説明

計算機システム

【課題】 高密度実装するサーバモジュールのメモリ容量の増設を容易にする。
【解決方法】 メモリ容量を追加するためのメモリ増設モジュールをサーバシステムに備えることにより、サーバブレードのCPUには通常のメモリと認識可能な外部メモリの増設手段を持ち、複数のサーバブレードで1つのモジュールを共有することにより、複数のサーバブレードのメモリ容量を増設が可能なサーバシステム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブレードサーバシステムに組み込まれた各サーバモジュールのメモリの増設を実現する計算機システムに関する。
【背景技術】
【0002】
サーバモジュールとは、プロセッサ、メモリ、I/O等を一つのマザーボード上に高密度実装したものである。また、ブレードサーバシステムとは複数のサーバモジュールを1つのシャーシ内に格納し、電源、ファン、ケーブルなどを共有することで、PCサーバとしての基本機能はそのままにして省スペース化を実現し、導入及び管理のトータルコストの削減を実現するものである。また、それぞれのサーバモジュールはサーバモジュール毎に、異なるOSやアプリケーションを動作させることが可能である。サーバモジュールの処理能力が上がるにつれ、仮想化やマルチタスクOSにより1台のサーバモジュールで稼働できるアプリケーションョン数が増加しており、求められるメモリ容量が増加している。
【0003】
更に、求められるアプリケーションによって必要なメモリ容量は異なるため、必要に応じてメモリを増設しながら、機能の向上を図っていくことも要求されている。従来のメモリ増設方法は、サーバモジュール上に複数搭載されているメモリスロットに、メモリを搭載する方法である。また、特許文献1では、マザーボードのメモリコネクタ部が従来のスロットの挿入口と90度回転しているため、マザーボードに対して平行にメモリを搭載する方式を提案している。また、この構造により特許文献1のスロットは、マザーボードに対して垂直にメモリスロットが積載可能であり、メモリコネクタの占める面積を変更せずにメモリコネクタ1個分の面積でメモリの増設が可能としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開 2001−135389号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年はデータ量が加速度的に増加しており、膨大な情報を管理するためにデータセンターは多くのサーバシステムを設置しなければならない。このため、施設のスペースを有効に活用するために、サーバモジュールには省スペースが強く求められるようになっている。省スペース化のためにサーバモジュールを高密度実装しようとすると、マザーボード上にメモリスロットを設置できるスペースが、制限されてしまうことになる。そのため、複数のメモリコネクタをサーバモジュールに実装することが難しくなってきており、従来のメモリ増設方法では、メモリ容量の増加が困難となっている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の課題を解決するために、本発明に係る計算機システムは、演算部、第一の記憶部、および第一の記憶制御部とを有する複数の計算機モジュールと、第二の記憶部および第二の記憶制御部を有する記憶モジュールと、前記計算機モジュールと前記複数の記憶モジュールとを接続を切り替える切替部とを備え、前記計算機モジュールは、前記切替部を介して第二の記憶部を記憶領域として用いることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、サーバモジュールに搭載されているメモリスロット数に制限されずにメモリ容量を増設できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】ブレードサーバシステムの全体構成を示す概略図である。
【図2】メモリ増設システムを示す概略図である。
【図3】メモリ増設モジュールのメモリ容量を割当てる手順を示したフローチャートである。
【図4】メモリモージュールの管理テーブルの図である。
【図5】CPUがメモリにアクセスする動作手順を示したフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参考にして本発明の実施形態を説明する。
【0010】
図1は、ブレードサーバシステムの全体構成を示す概略図である。
【0011】
サーバモジュールは、1つのシャーシ100内に複数のサーバモジュール(#0)101〜サーバモジュール(#N)103が搭載され、サーバモジュール(#0)101〜サーバモジュール(#N)103はバックプレーンボード104へPCIe(A)105により接続され、バックプレーン104からPCIe(A)105によりPCIeスイッチ106へ接続されている。
【0012】
PCIeスイッチ106は、バックプレーン104に接続され、バックプレーン104からPCIe(B)107によりメモリ増設モジュール108に接続される。
【0013】
図2は、サーバモジュール、PCIeスイッチ106、及びメモリ増設システム108を示す概略図である。
【0014】
サーバモジュール(#0)101内のCPU201は、ノースブリッジ202と接続されている。ノースブリッジ202内にあるメモリコントローラ(A)203は、メモリ204と接続されている。ノースブリッジ202は、PCIe(A)105により、PCIeスイッチ106に接続されている。
【0015】
PCIeスイッチ106は、PCIe(B)107により、メモリ増設モジュール108と接続されている。
【0016】
メモリ増設システム108は、メモリ207と、メモリ207に接続されているメモリコントローラ(B)205とを有する。メモリ207としては、例えばフラッシュメモリ、HDD、ブレードサーバ等の記憶領域を確保できるデバイスであれば何れも使用できる。)メモリコントローラ(B)205は、内部に管理テーブル206を備えている。
【0017】
また、PCIeスイッチ106は、サーバモジュール(#0)101〜サーバモジュール(#N)103とPCIe105と接続されているPCIeポート(#0)208〜PCIeポート(#N)210と、メモリ増設モジュール108と接続しているPCIeポート211と、PCIeポート208〜210の内何れか一つとPCIeポート211とを接続するスイッチ機能212と、PCIeスイッチ機能212を制御するアクセス制御ブロック215とを備えている。
【0018】
次に、OS起動時におけるメモリ増設モジュール内のメモリ容量を各サーバモジュールへ割当てる方法を説明する。
【0019】
図3は、メモリ増設モジュール108内のメモリ容量の割当てる手順を示したフローチャートである。
【0020】
例えば、サーバモジュール(#0)101がホットアドメモリ機能を備えたOS213を起動させたとき、サーバモジュール(#0)101に接続されているPCIe(A)105を通して、PCIeスイッチ106を認識する<ステップ301>。
【0021】
このとき、PCIeスイッチ106は、PCIeポート(#0)208とPCIeポート211をスイッチ機能212により接続し、アクセスしたサーバモジュール(#0)101に接続されているPCIe(A)105と、メモリ増設モジュール108に接続されているPCIe(B)107とを、接続する<ステップ302>。
【0022】
接続後、OS213が、メモリ増設モジュール108を認識する<ステップ303>。
【0023】
このときOS213メモリ増設モジュール108内のメモリ207をOSにメモリと認識させるドライバー214を動作させ、メモリ増設モジュール108内のメモリ207をメインメモリと認識する<ステップ304>。
【0024】
このとき、ドライバーは、メモリ増設モジュール108内の管理テーブル206を基に割当てられたアドレス内に、サーバモジュール(#0)のCPUがメモリ増設モジュール108内のメモリ207へアクセスするように、メモリコントローラB205を設定する<ステップ305>。
【0025】
図4に示される増設メモリ容量401が管理テーブル206に設定されているとき、メモリ207内のアドレスにCPUがアクセスするように、ドライバー214がメモリコントローラB205を設定する<ステップ306>。
【0026】
しかし、増設メモリ容量401が管理テーブル206に設定されていないとき、CPUがサーバモジュール内のメモリにのみアクセスするように、設定される<ステップ307>。
【0027】
図4は、メモリコントローラ(B)205内の管理テーブル206である。
【0028】
管理テーブル206には、ユーザにより各サーバモジュールに割当てるメモリアドレス領域402が設定されている。例えばサーバモジュール(#0)101には、図4の増設メモリ容量401に割当てられる増設メモリ容量401が設定されており、サーバモジュールがメモリ増設モジュール201へアクセスしたとき、増設メモリ容量に相当する増設メモリアドレス領域402がサーバモジュール(#0)101に割当てられる。サーバモジュール(#0)101は、サーバモジュール内部のメモリ204と、メモリ増設モジュール108内のメモリ207に割当てられたアドレス0...0h〜X...hとの両方に、アクセスできる。しかし、サーバモジュール(#N)は、増設メモリ容量が0GBのため、増設メモリの増設メモリアドレス領域402をサーバモジュール(#N)103に割当てられない。そのため、サーバモジュール(#N)は、メモリ増設モジュール108のメモリ207には、アクセスできない。このときCPUのアクセスは、サーバモジュール内部のメモリへのみ、アクセスするように設定される。
【0029】
次に、サーバモジュールのCPUがメモリにアクセスする動作手順を示したフローチャートを図5に示す。
【0030】
例えば、サーバモジュール(#0)は増設メモリ容量401が0より多いため、サーバモジュール(#0)内のメモリ204へのアクセスとメモリ増設モジュール108内のメモリ207へのアクセスによりアクセスの手順が異なる<ステップ501>。
【0031】
サーバモジュール(#0)101が内部のメモリ204にアクセスするときは、メモリ204へ通常のアクセスをする<ステップ502>。
【0032】
一方、メモリ増設モジュール108内部のメモリ207へのアクセスするときは、アクセスをPCIeのプロトコルに従事したI/Oアクセスへと変換し、PCIe(A)105を通じてPCIeスイッチ106へアクセスする<ステップ503>。
【0033】
このときPCIeスイッチ106内のアクセス制御ブロック215は、PCIeスイッチ(106)に、サーバモジュール(#1)102〜サーバモジュール(#N)103がアクセスしていないことを確認する〈スッテプ504〉。
【0034】
他のサーバモジュールがアクセスしている時は、先にアクセスしたサーバモジュールの処理が終了するまでサーバモジュール101のアクセスを待機させる<ステップ505>。
【0035】
他のサーバモジュールがアクセスしていない時は、PCIe(B)107を通じてメモリ増設モジュール108内のメモリコントローラ(B)205へアクセスされる。メモリコントローラ(B)205は管理テーブル206を基に、メモリ増設モジュール108内の管理テーブル206で増設されたメモリ領域にアクセスする<ステップ507>。
【0036】
すなわち、本発明を適用した計算機システムでは、メモリが複数枚実装されたメモリ容量を増設するための専用のメモリ増設モジュールをシャーシ内部に搭載し、同一シャーシに搭載されているメモリホットアド機能を備えたOSを用いてサーバモジュールにメモリ増設モジュールのメモリ領域をメインメモリとして認識させる。更に、シャーシ内に搭載された複数のサーバモジュールで1つのメモリ増設モジュールを共有することにより複数のサーバモジュールのメモリ容量増設が可能となる。また、本発明においてサーバモジュールとメモリ増設モジュールとの伝送路においては汎用的なPCIeインターフェースを用いる。
【0037】
上記の方法によりサーバモジュール(#0)101がメモリ増設モジュール107のメモリ207を使用することができ、更に、シャーシ内部に搭載された全てのサーバモジュールがメモリ増設モジュール207を共有して使用することが可能となる。
【0038】
また、シャーシに挿入されている全てのサーバモジュールがメモリ増設モジュール内のメモリを共有することにより、1台のメモリ増設モジュールにより全てのサーバモジュールのメモリ容量増設が可能となる。
【符号の説明】
【0039】
100 シャーシ、101 サーバモジュール(#0)、102 サーバモジュール(#1)、103 サーバモジュール(#N)、104 バックプレーンボード、105 PCIe(A)、106 PCIeスイッチ、107 PCIe(B)、108 メモリ増設モジュール、201 CPU、202 ノースブリッジ、203 メモリコントローラ(A)、204 メモリ、205 メモリコントローラ(B)、206 管理テーブル、207 メモリ、208 PCIeポート(#0)、209 PCIeポート(#1)、210 PCIeポート(#N)、211 PCIeポート、212 スイッチ機能、213 OS、214 ドライバー、215 アクセス識別コントローラ、401 増設メモリ容量、402 増設メモリアドレス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
演算部、第一の記憶部および第一の記憶制御部を有する複数の計算機モジュールと、
第二の記憶部および第二の記憶制御部を有する記憶モジュールと、
前記計算機モジュールと前記複数の記憶モジュールとの接続を切り替える切替部とを備え、
前記計算機モジュールは、前記切替部を介して第二の記憶部を記憶領域として用いることを特徴とする計算機システム。
【請求項2】
第二の記憶制御部は、
前記計算機モジュールに割当てる第二の記憶部の記憶領域を管理する管理情報を有し、
前記管理情報に基づき、前記計算機モジュールの演算部と前記記憶モジュールの第二の記憶部とのアクセスを制御することを特徴とする請求項1記載の計算機システム。
【請求項3】
前記計算機モジュールは、OSと、前記OSに前記第二の記憶部を主となる記憶部と認識させるドライバとを有し、
前記ドライバは、前記管理情報で管理されている前記計算機モジュールに割当てる第二の記憶部の記憶領域に、前記演算部がアクセスするように前記第二の記憶制御部を設定することを特徴とする請求項2記載の計算機システム。
【請求項4】
前記管理情報に、前記計算機モジュールに割当てる第二の記憶部の記憶領域の容量が設定されている場合、前記計算機は第二の記憶部を主となる記憶部として認識し、
前記管理情報に、前記計算機モジュールに割当てる第二の記憶部の記憶領域の容量が設定されていない場合、前記第一の記憶部を主となる記憶部として認識することを特徴とする請求項2記載の計算機システム。
【請求項5】
前記切替部は、ある計算機モジュールと前記記憶モジュールとの接続を切り替えるに際し、他の計算機モジュールと前記記憶モジュールとの接続の有無を判定する判定部を有し、
前記判定部は、
他の計算機モジュールと前記記憶モジュールとの接続が無い場合、ある計算機モジュールと前記記憶モジュールとを接続し、
他の計算機モジュールと前記記憶モジュールとの接続がある場合、ある計算機モジュールと前記記憶モジュールとを接続を待機させること
を特徴とする請求項1記載の計算機システム。
【請求項6】
前記切替部は、PCIeスイッチであることを特徴とする請求項1記載の計算機システム。
【請求項7】
前記サーバモジュールは、前記演算部、前記第一の記憶部および前記切替部と接続され、前記第一の制御部を有するノースブリッジを備えることを特徴とする請求項1記載の計算機システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−145783(P2011−145783A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−4521(P2010−4521)
【出願日】平成22年1月13日(2010.1.13)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】