説明

触覚センサ

【課題】法線方向のみならず接線方向の圧力も精度良く検出できる信頼性の高い触覚センサを提供する。
【解決手段】押圧により抵抗値が変化するシート状の感圧導電性部材7と、前記感圧導電性部材7の一側面に配置され、前記感圧導電性部材7のインピーダンスを検出する複数の電極セル14が所定方向に配列された電極シート8と、前記感圧導電性部材7を挟んで隣接する電極セル14間に跨るように対向配置され、前記感圧導電性部材7を加圧する複数の圧力伝達部材30と、前記圧力伝達部材30を被覆する弾性被覆層9とを備え、前記弾性被覆層9により前記圧力伝達部材30が感圧導電性部材7の法線方向及び接線方向に変位自在に支持されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象物との接触圧及び接触位置を検出するとともに滑りをも併せて検出できる接触センサに関し、産業用ロボットや次世代ロボットのハンドに好適な触覚センサ、更には足型やベッド上での姿勢等の分布型圧力を検出するために好適な触覚センサに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、触覚センサに適用可能な技術として、特許文献1に示すように、貫通孔部がマトリクス状に穿設された絶縁性支持体の一側面に被覆された弾性体電極部と、各貫通孔部に対応して他側面に設けられた複数の第二電極部とを備え、押圧により弾性体部と第二電極部の間を流れる電流により物体に加わる圧力の強さを推定し、押圧された位置を検出する圧力検出装置や、特許文献2に示すように、感圧導電性部材を用いて押圧位置を検出する圧力センサシート等が提案されている。
【0003】
感圧導電性部材を用いた触覚センサは、図18に示すように、互いに平行な複数本の電極パターン20a,20bが形成された一対の電極シート20を、その電極パターンが直交するように配置し、加えられる圧力により電気抵抗値が変化するシート状の感圧導電性部材30を両電極シートの間に挿入してそれぞれ接着することにより構成されていた。
【0004】
しかし、シート状の感圧導電性部材を挟み込んで接着するサンドウィッチ構造を採用していたため、加えられる圧力の検出位置を精度良く求めるためには感圧導電性部材に対する両電極シートの位置関係を厳密に設定しなければならず、製造上の困難さがあるばかりでなく、そのような接触センサを長期に亘り使用すると電極シートと感圧導電性部材の接着が弱まり、剥離やずれが発生して検出精度が低下するという問題があった。
【0005】
そこで、本願出願人らは、長期に亘り検出精度が低下することなく、高分解能であっても十分な感度で検出できる触覚センサ及び触覚センサの感度調節方法を提供することを目的として、押圧により抵抗値が変化するシート状の感圧導電性部材と、前記感圧導電性部材の一側面に配置され、前記感圧導電性部材のインピーダンスを検出する電圧印加電極と電圧検出電極でなる電極セルの複数がマトリクス状に配列された電極シートを備えた接触センサを提案している(特願2005−165374号)
【0006】
一方、特許文献3には、斜め方向や左右前後の加圧方向の判別が可能な触覚センサとして、押圧面が形成された面形成体と該面形成体に突設された接触用凸部とを有する剛体でなる接触子と、該接触子の押圧面からの圧力が作用する感圧導電性エラストマー部材と、該感圧導電性エラストマー部材の前記押圧面と対向する表面とは反対側の表面に沿って配置されたプリント基板と、該プリント基板上に前記感圧導電性エラストマー部材と当接するように配置された電極とを具備してなり、前記接触子の接触用凸部を前記感圧導電性エラストマー部材の表面より外方に突出させると共に、前記電極が前記押圧面の大略中心に対応する位置に設けた共通電極と、前記押圧面の周縁部に対応させて前記共通電極の周囲に配置した複数の外方電極からなることを特徴とする触覚センサが提案されている。
【特許文献1】特開2005−10016号公報
【特許文献2】特開2004−333273号公報
【特許文献3】特許第2676057号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述した特許文献3に記載された従来の触覚センサによれば、感圧導電性エラストマー部材の表面を絶縁性外皮で覆うと共に、接触子の面形成体を前記絶縁性外皮より内方に位置させ、且つ該接触子の接触用凸部を前記絶縁性外皮の表面より外方に突出させるように構成されたものであり、そのような触覚センサをロボットハンドに実装したときには、剛体である接触用凸部の先端部が把持対象物と直接接触するため、硬度によっては把持対象物が破損したり、逆に接触用凸部が破損する虞があり、更には把持対象物と接触用凸部が滑って円滑に把持できないという問題があった。また、このような触覚センサを用いて対象物の滑り加重及び方向を検出する際に、対象物が平坦な剛体である場合等には接触用凸部との接触位置で剛体が滑ってしまい、接線方向の成分を検出できないという問題もあった。
【0008】
このような種々の問題により対象物の正確な圧力分布が検出できず、延いては対象物の形状を精度良く検出できないという問題があり、一層の改良が望まれていた。
【0009】
本発明の目的は、上述の従来の問題点に鑑み、法線方向のみならず接線方向の圧力も精度良く検出できる信頼性の高い触覚センサを提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述の目的を達成するため、本発明による触覚センサの第一の特徴構成は、特許請求の範囲の書類の請求項1に記載の通り、押圧により抵抗値が変化するシート状の感圧導電性部材と、前記感圧導電性部材の一側面に配置され、前記感圧導電性部材のインピーダンスを検出する複数の電極セルが所定方向に配列された電極シートと、前記感圧導電性部材を挟んで隣接する電極セル間に跨るように対向配置され、前記感圧導電性部材を加圧する複数の圧力伝達部材と、前記圧力伝達部材を被覆する弾性被覆層とを備え、前記弾性被覆層により前記圧力伝達部材が感圧導電性部材の法線方向及び接線方向に変位自在に支持されている点にある。
【0011】
上述の構成によれば、対象物からの圧力を受けて感圧導電性部材の法線方向に変位しまたは接線方向に傾斜した圧力伝達部材により感圧導電性部材が加圧されるようになり、圧力伝達部材に対向配置された電極セルの夫々で検出されるインピーダンス値に基づいて付与された圧力の方向及び大きさが検出されるようになる。このとき、対象物からの圧力が弾性被覆層を介して圧力伝達部材に付与されるので、対象物の破損を招くことなく、さらには弾性被覆層との摩擦力の作用で対象物の法線方向への滑りも効果的に回避される。従って、法線方向の圧力のみならず接線方向の圧力をも精度良く検出することができるようになる。また、油分や水分による湿潤環境下や塵埃の飛散する厳しい環境下でも、弾性被覆層により水分や塵埃等の電極シートへの浸入が防止されるようになり、当該触覚センサの劣化を回避することも可能になる。
【0012】
同第二の特徴構成は、同請求項2に記載した通り、上述の第一の特徴構成に加えて、前記弾性被覆層のヤング率が前記感圧導電性部材のヤング率の50%から400%の範囲に設定されている点にある。
【0013】
弾性被覆層のヤング率が小さ過ぎる場合には、対象物からの圧力を圧力伝達部材に伝えることが困難となるばかりか、僅かな圧力でも対象物と圧力伝達部材間で剪断破断される虞がある。逆にヤング率が大き過ぎる場合には、対象物からの圧力が伝達されるべき圧力伝達部材のみならず周辺の圧力伝達部材にも分散して伝達されるようになり、圧力検出精度及び分解能が低下する虞がある。上述の構成によれば、弾性被覆層のヤング率が前記感圧導電性部材のヤング率の前後の範囲に設定されているため、対象物から付与される想定範囲内の圧力で剪断破断されることなく、対象物からの圧力が伝達されるべき圧力伝達部材に対して良好に圧力を伝達することができるとともに、周辺の圧力伝達部材への影響が極力低減され、良好な圧力検出精度及び分解能を実現することができるようになる。
【0014】
同第三の特徴構成は、同請求項3に記載した通り、上述の第一または第二の特徴構成に加えて、前記圧力伝達部材は、前記感圧導電性部材に面接触する接触部と、前記接触部から前記法線方向に延出形成され前記弾性被覆層を介して付与される外力を前記接触部に伝達する伝達部を備えた剛体で構成され、前記接触部は前記電極セルとの対向領域のうち前記電極セルの配列方向に沿う最大長さが各電極セルの配列方向長さの40%から80%の範囲に設定され、前記対向領域の面積が少なくとも前記電極セルの面積の15%から65%の範囲に設定されている点にある。
【0015】
対象物から受ける感圧導電性部材の法線方向または接線方向の圧力成分が伝達部に伝達されることにより、伝達部とともに剛体を形成する接触部が法線方向に変位しまたは接線方向に傾斜した姿勢で感圧導電性部材が加圧され、接触部に対向配置された隣接電極セルにより夫々のインピーダンスが検出される。つまり圧力伝達部材は法線方向の圧力により法線方向に位置が変位し、接線方向の圧力により生じるモーメントにより法線方向に対して傾斜することにより接線方向の圧力を法線方向の圧力に変換されるのである。一般的に接触部と電極セルの対向面が平行であるときには、接触部と電極の対向領域の面積が大きいほど法線方向圧力の検出感度が大きくなるため、接触部と電極セルの対向面が平行でないときであっても同様に想定されていたが、本願発明者らの解析の結果、接触部の電極セルへの対向面積が大きいときには、傾斜する圧力伝達部材と隣接する圧力伝達部材との間に介在する弾性被覆層の応力によりモーメントが弱められて検出感度が低下するということが判明した。また接触部の電極セルへの対向面積が小さいときには、弾性被覆層の応力による影響は少ないのであるが感圧導電性部材への圧力が小さくなり検出感度が低下する。そこで、鋭意研究の結果、上述の構成を採用することにより、電極セルによる接線方向の圧力に対する検出感度を良好に設定できることが明らかになった。
【0016】
同第四の特徴構成は、同請求項4に記載した通り、上述の第三の特徴構成に加えて、前記圧力伝達部材は、前記伝達部が前記接触部の最大径より小径で前記接触部の面中心から前記法線方向に延出形成されるとともに、前記圧力伝達部材の前記法線方向高さが前記接触部の最大径の40%から100%の範囲に設定されている点にある。
【0017】
図8に基づけば、圧力伝達部材の伝達部に付与された接線方向の圧力をFyとして、Fyにより生じる接触部中心G周りのモーメントにより接触部の端部作用する法線方向の圧力Fzに変換するyz二次元単純モデルを〔数1〕で表すことができる。ここで、z1は接触部の法線方向の長さであり、z2は伝達部の法線方向の長さであり、y1は伝達部の接線方向の長さであり、y2は接触部の接線方向の長さである。
【数1】

【0018】
〔数1〕によれば、圧力伝達部材の法線方向高さ(z1+z2)が接触部の幅y2の50%となるときに、接線方向の圧力に対する法線方向への圧力変換効率が100%となり、法線方向高さ(z1+z2)を大きくするほど検出感度が上昇する。しかし、上述したように、傾斜する圧力伝達部材と隣接する圧力伝達部材との間に介在する弾性被覆層の応力によりモーメントが弱められて検出感度が却って低下することになる。また、法線方向高さ(z1+z2)を大きくするほど接触センサの肉厚も厚くなるという問題も生じる。そこで、圧力伝達部材の法線方向高さを上述の範囲に設定することにより、接線方向成分の検出感度を適正に確保視ながらも薄型の触覚センサを得ることができるようになる。
【0019】
同第五の特徴構成は、同請求項5に記載した通り、上述の第四の特徴構成に加えて、前記圧力伝達部材は、前記伝達部の径が前記接触部の最大径の20%から60%の範囲に設定されている点にある。
【0020】
伝達部の径を接触部の径と同径にすると、接線方向の圧力成分により生じるモーメントにより圧力伝達部材が傾斜する際に、接触部の傾斜方向に沿った一方の端部を中心に傾斜して他方の端部が浮き上がるという不都合が生じる虞がある。さらに、傾斜する圧力伝達部材と隣接する圧力伝達部材との間に介在する弾性被覆層の応力によりモーメントが弱められて検出感度が却って低下するという問題もある。一方、伝達部の径を接触部の径よりも小さくすると強度不足による破損する虞もある。そこで、伝達部の径を上述の範囲に設定することにより、上述の不都合を解消して適正に接線方向成分を検出することができる触覚センサを得ることができる。
【0021】
同第六の特徴構成は、同請求項6に記載した通り、上述の第四または第五の特徴構成に加えて、前記圧力伝達部材は、前記伝達部の前記法線方向に沿った高さが前記圧力伝達部材の高さの60%から90%の範囲に設定されている点にある。
【0022】
傾斜する圧力伝達部材と隣接する圧力伝達部材との間に介在する弾性被覆層の応力によりモーメントが弱められて検出感度が却って低下するという問題に対処するためには、接触部の肉厚を薄くすることが好ましいが、逆に強度不足による破損を招く。そこで、伝達部の前記法線方向に沿った高さを上述の範囲に設定することにより、強度を確保しながらも、接線方向の圧力成分に対する検出感度が良好な触覚センサを得ることができる。
【0023】
同第七の特徴構成は、同請求項7に記載した通り、上述の第一から第六の何れかの特徴構成に加えて、各圧力伝達部材に対向配置された隣接する電極セル群で検出されるインピーダンスに基づいて、付与される圧力の法線方向成分及び接線方向成分を算出し、各電極セル群について算出された法線方向成分及び接線方向成分の圧力分布パターンに基づいて対象物の形状または動きを算出する演算処理部を備えている点にある。
【0024】
各圧力伝達部材に対向配置された隣接する電極セル群で検出されるインピーダンスは、各圧力伝達部材に付与された外力の法線方向成分と接線方向成分が含まれている。そこで、演算処理部により電極セル群で検出されたインピーダンスに基づいて外力の法線方向成分と接線方向成分を夫々算出し、複数の電極セル群に対して算出された圧力分布パターンに基づいて対象物の形状または動きを算出するのである。
【発明の効果】
【0025】
以上説明した通り、本発明によれば、法線方向のみならず接線方向の圧力も精度良く検出できる信頼性の高い触覚センサを提供することができるようになった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下に本発明による触覚センサをロボットハンドに用いた実施の形態を説明する。ロボットハンド20は、図1及び図2に示すように、掌となる基体10と、前記基体10に支持された五本のフィンガーユニット(以下、「指体」と記す。)1,2,3,4,5とから構成されている。
【0027】
前記指体1,2,3,4,5は、夫々人間の手の母指(第一指)、示指(第二指)、中指(第三指)、薬指(第四指)、小指(第五指)に対応し、各指体は、第一、第二、第三、第四の四本のリンク部材L1,L2,L3,L4をその軸心P方向と直交する方向の軸心P1,P2,P3,P4周りに回転する四つの関節部材J1,J2,J3,J4を介して連結した関節装置で構成される。
【0028】
前記指体2,3,4,5は、互いに平行配置され、基端側から順に第一軸心P1周りに回転可能な第一関節部材J1と、前記第一軸心P1と直交する第二軸心P2周りに回転可能な第二関節部材J2と、前記第二軸心P2に平行な第三軸心P3周りに回転可能な第三関節部材J3と、前記第二軸心P2に平行な第四軸心P4周りに回転可能な第四関節部材J4を備え、前記第一関節部材J1の回転により互いの指体の間隔が広がりまたは狭まるように変位し、前記第二関節部材J2から前記第四関節部材J4の回転により対象物を把持しまたは開放するように変位可能に構成されている。
【0029】
各指体1,2,3,4,5は基本的に同一構造であるので、以下、代表として指体2について説明する。図2及び図3に示すように、前記指体2の各関節部材J1,J2,J3,J4には、ハーモニックドライブ(登録商標)減速機構が組み込まれ、前記基体10、及び、前記リンク部材L1,L2の中空部に前記軸心Pと直交する方向に回転軸を有するエンコーダ内蔵のモータが内装され、前記モータを一方向に回転駆動することにより、前記関節部材J1,J2,J3の夫々が前記軸心P1,P2,P3周りで対象物に対して把持方向に揺動駆動され、前記モータを逆方向に回転駆動することにより、前記関節部材J1,J2,J3の夫々が前記軸心P1,P2,P3周りで開放方向に揺動駆動されるように構成されている。
【0030】
各関節部材J1,J2,J3,J4の近傍には夫々力覚センサ(図示せず)が設けられ、前記リンク部材L2,L3,L4の腹部には、図1から図3に示すように、夫々触覚センサAが配置されている。
【0031】
図1に示すように、上述のユニバーサルロボットハンド20に設けられた各触覚センサAの出力が圧力分布情報検出装置C1に入力されるとともに、各エンコーダの出力及び各力覚センサの出力が行動制御装置C2に入力され、前記行動制御装置C2から各関節部材J1,J2,J3,J4を駆動するためのモータ駆動信号が出力されるように構成されている。
【0032】
前記圧力分布情報検出装置C1及び行動制御装置C2はネットワークNを介して統合制御装置C3に接続され、前記統合制御装置C3は前記圧力分布情報検出装置C1により解析された各フィンガーユニットの腹部に付与される対象物からの圧力情報、及び前記行動制御装置C2により解析された各関節の姿勢情報と各リンク部材に掛かる力覚情報に基づいて前記行動制御装置C2に各モータに対する駆動情報を出力するように構成されている。
【0033】
前記圧力分布情報検出装置C1は、複数の触覚センサAからの出力値に基づいて各指体の各腹部に加わる圧力分布を高速に演算処理して前記統合制御装置C3に出力する。
【0034】
前記行動制御装置C2は、各力覚センサからの出力及びエンコーダ出力に基づいて、現在の各リンク部材の姿勢とそれに掛かる力を演算導出して前記統合制御装置C3に出力する。
【0035】
前記統合制御装置C3は、前記行動制御装置C2から入力された現在の各リンク部材の姿勢とそれに掛かる力と、前記圧力分布情報検出装置C1から入力された各腹部に加わる圧力分布等に基づいて把持対象物の形状や硬度等の特性を把握し、目的とする動作が遂行されるように前記行動制御装置C2に対して各モータM1,M2,M3に対する駆動情報を出力する。
【0036】
前記触覚センサAは、図4(a)、(b)に示すように、押圧により抵抗値が変化するシート状の感圧導電性部材7と、前記感圧導電性部材7の一側面に配置され、前記感圧導電性部材7のインピーダンスを検出する複数の電極セル14がマトリクス状に配列された電極シート8と、前記感圧導電性部材7を挟んで直交方向に隣接する四つの電極セル14間に跨るように対向配置され、前記感圧導電性部材7を加圧する複数の圧力伝達部材30と、前記圧力伝達部材30を被覆する弾性被覆層9とを備え、前記弾性被覆層9により前記圧力伝達部材30が感圧導電性部材7の法線方向及び接線方向に変異自在に支持されている。
【0037】
前記感圧導電性部材7は、シリコーン樹脂等の絶縁性のゴム材料中に金属や炭素等の導電性粒子を均等に分散させてシート状に成形したもので、無加圧時には導電性粒子は互いに接触せず、体積抵抗、表面抵抗ともに10Ω以上の高い電気抵抗値を示すが、加圧時には導電性粒子が次第に接触し始めて電気抵抗値が滑らかに変化する。即ち、ゴムの弾性を生かして圧力変化によるゴムの歪みに伴って電気抵抗値が変化することから、加圧時にはその圧力に対応する低電気抵抗値を示すが無加圧時には元に戻り高電気抵抗値を示す。
【0038】
前記電極シート8は、前記感圧導電性部材7のインピーダンスを検出する二層フレキシブル基板で構成され、図5(a)に示すように、前記感圧導電性部材7に対向配置される第一基板11aに、電圧印加電極12と電圧検出電極13でなる電極セル14の複数がマトリクス状に配列されるとともに、列方向に配列された複数の電圧印加電極12が列毎に相互に接続され、外部からの電圧を同時に印加する複数のリードパターン15aが形成されている。
【0039】
前記電極シート8を構成する他方の第二基板11bは、図5(b)に示すように、前記第一基板11aに行方向に配列形成された複数の電圧検出電極13を行毎に相互に接続するスルーホール16bと、前記スルーホール16bを介して接続された電圧検出電極13からの検出電圧を出力する複数のリードパターン16aが形成されている。
【0040】
前記電極セル14は、図6に示すように、パターン幅0.2mm、セルサイズ3.4mm×1.8mmの矩形形状の電圧印加電極12と、その電圧印加電極12の内部で電圧印加電極12と一定の距離だけ離間するように配置された電圧検出電極13で構成される。従って、両電極パターンの間隙である電気的絶縁部分に対向する感圧導電性部材7が電気抵抗の計測対象部分となる。加圧された感圧導電性部材7の変形によって両電極12、13の間隙に対向する部分には前記導電性粒子の接触による導電経路ができ、この経路に沿って両電極間に流れる電流値に基づいて算出される抵抗値により圧力が検出される。
【0041】
上述の電極セル14では、両電極12、13の間隙である電気的絶縁部分の面積を大にすることで検出電流を増加させて感度を高めるべく、当該電気的絶縁部分を凹凸に入り組んだパターンとしてある。即ち、前記電極シート8に配列された電極セル14の前記電圧印加電極12と前記電圧検出電極13との相対距離、または、前記電圧印加電極12と前記電圧検出電極13との対向長さを調節することにより感度の調節が可能になる。このような感度の調節は使用する感圧導電性部材7の圧力−電気抵抗特性や検出対象物、電極セル14のサイズ、さらには用途等により適宜設定されるものである。
【0042】
図5(a)に示すように、前記電極シート8には、70個の電極セル14がマトリクス状に配列され、前記電圧印加電極12の任意の列に電圧を印加したときに前記電圧検出電極13の任意の行から検出される電流により対応する電極セル14における圧力が算出される。列方向に配列された電極セル14は、その電圧印加電極12の一辺が共用され、行方向の間隔が0.2mmに設定されており、上述のリードパターンを含めた全パターン面積に対する計測点面積の割合が約82パーセントと高密度に構成されている。
【0043】
前記電極セル14は両電極12、13が縦横の中心線に対して線対象に形成され、前記電極シート8に等しい姿勢で配列されているため、何れの電極セル14においても出力特性が等しく、従って、前記感圧導電性部材7に対してどのような部位が押圧されても、精度良く安定した出力を得ることができる。
【0044】
前記圧力伝達部材30は、図7及び図9(a)に示すように、前記感圧導電性部材7に面接触する接触部31と、前記接触部31の中心から前記法線方向に延出形成され前記弾性被覆層9を介して付与される外力を前記接触部31に伝達する伝達部32を備えたアクリル系樹脂でなる剛体で構成され、図9(a)、(b)に示すように、前記接触部31の中心と前記感圧導電性部材7を挟んで直交方向に隣接する四つの電極セル14の中心が一致するように対向配置されている。尚、図9では、図5及び図6で示した電極セル14のセルサイズを3.2mm×1.8mmとして、列方向にも0.2mmの間隔で配列されている場合を示す。
【0045】
前記接触部31は縦y2=5.0mm、横x2=3.0mm、高さz2=1.5mmの直方体で、前記伝達部32は縦y1=1.5mm、横x1=1.5mm、高さz1=3.0mmの直方体でそれらがアクリル樹脂等の絶縁性材料により一体的に成形され、そのヤング率は、100MPa以上に設定されている。
【0046】
前記圧力伝達部材30は、鋳込み成形法や光造形法により一体成形することが可能である。
【0047】
前記弾性被覆層9は、厚さが約5.5mmに設定され、前記感圧導電性部材7上に位置決め配置された圧力伝達部材30の上からシリコーンゴムを流し込んで硬化成形され、そのヤング率が、前記感圧導電性部材7のヤング率の50%から400%の範囲のものが使用されている。
【0048】
弾性被覆層を構成する材料のヤング率が小さ過ぎる場合には、対象物からの圧力を圧力伝達部材に伝えることが困難となるばかりか、僅かな圧力でも対象物と圧力伝達部材間で剪断破断される虞がある。逆にヤング率が大き過ぎる場合には、対象物からの圧力が伝達されるべき圧力伝達部材のみならず周辺の圧力伝達部材にも分散して伝達されるようになり、圧力検出精度及び分解能が低下する虞がある。
【0049】
上述の範囲であれば、感圧導電性部材との整合性が良好で、対象物から付与される想定範囲内の圧力で剪断破断されることなく、対象物からの圧力が伝達されるべき圧力伝達部材に対して良好に圧力を伝達することができるとともに、周辺の圧力伝達部材への影響が極力低減され、良好な圧力検出精度及び分解能を実現することができるようになる。
【0050】
本実施形態では、前記感圧導電性部材7のヤング率が0.2MPa、前記弾性被覆層9のヤング率が0.6MPa(タイプAデュロメータによる硬度20)のシリコーンゴムが採用されている。尚、ヤング率は、JIS規格表にあるJISK6254「加硫ゴムの低変形における応力・ひずみ試験方法」に基づいて計測され、具体的にはJIS規格に準拠した試験機により計測した荷重と変位の数値に基づきヤング率へ換算されるものである。また、前記圧力伝達部材30は、前記感圧導電性部材7や前記弾性被覆層9と比較してそのヤング率は非常に大きな値となるため、前記感圧導電性部材7や前記弾性被覆層9に対して剛体とみなすことができる。
【0051】
従って、上述の触覚センサAは、電極セル群を構成する四つの電極セル14と一つの圧力伝達部材30でなる触覚センサユニットaの複数がマトリクス状に配列されて構成され、前記圧力分布情報検出装置C1は、前記圧力伝達部材30に対向配置された隣接する電極セル群で検出されるインピーダンス値に基づいて、付与される圧力の法線方向成分及び接線方向成分を算出し、各電極セル群について算出された法線方向成分及び接線方向成分の圧力分布パターンに基づいて対象物の形状または動きを算出する演算処理部となる。
【0052】
詳述すると、前記ユニバーサルロボットハンド20の把持動作に伴って各フィンガーユニットの腹部に付与される対象物からの圧力は、前記弾性被覆層9を介して前記圧力伝達部材30の伝達部32に加えられる。前記対象物からの圧力の法線方向成分は前記伝達部32により前記接触部31全体に伝達され、前記接触部31の全面で前記感圧導電性部材7が押圧される。前記対象物からの圧力の接線方向成分は前記伝達部32により前記接触部31の中心を支点として前記接触部31に傾きを生じさせ、前記接触部31により傾きに応じた押圧力が前記感圧導電性部材7に加えられ、前記電極シート8の各電極セル14は、夫々に対向する前記感圧導電性部材7のインピーダンスに基づき圧力を検出する。
【0053】
例えば、図10に示すように、対象物Bが弾性被覆層9に付与されたときにおける各電極セル14で検出される圧力分布Dを例示する。尚、図10では、触覚センサAを構成する各電極セル14に対応して分割された区画毎に検出される圧力が、濃度が濃いほど高圧力となる濃度パターンで示されている。また、前記圧力分布Dの個々の太枠dは、四つの電極セル14で構成される電極セル群毎、換言すると、触覚センサユニットa毎の区切りを示す。
【0054】
前記電極セル14からの圧力情報が前記圧力分布情報検出装置C1に入力されると、前記圧力分布情報検出装置C1は、各電極セル群で圧力の法線方向成分及び接線方向成分を算出するとともに、対象物の形状または動きを算出する。例えば、図11(a),(b),(c)に示すような特性が検出されたときには、その圧力分布Dに基づき、対象物Bの少なくとも弾性被覆層9との接触面は球面上であり、図11正面に向かって、前記弾性被覆層9上を左から右へと移動していると判断することができる。
【0055】
また、電極セルのサイズに対して極めて大きな対象物から接線方向成分を持った圧力が電極セルの配列方向に平行に加えられると、当該配列方向に配列される圧力伝達部材の全てが当該接線方向に傾斜し、その方向に配列された電極セルからは、図12に示すような山型の圧力波形が得られる。このとき、各電極セルには法線方向成分の圧力と、接線方向成分が法線方向に変換された圧力との加算値が検出されているため、同じ圧力伝達部材により押圧される隣接する電極セル間の山側の値と谷側の値の加算平均処理により法線方向成分が、減算平均処理により接線方向成分が算出される。このような値や山側(谷側)から谷側(山側)に変化する傾斜角度に基づいて、対象物からの法線方向及び接線方向圧力及び形状などの情報を得ることができるのである。
【0056】
以下に、圧力伝達部材の種々の形状に対して水平方向荷重をかけた場合に生じる歪を有限要素法により解析した結果(第一から第五まで)を説明する。
【0057】
上述の触覚センサに用いる圧力伝達部材の形状等の適合性について、有限要素法を用いて解析した。図13に示すように、所定のメッシュサイズに分割された解析平面Eに、剛体平板F上に三つの圧力伝達部材30が併置された接触センサAモデルを構築し、接触センサAモデルの下方から1.5Nの等分布荷重をかけるとともに剛体平板を2mm/sec.で移動させたとき、図14で示すように、前記弾性被覆層9を介して前記圧力伝達部材30に付加される圧力により感圧導電性部材7に生じる歪分布に基づき、前記感圧導電性部材7に与えられる歪を算出したものである。
【0058】
〔第一解析結果〕y1=1.5mm、y2=5.0mm、z1=1.5mm、z2=3.0mmと設定し、弾性被覆層9のヤング率を0.1MPaから0.6MPaまで変化させて解析を行ったところ、図15に示すように、前記感圧導電性部材7に与えられる歪は、弾性被覆層9のヤング率が大きくなるに従って若干低下する傾向にあるが、この範囲では問題なく検出できることが明らかになった。
【0059】
弾性被覆層のヤング率が小さ過ぎる場合には、対象物からの圧力を圧力伝達部材に伝えることが困難となるばかりか、僅かな圧力でも対象物と圧力伝達部材間で剪断破断される虞がある。逆にヤング率が大き過ぎる場合には、対象物からの圧力が伝達されるべき圧力伝達部材のみならず周辺の圧力伝達部材にも分散して伝達されるようになり、圧力検出精度及び分解能が低下する虞がある。そこで、対象物から付与される想定範囲内の圧力で剪断破断されることなく、対象物からの圧力が伝達されるべき圧力伝達部材に対して良好に圧力を伝達するべく、弾性被覆層のヤング率を感圧導電性部材のヤング率の50%から400%の範囲に設定するものであるが、上述の解析の結果、問題なく検出できることが判明した。
【0060】
〔第二解析結果〕弾性被覆層のヤング率を0.6MPa、y1=1.5mm、z1=1.5mm、z2=3.0mmと設定し、y2を3mmから6mmまで変化させて解析を行ったところ、図16(a)に示すように、前記感圧導電性部材7に与えられる歪は、y2が4mmとなるとき、最大となり、5mm以上では急激に小さくなる特性が明らかになった。圧力の接線方向成分が弾性被覆層により減衰されるためとであると理解される。このような傾向は、図示しないが、異なるヤング率に対して行なっても同様の結果が得られている。
【0061】
〔第三解析結果〕弾性被覆層9のヤング率を0.6MPa、y1=1.5mm、y2=5.5mm、z2=2.0mmと設定し、z1を0mmから2.5mmまで変化させて解析を行ったところ、図16(b)に示すように、前記感圧導電性部材7に与えられる歪は、z1が大きくなるほど高い値となる特性が見られる。
【0062】
〔第四解析結果〕弾性被覆層9のヤング率を0.6MPa、y2=4.0mm、z1=3.0mm、z2=1.5mmと設定し、y1を1mmから4mmまで変化させて解析を行ったところ、図17(a)に示すように、前記感圧導電性部材7に与えられる歪は、y1大きくなるに連れて低下する傾向が見られた。このような傾向は、図示しないが、異なるヤング率に対して行なっても同様の結果が得られている。この場合にも圧力の接線方向成分が弾性被覆層により減衰されるためとであると理解される。
【0063】
〔第五解析結果〕弾性被覆層9のヤング率を0.6MPa、y1=1.5mm、y2=4.0mm、z1+z2=4.5mmと設定し、z1を1mmから4mmまで変化させて解析を行ったところ、図17(b)に示すように、前記感圧導電性部材7に与えられる歪は、z1が増加するほど高い値となる特性が明らかになった。上述した単純二次元モデルが実証されたものである。しかし、z1+z2が一定の制限下では機械的強度等を勘案して適切な値を採用する必要がある。
【0064】
以上に示す解析結果、種々の実験、及び部材の機械的強度を比較勘案した結果、前記圧力伝達部材は、前記接触部は前記電極セルとの対向領域のうち前記電極セルの配列方向に沿う最大長さが各電極セルの配列方向長さの40%から80%の範囲に設定され、前記対向領域の面積が少なくとも前記電極セルの面積の15%から65%の範囲に設定されるのが好ましい。また、前記電極セルの配列方向に沿う最大長さが各電極セルの配列方向長さの50%から75%の範囲に設定され、前記対向領域の面積が少なくとも前記電極セルの面積の25%から57%の範囲に設定されるのがより好ましい。
【0065】
また、前記圧力伝達部材は、前記伝達部が前記接触部の最大径より小径で前記接触部の面中心から前記法線方向に延出形成されるとともに、前記圧力伝達部材の前記法線方向高さが前記接触部の最大径の40%から100%の範囲に設定されるのが好ましく、75%から95%の範囲がより好ましい。尚、径とは矩形に形成された接触部または圧力伝達部の法線に対する横断面形状が矩形の場合にはその対角線の長さを、円形の場合には半径を示す(以下、同様)。
【0066】
さらに、前記圧力伝達部材は、前記伝達部の径が前記接触部の最大径の20%から60%の範囲に設定されるのが好ましく、25%から50%の範囲に設定されるのがより好ましい。
【0067】
さらに、前記圧力伝達部材は、前記伝達部の前記法線方向に沿った高さが前記圧力伝達部材の高さの60%から90%の範囲に設定されるのが好ましく、65%から70%の範囲に設定されるのがより好ましい。
【0068】
以下、別実施形態を説明する。上述した実施形態では、弾性被覆層をシリコーンゴムにより構成するものを説明したが、弾性被覆層のヤング率が感圧導電性部材7のヤング率の50%から400%の範囲のものであれば、これに制限されるものではなく、他にウレタン、天然ゴム等を採用することができ、ウレタンゲルのようなエラストマーゲル状物質を採用するものであってもよい。これらは、接触センサの用途等に応じて適宜選択されるもので、その柔軟性や厚み等の諸特性も用途に応じて適宜設定することができる。
【0069】
また、シート状の感圧導電性部材の組成、厚み、電極セルのサイズ、電極パターンの幅、電圧印加電極と前記電圧検出電極の形状等は、本発明の作用効果が奏される範囲において適宜変更して構成することが可能である。例えば、電極セルの形状は長方形に限るものではなく正方形としてもよく、さらには円形を採用するものであってもよい。
【0070】
上述した実施形態では、圧力伝達部材を、接触部31を縦y2=5.0mm、横x2=3.0mm、高さz2=1.5mmの直方体で、前記伝達部32を縦y1=1.5mm、横x1=1.5mm、高さz1=3.0mmの直方体で構成するものを説明したが、これらの数値は上述した範囲内で適宜設定することが可能であり、その形状も上述した範囲内に収まる限りにおいて、また電極セルの形状との関係において適宜変更することができる。例えば、接触部の形状として正方形を採用してもよいし、伝達部の断面形状として長方形を採用するものであってもよい。さらには伝達部の形状を円柱形状としてもよいし、上端側ほど縮径された円錐台形状に形成するものであってもよい。
【0071】
上述の触覚センサは、極限作業から家庭内での家事まで人間の作業を補完可能なヒューマノイドロボットのハンドに好適なものであるが、対象物との法線方向及び接線方向の接触圧や接触位置を検出する触覚センサとして幅広く使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】ロボットハンドの説明図
【図2】ロボットハンドの説明図
【図3】指体の説明図
【図4】触覚センサの説明図
【図5】電極セルが配置された電極シートの説明図であり、(a)は電極シートの全体のパターン図、(b)は第二基板のパターン図を示す
【図6】電極セルの説明図
【図7】圧力伝達部材の説明図
【図8】圧力伝達部材の説明図
【図9】(a)圧力伝達部材の説明図、(b)圧力伝達部材の説明図
【図10】対象物が付与された際の触覚センサの圧力分布図
【図11】対象物が付与された際の触覚センサの圧力分布図
【図12】触覚センサによる圧力検出特性図
【図13】触覚センサの有限要素法による解析の説明に用いる図
【図14】触覚センサの有限要素法による解析の説明に用いる図
【図15】弾性被覆層のヤング率と感圧導電性部材に与えられる歪の関係の説明に用いるグラフ
【図16】(a)圧力伝達部材の接触部の一辺の長さと感圧導電性部材に与えられる歪の関係を示すグラフ、(b)圧力伝達部材の伝達部の高さと感圧導電性部材に与えられる歪の関係を示すグラフ
【図17】(a)圧力伝達部材の伝達部の一辺の長さと感圧導電性部材に与えられる歪の関係を示すグラフ、(b)圧力伝達部材の伝達部の高さと感圧導電性部材に与えられる歪の関係を示すグラフ
【図18】(a)従来例を示す触覚センサの構成図、(b)従来例を示す触覚センサの構成図
【符号の説明】
【0073】
7:感圧導電性部材
8:電極シート
9:弾性被覆層
14:電極セル
30:圧力伝達部材
31:接触部
32:伝達部
A:触覚センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
押圧により抵抗値が変化するシート状の感圧導電性部材と、前記感圧導電性部材の一側面に配置され、前記感圧導電性部材のインピーダンスを検出する複数の電極セルが所定方向に配列された電極シートと、前記感圧導電性部材を挟んで隣接する電極セル間に跨るように対向配置され、前記感圧導電性部材を加圧する複数の圧力伝達部材と、前記圧力伝達部材を被覆する弾性被覆層とを備え、前記弾性被覆層により前記圧力伝達部材が感圧導電性部材の法線方向及び接線方向に変位自在に支持されている触覚センサ。
【請求項2】
前記弾性被覆層のヤング率が前記感圧導電性部材のヤング率の50%から400%の範囲に設定されている請求項1記載の触覚センサ。
【請求項3】
前記圧力伝達部材は、前記感圧導電性部材に面接触する接触部と、前記接触部から前記法線方向に延出形成され前記弾性被覆層を介して付与される外力を前記接触部に伝達する伝達部を備えた剛体で構成され、前記接触部は前記電極セルとの対向領域のうち前記電極セルの配列方向に沿う最大長さが各電極セルの配列方向長さの40%から80%の範囲に設定され、前記対向領域の面積が少なくとも前記電極セルの面積の15%から65%の範囲に設定されている請求項1または2記載の触覚センサ。
【請求項4】
前記圧力伝達部材は、前記伝達部が前記接触部の最大径より小径で前記接触部の面中心から前記法線方向に延出形成されるとともに、前記圧力伝達部材の前記法線方向高さが前記接触部の最大径の40%から100%の範囲に設定されている請求項3記載の触覚センサ。
【請求項5】
前記圧力伝達部材は、前記伝達部の径が前記接触部の最大径の20%から60%の範囲に設定されている請求項4記載の触覚センサ。
【請求項6】
前記圧力伝達部材は、前記伝達部の前記法線方向に沿った高さが前記圧力伝達部材の高さの60%から90%の範囲に設定されている請求項4または5記載の触覚センサ。
【請求項7】
各圧力伝達部材に対向配置された隣接する電極セル群で検出されるインピーダンス値に基づいて、付与される圧力の法線方向成分及び接線方向成分を算出し、各電極セル群について算出された法線方向成分及び接線方向成分の圧力分布パターンに基づいて対象物の形状または動きを算出する演算処理部を備えている請求項1から6の何れかに記載の触覚センサ。

【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図13】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図14】
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【公開番号】特開2008−128940(P2008−128940A)
【公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−316876(P2006−316876)
【出願日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 2006年9月14日 社団法人 日本ロボット学会発行の「第24回日本ロボット学会学術講演会 予稿集CD−ROM」に発表
【出願人】(504150450)国立大学法人神戸大学 (421)
【出願人】(592216384)兵庫県 (258)
【出願人】(594087274)神戸市 (8)
【出願人】(591212349)株式会社原子力エンジニアリング (16)
【出願人】(596132721)財団法人近畿高エネルギー加工技術研究所 (18)
【Fターム(参考)】