説明

記憶装置

【課題】任意の情報を利用者が記録可能な記憶装置から情報が漏洩することを防止することを目的とする。また、当該記憶装置の不正使用を防止することを目的とする。
【解決手段】記録媒体の記憶情報を維持する電力の供給又は記憶媒体の情報を読出す回路の動作電力の供給を、暗証情報を用いて継続又は遮断する機能を有する記憶装置を提供する。この記憶装置は記録媒体が揮発性メモリで構成される場合には、その記憶情報を維持する電力の供給を暗証情報を用いて管理し、該暗証情報によって電力の供給を継続又は遮断することで記憶情報を維持又は消去する電源部を有している。また、記録媒体が不揮発性メモリで構成される場合には、その記憶情報を読出す回路の動作に必要な電力の供給を暗証情報を用いて管理し、該暗証情報によって電力供給を継続又は遮断することで回路の動作を制御する電源部を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は記憶装置に関する。特に書換え可能なメモリカードに類する記憶装置に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機に代表される情報端末装置の発展に伴い、各種の情報を記録しておく記憶装置の重要性が高まっている。記憶装置としては半導体メモリ、ハードディスクなどが主として用いられている。情報端末装置に記憶する情報はスケジュールや住所録などの文字情報だけでなく、デジタルカメラで記録した画像情報やインターネット等で配信される音楽情報などがある。そのため情報端末装置に用いる記憶装置の大容量化が図られている。
【0003】
情報端末装置の性能が向上するに伴って利用者が大量の情報を気軽に持ち運ぶことが容易となり、社会生活において利便性が高まっている。その一方、記憶装置に記録した情報の漏洩が問題となっている。情報端末装置で入力可能なデータが多様化したため、もし記憶装置を紛失した場合には、第三者に個人情報が漏洩してしまう恐れがある。また、情報端末装置を廃棄する場合、物理的に破壊しなければ記憶装置に情報が残されてしまい、悪意の第三者によって公衆に開示されてしまうといった不安もある。
【0004】
そこで第三者に情報が漏洩しないようにするために、暗証番号などを用いて当該情報を保護することが考えられている。例えば、メモリカードにパスワード検証の失敗回数を記憶するリトライカウンタを設け、一定の失敗回数に達した場合にデータを強制的に消去するものが知られている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2005−011151号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、暗証番号等を用いてセキュリティを確保しようとしても、その暗証番号が解読されてしまえば記憶装置に記録されている情報の読出しが可能となってしまう。また何らかの代替手段が開発されれば記録されている情報に直接アクセスして読出しをされてしまう恐れがある。
【0006】
そこで本発明は、任意の情報を利用者が記録可能な記憶装置から情報が漏洩することを防止することを目的とする。また、当該記憶装置の不正使用を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は記録媒体の記憶情報を維持する電力の供給又は記憶媒体の情報を読出す回路の動作電力の供給を、暗証情報を用いて継続又は遮断する機能を有する記憶装置である。この記憶装置は記録媒体が揮発性メモリで構成される場合には、その記憶情報を維持する電力の供給を暗証情報を用いて管理し、該暗証情報によって電力の供給を継続又は遮断することで記憶情報を維持又は消去する電源部を有している。また、記録媒体が不揮発性メモリで構成される場合には、その記憶情報を読出す回路の動作に必要な電力の供給を暗証情報を用いて管理し、該暗証情報によって電力供給を継続又は遮断することで回路の動作を制御する電源部を有している。
【0008】
電源部においては蓄電部を設け、該蓄電部の充電は接触式又は非接触式で行うことが好ましい。記録媒体の記憶情報を維持する電力又は記録媒体の記憶情報を読出す回路の動作に必要な電力に対し、電源部における蓄電部の容量を調節することにより、記録媒体に記憶された情報を一定期間利用できるように構成することもできる。
【0009】
本発明に係る一の記憶装置は、少なくとも一部に揮発性メモリを含む記録媒体と、揮発性メモリへ情報の書込み、読出し及び消去の動作を制御する記録媒体制御部と、揮発性メモリに記録された情報を維持する電力を供給する電源部とを有し、電源部は、蓄電部と、暗証情報が入力され蓄電部への充電可否を判定する認証部と、認証部の承認が得られたとき蓄電部の充電を行う充電回路とを有する。
【0010】
本発明に係る一の記憶装置は、不揮発性メモリを含む記録媒体と、記録媒体へ情報の書込み、読出し及び消去の動作を制御する記録媒体制御部と、記録媒体制御部に駆動電力を供給する電源部とを有し、電源部は、蓄電部と、暗証情報が入力され蓄電部への充電可否を判定する認証部と、認証部の承認が得られたとき蓄電部の充電を行う充電回路とを有する。
【発明の効果】
【0011】
暗証情報により充電可能な蓄電部を備え、該蓄電部より揮発性メモリに記録された情報を維持する電力を供給することにより、記憶装置から情報が漏洩してしまうことを防ぐことができる。
【0012】
暗証情報により充電可能な蓄電部を備え、該蓄電部より不揮発性メモリの書込み及び読出し動作を制御する記録媒体制御部の動作に必要な電力を供給することで、記憶装置から情報が漏洩してしまうことを防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の実施の形態について、図面を用いて以下に説明する。但し、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細をさまざまに変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、以下に説明する本発明の構成において、同じものを指す符号は異なる図面間で共通して用いることとする。
【0014】
この発明に係る記憶装置は、情報を記憶する記録媒体、記録媒体へ情報の書込み、読出し及び消去の動作を制御する記録媒体制御部及び電源部を有している。これらの構成要素が有機的に相互に作用することによって、記憶装置の利用者における個人情報等を保護する機能を発現させている。まず、代表的な構成を図面を参照して説明する。
【0015】
(第1の構成)
図1は本実施の形態における記憶装置の第1の構成を示す。図1で示す記憶装置100は記録媒体101、記録媒体制御部102、電源部103を有している。記憶装置100において記録媒体101は、揮発性メモリ又は不揮発性メモリで構成されている。揮発性メモリとしては、ダイナミックRAM(Random Access Memory)、スタティックRAM、疑似スタティックRAMなどが適用される。不揮発性メモリとしては、フローティングゲート型メモリトランジスタ又は電荷トラップ型メモリトランジスタで構成されるNAND型フラッシュメモリ若しくはNOR型フラッシュメモリなどが適用される。その他、不揮発性メモリとしてハードディスクメモリを適用することもできる。
【0016】
記録媒体101は利用者が任意の情報を書込み、その情報を読出すことができるように構成されている。記録媒体101への情報の書込み、記録媒体101からの情報の読出し及び記録媒体101に記録されている情報の消去の制御は、記録媒体制御部102で行う。記録媒体制御部102には入出力部106から書込み情報、制御命令などが入力され、また記録媒体制御部102を介して読出し情報が記録媒体101から入出力部106へ出力される。
【0017】
記憶装置100に対する制御命令、記録媒体101に書き込む情報は入出力部106に入力される。記憶装置100を非接触式とする場合には、入出力部106の構成として無線信号を受信するアンテナ回路、共振回路などが含まれる。記録媒体制御部102には変調回路、復調回路が設けられ無線通信により情報の入出力が行われる。なお、無線通信により情報の入出力を行わない場合には、入出力部106に接触式の入力端子を設け、適宜インピーダンス整合回路、保護回路などを設ければ良い。
【0018】
電源部103は充電制御部104と蓄電部105を含んで構成されている。充電制御部104は入出力部107から伝送される交流波を整流し、蓄電部105を充電する回路である。交流波には100Hzから50GHzの電磁波を適応させることもできる。例えば入出力部107に受信用のアンテナを設け、無線周波数帯である30kHzから30GHzの電磁波を受信するようにしても良い。無線による電力供給は、電磁波を記憶装置100に送信する充電器によって行うことができる。その他にも、空中を伝搬する電磁波を任意に受信して、充電制御部104を介して蓄電部105に充電しても良い。なお、入出力部107の構成として接触式の入力端子を設けても良い。
【0019】
蓄電部105は、リチウムイオン二次電池、リチウムイオンポリマー二次電池、ニッケル・水素蓄電池、ニッケル・カドミウム蓄電池などの二次電池(充電を行うことにより電気を蓄えて繰り返し使用することが出来る化学電池)、またはキャパシター(コンデンサ)などで構成される。蓄電部105は記録媒体101の動作に必要な電力を供給する。蓄電部105は、記録媒体101のメモリセルアレイの駆動回路の動作に必要な電力を供給するように構成されている。この場合、蓄電部105の電力が消失すると記録媒体101の動作は止まり、情報の書込み及び読出しができなくなる。また、蓄電部105は、揮発性メモリセルアレイのメモリセルに書き込まれた情報を維持するための電力を供給するように構成されている。この場合、蓄電部105の電力が消失すると記録媒体101の情報は消失するので、情報の読出しができなくなる。
【0020】
本構成例では、特定の暗証情報を認証できた場合に蓄電部105が動作状態となるように充電制御部104に充電制御手段を含ませることが可能である。記録媒体101は蓄電部105の電力供給によって動作が可能となるので、充電制御部104に認証情報によって充電の許可を行う充電制御手段を設けることで、許可されていない第三者が記録媒体101に記録されている情報を利用できないようにすることができる。
【0021】
本構成例によれば、蓄電部105の電力を暗証情報等を用いて管理することにより、記録媒体101に記録されている情報を特定の利用者だけに利用可能とすることができる。記録媒体101の消費電力を考慮して、一回の満充電で利用可能な時間を蓄電部105の容量で設定できるので、記憶装置100から情報が漏洩するリスクを低減することができる。また、記録媒体101の消費電力を考慮して蓄電部105の容量を設定し、又は蓄電部105に充電する電力を調節することにより、記憶装置100の利用可能時間を設定することができる。
【0022】
(第2の構成)
図2は本実施の形態における記憶装置の第2の構成を示す。図2で示す記憶装置100は記録媒体101、記録媒体制御部102、電源部103を有している。記録媒体101は一部に揮発性メモリ108を含んで構成されている。揮発性メモリの代表例としては半導体メモリが適用され、例えばダイナミックRAM、スタティックRAM、疑似スタティックRAMなどが適用される。揮発性メモリ108には補助電源109が接続されている。補助電源109は揮発性メモリ108に書き込まれた情報を維持するための電力を供給するために用いる。例えば、スタティックRAMにおいてメモリセルに書き込まれたデータを維持するために用いる。ダイナミックRAMではリフレッシュ動作のために用いる。
【0023】
この補助電源109の電力は電源部103における蓄電部105から供給される。電源部103の構成は図1で説明した第1の構成と同様である。また、記録媒体制御部102、入出力部106、入出力部107も第1の構成と同様なものを適用することができる。
【0024】
本構成によれば、記録媒体101における揮発性メモリ108に秘匿性の高い情報を記憶させておき、その情報の利用を電源部103を用いて管理することができる。記録媒体101において、揮発性メモリ108以外のメモリ領域は、不揮発性メモリ或いは読出し専用メモリで構成し、任意に読出し可能としておいても良い。
【0025】
このように、蓄電部105の電力を暗証情報等を用いて管理することにより、揮発性メモリ108に記録されている情報を特定の利用者だけに利用可能とすることができる。揮発性メモリ108に書き込まれた情報は補助電源109からの電力供給が止まると消失してしまうので、その後第三者が解読しようとしても不可能となる。揮発性メモリ108の消費電力を考慮して、一回の満充電で利用可能な時間を蓄電部105の容量で設定できるので、記憶装置100から情報が漏洩するリスクを低減することができる。また、揮発性メモリ108の消費電力を考慮して蓄電部105の容量を設定し、又は蓄電部105に充電する電力を調節することにより、記憶保持時間を設定することができる。
【0026】
(第3の構成)
図3は本実施の形態における記憶装置の第3の構成を示す。図3で示す記憶装置100は記録媒体101、記録媒体制御部102、電源部103を有している。記録媒体101は第1の構成と同様である。本構成では、記録媒体制御部102の駆動電力を蓄電部105から供給する構成となっている。蓄電部105からの電力供給が止まると記録媒体101から情報を読み出すことができなくなる。電源部103の構成は第1の構成と同様であり、暗証情報により蓄電部105の充電を管理することにより記憶装置100の情報を管理することができる。
【0027】
本構成例によれば、蓄電部105の電力を暗証情報等を用いて管理することにより、記録媒体101に記録されている情報を特定の利用者だけに利用可能とすることができる。記録媒体制御部102の消費電力を考慮して、蓄電部105の容量を適切に設定することにより、記憶装置100から情報を読み出す期間を設定することもできる。
【0028】
(電源部の構成)
本実施の形態に係る記憶装置における第1の構成、第2の構成及び第3の構成において、共通に適用することのできる充電制御部104の構成を図4乃至図6を参照して説明する。
【0029】
図4は暗証番号を用いて充電の管理を行う充電制御部104の構成を示す。暗証番号は記憶装置100の制御命令と共に入力され、記録媒体制御部102から認証部110に入力される。認証部110において充電許可の認証が得られれば、充電を許可する信号が充電回路112に出力される。充電回路112は充電を許可する信号が入力された場合に充電動作を行う。充電制御部104には予め暗証情報を記憶させるメモリ部111を設けておき、認証部110において、入力された暗証番号と暗証情報との比較を行うようにすれば良い。
【0030】
図5は記憶装置に生体情報を識別するセンサ部113(生体情報センサ)を設け、その出力信号(センサ信号)を認証部110に入力する構成を示している。センサ部113は、指紋センサ、網膜センサ又は顔画像センサなどが適用され、個体特有の情報を認識する。個体情報は予めメモリ部111に登録しておき、認証部110において、センサ部113からの出力信号を演算処理により解析して認証を行うようにすれば良い。
【0031】
図6はメモリ部111に充電回路112を動作させることが可能な時間情報を記憶させておく構成を示している。この時間情報(期限管理情報)は、記憶装置100の制御命令と共に入力され、記録媒体制御部102からメモリ部111に記録される。認証部110に入力される暗証情報は、図4のように暗証番号であっても良いし、図5のように個体を識別するセンサ部113からの出力信号であっても良い。認証部110において、期限管理情報と暗証情報を演算処理することにより、利用者に対して期間を限定して記憶装置の情報を提供することができる。
【0032】
(記録媒体の第1の構成例)
図7に本実施の形態において適用することのできる記録媒体の一例として、不揮発性メモリの構成を示す。図7は不揮発性メモリの一例としてフラッシュメモリの構成をブロック図として示す。
【0033】
不揮発性メモリ114にはコマンド入出力ポート115、データ入出力ポート116、電源入力ポート129の各端子が備えられている。コマンド入出力ポート115には不揮発性メモリ114の動作を制御する命令が入力される。制御命令としては、書込命令、読出命令、消去命令などである。これらの制御命令と共に、不揮発性メモリセルアレイ125のアドレスを指定する情報もコマンド入出力ポート115を介して入出力される。制御命令及びアドレスを指定する情報はコマンド制御回路117で処理され、カラムアドレスデコーダ119及びロウアドレスデコーダ120へアドレス命令が出力される。カラムアドレスデコーダ119はカラムアドレス命令をデコードして、ビット線アドレスを指定する信号などをカラムデコーダ123に出力する。ロウアドレスデコーダ120はロウアドレス命令をデコードして、ワード線アドレスを指定する信号などをロウデコーダ124に出力する。
【0034】
不揮発性メモリセルアレイ125は、ゲート構造としてフローティングゲート又は電荷トラップ層を有するメモリトランジスタをマトリクス状に配置させて構成されている。メモリトランジスタはカラムデコーダ123から延びるビット線(BL)と、ロウデコーダ124から延びるワード線(WL)により選択され、データの入出力が行われる。
【0035】
不揮発性メモリセルアレイ125に書込む情報は、データ入出力ポート116から入力され、入出力バッファ118を介して書込回路122に送られる。書込回路122はデータをカラムデコーダ123に出力する。
【0036】
不揮発性メモリセルアレイ125のデータは、カラムデコーダ123からセンスアンプ121を介して読出される。センスアンプ121の出力は入出力バッファ118に送られて、データ入出力ポート116を経て送信される。
【0037】
不揮発性メモリ114の動作に必要な電力は電源入力ポート129から入力される。電源入力ポート129は、図1乃至図3で示す電源部103に接続している。すなわち、蓄電部105の電力が電源入力ポート129を介して電源回路128に供給される。供給された電力は電源回路128で安定化され各回路に供給される。不揮発性メモリセルアレイ125の書込み及び消去において高い電圧が必要な場合には、昇圧回路127で昇圧された電力が書込回路122、ウエルドライバ126に供給される。ウエルドライバ126はコマンド制御回路117から送信されるブロック選択信号と同期して動作する。選択されたメモリブロックのウエルに所望の電圧を印加する。例えば、ブロック単位で一括消去する場合にウエルドライバ126が動作する。
【0038】
図7で示すように、不揮発性メモリ114は電源部103からの電力供給で動作が可能となる。すなわち、電源部103の電力供給を管理することで情報の書込み、読出し及び消去の動作を制御することができる。この場合、不揮発性メモリ114が記憶する情報は維持されるので、読出し又は書込みを禁止しつつ情報を保持したい場合には図7の構成は有用である。なお、図7で示す不揮発性メモリ114構成は、記録媒体101の全部又は一部を構成する要素として適用可能である。
【0039】
(記録媒体の第2の構成例)
図8に本実施の形態において適用することのできる記録媒体の一例として、揮発性メモリの構成を示す。図8は揮発性メモリの一例としてスタティックRAMの構成をブロック図として示す。
【0040】
揮発性メモリ130には入力ポート131、出力ポート132、電源入力ポート143の各端子が備えられている。入力ポート131には揮発性メモリ130の動作を制御する命令が入力される。制御命令としては、書込命令、読出命令、消去命令などである。これらの制御命令と共に、揮発性メモリセルアレイ139のアドレスを指定する情報及び記憶情報が入力ポート131から入力される。これらの制御命令及びアドレスを指定する情報は制御回路134で処理され、カラムアドレスデコーダ135及びロウアドレスデコーダ136へアドレス命令が出力される。また、記憶情報は入力バッファ133に出力される。カラムアドレスデコーダ135はカラムアドレス命令をデコードして、ビット線アドレスを指定する信号などをカラムデコーダ137に出力する。ロウアドレスデコーダ136はロウアドレス命令をデコードして、ワード線アドレスを指定する信号などをロウデコーダ138に出力する。
【0041】
揮発性メモリセルアレイ139に書込む情報は、入力バッファ133からカラムデコーダ137に送られ、ビット線を介して所定のメモリセルに書き込まれる。メモリセルの選択はカラムデコーダ137とロウデコーダ138が同期することにより行われる。揮発性メモリセルアレイ139のデータは、カラムデコーダ137からセンスアンプ140を介して読出される。センスアンプ140の出力は出力バッファ141に送られて、出力ポート132を経て送信される。
【0042】
揮発性メモリセルアレイ139は、インバータを2段リング接続してHレベル(高レベル)とLレベル(低レベル)の二つの安定状態のどちらかを保持できるスタティックRAMの構成となっている。その他、読出しと書込みの制御を行うため選択用のトランジスタがカラムデコーダ137から延びるビット線に接続されている。スタティックRAMはインバータにデータを保持する構成となっているので、保持に必要な電力を供給していればデータを保持し続けることができる。保持に必要な電力が供給されなくなると、それまで保持していたデータが消えてしまう。消費電力はインバータのリーク電流だけになるので、ダイナミックRAMと比較して少なくて済む。
【0043】
揮発性メモリ130の記憶保持に必要な電力は電源入力ポート143から入力される。電源入力ポート143は、図1乃至図3で示す電源部103に接続している。すなわち、蓄電部105の電力が電源入力ポート143を介して補助電源回路142に供給される。供給された電力は補助電源回路142で安定化され揮発性メモリセルアレイ139に供給される。
【0044】
図8で示すように、揮発性メモリ130は電源部103からの電力供給を制御することで記憶情報の保持又は消去が可能となる。すなわち、電源部103の電力供給を管理することで情報の書込み、読出し及び消去の動作を制御することができる。この場合、電力供給が止まると揮発性メモリ130が記憶する情報は消去されるので、記憶情報を残しておきたくない場合には図8の構成は有効である。なお、図8で示す揮発性メモリ130はスタティックRAMについて示しているが、リフレッシュ回路の動作電力を電源部103から供給するようにすればダイナミックRAMや疑似スタティックRAMなどの構成を採用することもできる。
【実施例1】
【0045】
本発明に係る記憶装置はさまざまな電子機器と組み合わせて用いることができる。図9は携帯電話機144に本発明に係る記憶装置100を適用する場合を例示している。携帯電話機144にはメモリスロット145が備えられ、そこに記憶装置100を挿入する構成となっている。記憶装置100に記憶されている情報は、音声又は音楽情報として再生することができる。また画像若しくは映像又は文字情報として表示パネル146に表示させることができる。
【0046】
このような携帯電話機144のシステム構成の一例を図10に示す。アンテナ148、RF回路149、ベースバンドプロセッサ150は700〜900MHz帯、1.7〜2.5GHz帯の無線通信を行うために設けられている。音声・画像処理プロセッサ151はCPU152と通信を行い、ビデオコントローラ154にビデオ信号等を送る。また、スピーカ157への音声出力、マイクロフォン158から音声入力、カメラモジュール159から送られてくる画像データの処理などを行う。CPU152はメインメモリ153に記憶されているオペレーティングプログラムに従って動作し、入力部155からの信号を受けて、音声・画像処理プロセッサ151の制御を行う。その他にもCPU152は、通信インターフェース156(入出力IF)を介してローカルエリアネットワークを使った通信を制御する。ビデオコントローラ154は表示パネル146及びサブ表示パネル147の制御を行う。
【0047】
メモリスロット145に挿入される記憶装置100の情報はCPU152に送られる。記憶装置100の情報が音声情報(又は音楽情報)の場合にはスピーカ157から音声情報(又は音楽情報)が再生される。記憶装置100の情報に画像若しくは映像情報が含まれる場合には、表示パネル146及び/又はサブ表示パネル147に画像若しくは映像が表示される。記憶装置100の動作に必要な電源は、この携帯電話機144と別系統である。すなわち、図1乃至図3で示すように記憶装置100の記憶情報を管理する電源が記憶装置100に独立して備えられている。このため、記憶装置100の記憶情報は携帯電話機144とは独立して管理することが可能となる。このような構成とすることで、例えば携帯電話機144を紛失し、その後悪意の第三者がそれを取得したとしても、記憶装置100に記憶されている情報が利用されることを防ぐことができる。
【実施例2】
【0048】
本発明に係る記憶装置はさまざまな電子機器と組み合わせて用いることができる。図11はデジタルプレーヤー160(デジタルオーディオプレーヤー)を示しており、オーディオ装置の1つの代表例である。デジタルプレーヤー160は、表示パネル161、操作部162、イヤホン163等を含んでいる。なお、イヤホン163の代わりにヘッドホンや無線式イヤホンを用いることができる。デジタルプレーヤー160で再生する音楽情報及び又は画像若しくは映像情報は記憶装置100に記憶されている。記憶装置100はデジタルプレーヤー160から脱着可能に設けられている。この場合記憶装置100の動作に必要な電源は、このデジタルプレーヤー160と別系統で供給する。すなわち、図1乃至図3で示すように記憶装置100の記憶情報を管理する電源が記憶装置100に独立して備えられている。このため、記憶装置100の記憶情報はデジタルプレーヤー160とは独立して管理することが可能となる。
【0049】
また、図12は、電子書籍164を示している。この電子書籍164は、表示部165、操作部166を含んでいる。電子書籍164で再生する情報は記憶装置100に記憶されている。記憶装置100は電子書籍164から脱着可能に設けられている。記憶装置100の情報は操作部166を操作することにより表示部165で再生することができる。この場合、記憶装置100の動作に必要な電源は電子書籍164と別系統で供給する。すなわち、図1乃至図3で示すように記憶装置100の記憶情報を管理する電源が記憶装置100に独立して備えられている。このため、記憶装置100の記憶情報は電子書籍164とは独立して管理することが可能となる。
【0050】
本実施例に示すように、音声や映像情報等を利用者に提供する電子機器の場合、その情報を管理するために記憶装置100を用いることができる。その態様の一例を図13を参照して説明する。
【0051】
図13は情報提供システムを示し、記憶装置100の利用者と情報提供業者168の関係を示している。利用者167はある特定の情報の提供を受けたいとき、情報提供業者168にその旨を申し込む。この場合、利用者167と情報提供業者168との間では個人情報の管理や利用料の支払い条件などの契約がなされる。情報提供業者168はID番号の通知など、利用者167を特定し便宜を図る情報を提供する。利用者167は携帯電話機、デジタルオーティオプレーヤー、電子書籍などの電子機器を通じてID番号を記憶装置に入力する。情報提供業者168は記憶装置に要求された情報を記憶させ、その記憶を維持する(記憶装置100を動作させる)電力を提供する。例えば、無線通信手段を利用して、記憶装置100の入出力部106に提供情報を送り、入出力部107に蓄電部105を充電するための電力を送る。利用者167が提供された情報を利用可能な期間は、情報提供業者168によって提供される充電電力で管理することができるので、情報提供業者168においては収益向上を図ることができる。また、利用者にとっても、自己が利用した情報が記憶装置100に蓄積されて履歴が残る心配がないので、プライバシーを守ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】記録媒体、記録媒体制御部及び電源部を有する記憶装置の第1の構成を示す図。
【図2】記録媒体、記録媒体制御部及び電源部を有する記憶装置の第2の構成を示す図。
【図3】記録媒体、記録媒体制御部及び電源部を有する記憶装置の第3の構成を示す図。
【図4】記憶装置における電源部に含まれる充電制御部の第1の構成を示す図。
【図5】記憶装置における電源部に含まれる充電制御部の第2の構成を示す図。
【図6】記憶装置における電源部に含まれる充電制御部の第3の構成を示す図。
【図7】記録媒体の一例として示される不揮発性メモリの構成を示す図。
【図8】記録媒体の一例として示される揮発性メモリの構成を示す図。
【図9】実施例1で例示する記憶装置を利用する携帯電話機を説明する図。
【図10】実施例1で例示する記憶装置を利用する携帯電話機の構成を説明する図。
【図11】実施例2で例示する記憶装置を利用するデジタルプレーヤーを説明する図。
【図12】実施例2で例示する記憶装置を利用する電子書籍を説明する図。
【図13】実施例2で例示する情報提供システムを説明する図。
【符号の説明】
【0053】
100 記憶装置
101 記録媒体
102 記録媒体制御部
103 電源部
104 充電制御部
105 蓄電部
106 入出力部
107 入出力部
108 揮発性メモリ
109 補助電源
110 認証部
111 メモリ部
112 充電回路
113 センサ部
114 不揮発性メモリ
115 コマンド入出力ポート
116 データ入出力ポート
117 コマンド制御回路
118 入出力バッファ
119 カラムアドレスデコーダ
120 ロウアドレスデコーダ
121 センスアンプ
122 書込回路
123 カラムデコーダ
124 ロウデコーダ
125 不揮発性メモリセルアレイ
126 ウエルドライバ
127 昇圧回路
128 電源回路
129 電源入力ポート
130 揮発性メモリ
131 入力ポート
132 出力ポート
133 入力バッファ
134 制御回路
135 カラムアドレスデコーダ
136 ロウアドレスデコーダ
137 カラムデコーダ
138 ロウデコーダ
139 揮発性メモリセルアレイ
140 センスアンプ
141 出力バッファ
142 補助電源回路
143 電源入力ポート
144 携帯電話機
145 メモリスロット
146 表示パネル
147 サブ表示パネル
148 アンテナ
149 RF回路
150 ベースバンドプロセッサ
151 音声・画像処理プロセッサ
152 CPU
153 メインメモリ
154 ビデオコントローラ
155 入力部
156 通信インターフェース
157 スピーカ
158 マイクロフォン
159 カメラモジュール
160 デジタルプレーヤー
161 表示パネル
162 操作部
163 イヤホン
164 電子書籍
165 表示部
166 操作部
167 利用者
168 情報提供業者

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一部に揮発性メモリを含む記録媒体と、
前記揮発性メモリへ情報の書込み、前記揮発性メモリの情報の読出し、及び前記揮発性メモリの情報の消去の動作を制御する記録媒体制御部と、
前記揮発性メモリに記録された情報を維持する電力を供給する蓄電部と、
暗証情報が入力され、前記蓄電部への充電可否を判定する認証部と、
前記認証部の承認が得られたとき前記蓄電部の充電を行う充電回路と、を有することを特徴とする記憶装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記揮発性メモリの情報を読出す期間を指定する時間情報が記録されたメモリ部を有し、
前記メモリ部は前記認証部に接続されていることを特徴とする記憶装置。
【請求項3】
不揮発性メモリを含む記録媒体と、
前記記録媒体へ情報の書込み、前記記録媒体の情報の読出し、及び前記記録媒体の情報の消去の動作を制御する記録媒体制御部と、
前記記録媒体制御部に駆動電力を供給する蓄電部と、
暗証情報が入力され、前記蓄電部への充電可否を判定する認証部と、
前記認証部の承認が得られたとき前記蓄電部の充電を行う充電回路と、を有することを特徴とする記憶装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか一項において、
前記認証部が前記記録媒体制御部と接続され、
前記暗証情報が、前記記録媒体制御部から前記認証部に出力されることを特徴とする記憶装置。
【請求項5】
請求項4において、
前記暗証情報は、暗証番号であることを特徴とする記憶装置。
【請求項6】
請求項1乃至請求項3のいずれか一項において、
指紋センサ、網膜センサ又は顔画像センサで構成されるセンサ部を有し、
前記暗証情報は、前記センサ部から前記認証部に入力される信号であることを特徴とする記憶装置。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれか一項において、
前記充電回路の充電を行うための電磁波を受信するアンテナを有することを特徴とする記憶装置。
【請求項8】
請求項7において、
前記電磁波の周波数帯は、30kHzから30GHzであることを特徴とする記憶装置。
【請求項9】
請求項1乃至請求項8のいずれか一項に記載の記憶装置が脱着可能に設けられている電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2008−243189(P2008−243189A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−36917(P2008−36917)
【出願日】平成20年2月19日(2008.2.19)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】