説明

角度の選択的な拡散体を備えた表示デバイス

提供されるものは、光学デバイスであり、表示源、光拡散体、結像光学モジュール、及び当該光学デバイスからの出力開口を含む光学デバイスであるが、その光拡散体が、その出力開口を通過する、その表示源から現れる光の一部分を増加させるための、光の角度の不均一な拡散体であるという点で特徴付けられる。また、光学ディスプレイの明るさを改善するための方法が、提供される。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学表示デバイス及び方法に、並びに、特に透視性の表示の用途用の表示システム及び方法に、関する。
【0002】
本発明を、例えば、双眼鏡、単眼境、及び双接眼境(biocular)のみならず、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)及びヘッドアップディスプレイ(HUD)、ハンドヘルドディスプレイのような、多数の個人的な結像の用途において有利に実施することができる。加えて、同じ配置を、会議室用の前方投射器及び後方投射TVスクリーンのような、像の投射システムに利用することができる。
【背景技術】
【0003】
小型の光学素子についての重要な用途の一つは、HMDであり、ここで、光学モジュールは、結像レンズ及びコンバイナーとしての両方で役に立つが、そこで二次元の表示は、無限へ結像されると共に観察者の目の中へ反射させられる。表示されるものである像は、陰極線管(CRT)、液晶ディスプレイ(LCD)、有機発光ダイオードアレイ(OLED)のような空間光変調器(SLM)若しくは走査源及び類似のデバイスのいずれかから直接的に、又は、リレーレンズ若しくは光ファイバーバンドルの手段によって間接的に、得られる。その表示は、コリメーティングレンズによって無限へ結像させられると共に非透視性及び透視性の用途についてそれぞれコンバイナーとして作用する反射させる又は部分的に反射させる表面の手段によって視聴者の目の中へ透過させられる素子(ピクセル)のアレイを含む。通常、HMDを設計する一方で、取り組まれるものである最も重要な問題点の一つは、その光学系の明るさである。この問題点は、透視性の用途について、その表示の明るさが外部の現場のものに匹敵するものであることになることが望まれる場合には、たいてい重要なことである。
【0004】
高い明るさについて努力することは、数個の異なる複雑な光学的解決手段に至ってきており、それらの全てが、一方では、多くの実際的な用途についてまだ十分に明るいものではなく、及び、他方では、製作の手順及び動作の条件に関する主要な欠点を経験する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、他の用途、HMDについての、非常に高い明るさの表示源の構造及び製作を容易にする。本発明は、照明源の利用可能な光の効率的な使用を可能にする、すなわち、相対的に低い電力消費量と一緒に相対的に高い明るさのシステムを、達成することができる。本発明によって提示された光学系は、それが、最先端技術を用いた実施よりも実質的に明るいものであると共にその上にそれを特殊化された構成を有する光学系にさえも容易に組み込むことができるので、特に好都合なものである。
【0006】
また、本発明は、改善されたHUDの構築を可能とするが、それは、大衆的なものになってきたと共に大抵の現代の作戦機におけるだけでなく民間の航空機においてもまた今は重要な役割を果たすが、そこでHUDシステムは、低い可視性の着陸操作のための、鍵となる構成部品になる。さらには、運転及び運行の仕事中の運転者を潜在的に援助するための自動車関係の用途におけるHUDの使用について非常に多くの提案があった。しかしながら、最先端技術を用いたHUDは、数個の顕著な欠点をもつ。現行の構造の全てのHUDは、投射されたデータが非常に明るい周囲の光とでさえも読み取り可能なものであることになることを保証するために、外部の現場の明るさをオフセットさせなければばらない表示源を要求する。結果として、現在のHUDシステムは、通常、複雑化した高い明るさの表示源を要求するが、それらは、必然的に、かさ高い、大きいものであると共に相当な設置の空間を要求するものであり、それを、設置について不便なものに及び時々使用することが安全でないものにさえする。
【0007】
本発明の重要な用途は、小型のHUDにおけるそれの実施に関するものであり、それは、前述した欠点を軽減する。本発明のHUDの構造において、そのコンバイナーは、高い明るさ及び小さい電力消費量を有する小型の表示源で照明される。よって、全体的な系は、非常に小型なものであると共に広い範囲の用途について多種多様な構成において容易に設置されることができる。
【0008】
本発明のさらなる用途は、携帯電話のような移動式のハンドヘルドの用途についての広いFOVを備えた小型のディスプレイを提供することである。今日の無線のインターネットアクセス市場において、十分な帯域幅が、最大限の映像伝送について利用可能である。その限定要因は、最終使用者のデバイス内のその表示の品質に残存する。その可動性の要件は、それらディスプレイの物理的な大きさを制限すると共に、その結果は、乏しい像の目視の質を備えた直接表示である。本発明は、大きい及び明るい虚像を備えた物理的に小型のディスプレイを可能とする。これは、それの実際的な実施についての主要な限定の一つを解決する、移動通信における、及び、特に移動式のインターネットアクセスについての、鍵となる特徴である。それによって、本発明は、携帯電話のような小さいハンドヘルドデバイス内におけるフルフォーマットのインターネットのページのディジタルコンテントの目視を可能とする。
【0009】
さらには、この発明は、また、前方及び後方投射デバイス用の照明の構築における使用にも適切なものである。ここで、その設計は、正確な整列の要件を備えた三個の複雑な二色性の偏光ビームスプリッターに取って代わる。
【0010】
全ての可能な用途について、本発明は、基体モードの構成を利用するためには、すなわち、少なくとも二個の主要な表面及び縁を有する光を透過させる基体、内部全反射によって結像モジュールからの光を前記の基体へと結合させるための光学的手段、並びに、視聴者の目へとその光を結合させるためのその基体に位置させられた少なくとも一個の部分的に反射させる表面を含む構成には、特に好都合なものである。基体モードの構成との本発明の組み合わせは、高い明るさ及び低い電力消費量を有する小型の及び便利な光学系に帰着する。
【0011】
従って、本発明の最も広い目的は、最先端技術を用いた虚像表示デバイスの欠点を軽減すること、並びに、改善された性能を有する光学表示システム及び方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明と一致して、提供されるものは、光学デバイスであり、表示源、光拡散体、結像光学モジュール、及びその光学デバイスからの出力開口を含む光学デバイスであるが、前記の光拡散体が、前記の出力開口を通過する、その表示源から現れる光の一部分を増加させるための、光の角度的に不均一な拡散体であるという点で特徴付けられる。
【0013】
本発明は、さらに、表示源及び出力開口を有する結像モジュールを含む光学表示システムを提供すること、並びに、前記の出力開口を通過する、その表示源から現れる光の一部分の光学的に増加させることを含む、光学ディスプレイの明るさを改善するための方法を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明は、それが、より十分に理解されることもあるように、以下の実例となる図を参照して、ある一定の好適な実施形態と関連して記述される。
【0015】
詳細な図に対する具体的な参照と共に、示された特定のものが、一例としての、且つ、本発明の好適な実施形態の実例となる議論の目的のためのみのものであり、且つ、最も有用なものであることが信じられるもの並びに本発明の原理及び概念的な側面の容易に理解される記述を提供するために与えられることが、強調される。この点について、本発明の根本的な理解に必要であるものよりも詳細に本発明の構造的な詳細を示すための試みは、なされない。図面と共に取られた記載は、当業者に対して、本発明の数個の形態が実際にどのように具体化されることがあるのかに関する方針として役に立つものである。
【0016】
図1は、光学表示システムを図解し、ここで、表示源4から現れる光波2が、その表示源における単一の点から現れている各々の光波が、有限の立体角の中へ発散させられるように、その表示源の不可欠な部分であることができる、光拡散体6によって拡散させられる。通常、ランベルトの光を拡散させる機構が、すなわち、その明るさが、それが目視される角度にかかわらず一定なものである拡散体が、好適なものである。そして、それら光波は、結像モジュール8によって、結像させられると共に、その光学系の出力開口10を照明する。直接的な目視の光学系用に、この出力開口を、それぞれ、双眼鏡又は単眼境用のヘッドモーションボックス又はアイモーションボックス、すなわち、その視聴者が同時に全体の像を見ることができる場所、として定義することができる。あるいは、その像を、光学的なコンバイナーを通じて視聴者の目の中へ投射させる、透視性の光学系用に、その出力開口は、そのコンバイナーの平面における外部の表面の能動的なエリアとして定義される。
【0017】
表示システムを設計する一方で、取り組まれるものである主要な問題点の一つは、視聴者によって見られるような、その像の明るさである。この問題点は、透視性の用途に利用可能なものであるが、ここで、その表示の明るさが、許容できるコントラスト比及びそのコンバイナーを通じた便利な観察を許容するために、外部の現場のものに匹敵するものであることになることが、望まれる。それら光学系の大部分について、その系の挿入の損失が小さいものであることを保証することは、可能なことではない。例えば、その外部視像の透過率が、η(ここでη<1)を超えるべきであると共に元来の外部の現場のいずれの色の変化が許容されないものであるシステムがある。従って、その像の明るさは、コンバイナーを通じて、1/(1−η)の因子だけ、減少する。原則として、高い明るさの表示源は、この困難を相殺させることができると共に、現実には、非常に高い明るさを生み出すことができる、CRT及び仮想網膜ディスプレイ(VRD)のような表示源がある。にもかかわらず、このアプローチは、必然的に、実際上の限定を有する。高い明るさの表示源が非常に効果であるだけでなく、それらは、また、関連した高い電流を備えた高い電力消費量を有する。その上、高い明るさのデバイスの大きさ、容積、及び製造費用は、通常、高いものである。さらには、このような最も高い明るさのディスプレイでさえも、達成することができる最大限の明るさに関して固有の限界に到達する。例として、VRDの明るさは、通常ダイオードレーザーについて100mW未満である、レーザー源の最大限の出力のパワーによって限定される。他の表示源4、例えば、現時点で小さいディスプレイ用の最も豊富な源である、透過型LCDに関して、後方照明の光のパワーは、その表示の解像度及びコントラスト比を減少させる、フレアーと同様の望まれない効果を回避するために、限定される。従って、他のアプローチは、その源からの利用可能な光の使用を最適化することが、要求される。
【0018】
その結果として、本発明は、入力のパワーを変化させることなく表示源の明るさを制御することによって、そのシステムの全体的な明るさを改善するための別の方法を提示する。図1に示すように、達成可能な明るさを最大にするために、その表示源から現れる光の大部分が、そのシステムの出力開口10の中へと結合することは、望ましいことである。図1が、その結像系の光学的なレイアウトを図解する一方で、図2は、そのレンズ14の前方の表面12における、出力開口10の中へと結合させられる、光のフットプリントを図解する。典型的には、大部分の表示源は、放出した光のほぼランベルトの分布を呈する。すなわち、その光のパワーは、本質的には、2πステラジアンの全体の角度的なスペクトルにわたって、均一に分布させられる。しかしながら、図1及び2に見ることができるように、その表示源の角度的な照明の分布の小さい部分のみが、現実には、出力開口10の中へと結合させられる。その表示の表面における各々の点源から、〜20−30°の光の小さい円錐のみが、前方の表面12におけるフットプリントを照明すると共に、従って、出力開口10の中へと結合させられる。その結果として、その明るさにおける顕著な増加を、その表示から現れる光が、この円錐の内側に集中させられるとすれば、達成することができる。
【0019】
その照明系におけるこのような方向性を達成するための一つの方法は、LCD用の角度の選択的な拡散体6、すなわち、不均一な拡散の機構を備えた拡散体6、すなわち、それの明るさが、それが目視される角度に依存する拡散体を使用することである。図3は、表示源4が、透過型LCDである、表示システムの例を図解する。光源16から現れる及びレンズ18によってコリメートされる光は、LCD表示源20を照明する。LCDからの像は、コリメートされると共に、光学構成部品22によって、出力開口24へ反射させられる。通常、従来の拡散体6は、その光を、全ての方向に均一に散乱させる。角度的に選択的な拡散体は、その表示源の表面における各々の点からの光が、要求された角度的な円錐へと発散するような方式で、光を広げることができる。この場合には、LCDディスプレイ20が照明するパワーは、同じものに残存する。20−30°の円錐については、各々の点についてのその光の発散する角度は、ランベルトの源の2πステラジアンに対して比較すると、50を超える因子だけ、減少させられ、従って、その光の明るさは、同じ因子だけ増加する。よって、そのシステムの明るさにおける顕著な改善を、最小限の構造的な及び製造の努力で、及び、そのシステムの電力消費量を増加させることなく、達成することができる。際立った精度でその散乱された光波の発散の角度を制御することができると共に同様にして従来の拡散体よりも高い光学的な効率を達成することができるホログラフィーの拡散体を活用することは、特に有利なものである。
【0020】
照明光源16の空間的なコヒーレンスは、通常、かなり限定される、すなわち、その光源は、点源ではなく、有限の大きさを有する。従来のLEDについての典型的な値は、1mmの程度のものである。結果として、コリメーティングレンズ18からの出力波は、純粋な平面波であり得ずに、むしろ、おおよそ10°の角度的な広がりを備えた一連の平面波である。よって、そのディスプレイの表面からの広がる円錐の要求される発散が、30°である必要があるとすれば、そのとき、選択的な拡散体6の要求される発散の角度は、20°の程度のものであるべきである。
【0021】
異なる実施形態を図4に示すが、それは、LCDについてだけでなく、他の表示源についてもまた、利用可能なものである。ここで、表示源16から16までのピクセルと整列させられる、マイクロレンズ18から18までのアレイの使用がなされる。各々のピクセルについて、マイクロレンズは、そのピクセルから所望の角度の円錐へと現れる発散するビームを狭くする。事実上は、この解決手段は、それらピクセルの充填率が、小さい数であるとき、又は、その表示源の達成可能な解像度が、現実には、要求される解像度よりも大きいものであるとき、より効率的なものである。見られるのは、光源16から16までのn個のピクセルのアレイであり、ここで、ピクセルの光源16から16までと整列させられるマイクロレンズ18から18までのアレイは、それらピクセルから現れる発散するビームを狭くする。この解決手段の改善されたバージョンは、各々のピクセルが要求される角度へと発散するようにするように、そのピクセルアレイにおけるピクセルの放出する分布関数を設計することである。例えば、OLEDディスプレイにおいては、通常、広い角度から目視することを許容するために、その単一のLEDの発散の角度を増加させるための努力がなされる。しかしながら、当該のディスプレイの用途について、そのシステムの明るさを最適化するために、この発散の角度を、20−30°の程度に、小さいものに保つことは、好都合なものである。
【0022】
図5は、図1に図解した光学系の表示源4及び第一のレンズ14の拡大図を図解する。見ることができるように、実は、〜30°の光の小さい円錐のみが、その射出瞳を照明するために、その表示源における各々の点から発散する、しかしながら、各々の円錐の伝播方向は、現実には異なるものである。その源の中心の点について、そのビームの主光線26が、その表示平面に対する法線であると共に円錐それ自体が、その法線のまわりに対称的なものである一方、その周辺の点の主光線28は、その法線に対して〜20°の角度で傾斜させられる。この場合には、その全体の表示源からの光線が、その射出瞳を照明することになることを保証するための三個の方法がある。このように、本発明は、その拡散の方向がその拡散体の表面における的確な場所に依存する角度の選択的な拡散体又はディスプレイのピクセルの配列のものとわずかに異なるものである周期を有するマイクロレンズアレイのいずれかによって具現化することができる、不均一な光拡散体6を利用する。このようなアレイの製作は、困難なことであると共に、このように、その全体の表示源から広がる光線を覆う発散の角度を有する拡散体6を利用する代替の方法が、提案される。この方法が、それを実施するのには、単純なものであるとはいえ、それが、そのシステムの明るさを減少させることは、明確なことである。上に与えられた例における要求される発散は、おおよそ70°であり、よって、その出力の明るさは、〜5.5の因子だけ、減少させられる。
【0023】
これらの困難を解決するための異なるアプローチは、その結像モジュールとしてテレセントリックレンズを利用すること、すなわち、その開口絞りが、その前側焦点に位置させられるレンズを使用することであるが、そのディスプレイの空間における光軸に対して平行なものである主光線に帰着する。通常、テレセントリックレンズからの像は、同じf数で作動する従来のレンズのものと同じ被写界深度上の焦点に残存する。テレセントリックレンズは、従来のレンズよりも物体距離のより大きい範囲にわたって正確な寸法の測定をなす、いずれの物体距離でも一定の倍率を提供する。この性質は、三次元の物体又はそのレンズからの距離が精確には知られてない物体を測るためには、重要なものである。
【0024】
図6は、図1に図解したシステムと比較されるような変更された表示システムを図解する。その主要な変更は、結像モジュール8の表面、及び特に表面12が、今、テレセントリック系を提供するように構造化されるというものである。見ることができるように、そのディスプレイの縁を起源とする主光線28のみならずその中央の波の主光線26の両方は、その表示平面に対する法線である。〜30°の均一な発散の角度は、全体のディスプレイの波が、その射出瞳を覆うことになることを保証するためには、十分なものである。これを、均一な角度の選択的な拡散体6を使用することによって、又は、マイクロレンズアレイで、その最適な明るさに到達することができるように、得ることができる。
【0025】
テレセントリック性の程度は、通常、その視野の角における主光線の角度によって測定される。機械の視覚において、標準的な商業的なレンズは、20度以上の主光線の角度を有することもあるが、ここでテレセントリックレンズは、0.5度未満の主光線の角度を有すると共にいくつかのテレセントリックレンズは、0.1度未満の主光線の角度を有することさえある。高い程度のテレセントリック性を有するレンズの製造は、複雑なものであり、それは、高い製造の努力に至る。しかしながら、本発明については、そのテレセントリック性は、確度の測定については、要求されないと共に、テレセントリック性の程度は、重大なものではない。従って、数度のテレセントリック性を備えた単純なレンズは、要求された最適な明るさを達成するためには、十分なものである。
【0026】
投射モジュールの入射瞳における要求される照明を達成するためのさらなる様式は、主として、LCDに基づく光学系に適用可能なものである。図3に見ることができるように、源6からの光は、レンズ18によって、平面波へと、又はむしろ一連の平面波へと、コリメートされる。しかしながら、その光源をコリメートする代わりに、それを、異なる焦平面へ集束させることは、可能なことである。図5に見ることができるように、その周辺の点の主光線28は、その法線に対して〜20°の角度に傾斜させられる。その表示源が10mmの側方の寸法を有することを仮定すると、そのディスプレイのピクセルかたの主光線は、全て、その表示源からおおよそ15mmに位置させられる仮想的な点へ収束する。従って、この点へ光16を収束させるためにレンズ18を利用することによって、その表示源からの要求される光の発散を達成することができる。この具体的な場合には、所望の照明を達成するために、レンズ18は、広い開口を有するべきであると共に、光源16及びレンズ14の両方が、非常に大きい開口数を有するべきである。しかしながら、その周辺の点の主光線を、その法線に対して、20°の代わりに、〜10°の角度に傾斜させるように、レンズ12の設計を変化させることによって、表示源20におけるその要求される光の発散を達成することは、可能なことである。よって、この場合には、より単純な照明デバイスを、複雑化したテレセントリックレンズに対する必要性無しに、構築することができる。実際には、本発明に従った光学系の構造は、その構造の及び製造の努力とその光学系の具体的な要件に従った指定された明るさとの間で妥協することができる。
【0027】
このように、本発明は、他の用途の間での、透視性の可能性を備えた光学系用の、非常に高い明るさの表示源の構造及び製作を容易にするが、ここで、投射された像の明るさは、HMD及びHUDのような、重大なものであり、ここで、その表示源からの光は、それぞれ、観察者の単一の目及び両方の目に到達する。加えて、本発明を、前方及び後方投射デバイスの照明に使用することができるが、ここで、高い明るさが、便利な観察を許容するために、要求される。そのシステムの光子の効率は、高いものであることができる、すなわち、その表示源から現れるほとんど全ての光子が、そのシステムの出力開口に到達するので、本発明は、相対的に低い電力消費量と一緒に相対的に高い明るさのシステムを許容する。HMD及びHUDの用途には、本発明は、光が案内される光学部品の構成を利用することによって、特に好都合なものである。
【0028】
図7は、本発明に従った光学系30を図解するが、ここで、その投射モジュールは、少なくとも二個の主要な平行な表面34を有する光を透過させる基体32、内部全反射によって結像モジュール8から、光を入射させる表面40を介して、基体32へと、光を結合させるための光学カップラー36、及び、その光を視聴者のアイモーションボックス42へと結合させるための前記の基板に位置させられる少なくとも一個の部分的に反射させる表面38を含む、ライトガイド光学素子(LOE)である。LOEの構成との本発明の組み合わせは、非常に高い明るさ及び低い電力消費量と一緒の非常に小型の且つ便利な光学系を生み出す。
【0029】
上に記述した光学手段36は、その基体へと入力波を結合させるための方法の例である。しかしながら、また、入力波を、折りたたみプリズム、ファイバー光学部品バンドル、回折格子、及び同様のものを含むが、しかしそれらに限定されない、他の光学手段によって基体へと結合させることができるであろう。
【0030】
また、図7の実施形態においては、入力波及び像の波は、その基体の同じ側に位置させられる、しかしながら、入力及び像の波を、ちょうど同様に、その基体の反対側に位置させることができるであろう。また、入力波を、その基体の側方の縁の一つを通じて、その基体へと結合させることができるであろう他の用途も、想像される。
【0031】
本発明が、前述の図解した実施形態の詳細に限定されないこと、及び、本発明を、それの主旨又は本質的な属性から逸脱することなく他の具体的な形態で具現化してもよいことは、当業者に対しては、明確なことであると思われる。従って、本発明は、全ての点で、実例となるもの及び非限定的なものとして、考慮されるものであり、本発明の範囲は、前述の記述によってというよりもむしろ、添付した特許請求の範囲によって示唆され、且つ、従って、特許請求の範囲の等価性の意味及び範囲内で成立する全ての変化は、ここでは、包含されることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明と一致した表示システムの側面図である。
【図2】本発明に従って、コリメーティングレンズの前方の表面における、システムの瞳の中へ結合させられる、光のフットプリントを図解する図である。
【図3】LCDの光源を利用する、本発明に従ったデバイスの側面図である。
【図4】本発明と一致した、光源のピクセル及びレンズの配列からなる光拡散体の概略の図解である。
【図5】本発明の一つの実施形態に従った光学系の表示源及び第一のレンズの拡大図を図解する。
【図6】結像系が、テレセントリックレンズである、本発明と一致した表示システムを図解する。
【図7】光波が、基体モードの素子の中へ結合させられる、本発明と一致した表示システムを図解する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学デバイスであって、
光の波を放出する表示源、
光拡散体、
結像光学モジュール、及び
当該光学デバイスからの出力開口
を含む光学デバイスにおいて、
該光拡散体は、光の不均一な拡散体であり、
該結像光学モジュールは、少なくとも一個の光を収束させるレンズであり、且つ
該全体の表示源からの光の波は、該出力開口を覆う
ことを特徴とする光学デバイス。
【請求項2】
前記光拡散体の明るさは、目視の角度に依存する、請求項1に記載の光学デバイス。
【請求項3】
前記表示から現れる光は、有限の円錐の内側で集中させられる、請求項1に記載の光学デバイス。
【請求項4】
前記表示源は、LCDである、請求項1に記載の光学デバイス。
【請求項5】
前記光拡散体は、角度的に選択的な拡散体をさらに含む、請求項4に記載の光学デバイス。
【請求項6】
前記角度的に選択的な拡散体は、ホログラフィーの拡散体である、請求項5に記載の光学デバイス。
【請求項7】
光源をさらに含む、請求項5に記載の光学デバイス。
【請求項8】
前記光源からの光は、前記角度的な選択的な拡散体を照明するために、前記少なくとも一個の収束させるレンズによって収束させられる、請求項7に記載の光学デバイス。
【請求項9】
前記光源からの光は、前記角度的に選択的な拡散体を照明するために、前記少なくとも一個の収束させるレンズによってコリメートされる、請求項8に記載の光学デバイス。
【請求項10】
前記角度的に選択的な拡散体からの光は、前記LCDを照明する、請求項7に記載の光学デバイス。
【請求項11】
前記LCDからの像は、前記結像光学モジュールによって、前記出力開口へ、結像させられる、請求項4に記載の光学デバイス。
【請求項12】
前記LCDからの像は、前記結像光学モジュールによって、前記出力開口へ、コリメートされる、請求項11に記載の光学デバイス。
【請求項13】
前記少なくとも一個の収束させるレンズの焦点距離は、前記表示源からの光の発散を決定するように、設定される、請求項1に記載の光学デバイス。
【請求項14】
前記光表示源は、光のピクセルの配列であり、且つ、
前記光拡散体は、前記表示源のピクセルと整列されたマイクロレンズの配列である、
請求項1に記載の光学デバイス。
【請求項15】
前記表示源は、OLEDである、請求項1に記載の光学デバイス。
【請求項16】
前記OLEDにおけるピクセルの放出分布関数は、各々のピクセルが、所定の角度へと発散することを引き起こす、請求項8に記載の光学デバイス。
【請求項17】
前記結像光学モジュールは、テレセントリックレンズである、請求項1に記載の光学デバイス。
【請求項18】
具体的な明るさは、各々の光学デバイスについて設定される、請求項1に記載の光学デバイス。
【請求項19】
前記結像光学モジュールのテレセントリック性は、少なくとも前記具体的な明るさに帰着するように、設定される、請求項18に記載の光学デバイス。
【請求項20】
前記結像光学モジュールの焦点距離は、少なくとも前記具体的な明るさに帰着するように、設定される、請求項18に記載の光学デバイス。
【請求項21】
前記光拡散体は、観察者のアイモーションボックスに到達するために、前記表示源から現れる光を所定の方向へと拡散させる、請求項1に記載の光学デバイス。
【請求項22】
光を透過させる基体をさらに含み、
該基体は、光を入射させる表面及び該基体の外への光を結合させるための該基体の内側に位置させられる少なくとも一個の部分的に偏向させる表面を有し、
前記出力開口は、該光を入射させる表面に隣接して前記基体へ付けられる、
請求項1に記載の光学デバイス。
【請求項23】
内部全反射によって前記表示源からの光を前記基体へと結合させるための光学手段をさらに含む、請求項22に記載の光学デバイス。
【請求項24】
光学的な表示の明るさを改善するための方法であって、
光学デバイスを提供することを含み、並びに
該光学デバイスは、光の波を放出する表示源、光拡散体、結像光学モジュール、及び、該光学デバイスからの出力開口を含み、
当該方法は、
該出力開口を通過する該表示源から現れる光の部分を光学的に増加させるために、該表示源から現れる光を該拡散体へ収束させること
を含む方法。
【請求項25】
前記変位させる源と前記開口との間に光拡散体を導入すること、及び
前記表示源から現れる光の角度的な不均一な拡散を引き起こすこと
をさらに含む、請求項24に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2007−505354(P2007−505354A)
【公表日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−526002(P2006−526002)
【出願日】平成16年9月9日(2004.9.9)
【国際出願番号】PCT/IL2004/000815
【国際公開番号】WO2005/024492
【国際公開日】平成17年3月17日(2005.3.17)
【出願人】(504354265)ラマス リミテッド (6)
【Fターム(参考)】