説明

計測可視化システム、及びヘッドマウントディスプレイ

【課題】通信データ量を抑制しつつ、センサノードの配置位置を容易に推定して収集結果を可視化することが可能な計測可視化システム、及びヘッドマウントディスプレイを提供する。
【解決手段】一定周期監視用のタイマが起動された(S31)後、周期未到来の状態では(S33:NO)、センサネットワークを構成するセンサノードより、計測値を含む転送データを受信したかが判断される(S39)。転送データを受信している場合には(S39:YES)、転送データに含まれるセンサID、中継回数、及び計測値情報がフラッシュメモリに記憶される(S40、S43)。一方周期が到来した場合には(S33:YES)、受信した中継回数に基づいてセンサノードの配置位置が特定され、特定された配置位置と計測値情報とがヘッドマウントディスプレイを装着した観測者に表示され、視認される(S36)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、計測可視化システム及びヘッドマウントディスプレイに関する。そしてより詳細には、簡易な方法でセンサネットワークを構成するセンサノードの配置状態を特定し、計測値とともに可視化することが可能な計測可視化システム、及びヘッドマウントディスプレイに関する。
【背景技術】
【0002】
従前より、センサノード(センサ、及び無線機能を少なくとも備えた装置)を広範囲に分布させ、計測された計測値(温度、湿度、気圧、画像など)をノード間で無線により通信させる、所謂センサネットワークが注目されている。センサネットワークにより、今まで把握できなかった場所、人や物、環境など様々なものの状態や情報をリアルタイムに取得することが可能となる。これにより、人の流れや環境情報、災害情報、防犯情報、設備・施設情報をリアルタイムに把握することが可能となる。
【0003】
センサネットワークでは、センサノードにて計測された各種計測値を、その配置位置に対応付けて把握することが必要となる。ここでセンサノードの配置位置が不明である場合、無線電波の電界強度から移動体の位置を認識する方法(特許文献1参照)に基づき、センサノードまでの距離を算出して位置を判断することにより、センサノードの配置位置を推定することが可能となる。
【特許文献1】特開2008−124995号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら上述の方法では、センサノードに電界強度を測定するための手段が別途必要となってしまうという問題点がある。また、個々のセンサノードの通信距離は短く、通常は1つのセンサノードから他のセンサノードに計測値を次々に転送し、これを繰り返して目的の端末に計測値を伝送する。このため、端末に直接無線電波が届き、距離が測定できるセンサノードはセンサネットワークの一部のみであり、大半のセンサノードからは直接無線電波が届かないため、位置を特定することができないという問題点がある。
【0005】
本発明は上述の問題点を解決するためになされたものであり、電界強度を測定する手段を要せず、センサノードの配置位置を推定して収集結果を可視化することが可能な計測可視化システム、及びヘッドマウントディスプレイを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の問題点を解決するために、請求項1に係る発明の計測可視化システムは、センサネットワークを構成するセンサノードにて計測された計測値をヘッドマウントディスプレイにて収集することにより、収集結果を可視化する計測可視化システムであって、前記センサノードは、所定の物理量を計測する計測手段と、前記ヘッドマウントディスプレイに対して送信されるデータであって、前記計測手段にて計測された計測値の情報である計測値情報と、前記センサノード間を前記データが中継転送された場合の中継回数の情報である中継回数情報とを少なくとも含むデータである転送データを送信するセンサ送信手段と、他の前記センサノードより送信された前記転送データを受信するセンサ受信手段と、前記センサ受信手段にて受信された前記転送データを前記センサ送信手段にて送信することにより、前記ヘッドマウントディスプレイに前記転送データを中継転送する場合に、前記受信された転送データに含まれている前記中継回数情報を更新する中継更新手段とを備え、前記ヘッドマウントディスプレイは、前記センサ送信手段にて送信された前記転送データを受信するディスプレイ受信手段と、前記ディスプレイ受信手段にて受信された前記転送データに含まれる前記計測値情報と前記中継回数情報とを対応付けて記憶手段に記憶する記憶制御手段と、前記記憶手段に記憶された前記中継回数情報に基づき、前記センサノードと前記ヘッドマウントディスプレイとの間の距離に関連する指標であるセンサ距離指標を特定する距離指標特定手段と、前記計測値情報にて特定される前記計測値と、前記計測値情報に対応付けられた前記中継回数情報に基づき前記距離指標特定手段にて特定された前記センサ距離指標とを、表示手段に表示させる表示制御手段とを備えている。
【0007】
また、請求項2に係る発明の計測可視化システムは、請求項1に記載の発明の構成に加えて、前記距離指標特定手段は、前記中継回数情報にて特定される前記中継回数に所定値を乗算した値を、前記センサ距離指標とすることを特徴とする。
【0008】
また、請求項3に係る発明の計測可視化システムは、請求項1又は2に記載の発明の構成に加えて、前記ヘッドマウントディスプレイは、前記記憶手段に記憶された前記計測値情報の数を、前記中継回数情報にて特定される前記中継回数毎に累計する累計手段と、前記累計手段にて累計された前記計測値情報の数である累計数の前記中継回数毎の分布の傾向に基づいて、前記センサノードの配置状態を特定する配置状態特定手段とを備え前記表示制御手段は、前記配置状態特定手段にて前記配置状態が特定された場合には、特定された前記配置状態を前記表示手段に表示させることを特徴とする。
【0009】
また、請求項4に係る発明の計測可視化システムは、請求項3に記載の発明の構成に加えて、前記配置状態特定手段は、所定の前記中継回数である第一中継回数に対応する前記累計数である第一累計数と、前記第一中継回数よりも大きい前記中継回数であって所定の前記中継回数である第二中継回数に対応する前記累計数である第二累計数とを比較する累計数比較手段と、前記累計数比較手段にて前記累計数が比較された結果、前記第一累計数が前記第二累計数以上である場合に、前記センサノードが前記ヘッドマウントディスプレイを取り囲むような配置になっていると判断し、前記第一累計数の方が前記第二累計数と比較して小さい場合に、前記センサノードが前記ヘッドマウントディスプレイの特定の方向への配置になっていると判断する相対配置判断手段とを備えている。
【0010】
また、請求項5に係る発明のヘッドマウントディスプレイは、センサネットワークを構成するセンサノードにて計測された計測値を収集し、収集結果を可視化するヘッドマウントディスプレイであって、前記センサノードより送信されたデータであって、前記センサノードにて計測された計測値の情報である計測値情報と、前記センサノード間を前記データが中継転送された場合の中継回数の情報である中継回数情報とを少なくとも含むデータである転送データを受信するディスプレイ受信手段と、前記ディスプレイ受信手段にて受信された前記転送データに含まれる前記計測値情報と前記中継回数情報とを対応付けて記憶手段に記憶する記憶制御手段と、前記記憶手段に記憶された前記中継回数情報に基づき、前記センサノードと前記ヘッドマウントディスプレイとの間の距離指標であるセンサ距離指標を特定する距離指標特定手段と、前記計測値情報にて特定される前記計測値と、前記計測値情報に対応付けられた前記中継回数情報に基づき前記距離指標特定手段にて特定された前記センサ距離指標とを、表示手段に表示させる表示制御手段とを備えている。
【0011】
また、請求項6に係る発明のヘッドマウントディスプレイは、請求項5に記載の発明の構成に加えて、前記距離指標特定手段は、前記中継回数情報にて特定される前記中継回数に所定値を乗算した値を、前記センサ距離指標と判断することを特徴とする。
【0012】
また、請求項7に係る発明のヘッドマウントディスプレイは、請求項5又は6に記載の発明の構成に加えて、前記記憶手段に記憶された前記計測値情報の数を、前記中継回数情報にて特定される前記中継回数毎に累計する累計手段と、前記累計手段にて累計された前記計測値情報の数である累計数の前記中継回数毎の分布の傾向に基づいて、前記センサノードの配置状態を特定する配置状態特定手段とを備えている。
【0013】
また、請求項8に係る発明のヘッドマウントディスプレイは、請求項7に記載の発明の構成に加えて、前記配置状態特定手段は、所定の前記中継回数である第一中継回数に対応する前記累計数である第一累計数と、前記第一中継回数よりも大きい前記中継回数であって所定の前記中継回数である第二中継回数に対応する前記累計数である第二累計数とを比較する累計数比較手段と、前記累計数比較手段にて前記累計数が比較された結果、前記第一累計数が前記第二累計数以上である場合に、前記センサノードが前記ヘッドマウントディスプレイを取り囲むような配置になっていると判断し、前記第一累計数の方が前記第二累計数と比較して小さい場合に、前記センサノードが前記ヘッドマウントディスプレイの特定の方向への配置になっていると判断する相対配置判断手段とを備えている。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に係る発明の計測可視化システムでは、センサノード間を中継転送された転送データがヘッドマウントディスプレイにて収集される。そして、転送データに含まれている中継転送の回数に基づき、ヘッドマウントディスプレイからセンサノードまでがどの程度離れているのかを示す距離指標が判断される。そして、収集された計測値と特定された距離指標とが表示手段に表示される。これにより、収集された計測値がヘッドマウントディスプレイからの距離指標に対応付けられた状態の映像を、ヘッドマウントディスプレイのユーザに視認させることが可能となる。
【0015】
また、請求項2に係る発明の計測可視化システムでは、ヘッドマウントディスプレイは、距離計測等の複雑な制御を行うことなく、簡易にセンサノードまでの距離を推定することが可能となる。これにより、請求項1に記載の発明の効果に加えて、収集された計測値とセンサノードまでの距離とをヘッドマウントディスプレイのユーザに視認させることが可能となる。
【0016】
また、請求項3に係る発明の計測可視化システムでは、ヘッドマウントディスプレイは、周囲に配置された状態のセンサノードの配置状態を認識することが可能となる。これにより、請求項1又は2に記載の発明の効果に加えて、収集された計測値とセンサノードの配置状態とを示す映像とを、ヘッドマウントディスプレイのユーザに視認させることが可能となる。
【0017】
また、請求項4に係る発明の計測可視化システムでは、ヘッドマウントディスプレイの周辺のセンサノードの累計数の状態に応じて、センサノードの配置状態も推定することが可能となる。これにより、請求項3に記載の発明の効果に加えて、センサノードにより計測された計測値とセンサノードの配置状態とを示す映像を、ヘッドマウントディスプレイのユーザに視認させることが可能となる。
【0018】
また、請求項5に係る発明のヘッドマウントディスプレイでは、センサノード間を中継転送された転送データを受信する。そして、転送データに含まれている中継転送の回数に基づいてヘッドマウントディスプレイからセンサノードまでの距離指標を判断する。これにより、収集された計測値と判断された距離指標とを示す映像を、ユーザに視認させることが可能となる。
【0019】
また、請求項6に係る発明のヘッドマウントディスプレイでは、請求項5に記載の発明の効果に加えて、距離計測等の複雑な制御を行うことなく、簡易にセンサノードまでの距離指標を算出することが可能となる。これにより、収集された計測値とセンサノードまでの距離指標とを示す映像とを、ユーザに視認させることが可能となる。
【0020】
また、請求項7に係る発明のヘッドマウントディスプレイでは、請求項5又は6に記載の発明の効果に加えて、周囲に配置された状態のセンサノードの配置分布の状態を認識することが可能となる。これにより、収集された計測値とセンサノードの配置状態を示す映像とを、ユーザに視認させることが可能となる。
【0021】
また、請求項8に係る発明のヘッドマウントディスプレイでは、請求項7に記載の発明の効果に加えて、ヘッドマウントディスプレイの周辺のセンサノードの累計数の状態に応じて、センサノードの配置状態を視認特定することが可能となる。これにより、センサノードにより計測された計測値とセンサノードの配置状態とを示す映像を、ユーザに視認させることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の計測可視化システム及びヘッドマウントディスプレイの実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、これらの図面は、本発明が採用しうる技術的特徴を説明するために用いられるものであり、記載されている装置の構成、各種処理のフローチャートなどは、特に特定的な記載がない限り、それのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例である。
【0023】
図1を参照し、計測可視化システム1の概要について説明する。図1は、計測可視化システム1の概要を示す模式図である。
【0024】
図1に示すように、計測可視化システム1は、複数のセンサノード6(601〜605等)とヘッドマウントディスプレイ2とから構成される。センサノード6は、計測機能と無線通信機能を有する。センサノード6は、計測された計測値の情報(以下「計測値情報」という。)を無線通信により収集可能な、所謂センサネットワークを構成している。計測可視化システム1では、計測値情報はヘッドマウントディスプレイ2にて収集される。収集された計測値情報は、センサノード6の配置位置の情報とともに、観測者3に対して表示される。これにより観測者3は、可視化された計測値情報とセンサの配置位置とを認識可能となる。センサノード6にて計測される物理量としては特に限定されず、例えば、温度、湿度、圧力等が挙げられる。
【0025】
個々のセンサノード6間の通信方式について概説する。センサノード6にて所定の物理量が計測された場合、計測された計測値情報は、無線によりヘッドマウントディスプレイ2に対して送信される。ここで、ヘッドマウントディスプレイ2とセンサノード6との間の距離が離れており、センサノード6が直接ヘッドマウントディスプレイ2と無線通信を行うことが不可能である場合、計測値情報は通信可能な隣接するセンサノード6間を中継転送され、ヘッドマウントディスプレイ2に収集される。具体的には、図1に示すように、センサノード601にて物理量が計測された場合、計測値情報を含む通信データ(以下「転送データ」という。)は、隣接する通信可能な他のセンサノード(例えばセンサノード602)に対して無線送信される。次いで、この転送データを受信したセンサノード602は、さらに隣接する通信可能な他のセンサノード(例えばセンサノード603)に対して、受信した転送データを無線送信する。これを繰り返すことにより(センサノード604、センサノード605)、転送データはヘッドマウントディスプレイ2に対して中継転送される。以上のような通信が行われることにより、ヘッドマウントディスプレイ2は計測値情報を収集可能となっている。
【0026】
なお、本発明の通信方式は特定の中継転送方式に限定されるものではなく、従来周知の様々な無線中継転送方式が使用可能である。従って上記通信方式(フラッディング方式)のほか、中継先のセンサノード6を特定して転送データを送信することにより中継伝送を行うルーティング方式も使用可能である。
【0027】
また本発明の計測可視化システム1では、センサノード6間は無線により通信が行われていたが、本発明はこれに限定されず、有線を介して通信が行われる構成としてもかまわない。
【0028】
ヘッドマウントディスプレイ2における計測値情報表示方法について概説する。転送データを受信した場合、ヘッドマウントディスプレイ2では、計測値情報とともに転送データの中継回数(センサノード6にて中継転送された回数)が取得される。なお中継回数は、転送データに予め含まれており、センサノード6にて中継転送される場合において更新される(詳細は後述する。)。ヘッドマウントディスプレイ2では、取得された中継回数に基づいて、ヘッドマウントディスプレイ2とセンサノード6とがどの程度離れているかを示す距離指標として推定される。すなわち、中継回数が多いほどセンサノード6までは離れていて距離が遠いと推定される。そして、受信された計測値情報とともに、推定された距離指数が、ヘッドマウントディスプレイ2に表示される。これにより、センサノード6にて計測された計測値情報とセンサノード6の配置状態とを示す映像を、ヘッドマウントディスプレイ2を装着したユーザに対して視認させることが可能となる。
【0029】
図2を参照し、ヘッドマウントディスプレイ2の概略構成について説明する。図2は、ヘッドマウントディスプレイ2の外観構成を示した図である。
【0030】
図2に示すように、ヘッドマウントディスプレイ2は、画像信号に応じて変調されたレーザ光(以下「画像光4」という。)を走査させて出射させ、観測者3の少なくとも一方の眼の網膜に画像を直接投影する。これにより、観測者3に画像を視認させる。図2に示すように、ヘッドマウントディスプレイ2は、画像信号に応じて画像光4を出射する出射装置100と、その出射装置100から出射された画像光4を導くと共に、その画像光4を観測者3の眼に向かって反射させるプリズム151と、出射装置100及びプリズム151を支持する支持部材200とを少なくとも備えている。
【0031】
出射装置100は、画像光4をプリズム151に対し出射させる。プリズム151は、出射装置100に対して固定的な位置にあり、その出射装置100から出射された画像光4を導き、その画像光4を観測者3の眼に向かって反射させる。プリズム151は、図示しないビームスプリッタ部を備えており、外界からの外光5を透過させ、観測者3の眼に導く。プリズム151は、観測者3の側方から入射された画像光4を観測者3の眼に入射させると共に、外界からの外光5を観測者3の眼に入射させる。これにより、実際の視界はもちろん、出射装置100から出射された画像光4に基づく画像が視認可能となる。
【0032】
なお本実施形態においては、プリズム151によって外光5と画像光4とを同時に視認することができるような構成とした。しかしながら本発明はこの構成に限定されず、例えば、プリズム151に代えてハーフミラーを用いることもできる。これにより、出射装置100からの画像光4はハーフミラーに反射させて観測者3の眼に入射させると共に、外光5はハーフミラーを透過させて観測者3の眼に入射させることが可能となる。
【0033】
また本実施形態においては、ヘッドマウントディスプレイとして、網膜走査を用いたシースルーのヘッドマウントディスプレイを例に挙げて説明したが、本発明はこの例に限定されず、例えば、反射型LCDを利用したヘッドマウントディスプレイであってもよい。
【0034】
図3を参照し、ヘッドマウントディスプレイ2の電気的構成について説明する。図3は、ヘッドマウントディスプレイ2の電気的構成を示す模式図である。
【0035】
図3に示すように、ヘッドマウントディスプレイ2は、観測者3に画像を視認させる表示部40、各種操作やデータの入力を行うための入力部41、センサノード6と無線通信を行い転送データを受信するための近距離無線通信部43、受信した転送データの情報や表示部40に表示される画像(グラフィック)などのイメージデータ等が記憶されるフラッシュメモリ49、ヘッドマウントディスプレイ2全体を制御する制御部46、及び電源部47を備えている。
【0036】
表示部40は、観測者3に視認させるための映像の情報(以下「映像情報」という。)を制御部46より受信し、観測者3の網膜に直接投影させるために必要な各信号に変換する為の映像信号処理部70、レーザ光を出力するレーザ群72(青色出力レーザ(Bレーザ)721、緑色出力レーザ(Gレーザ)722、赤色出力レーザ(Rレーザ)723)、及び、レーザ群72よりレーザ光を出力させるための制御を行うレーザドライバ群71を備えている。そして、映像信号処理部70の制御により、所望のレーザ光を所望のタイミングで出力させることが可能なように、映像信号処理部70はレーザドライバ群71と電気的に接続されている。またレーザドライバ群71は、Bレーザ721、Gレーザ722、及びRレーザ723と其々電気的に接続されている。また、映像信号処理部70が制御部46より映像信号を受信することが可能なように、映像信号処理部70と制御部46とはバスを介して電気的に接続されている。
【0037】
表示部40は、レーザ群72より出力されたレーザ光を垂直方向に反射させることによって走査を行うガルバノミラー812及びガルバノミラー812の駆動制御を行う垂直走査制御回路811、レーザ群72より出力されたレーザ光を水平方向に反射させることによって走査を行うガルバノミラー792及びガルバノミラー792の駆動制御を行う水平走査制御回路791を備えている。そして、映像信号処理部70の制御により、所望の方向にレーザ光を反射させることが可能なように、映像信号処理部70と垂直走査制御回路811及び水平走査制御回路791とは其々電気的に接続されている。また、垂直走査制御回路811はガルバノミラー812と電気的に接続されている。また、水平走査制御回路791はガルバノミラー792と電気的に接続されている。
【0038】
表示部40は、観測者3が視認する画像の奥行きを調整する為にレーザ光の波面曲率(拡がり具合)を変調する為の波面曲率変調部78及び波面曲率変調部78を駆動させるための波面曲率駆動回路83を備えている。そして、映像信号処理部70よりレーザ光を所望の変調度合にて変調させることが可能なように、映像信号処理部70は波面曲率駆動回路83と電気的に接続されている。また波面曲率駆動回路83は波面曲率変調部78と電気的に接続されている。
【0039】
入力部41は、各種機能キーなどからなる操作ボタン群50、操作ボタン群50のキーが操作されたことを検出し、制御部46に通知する入力制御回路51を備えている。そして、操作ボタン群50のキーに入力された情報を制御部46にて認識することが可能なように、操作ボタン群50は入力制御回路51と電気的に接続されている。また入力制御回路51は制御部46と電気的に接続されている。
【0040】
近距離無線通信部43は、センサノード6との間で無線電波の送受信を行う近距離無線通信モジュール57と、この近距離無線通信モジュール57を制御し、転送データを受信する近距離無線通信制御回路58とを備えている。そして、制御部46にて転送データを取得することが可能なように、制御部46と近距離無線通信制御回路58とはバスを介して電気的に接続されている。また、近距離無線通信モジュール57は近距離無線通信制御回路58と電気的に接続されている。
【0041】
なお、近距離無線通信モジュール57の通信方式としては、センサノード6と通信を行うことが可能であれば特に限定されず、従来周知の無線通信方式が使用可能である。例えば、Zigbee(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、UWB(Ultra Wide Band)規格、無線LAN(IEEE802.11bなど)規格、WirelessUSB規格などに準拠した無線通信方式が使用可能である。また、赤外線を利用したIrDA(Infrared Data Association)規格に準拠した無線通信方式も使用可能である。
【0042】
電源部47は、ヘッドマウントディスプレイ2を駆動させるための電源となる電池59、及び、電池59の電力をヘッドマウントディスプレイ2に供給すると共に、充電用アダプタ(図示せず)から供給される電力を電池59へ供給して電池59の充電を行う充電制御回路60を備えている。
【0043】
フラッシュメモリ49は、制御部46より記憶領域に記憶された情報を参照することが可能なように、バスを介して制御部46と電気的に接続されている。フラッシュメモリ49に記憶される情報の詳細については後述する。
【0044】
制御部46は、ヘッドマウントディスプレイ2全体を制御する機能を有しており、例えば、近距離無線通信部43を介してセンサノード6より受信された転送データに含まれる情報に基づき、センサの配置状態を特定する為の処理を行う。また例えば、所望の映像を観測者3に視認させるために、表示部40を制御する。制御部46は、CPU61、各種プログラムを格納したROM62、各種データが一時的に記憶されるRAM48などから構成されている。制御部46では、CPU61がROM62に格納された各種プログラムを読み出しすることにより、各処理が実行される。RAM48には、CPU61が各処理を実行する場合に必要な各種フラグやカウンタ等が記憶される。
【0045】
表示部40にて画像光4が形成される過程の概要について、図4を参照して詳説する。図4は、表示部40の電気的及び光学的構成を示す模式図である。表示部40は、図4に示すように、光源ユニット部65、波面曲率変調部78、水平走査系79、第一リレー光学系80、垂直走査系81、第二リレー光学系82を備えている。光源ユニット部65は、映像信号処理部70、レーザドライバ群71、レーザ群72、コリメート光学系73、ダイクロイックミラー群74、結合光学系75、及び波面曲率駆動回路83を備えている。波面曲率変調部78は、波面曲率変調器781、固定焦点レンズ782、及び可変焦点レンズ783を備えている。水平走査系79は、水平走査制御回路791及びガルバノミラー792を備えている。垂直走査系81は、垂直走査制御回路811及びガルバノミラー812を備えている。
【0046】
光源ユニット部65の構成について詳説する。映像信号処理部70は、既述のように、制御部46と電気的に接続されている。そして、制御部46を介して所望の情報を網膜に投影させるためにCPU61にて作成された映像情報が入力される。映像信号処理部70には、輝度信号66(B輝度信号661、G輝度信号662、R輝度信号663)、垂直同期信号67及び水平同期信号68、奥行き信号84が其々電気的に接続されている。映像信号処理部70では、入力された映像情報を網膜に投影させるための要素となる各信号(輝度信号、水平同期信号、垂直同期信号、奥行き信号)が生成される。生成された各信号は、輝度信号66、水平同期信号68、垂直同期信号67、及び奥行き信号84に対して画素毎に出力される。
【0047】
輝度信号66(B輝度信号661、G輝度信号662、R輝度信号663)は、レーザドライバ群71(Bレーザドライバ711、Gレーザドライバ712、Rレーザドライバ713)に其々電気的に接続されている。水平同期信号68は、水平走査系79の水平走査制御回路791に接続されている。垂直同期信号67は、垂直走査系81の垂直走査制御回路811に接続されている。奥行き信号84は、波面曲率駆動回路83に接続されている。
【0048】
レーザドライバ群71は、レーザ群72(Bレーザ721、Gレーザ722、Rレーザ723)に其々電気的に接続されている。レーザドライバ群71は、輝度信号66(B輝度信号661、G輝度信号662、R輝度信号663)を介して伝達された各信号の各輝度信号に基づいて、強度変調されたレーザ光をレーザ群72より出射させるために、レーザ群72を駆動する。
【0049】
レーザドライバ群71の制御に基づきレーザ群72より出射された3色(青色、緑色、赤色)のレーザ光を平行光にコリメートさせることが可能なコリメート光学系73(731〜733)、コリメート光学系73にてコリメートされたレーザ光を合波させることが可能なダイクロイックミラー群74(741〜743)、合波されたレーザ光を光ファイバ76に導くための結合光学系75が其々設けられる。
【0050】
尚、レーザ群72(Bレーザ721、Gレーザ722、Rレーザ723)として、レーザダイオード等の半導体レーザや固体レーザを利用してもよい。
【0051】
表示部40のうち光源ユニット部65を除く部分の構成について詳説する。光源ユニット部65より光ファイバ76に対して導かれたレーザ光は、波面曲率変調部78の固定焦点レンズ782に導かれる。固定焦点レンズ782より出射されたレーザ光は、可変焦点レンズ783に導かれる。
【0052】
波面曲率変調部78の動作原理について概説する。可変焦点レンズ783の焦点距離と固定焦点レンズ782の焦点距離とが同じ距離となっている状態では、可変焦点レンズ783を通過したレーザ光は、可変焦点レンズ783の主点と固定焦点レンズ782の主点との中間で焦点を結ぶので、可変焦点レンズ783を通過するレーザ光は平行光にコリメートされる。一方、可変焦点レンズ783の焦点距離と固定焦点レンズ782の焦点距離とが異なるような状態では、可変焦点レンズ783を通過するレーザ光は平行光にコリメートされず、所定角度の広がりを持って拡散する。この拡散の度合いにより、見かけ上の発光点を前後に移動させることが可能となる。このように波面曲率変調部78では、レーザ光の波面曲率(拡がり具合)を変化させることにより、観測者3が視認する画像の奥行きを調整している。
【0053】
波面曲率変調器781は、可変焦点レンズ783の焦点距離を調整する働きを有しており、駆動信号69を介して波面曲率駆動回路83と電気的に接続されている。波面曲率変調器781は、波面曲率駆動回路83より出力される駆動信号69に基づいて駆動される。波面曲率駆動回路83では、映像信号処理部70より生成され出力される奥行き信号84に基づいて波面曲率変調器781を駆動させるための信号が生成される。生成された信号が、波面曲率変調器781を駆動させるために波面曲率変調器781に対して出力される。
【0054】
可変焦点レンズ783を通過したレーザ光を、水平方向に走査させるためのガルバノミラー792が設けられる。ガルバノミラー792の偏向面793に入射されたレーザ光は、水平走査制御回路791の制御により、水平同期信号68より受信される水平同期信号に同期して水平方向に走査される。本実施の形態の水平走査系79は、表示すべき画像の1走査線毎に、レーザ光を水平方向に水平走査(1次走査の一例)させるための光学系である。
【0055】
水平走査されたレーザ光を垂直走査系81に導くための第一リレー光学系80が設けられる。また、第一リレー光学系80により導かれたレーザ光を垂直方向に走査させるためのガルバノミラー812が設けられる。ガルバノミラー812の偏向面813に入射されたレーザ光は、垂直走査制御回路811の制御により、垂直同期信号67より受信される垂直同期信号に同期して垂直方向に走査される。本実施の形態の垂直走査系81は、表示すべき画像の1フレーム毎に、レーザ光を最初の走査線から最後の走査線に向かって垂直に垂直走査(2次走査の一例)する光学系である。
【0056】
垂直走査されたレーザ光(画像光4)をプリズム151に導くための第二リレー光学系82が設けられる。第二リレー光学系82にて導かれた画像光4は、プリズム151に入射される。プリズム151は、第二リレー光学系82と観測者3の瞳孔90との間に配置される。プリズム151は、画像光4を全反射させるなどして、観測者3の瞳孔90に導く。
【0057】
上述の表示部40では、水平走査系79は、垂直走査系81より高速にすなわち高周波数でレーザ光を走査するように設計される。また、第一リレー光学系80は、水平走査系79のガルバノミラー792と、垂直走査系81のガルバノミラー812とが共役となるように設けられる。第二リレー光学系82は、ガルバノミラー812と、ユーザの瞳孔90とが共役となるように設けられる。
【0058】
本発明の実施形態のヘッドマウントディスプレイ2が、外部からの映像信号を受けてから、ユーザの網膜上に映像を投影するまでの過程について、図4を参照して説明する。
【0059】
本実施形態のヘッドマウントディスプレイ2では、光源ユニット部65に設けられた映像信号処理部70が映像信号を受信する。次いで映像信号処理部70より、赤、緑、青の各色のレーザ光を出力させるためのB輝度信号661、G輝度信号662、R輝度信号663からなる輝度信号66、水平同期信号68、垂直同期信号67、及び奥行き信号84が出力される。
【0060】
Bレーザドライバ711、Gレーザドライバ712、Rレーザドライバ713は、各々入力されたB輝度信号661、G輝度信号662、R輝度信号663に基づき、Bレーザ721、Gレーザ722、Rレーザ723に対してそれぞれの駆動信号を出力する。
【0061】
上述の駆動信号に基づいて、Bレーザ721、Gレーザ722、Rレーザ723は、それぞれ強度変調されたレーザ光を発生させる。発生されたレーザ光は、コリメート光学系73に出力される。レーザ光は、コリメート光学系73によってそれぞれが平行光にコリメートされ、更に、ダイクロイックミラー群74に入射されて1つのレーザ光となるよう合成される。合成されたレーザ光は、結合光学系75によって光ファイバ76に入射されるよう導かれる。
【0062】
光ファイバ76を伝達したレーザ光は固定焦点レンズ782に導かれる。そして可変焦点レンズ783に出射される。可変焦点レンズ783は、波面曲率駆動回路83及び波面曲率変調器781の制御により焦点が変化される。可変焦点レンズ783を通過したレーザ光は、水平走査系79に出射される。
【0063】
水平走査系79に入射されたレーザ光は、ガルバノミラー792の偏向面793にて、水平同期信号68に同期して水平方向に走査される。ガルバノミラー792は、水平同期信号68に同期して、その偏向面793が入射光を水平方向に反射するように往復振動をしている。このガルバノミラー792によってレーザ光は水平方向に走査される。水平走査されたレーザ光は、第一リレー光学系80を介し、垂直走査系81に出射される。
【0064】
第一リレー光学系80では、ガルバノミラー792の偏向面793とガルバノミラー812の偏向面813とが共役の関係となるように調整され、また、ガルバノミラー792の面倒れが補正される。
【0065】
垂直走査系81に入射されたレーザ光は、ガルバノミラー812の偏向面813にて、垂直同期信号67に同期して垂直方向に走査される。ガルバノミラー812は、ガルバノミラー792が水平同期信号68に同期することと同様に垂直同期信号67に同期して、その偏向面813が入射光を垂直方向に反射するように往復振動をしている。このガルバノミラー812によってレーザ光は垂直方向に走査される。
【0066】
水平走査系79及び垂直走査系81によって垂直方向及び水平方向に2次元に走査されたレーザ光(画像光4)は、ガルバノミラー812の偏向面813と、ユーザの瞳孔90とが共役の関係となるように設けられた第二リレー光学系82、プリズム151によりユーザの瞳孔90へ入射され、網膜上に投影される。
【0067】
以上説明した過程を経ることにより、観測者3は、2次元走査されて網膜上に投影されたレーザ光による画像を認識することが可能となる。なお、水平走査系79のガルバノミラー792と、垂直走査系81のガルバノミラー812とは、名称を同じように説明したが、光を走査するように其の反射面が揺動(回転)させられるものであれば、共振タイプ、非共振タイプ等、圧電駆動、電磁駆動、静電駆動等いずれの駆動方式によるものであってもよいことは言うまでもない。
【0068】
図5を参照し、ヘッドマウントディスプレイ2のフラッシュメモリ49に記憶されている情報について説明する。図5は、ヘッドマウントディスプレイ2のフラッシュメモリ49の記憶領域を示す模式図である。図5に示すように、フラッシュメモリ49には、第一記憶領域491、第二記憶領域492、及びその他の領域が設けられている。第一記憶領域491には、センサノード6より受信された計測値情報に中継回数とセンサノード6を特定するための情報(センサID)が対応付けられたテーブル(受信データテーブル)が記憶される。第二記憶領域492には、ヘッドマウントディスプレイ2の表示部40を介して観測者3に視認させる映像(第一表示態様110、第二表示態様120、図12及び図13参照、詳細後述)の情報が記憶される。
【0069】
第一記憶領域491に記憶される受信データテーブルの詳細について、図6を参照して説明する。図6は、受信データテーブルを示す模式図である。受信データテーブルには、センサノード6より受信された転送データに含まれる情報が記憶される。図6に示す受信データテーブルは、センサID、中継回数、及び計測値情報の情報項目が設けられている。
【0070】
センサIDには、転送データの発信元のセンサノードのIDが記憶される。中継回数には、IDにて特定されるセンサノード6より発信された転送データに含まれている中継回数が記憶される。計測値情報には、IDにて特定されるセンサノード6のセンサにて計測された物理量が記憶される。図6に示す例では、ID:1のセンサノードより送信された転送データは、5回中継転送されることによりヘッドマウントディスプレイ2に到達されており、その計測値は「0.05」である。また、ID:2のセンサノードより送信された転送データは、1回中継転送されることによりヘッドマウントディスプレイ2に到達されており、その計測値は「1.2」である。
【0071】
図7を参照し、センサノード6の電気的構成について説明する。図7は、センサノード6の電気的構成を示す模式図である。図7に示すように、センサノード6は、通信制御や計測制御等を司るCPU101、CPU101にて実行される各制御プログラムやパラメータが記憶されるROM102、CPU101の処理時に使用されるフラグやタイマ等が記憶されるRAM103を備えている。そして、CPU101よりROM102、RAM103の記憶領域にアクセスすることが可能なように、CPU101とROM102、RAM103はそれぞれバスを介して電気的に接続されている。
【0072】
センサノード6は、所定の物理量を計測値として計測可能なセンサ104を備えている。そして、センサ104により計測された計測値をCPU101にて認識することが可能なように、CPU101とセンサ104とはそれぞれバスを介して電気的に接続されている。
【0073】
センサノード6は、無線通信を行うことが可能な無線通信モジュール105を備えている。無線通信モジュール105は、CPU101より受信したデータを所定の変調方式により変調し、図示外のアンテナを介して電波送信することが可能となっている。また、図示外のアンテナを介して受信された電波信号を復調し、復調されたデータをCPU101に対して転送することが可能となっている。そしてCPU101と無線通信モジュール105とはバスを介して電気的に接続されている。
【0074】
図8を参照し、センサノード6のCPU101にて実行される転送データ送受信処理について説明する。図8は、センサノード6のCPU101にて実行される転送データ送受信処理のフローチャートである。転送データ送受信処理は、センサノード6の電源が投入された場合において、CPU101により起動され実行される。
【0075】
図8に示すように、センサノード6の電源が投入された場合、はじめに、RAM103に記憶されているタイマを一定周期で更新する処理が開始される(S11)。これにより、経過時間の監視が開始される。
【0076】
次いで、経過時間の監視を開始した時点から所定時間が経過したかが判断される(S13)。タイマの値が所定値となり、所定時間が経過したと判断された場合(S13:YES)、センサ104より計測値が取得される(S15)。そして、取得された計測値の情報(計測値情報)と、自身のIDと、中継回数(「0」が記憶される)とを含む転送データが作成される。作成された転送データは、無線通信モジュール105を介して無線送信される(S17)。次いで、監視中のタイマがリセットされる(S19)。そしてS13に戻り、上述の処理が繰り返し実行される。
【0077】
タイマの値が所定値となっておらず、所定時間が経過していないと判断された場合(S13:NO)、無線通信モジュール105を介して他のセンサノード6より転送データを受信したかが判断される(S20)。転送データを受信していない場合(S20:NO)、特段処理を行うことなくS13に戻り、上述の処理が繰り返し実行される。
【0078】
他のセンサノード6より転送データを受信した場合(S20:YES)、はじめに、受信した転送データに含まれている中継回数に「1」が加算されて更新される(S21)。次いで、更新された中継回数が所定値以上となっているかが判断される(S23)。中継回数が所定値以上となっている場合には(S23:YES)、中継送信を行う必要がないと判断されるので、特段処理を行うことなくS13に戻り、上述の処理が繰り返し実行される。
【0079】
中継回数が所定値未満である場合には(S23:NO)、中継回数が更新された状態の転送データは無線通信モジュール105を介して無線送信される(S25)。そしてS13に戻り、上述の処理が繰り返し実行される。
【0080】
以上説明した処理を実行することにより、センサノード6は周期的にセンサ104により計測される計測値を取得する。そして計測値情報が含まれた状態の転送データを無線送信する。また、他のセンサノード6より転送データを受信した場合には、データに含まれる中継回数を更新し、再度無線送信することにより中継転送する。ここで、更新された中継回数が所定値以上となっている場合には中継転送を中止する。これにより、センサネットワーク内に転送データが長時間滞留してしまうことを防止している。
【0081】
ヘッドマウントディスプレイ2のCPU61にて実行される各種処理について、図9及び図10を参照して説明する。図9は、メイン処理のフローチャートである。図10は、表示データ作成処理のサブルーティンフローチャートである。メイン処理は、ヘッドマウントディスプレイ2の電源が投入された場合においてCPU61により起動され実行される。
【0082】
図9を参照し、メイン処理について説明する。ヘッドマウントディスプレイ2の電源が投入されると、はじめにRAM48に記憶されているタイマを一定周期で更新する処理が開始される(S31)。これにより、経過時間の監視が開始される。
【0083】
次いで、経過時間の監視を開始した時点から所定時間が経過したかが判断される(S33)。タイマの値が所定値となっておらず、所定時間が経過していないと判断された場合(S33:NO)、センサノード6より送信された転送データを受信したかが判断される(S39)。受信していない場合(S39:NO)、特段の処理を行うことなくS33に戻り、上述の処理が繰り返し実行される。
【0084】
センサノード6より転送データを受信している場合(S39:YES)、転送データに含まれているセンサID、中継回数、及び計測値情報が抽出される。抽出されたこれらの情報は、第一記憶領域491に記憶されている受信データテーブルに記憶される。なお、第一記憶領域491に記憶されている受信データテーブルが参照され、転送データに含まれるセンサID(以下「受信センサID」という。)と同一のセンサIDが受信データテーブルに記憶されている場合には、受信データテーブルに記憶されている計測値情報のうち受信センサIDと同一のセンサIDに対応付けられている計測値情報に、受信した転送データに含まれる計測値情報が上書きされ新たに記憶される(S40)。
【0085】
次いで、受信した転送データに含まれる中継回数と、受信データテーブルのうち受信センサIDと同一のセンサIDに対応付けられている中継回数とが比較される(S41)。転送データに含まれる中継回数が、受信データテーブルのうち受信センサIDと同一のセンサIDに対応付けられている中継回数と比較して小さい場合(S41:YES)、受信データテーブルのうち受信センサIDと同一のセンサIDに対応付けられている中継回数に、転送データに含まれている中継回数が上書きされ記憶される(S43)。そしてS33の処理に戻り、上述の処理が繰り返し実行される。一方、受信データテーブルのうち受信センサIDと同一のセンサIDに対応付けられている転送データの方が大きい場合は(S41:NO)、特段処理を行うことなくS33に戻り、上述の処理が繰り返し実行される。
【0086】
一方、タイマの値が所定値となり、所定時間が経過したものと判断された場合(S33:YES)、受信データテーブルに記憶されている情報をヘッドマウントディスプレイ2に表示させる場合の表示映像を作成する処理(表示データ作成処理、図10参照)が実行される(S35)。
【0087】
図10を参照し、表示データ作成処理について説明する。図10に示すように、表示データ作成処理では、はじめに、受信データテーブルが参照される。そして記憶されているセンサIDの数の累計が、中継回数毎に算出される(算出された数を、以下「累計数」という。)。これにより、センサノード6の数の累計が、中継回数毎に算出される(S51)。次いで、受信データテーブルに記憶されている中継回数のうち最も小さい中継回数に対応する累計数(以下「第一累計数」という。)が特定される。特定された第一累計数は変数M1に格納される(S53)。次いで、最も大きい中継回数の1/2より大きい中継回数、例えば、最も大きい中継回数の3/4に相当する値に近い中継回数に対応する累計数(以下「第二累計数」という。)が特定される。特定された第二累計数は変数M2に記憶される(S55)次いで、変数M1と変数M2とが比較される(S57)。
【0088】
図11を参照し、中継回数毎の累計数とセンサノード6の数との関係について説明する。図11は、中継回数と中継回数毎のセンサノード数との関係を示す模式図である。図11に示すように、センサノード6がヘッドマウントディスプレイ2を取り囲むように配置されている場合、センサノード数は(A)に示す分布の傾向を示す。(A)では、中継回数の増加に伴い、センサノード数が急激に減少する傾向を示している。一方、センサノード6がヘッドマウントディスプレイ2に対して特定の方向に密集して配置されている場合、(B)に示す分布の傾向を示す。(B)では、中継回数の増加に伴い、センサノード数が緩やかに減少する傾向を示している。本発明では、この分布の傾向を簡易に判断することによって、センサノード6の分布の傾向を判断している。
【0089】
変数M1のk倍である(k×M1)が変数M2以上となった場合(S57:YES)、センサノード6はヘッドマウントディスプレイ2の周囲を取り囲むように配置されていると判断される。ここでkは、M2が最も大きい中継回数の1/2の値なら例えばk=0.7、最も大きい中継回数の3/4の値ならk=0.5のように選択される。累計数はある程度の変動があるので、kによって変動の影響に対し余裕をもたせている。これにより、変動に依らない判定を行うことを可能としている。この場合、フラッシュメモリ49の第二記憶領域492に記憶されている表示態様のうち、第一表示態様110(図12参照)が選択される(S59)。そしてS61に移行される。一方、(k×M1)がM2より小さい場合(S57:NO)、センサノード6はヘッドマウントディスプレイ2に対して特定の方向に密集して配置されていると判断される。この場合、フラッシュメモリ49の第二記憶領域492に記憶されている表示態様のうち、第二表示態様120(図13参照)が選択される(S65)。そしてS61の処理に移行される。
【0090】
(k×M1)が変数M2以上となった場合、ヘッドマウントディスプレイ2から距離が離れるに従い、センサノード6の分布数が少なくなっていると判断される。分散配置されたセンサノード6の略中央にヘッドマウントディスプレイ2が配置されている場合には、ヘッドマウントディスプレイ2からの距離が所定以上となった場合に、センサノード6の分布数は急激に減少する。従ってこのような分布傾向((k×M1)≧M2)を示す場合には、センサノード6はヘッドマウントディスプレイ2を取り囲むように配置されていると判断される。
【0091】
一方、変数M2と比較して(k×M1)の方が小さい場合、ヘッドマウントディスプレイ2からの距離の遠近によらず、センサノード6の分布数はほぼ一定であると判断される。例えば、ヘッドマウントディスプレイ2が大きな壁に面接するように配置され、センサノード6の分布が特定の方向(壁のない方向)に密集して配置されている場合に、センサノード6の分布は距離に依存せずほぼ一定となる。従ってこのような分布傾向((k×M1)<M2)を示す場合には、センサノード6はヘッドマウントディスプレイ2に対して特定の方向に密集して配置されていると判断される。
【0092】
図12及び図13を参照し、第一表示態様110及び第二表示態様120について説明する。図12は、第一表示態様110を示す模式図である。図13は、第二表示態様120を示す模式図である。第一表示態様110は、センサノード6がヘッドマウントディスプレイ2の周囲を取り囲むように配置されている様子を示している。第二表示態様120は、センサノード6がヘッドマウントディスプレイ2に対して特定の方向に密集して配置されている様子を示している。
【0093】
図12を参照し、第一表示態様110について説明する。図12に示すように、第一表示態様110は、半径の異なる5つの円が同心円状に重なって配置された形状を有している。半径の小さい順に、第一円111、第二円112、第三円113、第四円114、及び第五円115が配置される。第一円111は、中継回数が0回の計測値情報に対応する。以下、第二円112は中継回数1回、第三円113は中継回数2回、第四円114は中継回数3回、第五円115は中継回数4回の計測値情報に其々対応する。其々の円の色は、計測値情報に基づいて定められる(詳細は後述する。)。第一表示態様110では、円の中心にヘッドマウントディスプレイ2が配置され、その周囲を覆うようにセンサノード6が配置されている状態が模式的に示されている。すなわち、センサネットワークで物理量が検出される領域の中央部分にヘッドマウントディスプレイ2があることを示す。
【0094】
また第一表示態様110には、円の中心から外方に延びる直線状の矢印116が描かれている。矢印116は、第一円111〜第五円115の其々の距離の指標を示すためのものである。図12に示す例では、1目盛が1mを示している。
【0095】
図13を参照し、第二表示態様120について説明する。図13に示すように、第二表示態様120は、半径の異なる5つの半円が、同心円状であり且つ直径を同一線上に重ねた状態となる構成を有している。半径の小さい順に、第一円121、第二円122、第三円123、第四円124、及び第五円125が配置される。第一円121は、中継回数が0回の計測値情報に対応する。以下、第二円122は中継回数1回、第三円123は中継回数2回、第四円124は中継回数3回、第五円125は中継回数4回の計測値情報に其々対応する。其々の円の色は、計測値情報に基づいて定められる(詳細は後述する。)。第二表示態様120では、円の中心にヘッドマウントディスプレイ2が配置され、特定方向にセンサノード6が密集して配置されている様子が模式的に示されている。すなわち、センサネットワークで物理量が検出される領域の端の部分にヘッドマウントディスプレイ2があることを示す。
【0096】
また第二表示態様120には、第一表示態様110と同様、円の中心から外方に延びる直線状の矢印126が描かれている。矢印126は、第一円121〜第五円125の其々の距離の指標を示すためのものである。図13に示す例では、1目盛が1mを示している。
【0097】
図10に示すように、表示態様が選択された後、S61では、フラッシュメモリ49の第一記憶領域491に記憶されている受信データテーブルが参照され、中継回数毎に計測値情報の平均値が算出される(S61)。算出された平均値は、中継回数毎に上述の表示態様(第一表示態様110、第二表示態様120)を構成する各円に割り当てられる。また、算出された平均値には、予め定められた平均値に対応する色(例えば、平均値0:青色、平均値1〜5:緑色、平均値6〜10:黄色、平均値11〜15:赤色)が割り当てられる。その結果、選択された表示態様(第一表示態様110又は第二表示態様120)を構成する各円の色が決定される(S63)。また、異常を検知したい場合は、平均値ではなく中継回数毎に計測値情報の最大値や最小値を選択して、それに対応する色を割り当てても良い。
【0098】
次いで、其々の中継回数に1加算された値に隣接するセンサノード間の距離の平均値A(例えば3m)が乗算される。算出された結果の値は、ヘッドマウントディスプレイ2からセンサノード6までの間の距離(以下「センサノード距離」という。)とされる(S64)。例えば、中継回数0回の場合は「(0+1)×A(m)=A(m)」、中継回数1回の場合は「(1+1)×A(m)=2A(m)」、中継回数2回の場合は「(2+1)×A(m)=3A(m)」・・・のようにセンサノード距離が算出される。そして算出されたセンサノード距離に基づき、上述のS59、S65、S61にて特定された表示態様中の矢印(116、126)の目盛間隔が特定される。そして表示データ作成処理は終了され、メイン処理に戻る。
【0099】
災害場所に臨時にセンサノード6を設置したり、センサノード6の位置が入手できない場所で活動する場合は、センサノード6の位置は不明であり、上述にて算出される距離は、正確な距離というよりは距離の指標を示すものである。センサノード6が直線上に等間隔で並んでいれば、中継回数にセンサノード間距離を乗算すれば正確な距離を求めることができる。実際には、センサノード6は等間隔に設置されているとは限らず、また、直線上に並んでいることは少ない。通信事情によっては、最短経路で中継されるとは限らず、迂回して中継されることも発生する。しかしながら、一般的に中継回数が多いほどセンサノード6が遠くにあるといえるので、センサノード6の位置が不明の場合、中継回数を元にセンサノード6までどの程度離れているかを示す距離指標を示すことはユーザにとって、センサノード6までの距離感を把握するのに非常に有用である。
【0100】
Aとしては、センサノード6間の距離は同一であるとは限らないためその平均値を用いることができる。あるいは無線信号の通信可能距離をAとして設定しても良い。また、中継回数が多いほど迂回されて中継される確率も高くなるので、中継回数が多いほどAの値を漸次小さくしていっても良い距離指標を得ることができる。
【0101】
上述のように算出することによって、注目する値を示したセンサノード6が近いのか、離れているのかという距離指標を示すことができる。さらに、センサノード6間平均距離を仮定すれば、どの程度の距離が離れているかも推定することができる。Aは予めメモリに記憶しておいても良いし、状況に応じて利用者が操作部から入力しても良い。
【0102】
なお、距離そのものにこだわらず、感覚的に遠近感がわかれば良い場合は、ヘッドマウントディスプレイ2にて表示させる場合の表示可能最大長を(最大中継回数+1)で割った値をAとして距離指標とすれば良い。
【0103】
図9に示すように、表示データ作成処理(S35)が終了した後のメイン処理では、表示データ作成処理にて確定した表示態様(色が着色され、矢印の目盛間隔が特定された状態の表示態様(第一表示態様110又は第二表示態様120)を観測者3に視認させるための制御が実行される(S36)。次いで、S31にて開始された経過時間の監視がリセットされ、新たに経過時間監視が開始される(S37)。そしてS33の処理に戻り、上述の処理が繰り返し実行される。
【0104】
図14を参照し、ヘッドマウントディスプレイ2を介して観測者3に視認される映像について説明する。図14は、ヘッドマウントディスプレイ2を介して観測者3に視認される映像の一例を示した模式図である。
【0105】
図14に示すように、ヘッドマウントディスプレイ2には第一表示態様110が視野の左側に表示される。また、本実施の形態ではシースルータイプのヘッドマウントディスプレイ2を想定しているため、直接観測者3に視認される周囲の像が併せて映し出される。
【0106】
図14に示す例では、第一表示態様110が表示されている。像を視認した観測者3は、センサノード6がヘッドマウントディスプレイ2の周囲を覆うように配置されていることを認識することが可能となる。また、第一表示態様110中第一円111の色を視認することにより、観測者3の最も近傍に配置されているセンサノード6にて計測された計測値を認識することが可能となる。同様に、第二円112、第三円113、第四円114、第五円115の色を視認することにより、センサノード6の計測値を観測者3からの距離毎に認識することが可能となる。併せて、矢印116の表示により、観測者3と各センサノード6との間の距離を具体的に推定して認識することが可能となる。
【0107】
以上説明したように、本実施の形態では、ヘッドマウントディスプレイ2を装着した観測者3に対して、センサノード6にて計測された計測値を配置位置の情報とともに表示させ視認させることが可能となる。ヘッドマウントディスプレイ2は、センサノード6より送信される転送データの中継回数に所定の値(通信可能距離A)を乗算した結果に基づき、ヘッドマウントディスプレイ2よりどの位離れた位置にセンサノード6が配置されているかを特定する。これにより、距離計測等の複雑な制御を行うことなく、簡易にセンサノード6までの距離を推定することが可能となる。
【0108】
また、転送データの中継回数毎の累計数を算出し、その分布の傾向に基づいて、センサノード6の配置状態を特定する。具体的には、算出した累計数の傾向に応じ、センサノード6がヘッドマウントディスプレイ2の周囲を覆うように配置されているか、又は特定の方向に密集して配置されているかを特定する。これにより、ヘッドマウントディスプレイ2を装着した観測者3に対して、センサノード6がどのように分布しているかを表示させ認識させることが可能となる。
【0109】
図8のS15の処理を行うCPU101が本発明の「計測手段」に相当し、S17、S25の処理を行うCPU101が本発明の「センサ送信手段」に相当し、S20の処理を行うCPU101が本発明の「センサ受信手段」に相当し、S21の処理を行うCPU101が本発明の「中継更新手段」に相当する。
【0110】
図9のS39の処理を行うCPU61が本発明の「ディスプレイ受信手段」に相当し、S43の処理を行うCPU61が本発明の「記憶制御手段」に相当し、フラッシュメモリ49の第一記憶領域491が本発明の「記憶手段」に相当する。図10のS64の処理を行うCPU61が本発明の「距離特定手段」に相当する。図9のS36の処理を行うCPU61が本発明の「表示制御手段」に相当し、図4の表示部40が本発明の「表示手段」に相当する。
【0111】
図10のS51及びS53の処理を行うCPU61が本発明の「累計手段」に相当し、S57の結果に基づいてS59又はS65の処理を行うCPU61が本発明の「配置状態特定手段」に相当する。図10のS57の処理を行うCPU61が本発明の「累計数比較手段」に相当し、S57の結果に基づいて、S59またはS65のうちいずれかを判断する処理を行うCPU61が本発明の「相対配置判断手段」に相当する。
【0112】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。上述の実施の形態では、図12及び図13に示すような表示態様を特定し、観測者3に対して表示させていたが、本発明はこの方法に限定されない。
【0113】
図15を参照し、変形例における表示態様137について説明する。図15は、表示態様137を示す模式図である。図15に示すように、表示態様137では、半径の異なる5つの円(半径の小さい順に、第一円131、第二円132、第三円133、第四円134、第五円135)が同心円状に重なった状態であり、且つ、直径と平行方向に延びる線分136により円の一部分を欠いた状態となっている。また、M1とM2との関係に応じ、円の中心と線分136との距離を変化させる。これにより、センサノード6の分布の状態をより詳細に表現して観測者3に認識させることが可能となる。
【0114】
図12及び図13における第一円〜第五円は、ヘッドマウントディスプレイ2からセンサノード6間での距離に其々対応付けられているので、これらを平面的に表示させるのではなく、波面曲率変調部78を制御することにより立体的に表示させてもよい。図16及び図17を参照し、立体的に表示させる場合の表示態様について説明する。図16は、センサノード6がヘッドマウントディスプレイ2を取り囲むように配置されている状態を立体的に表示させる場合の表示態様140を示す模式図である。図17は、センサノード6がヘッドマウントディスプレイ2に対して特定の方向に密集して配置されている場合の表示態様160を示す模式図である。
【0115】
図16を参照し、センサノード6がヘッドマウントディスプレイ2を取り囲むように配置されている状態を立体的に表示させる場合の表示態様140について説明する。図16に示すように、表示態様140では、二等辺三角形が垂直方向に10等分された形状を有している。分割領域(左側から順に、領域141〜150)は、領域145及び146が中継回数0回、領域144及び147が中継回数1回、領域143及び148が中継回数2回、領域142及び149が中継回数3回、領域141及び150が中継回数4回の計測情報にそれぞれ対応する。其々の色は、計測値情報に基づいて定められる。センサノード群の中央を領域145及び146とし、両端へ行くほど低くなるような三角形で表している。なお、其々の領域の面積は、同一中継回数のセンサノード6の累計数を模式的に示すようにしてもよい。
【0116】
また、波面曲率変調器781を制御して可変焦点レンズ783を駆動させることにより、領域145及び領域146を最も観測者3の近傍に配置させ、領域144→領域142、及び領域147→領域149にかけて除々に遠方に配置させ、領域141及び領域150を最も遠方に配置させて視認させる。なおこの場合、表示フレーム毎に近傍領域から遠方領域に順番に切替るように制御してもよい。これにより観測者3は、実際の距離感が再現された状態の表示態様140を視認することが可能となる。
【0117】
図17を参照し、センサノード6がヘッドマウントディスプレイ2に対して特定の方向に密集して配置されている場合の表示態様160について説明する。図17に示すように、表示態様160では、直角三角形が垂直方向に5等分された形状を有している(直角部分が左側に配置される。)。分割領域(右側から順に、領域161〜165)は、領域161が中継回数0回、領域162が中継回数1回、領域163が中継回数2回、領域164が中継回数3回、領域165が中継回数4回の計測情報にそれぞれ対応する。其々の色は、計測値情報に基づいて定められる。なお、其々の領域の面積は、同一中継回数のセンサノード6の累計数を模式的に示すようにしてもよい。
【0118】
また、表示態様140と同様、波面曲率変調器781を制御して可変焦点レンズ783を駆動させることにより、領域161を最も観測者3の近傍に配置させ、領域162〜領域164にかけて除々に遠方に配置させ、領域165を最も遠方に配置させて視認させる。これにより観測者3は、実際の距離感が再現された状態の表示態様160を視認することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0119】
【図1】計測可視化システム1の概要を示す模式図である。
【図2】ヘッドマウントディスプレイ2の外観構成を示した図である。
【図3】ヘッドマウントディスプレイ2の電気的構成を示す模式図である。
【図4】表示部40の電気的及び光学的構成を示す模式図である。
【図5】ヘッドマウントディスプレイ2のフラッシュメモリ49の記憶領域を示す模式図である。
【図6】受信データテーブルを示す模式図である。
【図7】センサノード6の電気的構成を示す模式図である。
【図8】転送データ送受信処理のフローチャートである。
【図9】メイン処理のフローチャートである。
【図10】表示データ作成処理のサブルーティンフローチャートである。
【図11】中継回数毎の累計数とセンサノード6の数との関係を示す模式図である。
【図12】第一表示態様110を示す模式図である。
【図13】第二表示態様120を示す模式図である。
【図14】ヘッドマウントディスプレイ2を介して観測者3に視認される映像をの一例を示した模式図である。
【図15】表示態様137を示す模式図である。
【図16】表示態様140を示す模式図である。
【図17】表示態様160を示す模式図である。
【符号の説明】
【0120】
1 計測可視化システム
2 ヘッドマウントディスプレイ
3 観測者
6、601、602、603、604、605 センサノード
40 表示部
43 近距離無線通信部
46 制御部
49 フラッシュメモリ
491 第一記憶領域
492 第二記憶領域
61 CPU
101 CPU
104 センサ
105 無線通信モジュール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
センサネットワークを構成するセンサノードにて計測された計測値をヘッドマウントディスプレイにて収集することにより、収集結果を可視化する計測可視化システムであって、
前記センサノードは、
所定の物理量を計測する計測手段と、
前記ヘッドマウントディスプレイに対して送信されるデータであって、前記計測手段にて計測された計測値の情報である計測値情報と、前記センサノード間を前記データが中継転送された場合の中継回数の情報である中継回数情報とを少なくとも含むデータである転送データを送信するセンサ送信手段と、
他の前記センサノードより送信された前記転送データを受信するセンサ受信手段と、
前記センサ受信手段にて受信された前記転送データを前記センサ送信手段にて送信することにより、前記ヘッドマウントディスプレイに前記転送データを中継転送する場合に、前記受信された転送データに含まれている前記中継回数情報を更新する中継更新手段と
を備え、
前記ヘッドマウントディスプレイは、
前記センサ送信手段にて送信された前記転送データを受信するディスプレイ受信手段と、
前記ディスプレイ受信手段にて受信された前記転送データに含まれる前記計測値情報と前記中継回数情報とを対応付けて記憶手段に記憶する記憶制御手段と、
前記記憶手段に記憶された前記中継回数情報に基づき、前記センサノードと前記ヘッドマウントディスプレイとの間の距離に関連する指標であるセンサ距離指標を特定する距離指標特定手段と、
前記計測値情報にて特定される前記計測値と、前記計測値情報に対応付けられた前記中継回数情報に基づき前記距離指標特定手段にて特定された前記センサ距離指標とを、表示手段に表示させる表示制御手段と
を備えた計測可視化システム。
【請求項2】
前記距離指標特定手段は、
前記中継回数情報にて特定される前記中継回数に所定値を乗算した値を、前記センサ距離指標とすることを特徴とする請求項1に記載の計測可視化システム。
【請求項3】
前記ヘッドマウントディスプレイは、
前記記憶手段に記憶された前記計測値情報の数を、前記中継回数情報にて特定される前記中継回数毎に累計する累計手段と、
前記累計手段にて累計された前記計測値情報の数である累計数の前記中継回数毎の分布の傾向に基づいて、前記センサノードの配置状態を特定する配置状態特定手段と
を備え
前記表示制御手段は、
前記配置状態特定手段にて前記配置状態が特定された場合には、特定された前記配置状態を前記表示手段に表示させることを特徴とする請求項1又は2に記載の計測可視化システム。
【請求項4】
前記配置状態特定手段は、
所定の前記中継回数である第一中継回数に対応する前記累計数である第一累計数と、前記第一中継回数よりも大きい前記中継回数であって所定の前記中継回数である第二中継回数に対応する前記累計数である第二累計数とを比較する累計数比較手段と、
前記累計数比較手段にて前記累計数が比較された結果、前記第一累計数が前記第二累計数以上である場合に、前記センサノードが前記ヘッドマウントディスプレイを取り囲むような配置になっていると判断し、前記第一累計数の方が前記第二累計数と比較して小さい場合に、前記センサノードが前記ヘッドマウントディスプレイの特定の方向への配置になっていると判断する相対配置判断手段と
を備えたことを特徴とする請求項3に記載の計測可視化システム。
【請求項5】
センサネットワークを構成するセンサノードにて計測された計測値を収集し、収集結果を可視化するヘッドマウントディスプレイであって、
前記センサノードより送信されたデータであって、前記センサノードにて計測された計測値の情報である計測値情報と、前記センサノード間を前記データが中継転送された場合の中継回数の情報である中継回数情報とを少なくとも含むデータである転送データを受信するディスプレイ受信手段と、
前記ディスプレイ受信手段にて受信された前記転送データに含まれる前記計測値情報と前記中継回数情報とを対応付けて記憶手段に記憶する記憶制御手段と、
前記記憶手段に記憶された前記中継回数情報に基づき、前記センサノードと前記ヘッドマウントディスプレイとの間の距離指標であるセンサ距離指標を特定する距離指標特定手段と、
前記計測値情報にて特定される前記計測値と、前記計測値情報に対応付けられた前記中継回数情報に基づき前記距離指標特定手段にて特定された前記センサ距離指標とを、表示手段に表示させる表示制御手段と
を備えたヘッドマウントディスプレイ。
【請求項6】
前記距離指標特定手段は、
前記中継回数情報にて特定される前記中継回数に所定値を乗算した値を、前記センサ距離指標と判断することを特徴とする請求項5に記載のヘッドマウントディスプレイ。
【請求項7】
前記記憶手段に記憶された前記計測値情報の数を、前記中継回数情報にて特定される前記中継回数毎に累計する累計手段と、
前記累計手段にて累計された前記計測値情報の数である累計数の前記中継回数毎の分布の傾向に基づいて、前記センサノードの配置状態を特定する配置状態特定手段と
を備えたことを特徴とする請求項5又は6に記載のヘッドマウントディスプレイ。
【請求項8】
前記配置状態特定手段は、
所定の前記中継回数である第一中継回数に対応する前記累計数である第一累計数と、前記第一中継回数よりも大きい前記中継回数であって所定の前記中継回数である第二中継回数に対応する前記累計数である第二累計数とを比較する累計数比較手段と、
前記累計数比較手段にて前記累計数が比較された結果、前記第一累計数が前記第二累計数以上である場合に、前記センサノードが前記ヘッドマウントディスプレイを取り囲むような配置になっていると判断し、前記第一累計数の方が前記第二累計数と比較して小さい場合に、前記センサノードが前記ヘッドマウントディスプレイの特定の方向への配置になっていると判断する相対配置判断手段と
を備えたことを特徴とする請求項7に記載のヘッドマウントディスプレイ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2010−145301(P2010−145301A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−324850(P2008−324850)
【出願日】平成20年12月22日(2008.12.22)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】