説明

親油性化合物用の自己乳化性処方

【課題】本発明の1つの目的は、高い経口バイオアベイラビリティーを有する親油性で医薬上活性な剤を含む医薬組成物を提供することにある。
【解決手段】本発明は、親油性で医薬上活性な剤、約9:1ないし約6:4(ジグリセリド:モノグリセリド)の重量比のジグリセリドおよびモノグリセリドの混合物、1またはそれを超える医薬上許容される溶媒および1またはそれを超える医薬上許容される界面活性剤を含み、ここに該ジグリセリドおよびモノグリセリドが16ないし22の炭素鎖長を有するグリセリンのモノ−またはジ−不飽和脂肪酸エステルである特定の油相の使用に基く、新規の医薬組成物を提供する。該組成物は、親油性化合物に高濃度および高経口バイオアベイラビリティーを供する自己乳化性処方の形態で存在する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、親油性の医薬上活性な剤に高い濃度および高い経口バイオアベイラビリティーを供する、自己乳化性処方形態の新規な医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、特定のピラノン化合物がレトロウイルス・プロテアーゼを阻害し、したがってそれが後天性免疫不全症候群(AIDS)を引起すヒト免疫不全ウイルス(HIV)に感染した患者の治療に有用であることが発見された。詳細には、式Iで示されるピラノン化合物がレトロウイルス・プロテアーゼの阻害剤としてとりわけ有効であることが判明した。
【0003】
【化1】

【0004】
しかしながら、多くのほかのHIVプロテアーゼ阻害剤と同様に、これらの化合物も特質上親油性であり、したがってほとんど水に溶けない。例えば、式Iで示される化合物は、(腸のpHに近い)pH6.5の緩衝液では約1μg/mlの水溶解度を有し、これは極めて乏しい水溶解度と考えられ、遊離酸形態では非常に低い経口バイオアベイラビリティーしか供さないと予想される。いずれの経路によって投与される有効薬剤物質または治療基も、全身吸収および治療応答には幾分かの水溶解度を有していなければならないことはよく知られている。ほとんど水に溶けない化合物は、しばしば不完全なまたは不安定ないずれかの吸収を示し、したがって目的の投与量において最小限の応答しか奏しない。
【0005】
この水溶解度を改善し得る固形形態のピラノン化合物の塩を同定しようとする試行が行われた。しかしながら、残った最も重要な欠点は、塩形態の処方が胃腸管において親遊離酸の沈殿を起こし易く、したがって目的の高い濃度で投与量を供して簡便な使用およびバイオアベイラビリティーに関して要求される基準に合致することが許容されないという点である。
【0006】
該問題点を認識しつつ、本発明は、ピラノン化合物に高い濃度および高い経口バイオアベイラビリティーを供する自己乳化性処方形態の医薬組成物に指向される。特に、本発明の組成物により、約400mg/gにのぼる極めて高い濃度でレトロウイルス・プロテアーゼのピラノン阻害剤を含有する自己乳化性処方を調製することができ、簡便な経口投与が許容されると同時に改善されたバイオアベイラビリティーが達成され、これは遊離酸の水性懸濁液よりも少なくとも2倍高い。
【0007】
また、本発明の組成物が、本発明に定義する親油性化合物に適用し得ることも発見した。
【0008】
特許文献1は、レトロウイルス感染症を治療するのに有用なピラノン化合物を開示している。
【0009】
特許文献2は、プロテアーゼ阻害剤のバイオアベイラビリティーを上昇させる組成物を開示している。
【0010】
特許文献3は、マイクロエマルション−プレ濃縮物およびマイクロエマルション形態でサイクロスポリンを含む医薬組成物を開示している。
【0011】
特許文献4は、有効成分としてのサイクロスポリン、脂肪酸トリグリセリド、脂肪酸グリセリンの部分エステル、あるいはプロピレングリコールまたはソルビトールの完全または部分エステル、ならびに少なくとも10のHLBを有する界面活性剤を含む医薬組成物を開示している。
【0012】
特許文献5は、サイクロスポリン、1,2−プロピレングリコール、混合モノ−、ジ−およびトリ−グリセリド、ならびに親水性界面活性剤を含む経口投与に好適な医薬組成物を開示している。
【0013】
特許文献6は、それ自体がほとんど腸吸収可能でない薬理学的に有効な剤の容易に腸吸収可能な医薬組成物を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】国際公開番号WO95/30670号
【特許文献2】国際公開番号WO96/39142号
【特許文献3】イギリス国特許出願GB2,222,770A号
【特許文献4】イギリス国特許出願GB2,228,198A
【特許文献5】イギリス国特許GB2,257,359B号
【特許文献6】米国特許第4,230,702号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明の1つの目的は、高い経口バイオアベイラビリティーを有する親油性で医薬上活性な剤を含む医薬組成物を提供することにある。
【0016】
本発明のさらなる目的は、簡便に投与するための親油性で医薬上活性な剤の高薬剤負荷を含有する医薬組成物を提供することにある。
【0017】
本発明のもう1つの目的は、自己乳化性処方において十分な物理学的および化学的安定性を示す医薬組成物を提供することにある。
【0018】
本発明のなおもう1つの目的は、軟質弾性カプセル用の液体組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明の目的は、本発明が、(約400mg/gにのぼる)親油性化合物の高負荷を許容すると同時に良好な経口バイオアベイラビリティーを達成することをも許容する自己乳化性処方形態の医薬組成物を提供することにおいて達成された。
【0020】
本発明は、特に、
(a)親油性で医薬上活性な剤、
(b)約9:1ないし約6:4(ジグリセリド:モノグリセリド)の重量比のジグリセリドおよびモノグリセリドの混合物、ここに該ジグリセリドおよびモノグリセリドは16ないし22の炭素鎖長を有するグリセリンのモノ-またはジ-不飽和脂肪酸エステルであり、
(c)1またはそれを超える医薬上許容される溶媒、および
(d)1またはそれを超える医薬上許容される界面活性剤
を含む特定の油相の使用に基く医薬組成物を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明によれば、自己乳化性処方ビヒクル中に医薬上活性な剤としてピラノン化合物を含む医薬組成物が存在する。
【0022】
本発明の目的につき、“ピラノン化合物”なる語は式II:
【0023】
【化2】

【0024】
[式中、RはH−であり;RはC−Cアルキル、フェニル−(CH)−、het−SONH−(CH)−、シクロプロピル−(CH)−、F−フェニル−(CH)−、het−SONH−フェニル−、またはFC−(CH−であり;あるいはRとRとは一緒になって二重結合となり;RはR−(CH)−CH(R)−、HC−[O(CH]−CH−、C−Cアルキル、フェニル−(CH−、het−SONH−(CH)−、(HOCHC−NH−C(O)−NH−(CH−、(HOC)(HN)CH−(CH−C(O)−NH−(CH−、ピペラジン−1−イル−C(O)−NH−(CH)、HOS(CH)−N(CH)−C(O)−(CH)−C(O)−NH−(CH)−、シクロプロピル−(CH)−、F−フェニル−(CH)−、het−SONH−フェニル、またはFC−(CH)−であり;nは0、1または2であり;Rはフェニル、het、シクロプロピル、HC−[O(CH)]−、het−SONH−、Br−、N−、またはHOS(CH)−N(CH)−C(O)−(CH)−C(O)−NH−であり;
は−CH−CHまたは−CH−シクロプロピルであり;Rはシクロプロピル、CH−CH−、またはt−ブチルであり;Rは−NRSO−het、所望によりRで置換されていてもよい−NRSO−フェニル、所望によりRで置換されていてもよい−CH−SO−フェニル、または
−CH−SO−hetであり;Rは−H、または−CHであり;
は−CN、−F、−OH、または−NOであり;ここにhetは窒素、酸素および硫黄よりなる群から選択される1ないし3個のヘテロ原子を含む5−、6−または7−員の飽和または不飽和環であり;これには、所望により−CH、−CN、−OH、−C(O)OC、−CF、−NH、もしくは−C(O)−NHで置換されていてもよいベンゼン環またはもう1つの複素環に前記複素環式環のいずれかが縮合したいずれの二環式基も含まれる]
で示される化合物、またはその医薬上許容される塩をいう。式IIで示される好ましい化合物は式Iで示される化合物である。
【0025】
“ピラノン化合物”なる語は、式IIIおよび式IV:
【0026】
【化3】

【0027】
[式中、R10はH−、CHO−、またはCHO−[(CH)O]−であり;
11はシクロプロピル、または−CH−CH(CH)であり;R12は所望によりR15で置換されていてもよい−NR14SO−フェニル、−NR14SO−het、所望によりR15で置換されていてもよい−CH−SO−フェニル、または−CH−SO−hetであり;
13は−H、−(CH)−CH、−CH−シクロプロピル、または−CH−フェニルであり;R14は−H、または−CHであり;
15は−CN、−F、−CH、−COOH、または−OHであり;ここにhetは窒素、酸素および硫黄よりなる群から選択される1ないし3個のヘテロ原子を含む5−、6−または−7員の飽和または不飽和環であり;これには、所望により1個または2個の−CH、−CN、−C(O)OC、または−OHで置換されていてもよいベンゼン環またはもう1つの複素環に前記複素環式環のいずれかが縮合したいずれの二環式基も含まれる]
で示される化合物、またはそれらの医薬上許容される塩をもいう。
【0028】
これらの化合物はレトロウイルス・プロテアーゼを阻害し、したがって該ウイルスの複製を阻害する。それらは、後天性免疫不全症候群(AIDS)および/または関連する疾病を生じるヒト免疫不全ウイルス(HIV−1またはHIV−2の株)またはヒトT−細胞白血病ウイルス(HTLV−IまたはHTLV−II)のごときヒトレトロウイルスに感染した患者を治療するのに有用である。式I、II、IIIおよびIVで示される化合物は(出典明示して本明細書の一部とみなす)国際出願番号PCT/US95/05219号に開示され、特許請求されており、国際公開番号WO95/30670号に記載されている手法に従って調製することができる。特に、式Iで示されるピラノン化合物は、レトロウイルス・プロテアーゼの阻害剤としてとりわけ有効であることが判明した。
【0029】
本明細書で用いる“親油性化合物”なる語は、LOG P2(LOG P値はオクタノール相と水相との間の分配係数のごとき二相系におけるその分配挙動によって測定され;それは実験的に決定されるか、または市販のソフトウェアによって算出されるかのいずれかである)で、1ないし8のpH範囲で低い固有の水溶解度(0.1mg/ml)で、1mg/mlを超える本発明の自己乳化性処方ビヒクルにおける溶解度を有する化合物をいう。
【0030】
本発明で用いるのに好適である親油性化合物の典型的な例には、限定されるものではないが、式I、II、IIIまたはIVで示されるピラノン化合物;天然発生のサイクロスポリンAないしZのごときサイクロスポリンならびに種々の非−天然サイクロスポリン誘導体または合成サイクロスポリン;酢酸メドロキシプロゲステロン、プロゲステロンまたはテストステロンのごとき親油性ステロイド、トログリタゾンまたはピオグリタゾンのごときチアゾリジンジオン;グリブリドのごときスルホニル尿素;ケトコナゾールまたはイトラコナゾールのごときアゾール;カンプトテシン、SN−38または(CPT−11という名称もある)塩酸イリノテカンのごときカンプトテシン;パクリタキセル(Paclitaxel)、ドセタキセル(Docetaxel)またはPNU−1のごときタキサン(taxan);PGE2α、PGEまたはPGEのごときプロスタグランジン;デラビルジン(Delavirdine)メシラート、ビタミンE(α−トコフェロール)、チリラザド(Tirilazad)メシラート、グリセオフルビン(Griseofulvin)、フェニトイン(Phenytoin)、イブプロフェン、フルルビプロフェン(Flurbiprofen)、PNU−2、PNU−3またはPNU−4が含まれる。
【0031】
“SN−38”なる語は、化学名(4S)−4,11−ジメチル−4,9−ジヒドロキシ−1H−ピラノ[3',4':6,7]インドリジノ[1,2−b]キノリン−3,14(4H,12H)−ジオンの化学化合物をいう。
【0032】
“PNU−1”なる語は、化学名[2aR−[2aα,4aβ,6β,7β,9(αR*,βS*),11α,12α,12aα,12bα]]-6,12b-ビス(アセチルオキシ)-12-(ベンゾイルオキシ)-2a,4a,5,6,7,10,11,12,12a,12b-デカヒドロ-11-ヒドロキシ-4a,8,13,13-テトラメチル-5-オキソ-7,11-メタノ-1H-シクロデカ[3,4]ベンズ[1,2-b]オキセト-9-イル β-[[[(1,1-ジメチルエチル)アミノ]カルボニル]アミノ]-α-ヒドロキシ ベンゼンプロパノアート、または(1S,2S,3R,4S,7R,10R,12R)-4,12-ビス(アセチルオキシ)-15-[((2R,3S)-3-{[(tert-ブチルアミノ)カルボニル]アミノ}-2-ヒドロキシ-3-フェニルプロパノイル)オキシ]-1-ヒドロキシ-10,14,17,17-テトラメチル-11-オキソ-6-オキサテトラシクロ[11.3.1.03,10.04,7]ヘプタデカ-8,14-ジエン-2-イル ベンゾアートの化学化合物をいう。
【0033】
“PNU-2”なる語は、化学名1−[(2,4−ジ−1−ピロリジニル−9H−ピリミド[4,5−b]インドール−9−イル)アセチル]ピロリジン、または2−[2,4−ジ(1−ピロリジニル)−9H−ピリミド[4,5−b]インドール−9−イル]−1−(1−ピロリジニル)−1−エタノンの化学化合物をいう。
【0034】
“PNU−3”なる語は、化学名(S)−1−[2−[4−[4−(アミノカルボニル)フェニル]−1−ピペラジニル]エチル]−3,4−ジヒドロ−N−メチル−1H−2−ベンゾピラン−6−カルボキサミド、または1H−2−ベンゾピラン−6−カルボキサミド、1−[2−[4−[4−(アミノカルボニル)フェニル]−1−ピペラジニル]エチル]−3,4−ジヒドロ−N−メチル−,(S)−または(1S)−1−(2−{4−[4−(アミノカルボニル)フェニル]−1−ピペラジニル}エチル)−N−メチル−3,4−ジヒドロ−1H−イソクロメン−6−カルボキサミドの化学化合物をいう。
【0035】
“PNU−4”なる語は、化学名(−)−6−クロロ−2−[(1−フロ[2,3−c]ピリジン−5−イルエチル)チオ]−4−ピリミジンアミン、または6−クロロ−2−{[(1S)−フロ[2,3−c]ピリジン−5−イルエチル}スルホニル}−4−ピリミジニルアミンの化学化合物をいう。
【0036】
これらの医薬上活性な剤はすべて当該技術分野で公知であって、容易に得ることができ、あるいは公知の方法に従って調製することができる。
【0037】
例えば、天然発生サイクロスポリンは、Traberらによる1,Helv.Chim.Acta.60,1247−1255(1977);Traberらによる2,Helv.Chim.Acta.65,No.162,1655−1667(1982);KobelらによるEurop.J.Applied Microbiology and Biotechnology, 14, 273-240;およびvon WartburgらによるProgress in Allergy, No. 38, 28-45(1986)に記載されている方法に従って得ることができる。
【0038】
非−天然サイクロスポリン誘導体または合成サイクロスポリンは、米国特許第4,108,985号、第4,210,581号および4,220,641号;欧州特許公開番号0 034 567号および0 056 782号;国際特許公開番号WO86/02080号;Wengerによる1,Transp. Proc., 15, Suppl.1:2230 (1983);Wengerによる2,Angew.Chem. Int. 第24版,77(1985);およびWengerによる3,Progress in the Chemistry of Organic Natural Products 50, 123(1986)に記載されている手法に従って調製することができる。
【0039】
プロゲステロンおよびテストステロンは一般的に知られており、膨大な刊行物で論じられている。
【0040】
カンプトテシンは、M.E.WallらによるJ.Am.Chem.Soc.,vol.88,p.3888(1966)に記載されている手法に従ってチャイニーズ・ツリー(Chinese tree)の幹木(stem wood)から得ることができる。カンプトテシンは、E.J.Coreyらによる同書,40,p.2140(1975);Stork,SchultzによるJ.Am.Chem.Soc.,vol.93,p.4074(1971);J.C.Bradley,G.BuchiによるJ.Org.Chem.,vol.41,p.699(1976);T.KametaniらによるJ.Chem.Soc.Perkin Trans.I,p.1563(1981)に記載されている手法に従って調製することもできる。
【0041】
トログリタゾンは、米国特許第4,572,912号に開示されている手法に従って調製することができる。
【0042】
ピログリタゾンは、米国特許第4,687,777号に開示されている手法に従って調製することができる。
【0043】
ケトコナゾールは、米国特許第4,144,346号および第4,223,036号に開示されている手法に従って調製することができる。
【0044】
グリブリドは、米国特許第3,454,635号に開示されている手法に従って調製することができる。
【0045】
グリセオフルビンは、米国特許第3,069,328号、米国特許第3,069,329号およびGroveらによるChem & Ind.(London),p.219(1951);およびJ.Chem.Soc.,p.3977(1952)に開示されている手法に従って調製することができる。
【0046】
イトラコナゾールは、米国特許第4,267,179号に開示されている手法に従って調製することができる。
【0047】
パクリタキセルは、R.A.HoltonらによるJ.Am.Chem.Soc.,vol.110,p.6558(1988);K.C.NicolaouらによるNature,vol.367,p.630(1994);“New Trends in Natural Products Chemistry 1986 ”と題したD.G.I.KingstonらによるStudies in Organic Chemistry, vol. 26, Attaur-Rahman,P.W.Le Quesne編(Elsevier,Amsterdam,1986),pp.219−235に開示されている手法に従って調製することができる。
【0048】
酢酸メドロキシプロゲステロンは、米国特許第3,359,287号に開示されている手法に従って調製することができる。
【0049】
チリラザドメシラートは、米国特許第5,175,281号に開示されている手法に従って調製することができる。
【0050】
デラビルジンは、PCT国際特許出願番号91/09,849号に開示されている手法に従って調製することができる。
【0051】
PNU−1は、R.A.JohnsonらによるJ.Med.Chem.vol.40,pp2810−2812(1997)に開示されている手法に従って調製することができる。
【0052】
PNU−2は、国際公開番号WO93/20078号に開示されている手法に従って調製することができる。
【0053】
PNU−3は、国際公開番号WO97/02259に開示されている手法に従って調製することができる。
【0054】
PNU−4は、国際公開番号WO96/135678に開示されている手法に従って調製することができる。
【0055】
イブプロフェンは米国特許第3,228,831号および第3,385,886号に開示されている手法に従って調製することができる。
【0056】
フルルビプロフェンは、米国特許第3,755,427号に開示されている手法に従って調製することができる。
【0057】
フェニトインは、米国特許第2,409,754号に開示されている手法に従って調製することができる。
【0058】
塩酸イリノテカン(CPT−11)は、米国特許第4,604,463号に開示されている手法に従って調製することができる。
【0059】
PGEは、E.J.CoreyらによるJ.Am.Chem.Soc.90,3245−3247(1968)に開示されている手法に従って調製することができる。
【0060】
PGEは、米国特許第3,598,858号に開示されている手法に従って調製することができる。
【0061】
PGF2aは、米国特許第3,657,327号に開示されている手法に従って調製することができる。
【0062】
本明細書で用いる“自己乳化性処方”なる語は、十分な水性媒質と混合するとエマルションまたはマイクロエマルションを作ることができる濃縮組成物をいう。
【0063】
本発明から創られるエマルションまたはマイクロエマルションは、親水性相および親油性相を含む従来の溶液である。マイクロエマルションは、その熱力学的安定性、光学的透明度および小さな平均液滴サイズによっても特徴付けられ、一般的には約0.15ミクロン未満である。
【0064】
“自己乳化性処方ビヒクル”なる語は、約9:1ないし約6:4(ジグリセリド:モノグリセリド)の重量比のジグリセリドおよびモノグリセリドの混合物を含む組成物、ここに該ジグリセリドおよびモノグリセリドは16ないし22の炭素鎖長を有するモノ−またはジ−不飽和脂肪酸エステルであり、1またはそれを超える医薬上許容される溶媒、および1またはそれを超える医薬上許容される界面活性剤を含む組成物をいう。所望により、該自己乳化性処方ビヒクルは、塩基性アミンをさらに含んでいてもよい。
【0065】
本発明のジグリセリドとは、構造式:HOCH−CH(OCR)−CH(OCR)または(RCO)CH−CH(OH)−CH(OCR)を有するグリセリンの脂肪酸エステルをいい、ここにRは15ないし21の炭素原子を有するモノ−不飽和またはジ−不飽和アルキル基である。好ましいジグリセリドはジオレイン(Rは17の炭素原子を有するモノ−不飽和アルキル基)、ジリノレアート(Rは17の炭素原子を有するジ−不飽和アルキル基である)、またはジオレインおよびジリノレアートの混合物である。最も好ましいジグリセリドはジオレインである。
本発明のモノグリセリドとは、構造式:HOCH−CH(OH)−CH(OCR)またはHOCH−CH(OCR)−CHOHを有するグリセリンの脂肪酸エステルをいい、ここにRは15ないし22の炭素原子を有するモノ−不飽和またはジ−不飽和アルキル基である。好ましいモノグリセリドはモノオレイン(Rは17の炭素原子を有するモノ−不飽和アルキル基)、モノリノレアート(Rは17の炭素原子を有するジ−不飽和アルキル基)、またはモノオレインおよびモノリノレアートの混合物をいう。最も好ましいモノグリセリドはモノオレインである。
ジグリセリドおよびモノグリセリドの混合物は、個々のジグリセリドおよびモノグリセリドを適当な相対比で混合することによって、トリグリセリドの部分加水分解によって、あるいはジグリセリドとグリセリンとのトリグリセリドのエステル交換反応によって調製することができる。
【0066】
本発明のグリセリドはすべて公知であって、従来の方法によって調製することができる。
【0067】
組成物中の有効成分の量は、意図する投与経路、用いる特定の有効成分の効力、疾病の重度、および必要な濃度に依存して、広く変化または調整することができる。しかしながら、望むなら、親油性の医薬上活性な剤を、最良の分散性で約400mg/gにのぼる量および典型的にはラットにおいて70−84%に達するイン・ビボ(in vivo)の高経口バイオアベイラビリティーで、本発明の自己乳化性処方ビヒクルに存在させることができる。
【0068】
高毛移行バイオアベイラビリティー(ラットにおいて84%)を有する本発明の組成物は、水で希釈するとほぼ透明または半透明の溶液を呈し、これはマイクロエマルションが形成されていることを示している。
【0069】
中位の高バイオアベイラビリティー(ラットにおいて60−70%)を有する本発明の組成物は、通常、水で希釈すると薬剤の沈殿なしに目視可能な微細な白色乳液を示し、これはエマルションが形成されていることを示している。
【0070】
1つの態様において、本発明は、
(a)医薬上活性な剤としての式I、II、IIIまたはIVで示されるピラノン化合物、
(b)約9:1ないし約6:4(ジグリセリド:モノグリセリド)の重量比のジグリセリドおよびモノグリセリドの混合物、ここに該ジグリセリドおよびモノグリセリドは16ないし22の炭素鎖長を有するグリセリンのモノ−またはジ−不飽和脂肪酸エステルであり、
(c)1またはそれを超える医薬上許容される溶媒、および
(d)1またはそれを超える医薬上許容される界面活性剤
を含む特定の油相の使用に基く医薬組成物を特に提供する。
【0071】
もう1つの態様において、本発明は、
(a)サイクロスポリン、酢酸メドロキシプロゲステロン、プロゲステロン、テストステロン、トログリタゾン、ピオグリタゾン、グリブリド、ケトコナゾール、イトラコナゾール、カンプトテシン、SN−38、塩酸イリノテカン、パクリタキセル、ドセタキセル、PNU−1、PGE2α、PGE、PGE、デラビルジンメシラート、ビタミンE、チリラザドメシラート、グリセオフルビン、フェニトイン、イブプロフェン、フルルビプロフェン、PNU−2、PNU−3およびPNU−4よりなる群から選択される親油性の医薬上活性な剤、
(b)約9:1ないし約6:4(ジグリセリド:モノグリセリド)の重量比のジグリセリドおよびモノグリセリドの混合物、ここに該ジグリセリドおよびモノグリセリドは16ないし22の炭素原子鎖長を有するグリセリンのモノ−およびジ−不飽和脂肪酸エステルであり、
(c)1またはそれを超える医薬上許容される溶媒、および
(d)1またはそれを超える医薬上許容される界面活性剤
を含む特定の油相の使用に基く医薬組成物を提供する。
【0072】
加えて、該組成物は、医薬上許容される塩基性アミンをさらに含んでいてもよい。
【0073】
本明細書で用いる“医薬上許容される”なる語は、薬理学的および毒素学的見地から治療する対象と生物学的に和合性である特性をいう。
【0074】
本発明の溶媒は、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、(PRG300、400、600ほかのごとき)ポリエチレングリコール、グリセリン、エタノール、トリアセチン、ジメチルイソソルビド、グリコフロール(glycofurol)、プロピレンカーボネート、水、ジメチルアセトアミド、またはそれらの混合物をいう。
【0075】
好ましい溶媒は、プロピレングリコール、またはプロピレングリコールおよび95%(v/v)エタノール(以後、エタノールという)を含む混合物である。プロピレングリコールおよびエタノールの混合物においては、プロピレングリコールは約50%ないし約95%の量で存在する。
【0076】
本発明の界面活性剤は、数ある中で商品名クレモフォア(Cremophor)RH40のポリオキシル40硬化ヒマシ油;数ある中で商品名クレモフォアELまたはクレモフォアEL−Pのポリオキシル35ヒマシ油;ポリソルベート;ソルトール(Solutol)HS−15;タガット(Tagat)TO;ぺグリコール(Peglicol)6−オレエート;ポリオキシエチレンステアレート;飽和ポリグリコール化グリセリド;またはポロクサマーを含む非−イオン性界面活性剤をいい;これらはすべて市販されている。好ましい界面活性剤はクレモフォアRH40またはクレモフォアELである。
【0077】
本明細書で用いる飽和ポリグリコール化グリセリドには、ゲルシール(Gelucire)44/14またはげるシール50/13が含まれる。
【0078】
本明細書で用いるポリオキシエチレンステアレートには、ポロキシル6ステアレート、ポロキシル8ステアレート、ポロキシル12ステアレートおよびポロキシル20ステアレートが含まれる。
【0079】
本明細書で用いるポロクサマーには、ポロクサマー124およびポロクサマー188が含まれる。
【0080】
本明細書で用いるポリソルベートには、ポリソルベート20、ポリソルベート40、ポリソルベート60およびポリソルベート80が含まれる。
【0081】
本明細書で用いる“塩基性アミン”なる語は、例えばエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンまたはエチレンジアミンのごとき低級アルキルアミン;例えば、コリンヒドロオキシドのごとき第4級アンモニウム;例えば、アルギニン、リジンまたはグアニジンのごとき塩基性アミノ酸をいう。好ましい低級アルキルアミンは、ジメチルアミノエタノールまたはトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンである。
【0082】
本発明の典型的な組成物は:
(a)合計組成物の約1重量%ないし約40重量%の量の親油性の医薬上活性な剤、
(b)合計組成物の約5重量%ないし約40重量%の量の、約9:1ないし約6:4(ジグリセリド:モノグリセリド)の重量比のジグリセリドおよびモノグリセリドの混合物、ここに該ジグリセリドおよびモノグリセリドは16ないし22の炭素鎖長を有するグリセリンのモノ−またはジ−不飽和脂肪酸エステルであり、
(c)合計組成物の約10重量%ないし約30重量%の量の1またはそれを超える医薬上許容される溶媒、および
(d)合計組成物の約10重量%ないし約50重量%の量の医薬上許容される界面活性剤
を含んでいる。
【0083】
所望により、上記組成物は、合計組成物の約0.1重量%ないし10重量%の量の塩基性アミンをさらに含んでいてもよい。
好ましい親油性化合物は、式I、II、III、IVで示される化合物またはサイクロスポリンAである。
【0084】
本発明の好ましい組成物は:
(a)合計組成物の約5重量%ないし約30重量%の量の親油性の医薬上活性な剤、
(b)合計組成物の約5重量%ないし約35重量%の量の、約9:1(ジオレイン:モノオレイン)の重量比のジオレインおよびモノオレインの混合物、
(c)合計組成物の約15重量%ないし約25重量%の量の、プロピレングリコール、またはプロピレングリコールおよびエタノールの混合物を含む溶媒、および
(d)合計組成物の約30重量%ないし約45重量%の量のクレモフォアRH40またはクレモフォアELを含む界面活性剤
を含む。
【0085】
本発明のもう1つの好ましい組成物は:
(a)合計組成物の約5重量%ないし約30重量%の量の親油性の医薬上活性な剤、
(b)合計組成物の約5重量%ないし約35重量%の量の、約8:2(ジオレイン:モノオレイン)の重量比のジオレインおよびモノオレインの混合物、
(c)合計組成物の約15重量%ないし約25重量%の量の、プロピレングリコール、またはプロピレングリコールおよびエタノールの混合物を含む溶媒、および
(d)合計組成物の約30重量%ないし約45重量%の量のクレモフォアRH40またはクレモフォアELを含む界面活性剤
を含む。
【0086】
所望により、好ましい組成物は、合計組成物の約0.1重量%ないし約7重量%の量の塩基性アミンをさらに含んでいてもよい。
【0087】
本発明の好ましい組成物において、なおより好ましい組成物は、合計組成物に対して約20重量%ないし約30重量%の量の式Iで示されるピラノン化合物を含む。
【0088】
本発明の好ましい組成物において、よりさらに好ましい組成物は、合計組成物
に対して約5重量%ないし約15重量%の量のサイクロスポリンAを含む。
【0089】
本発明の好ましい組成物において、プロピレングリコールおよびエタノールの混合物は約1:1の比で存在する。
【0090】
本発明の好ましい組成物において、よりさらに好ましい組成物は、合計組成物の約0.1重量%ないし約7重量%の量のジメチルアミノエタノール、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンを含む。
【0091】
本発明の好ましい組成物において、よりさらに好ましい組成物は、約8:2の比のジオレインおよびモノオレインの混合物を含む。
【0092】
特に、本発明の最も好ましい組成物は、式Iで示されるピラノン化合物を含む。
【0093】
本発明の組成物は、経口適用による軟質弾性カプセルまたは硬質ゼラチンカプセル用の液体形態をとり得る。該組成物は、経口、非経口、直腸または局所適用用の液体溶液の形態とすることもできる。好ましい投与量形態は軟質弾性カプセル用の液体形態である。
【0094】
望なら、本発明の組成物は、共−界面活性剤(例えばラウリル硫酸ナトリウム)、着色剤、賦香剤、香料、保存剤、安定化剤、抗−酸化剤および/または粘結剤のごとき慣用的な医薬添加剤をさらに含んでいてもよい。
【0095】
本発明の組成物は、例えば、活性な剤を溶媒に溶解し、ついで、油相、界面活性剤および所望により塩基性アミンを添加することによって、慣用様式で調製することができる。ついで、得られた溶液を、公知の製造技術によって例えば軟質弾性カプセルまたは硬質ゼラチンカプセルのごとき目的の投与量形態に処方化する。
【0096】
本発明の医薬組成物は、以下の実施例と関連させればより良好に理解されるであろうが、それは説明を意図するものであって、本発明の範囲を限定するものではない。当業者であれば、さらなる説明がなくとも以前の説明および以下の実施例に記載する情報を用いて本発明をその最大限の程度で実施し得ると考えられる。
【0097】
A.本発明の組成物を調製するための一般的手法
薬剤を容器に入れる。プロピレングリコール、またはエタノール(95%)およびプロピレングリコール(重量による1:1)から選択される溶媒の混合物を含む溶媒を添加し、蓋を閉める。その容器を約60℃のウォーターバスに置き、全ての薬剤材料が溶解するまでゆっくりと振とうする。その容器を室温まで冷却した後に、(ジオレインのごとき)ジグリセリドおよび(モノオレインのごとき)モノグリセリドの適量の混合物、(クレモフォアRH40またはクレモフォアELのごとき)界面活性剤および所望により(エタノールアミンまたはジエタノールアミンのごとき)塩基性アミンを該容器に添加する。その容器を密閉し、約60℃のウォーターバスに置き、清澄な溶液が形成されるまでゆっくりと振とうする。将来使用するために、該容器は通常常温に置く。
【0098】
【表1】

【0099】
【表2】

【0100】
【表3】

【0101】
【表4】

【0102】
【表5】

【0103】
【表6】

【0104】
【表7】

【0105】
【表8】

【0106】
【表9】

【0107】
【表10】

【0108】
【表11】

【0109】
【表12】

【0110】
【表13】

【0111】
【表14】

【0112】
【表15】

【0113】
【表16】

【0114】
【表17】

【0115】
【表18】

【0116】
【表19】

【0117】
【表20】

【0118】
【表21】

【0119】
【表22】

【0120】
【表23】

【0121】
【表24】

【0122】
【表25】

【0123】
【表26】

【0124】
【表27】

【0125】
【表28】

【0126】
【表29】

【0127】
【表30】

【0128】
【表31】

【0129】
【表32】

【0130】
【表33】

【0131】
【表34】

【0132】
【表35】

【0133】
【表36】

【0134】
【表37】

【0135】
【表38】

【0136】
【表39】

【0137】
【表40】

【0138】
【表41】

【0139】
【表42】

【0140】
【表43】

【0141】
【表44】

【0142】
【表45】

【0143】
【表46】

【0144】
【表47】

【0145】
【表48】

【0146】
【表49】

【0147】
【表50】

【0148】
【表51】

【0149】
【表52】

【0150】
【表53】

【0151】
B.経口バイオアベイラビリティー試験
(i)Sprague−Dawley雄性ラットをイン・ビボ(in vivo)経口バイオアベイラビリティー実験に選択した。各ラットは、上大静脈に留置カニューレを外科的に埋め込むことによって調製した。300−400gの体重範囲の各ラットを投薬の前一晩拘束した。各処方を20mg/kg用量でラットの群(n=3)に経口投与した。高濃度の式Iで示される化合物(典型的には200−300mg/g)を有する処方を水で100倍希釈し、経口胃管栄養法を用いてラットの胃に直接注入した。投薬後、0.25、0.5、1、2、4、6、8、12および24時間に、留置カニューレから一連の血液試料0.25mlを得た。これらの血液試料を、式Iで示される化合物に特異的なHPLCアッセイを用いて分析した。試験ラットの血中の薬剤濃度を、薬剤を静脈内(i.v.)または経口経路を介して投与した後の時間に対してプロットし、血漿中濃度−時間曲線下面積(AUC,the Area Under the Plasma Concentration-Time Curve)を、表1に示す絶対バイオアベイラビリティーを算出するための台形法則を用いて積分した。
【0152】
【数1】

【0153】
(ii)雄性ビーグル犬も、イン・ビボ(in vivo)経口アベイラビリティー実験に選択した。13.5−17.5kgの体重範囲の各イヌを投薬前一晩拘束した。各処方は、20mg/kg用量でイヌの群(n=4)に経口投与した。式Iで示される化合物の高濃度処方(300mg/g)をゼラチンカプセルに被包し、これを投与した。投薬後20分、40分および1、2、4、6、8、12および24時間に、頚静脈から一連の血液試料2mlを得た。これらの血液試料は、式Iで示される化合物に対して特異的なHPLCアッセイを用いて分析した。式Iで示される化合物の血中濃度を時間に対してプロットし、AUCを得て絶対バイオアベイラビリティーを算出した。その結果を表2に示す。
【0154】
(iii)参照として、硬質ゼラチンカプセルに被包した式Iで示される化合物の二ナトリウム塩を8の150mg(1200mg単一用量)で10人のボランティアに経口投与した。数週間後に、同群に、実施例15で示した処方中の式Iで示される化合物を4の300mg(1200mg単一用量)で投与した。投与後30分および1、2、4、6、8、12および24時間後に2群のボランティアの一連の血液試料を得た。これらの血液試料を、式Iで示される化合物に対して特異的なHPLCアッセイを用いて分析した。式Iで示される化合物の血中濃度を時間に対してプロットし、AUCを得て絶対バイオアベイラビリティーを算出した。その結果を表3に示す。
【0155】
【数2】

【0156】
表1、2および3の増大した絶対バイオアベイラビリティーによって立証されるごとく、本発明により目的の結果が達成された。加えて、実施例21の処方中のサイクロスポリンAの絶対経口バイオアベイラビリティーは、ラット(N=8)で決定して23%であった。
【0157】
【表54】

【0158】
【表55】

【0159】
【表56】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)親油性で医薬上活性な剤、
(b)9:1ないし6:4(ジグリセリド:モノグリセリド)の重量比のジグリセリドおよびモノグリセリドから実質的になる混合物、ここに該ジグリセリドおよびモノグリセリドは16ないし22の炭素鎖長を有するグリセリンのモノ−またはジ−不飽和脂肪酸エステルであり、
(c)1またはそれを超える医薬上許容される溶媒、および
(d)1またはそれを超える医薬上許容される界面活性剤
を含み、ここに該溶媒はプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、エタノール、ジメチルイソソルビド、グリコフロール(glycofurol)、プロピレンカーボネート、ジメチルアセトアミドまたはそれらの混合物であり;該界面活性剤はポリオキシル40硬化ヒマシ油、ポリオキシル35ヒマシ油、ポリエチレングリコール12−ヒドロキシステアレート、ポリオキシエチレングリセリルトリオレエート、ペグリコール(Peglicol)6−オレエート、ポリオキシエチレンステアレート、ポロクサマー、ポリソルベートまたは飽和ポリグリコール化グリセリドであるが;
但し、該親油性で医薬上活性な剤は、2のLOG P値、1ないし8のpH範囲で固有の水溶解度0.1、および本明細書に規定するb、cおよびdの混合物中で1mg/mlを超える溶解度を有し、さらに、該親油性で医薬上活性な剤は、下記の式I−IVによって表されるピラノン化合物:
【化1】

[式中、RはH−であり;
はC−Cアルキル、フェニル−(CH)−、het−SONH−(CH)−、シクロプロピル−(CH)−、F−フェニル−(CH)−、het−SONH−フェニル−、またはFC−(CH−であり;あるいは
とRとは一緒になって二重結合となり;
はR−(CH)−CH(R)−、HC−[O(CH]−CH−、C−Cアルキル、フェニル−(CH−、het−SONH−(CH)−、(HOCHC−NH−C(O)−NH(CH−、(HOC)(HN)CH−(CH−C(O)−NH−(CH−、ピペラジン−1−イル−C(O)−NH−(CH)、HOS(CH)−N(CH)−C(O)−(CH)−C(O)−NH−(CH)−、シクロプロピル−(CH)−、F−フェニル−(CH)−、het−SONH−フェニル、またはFC−(CH)−であり;
nは0、1または2であり;
はフェニル、het、シクロプロピル、HC−[O(CH)]−、het−SONH−、Br−、N−、またはHOS(CH)−N(CH)−C(O)−(CH)−C(O)−NH−であり;
は−CH−CHまたは−CH−シクロプロピルであり;
はシクロプロピル、CH−CH−、またはt−ブチルであり;
は−NRSO−het、所望によりRで置換されていてもよい−NRSO−フェニル、所望によりRで置換されていてもよい−CH−SO−フェニル、または−CH−SO−hetであり;
は−H、または−CHであり;
は−CN、−F、−OH、または−NOであり;
10はH−、CHO−、またはCHO−[(CH)O]−であり;
11はシクロプロピル、または−CH−CH(CH)であり;
12は所望によりR15で置換されていてもよい−NR14SO−フェニル、−NR14SO−het、所望によりR15で置換されていてもよい−CH−SO−フェニル、または−CH−SO−hetであり;
13は−H、−(CH)−CH、−CH−シクロプロピル、または−CH−フェニルであり;
14は−H、または−CHであり;
15は−CN、−F、−CH、−COOH、または−OHであり;
hetは窒素、酸素および硫黄よりなる群から選択される1ないし3個のヘテロ原子を含む5−、6−または7−員の飽和または不飽和環であり;これには、所望により1または2個の−CH、−CN、−C(O)OC、または−OHで置換されていてもよい、ベンゼン環またはもう1つの複素環に前記複素環式環のいずれかが縮合したいずれの二環式基も含まれる]
またはそれらの医薬上許容される塩のいずれにもなり得ない
ことを特徴とする医薬組成物。
【請求項2】
該親油性で医薬上活性な剤が、酢酸メドロキシプロゲステロン、プロゲステロン、テストステロン、トログリタゾン、ピオグリタゾン、グリブリド、ケトコナゾール、イトラコナゾール、カンプトテシン、(4S)4,11-ジエチル-4,9-ジヒドロキシ-1H-ピラノ[3',4':6,7]インドリジノ[1,2-b]キノリン-3,14(4H,12H)-ジオン、塩酸イリノテカン、パクリタキセル(Paclitaxel)、ドセタキセル(Docetaxel)、2aR-[2aα,4aβ,6β,7β,9(αR*,βS*),11α,12α,12aα,12bα]]-6,12b-ビス(アセチルオキシ)-12-(ベンゾイルオキシ)-2a,4a,5,6,7,10,11,12,12a,12b-デカヒドロ-11-ヒドロキシ-4a,8,13,13-テトラメチル-5-オキソ-7,11-メタノ-1H-シクロデカ[3,4]ベンズ[1,2-b]オキセト-9-イル β-[[[(1,1-ジメチルエチル)アミノ]カルボニル]アミノ]-α-ヒドロキシ ベンゼンプロパノアート、(1S,2S,3R,4S,7R,10R,12R)-4,12-ビス(アセチルオキシ)-15-[((2R,3S)-3-{[(tert-ブチルアミノ)カルボニル]アミノ}-2-ヒドロキシ-3-フェニルプロパノイル)オキシ]-1-ヒドロキシ-10,14,17,17-テトラメチル-11-オキソ-6-オキサテトラシクロ[11.3.1.03,10.04,7]ヘプタデカ-8,14-ジエン-2-イル ベンゾアート、PGE2α、PGE、PGE、デラビルジン(Delavirdine)メシラート、ビタミンE、チリラザド(Tirilazad)メシラート、グリセオフルビン(Griseofulvin)、フェニトイン(Phenytoin)、イブプロフェン、フルルビプロフェン(Flurbiprofen)、1-[(2,4-ジ(1-ピロリジニル)-9H-ピリミド[4,5-b]-イル]インドール-9-イルアセチル]-1-(1-ピロリジン,2-[2,4-ジ(1-ピロリジニル)-9H-ピリミド[4,5-b]インドール-9-イル]-1-(1-ピロリジニル)-1-エタノン、(S)-1-[2-[4-[4-(アミノカルボニル)フェニル]-1-ピペラジニル]エチル]-3,4-ジヒドロ-N-メチル-1H-2-ベンゾピラン-6-カルボキサミド、1H-2-ベンゾピラン-6-カルボキサミド、1-[2-[4-[4-(アミノカルボニル)フェニル]-1-ピペラジニル]エチル]-3,4-ジヒドロ-N-メチル 1-,(S)-または(1S)-1-(2-{4-[4-(アミノカルボニル)フェニル]-1-ピペラジニル}エチル)-N-メチル-3,4-ジヒドロ-1H-イソクロメン-6-カルボキサミド、(-)-6-クロロ-2-[(1-フロ[2,3-c]ピリジン-5-イルエチル)チオ]-4-ピリミジンアミン、および6-クロロ-2-{[(1S)-1-フロ[2,3-c]ピリジン-5-イルエチル]スルホニル}-4-ピリミジニルアミンよりなる群から選択されることを特徴とする請求項1記載の医薬組成物。
【請求項3】
該親油性で医薬上活性な剤が、塩酸イリノテカンであることを特徴とする請求項1記載の医薬組成物。
【請求項4】
該親油性で医薬上活性な剤が、合計組成物の1重量%ないし40重量%の量で存在することを特徴とする請求項1記載の医薬組成物。
【請求項5】
該親油性で医薬上活性な剤が、合計組成物の5重量%ないし30重量%の量で存在することを特徴とする請求項1記載の医薬組成物。
【請求項6】
該ジグリセリドがジオレイン、ジリノレアートまたはそれらの混合物であることを特徴とする請求項1記載の医薬組成物。
【請求項7】
該ジグリセリドがジオレインであることを特徴とする請求項1記載の医薬組成物。
【請求項8】
該モノグリセリドがモノオレイン、モノリノレアートまたはそれらの混合物であることを特徴とする請求項1記載の医薬組成物。
【請求項9】
該モノグリセリドがモノオレインであることを特徴とする請求項1記載の医薬組成物。
【請求項10】
該ジグリセリドおよびモノグリセリドの混合物が、合計組成物の5重量%ないし40重量%の量で存在することを特徴とする請求項1記載の医薬組成物。
【請求項11】
該ジグリセリドおよびモノグリセリドの混合物が、合計組成物の5重量%ないし35重量%の量で存在することを特徴とする請求項1記載の医薬組成物。
【請求項12】
該ジグリセリドおよびモノグリセリドの混合物が、8:2(ジグリセリド:モノグリセリド)の重量比で存在することを特徴とする請求項1記載の医薬組成物。
【請求項13】
該ジグリセリドおよびモノグリセリドの混合物が、9:1(ジグリセリド:モノグリセリド)の重量比で存在することを特徴とする請求項1記載の医薬組成物。
【請求項14】
該医薬上許容される溶媒が、プロピレングリコールであることを特徴とする請求項1記載の医薬組成物。
【請求項15】
該医薬上許容される溶媒が、1:1の比でプロピレングリコールおよび95%(v/v)エタノールを含む混合物であることを特徴とする請求項1記載の医薬組成物。
【請求項16】
該医薬上許容される溶媒が、合計組成物の10重量%ないし30重量%の量で存在することを特徴とする請求項1記載の医薬組成物。
【請求項17】
該医薬上許容される溶媒が、合計組成物の15重量%ないし25重量%の量で存在することを特徴とする請求項1記載の医薬組成物。
【請求項18】
該医薬上許容される界面活性剤が、ポリオキシル40硬化ヒマシ油またはポリオキシル35ヒマシ油であることを特徴とする請求項1記載の医薬組成物。
【請求項19】
該界面活性剤が、合計組成物の10重量%ないし50重量%の量で存在することを特徴とする請求項1記載の医薬組成物。
【請求項20】
該界面活性剤が、合計組成物の30重量%ないし45重量%の量で存在することを特徴とする請求項1記載の医薬組成物。
【請求項21】
さらに、アミンを含むことを特徴とする請求項1記載の医薬組成物。
【請求項22】
該アミンが低級アルキルアミン、塩基性アミノ酸またはコリンヒドロオキシドであることを特徴とする請求項21記載の医薬組成物。
【請求項23】
該低級アルキルアミンが、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、ジメチルアミノエタノールまたはトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンであることを特徴とする請求項22記載の医薬組成物。
【請求項24】
該塩基性アミノ酸が、アルギニン、リジンまたはグアニジンであることを特徴とする請求項22記載の医薬組成物。
【請求項25】
該アミンが、合計組成物の0.1重量%ないし10重量%の量で存在することを特徴とする請求項21記載の医薬組成物。
【請求項26】
9:1ないし6:4(ジグリセリド:モノグリセリド)の重量比のジグリセリドおよびモノグリセリドから実質的になる混合物、1またはそれを超える医薬上許容される溶媒、および1またはそれを超える医薬上許容される界面活性剤を含み、ここに該ジグリセリドおよびモノグリセリドは16ないし22の炭素鎖長を有するグリセリンのモノ−またはジ−不飽和脂肪酸エステルであり;該溶媒はプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、エタノール、ジメチルイソソルビド、グリコフロール、プロピレンカーボネート、ジメチルアセトアミドまたはそれらの混合物であり;該界面活性剤はポリオキシル40硬化ヒマシ油、ポリオキシル35ヒマシ油、ポリエチレングリコール12−ヒドロキシステアレート、ポリオキシエチレングリセリルトリオレエート、ペグリコール 6−オレエート、ポリオキシエチレンステアレート、ポロクサマー、ポリソルベートまたは飽和ポリグリコール化グリセリドであることを特徴とする自己乳化性処方ビヒクル。
【請求項27】
さらに、アミンを含むことを特徴とする請求項26記載の自己乳化性処方ビヒクル。
【請求項28】
該ジグリセリドがジオレイン、ジリノレアートまたはそれらの混合物であることを特徴とする請求項26記載の自己乳化性処方ビヒクル。
【請求項29】
該ジグリセリドがジオレインであることを特徴とする請求項26記載の自己乳化性処方ビヒクル。
【請求項30】
該モノグリセリドがモノオレイン、モノリノレアートまたはそれらの混合物であることを特徴とする請求項26記載の自己乳化性処方ビヒクル。
【請求項31】
該モノグリセリドがモノオレインであることを特徴とする請求項26記載の自己乳化性処方ビヒクル。
【請求項32】
該ジグリセリドおよびモノグリセリドの混合物が、7:3(ジグリセリド:モノグリセリド)の重量比で存在することを特徴とする請求項26記載の自己乳化性処方ビヒクル。
【請求項33】
該ジグリセリドおよびモノグリセリドの混合物が、8:2(ジグリセリド:モノグリセリド)の重量比で存在することを特徴とする請求項26記載の自己乳化性処方ビヒクル。
【請求項34】
該ジグリセリドおよびモノグリセリドの混合物が、9:1(ジグリセリド:モノグリセリド)の重量比で存在することを特徴とする請求項26記載の自己乳化性処方ビヒクル。
【請求項35】
該ジグリセリドおよびモノグリセリドの混合物を、ジグリセリドおよびモノグリセリドを適当な相対比で混合することによって調製することを特徴とする請求項1記載の医薬組成物。
【請求項36】
該ジグリセリドおよびモノグリセリドの混合物を、ジグリセリドおよびモノグリセリドを適当な相対比で混合することによって調製することを特徴とする請求項26記載の自己乳化性処方ビヒクル。
【請求項37】
水と混合するとマイクロエマルションを形成することができることを特徴とする請求項1記載の医薬組成物。
【請求項38】
形成したマイクロエマルションがほぼ透明または半透明の外観を有し、エマルションの平均粒子(液滴)サイズが150ナノメートル(0.15マイクロメートル)未満であることを特徴とする請求項37記載の医薬組成物。
【請求項39】
(a)親油性で医薬上活性な剤、
(b)9:1ないし8:2(ジオレイン:モノオレイン)の重量比のジオレインおよびモノオレインから実質的になる混合物、
(c)合計組成物の15重量%ないし25重量%の量のプロピレングリコールまたはプロピレングリコールおよびエタノールの混合物;
(d)合計組成物の30重量%ないし45重量%の量のグリセロール ポリエチレングリコールオキシステアレートまたはグリセロール ポリエチレングリコールリシノレエートを含む界面活性剤;および所望により合計組成物の0.1重量%ないし7重量%の量の塩基性アミン;
ここに、該親油性の活性な剤は、2のLOG P値、1ないし8のpH範囲で固有の水溶解度.0.1mg/ml、および本明細書に規定するb、cおよびdの混合物中で1mg/mlを超える溶解度を有し、但し、該親油性で医薬上活性な剤は、下記の式I−IVによって表されるピラノン化合物:
【化2】

[式中、RはH−であり;
はC−Cアルキル、フェニル−(CH)−、het−SONH−(CH)−、シクロプロピル−(CH)−、F−フェニル−(CH)−、het−SONH−フェニル−、またはFC−(CH−であり;あるいはRとRとは一緒になって二重結合となり;
はR−(CH)−CH(R)−、HC−[O(CH]−CH−、C−Cアルキル、フェニル−(CH−、het−SONH−(CH)−、(HOCHC−NH−C(O)−NH−(CH−、(HOC)(HN)CH−(CH−C(O)−NH−(CH−、ピペラジン−1−イル−C(O)−NH−(CH)、HOS(CH)−N(CH)−C(O)−(CH)−C(O)−NH−(CH)−、シクロプロピル−(CH)−、F−フェニル−(CH)−、het−SONH−フェニル、またはFC−(CH)−であり;
nは0、1または2であり;
はフェニル、het、シクロプロピル、HC−[O(CH)]−、het−SONH−、Br−、N−、またはHOS(CH)−N(CH)−C(O)−(CH)−C(O)−NH−であり;
は−CH−CHまたは−CH−シクロプロピルであり;
はシクロプロピル、CH−CH−、またはt−ブチルであり;
は−NRSO−het、所望によりRで置換されていてもよい−NRSO−フェニル、所望によりRで置換されていてもよい−CH−SO−フェニル、または−CH−SO−hetであり;
は−H、または−CHであり;
は−CN、−F、−OH、または−NOであり;
10はH−、CHO−、またはCHO−[(CH)O]−であり;
11はシクロプロピル、または−CH−CH(CH)であり;
12は所望によりR15で置換されていてもよい−NR14SO−フェニル、−NR14SO−het、所望によりR15で置換されていてもよい−CH−SO−フェニル、または−CH−SO−hetであり;
13は−H、−(CH)−CH、−CH−シクロプロピル、または−CH−フェニルであり;
14は−H、または−CHであり;
15は−CN、−F、−CH、−COOH、または−OHであり;
ここにhetは窒素、酸素および硫黄よりなる群から選択される1ないし3個のヘテロ原子を含む5−、6−または−7員の飽和または不飽和環であり;これには、所望により1個または2個の−CH、−CN、−C(O)OC、または−OHで置換されていてもよい、ベンゼン環またはもう1つの複素環に前記複素環式環のいずれかが縮合したいずれの二環式基も含まれる]
またはそれらの医薬上許容される塩のいずれにもなり得ない
ことを特徴とする医薬組成物。

【公開番号】特開2010−70562(P2010−70562A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−291821(P2009−291821)
【出願日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【分割の表示】特願平11−510974の分割
【原出願日】平成10年7月27日(1998.7.27)
【出願人】(506417050)ベーリンガー・インゲルハイム・インテルナツィオナール・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング (5)
【氏名又は名称原語表記】Boehringer Ingelheim International GmbH
【Fターム(参考)】