説明

角錐パック用自動包装機の製袋機構

【課題】 充填された内容物が舞い上がることなく筒状包装フイルムを扁平形状にすることができる製袋機構を提供する。
【解決手段】本発明の角錐パック用自動包装機は、円筒形状の包装フィルムFAを扁平形状の包装フィルムFA'に成形するために、横シールを施す前にエアー噴射部材20とエアー噴射部材21から圧縮エアーを噴射し、その後、扁平形状になった包装フィルムFA'に対して横シールバー10、11が挟み込んで横シールを行う。この結果、内容物の噛み込み発生を防ぐと共に、シール部分の皺発生を防ぐことが可能になり、皺に起因したシール不良や包装袋の外観劣化を阻止することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、湯や水の中に浸して紅茶や緑茶等の成分を抽出する場合に使用される包装袋に関し、特に略三角錐形状を有する角錐パックを自動的に成形する包装機の製袋機構に関するものである。
【背景技術】
【0002】
全体を三角錐形状に形成した角錐パックは、パック自身が略三角錐形状にシール成形されていて、内部に所要の空間が確保されているため、このパック内に紅茶や緑茶等の内容物を封入した場合、これ等内容物がパックに押し付けられることなく、充分に膨潤し、且つ、多くの湯水を受け入れて成分の抽出を効果的に行うことができるという利点を備えている。
【0003】
従来の角錐パックを自動的に成形する包装機は特許文献1に記載されている。このような自動包装機における製袋機構は、筒状に成形した合成樹脂糸偏成の網目状シート、布シート、不織布あるいはナイロン紗などのような透液性を有した包装フィルム内に、十字状の噴射ノズルを挿入し、横シール動作に先立つ時点において、横シール機構と平行に位置した噴射ノズルから包装フィルム内にガスを噴射して筒状包装フィルムを扁平状に伸張させるようにしている。そして、伸張した状態になった筒状包装フィルムに対して挟み込みながら横シールを施すため、シール部分の皺発生を防ぐことが可能になり、皺に起因したシール不良や包装袋の外観劣化を阻止することができる。
【特許文献1】特開平5−193615号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記の製袋機構においては筒状包装フィルム内に十字状の噴射ノズルを挿入しているため、紅茶や緑茶等の内容物を包装袋内に充填する際の障害となり、内容物が落下完了するまでの時間が掛かっていた。また、横シール動作の直前に筒状包装フィルム内に挿入されている十字状の噴射ノズルからガスを噴射しているため、充填された内容物が舞い上がってしまい、横シール部分に対して内容物が噛み込んでしまう問題や舞い上がった分だけ内容物の量目が減少する問題が発生していた。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、充填された内容物が舞い上がることなく筒状包装フィルムを扁平形状にすることができる製袋機構を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明の請求項1に係る自動包装機は、円筒形状にシール成形された包装フィルムに対して、横シールの都度横シール装置を水平方向に回動させて前回とは異なる角度から横シールを行うことによって、内容物を密封シールした包装パックの全体を略三角錘形状にシール成形するように構成した角錘パック用自動包装機であって、上記横シール装置は、互いに挟み合う二つの横ヒートシールバーの中央付近に圧縮エアーを噴出する手段を備え、このエアー噴出手段は、二つの横ヒートシールバーによる横シール動作の前に、円筒形状にシール成形された包装フィルムに向かって圧縮エアーを噴射して、円筒形状の包装フィルムを扁平形状に製袋することを特徴としている。
【0007】
また、本発明の請求項2に係るエアー噴出手段は、二つの横ヒートシールバーによる横シール動作の前に、円筒形状にシール成形された包装フィルムに向かって水平方向に扇形状に広がった圧縮エアーを噴射して、円筒形状の包装フィルムを扁平形状に製袋することを特徴としている。
【0008】
本発明の請求項1及び請求項2に係る製袋機構によれば、扁平状に伸張した状態になった筒状包装フィルムに対して挟み込みながら横シールを施すため、内容物の噛み込み発生を防ぐと共に、シール部分の皺発生を防ぐことが可能になり、皺に起因したシール不良や包装袋の外観劣化を阻止できる。
【発明の効果】
【0009】
以上説明したように、本発明の角錐パック用自動包装機の製袋機構によれば、筒状包装フィルムに対して直交する二方向への横シールを行う際に、充填された内容物が舞い上がることなく筒状包装フィルムを扁平形状にすることができる製袋機構を提供できるという優れた効果を奏し得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下に図面を参照しつつ、本発明の実施の形態を説明する。図3と図4は、例えば図6や図7に示されたような略三角錐形状の角錐パックをシール成形する場合の基本原理を説明したものである。そして、図3は「一回目の横シール」、図4は「二回目の横シール」を施している概略動作説明図である。これ等の図面において符号9で全体的に示したのは横シール装置(横ヒートシール装置)で、符号10と符号11は円筒状に縦シール成形された包装フィルムFA(具体的には細かな網目素材)を両側から挾んで横シールする横ヒートシールバーである。
【0011】
図3に示した一回目の横シールでは、図視上下方向から横ヒートシールバー10、11が円筒状の包装フィルムFAに対して挟み込んで横シールを行い、図4に示した二回目の横シールでは、上記の各横ヒートシールバー10、11を一旦開動した後、これを90度水平に回転させて図視左右方向から円筒状の包装フィルムFAに対して挟み込んで横シールを行って、角錐パックをシール成形するように構成されている。
【0012】
なお、実際のシール成形では、上記一回目の横シールが終わると包装フィルムFAの内部に紅茶や緑茶等の内容物が充填され、次いで、1パック分の包装フィルムFAが下方に送られた後、上記二回目の横シールが行われ、以後、この動作が連続して繰り返される仕組になっている。また、各横ヒートシールバー10、11内には、円筒状に縦シール成形された包装フィルムFAを挟み込む部材と、挟み込んだ包装フィルムFAに対して横シールを施すと共に上下に切り離す横シール部材が組み込まれている。なお、この横シール部材は、角錐パックの場合はヒートシール幅を薄くする必要と横シールと同時に切り離す必要から、超音波シール手段が用いられている。
【0013】
図5は、上記横ヒートシールバー10、11による横シール動作を連続的に繰り返すことにより、角錐パックがシール成形されている状態を示した説明図である。また、図6と図7はシール成形された角錐パックの平面図と斜視図である。図5乃至図7に示すように、FZは包装フィルムFAに施された縦シール部であり、FXは図3において説明した横シール動作で施された横シール部であり、FYは図4において説明した横シール動作で施された横シール部である。なお、図3及び図4にて説明したように、縦シール部FZによって円筒状になった包装フィルムFAに対して、図3に示す1回目の横シール動作と図4に示す2回目の横シール動作を繰り返して実施するため、図5においては、1回目から4回目の横シールを施している動作状況が表現されている。そして、これらの横シール動作と同時に出来上がった包装袋は切り離されて図6及び図7に示す角錘パックとなる。
【0014】
また、図6及び図7に示す角錘パックにおいて、FR′は予め包装フィルムFAの表面に1パック毎に並べて間隔的に接着されているタグFR付きの紐で、このタグFRは、シール成形された角錐パックをお湯等に投入して内容物である紅茶や緑茶等の成分を抽出した後の引き上げ動作時に把持する部分である。
【0015】
図1と図2は、上記の角錐パックを連続的にシール成形することができる本発明に係る角錐パック用自動包装機の全体を説明した一部断面を含む正面図と側面図である。
【0016】
最初に、本発明に係る角錐パック用自動包装機の構成説明を行う。図1及び図2に示すように、符号1は自動包装機、2は紅茶や緑茶等の充填材料を収容したホッパー、3はホッパー2から供給される内容物を計量して供給する計量回転盤、4は計量回転盤に装着された計量枡、5は包装フィルムを円筒形状に成形すると共にこの円筒状の包装袋内に計量された内容物を投入する充填シュート、6は円筒形状に成形された包装フィルムに対して縦シールを施す超音波装置のアンビル、7は同じく超音波装置のホーン、8は円筒形状の包装フィルムを下方に搬送する送りロール、9は交互に水平90度回転しながら横シールを施す横シール装置、10は横シール装置内に配備されて横シール動作並びに切断動作を司る超音波装置のアンビル、11は同じく横シール装置内の超音波装置のホーン、12は出来上がった角錘パックを受け取る滑り台、13は自動包装機1の駆動動力を担当するサーボモータ、14、15は機体の一側面に設けた制御ボックスで、この制御ボックス14、15には操作パネルと各種運転用のスイッチ、各種制御回路が設けられている。
【0017】
また、17はフィルム繰出し機構で、このフィルム繰出し機構の近傍には包装フィルムが巻回された原反ロールFXが搭載されている。なお、16はフィルム繰出し機構17の駆動用モータである。
【0018】
次に、本発明に係る角錐パック用自動包装機の動作説明を行う。図1及び図2に示すように、フィルム繰出し機構17により原反ロールFXから引き出された包装フィルムは、充填シュート5に送り込まれて円筒形状にフオーミングされ、次いで、縦シール装置の超音波アンビル6と超音波ホーン7によってその両端部をシールして縦シールFZ(図5参照)が形成される仕組になっている。
【0019】
そして、円筒形状にシールされた包装フィルムFAは、送りロール8により下方に搬送され、横シール装置9に送り込まれる。この横シール装置9では、円筒形状の包装フィルムFAを挟み込みながら横シール装置の超音波アンビル10と超音波のホーン11で横シールを施すと共に切り離すようにしている。なお、前記図3乃至図7の基本原理において説明したように、この横シール装置の超音波アンビル10と超音波ホーン11は、円筒形状の包装フィルムFAに対して交互に90度水平に回転させて順番に横シールを施しながら切り離すように動作するため、結果的に個別の角錐パックが出来上がることになる。
【0020】
図8は、本発明における角錐パックをシール成形する場合の「一回目の横シール」を施している概略動作説明図である。また、図9は、本発明における角錐パックをシール成形する場合の「二回目の横シール」を施している概略動作説明図である。図8及び図9に示すように、符号9で全体的に示したのは横シール装置(横ヒートシール装置)で、符号10と符号11は円筒状に縦シール成形された包装フィルムFA(具体的には細かな網目素材)を両側から挾んで横シールする横ヒートシールバーである。また、符号20は横ヒートシールバー10の中央付近に設置したエアー噴射部材、符号21は横ヒートシールバー11の中央付近に設置したエアー噴射部材である。
【0021】
図8に示した一回目の横シール動作では、図視上下方向から横ヒートシールバー10、11が円筒状の包装フィルムFAを挟み込む前に、エアー噴射部材20とエアー噴射部材21から圧縮エアーを噴射して円筒状の包装フィルムFAを扁平形状FA'に成形している。その後、扁平形状になった包装フィルムFA'に対して横ヒートシールバー10、11が挟み込んで横シールを行っている。
【0022】
上記一回目の横シール動作が終わると包装フィルムFA'の内部に紅茶や緑茶等の内容物が充填され、次いで、上記の各横ヒートシールバー10、11が一旦開動されて1パック分の包装フィルムが下方に送られると共に、各横ヒートシールバー10、11が90度水平に回転する。そして、図9に示した二回目の横シール動作では、図視左右方向から横ヒートシールバー10、11が円筒状の包装フィルムFAを挟み込む前に、エアー噴射部材20とエアー噴射部材21から圧縮エアーを噴射して円筒状の包装フィルムFAを扁平形状FA'に成形している。その後、扁平形状になった包装フィルムFA'に対して横ヒートシールバー10、11が挟み込んで横シールを行っている。
【0023】
このように、本発明の製袋機構は、横シールを施す前に円筒形状の包装フィルムFAを扁平形状の包装フィルムFA'に成形しているため、次工程の横ヒートシールバー10、11が包装フィルムを挟み込む際の折り皺発生を防ぐことができる。即ち、充填された内容物が舞い上がることなく扁平状に伸張した状態になった筒状包装フィルムに対して挟み込みながら横シールを施すため、内容物の噛み込み発生を防ぐと共に、シール部分の皺発生を防ぐことが可能になり、皺に起因したシール不良や包装袋の外観劣化を阻止することができる。
【0024】
なお、エアー噴射部材20とエアー噴射部材21から圧縮エアーを噴射する際には、図8、図9に示すように、水平方向に向かって扇形状に広がったエアー噴射が行われるように構成している。
【0025】
また、本発明の実施の形態は本発明を具現化するための一例を示したものであり、特許請求の範囲における発明特定事項とそれぞれ対応関係を有するが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変形を施すことができる。
【0026】
例えば、このエアー噴射部材20とエアー噴射部材21において、扇形状に広がった脈動圧縮エアーを噴射するように構成すると、より効果的に円筒形状の包装フィルムを扁平形状に成形できる。さらに、この脈動圧縮エアーを噴射する際に、包装フィルムの中心部分から両周辺部分に向かって扇が開くように圧縮エアーの噴射を回転制御すると、より効果的に円筒形状の包装フィルムを扁平形状に成形できる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】角錐パックを連続的にシール成形することができる本発明に係る角錐パック用自動包装機の全体を説明した正面図である。
【図2】角錐パックを連続的にシール成形することができる本発明に係る角錐パック用自動包装機の全体を説明した一部断面を含む側面図である。
【図3】「一回目の横シール」を施している概略動作説明図である。
【図4】「二回目の横シール」を施している概略動作説明図である。
【図5】横ヒートシールバー10、11による横シール動作を連続的に繰り返すことにより、角錐パックがシール成形されている状態を示した説明図である。
【図6】シール成形された角錐パックの平面図である。
【図7】シール成形された角錐パックの斜視図である。
【図8】本発明における角錐パックをシール成形する場合の「一回目の横シール」を施している概略動作説明図である。
【図9】本発明における角錐パックをシール成形する場合の「二回目の横シール」を施している概略動作説明図である。
【符号の説明】
【0028】
1 自動包装機
2 ホッパー
3 計量回転盤
4 計量枡
5 充填シュート
6 縦シール装置内の超音波装置のアンビル
7 縦シール装置内の超音波装置のホーン
8 送りロール
9 横シール装置
10 横シール装置内の超音波装置のアンビル
11 横シール装置内の超音波装置のホーン
12 滑り台
13 サーボモータ
14、15 制御ボックス
16 フィルム繰出し機構17の駆動用モータ
17 フィルム繰出し機構
20 横ヒートシールバー10に設置したエアー噴射部材
21 横ヒートシールバー11に設置したエアー噴射部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒形状にシール成形された包装フィルムに対して、横シールの都度横シール装置を水平方向に回動させて前回とは異なる角度から横シールを行うことによって、内容物を密封シールした包装パックの全体を略三角錘形状にシール成形するように構成した角錘パック用自動包装機であって、
上記横シール装置は、互いに挟み合う二つの横ヒートシールバーの中央付近に圧縮エアーを噴出する手段を備え、
このエアー噴出手段は、二つの横ヒートシールバーによる横シール動作の前に、円筒形状にシール成形された包装フィルムに向かって圧縮エアーを噴射して、円筒形状の包装フィルムを扁平形状に製袋することを特徴とする角錘パック用自動包装機の製袋機構。
【請求項2】
前記エアー噴出手段は、二つの横ヒートシールバーによる横シール動作の前に、円筒形状にシール成形された包装フィルムに向かって水平方向に扇形状に広がった圧縮エアーを噴射して、円筒形状の包装フィルムを扁平形状に製袋することを特徴とする請求項1記載の角錘パック用自動包装機の製袋機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−320649(P2007−320649A)
【公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−156181(P2006−156181)
【出願日】平成18年6月5日(2006.6.5)
【出願人】(596092595)三光機械株式会社 (102)
【Fターム(参考)】