許第875569号(請求項1;17−19ページ);国際公開第200157188号(請求項20;329ページ);国際公開第2004032842号(実施例IV);国際公開第200175177号(請求項24;139−140ページ);
相互参照:MIM:604217;NP_006415.1;NM_006424_1。
【0176】
(7)Sema 5b(FLJ10372、KIAA1445、Mm.42015、SEMA5B、SEMAG、セマフォリン5b Hlog、セマドメイン、7回のトロンボスポンジン反復(1型および1型様)、膜貫通ドメイン(TM)および短い細胞質ドメイン、(セマフォリン)5B、Genbank登録番号AB040878)
Nagase T.ら、(2000)DNA Res.7(2):143−150);国際公開第2004000997号(請求項1);国際公開第2003003984号(請求項1);国際公開第200206339号(請求項1;50ページ);国際公開第200188133号(請求項1;41−43ページ、48−58ページ);国際公開第2003054152号(請求項20);国際公開第2003101400号(請求項11);
登録番号:Q9P283;EMBL;AB040878;BAA95969.1.Genew;HGNC:10737;
(8)PSCA hlg(2700050C12Rik、C530008O16Rik、RIKEN cDNA 2700050C12、RIKEN cDNA 2700050C12遺伝子、Genbank登録番号AY358628);
米国特許出願公開第2003129192号(請求項2);米国特許出願公開第2004044180号(請求項12);米国特許出願公開第2004044179号(請求項11);米国特許出願公開第2003096961号(請求項11);米国特許出願公開第2003232056号(実施例5);国際公開第2003105758号(請求項12);米国特許出願公開第2003206918号(実施例5);欧州特許第1347046号(請求項1);国際公開第2003025148号(請求項20);
相互参照:GI:37182378;AAQ88991.1;AY358628_1。
【0177】
(9)ETBR(エンドセリンB型レセプター、Genbank登録番号AY275463);
Nakamuta M.ら、Biochem.Biophys.Res.Commun.177:34−39,1991;Ogawa Y.ら、Biochem.Biophys.Res.Commun.178:248−255,1991;Arai H.ら、Jpn.Circ.J.56,1303−1307,1992;Arai H.ら、J.Biol.Chem.268,3463−3470,1993;Sakamoto A.,Yanagisawa M.ら、Biochem.Biophys.Res.Commun.178,656−663,1991;Elshourbagy N.A.ら、J.Biol.Chem.268,3873−3879,1993;Haendler B.,ら、J.Cardiovasc.Pharmacol.20,S1−S4,1992;Tsutsumi M.ら、 Gene 228,43−49,1999;Strausberg R.L.ら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.99,16899−16903,2002;Bourgeois C.ら、J.Clin.Endocrinol.Metab.82,3116−3123,1997;Okamoto Y.ら、 Biol.Chem.272,21589−21596,1997;Verheij J.B.ら、Am.J.Med.Genet.108,223−225,2002;Hofstra R.M.W.ら、Eur.J.Hum.Genet.5,180−185,1997;Puffenberger E.G.ら、Cell 79,1257−1266,1994;Attie T.ら、Hum.Mol.Genet.4,2407−2409,1995;Auricchio A.ら、Hum.Mol.Genet.5:351−354,1996;Amiel J.ら、Hum.Mol.Genet.5,355−357,1996;Hofstra R.M.W.ら、Nat.Genet.12,445−447,1996;Svensson P.J.ら、Hum.Genet.103,145−148,1998;Fuchs S.ら、Mol.Med.7,115−124,2001;Pingault V.ら、(2002)Hum.Genet.111,198−206;国際公開第2004045516号(請求項1);国際公開第2004048938号(実施例2);国際公開第2004040000(請求項151);国際公開第2003087768号(請求項1);国際公開第2003016475号(請求項1);国際公開第2003016475号(請求項1);国際公開第200261087号(図1);国際公開第2003016494号(図6);国際公開第2003025138号(請求項12;144ページ);国際公開第200198351号(請求項1;124−125ページ);欧州特許第522868号(請求項8;図2);国際公開第200177172号(請求項1;297−299ページ);米国特許出願公開第2003109676号;米国特許第6518404号(図3);米国特許第5773223号(請求項1a;31−34段);国際公開第2004001004号。
【0178】
(10)MSG783(RNF124、仮想タンパク質FLJ20315、Genbank登録番号NM_017763);
国際公開第2003104275号(請求項1);国際公開第2004046342号(実施例2);国際公開第2003042661号(請求項12);国際公開第2003083074号(請求項14;61ページ);国際公開第2003018621号(請求項1);国際公開第2003024392号(請求項2;図93);国際公開第200166689号(実施例6);
相互参照:遺伝子座ID:54894;NP_060233.2;NM_017763_1。
【0179】
(11)STEAP2(HGNC_8639、IPCA−1、PCANAP1、STAMP1、STEAP2、STMP、前立腺癌関連遺伝子1、前立腺癌関連タンパク質1、前立腺の6回膜貫通型上皮抗原2、6回膜貫通型前立腺タンパク質、Genbank登録番号AF455138)
Lab.Invest.82(11):1573−1582(2002);国際公開第2003087306号;米国特許出願公開第2003064397号(請求項1;図1);国際公開第2002272596号(請求項13;54−55ページ);国際公開第200172962号(請求項1;図4B);国際公開第2003104270号(請求項11);国際公開第2003104270号(請求項16);米国特許出願公開第2004005598号(請求項22);国際公開第2003042661号(請求項12);米国特許出願公開第2003060612号(請求項12;図10);国際公開第200226822号(請求項23;図2);国際公開第200216429号(請求項12;図10);
相互参照:GI:22655488;AAN04080.1;AF455138_1。
【0180】
(12)TrpM4(BR22450、FLJ20041、TRPM4、TRPM4B、一過性レセプター潜在的陽イオンチャネル、サブファミリーM、メンバー4、Genbank登録番号NM_017636)
Xu,X.Z.ら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.98(19):10692−10697(2001),Cell 109(3):397−407(2002),J.Biol.Chem.278(33):30813−30820(2003);米国特許出願公開第2003143557号(請求項4);国際公開第200040614号(請求項14;100−103ページ);国際公開第200210382号(請求項1;図9A);国際公開第2003042661号(請求項12);国際公開第200230268号(請求項27;391ページ);米国特許出願公開第2003219806号(請求項4);国際公開第200162794号(請求項14;図1A−D);
相互参照:MIM:606936;NP_060106.2;NM_017636_1。
【0181】
(13)CRIPTO(CR、CR1、CRGF、CRIPTO、TDGF1、奇形癌由来増殖因子、Genbank登録番号NP_003203またはNM_003212)
Ciccodicola,A.ら、EMBO J.8(7):1987−1991(1989)、Am.J.Hum.Genet.49(3):555−565(1991);米国特許出願公開第2003224411号(請求項1);国際公開第2003083041号(実施例1);国際公開第2003034984号(請求項12);国際公開第200288170号(請求項2;52−53ページ);国際公開第2003024392号(請求項2;図58);国際公開第200216413号(請求項1;94−95、105ページ);国際公開第200222808号(請求項2;図1);米国特許第5854399号(実施例2;17−18段);米国特許第5792616号(図2);
相互参照:MIM:187395;NP_003203.1;NM_003212_1。
【0182】
(14)CD21(CR2(補体レセプター2)またはC3DR(C3d/エプスタイン−バーウイルスレセプター)またはHs.73792、Genbank登録番号M26004)
Fujisakuら、(1989)J.Biol.Chem.264(4):2118−2125;Weis J.J.ら、J.Exp.Med.167,1047−1066,1988;Moore M.ら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.84,9194−9198,1987;Barel M.ら、Mol.Immunol.35,1025−1031,1998;Weis J.J.ら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.83,5639−5643,1986;Sinha S.K.ら、(1993)J.Immunol.150,5311−5320;国際公開第2004045520号(実施例4);米国特許出願公開第2004005538号(実施例1);国際公開第2003062401号(請求項9);国際公開第2004045520号(実施例4);国際公開第9102536号(図9.1−9.9);国際公開第2004020595号(請求項1);
登録番号:P20023;Q13866;Q14212;EMBL;M26004;AAA35786.1。
【0183】
(15)CD79b(CD79B、CD79β、IGb(免疫グロブリン関連β)、B29、Genbank登録番号NM_000626または11038674)
Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.(2003)100(7):4126−4131;Blood(2002)100(9):3068−3076、Mullerら、(1992)Eur.J.Immunol.22(6):1621−1625;国際公開第2004016225号(請求項2、図140);国際公開第2003087768号、米国特許出願公開第2004101874号(請求項1、102ページ);国際公開第2003062401号(請求項9);国際公開第200278524号(実施例2);米国特許出願公開第2002150573号(請求項5、15ページ);米国特許第5644033号;国際公開第2003048202号(請求項1、306および309ページ);国際公開第99/558658号、米国特許第6534482号(請求項13、図17A/B);国際公開第200055351号(請求項11、1145−1146ページ);
相互参照:MIM:147245;NP_000617.1;NM_000626_1。
【0184】
(16)FcRH2(IFGP4、IRTA4、SPAP1A(ホスファターゼアンカータンパク質1aを含むSH2ドメイン)、SPAP1B、SPAP1C、Genbank登録番号NM_030764)
Genome Res.13(10):2265−2270(2003),Immunogenetics 54(2):87−95(2002),Blood 99(8):2662−2669(2002),Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.98(17):9772−9777(2001),Xu,M.J.ら、(2001)Biochem.Biophys.Res.Commun.280(3):768−775;国際公開第2004016225号(請求項2);国際公開第2003077836号;国際公開第200138490号(請求項5;図18D−1−18D−2);国際公開第2003097803号(請求項12);国際公開第2003089624号(請求項25);
相互参照:MIM:606509;NP_110391.2;NM_030764_1。
【0185】
(17)HER2(ErbB2、Genbank登録番号M11730)
Coussens L.ら、Science(1985)230(4730):1132−1139;Yamamoto T.ら、Nature 319,230−234,1986;Semba K.ら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.82,6497−6501,1985;Swiercz J.M.ら、J.Cell.Biol.165,869−880,2004;Kuhns J.J.ら、J.Biol.Chem.274,36422−36427,1999;Cho H.−S.ら、Nature 421,756−760,2003;Ehsani A.ら、(1993)Genomics 15,426−429;国際公開第2004048938号(実施例2);国際公開第2004027049号(図1I);国際公開第2004009622号;国際公開第2003081210号;国際公開第2003089904号(請求項9);国際公開第2003016475号(請求項1);米国特許第2003118592号;国際公開第2003008537号(請求項1);国際公開第2003055439号(請求項29;図1A−B);国際公開第2003025228号(請求項37;図5C);国際公開第200222636号(実施例13;95−107ページ);国際公開第200212341号(請求項68;図7);国際公開第200213847号(71−74ページ);国際公開第200214503号(114−117ページ);国際公開第200153463号(請求項2;41−46ページ);国際公開第200141787号(15ページ);国際公開第200044899号(請求項52;図7);国際公開第200020579号(請求項3;図2);米国特許第5869445号(請求項3;31−38段);国際公開第9630514号(請求項2;56−61ページ);欧州特許第1439393号(請求項7);国際公開第2004043361号(請求項7);国際公開第2004022709号;国際公開第200100244号(実施例3;図4);
登録番号:P04626;EMBL;M11767;AAA35808.1.EMBL;M11761;AAA35808.1。
【0186】
(18)NCA(CEACAM6、Genbank登録番号M18728);
Barnett T.ら、Genomics 3,59−66,1988;Tawaragi Y.ら、Biochem.Biophys.Res.Commun.150,89−96,1988;Strausberg R.L.,ら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.99:16899−16903,2002;国際公開第2004063709号;欧州特許第1439393号(請求項7);国際公開第2004044178号(実施例4);国際公開第2004031238号;国際公開第2003042661号(請求項12);国際公開第200278524号(実施例2);国際公開第200286443号(請求項27;427ページ);国際公開第200260317号(請求項2);
登録番号:P40199;Q14920;EMBL;M29541;AAA59915.1.EMBL;M18728。
【0187】
(19)MDP(DPEP1、Genbank登録番号BC017023)
Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.99(26):16899−16903(2002);国際公開第2003016475号(請求項1);国際公開第200264798号(請求項33;85−87ページ);日本特許第05003790号(図6−8);国際公開第9946284号(図9);
相互参照:MIM:179780;AAH17023.1;BC017023_1。
【0188】
(20)IL20Rα(IL20Ra、ZCYTOR7、Genbank登録番号AF184971);
Clark H.F.ら、Genome Res.13,2265−2270,2003;Mungall A.J.ら、Nature 425,805−811,2003;Blumberg H.ら、Cell 104,9−19,2001;Dumoutier L.ら、J.Immunol.167,3545−3549,2001;Parrish−Novak J.ら、J.Biol.Chem.277,47517−47523,2002;Pletnev S.ら、(2003)Biochemistry 42:12617−12624;Sheikh F.ら、(2004)J.Immunol.172,2006−2010;欧州特許第1394274号(実施例11);米国特許出願公開第2004005320号(実施例5);国際公開第2003029262号(74−75ページ);国際公開第2003002717号(請求項2;63ページ);国際公開第200222153号(45−47ページ);米国特許出願公開第2002042366号(20−21ページ);国際公開第200146261号(57−59ページ);国際公開第200146232号(63−65ページ);国際公開第9837193号(請求項1;55−59ページ);
登録番号:Q9UHF4;Q6UWA9;Q96SH8;EMBL;AF184971;AAF01320.1。
【0189】
(21)Brevican(BCAN、BEHAB、Genbank登録番号AF229053)
Gary S.C.ら、Gene 256,139−147,2000;Clark H.F.ら、Genome Res.13,2265−2270,2003;Strausberg R.L.ら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.99,16899−16903,2002;米国特許出願公開第2003186372号(請求項11);米国特許出願公開第2003186373号(請求項11);米国特許出願公開第2003119131号(請求項1;図52);米国特許出願公開第2003119122号(請求項1;図52);米国特許出願公開第2003119126号(請求項1);米国特許出願公開第2003119121号(請求項1;図52);米国特許出願公開第2003119129号(請求項1);米国特許出願公開第2003119130号(請求項1);米国特許出願公開第2003119128号(請求項1;図52);米国特許出願公開第2003119125号(請求項1);国際公開第2003016475号(請求項1);国際公開第200202634号(請求項1);
(22)EphB2R(DRT、ERK、Hek5、EPHT3、Tyro5、Genbank登録番号NM_004442)
Chan,J.およびWatt,V.M.,(1991)Oncogene 6(6),1057−1061;Oncogene(1995)10(5):897−905;Annu.Rev.Neurosci.21:309−345(1998),Int.Rev.Cytol.196:177−244(2000);国際公開第2003042661号(請求項12);国際公開第200053216号(請求項1;41ページ);国際公開第2004065576号(請求項1);国際公開第2004020583号(請求項9);国際公開第2003004529号(128−132ページ);国際公開第200053216号(請求項1;42ページ);
相互参照:MIM:600997;NP_004433.2;NM_004442_1。
【0190】
(23)ASLG659(B7h、Genbank登録番号AX092328)
米国特許出願公開第20040101899号(請求項2);国際公開第2003104399号(請求項11);国際公開第2004000221号(図3);米国特許出願公開第2003165504号(請求項1);米国特許出願公開第2003124140号(実施例2);米国特許出願公開第2003065143号(図60);国際公開第2002102235号(請求項13;299ページ);米国特許出願公開第2003091580号(実施例2);国際公開第200210187号(請求項6;図10);国際公開第200194641号(請求項12;図7b);国際公開第200202624号(請求項13;図1A−1B);米国特許出願公開第2002034749号(請求項54;45−46ページ);国際公開第200206317号(実施例2;320−321ページ、請求項34;321−322ページ);国際公開第200271928号(468−469ページ);国際公開第200202587号(実施例1;図1);国際公開第200140269号(実施例3;190−192ページ);国際公開第200036107号(実施例2;205−207ページ);国際公開第2004053079号(請求項12);国際公開第2003004989号(請求項1);国際公開第200271928号(233−234、452−453ページ);国際公開第0116318号。
【0191】
(24)PSCA(前立腺幹細胞抗原前駆体、Genbank登録番号AJ297436)
Reiter R.E.ら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.95,1735−1740,1998;Gu Z.ら、Oncogene 19,1288−1296,2000;Biochem.Biophys.Res.Commun.(2000)275(3):783−788;国際公開第2004022709号;欧州特許第1394274号(実施例11);米国特許出願公開第2004018553号(請求項17);国際公開第2003008537号(請求項1);国際公開第200281646号(請求項1;164ページ);国際公開第2003003906号(請求項10;288ページ);国際公開第200140309号(実施例1;図17);米国特許出願公開第2001055751号(実施例1;図1b);国際公開第200032752号(請求項18;図1);国際公開第9851805号(請求項17;97ページ);国際公開第9851824号(請求項10;94ページ);国際公開第9840403号(請求項2;図1B);
登録番号:O43653;EMBL;AF043498;AAC39607.1。
【0192】
(25)GEDA(Genbank登録番号AY260763);
AAP14954 脂肪腫HMGIC融合パートナー様タンパク質/pid=AAP14954.1−Homo sapiens
種:Homo sapiens(ヒト)
国際公開第2003054152号(請求項20);国際公開第2003000842号(請求項1);国際公開第2003023013号(実施例3、請求項20);米国特許出願公開第2003194704号(請求項45);
相互参照:GI:30102449;AAP14954.1;AY260763_1。
【0193】
(26)BAFF−R(B細胞活性化因子レセプター、BLySレセプター3、BR3、Genbank登録番号NP_443177.1);
NP_443177 BAFFレセプター/pid=NP_443177.1−Homo sapiens
Thompson,J.S.ら、Science 293(5537),2108−2111(2001);国際公開第2004058309号;国際公開第2004011611号;国際公開第2003045422号(実施例;32−33ページ);国際公開第2003014294号(請求項35;図6B);国際公開第2003035846号(請求項70;615−616ページ);国際公開第200294852号(136−137段);国際公開第200238766号(請求項3;133ページ);国際公開第200224909号(実施例3;図3);
相互参照:MIM:606269;NP_443177.1;NM_052945_1。
【0194】
(27)CD22(B細胞レセプターCD22−Bアイソフォーム、Genbank登録番号NP−001762.1);
Stamenkovic,I.およびSeed,B.、Nature 345(6270),74−77(1990);米国特許出願公開第2003157113号;米国特許出願公開第2003118592号;国際公開第2003062401号(請求項9);国際公開第2003072036号(請求項1;図1);国際公開第200278524号(実施例2);
相互参照:MIM:107266;NP_001762.1;NM_001771_1。
【0195】
(28)CD79a(CD79A、CD79α、免疫グロブリン関連α、Igβ(CD79B)と共有結合的に相互作用し、IgM分子と共に表面上で複合体を形成して、B細胞分化に関与するシグナルを伝達する、B細胞特異的タンパク質)PROTEIN SEQUENCE Full mpggpgv...dvqlekp(1..226;226aa)、pI:4.84、MW:25028 TM:2[P] 遺伝子染色体:19q13.2、Genbank登録番号NP_001774.10)
国際公開第2003088808号、米国特許出願公開第20030228319号;国際公開第2003062401号(請求項9);米国特許出願公開第2002150573号(請求項4,13−14ページ);国際公開第9958658号(請求項13、図16);国際公開第9207574号(図1);米国特許第5644033号;Haら、(1992)J.Immunol.148(5):1526−1531;Muellerら、(1992)Eur.J.Biochem.22:1621−1625;Hashimotoら、(1994)Immunogenetics 40(4):287−295;Preud’hommeら、(1992)Clin.Exp.Immunol.90(1):141−146;Yuら、(1992)J.Immunol.148(2):633−637;Sakaguchiら、(1988)EMBO J.7(11):3457−3464。
【0196】
(29)CXCR5(バーキットリンパ腫レセプター1、CXCL13ケモカインによって活性化され、リンパ球移動および体液性防御において機能し、HIV−2感染およびおそらくAIDS、リンパ腫、骨髄腫および白血病の発症に役割を果たすGタンパク質共役レセプター)PROTEIN SEQUENCE Full mnypltl...atslttf(1..372;372aa)、pI:8.54、MW:41959 TM:7[P] 遺伝子染色体:11q23.3、Genbank登録番号NP_001707.1)
国際公開第2004040000号;国際公開第2004015426号;米国特許出願公開第2003105292号(実施例2);米国特許第6555339号(実施例2);国際公開第200261087号(図1);国際公開第200157188号(請求項20、269ページ);国際公開第200172830号(12−13ページ);国際公開第200022129号(実施例1、152−153ページ、実施例2、254−256ページ);国際公開第9928468号(請求項1、38ページ);米国特許第5440021号(実施例2、49−52段);国際公開第9428931号(56−58ページ);国際公開第9217497号(請求項7、図5);Dobnerら、(1992)Eur.J.Immunol.22:2795−2799;Barellaら、(1995)Biochem.J.309:773−779。
【0197】
(30)HLA−DOB(ペプチドに結合して、それらをCD4+Tリンパ球に提示するMHCクラスII分子(Ia抗原)のβサブユニット)PROTEIN SEQUENCE Full mgsgwvp...vllpqsc(1..273;273aa)、pI:6.56、MW:30820 TM:1[P] 遺伝子染色体:6p21.3、Genbank登録番号NP_002111.1)
Tonnelleら、(1985)EMBO J.4(11):2839−2847;Jonssonら、(1989)Immunogenetics 29(6):411−413;Beckら、(1992)J.Mol.Biol.228:433−441;Strausbergら、(2002)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 99:16899−16903;Serveniusら、(1987)J.Biol.Chem.262:8759−8766;Beckら、(1996)J.Mol.Biol.255:1−13;Naruseら、(2002)Tissue Antigens 59:512−519;国際公開第9958658号(請求項13、図15);米国特許第6153408号(35−38段);米国特許第5976551号(168−170段);米国特許第6011146号(145−146段);Kasaharaら、(1989)Immunogenetics 30(1):66−68;Larhammarら、(1985)J.Biol.Chem.260(26):14111−14119。
【0198】
(31)P2X5(プリン作動性レセプターP2Xリガンド依存性イオンチャネル5、細胞外ATPによって開閉されるイオンチャネルは、シナプス伝達および神経発生に関与し得、欠損は特発性不安定膀胱の病態生理学に寄与し得る)PROTEIN SEQUENCE Full mgqagck...lephrst(1..422;422aa)、pI:7.63、MW:47206 TM:1[P] 遺伝子染色体:17p13.3、Genbank登録番号NP_002552.2)
Leら、(1997)FEBS Lett.418(1−2);195−199;国際公開第2004047749号;国際公開第2003072035号(請求項10);Touchmanら、(2000)Genome Res.10:165−173;国際公開第200222660号(請求項20);国際公開第2003093444号(請求項1);国際公開第2003087768号(請求項1);国際公開第2003029277号(82ページ)。
【0199】
(32)CD72(B細胞分化抗原CD72、Lyb−2)PROTEIN SEQUENCE Full maeaity...tafrfpd(1..359;359aa)、pI:8.66、MW:40225 TM:1[P] 遺伝子染色体:9p13.3、Genbank登録番号NP_001773.1)
国際公開第2004042346号(請求項65);国際公開第2003026493号(51−52、57−58ページ);国際公開第200075655号(105−106ページ);Von Hoegenら、(1990)J.Immunol.144(12):4870−4877;Strausbergら、(2002)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 99:16899−16903。
【0200】
(33)LY64(ロイシンリッチリピート(LRR)ファミリーのI型膜タンパク質であるリンパ球抗原64(RP105)は、B細胞活性化とアポトーシスを調節し、機能の喪失は全身性エリテマトーデスを有する患者における疾患活性上昇に関連する)PROTEIN SEQUENCE Full mafdvsc...rwkyqhi(1..661;661aa)、pI:6.20、MW:74147 TM:1[P] 遺伝子染色体:5q12、Genbank登録番号NP_005573.1)
米国特許出願公開第2002193567号;国際公開第9707198号(請求項11、39−42ページ);Miuraら、(1996)Genomics 38(3):299−304;Miuraら、(1998)Blood 92:2815−2822;国際公開第2003083047号;国際公開第9744452号(請求項8、57−61ページ);国際公開第200012130号(24−26ページ)。
【0201】
(34)FCRH1(C2型Ig様およびITAMドメインを含む免疫グロブリンFcドメインについての推定上のレセプターであるFcレセプター様タンパク質1は、Bリンパ球分化において役割を有し得る)PROTEIN SEQUENCE Full mlprlll...vdyedam(1..429;429aa)、pI:5.28、MW:46925 TM:1[P] 遺伝子染色体:1q21−1q22、Genbank登録番号NP_443170.1)
国際公開第2003077836号;国際公開第200138490号(請求項6、図18E−1−18−E−2);Davisら、(2001)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 98(17):9772−9777;国際公開第2003089624号(請求項8);欧州特許第1347046号(請求項1);国際公開第2003089624号(請求項7)。
【0202】
(35)IRTA2(おそらくB細胞発生およびリンパ腫発生において役割を有する推定上の免疫レセプターである、免疫グロブリンスーパーファミリーレセプタートランスロケーション関連2;トランスロケーションによる遺伝子の調節不全は一部のB細胞悪性疾患において起こる)PROTEIN SEQUENCE Full mllwvil...assaphr(1..977;977aa)、pI:6.88、MW:106468 TM:1[P] 遺伝子染色体:1q21、Genbank登録番号NP_112571.1)
国際公開第2003024392号(請求項2、図97);Nakayamaら、(2000)Biochem.Biophys.Res.Commun.277(1):124−127;国際公開第2003077836号;国際公開第200138490号(請求項3、図18B−1−18B−2);
腫瘍関連抗原を認識する、本発明における使用のための他の例示的モノクローナル抗体としては、以下の表IIに列挙するものが挙げられる。
【0203】
【表2−1】

【0204】
【表2−2】

【0205】
【表2−3】

腫瘍関連抗原およびそれに対する特異的抗体に関する他の開示については、国際公開第04/045516号;国際公開第03/000113号;国際公開第02/016429号;国際公開第02/16581号;国際公開第03/024392号;国際公開第04/016225号;国際公開第01/40309号;および2003年11月17日出願の米国特許仮出願第60/520842号「COMPOSITIONS AND METHODS FOR THE TREATMENT OF TUMOR OF HEMATOPOIETIC ORIGIN」(これらは全て、本明細書中にその全体が参考として援用される)も参照のこと。
【0206】
他の例示的抗体およびそれらの略語としては、Herceptin(登録商標)(トラスツズマブ)=全長、ヒト化抗HER2(分子量145167)、Herceptin(登録商標)F(ab’)2=抗HER2から酵素的に誘導される(分子量100000)、4D5=全長マウス抗HER2、ハイブリドーマ由来、rhu4D5=一過性に発現される全長ヒト化抗体、rhuFab4D5=組換えヒト化Fab(分子量47738)、4D5Fc8=変異したFcRn結合ドメインを有する、全長マウス抗HER2が挙げられる。
【0207】
本発明の抗体−薬物結合体(ADC)の抗体は、ErbB遺伝子によってコードされるレセプターに特異的に結合し得る。上記抗体は、EGFR、HER2、HER3およびHER4から選択されるErbBレセプターに特異的に結合し得る。ADCは、HER2レセプターの細胞外ドメインに特異的に結合して、HER2レセプターを過剰発現する腫瘍細胞の増殖を阻害し得る。HERCEPTIN(登録商標)(トラスツズマブ)は、ヒト上皮増殖因子レセプター2タンパク質、HER2(ErbB2)の細胞外ドメイン(ECD)に選択的に結合する(米国特許第5821337号;米国特許第6054297号;米国特許第6407213号;米国特許第6639055号;Coussensら、(1985)Science 230:1132−9;Slamonら、(1989)Science 244:707−12)。トラスツズマブは、HER2に結合するマウス抗体(4D5)の相補性決定領域(cdr)と共にヒトフレームワーク領域を含むIgG1κ抗体である。トラスツズマブはHER2抗原に結合し、従ってHER2を過剰発現するヒト腫瘍細胞の増殖を阻害する(Hudziak RMら、(1989)Mol Cell Biol 9:1165−72;Lewis GDら、(1993)Cancer Immunol Immunother;37:255−63;Baselga Jら、(1998)Cancer Res.58:2825−2831)。
【0208】
ADCの抗体は、モノクローナル抗体、例えばマウスモノクローナル抗体、キメラ抗体またはヒト化抗体であり得る。ヒト化抗体は、huMAb4D5−1、huMAb4D5−2、huMAb4D5−3、huMAb4D5−4、huMAb4D5−5、huMAb4D5−6、huMAb4D5−7またはhuMAb4D5−8(トラスツズマブ)であり得る。上記抗体は、抗体フラグメント、例えばFabフラグメントであり得る。
【0209】
癌の処置または予防のための公知の抗体をADCとして結合体化することができる。癌細胞抗原に免疫特異的な抗体は、市販のものを入手し得るかまたは、例えば組換え発現技術などの当業者に公知の任意の方法によって産生することができる。癌細胞抗原に免疫特異的な抗体をコードするヌクレオチド配列は、例えばGenBankデータベースまたはそれに類似したデータベース、文献出版物から、または日常的なクローニングおよび配列決定によって入手され得る。癌の処置のために利用可能な抗体の例としては、転移性乳癌を有する患者の処置のためのヒト化抗HER2モノクローナル抗体;非ホジキンリンパ腫を有する患者の処置のためのキメラ抗CD20モノクローナル抗体であるRITUXAN(登録商標)(リツキシマブ;Genentech);卵巣癌の処置のためのマウス抗体であるOvaRex(AltaRex Corporation,MA);結腸直腸癌の処置のためのマウスIgG2a抗体であるPanorex(Glaxo Wellcome,NC);頭頸部癌などの上皮増殖因子陽性癌の処置のための抗EGFR IgGキメラ抗体であるCetuximab Erbitux(Imclone Systems Inc.,NY);肉腫の処置のためのヒト化抗体であるVitaxin(MedImmune,Inc.,MD);慢性リンパ性白血病(CLL)の処置のためのヒト化IgG抗体であるCampath I/H(Leukosite,MA);急性骨髄性白血病(AML)の処置のためのヒト化抗CD33 IgG抗体であるSmart MI95(Protein Design Labs,Inc.,CA);非ホジキンリンパ腫の処置のためのヒト化抗CD22 IgG抗体であるLymphoCide(Immunomedics,Inc.,NJ);非ホジキンリンパ腫の処置のためのヒト化抗HLA−DR抗体であるSmart ID10(Protein Design Labs,Inc.,CA);非ホジキンリンパ腫の処置のための放射標識マウス抗HLA−Dr10抗体であるOncolym(Techniclone,Inc.,CA);ホジキン病または非ホジキンリンパ腫の処置のためのヒト化抗CD2 MAbであるAllomune(BioTransplant,CA);肺および結腸直腸癌の処置のための抗VEGFヒト化抗体であるAvastin(Genetech,Inc.,CA);非ホジキンリンパ腫の処置のための抗CD22抗体であるEpratuzamab(Immunomedics,Inc.,NJおよびAmgen,CA);および結腸直腸癌の処置のためのヒト化抗CEA抗体であるCEAcide(Immunomedics,Inc.,NJ)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0210】
ハイブリッドまたは二価抗体は、上述したように、生物学的に、細胞融合技術によって、または化学的に、特に架橋剤またはジスルフィド架橋形成試薬によって誘導することができ、全抗体および/またはそのフラグメントで構成され得る(欧州特許第0105360号)。そのようなハイブリッド抗体を得るための方法は、例えば、国際公開第83/03679号および欧州特許第0217577号(どちらも本明細書中に参考として援用される)に開示されている。二価抗体は、「ポリドーマ」または「クァドローマ」から生物学的に調製されるもの、あるいはビス−(マレイミド)−メチルエーテル(「BMME」)などの架橋剤でまたは当業者が精通する他の架橋剤で合成によって調製されるものを含む。
【0211】
免疫グロブリン抗体は腫瘍関連抗原を認識することができる。使用される場合、「免疫グロブリン」は、IgG、IgA、IgM、IgDまたはIgEなどの認識されているいかなるクラスまたはサブクラスの免疫グロブリンも意味し得る。免疫グロブリンは、ヒト、マウスまたはウサギ起源などのいかなる種にも由来し得る。さらに、免疫グロブリンは、ポリクローナル、モノクローナルまたはフラグメントであり得る。そのような免疫グロブリンフラグメントは、例えばFab’フラグメント、F(ab’)2フラグメント、FvフラグメントまたはFabフラグメント、または他の抗原認識免疫グロブリンフラグメントを含み得る。そのような免疫グロブリンフラグメントは、例えばタンパク質分解酵素消化によって、例えばペプシンまたはパパイン消化、還元的アルキル化または組換え技術によって調製することができる。そのような免疫グロブリンフラグメントを調製するための材料および方法は当業者に周知である(Parham,(1983)J.Immunology,131:2895;Lamoyiら、(1983)J.Immunological Methods,56:235;Parham,(1982)J.Immunological Methods,53:133;およびMatthewら、(1982)J.Immunological Methods,50:239)。
【0212】
さらに、免疫グロブリンは一本鎖抗体(「SCA」)であり得る。これらは、可変軽(「VL」)ドメインおよび可変重(「VH」)ドメインがペプチド架橋またはジスルフィド結合によって結合されている一本鎖Fvフラグメント(「scFv」)から構成され得る。また、免疫グロブリンは、抗原結合活性を有する単一VHドメインで構成され得る(dAb)。例えばG.WinterおよびC.Milstein,Nature,349,295(1991);R.Glockshuberら、Biochemistry 29,1362(1990);およびE.S.Wardら、Nature 341,544(1989)を参照のこと。
【0213】
免疫グロブリンは、キメラ抗体、例えばヒト化抗体であり得る。また、免疫グロブリンは、「二価」または「ハイブリッド」抗体、すなわち腫瘍関連抗原などの1つの抗原部位に特異性を有する1本の腕を有し、他方の腕は異なる標的、例えば抗原担持腫瘍細胞に致死的な物質に結合しているまたは結合されているハプテンを認識する抗体であり得る。あるいは、二価抗体は、各々の腕が、治療的または生物学的に修飾される細胞の腫瘍関連抗原の異なるエピトープに特異性を有するものであり得る。いかなる場合も、ハイブリッド抗体は、選択したハプテンに特異的な1つ以上の結合部位または標的抗原、例えば腫瘍、感染性生物または他の疾患状態に関連する抗原に特異的な1つ以上の結合部位を有する、二重特異性を有し得る。
【0214】
当業者は、キメラ抗体またはヒト化抗体のより低い免疫原性、ならびに上記の二価抗体の可撓性、特に治療処置のための可撓性という恩恵を有する、二価−キメラ抗体が調製できることを認識する。そのような二価−キメラ抗体は、例えば架橋剤を用いる化学合成によっておよび/または上述したタイプの組換え法によって合成することができる。いかなる場合も、本発明は、二価、キメラ、二価−キメラ、ヒト化または抗原認識フラグメントまたはその誘導体のいずれかの抗体産生の任意の特定方法によって範囲を限定されると解釈されるべきではない。
【0215】
さらに、本発明は、免疫グロブリン(上記で定義したような)または活性タンパク質(例えば1986年3月13日公開の、Neubergerら、PCT出願、国際公開第86/01533号の中で開示される種類の酵素)に融合した免疫グロブリンフラグメントをその範囲内に包含する(このような生成物の開示は、本明細書中に参考として援用される)。
【0216】
上述したように、「二価」、「融合」、「キメラ」(ヒト化を含む)および「二価−キメラ」(ヒト化を含む)の抗体構築物はまた、抗原認識フラグメントを含む構築物をそれら個々の範囲内に包含する。そのようなフラグメントは、インタクトな二価抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体またはキメラ−二価抗体の伝統的酵素切断によって調製され得る。しかし、関与する構築物の性質のために、インタクトな抗体がそのような切断を受けない場合、上記構築物は免疫グロブリンフラグメントを出発物質として使用して調製され得るか、または組換え技術を使用する場合は、DNA配列自体を、発現されたとき、化学的または生物学的手段によって、最終的な所望のインタクトな免疫グロブリン「フラグメント」を調製するようにインビボまたはインビトロで結合され得る、所望の「フラグメント」をコードするように調整することができる。従って、「フラグメント」という用語が使用されるのはこれに関してである。
【0217】
さらに、上述したように、本発明において使用される免疫グロブリン(抗体)またはそのフラグメントは、本質的にポリクローナルまたはモノクローナルであり得る。そのようなポリクローナルまたはモノクローナル抗体の調製は、当然のことながら、本発明において使用できる有用な免疫グロブリンを十分に作製することができる当業者には周知である。例えばG.KohlerおよびC.Milstein,Nature 256,495(1975)を参照のこと。さらに、そのようなハイブリドーマによって産生され、本発明の実施において有用なハイブリドーマおよび/またはモノクローナル抗体は、アメリカンタイプカルチャーコレクション(American Type Culture Collection)(「ATCC」)12301 Parklawn Drive,Rockville,Md.20852などの供給源から公的に入手し得るか、または例えばBoehringer−Mannheim Biochemicals,P.O.Box 50816,Indianapolis,Ind.46250から市販されている。
【0218】
例示的実施形態では、リガンド含有結合体は、1991年1月10日公開のPCT出願公開WO91/00295号およびそれに等価の、1990年6月26日出願の米国特許出願第07/544,246号に開示されている、キメラ抗体BR96、「ChiBR96」に由来する。ChiBR96は、内在化するマウス/ヒトキメラ抗体であり、上述したように、乳癌、肺癌、結腸癌および卵巣癌に由来するもののようなヒト癌細胞によって発現されるフコシル化ルイスY抗原と反応性である。キメラBR96を発現し、ChiBR96と同定されたハイブリドーマは、ブダペスト条約の約定の下に、1990年5月23日にアメリカンタイプカルチャーコレクション(「ATCC」)、12301 Parklawn Drive,Rockville,Md.20852に寄託された。このハイブリドーマの試料は登録番号ATCC HB 10460の下で入手可能である。ChiBR96は、一部には、その供給源親であるBR96に由来する。BR96を発現するハイブリドーマは、ブダペスト条約の約定の下に、1989年2月21日にATCCに寄託され、登録番号HB 10036の下で入手可能である。ブダペスト条約の規定の下にアメリカンタイプカルチャーコレクション、12301 Parklawn Drive,Rockville,Md.20852に寄託され、受諾された他のハイブリドーマとしては、L6抗体を産生する、1984年12月6日に寄託されたHB8677、BR64抗体を産生する、1988年11月16日に寄託されたHB9895、および1986年11月14日に寄託されたHB9240、およびキメラL6抗体を産生する、1986年10月24日に寄託されたHB9241が挙げられる。上記ハイブリドーマ全てに関して、寄託物への公的アクセスに対する全ての制約は、本出願に対する特許の発行時に取り消し不能に取り除かれ、生育可能試料が保管所によって分配できない場合、寄託物は取り替えられ、寄託の日から30年間または試料の最終請求後5年間または特許の有効期間中のいずれか長い方の期間、公的保管所に維持される。所望のハイブリドーマを培養し、生じた抗体を、現在当該分野で周知の標準技術を用いて細胞培養上清から単離する。例えば「Monoclonal Hybridoma Antibodies:Techniques and Applications」,Hurell(編)(CRC Press,1982)を参照のこと。
【0219】
従って、使用されるとき「免疫グロブリン」または「抗体」は、上述した免疫グロブリン/抗体形態または構築物の全ての意味を包含する。
【0220】
(結合体の調製)
本発明の薬物−リガンド結合体は、市販の試薬から確立された有機化学技術を用いて、複素環式自壊的部分を組み込んだペプチド配列で作られるリンカーを介して薬物部分DをリガンドLに結合することによって構築され得る。式Ia、IIaおよびIIIaの複素環式リンカー化合物は、式Iの薬物−リガンド結合体化合物を調製するために有用である。式Ia、IIaおよびIIIaの末端は、公知の合成手順を用いた一連の反応を通して薬物部分およびリガンドへの共有結合のために適切な保護基および反応性官能基(XおよびY)を有する。
【0221】
複素環式リンカー化合物は、式Ia、IIaおよびIIIa:
【0222】
【化52】

を有し、
ここで、
Uは、O、SまたはNRであり;
Qは、CRまたはNであり;
、VおよびVは、独立にCRまたはNであり、但し、式IIaおよびIIIaに関してQ、VおよびVの少なくとも1個はNであり
、R、RおよびRは、H、F、Cl、Br、I、OH、−N(R、―N(R、C−Cハロゲン化アルキル、カルボキシレート、サルフェート、スルファメート、スルホネート、−SO、−S(=O)R、−SR、−SON(R、−C(=O)R、−CO、−C(=O)N(R、−CN、−N、−NO、C−Cアルコキシ、C−Cハロ置換アルキル、ポリエチレンオキシ、ホスホネート、ホスフェート、C−Cアルキル、C−C置換アルキル、C−Cアルケニル、C−C置換アルケニル、C−Cアルキニル、C−C置換アルキニル、C−C20アリール、C−C20置換アリール、C−C20複素環およびC−C20置換複素環から独立して選択されるか、または一緒になって、RおよびRは、カルボニル(=O)または3−7個の炭素原子のスピロ炭素環を形成し;そして
およびRは、H、C−Cアルキル、C−C置換アルキル、C−Cアルケニル、C−C置換アルケニル、C−Cアルキニル、C−C置換アルキニル、C−C20アリール、C−C20置換アリール、C−C20複素環およびC−C20置換複素環から独立して選択され;
ここで、C−C置換アルキル、C−C置換アルケニル、C−C置換アルキニル、C−C20置換アリールおよびC−C20置換複素環は、F、Cl、Br、I、OH、−N(R、−N(R、C−Cハロゲン化アルキル、カルボキシレート、サルフェート、スルファメート、スルホネート、C−Cアルキルスルホネート、C−Cアルキルアミノ、4−ジアルキルアミノピリジニウム、C−Cアルキルヒドロキシル、C−Cアルキルチオール、−SO、−S(=O)R、−SR、−SON(R、−C(=O)R、−CO、−C(=O)N(R、−CN、−N、−NO、C−Cアルコキシ、C−Cトリフルオロアルキル、C−Cアルキル、C−C12炭素環、C−C20アリール、C−C20複素環、ポリエチレンオキシ、ホスホネートおよびホスフェートから選択される1つ以上の置換基で独立して置換され;
は、アミノ酸の側鎖であり、必要に応じて保護基で保護されており;
XおよびYは独立して、Hであるか;Fmoc、Boc、カルボベンズオキシ(CBz)、ベンジヒドリル、アリルオキシカルボニルおよびトリフェニルメチルから選択される保護基を形成するか;またはN−ヒドロキシスクシンイミド、パラ−ニトロフェニルカルボネート、パラ−ニトロフェニルカルバメート、ペンタフルオロフェニル、ハロアセトアミドおよびマレイミドから選択される反応性官能基を形成し;そして
mは1、2、3、4、5または6である。
【0223】
一般的方法では、結合体は、標準ペプチド合成を用いて調製される酵素的に切断可能なペプチド配列Zm(例えばPhe−Lys、Val−Citなど)から出発して調製され得る。切断可能ペプチド配列を、そのN末端アミンを介してスペーサー単位A(例えばマレイミドカプロイル−N−ヒドロキシスクシンイミド(MC−NHS))に結合し、A−Zで表わされる中間体を形成する。切断可能ペプチド配列のC末端カルボキシル基を、次いで、自壊的部分Xのアルコール中間体(式Ib、IIbまたはIIIb):
【0224】
【化53】

のアミンと反応させて、アミド結合中間体A−Z−Xを作製する。次に、この中間体を、薬物部分Dから突き出たアミン、ヒドロキシルまたはスルフヒドリルと反応性のアルコール中間体を作製するためにp−ニトロフェニルクロロホルメート(PNPCF)などの適切な試薬と反応させて、中間体A−Z−Xを得る。この中間体を、次いで、スペーサー単位Aをスルフヒドリルなどの適切な官能基と結合することによってリガンドL(例えば抗体またはレセプター結合タンパク質またはペプチド)に連結し、最終結合体L−A−Z−X−Dを得る。以下は、L、A、Z、X、m、D、Q、UおよびRが本明細書中で記載する意味を有し、かっこ内の官能基が親基の一部(例えばA−COOH)を表わす、本発明の結合体を合成するための代表的な一般的スキームである。
【0225】
【化54】

あるいは、薬物部分D上の官能性アミン基を、最初にジホスゲンClCOC(O)−Clおよび/またはCDI(N,N−カルボニルジイミダゾール)と反応させ、その後アルコール中間体Ib(またはIIbまたはIIIb)と反応させて、複素環式自壊的単位Xと薬物部分Dの間にカルバメート結合を形成する。
【0226】
代替的な一般合成方法では、カルボン酸エステル中間体Ic(またはIIcまたはIIIc):
【0227】
【化55】

(ここで、Rは、メチル、エチル、イソプロピルなどのアルキルである)を、最初に切断可能ペプチド配列Zに結合し、それを対応するアルコールに変換して、次に薬物部分上の官能基との結合のためにパラ−ニトロフェニルクロロホルメート(PNPCl)と反応させる。生じた中間体Z−X−Dを、アミド結合によって適切なスペーサー単位Aに連結して、中間体A−Z−X−Dを形成し、それをリガンド部分Lに結合して、最終結合体化合物を得る(一般的スキームII)。
【0228】
【化56】

代替的な実施形態は、薬物部分D上の官能性アミン基を用いて、最初にジホスゲンClCOC(O)Clおよび/またはCDIと反応させ、その後アルコール中間体Ib、IIbまたはIIIbと反応させて、自壊的単位Xと薬物部分Dとの間にカルバメート結合を形成する。一般的スキームIおよびIIに示す中間体Ib、IIb、IIIb、Ic、IIcおよびIIIcは、市販のものを入手し得るかまたは市販されている試薬から確立された合成技術を用いて調製され得る。
【0229】
これらの一般的な例を記載するとき、式、例えば式Iaと命名される場合、「またはIIaまたはIIIa」などの語句は、式IIaおよび/またはIIIaの化合物も、記載されているのと類似した様式で反応し得ることを示すことが理解される。
【0230】
リガンドが抗体である本発明の結合体を調製するための例示的なプロセスは、リン酸緩衝液またはPBS中の抗体の溶液を、N下で約25−45℃で約1−10時間、ジチオトレイトール(DTT)の溶液で処理する工程を包含する。次にその溶液を、ダイアフィルトレーションセルの大きさとN下での溶液の容量に依存して1/2時間から12時間、流出液がSH基を含まなくなるまで、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)に対してダイアフィルトレーションし、その後、0±10℃で15分間から8時間、蒸留水中の式[A−Z−X]−Dによって表わされるペプチド−自壊的部分−薬物中間体の適切な量(MAb中のSH基の数に基づく(エルマン滴定(Ellman titration)によって決定される))で処理する。その溶液を、次に、室温で約24時間PBSに対して透析し、その後ろ過して、ろ液をバイオビーズと共に室温で15分間から8時間振とうし、その後もう一度ろ過する。同様にして、リガンドが、Cys残基側鎖などのスルフヒドリル基を組み込んだタンパク質またはペプチドである結合体を調製し得る。
【実施例】
【0231】
(一般的手順)
特に異なる記載がない限り、重水素化DMSO中H 300MHzで、Varian−300分光計でNMRを得た。全ての化学シフトはテトラメチルシランを参照する。質量スペクトルは、PE SCIEX,API 2000LC−MS分光計で決定した。有機溶媒中の溶液を、無水NaSOで乾燥した。溶媒は、減圧下でBuchi回転エバポレーターでエバポレートさせた。ガラスで裏打ちしたシリカゲルプレート(Merck 60 F254)でTLCを実施し、UV光(254nm)によって成分を視覚化した。シリカゲル(Merck 230−400メッシュ)でフラッシュカラムクロマトグラフィーを実施した。
【0232】
DCMは、ジクロロメタンを指す;DIEAは、ジイソプロピルエチルアミンを指す;CDIは、1,1’−カルボニルジイミダゾールを指す;RTは、室温を指す;HBTUは、O−ベンゾトリアゾール−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェートを指す。
【0233】
(実施例1)
【0234】
【化57】

Boc−シトルリン8.6gをDMF250mlに溶解した。その溶液にDIEA 7.2mLおよびCDI 6.7gを添加した。室温で30分間攪拌した後、溶液にエチル2−アミノ−4−(トリフルオロメチル)−5−チアゾールカルボキシレート5g(Matrix Scientific,Columbia South Carolina USA)を加えた。室温でさらに2時間おいた後、水25mlを添加して反応をクエンチした。この混合物をEtOAc 250mlで希釈した。有機層を1N HCl、ブラインで洗浄し、一般手順に記載されているように処理した。DCM中5%MeOHで溶出する新鮮シリカゲルカラムでの精製によって純粋な表題化合物(1A)を得た(5.6g、収率54%)。
【0235】
(実施例2)
【0236】
【化58】

エチル2−アミノ−4−メチルチアゾール−5−カルボキシレート(50mg、Avocado Research Chemicals LTD)、N,N−ジ−Boc−リシン 140mg、DIEA 95μlおよびHBTU 153mgをDMF 1.5mlに溶解した。室温で48時間攪拌した後、水0.5mlを加えて反応をクエンチし、EtOAc40mlで希釈した。この有機層を1N HCl、ブラインで洗浄し、一般手順に記載されているように処理した。ヘキサン中30%EtOAcで溶出する新鮮シリカゲルカラムでの精製によって純粋な表題化合物(1B)を得た(30mg、収率22%)。
【0237】
(実施例3)
【0238】
【化59】

エチル2−アミノ−4−メチルチアゾール−5−カルボキシレート(500mg)、N−Cbz−N−Boc−リシン 1.5g、DIEA 0.99mlおよびHBTU 2.0gをDMF 15mlに溶解した。室温で48時間攪拌した後、水0.5mlを加えて反応をクエンチし、EtOAc 40mlで希釈した。この有機層を1N HCl、ブラインで洗浄し、一般手順に記載されているように処理した。ヘキサン中30%EtOAcで溶出する新鮮シリカゲルカラムでの精製によって純粋な表題化合物(1C)を得た(1.3g、88%)。
【0239】
(実施例4)
【0240】
【化60】

I.EtOAc 20ml中のメチル5−ニトロ−2−フロエート 100mg(Lancaster Synthesis,Windham,NH,USA)の溶液を、1気圧の水素ガス下でPd/C(10%)20mgと共に攪拌した。室温で2時間後、この混合物をセライトパッドでろ過し、濃縮した。ヘキサン中30%EtOAcで溶出する新鮮シリカゲルカラムでの精製によって純粋なメチル5−アミノ−2−フロエートを得た。
【0241】
II.メチル5−アミノ−2−フロエート 50mg、N−Cbz−N−Boc−リシン 202mg、DIEA 123μlおよびHBTU 202mgをDMF 1.5mlに溶解した。室温で48時間攪拌した後、水0.5mlを加えて反応をクエンチし、EtOAc 40mlで希釈した。この有機層を1N HClおよびブラインで洗浄し、一般手順に記載されているように処理した。ヘキサン中30%EtOAcで溶出する新鮮シリカゲルカラムでの精製によって純粋な表題化合物(1D)を得た(56mg、31%)。
【0242】
(実施例5)
【0243】
【化61】

1Aの3gをTHF 90mlに溶解した。この溶液に0℃の水素化アルミニウムリチウム(LAH、THF中1.0M溶液)12mlを添加した。0℃で2時間攪拌した後、水10mlを加えて反応をクエンチし、EtOAc250mlで希釈して、セライトパッドでろ過した。有機層をブラインで洗浄し、一般手順に記載されているように処理した。DCM中5%MeOHで溶出する新鮮シリカゲルカラムでの精製によって純粋な表題化合物(2A)を得た(2.2g、収率80%)。
【0244】
(実施例6)
【0245】
【化62】

化合物2A(1.5g)をメタノール45mlに溶解した。この溶液にジオキサン(4.0M)中のHCl 8mlを添加した。室温(RT)で2時間攪拌した後、減圧下で回転エバポレーターで溶液を濃縮した。粗生成物を室温で減圧下でさらに18時間乾燥し、さらなる精製を行わずに次の反応のために使用した。
【0246】
(実施例7)
【0247】
【化63】

化合物3A(1.2g)、Boc−バリン1.1g、DIEA1.4mlおよびHBTU 3.3gをDMF 36mlに溶解した。室温で18時間攪拌した後、水5mlを加えて反応をクエンチし、EtOAc 400mlで希釈した。この有機層をブラインで洗浄し、一般手順に述べられているように処理した。DCM中10%MeOHで溶出する新鮮シリカゲルカラムでの精製によって純粋な表題化合物(4A)を得た(1.4g、収率75%)。
【0248】
(実施例8)
【0249】
【化64】

化合物4A(1.4g)をメタノール40mlに溶解した。この溶液にジオキサン(4.0M)中のHClを10ml添加した。室温で2時間攪拌した後、減圧下で回転エバポレーターで溶液を濃縮した。粗生成物を室温で減圧下でさらに18時間乾燥し、さらなる精製を行わずに次の反応のために使用した。
【0250】
(実施例9)
【0251】
【化65】

化合物5A(1.1g)、マレイミドカプロン酸0.8g、DIEA 1.1mlおよびHBTU 2.5gをDMF 33mlに溶解した。室温で18時間攪拌した後、水5mlを加えて反応をクエンチし、EtOAc 400mlで希釈した。この有機層をブラインで洗浄し、一般手順に記載されているように処理した。DCM中10%MeOHで溶出する新鮮シリカゲルカラムでの精製によって純粋な表題化合物(6A)を得た(1.4g、収率89%)。
【0252】
(実施例10)
【0253】
【化66】

化合物4A(50mg)をTHFおよびDCM(1:1)0.5mlに溶解した。この溶液に4−ニトロフェニルイソシアネート 30mgを添加した。室温で48時間攪拌した後、この混合物を、DCM中5%MeOHで溶出するシリカゲルカラムに直接充填して、純粋な表題化合物(7A)を得た。
【0254】
(実施例11)
【0255】
【化67】

化合物6A(30mg)をTHFおよびDCM(1:1)0.5mlに溶解した。この溶液に4−ニトロフェニルイソシアネート 30mgを添加した。室温で48時間攪拌した後、この混合物を、DCM中5%MeOHで溶出するシリカゲルカラムに直接充填して、純粋な表題化合物(7B)を得た。
【0256】
(実施例12 7Aおよび7BのカテプシンB切断)
切断可能ペプチド単位および複素環式自壊的部分を有するモデル化合物ならびに式Iの結合体は、Grootら、(1999)J.Med.Chem.42(25):5277−5283の方法によって安定性および酵素的加水分解の反応速度論に関して試験し得る。
【0257】
細胞内酵素の存在下で機能する、すなわち非誘導体化薬物を遊離する本発明の結合体の能力を実証するために、中間体7Aおよび7BをカテプシンBに暴露し、生じる切断産物、パラ−ニトロフェニルアミンを検出した。図2は、切断機構の図式的表示である。
【0258】
28.4μMのカテプシンB(CalBiochem)ストック溶液を、2mM DTTを含む50mM 酢酸ナトリウム緩衝液pH7.5中で1μMに希釈した。37℃で15分間活性化を実施した。
【0259】
基質化合物7Aおよび7Bを、50mM酢酸ナトリウム緩衝液pH5中で100μMに希釈した。活性化カテプシンBを100nMの最終濃度まで添加し、1mMシステインの存在下または非存在下で37℃で16時間切断反応を実施した。
【0260】
Agilent 1100 HPLCシステムを用いて切断産物の逆相分離を実施した。UVシグナルを214nm、254nmおよび380nmでモニタリングした。AgilentからのPoroshell 300SB−C18カラム(No.660750−902)を使用した。移動相AおよびBは、それぞれ0.05%TFA水溶液および0.05%TFAを含むCHCNを含んだ。未処理コントロール試料のアリコート(50μl);カテプシンB単独で処理した試料、およびシステイン+カテプシンBで処理した試料をカラムに注入し、21分間で0−50%Bの直線勾配で溶出した。4−ニトロアニリンの切断産物を、空隙容量中380nmでその異なる吸光度によってモニタリングした。7Aおよび7Bに関する切断反応は、7Aおよび7Bの完全な消失によって証明されたように各々完全であった。
【図面の簡単な説明】
【0261】
【図1】図1は、酵素によって切断される本発明の結合体の自壊的機構を例示する概略図である。
【図2】図2は、カテプシンBによる、チアゾール含有自壊的部分の切断を例示する概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Ia、IIaおよびIIIa:
【化1】

から選択される複素環式リンカー化合物であって、
ここで、
Uは、O、SまたはNRであり;
Qは、CRまたはNであり;
、VおよびVは、独立にCRまたはNであり、但し、式IIaおよびIIIaに関してQ、VおよびVの少なくとも1個はNであり;
、R、RおよびRは、H、F、Cl、Br、I、OH、−N(R、―N(R、C−Cハロゲン化アルキル、カルボキシレート、サルフェート、スルファメート、スルホネート、−SO、−S(=O)R、−SR、−SON(R、−C(=O)R、−CO、−C(=O)N(R、−CN、−N、−NO、C−Cアルコキシ、C−Cハロ置換アルキル、ポリエチレンオキシ、ホスホネート、ホスフェート、C−Cアルキル、C−C置換アルキル、C−Cアルケニル、C−C置換アルケニル、C−Cアルキニル、C−C置換アルキニル、C−C20アリール、C−C20置換アリール、C−C20複素環およびC−C20置換複素環から独立して選択されるか;または一緒になって、RおよびRは、カルボニル(=O)または3−7個の炭素原子のスピロ炭素環を形成し;そして
およびRは、H、C−Cアルキル、C−C置換アルキル、C−Cアルケニル、C−C置換アルケニル、C−Cアルキニル、C−C置換アルキニル、C−C20アリール、C−C20置換アリール、C−C20複素環およびC−C20置換複素環から独立して選択され;
ここで、C−C置換アルキル、C−C置換アルケニル、C−C置換アルキニル、C−C20置換アリールおよびC−C20置換複素環は、F、Cl、Br、I、OH、−N(R、−N(R、C−Cハロゲン化アルキル、カルボキシレート、サルフェート、スルファメート、スルホネート、C−Cアルキルスルホネート、C−Cアルキルアミノ、4−ジアルキルアミノピリジニウム、C−Cアルキルヒドロキシル、C−Cアルキルチオール、−SO、−S(=O)R、−SR、−SON(R、−C(=O)R、−CO、−C(=O)N(R、−CN、−N、−NO、C−Cアルコキシ、C−Cトリフルオロアルキル、C−Cアルキル、C−C12炭素環、C−C20アリール、C−C20複素環、ポリエチレンオキシ、ホスホネートおよびホスフェートから選択される1つ以上の置換基で独立して置換され;
は、アミノ酸の側鎖であり、必要に応じて保護基で保護されており;
XおよびYは独立して、Hであるか;Fmoc、Boc、カルボベンズオキシ(CBz)、ベンジヒドリル、アリルオキシカルボニルおよびトリフェニルメチルから選択される保護基を形成するか;またはN−ヒドロキシスクシンイミド、パラ−ニトロフェニルカルボネート、パラ−ニトロフェニルカルバメート、ペンタフルオロフェニル、ハロアセトアミドおよびマレイミドから選択される反応性官能基を形成し;そして
mは、1、2、3、4、5または6である、
複素環式リンカー化合物。
【請求項2】
以下の構造:
【化2】

を有する、請求項1に記載の複素環式リンカー化合物。
【請求項3】
以下の構造:
【化3】

を有する、請求項1に記載の複素環式リンカー化合物。
【請求項4】
式I、IIおよびIII:
【化4】

から選択される複素環式自壊的部分を含むリンカーによって結合体化した薬物部分および細胞特異的リガンドを含有する、薬物−リガンド結合体化合物であって、
ここで、波線は、該細胞特異的リガンドおよび該薬物部分への共有結合部位を示し、ここで、
Uは、O、SまたはNRであり;
Qは、CRまたはNであり;
、VおよびVは、独立にCRまたはNであり、但し、式IIおよびIIIに関してQ、VおよびVの少なくとも1個はNであり;
Tは、該薬物部分から突き出たNH、NR、OまたはSであり;
、R、RおよびRは、H、F、Cl、Br、I、OH、−N(R、―N(R、C−Cハロゲン化アルキル、カルボキシレート、サルフェート、スルファメート、スルホネート、−SO、−S(=O)R、−SR、−SON(R、−C(=O)R、−CO、−C(=O)N(R、−CN、−N、−NO、C−Cアルコキシ、C−Cハロ置換アルキル、ポリエチレンオキシ、ホスホネート、ホスフェート、C−Cアルキル、C−C置換アルキル、C−Cアルケニル、C−C置換アルケニル、C−Cアルキニル、C−C置換アルキニル、C−C20アリール、C−C20置換アリール、C−C20複素環およびC−C20置換複素環から独立して選択されるか、または一緒になって、RおよびRは、カルボニル(=O)または3−7個の炭素原子のスピロ炭素環を形成し;そして
およびRは、H、C−Cアルキル、C−C置換アルキル、C−Cアルケニル、C−C置換アルケニル、C−Cアルキニル、C−C置換アルキニル、C−C20アリール、C−C20置換アリール、C−C20複素環およびC−C20置換複素環から独立して選択され;
ここで、C−C置換アルキル、C−C置換アルケニル、C−C置換アルキニル、C−C20置換アリールおよびC−C20置換複素環は、F、Cl、Br、I、OH、−N(R、−N(R、C−Cハロゲン化アルキル、カルボキシレート、サルフェート、スルファメート、スルホネート、C−Cアルキルスルホネート、C−Cアルキルアミノ、4−ジアルキルアミノピリジニウム、C−Cアルキルヒドロキシル、C−Cアルキルチオール、−SO、−S(=O)R、−SR、−SON(R、−C(=O)R、−CO、−C(=O)N(R、−CN、−N、−NO、C−Cアルコキシ、C−Cトリフルオロアルキル、C−Cアルキル、C−C12炭素環、C−C20アリール、C−C20複素環、ポリエチレンオキシ、ホスホネートおよびホスフェートから選択される1以上の置換基で独立して置換される、
薬物−リガンド結合体化合物。
【請求項5】
式IV:
L−[A−Z−X−D] IV
を有する請求項4に記載の薬物−リガンド結合体化合物であって、
ここで、
Lは、細胞特異的リガンドであり;
Aは、スペーサー単位であり;
Zは、アミノ酸であり;
Xは、式I、IIおよびIIIから選択される複素環式自壊的部分であり;
Dは、薬物部分であり;
mは、1、2、3、4、5または6であり;
nは、0または1であり;そして
pは、1、2、3、4、5、6、7または8である;
薬物−リガンド結合体化合物。
【請求項6】
Xが式Iである、請求項5に記載の薬物−リガンド結合体化合物。
【請求項7】
QがNであり、そしてUがSである、請求項6に記載の薬物−リガンド結合体化合物。
【請求項8】
QがCHであり、そしてUがOである、請求項6に記載の薬物−リガンド結合体化合物。
【請求項9】
がCFである、請求項6に記載の薬物−リガンド結合体化合物。
【請求項10】
がHである、請求項6に記載の薬物−リガンド結合体化合物。
【請求項11】
TがNまたはNHである、請求項6に記載の薬物−リガンド結合体化合物。
【請求項12】
Xが式IIである、請求項5に記載の薬物−リガンド結合体化合物。
【請求項13】
QがNであり;VがCHであり;そしてVがCHである、請求項12に記載の薬物−リガンド結合体化合物。
【請求項14】
QがCHであり;VがCHであり;そしてVがNである、請求項12に記載の薬物−リガンド結合体化合物。
【請求項15】
QがNであり;VがCHであり;そしてVがNである、請求項12に記載の薬物−リガンド結合体化合物。
【請求項16】
QがNであり;VがNであり;そしてVがNである、請求項12に記載の薬物−リガンド結合体化合物。
【請求項17】
QがNであり;VがNであり;そしてVがCHである、請求項12に記載の薬物−リガンド結合体化合物。
【請求項18】
TがNまたはNHである、請求項12に記載の薬物−リガンド結合体化合物。
【請求項19】
Xが式IIIである、請求項5に記載の薬物−リガンド結合体化合物。
【請求項20】
QがNであり;そしてV、VおよびVが各々CHである、請求項19に記載の薬物−リガンド結合体化合物。
【請求項21】
QがCHであり;そしてV、VおよびVが各々CHである、請求項19に記載の薬物−リガンド結合体化合物。
【請求項22】
TがNまたはNHである、請求項19に記載の薬物−リガンド結合体化合物。
【請求項23】
mが1であり、そしてZが、アラニン、2−アミノ−2−シクロヘキシル酢酸、2−アミノ−2−フェニル酢酸、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リシン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、バリン、γ−アミノ酪酸、α,α−ジメチルγ−アミノ酪酸、β,β−ジメチルγ−アミノ酪酸、オルニチン、シトルリン、およびこれらの保護された形態から選択される、請求項5に記載の薬物−リガンド結合体化合物。
【請求項24】
mが2であり、そしてZが、グリシン−グリシン、アラニン−フェニルアラニン、フェニルアラニン−リシン、バリン−シトルリンおよびバリン−リシンから選択されるジペプチドである、請求項5に記載の薬物−リガンド結合体化合物。
【請求項25】
mが3であり、そしてZが、グリシン−グリシン−グリシン、グリシン−アラニン−フェニルアラニン、グリシン−フェニルアラニン−リシン、グリシン−バリン−シトルリンおよびグリシン−バリン−リシンから選択されるトリペプチドである、請求項5に記載の薬物−リガンド結合体化合物。
【請求項26】
nが1であり、そしてAが、タンパク質、ペプチドまたは抗体であるLのCys残基に結合している、請求項5に記載の薬物−リガンド結合体化合物。
【請求項27】
請求項5に記載の薬物−リガンド結合体化合物であって、ここで、nが1であり、そしてAが構造:
【化5】

を有し、
ここで、波線は、Lの硫黄原子およびZへの共有結合部位を示し、そしてR17は、(CH、C−Cカルボシクリル、O(CH、アリーレン、(CH−アリーレン、−アリーレン−(CH−、(CH−(C−Cカルボシクリル)、(C−Cカルボシクリル)−(CH、C−Cヘテロシクリル、(CH−(C−Cヘテロシクリル)、−(C−Cヘテロシクリル)−(CH、−(CHC(O)NR(CH−、−(CHCHO)−、−(CHCHO)−CH−、−(CHC(O)NR(CHCHO)−、−(CHC(O)NR(CHCHO)−CH−、−(CHCHO)C(O)NR(CHCHO)−、−(CHCHO)C(O)NR(CHCHO)−CH−、および−(CHCHO)C(O)NR(CH−から選択され、rは、独立して1−10の範囲の整数である、
薬物−リガンド結合体化合物。
【請求項28】
17が、(CH、(CH、(CHCHO)CH、およびCHCHC(O)NH(CHCHO)CHから選択される、請求項27に記載の薬物−リガンド結合体化合物。
【請求項29】
nが1であり、そしてAが、4−(N−スクシンイミドメチル)シクロヘキサン−1−カルボニル、m−スクシンイミドベンゾイル、4−(p−スクシンイミドフェニル)ブチリル、4−(2−アセトアミド)ベンゾイル、3−チオプロピオニル、4−(1−チオエチル)−ベンゾイルおよび6−(3−チオプロピオニルアミド)−ヘキサノイルから選択される、請求項5に記載の薬物−リガンド結合体化合物。
【請求項30】
Dがアウリスタチン薬物部分である、請求項5に記載の薬物−リガンド結合体化合物。
【請求項31】
Dが、N8−アセチルスペルミジン、アクチノマイシン、9−アミノカンプトテシン、アミノプテリン、アンギジン、アントラサイクリン、ブレオマイシン、酪酸、カリケアマイシン、カンプトテシン、カンプトテシン、1−(2クロロエチル)−1,2−ジメタンスルホニルヒドラジド、シス−プラチン、ダウノルビシン、ジアセトキシペンチルドキソルビシン、1,8−ジヒドロキシ−ビシクロ[7.3.1]トリデカ−4,9−ジエン−2,6−ジイン−13−オン、ドキソルビシン、エスペラマイシン、エトポシド、マイタンシン、メイタンシノール、6−メルカプトプリン、メトトレキサート、マイトマイシン−C、マイトマイシン−A、モルホリノ−ドキソルビシン、レチノイン酸、タリソマイシン、タキソール、ビンブラスチンおよびビンクリスチン;ならびにこれらの異性体、塩形態および誘導体から選択される薬物部分である、請求項5に記載の薬物−リガンド結合体化合物。
【請求項32】
Lが、以下の(1)−(35):
(1)BMPR1B(骨形態発生タンパク質レセプターIB型、Genbank登録番号NM_001203);
(2)E16(LAT1、SLC7A5、Genbank登録番号NM_003486);
(3)STEAP1(前立腺の6回膜貫通型上皮抗原、Genbank登録番号NM_012449);
(4)0772P(CA125、MUC16、Genbank登録番号AF361486);
(5)MPF(MPF、MSLN、SMR、巨核球増殖因子、メソテリン、Genbank登録番号NM_005823);
(6)Napi3b(NAPI−3B、NPTIIb、SLC34A2、溶質キャリアファミリー34(リン酸ナトリウム)、メンバー2、II型ナトリウム依存性リン酸トランスポーター3b、Genbank登録番号NM_006424);
(7)Sema 5b(FLJ10372、KIAA1445、Mm.42015、SEMA5B、SEMAG、セマフォリン5b Hlog、セマドメイン、7回のトロンボスポンジン反復(1型および1型様)、膜貫通ドメイン(TM)および短い細胞質ドメイン、(セマフォリン)5B、Genbank登録番号AB040878);
(8)PSCA hlg(2700050C12Rik、C530008O16Rik、RIKEN cDNA 2700050C12、RIKEN cDNA 2700050C12遺伝子、Genbank登録番号AY358628);
(9)ETBR(エンドセリンB型レセプター、Genbank登録番号AY275463);
(10)MSG783(RNF124、仮想タンパク質FLJ20315、Genbank登録番号NM_017763);
(11)STEAP2(HGNC_8639、IPCA−1、PCANAP1、STAMP1、STEAP2、STMP、前立腺癌関連遺伝子1、前立腺癌関連タンパク質1、前立腺の6回膜貫通型上皮抗原2、6回膜貫通型前立腺タンパク質、Genbank登録番号AF455138);
(12)TrpM4(BR22450、FLJ20041、TRPM4、TRPM4B、一過性レセプター潜在的陽イオンチャネル、サブファミリーM、メンバー4、Genbank登録番号NM_017636);
(13)CRIPTO(CR、CR1、CRGF、CRIPTO、TDGF1、奇形癌由来増殖因子、Genbank登録番号NP_003203またはNM_003212);
(14)CD21(CR2(補体レセプター2)またはC3DR(C3d/エプスタイン−バーウイルスレセプター)またはHs.73792、Genbank登録番号M26004);
(15)CD79b(CD79B、CD79β、IGb(免疫グロブリン関連β)、B29、Genbank登録番号NM_000626);
(16)FcRH2(IFGP4、IRTA4、SPAP1A(ホスファターゼアンカータンパク質1aを含むSH2ドメイン)、SPAP1B、SPAP1C、Genbank登録番号NM_030764);
(17)HER2(Genbank登録番号M11730);
(18)NCA(Genbank登録番号M18728);
(19)MDP(Genbank登録番号BC017023);
(20)IL20Rα(Genbank登録番号AF184971);
(21)Brevican(Genbank登録番号AF229053);
(22)Ephb2R(Genbank登録番号NM_004442;)
(23)ASLG659(Genbank登録番号AX092328);
(24)PSCA(Genbank登録番号AJ297436);
(25)GEDA(Genbank登録番号AY260763);
(26)BAFF−R(B細胞活性化因子レセプター、BLySレセプター3、BR3、NP_443177.1);および
(27)CD22(B細胞レセプターCD22−Bアイソフォーム、NP−001762.1);
(28)CD79a(CD79A、CD79α、免疫グロブリン関連α、Igβ(CD79B)と共有結合的に相互作用し、IgM分子と共に表面上で複合体を形成するB細胞特異的タンパク質は、B細胞分化に関与するシグナルを伝達する)、Genbank登録番号NP_001774.1);
(29)CXCR5(バーキットリンパ腫レセプター1、CXCL13ケモカインによって活性化されるGタンパク質共役レセプターは、リンパ球移動および体液性防御において機能し、HIV−2感染およびおそらくAIDS、リンパ腫、骨髄腫および白血病の発症に役割を果たす、Genbank登録番号NP_001707.1);
(30)HLA−DOB(ペプチドに結合して、それらをCD4+Tリンパ球に提示するMHCクラスII分子(Ia抗原)のβサブユニット、Genbank登録番号NP_002111.1);
(31)P2X5(プリン作動性レセプターP2Xリガンド依存性イオンチャネル5、細胞外ATPによって開閉されるイオンチャネルは、シナプス伝達および神経発生に関与し得、欠損は特発性不安定膀胱の病態生理学に寄与し得る、Genbank登録番号NP_002552.2);
(32)CD72(B細胞分化抗原CD72、Lyb−2)、Genbank登録番号NP_001773.1);
(33)LY64(リンパ球抗原64(RP105)、ロイシンリッチリピート(LRR)ファミリーのI型膜タンパク質は、B細胞活性化およびアポトーシスを調節し、機能の喪失は全身性エリテマトーデスを有する患者における疾患活性上昇に関連する、Genbank登録番号NP_005573.1);
(34)FCRH1(Fcレセプター様タンパク質1、C2型Ig様ドメインおよびITAMドメインを含む免疫グロブリンFcドメインについての推定上のレセプターは、Bリンパ球分化において役割を有し得る、Genbank登録番号NP_443170.1);および
(35)IRTA2(おそらくB細胞発生とリンパ腫発生において役割を有する推定上の免疫レセプター、免疫グロブリンスーパーファミリーレセプタートランスロケーション関連2;トランスロケーションによる遺伝子の調節不全は一部のB細胞悪性疾患において生じる、Genbank登録番号NP_112571.1);
から選択される1以上の腫瘍関連抗原または細胞表面レセプターに結合する抗体である、請求項5に記載の薬物−リガンド結合体化合物。
【請求項33】
前記抗原がHER−2である、請求項32に記載の薬物−リガンド結合体化合物。
【請求項34】
Lが、ボンベシン、EDG、トランスフェリン、ガストリン、ガストリン放出ペプチド、血小板由来増殖因子、IL−2、IL−6、TFG−α、TFG−β、VGF、インスリンおよびインスリン様増殖因子Iおよびインスリン様増殖因子IIからなる群より選択されるリガンドである、請求項5に記載の薬物−リガンド結合体化合物。
【請求項35】
哺乳動物における腫瘍を処置する方法であって、該方法は、請求項4に記載の薬物−リガンド結合体化合物の有効量を該哺乳動物に投与する工程を包含し、該結合体のリガンドが腫瘍細胞に結合する、方法。
【請求項36】
前記薬物−リガンド結合体化合物が前記腫瘍細胞に内在化される、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
細胞を死滅させる方法であって、該方法は、該細胞を請求項4に記載の薬物−リガンド結合体化合物と接触させる工程を包含し、該結合体化合物のリガンドが該細胞に結合する、方法。
【請求項38】
前記薬物−リガンド結合体化合物が前記細胞に内在化される、請求項37に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2007−527421(P2007−527421A)
【公表日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−554326(P2006−554326)
【出願日】平成17年2月22日(2005.2.22)
【国際出願番号】PCT/US2005/005960
【国際公開番号】WO2005/082023
【国際公開日】平成17年9月9日(2005.9.9)
【出願人】(596168317)ジェネンテック・インコーポレーテッド (372)
【氏名又は名称原語表記】GENENTECH,INC.
【出願人】(505314468)シアトル ジェネティックス, インコーポレイテッド (19)
【Fターム(参考)】