説明

設置位置報知装置

【課題】車両速度計測装置が車両の速度を計測する車線を走行するときに、車両速度計測装置の設置位置に接近したことを報知する設置位置報知装置を得る。
【解決手段】車両に搭載され、複数の衛星からの電波を受信して、位置情報を算出する測位部1を有すると共に、車両の速度を外部から計測する車両速度計測装置の位置情報を記憶した不揮発性メモリ10と、走行中の現在の車両の位置情報が、不揮発性メモリ10に記憶された位置情報と近いときに警報を発する制御部8とを備えた。更に、不揮発性メモリ10が、車両速度計測装置の計測する車両走行方向を方位情報として記憶すると共に、制御部8が、走行中の現在の車両の位置情報と方位情報とが、不揮発性メモリ10に記憶された位置情報と方位情報とに近いときに警報を発する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載され、車両の速度を外部から計測する車両速度計測装置の設置位置に接近したときに警報を発する設置位置報知装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、車両の速度を計測するために車両速度計測装置から発射されたマイクロ波を受信したときに警報を発する報知装置が広く知られている。車両速度計測装置には、電波を用いたもの以外にも、例えば、走行車線に沿って一定間隔を置いた2箇所の道路面下に各々埋設されたループコイルとそこを通過する車両との間の電磁気的な作用を用いたものがある。また、走行車線に沿って一定間隔を置いた2箇所に各々走行車線を挟んで受光素子及び発光素子を対向配置しておき、通過する車両による各発光素子からの光の遮断を各受光素子で検出するというものもある。
【0003】
従って、マイクロ波の受信だけでは全ての車両速度計測装置を探知することができないので、特開平9−27096号公報にあるように、複数の衛星からの電波を受信して、緯度、経度等の位置情報を算出するいわゆるGPS(Global Positioning System )を用い、車両速度計測装置の設置位置を通過した際に、GPSにより算出された位置情報を記憶する。そして、再度通過する場合に、GPSにより算出された現在の位置情報が、記憶された位置情報と近い場合に警報を発するようにしたものも提案されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、こうした従来のものでは、車両速度計測装置の設置位置に接近した場合、警報を発する。車両速度計測装置が車両の速度を計測するのは、上り車線か下り車線かの一方の車線のみである。例えば、車両速度計測装置が上り車線を通過する車両の速度を計測するものである場合、下り車線を通って車両速度計測装置の設置位置に接近する場合も警報が発せられてしまうという問題があった。
【0005】
本発明の課題は、車両速度計測装置が車両の速度を計測する車線を走行するときに、車両速度計測装置の設置位置に接近したことを報知する設置位置報知装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる課題を達成すべく、本発明は課題を解決するため次の手段を取った。即ち、
車両に搭載され、複数の衛星からの電波を受信して、位置情報を算出する測位手段を有すると共に、車両の速度を外部から計測する車両速度計測装置の位置情報を記憶した記憶手段と、走行中の現在の車両の前記位置情報が、前記記憶手段に記憶された位置情報と近いときに警報を発する制御手段とを備えた設置位置報知装置において、
更に、前記記憶手段が、前記車両速度計測装置の計測する車両走行方向を方位情報として記憶すると共に、前記制御手段が、走行中の現在の車両の位置情報と方位情報とが、前記記憶手段に記憶された前記位置情報と前記方位情報とに近いときに警報を発することを特徴とする設置位置報知装置がそれである。
【0007】
前記記憶手段は、更に、前記車両速度計測装置の種類も種類情報として記憶してもよい。あるいは、前記記憶手段が、更に、前記車両速度計測装置の設置位置が高速道路か一般道路かの別を示すハイウェイ情報をも記憶してもよい。軌跡スイッチが押下されたときに、現在走行中の位置情報及び方位情報を前記記憶手段に記憶するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0008】
以上詳述したように本発明の設置位置報知装置は、車両速度計測装置の位置情報が近いだけでなく、予め記憶された方位情報とも近いときに警報を発するので、走行車線が違うことによる誤報知を防止できるという効果を奏する。また、車両速度計測装置の種類情報も記憶すると、種類別によるより細かな制御を行うことも可能となる。更に、ハイウェイ情報を記憶することにより、高速道路と一般道路との別も判断することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1に示すように、1は、車両に搭載され、図示しないGPS衛星から常時送信される電波をGPSアンテナ2で受信して車両の緯度、経度等の位置情報を算出する測位手段としての測位部である。測位部1は、GPSアンテナ2を介して衛星からの電波を受信する受信部4と、受信部4からの受信信号に基づいて車両の緯度、経度等の位置情報を算出する演算部6とを備えている。
【0010】
測位部1は、現在の車両の位置情報を制御手段としての制御部8に出力し、制御部8は測位部1からの位置情報と、記憶手段としての不揮発性メモリ10(例えば、EEPROM等)に記憶された位置情報とを比較する。また、本実施形態では、制御部8が位置情報に基づいて方位情報を算出する。
【0011】
方位情報とは、車両の進行方向を示す情報であり、制御部8は、例えば、一定時間前の位置情報と、現在の位置情報とから車両の進行方向を算出する。尚、方位情報は、測位部1の演算部6が算出して、制御部8に出力するように構成してもよい。方位情報は方位表示部12に出力され、方位表示部12は現在の進行方向を東西南北の方向に応じて表示する。
【0012】
不揮発性メモリ10には、図2(a)に示すように、記憶エリアに車両速度計測装置の設置位置の位置情報14が予め記憶されている。位置情報14とは、車両速度計測装置の設置位置の緯度、経度等である。不揮発性メモリ10には、更に、記憶エリアに車両速度計測装置が計測する車両の進行方向を示す方位情報16も予め記憶されている。方位情報16とは、東西南北に応じた車両の進行方向を示す情報である。
【0013】
図3に示すように、道路に沿って設置された車両速度計測装置17は、一方の車線を走行する車両の速度のみを計測できる。例えば、上り車線側に設置された車両速度計測装置17は、上り車線を走行する車両の速度を外部から計測するが、下り車線を走行する車両の速度は計測しない。車両速度計測装置17は、ある一方向に走行する車両の速度を計測する。この計測される車両走行方向を方位情報16として予め記憶している。
【0014】
更に、不揮発性メモリ10には、記憶エリアに車両速度計測装置17の種類を示す区別情報18も記憶されている。車両速度計測装置17の種類とは、速度を計測する方法の別であり、レーダー式、Hシステム、ループコイル式、Nシステム等がある。また、不揮発性メモリ10には、記憶エリアに車両速度計測装置17の設置位置が高速道路か一般道路かの別を示すハイウェイ情報20も予め記憶されている。不揮発性メモリ10には、位置情報と方位情報とが近いときに警報を発する、発しないの別を示すアラーム情報22も記憶されている。
【0015】
制御部8は、ブザー等からなる警報部24に接続されると共に、測位部1で受信した衛星の数を表示する衛星数表示部26に接続されている。また、制御部8には、車両速度が30Km/h以下のときに点灯するLSC表示部28が接続されると共に、高速道路を走行する際にハイウェイスイッチ36が押下されたときに点灯するハイウェイモード表示部30も接続されている。
【0016】
制御部8には、各種スイッチも接続されている。本実施形態では、第1メモリスイッチ32、第2メモリスイッチ34、ハイウェイスイッチ36、軌跡スイッチ38が接続されている。第1メモリスイッチ32を押下することにより、運転者が車両速度計測装置17の設置位置を不揮発性メモリ10に記憶させることができる。
【0017】
即ち、レーダー式、Hシステム、ループコイル式の車両速度計測装置(以下、オービスという)の設置位置を、車両の運転者が直接入力する場合、第1メモリスイッチ32を押下する。第1メモリスイッチ32が押下されたときには、制御部8は、図2(b)に示すように、そのときの車両の位置情報14、方位情報16を不揮発性メモリ10に記憶する。また、車両速度計測装置17の区別情報18をオービスとして記憶すると共に、その走行道路が高速道路か一般道路かの別を示すハイウェイ情報20をハイウェイモード表示部30の表示に基づいて記憶する。警報を発するか否かの別をアラーム情報22として不揮発性メモリ10に記憶する。
【0018】
第2メモリスイッチ34が押下されたときには、制御部8は、図2(c)に示すように、現在の位置情報14、方位情報16を不揮発性メモリ10に記憶すると共に、その走行道路が高速道路か一般道路かの別を示すハイウェイ情報20をハイウェイモード表示部30の表示に基づいて記憶する。同時に、アラーム情報22として、警報を発しない旨を示す「1」を不揮発性メモリ10に記憶する。
【0019】
更に、軌跡スイッチ38が押下されたときには、制御部8は、図2(d)に示すように、現在の位置情報14を不揮発性メモリ10に記憶すると共に、その走行道路が高速道路か一般道路かの別を示すハイウェイ情報20をハイウェイモード表示部30の表示に基づいて記憶する。
【0020】
次に、前述した本実施形態の設置位置報知装置の作動について説明する。
まず、複数の衛星からの電波を、GPSアンテナ2を介して受信部4で受信すると、演算部6は、受信部4からの受信信号に基づいて、車両の現在の緯度、経度等の位置情報を算出する。制御部8は、演算部6からの現在の位置情報を受けて、一定時間前の位置情報から方位情報を算出する。
【0021】
そして、現在の位置情報と方位情報とが、不揮発性メモリ10に記憶された複数の車両速度計測装置の設置位置の位置情報14及び方位情報16の何れかと近いか否かを判断する。例えば、現在の位置情報が不揮発性メモリ10に記憶された位置情報14を中心とする500m以内であれば近いと判断する。
【0022】
また、ハイウェイ情報20にも一致するか否かを判断する。現在、一般道路を走行中であり、ハイウェイ情報20も一般道路であれば、一致すると判断し、ハイウェイ情報20が高速道路を示す場合には一致しないと判断する。高速道路が高架で、一般道路がその下を通っている場合、車両速度計測装置17の位置情報14としては同じであるが、車両速度計測装置17が高速道路を走行する車両の速度を計測する場合には、一般道路は対象とならない。これにより、一般道路を走行している場合には、誤った警報がされるのを防止できる。
【0023】
近い情報がある場合に、その近い情報のアラーム情報22が「0」であるときには、警報部24に駆動信号を出力して、警報を発する。一方、近い情報があっても、その一致する情報のアラーム情報が「1」であるときには、警報部24に駆動信号を出力しない。従って、運転者により、第2メモリスイッチ34が押下されて、不揮発性メモリ10に位置情報と共に、アラーム情報22として「1」が記憶されたときには、その設置位置に車両が接近しても、警報は発せられない。
【0024】
また、軌跡スイッチ38が押下されて記憶された位置情報14と近いときには、その都度、警報が発せられる。例えば、運転者が走行中に一定間隔で軌跡スイッチ38を押下して複数の位置情報14を記憶すると、その位置情報14と一致するように逆方向に軌跡を辿って走行することもできる。
【0025】
以上本発明はこの様な実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々なる態様で実施し得る。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の一実施形態としての設置位置報知装置の概略構成図である。
【図2】本実施形態の不揮発性メモリの記憶エリアを説明する説明図である。
【図3】本実施形態の方位情報の説明図である。
【符号の説明】
【0027】
1…測位部 2…アンテナ
4…受信部 6…演算部
8…制御部 10…不揮発性メモリ
12…方位表示部 14…位置情報
16…方位情報 17…車両速度計測装置
18…区別情報 20…ハイウェイ情報
22…アラーム情報 24…警報部
26…衛星数表示部 28…LSC表示部
30…ハイウェイモード表示部
32…第1メモリスイッチ
34…第2メモリスイッチ
36…ハイウェイスイッチ
38…軌跡スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載され、複数の衛星からの電波を受信して、位置情報を算出する測位手段を有すると共に、車両の速度を外部から計測する車両速度計測装置の位置情報を記憶した記憶手段と、走行中の現在の車両の前記位置情報が、前記記憶手段に記憶された位置情報と近いときに警報を発する制御手段とを備えた設置位置報知装置において、
更に、前記記憶手段が、前記車両速度計測装置の計測する車両走行方向を方位情報として記憶すると共に、前記制御手段が、走行中の現在の車両の位置情報と方位情報とが、前記記憶手段に記憶された前記位置情報と前記方位情報とに近いときに警報を発することを特徴とする設置位置報知装置。
【請求項2】
前記記憶手段は、更に、前記車両速度計測装置の種類も種類情報として記憶したことを特徴とする請求項1記載の設置位置報知装置。
【請求項3】
前記記憶手段が、更に、前記車両速度計測装置の設置位置が高速道路か一般道路かの別を示すハイウェイ情報をも記憶したことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の設置位置報知装置。
【請求項4】
軌跡スイッチが押下されたときに、現在の位置情報及び方位情報を前記記憶手段に記憶することを特徴とする請求項1ないし請求項3記載の設置位置報知装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2006−201182(P2006−201182A)
【公開日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−50252(P2006−50252)
【出願日】平成18年2月27日(2006.2.27)
【分割の表示】特願2000−402199(P2000−402199)の分割
【原出願日】平成12年12月28日(2000.12.28)
【出願人】(391019681)株式会社コムテック (11)
【Fターム(参考)】