説明

親環境植生ブロック及びこれを用いた施工方法

【課題】 本発明は、前面と背面とを貫通する植生孔を通じて広い植生空間を確保することができるだけでなく、噛合い結合を通じた組立式組積により擁壁の堅固性及び施工の容易性を格段に向上させることができる親環境植生ブロック及びこれを用いた施工方法を提供するためのものである。
【解決手段】 本発明は、矩形の前面Aと背面Bとが備えられて所定の厚さで形成され、前面Aと背面Bとを貫通して形成された多角形または円形の植生孔10と、下面Dに形成された第1突出部22と、第1突出部22と対応するように上面Cに形成された第1溝部32と、左右側面E、Fのうちのいずれか一面に形成された第2突出部24と、第2突出部24と対応するように前記左右側面E、Fのうちの他面に形成された第2溝部34とが備えられたことを特徴とする親環境植生ブロックが提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、擁壁を築造することに使われるブロックに関し、より詳しくは、前面と背面とを貫通する植生孔を通じて広い植生空間が確保できるだけでなく、噛合い結合を通じた組立式組積により道路の法面や河川、江、湖水など、斜面の堅固性及び施工の容易性を格段に向上させることができる親環境植生ブロック及びこれを用いた施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
擁壁は、各種工事によって形成された切土面、盛土面のような斜面の崩壊を防止するための壁体構造物である。擁壁はその築造形態に従いコンクリートを打設して形成させる一体式擁壁と、石材やコンクリートブロックを用いた組積式擁壁とに分けられる。
【0003】
一方、環境保護及び生態系復元に対する関心が増加するにつれて、擁壁の前面に草・木本類が植生できるようにした親環境技術が導入されている。このような親環境技術は、一体式擁壁の場合、その構造上、別途の植生空間を設けることが困難であるので、主に組積式擁壁に使われる植生ブロックが開発されている実状である。
【0004】
このような植生ブロックの従来技術として、大韓民国登録特許第0914394号、第0391834号、第0515136号などがある。このような従来の植生ブロックは共通的にブロックの内側前方部に植生空間が備えられ、ブロックを階段式で積層することで、植物が植生空間の土壌で生育するようになる構造を持っている。
【0005】
しかしながら、従来技術に従う植生ブロックは、次のような問題点がある。
【0006】
第1に、植生空間が擁壁の背面の土壌から孤立される構造であるため、植物の生育環境が劣っている問題点がある。即ち、植生空間が狭いだけでなく、植物の根の成長が制限されて植物がよく育たれなくて枯死しやすい。
【0007】
第2に、石材やコンクリートブロックを用いて、河岸、海岸、用水路などに擁壁構造物を設置する場合、水草の生育を妨害して水辺の生態系を破壊し、水質を悪化させる問題点があるが、従来の植生ブロックはこれを解決できない。
【0008】
第3に、従来の植生ブロックはブロック間の締結は考慮されず、単純積層されるので、擁壁が堅くないという問題点がある。また、植物の根が育つにつれて擁壁が強化される2次的な効果が期待できない。したがって、擁壁の施工後、背面で発生する土圧、水圧などにより擁壁が捩れるとか、膨らみ現象が発生するようになり、甚だしい場合、擁壁が崩れるようになる。このために、補強土工法を適用したり、別の排水構造を設置するようになるが、これは擁壁の施工手続きが複雑になるだけでなく、施工コストが格段に増加する要因となっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記のような問題を解決するためのものであって、本発明の目的は、植生空間を十分確保することができ、植物の生育環境が大幅改善できる親環境植生ブロック及びこれを用いた施工方法を提供することにある。
【0010】
本発明の他の目的は、河岸、海岸、用水路などへの適用時、水辺生態系の保存及び復元が可能な親環境植生ブロック及びこれを用いた施工方法を提供することにある。
【0011】
本発明の更に他の目的は、堅い擁壁を築造することができ、容易な施工手続きと施工コストを低減することができる親環境植生ブロック及びこれを用いた施工方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記のような本発明の目的は、四角形の前面Aと背面Bとが備えられて所定の厚さで形成され、そして、前面Aと背面Bとを貫通して形成された多角形または円形の植生孔10と、下面Dに形成された第1突出部22と、第1突出部22と対応するように上面Cに形成された第1溝部32と、左右側面E、Fのうちのいずれか一面に形成された第2突出部24と、第2突出部24と対応するように左右側面E、Fのうちの他面に形成された第2溝部34とが備えられたことを特徴とする親環境植生ブロックにより達成できる。
【0013】
そして、植生孔10の先端に第1植生網40a、40a′が固定設置される。この際、先端の縁に突出されたり段差付けて形成された安着面12、12′が備えられ、第1植生網40a、40a′が安着面12、12′にボルト結合されることが好ましい。そして、植生孔10の後段に第2植生網40bが更に固定設置できる。
【0014】
そして、前面Aは凹または凸状の模様50が更に形成できる。
【0015】
そして、本発明に従う植生ブロックは、植生孔10が多数備えられて格子または放射状で配列できる。
【0016】
また、四角形の前面Aと背面Bとが備えられて所定の厚さで形成され、前面Aと背面Bとを貫通して形成された多角形または円形の植生孔10を備えた第1ブロック60と第2ブロック70とからなり、そして第1ブロック60は、上面C、下面D、及び左側面Eに、第3乃至第5突出部61、62、63が各々形成され、右側面Fには第3溝部65が形成され、第2ブロック70は、第3乃至第5突出部61、62、63と各々対応する第4乃至第6溝部71、72、73が下面D、上面C、及び右側面Fに各々形成され、第3溝部65と対応する第6突出部75が左側面Eに形成されたことを特徴とする親環境植生ブロックによっても達成できる。
【0017】
一方、上記のような本発明の目的は、植生ブロック1の第1突出部22または第1溝部32と対応する結合溝231または結合突起233、233′が備えられた水平側基壇部210と、上記植生ブロック1の第2突出部24または第2溝部34と対応する結合溝231または結合突起233、233′が備えられ、水平側基壇部210と所定の傾斜をなして平行に形成される複数の垂直側基壇部220を施工対象の地盤に形成させる第1ステップ(S100)と、多数の植生ブロック1を水平側基壇部210と垂直側基壇部220に噛合い結合させて1段組積する第2ステップ(S200)と、裏埋材300を盛土し、固める第3ステップ(S300)と、第2及び第3ステップ(S200、S300)と同一な方式の擁壁築造過程を反復遂行する第4ステップ(S400)と、を含むことを特徴とする親環境植生ブロックを用いた施工方法によっても達成できる。
【0018】
そして、水平側基壇部210及び垂直側基壇部220は、結合溝231または結合突起233、233′形態を持つブロック固定用金属部材230a、230b、230cが固定される。
【0019】
そして、第3ステップ(S300)は、植生ブロック1の植生孔10に植物の種や根が含まれた植生土を具備させるステップを更に含むことができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明に従う親環境植生ブロック及びこれを用いた施工方法は、前面と背面とを貫通する植生孔を通じて充分の植生空間を確保することができ、植物の根が擁壁の背面土壌まで成長できるので、植物の生長が促進される利点がある。そして、植物の根の成長により擁壁が次第に強化される利点がある。そして、植生網により植生孔の内部の土壌が過度に流失されることを防止することができ、植生孔を通じて擁壁の背面の雨水または地下水が自然排水されて擁壁の安定性をより増進させることができる。
【0021】
また、本発明の植生ブロックは、河岸、海岸、用水路などに適用可能な利点がある。即ち、植生孔で水草が植生できるようになって、水辺生態系の保存及び復元が可能であり、これを通じて水質改善をなすことができる。
【0022】
また、本発明は擁壁を組立式で簡便に築造できる利点がある。そして、ブロックが上下左右に噛合い結合されて擁壁の耐久性及び寿命が格段に向上し、施工手続きが単純であって、施工コストが低減される利点がある。
【0023】
たとえ本発明が前述した好ましい実施形態と関連して説明されたが、本発明の要旨と範囲から外れることなく、他の多様な修正及び変形が可能であることは当業者であれば容易に認識することができ、このような変更及び修正が全て添付された特許請求範囲に属することは自明である。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の第1実施形態に従う親環境植生ブロックを示す分解斜視図である。
【図2】図1の結合状態を示す植生ブロックの底面斜視図である。
【図3】第1実施形態に従う植生ブロックの変形例を示す分解斜視図である。
【図4】第1実施形態に従う植生ブロックの他の変形例を示す側断面図である。
【図5a】第1実施形態に従う植生ブロックの組積例を示す図である。
【図5b】第1実施形態に従う植生ブロックの他の組積例を示す図である。
【図6】本発明の第2実施形態に従う親環境植生ブロックを示す斜視図である。
【図7a】本発明の第3実施形態に従う親環境植生ブロックを示す斜視図である。
【図7b】第3実施形態に従う植生ブロックの組積例を示す図である。
【図8】本発明に従う親環境植生ブロックを用いた施工方法を示すフローチャートである。
【図9】本発明に従う植生ブロックの施工方法を説明するための概略的な鳥瞰図である。
【図10】本発明に従う親環境植生ブロックを用いて施工された河川や用水路を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の好ましい実施形態を添付した図面を参照しつつ詳細に説明する。各図面の構成要素に参照符号を付加するに当たって、同一な構成要素に対しては、たとえ他の図面上に表示されてもできる限り同一な符号を使用する。
【0026】
(第1実施形態)
まず、添付された図面を参照しつつ本発明の第1実施形態に従う親環境植生ブロックの構成について説明する。
【0027】
図1は本発明の第1実施形態に従う親環境植生ブロックを示す分解斜視図であり、図2は図1の結合状態を示す植生ブロックの底面斜視図である。第1実施形態に従う植生ブロックは、図1及び図2に示すように、全体的に前面A、背面B、上面C、下面D、左側面E、及び右側面Fを備えた直六面体形状を持つ。そして、植生ブロックの前面Aと背面Bとの間に厚さが前面Aの横または縦の長さより小さく形成されてパネル形態で製作されることが好ましい。また、植生ブロックはコンクリート材質であって、築造しようとする擁壁の高さ、勾配、地盤の与件、施工性などを考慮して、横または縦の長さを略30〜150cmに小型化または大型化製作が可能である。
【0028】
一方、図1に示すように、植生ブロックの前面Aに模様50が凹んで形成されることができ、これとは異なり、凸な模様が形成されることもできる。また、植生ブロックの前面Aが自然石のような質感及び色彩を有するようにすることができる。
【0029】
本実施形態に従う植生ブロックは、図1及び図2に示すように、植生孔10、第1及び第2突出部22、24、第1及び第2溝部32、34が形成されており、植生孔10には第1植生網40aが備えられる。
【0030】
植生孔10は植生空間及び排水路を提供する役目をする。本実施形態によれば、植生孔10は矩形の垂直断面を有し、前面Aと背面Bとを貫通して1つが形成される。植生孔10は、ブロックの強度、植生空間の広さ、排水能力などを考慮してサイズを異にして形成できる。また、植生孔10の内部には植物の生育のための土壌が詰められるようになる。この際、有機物質が多量含まれた植生土を詰めることによって、植物の生育を増進させることができる。そして、擁壁が施工された以後に、草・木本類を選択して植生孔10の土壌に植栽することができ、草・木本類の種や根を含有させることによって、自然芽生えするようにすることができる。
【0031】
第1突出部22と第1溝部32は、隣り合う上下ブロック間の噛合い結合のために互いに対応する形状を有する。本実施形態によれば、第1突出部22と第1溝部32が植生ブロックの下面Dと上面Cに各々形成される。そして、本実施形態によれば、第1突出部22と第1溝部32は、下面Dと上面Cの長手方向に沿って直線形態で長く形成される。これは、成形製作の容易性と強度の向上、そしてブロック間の結合力の強化のためのものである。
【0032】
第2突出部24と第2溝部34は、隣り合う左右ブロック間の噛合い結合のために、互いに対応する形状を有する。本実施形態によれば、第2突出部24と第2溝部34が植生ブロックの左側面Eと右側面Fに各々形成される。これとは異なり、左側面Eと右側面Fの位置を異にして形成されることもできる。そして、第2突出部24と第2溝部34も左側面Eと右側面Fの長手方向に沿って直線形態で長く形成される。
【0033】
第1植生網40aは、耐食性に優れる合成繊維、金属などで製作される。この際、網の間隔は土壌の流失を防止すると共に、植物の成長に邪魔にならないように一定に形成されることが好ましい。本実施形態によれば、第1植生網40aは、植生孔10の先端に固定設置されて植生孔10の内部の土壌が雨水などにより前方に過度に流失することを防止するようになる。一方、木本類のように葉脈及び根の大きい植物が植生孔10に植栽される場合には、第1植生網40aが備えられないことがある。その理由は、木本植物の深く、かつ大きい根により土壌の流失を十分に防止することができ、木本植物の生育を妨害しないようにするためのものである。
【0034】
本実施形態によれば、第1植生網40aの容易な設置のために、図1及び図2に示すように、植生孔10の先端側の縁が突出延長形成されることによって、植生孔10の内部に安着面12が備えられる。そして、安着面12には多数のボルト14が固定設置される。そして、第1植生網40aは植生孔10の後方側から引込させ、矩形の固定片42とナット43とを用いて第1植生網40aを固定させるようになる。第1植生網40aの固定方法はこれに限定されず、フック結合と方式が適用されることもできる。
【0035】
図3は、第1実施形態に従う植生ブロックの変形例を示す分解斜視図である。一方、本実施形態に従う植生ブロックは、図3に示すように、植生孔10の垂直断面が円形でありうる。そして、植生孔10の先端側の縁が段差付けて形成された安着面12′が備えられることができる。この際、安着面12′には多数のボルト14が備えられ、円形の固定片42′とナット43とを用いて植生孔10の前方側で円形の第1植生網40aを固定させることができる。本変形例を通じて植生孔10を円形または多角形で形成することによって、擁壁の景観イメージをより多様に創出することができる。
【0036】
図4は、第1実施形態に従う植生ブロックの他の変形例を示す側断面図である。また、本実施形態に従う植生ブロックは、図4に示すように、植生孔10の後段側の縁が段差付けて形成された安着面12″を更に備え、第2植生網40bが追加的に固定設置できる。第2植生網40bは背面Bの土壌が植生孔10に流入することを防止して擁壁の安定化をもたらす役目をするだけでなく、植生孔10の内部に植物の種や根を含む植生土を直接積載して組積することができる。特に、河岸や海岸、用水路など、水生植物の安定した植生を図ることができる。
【0037】
図5aは、第1実施形態に従う植生ブロックの組積例を示す図である。本発明に従う植生ブロックは、図5aに示すように、植生ブロック1を別の接着剤無しで、便利に格子形態で組立てて組積することができる。この際、それぞれの植生ブロック1は、上下左右の隣り合う植生ブロックに互いに噛み合い結合されることによって、擁壁の強度が向上する。また、植生ブロック1は同一平面上に配列され、植生ブロック1に形成された模様50により築造された擁壁の景観イメージを多様に創出できる。また、植生孔10に植栽される植物の種類または色彩を適切に選択して模様50と調和させることによって、擁壁の景観イメージを多様に創出できる。たとえ本図面では一貫した形態の規則的模様50が形成されて表現されているが、この際、自然石のような不規則的なデコボコな形態の模様を形成して、より親環境的な感じの擁壁を築造することができることは言うまでもない。
【0038】
図5bは、第1実施形態に従う植生ブロックの他の組積例を示す図である。本発明に従う植生ブロックは、図5bに示すように、植生ブロック1を上下交互に組立てて組積することができる。そして、半切れの補助ブロック2を用いて仕上作業が可能である。このような組積方式により擁壁をより堅く築造することができる。
【0039】
(第2実施形態)
以下、図6を参照しつつ本発明の第2実施形態に従う親環境植生ブロックについて説明する。
【0040】
図6は、本発明の第2実施形態に従う親環境植生ブロックを示す斜視図である。第2実施形態に従う植生ブロックは、図6に示すように、第1実施形態に比べてサイズの小さい植生孔10″は多数備えられて多孔性ブロックを構成することに特徴がある。本実施形態によれば、矩形の植生孔10″は格子形態で規則的に配列される。これとは異なり、植生孔10″は円形であることがあり、植生孔10″が放射状で配列されることもでき、不規則的に配列されることもできることは言うまでもない。本実施形態によれば、多数の植生孔10″を通じて草本類のように、比較的小さな植物が植生できる。そして、植生孔10″は比較的狭く形成されるため、第1実施形態の植生網40無しで、植生孔10″の内部の土壌が流失されることが防止できる。
【0041】
(第3実施形態)
以下、図7a及び図7bを参照しつつ本発明の第3実施形態に従う親環境植生ブロックについて説明する。
【0042】
図7aは、本発明の第3実施形態に従う親環境植生ブロックを示す斜視図である。第3実施形態に従う植生ブロックは、図7aに示すように、第1ブロック60と第2ブロック70とからなることを特徴とする。第1及び第2ブロック60、70は、全体的に前面A、背面B、上面C、下面D、左側面E、及び右側面Fを備えた直六面体形状を持つ。そして、前面Aと背面Bとの間に厚さが前面Aの横または縦の長さより小さく形成されてパネル形態で製作される。第1及び第2ブロック60、70の植生孔10、植生網40、及び施工方法に関する事項は第1及び第2実施形態と重複されるので、詳細な説明は省略する。
【0043】
第1ブロック60は、第2ブロック70が上下左右で噛合い結合できるように、上面C、下面D、及び左側面Eに所定形状の第3乃至第5突出部61、62、63が各々形成され、右側面Fには所定形状の第3溝部65が形成される。本実施形態によれば、第3乃至第5突出部61、62、63と第3溝部65が各面の長手方向に沿って直線形態で長く形成される。
【0044】
第2ブロック70は、第1ブロック60の第3乃至第5突出部61、62、63と各々対応する形状を有する第4乃至第6溝部71、72、73が下面D、上面C、右側面(F)に各々形成される。そして、第1ブロック60の第3溝部65と対応する形状を有する第6突出部75が左側面Eに形成される。これによって、第2ブロック70は第1ブロック60が上下左右で噛合い結合できる。
【0045】
図7bは、第3実施形態に従う植生ブロックの組積例を示す図である。第3実施形態に従う植生ブロックは、図7bに示すように、第1ブロック60と第2ブロック70とが互いに上下左右で噛合い結合されて格子形態で組積される。第3実施形態に従う植生ブロックは、第1ブロック60と第2ブロック70の突出部61、62、63、75、及び溝部71、72、73、65が多方向に結合される構造であるので、第1及び第2実施形態に比べてより堅い擁壁の築造が可能である。
【0046】
(植生ブロックの施工方法)
以下、添付された図面を参照しつつ親環境植生ブロックを用いた施工方法について説明する。
【0047】
図8は本発明に従う親環境植生ブロックを用いた施工方法を示すフローチャートであり、図9は本発明に従う植生ブロックの施工方法を説明するための概略的な鳥瞰図である。本施工方法は、陸上の各種斜面、河岸、護岸、海岸などに擁壁構造物を築造することに適用できる。また、用水路の設置にも適用できる。本発明に従う施工方法を適用する前に、施工対象の地盤の与件、降水量などを考慮して、擁壁の築造高さ、勾配、植生ブロックのサイズ、植生孔の形態及びサイズなどを計画しなければならない。そして、図7に示すような4ステップの擁壁施工手続きを経るようになる。
【0048】
第1ステップ(S100)は、図8に示すように、施工対象の地盤にコンクリート打設して水平側基壇部210と多数の垂直側基壇部220を形成させるようになる。この際、地盤が弱い場合には下地コンクリート層100を先に形成させなければならない。一方、水平側基壇部210は地盤に平行に設置され、多数の垂直側基壇部220は計画された間隔で施工しようとする擁壁の勾配(α)に従い水平側基壇部210と一定な角(α)をなすように設置される。この際、本発明に従う施工方法は擁壁の勾配(α)を略0〜90°にすることができる。また、垂直側基壇部220は階段で造成して活用することも可能である。
【0049】
一方、水平側基壇部210は植生ブロック1の第1突出部22と対応する結合溝231が備えられ、垂直側基壇部220は植生ブロック1の第2突出部24または第2溝部34と対応する結合溝231または結合突起233が備えられる。この際、本実施形態によれば、図8に示すように、結合溝231が形成されたブロック固定用金属部材230aと結合突起233が形成されたブロック固定用金属部材230bが固定アンカー234により水平側基壇部210と垂直側基壇部220に固定設置される。これによって、水平側基壇部210と垂直側基壇部220の耐久性が向上し、擁壁をより堅く築造できる。そして、図8に示すように、所定角(β)を持つ擁壁の隅部を築造する場合には、所定角度(β)だけ傾いた結合突起233′が形成されたブロック固定用金属部材230cを垂直側基壇部220に固定設置して擁壁の隅部を容易に築造することができる。
【0050】
第2ステップ(S200)は、図8に示すように、多数の植生ブロック1を水平側基壇部210の結合溝231に噛合い結合させて1段組積するようになる。この際、植生ブロック1は互いに左右噛合い結合するようになる。そして、左右両端に位置した植生ブロック1は、水平側基壇部210の結合溝231と結合突起233に各々噛合い結合される。これによって堅い擁壁を簡便に施工することができる。
【0051】
第3ステップ(S300)は、1段組積された植生ブロック1の背面に裏埋材300を盛土して固め作業をするようになる。この際、裏埋材300を盛土する前に植生ブロック1の植生孔10に草・木本類の種や根が含まれた植生土を具備させることができる。また、裏埋材300のうち、植生ブロック1と接する部位には透水性の良い砂利、砂などを詰めることによって、擁壁の排水能力を強化できる。即ち、裏埋材300に流入した雨水、地下水などが植生ブロック1の植生孔10を通じて速く排出されることによって、擁壁の安定化をもたらして寿命が格段に向上することができる。
【0052】
第4ステップ(S400)は、前述した第2ステップ(S200)と第3ステップ(S300)と同一な方式の擁壁築造過程を順次に反復遂行するようになる。一方、本発明の施工方法では擁壁をより強化するために補強土工法が適用できる。即ち、植生ブロック1を1ステップずつ築造する度にジオテキスタイル、ジオグリッドのような土木繊維(図示せず)を植生ブロック1の背面に固定し、裏埋材300を土木繊維(図示せず)に盛土することによってなされる。
【0053】
以上、説明したように、本発明に従う親環境植生ブロックを用いた施工方法は、水平側基壇部210と垂直側基壇部220とを用いて多数の植生ブロック1を平面形態で組立施工することができ、植生ブロック1同士間の結合力が強いため、斜面の勾配(α)が殆ど垂直に近くても堅い擁壁を施工することができる。
【0054】
(適用例)
図10は、本発明に従う親環境植生ブロックを用いて施工された河川や用水路を示す概略的な断面図である。前述した施工方法を用いて、図9に示すように、河川や用水路が形成できる。即ち、一対で設置される水平側基壇部210aの間に植生ブロック1で底部を形成し、水平側基壇部210aと多数の垂直側基壇部(図示せず)とを用いて用水路の左右側面に擁壁構造物を設置するようになる。そして、天端には天端部支持台210bにより仕上作業をするようになる。
【0055】
このように施工された河川や用水路は、植生ブロック1の植生孔10に植物が生育できる植生空間が設けられる。この際、植生孔10で植生する植物の根は、河川や用水路の底と左右側背面の土壌により成長できる。これによって、擁壁が築造された以後に植物の根が徐々に成長するにつれて、擁壁が次第に強化される効果が期待できる。
【0056】
また、水が流れる底部では水生植物400が植生孔10で植生できるようになって、水質浄化の効果をもたらすようになる。だけでなく、水草の周囲に各種魚類と昆虫の生息処が設けられて水辺生態系を保存及び復元できるようになる。
【符号の説明】
【0057】
A 前面
B 背面
C 上面
D 下面
E 左側面
F 右側面
10、10′、10′ 植生孔
12、12′、 12″ 安着面
14 ボルト
22 第1突出部
24 第2突出部
32 第1溝部
34 第2溝部
40a、40a′ 第1植生網
40b 第2植生網
42、42′ 固定片
43 ナット
50 模様
60 第1ブロック
61 第3突出部
62 第4突出部
63 第5突出部
65 第3溝部
70 第2ブロック
71 第4溝部
72 第5溝部
73 第6溝部
75 第6突出部
1 植生ブロック
2 補助ブロック
100 下地コンクリート層
210 水平側基壇部
220 垂直側基壇部
230a、230b、230c ブロック固定用金属部材
231 結合溝
233、233′ 結合突起
234 固定アンカー
300 裏埋材
400 水生植物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
斜面、河岸、海岸、用水路などの補強及び緑化のために使われる植生ブロックであって、
四角形の前面Aと背面Bとが備えられて所定の厚さで形成され、
前記前面Aと背面Bとを貫通して形成された多角形または円形の植生孔10と、
下面Dに形成された第1突出部22と、
前記第1突出部22と対応するように上面Cに形成された第1溝部32と、
左右側面E、Fのうちのいずれか一面に形成された第2突出部24と、
前記第2突出部24と対応するように前記左右側面E、Fのうちの他面に形成された第2溝部34が備えられたことを特徴とする親環境植生ブロック。
【請求項2】
前記植生孔10の先端に第1植生網40a、40a′が固定設置されたことを特徴とする請求項1に記載の親環境植生ブロック。
【請求項3】
前記先端の縁に突出されたり段差付けて形成された安着面12、12′が備えられ、
前記第1植生網40a、40a′が前記安着面12、12′にボルト結合されたことを特徴とする請求項2に記載の親環境植生ブロック。
【請求項4】
前記植生孔10の後段に第2植生網40bが固定設置されたことを特徴とする請求項2に記載の親環境植生ブロック。
【請求項5】
前記前面Aは凹または凸状の模様50が更に形成されたことを特徴とする請求項1に記載の親環境植生ブロック。
【請求項6】
前記植生孔10は多数備えられて格子または放射状で配列されたことを特徴とする請求項1に記載の親環境植生ブロック。
【請求項7】
斜面、河岸、海岸、用水路などの補強及び緑化のために使われる植生ブロックであって、
四角形の前面Aと背面Bとが備えられて所定の厚さで形成され、前記前面Aと背面Bとを貫通して形成された多角形または円形の植生孔10を備えた第1ブロック60と第2ブロック70とからなり、
前記第1ブロック60は、上面C、下面D、及び左側面Eに、第3乃至第5突出部61、62、63が各々形成され、右側面(F)には第3溝部65が形成され、
前記第2ブロック70は、前記第3乃至第5突出部61、62、63と各々対応する第4乃至第6溝部71、72、73が下面D、上面C、及び右側面Fに各々形成され、前記第3溝部65と対応する第6突出部75が左側面Eに形成されたことを特徴とする親環境植生ブロック。
【請求項8】
請求項1乃至請求項6のうち、いずれか1つに従う植生ブロック1を用いて擁壁を施工する方法であって、
前記植生ブロック1の第1突出部22または第1溝部32と対応する結合溝231または結合突起233、233′が備えられた水平側基壇部210と、前記植生ブロック1の第2突出部24または第2溝部34と対応する結合溝231または結合突起233、233′が備えられ、前記水平側基壇部210と所定の傾斜をなして平行に形成される複数の垂直側基壇部220を施工対象の地盤に形成させる第1ステップ(S100)と、
多数の前記植生ブロック1を前記水平側基壇部210と前記垂直側基壇部220に噛合い結合させて1段組積する第2ステップ(S200)と、
裏埋材300を盛土し、固める第3ステップ(S300)と、
前記第2及び第3ステップ(S200、S300)と同一な方式の擁壁築造過程を反復遂行する第4ステップ(S400)と、
を含むことを特徴とする親環境植生ブロックを用いた施工方法。
【請求項9】
前記水平側基壇部210と前記垂直側基壇部220は、前記結合溝231または結合突起233、233′形態を有するブロック固定用金属部材230a、230b、230cが固定されたことを特徴とする請求項8に記載の親環境植生ブロックを用いた施工方法。
【請求項10】
前記第3ステップ(S300)は、前記植生ブロック1の植生孔10に植物の種や根が含まれた植生土を具備させるステップを更に含むことを特徴とする請求項8に記載の親環境植生ブロックを用いた施工方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5a】
image rotate

【図5b】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7a】
image rotate

【図7b】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2011−144614(P2011−144614A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−22348(P2010−22348)
【出願日】平成22年2月3日(2010.2.3)
【出願人】(510032221)
【出願人】(510031567)ヒスコン インコーポレーテッド (2)
【Fターム(参考)】