説明

角層細胞の画像の調整方法

【課題】肌状態の鑑別や化粧料の適切な選択に有用な情報を与えることができる、角層細胞の染色及び角層細胞標本作製の方法において、染色時間が短時間でありながら、過去の観察結果との比較可能な角層細胞の拡大画像の調整方法を提供する。
【解決手段】皮膚より採取された角層細胞標本を、炭素数1〜4のアルコールの含有量が50質量%以下である、染料、芳香族アルコール及び有機酸を含有する即時性の染色液で染色し、該角層細胞標本を拡大イメージ画像として取り込み、CGによって色調整を行って角層細胞の拡大画像を調整する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、肌状態の鑑別や化粧料の適切な選択に有用な情報を与えることができる、角層細胞の標本作製のための拡大画像の調整方法に関する。更に詳しくは、染色及び標本作製の工程において、洗浄及び/又は乾燥の工程を要しない角層細胞の染色及び角層細胞標本作製の方法における拡大画像の調整方法に関する。
【背景技術】
【0002】
肌の状態は、季節や体調等の変動要因や、化粧料の塗布等のお手入れによって時々刻々
変化するものであり、変化にあわせて適切な化粧料を選択することが、老化を防止したり、肌の性状を美しく保ったりする上で重要な因子となってくる。この為、肌の性状や状態を客観的且つ科学的に鑑別する方法が考案されている。この様な方法としては、例えば、顔などの肌より角層細胞を粘着テープや粘着ディスクで採取し、これを染色し、顕微鏡等を用いて、角層細胞の配列の規則性、角層細胞の形状、角層細胞の面積、剥がれ方、或いは角層細胞における核の有無等を指標に肌の状態などを鑑別することが例示できる。この様な鑑別においては、細胞質とその背景とのコントラストを明確にでき、細胞の変質や変性の問題もなく、個々の細胞の形状を精度良く鑑別でき、また、同時に染色に伴う所要時間、周辺の汚染或いは染色作業場所等の問題も少ないことが重要な課題であった。
【0003】
この様な技術を応用して、ブリリアントグリーンとゲンチアナバイオレットで角層細胞を染色し、これより角層細胞の形状を鑑別し、以て皮膚状態を推測し、適切な化粧料を選択する技術(例えば、特許文献1参照)、媒染剤としてタンニン酸等を使用することで皮膚角層細胞の面積や形態を精度良く判定できる染色方法(例えば、特許文献2参照)等が開示されている。特に、特許文献1の技術は、実際に実施されており、多くの角層細胞に関する基礎データが存している。さらに、水と混和可能な有機溶剤を含有する染色液を使用することで、染色の所要時間を短縮した明瞭な染色方法(例えば、特許文献1参照)も開示されている。しかし、いずれも染色時間そのものは短縮されたとはいえ、30分以上を要し、又、その為の装置、設備も要していた。即ち、どこでも、容易に、且つ瞬時に角層細胞を染色するような方法は求められているにもかかわらず、未だ得られていないのが現状といえる。
【0004】
この様な状況下、本発明者らは、炭素数1〜4のアルコールの含有量が50質量%以下において、染料、芳香族アルコール及び有機酸を含有することを特徴とする角層細胞用の染色液によって、どこでも、容易に、且つ瞬時に角層細胞をムラなく明瞭に即時的に染色でき、皮膚角層細胞評価方法のための染色液及び/又は染色方法を提供できることを見出し、特許出願を行っているが(特許文献3,4参照)、この方法により角層細胞の染色時間は極めて短時間に行えるようになったが、得られた角層細胞の拡大画像の印象が、ブリリアントグリーンとゲンチアナバイオレットの染色によるものとは異なり、角層細胞の鑑別にバラツキが生じ、過去の観察データの利用が出来にくい状況が存した。即ち、染色時間が短時間でありながら、過去の観察結果との比較可能な角層細胞の拡大画像の調整方法の開発が望まれていたと言える。
【0005】
【特許文献1】特開2003−202336号公報
【特許文献2】特開2000−125854号公報
【特許文献3】特願2004−266335号公報
【特許文献4】特願2005−257451号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明はこのような状況下為されたものであり、肌状態の鑑別や化粧料の適切な選択に有用な情報を与えることができる、角層細胞の染色及び角層細胞標本作製の方法において、染色時間が短時間でありながら、過去の観察結果との比較可能な角層細胞の拡大画像の調整方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このような状況を鑑みて、本発明者らは、角層細胞の染色及び角層細胞標本作製の方法において、染色時間が短時間でありながら、過去の観察結果との比較可能な角層細胞の拡大画像の調整方法を提供する技術を求めて、鋭意研究努力を重ねた結果、即時性の染色液を用いて染色し、角層細胞標本を拡大イメージ画像として取り込み、CGによって色調整を行う技術を見出し、発明を完成させるに至った。即ち、本発明は以下に示す通りである。
【0008】
(1)皮膚より採取された角層細胞標本を、炭素数1〜4のアルコールの含有量が50質量%以下である、角層細胞用の染色液に於いて、1)染料、2)芳香族アルコール及び3)有機酸を含有することを特徴とする、染色液で染色し、該角層細胞標本を拡大イメージ画像として取り込み、該画像をCGによって、色調整を行うことを特徴とする、角層細胞の拡大画像の調整方法。
(2)色の調整がゲンチアナバイオレットとブリリアントグリーンによる染色に近似させることを特徴とする、(1)に記載の角層細胞の拡大画像の調整方法。
(3)前記染色液による染色が、即時的に行われるものであって、染色液の封入によることを特徴とする、(1)又は(2)に記載の調整方法。
(4)該CGによる色調整が、次に示す工程を構成要素とすることを特徴とする、(1)〜(3)何れかに記載の角層細胞の拡大画像の調整方法。
(工程1)基準染色画像の色特性として、予め、標準調整用のサンプルとして調整された、ゲンチアナバイオレットとブリリアントグリーンによる基準染色画像の拡大イメージ画像の輝度及びRGBの4チャネルのヒストグラム特性を得る。
(工程2)皮膚より採取された角層細胞を染色した、角層細胞標本の拡大イメージ画像の輝度及びRGBの4チャネルのヒストグラム特性を得る。
(工程3)工程2と工程1との4チャネルのヒストグラム特性を比較し、差違のあるチャネルを選択する。
(工程4)工程3で得られたチャネル毎に、基準染色画像の方向にトーンカーブの補正を行う。
(工程5)補正されたトーンカーブに基づいて、CGにより色調整された、皮膚より採取された、角層細胞標本の拡大イメージ画像を得る。
(5)データとして蓄積されている、ゲンチアナバイオレットとブリリアントグリーンによって染色された角層細胞の拡大画像との比較用のものであることを特徴とする、(1)〜(4)何れかに記載の拡大画像の調整方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、角層細胞の染色及び角層細胞標本作製において、染色した角層細胞を洗浄及び/又は乾燥の工程を要することなく、取得済みのデータと同一の精度及び信頼性のある角層細胞の染色及び/又は標本作製を行うことができ、所要時間の短縮や作業のためのスペース・機材の節約などコストダウンを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明は、皮膚より採取された角層細胞標本を、即時性の染色液を用いて染色・封入しし、洗浄及び乾燥工程を省略し、該角層細胞標本を拡大イメージ画像として取り込み、CGによって色調整を行うことを特徴とする。以下に、更に詳細に説明を加える。
【0011】
皮膚より採取する角層細胞標本は、皮膚を粘着体でストリップして得ることができる。ここで、皮膚をストリップする粘着体としては、例えばセロハンテープなどの粘着透明テープやポリエチレンテレフタレート板に粘着剤を塗工した粘着ディスクなどが好ましく例示できる。この内、好ましいものは市販品が存在し、入手が極めて容易である、粘着テープである。かかる粘着体で肌をストリップして得た試料はそのまま染色させることもできるし、再度粘着体に接触させて転写させて使用することもできる。好ましい方法はそのまま使用する方法であり、これは手間が減らせるからである。本発明の染色法によれば、粘着剤やテープやディスクなどの粘着体の支持体部分にも影響を与えることがないため、採取した形態でそのまま染色することができる。
【0012】
前記の即時性の染色液とは、炭素数1〜4のアルコールの含有量が50質量%以下である、角層細胞用の染色液に於いて、1)染料、2)芳香族アルコール及び3)有機酸を含有することを特徴とし、角層細胞に対して速浸透性、速染色性及び速乾性を有している(特許文献4参照)。前記炭素数1〜4のアルコールとしては、溶剤特性を有するものであれば特段の限定無く使用することができ、例えば、メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−プロパノール及びブタノール等を好ましく例示できる。これらの内特に好ましいものは、エタノール及び2−プロパノールである。
【0013】
1)染料としては、酸性染料を用いることが、酸により強く固着できるので好ましく、かかる酸性染料としては、例えば、青色1号、紫色401号、緑色201号、黄色4号、黄色5号、黄色407号、赤色102号、橙色205号、ブリリアントグリーン、ヘマトキシリンの群から選ばれる1種又は2種以上が好ましく例示できる。2)芳香族アルコールとしては、例えば、ベンジルアルコール、フェニルエチルアルコール及びフェニルプロピルアルコール等を好ましく例示できる。また、3)有機酸としては、通常染色剤或いは緩衝剤として使用されているものであれば、特段の限定無く適用することができ、例えば、クエン酸、乳酸、酒石酸、リンゴ酸、シュウ酸、グリコール酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、タンニン酸等が好ましく例示できる。より好ましいものは、アルファヒドロキシ酸である、乳酸、グリコール酸、クエン酸、リンゴ酸及び酒石酸である。
【0014】
角層細胞標本を拡大イメージ画像として取り込む方法は、生物顕微鏡にて透過照明により撮影したものを利用することができる。このような生物顕微鏡としては、例えば、オリンパス(株)、(株)テックジャム、(株)ニコン等の生物顕微鏡が例示できる。
【0015】
CGによって色調整を行うには、コンピュータの汎用的画像解析のソフトウェアを用いればよい。このようなソフトウェアとして、例えば、三谷商事(株)のWinROOF(登録商標)、アドビシステムズ(株)のAdobePhotoshop(登録商標)、ナノシステム(株)のNanoHunter(登録商標)等が例示できる。
【0016】
CGによる色調整によって、ゲンチアナバイオレットとブリリアントグリーンによる染色に近似させることは、実際に工業的に実施され、多くの基礎データを存し、該データベースを利用できるという点で極めて好ましいことである。さらにCGによる色調整は、染色液による即時的染色と染色液の封入によって、これまでの染色及び標本作製における洗浄及び/又は乾燥の工程が省略され、時間、汚染及び作業場所等のコストダウン効果も得ることができる。このため、本発明において、ゲンチアナバイオレットとブリリアントグリーンによって染色された角層細胞の拡大画像と比較できるレベルを維持するため、後述するような拡大画像より得られるヒストグラム特性値及びCGによる色調整した拡大イメージ画像にて確認することが望ましい。
【0017】
前記のCGによる色調整の工程は、以下のように行うことができる。
(工程1)基準染色画像の色特性として、予め、標準調整用のサンプルとして調整された、ゲンチアナバイオレットとブリリアントグリーンによる基準染色画像の拡大イメージ画像(図1参照)の輝度及びRGBの4チャネルのヒストグラム特性を得る(図2参照)。
(工程2)皮膚より採取された角層細胞を染色した、角層細胞標本の拡大イメージ画像(図3参照)の輝度及びRGBの4チャネルのヒストグラム特性(図4参照)を得る。
(工程3)工程2と工程1との4チャネルのヒストグラム特性を比較し、差違のあるチャネルを選択する。
(工程4)工程3で得られたチャネル毎に、基準染色画像の方向にトーンカーブの補正を行う(図5参照)。
(工程5)補正されたトーンカーブに基づいて、CGにより色調整された、皮膚より採取された、角層細胞標本の拡大イメージ画像(図6参照)を得る。
【0018】
前記工程1においては、基準染色画像として何種類かのゲンチアナバイオレットとブリリアントグリーンによる染色画像の拡大イメージ画像(図1参照)について、その輝度及びRGBの4チャネルのヒストグラム特性(図2参照)のバラツキ範囲を把握することが望ましい。そのバラツキ範囲は、いずれも図2に示すヒストグラムと比較的似通ったパターンを示し、ヒストグラムパターンの代表例を基準化することによって、工程1〜5を容易に進められることが分る。
【0019】
前記工程2における、洗浄を行わない即時性の染色液による拡大イメージ画像(図3参照)は、基準染色画像であるゲンチアナバイオレットとブリリアントグリーンによる染色画像の拡大イメージ画像(図1参照)に比べて、角層細胞と背景との境界が不明瞭で角層細胞形状の鑑別が困難である。このことは、該画像の輝度及びRGBの4チャネルのヒストグラム特性(図4参照)が基準染色画像のヒストグラム特性(図2参照)と大きく異なることによるものであり、基準染色画像のヒストグラム特性に近似させることができれば同じ色調の画像が得られることが容易に推察される。
【0020】
したがって、前記工程3において、基準染色画像との差違のあるチャネルを選択し、工程4において、差違に応じてチャネル毎にトーンカーブの補正(図5参照)を行うことが望ましい。例えば、図5では、入力値と出力値との関係を示すトーンカーブにおいて、基準染色画像の方向への補正である、R値の出力値を大きく(明るく)すること等が、例示できる。
【0021】
かようなチャネル毎にトーンカーブの補正データを用いて、工程5において、CGにより色調整された角層細胞標本の拡大イメージ画像(図6参照)を得ることができる。該CG画像(図6参照)は、基準染色画像であるゲンチアナバイオレットとブリリアントグリーンによる染色画像の拡大イメージ画像(図1参照)と非常に近似したものであることが分かる。また、該CG画像の輝度及びRGBの4チャネルのヒストグラム特性も、基準染色画像のヒストグラム特性(図2参照)に近似することも確認された。
【0022】
以下に実施例を挙げて、本発明について更に説明を加えるが、本発明がこれらの実施例にのみ限定されないのは言うまでもない。
【実施例1】
【0023】
本発明の即時性の染色液による染色標本をCGで色調整した拡大イメージ画像の精度について、目視評価を行った。肌状態の異なる3名の女性の皮膚より採取された角層細胞標本3個について、即時性の染色液を用いて染色・封入した拡大イメージ画像を3枚を作製した(図7参照)。次に、即時性染色液で染色封入した5個の角層細胞標本を洗浄し、従来のゲンチアナバイオレットとブリリアントグリーンによる染色からの拡大イメージ画像3枚を作製した(図8参照)。先の即時性の染色液を用いて染色・封入からの拡大イメージ画像に対して、前述したCGによる色調整の工程に従って、拡大イメージ画像3枚を作製した(図9参照)。従来のゲンチアナバイオレットとブリリアントグリーンによる染色からの拡大イメージ画像とCGによる色調整からの拡大イメージ画像、各々3枚を対象に、角層細胞の配列規則性、面積及び剥がれ具合について、評価可能性を確認した結果、全く差違が感じられず、CGで色調整した拡大イメージ画像を代用できることが分かる。
【実施例2】
【0024】
本発明の鑑別対象である角層細胞の配列規則性、面積及び剥がれ具合について、従来のゲンチアナバイオレットとブリリアントグリーンによる染色方法からの拡大イメージ画像と、本願発明の即時性の染色液による染色標本をCGで色調整した拡大イメージ画像での測定精度を検討した。104名の女性被験者の頬部から、粘着テープストリッピングにより各々2個ずつ角層細胞を採取し、一方は従来のゲンチアナバイオレットとブリリアントグリーンによる染色方法(特許文献1参照)により、他方は本願発明の方法に従い、それぞれ角層細胞標本を作製した後に、拡大イメージ画像各々104枚を調達した。角層細胞面積は、三谷商事(株)のWinROOFにて計測し、角層細胞の配列規則性及び剥がれ具合は、標準化された評価方式に従い訓練された専門の3名の評価者が4段階及び5段階の目視評価を実施した。
【0025】
本願と従来法との拡大イメージ画像間の、角層細胞の配列規則性、面積及び剥がれ具合についての相関係数(r)は、各々0.964,0.980,0.971を示した。また、表1に、両者の配列規則性についての集計表を示す。両者の相関係数は、有意且つ高い相関関係であり、また、表1の結果からも、両者の角層細胞が近接部位から採取された別の標本であることを考慮すると、両者は極めて高い互換性を有していると考えられ、CGで色調整した拡大イメージ画像を代用できることが分かる。
【0026】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明によれば、角層細胞の染色及び角層細胞標本作製において、即時性の染色液による染色された角層細胞を洗浄及び/又は乾燥の工程を要することなく、取得済みのデータと同一の精度及び信頼性のある角層細胞の染色及び/又は標本作製を行うことができる。その結果、取得済みのデータベースの利用、所要時間の短縮や作業のためのスペース・機材の節約等コストダウンに加え、顧客に対し、例えば、店頭やデパートでの肌や美容のカウンセリングや化粧品選択に有用な情報を、機会損失なくスピーディに提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】従来のゲンチアナバイオレットとブリリアントグリーンによる染色画像の拡大イメージ画像を示す図である(図面代用写真)。
【図2】図1に示す染色画像の輝度及びRGBの4チャネルのヒストグラムを示す図である(図面代用写真)。
【図3】本願の即時性染色液による染色画像の拡大イメージ画像を示す図である(図面代用写真)。
【図4】図3に示す染色画像の輝度及びRGBの4チャネルのヒストグラムを示す図である(図面代用写真)。
【図5】図4のRチャネルの基準染色画像方向へのトーンカーブ補正を示す図である(図面代用写真)。
【図6】CGによる色調整された、即時性染色液による染色画像の拡大イメージ画像を示す図である(図面代用写真)。
【図7】従来のゲンチアナバイオレットとブリリアントグリーンによる染色及び封入剤の場合の拡大イメージ画像を示す図である(図面代用写真)。
【図8】本願の即時性染色液による染色画像の拡大イメージ画像を示す図である(図面代用写真)。
【図9】CGによる色調整された、即時性染色液による染色画像の拡大イメージ画像を示す図である(図面代用写真)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
皮膚より採取された角層細胞標本を、炭素数1〜4のアルコールの含有量が50質量%以下である、角層細胞用の染色液に於いて、1)染料、2)芳香族アルコール及び3)有機酸を含有することを特徴とする、染色液で染色し、該角層細胞標本を拡大イメージ画像として取り込み、該画像をCGによって、色調整を行うことを特徴とする、角層細胞の拡大画像の調整方法。
【請求項2】
色の調整がゲンチアナバイオレットとブリリアントグリーンによる染色に近似させることを特徴とする、請求項1に記載の角層細胞の拡大画像の調整方法。
【請求項3】
前記染色液による染色が、即時的に行われるものであって、染色液の封入によることを特徴とする、請求項1又は2に記載の調整方法。
【請求項4】
該CGによる色調整が、次に示す工程を構成要素とすることを特徴とする、請求項1〜3何れか1項に記載の角層細胞の拡大画像の調整方法。
(工程1)基準染色画像の色特性として、予め、標準調整用のサンプルとして調整された、ゲンチアナバイオレットとブリリアントグリーンによる基準染色画像の拡大イメージ画像の輝度及びRGBの4チャネルのヒストグラム特性を得る。
(工程2)皮膚より採取された角層細胞を染色した、角層細胞標本の拡大イメージ画像の輝度及びRGBの4チャネルのヒストグラム特性を得る。
(工程3)工程2と工程1との4チャネルのヒストグラム特性を比較し、差違のあるチャネルを選択する。
(工程4)工程3で得られたチャネル毎に、基準染色画像の方向にトーンカーブの補正を行う。
(工程5)補正されたトーンカーブに基づいて、CGにより色調整された、皮膚より採取された、角層細胞標本の拡大イメージ画像を得る。
【請求項5】
データとして蓄積されている、ゲンチアナバイオレットとブリリアントグリーンによって染色された角層細胞の拡大画像との比較用のものであることを特徴とする、請求項1〜4何れか1項に記載の拡大画像の調整方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−114076(P2007−114076A)
【公開日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−306536(P2005−306536)
【出願日】平成17年10月21日(2005.10.21)
【出願人】(000113470)ポーラ化成工業株式会社 (717)
【Fターム(参考)】