説明

診断レポート検索装置

【課題】DICOM等に準拠した診断レポートにおいて、特定のノードが有するノード値を検索できるようにする。
【解決手段】診断レポートは特定のノードツリー構造を有する。同一ノード名の2つのノード92,94が存在している場合において、ターゲットノード92とは別にキーノード93を指定することにより、そのキーノード93によって規定される参照パスを利用して、正しい検索ルートが特定される。その結果、ターゲットノード92だけを特定することが可能となる。そのために、検索条件記述部及び絞り込み条件記述部を有する検索条件記述ファイルが生成され、検索エンジンは当該ファイルの記述内容にしたがって前処理及び本処理を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は診断レポート検索装置に関し、特に、診断レポートを格納したデータベースから診断レポートを取得し、その診断レポートに含まれる所望のデータを検索する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
超音波診断装置をはじめとする医療機器は、取得された画像や計測されたデータを内容とする電子的なファイルを生成し、それを他の装置へ伝送する機能を備えている。そのための標準規格(フォーマット規格、通信規格)として、DICOM(Digital Imaging and Communication in Medicine)が周知である(特許文献1,2参照)。DICOMファイルは本来、画像ファイルであるが、画像ではなく計測値やコメント文等を内容とするテキストファイル(診断レポート)として構成されることもある。DICOM規格においては、かかる診断レポートを構成する個々の要素がタグ番号(8桁の数字からなる識別子)によって管理され、タグ番号を指定することによりあるいはタグ番号を辿ることにより、特定の要素(つまり特定のデータ)にアクセスすることができる。各タグ番号には特定の意味が与えられており、タグ番号からそれに続く要素の意味を特定することができる。タグ番号の中には各メーカーが同時に定義したプライベートタグも存在する。診断レポートは通常、複数のタグ番号を用いて規定された階層構造を有する。その階層構造は、具体的には、ルートノードから下位側へ展開して広がったノードツリー構造である。それは例えば5,6階層からなるものである。ノードツリー構造はそれ全体として例えば100個、200個のノードからなり、各ノードは、通常、ノード名(概念名)を有し、また値(計測値、属性記述、等)を有する。ノード名だけのノードも存在し得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−269535号公報
【特許文献2】特開2007−148660号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
病院内のネットワークには、様々な医療機器(超音波診断装置、X線CT装置、MRI装置、等)が接続されている。それらはDICOM規格に準拠して上記の診断レポートを生成し、それがファイルサーバーに格納される。すなわち、ファイルサーバーには、複数の診断レポートを蓄積したデータベースが構築される。例えば、ある被検者についての特定の計測値を参照したい場合や、ある被検者についての特定の計測値が経時的にどのように変化したのかを表すグラフを作成する場合、等においては、検索装置(医療機器、PC等)によってデータベースに対する検索が実行される。その場合、多種多様なデータの中から必要な1又は複数のデータを的確に抜き出さなければならないが、以下に説明するように、特定の診断レポートにおける特定のノードを単に指定するだけでは、絞り込み不十分な場合がある。
【0005】
DICOM規格では、上述した階層構造において、同じ診断レポート内に同じノード名をもったノードを複数存在させることが許容されている。例えば、多胎児の超音波計測においては、ある妊婦についての特定検査日の診断レポートであっても、その中には胎児数分の大腿骨長データが存在し得る。しかも、それらの平均値、最大値、最小値までが存在することがある。個々のデータはそれぞれ同じ大腿骨長を示すが、それらは別個独立の値である。例えば、大腿骨長データを値として保有したノードとは横並びの関係にある兄弟ノード、あるいは、注目ノードの下位に存在する子ノード、を参照することによって、はじめて実際に取得したい値をもった特定のノード(検索対象ノード)を識別することができる。
【0006】
このようにDICOM規格に準拠した診断レポートであっても、個々の診断レポートが有する階層構造に合致した検索条件付けを行わないと、目的とするデータを取得できないのである。しかし、診断レポートにおける階層構造の具体的内容(仕様)は機器メーカーによってあるいは医療機器によって異なり得る。それ故、診断レポートの仕様に合わせて検索用プログラムを作り込む必要があり、個々の仕様ごとに検索用プログラムを用意しなければならない。つまり、仕様が異なればプログラム自体を作り替える必要が生じる。将来において仕様が変更された場合にも過去の検索プログラムをそのまま利用できなくなる。そこで、検索対象となった診断レポートが有する階層構造が既知であることを前提として、検索プログラム本体をそのまま使って、様々な階層構造に対して検索を行える対応度の高いあるいは柔軟性のある検索システムを提供することが要望されている。
【0007】
本発明の目的は、階層構造を有する診断レポートにおいて同じノード名が複数存在していても所望のデータを的確に検索できるようにすることにある。
【0008】
本発明の他の目的は、階層構造を有する診断レポートを検索するシステムにおいて、検索プログラムそれ自体の改変を要せずに、様々な階層構造に対応できるようにすることにある。
【0009】
本発明の他の目的は、階層構造の固有性あるいは独自性の部分については事前プログラミングの対象から除外して事後的な指定又は条件付けで対処できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る装置は、計測値を管理するためのノードツリー構造を有する診断レポートが格納されたレポートサーバーから診断レポートを取得する診断レポート検索装置において、前記診断レポートが有する特定のノードツリー構造におけるターゲットノードを指定する記述からなる基本条件記述部分と、前記特定のノードツリー構造における前記ターゲットノードとは別の1又は複数の絞り込み用キーノードを指定する記述からなる絞り込み条件記述部分と、を有する検索条件記述ファイルを生成する検索条件記述ファイル生成手段と、前記検索条件記述ファイルを記憶するファイル記憶部と、前記ファイル記憶部から読み出された前記検索条件記述ファイルの記述内容に従って前記診断レポートに対して前記ターゲットノードの検索を実行するノード検索手段と、を含み、前記ノード検索手段は、前記基本条件記述部分に基づいて特定される複数のノードの内で前記絞り込み条件記述部分に基づいて特定されるキーノードによって絞り込まれるノードを前記ターゲットノードとして特定し、当該ターゲットノードが有するノード値を取得するものである。
【0011】
上記構成によれば、検索条件記述ファイルの記述内容に従って検索対象ノードが探索される。検索条件記述ファイルは、ターゲットノード(検索対象ノード)を一般的に指定する基本条件記述部分と、キーノード(検索対象ノードではないが検索対象ノードの決定において決定的な影響を与える目印となるノード)を指定する絞り込み条件記述部分と、を有するものである。ターゲットノードの指定だけでは、例えば同一ノード名であることに起因して、複数のノードが特定されてしまうような場合であっても、キーノードというターゲットノードとは別の一定の階層的関係(望ましくはパスの全部又は主要部を共通とする関係)を有するノードを別途指定することによって、そのキーノードとの関係において真の検索対象を絞り込むことが可能となる。すなわち、検索対象となるノードとは別に当該ノードの特定に当たって決定的な役割を発揮するノードを同時に特定することによって上位から下位への単純なノード指定では達成できないノード検索を実現するものである。よって、上記構成は特にDICOM規格に準拠したファイルにおけるノード検索において有効な技術である。
【0012】
診断レポート検索装置は望ましくは病院等に敷設されたネットワークに接続される。かかるネットワークにはファイル作成装置として超音波診断装置、X線CT装置、MRI装置等が接続される。ノード検索手段をファイルサーバー上に搭載するようにしてもよい。すなわち、上記の各構成は単一のコンピュータ上に搭載される必要はなく分散的に配置されてもよい。もちろん、超音波診断装置等の医療機器に内蔵されてもよい。検索条件記述ファイルの生成はユーザーに基づいて実行され、あるいは、自動的に行われる。同一のノードツリー構造を有するサンプル診断レポートを基礎として、その中における特定のノードをユーザー指定することによって、自動的に検索条件記述ファイルが作成されるようにしてもよい。
【0013】
上記構成によれば、検索条件記述ファイル内にノードツリー構造固有の条件が記述されることになるので、それを解釈実行する検索プログラム自体を汎用化することが可能となる。すなわち、ノードツリー構造によらないで実行可能な検索プログラムを利用することができる。検索条件記述ファイルは例えばXMLのような構造化言語で記述することが可能である。
【0014】
望ましくは、前記ノード検索手段は、前記キーノードによって規定される参照パスを利用して前記ターゲットノードを絞り込む。キーノードによって規定される参照パスを参照することにより、具体的には参照パス上の一連の参照ノードを参照することにより、同じノード名が存在していても、子孫ノードや兄弟ノードを考慮して、正しい探索経路を選択することが可能となる。その意味で、キーノードは参照ノードを規定するメルクマールあるいは目印となるものである。一方、キーノードはターゲットノードとの関係においてその属性を直接的に又は間接的に規定するノードとして理解される。
【0015】
望ましくは、前記ノード検索手段は、前記絞り込み条件記述部分を構成する複数のノード指定を階層順で解釈することによって前記キーノードを特定し、これによってルートノードから下位方向に伸びる前記参照パスを事前に認識しておく前処理手段と、前記基本条件記述部分を構成する複数のノード指定を階層順で解釈することによって前記ターゲットノードを探索する手段であって、前記各ノード指定の解釈に際して当該ノード指定に該当するノードの中に前記参照パス上の参照ノードが含まれていれば当該参照ノードだけを探索結果として絞り込む機能を備えた本処理手段と、を含む。この構成によれば、基本的に参照パスが伸びている方向へ探索を進めていくことができる。もっとも、既に単一の探索ルートが絞り込まれているような場合には参照パスの参照は必ずしも必要ではない(もちろんプログラムを簡略化するために常に参照パスを参照するようにしてもよい)。複数の探索ルートが存在する場合(つまり基本条件記述部分では分岐点において複数のノードを選択可能となるような場合)に参照パスが経路選択上役立つ。
【0016】
望ましくは、前記前処理手段は、前記参照パスとして前記ルートノードから前記キーノードまでの経路上の各参照ノードを特定してそれらを参照ノード記憶部に事前に登録しておく第1機能を有する。事前処理によれば、下位ノードを探ってから上位ノードを検索するといった煩雑な検索処理を回避することができる。結果として上位から下位へ自然な流れでノード検索を進めることができるから、検索時間を短縮可能である。
【0017】
望ましくは、前記前処理手段は、前記参照パスとして前記ルートノードから前記キーノードの兄弟ノードまでの各経路上の各参照ノードを特定してそれらを前記参照ノード記憶部に事前に登録しておく第2機能を有する。通常、ルートノードからキーノードまでの経路が参照パスとして認識されるが、特殊な条件の下では、同一階層にあるキーノード以外のノード(兄弟ノード)までの経路を参照パスとして定義するようにしてもよい。そのような機能を設ければ排他的な条件付けが可能となるから、ニーズを満足させるより複雑なノード検索を実現できる。
【0018】
望ましくは、前記絞り込み条件記述部分には、特定の複数の子孫ノードの内の少なくとも1つを従えるノードをキーノードとするオア条件と、特定の複数の子孫ノードの全部を従えるノードをキーノードとするアンド条件と、特定の子孫ノードを従えるノード以外の兄弟ノードをキーノードとするノット条件と、を記述し得る。この構成によれば、子孫(例えば子)ノードを条件付けの対象とすることが可能となるから、キーノードをより適切に設定することが可能となる。
【0019】
本発明に係るプログラムは、計測値を管理するためのノードツリー構造を有する診断レポートが格納されたレポートサーバーから診断レポートを取得する装置において、複数の工程を実行する診断レポート検索プログラムである。前記複数の工程には、前記診断レポートが有する特定のノードツリー構造におけるターゲットノードを指定する記述からなる基本条件記述部分と、前記特定のノードツリー構造における前記ターゲットノードとは別の1又は複数の絞り込み用キーノードを指定する記述からなる絞り込み条件記述部分と、を有する検索条件記述ファイルを生成する工程と、前記検索条件記述ファイルをファイル記憶部に記憶しておく工程と、前記ファイル記憶部から読み出された前記検索条件記述ファイルの記述内容に従って前記診断レポートに対して前記ターゲットノードの検索を実行するノード検索工程と、が含まれ、前記ノード検索工程では、前記基本条件記述部分に基づいて特定される複数のノードの内で前記絞り込み条件記述部分に基づいて特定されるキーノードによって絞り込まれるノードが前記ターゲットノードとして特定され、当該ターゲットノードが有するノード値が取得される。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、階層構造を有する診断レポートにおいて同じノード名が複数存在していても所望のデータを的確に検索できる。あるいは、本発明によれば、階層構造を有する診断レポートを検索するシステムにおいて、検索プログラムそれ自体の改変を要せずに、様々な階層構造に対応できる。あるいは、本発明によれば、階層構造の固有性あるいは独自性の部分については事前プログラミングの対象から除外して事後的な指定又は条件付けで対処できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に係る診断レポート検索装置の好適な実施形態を示すブロック図である。
【図2】診断レポートが有するノードツリー構造を説明するための図である。
【図3】検索条件記述ファイルの構成を説明をするための図である。
【図4】検索条件記述ファイルに含まれる基本条件記述部及び絞り込み条件記述部を説明するための図である。
【図5】ノードツリー構造を説明するための図である。
【図6】ターゲットノードとキーノードの関係を示す図である。
【図7】図6に示したノードツリー構造に含まれる特定のFL計測値を取得するための検索条件記述ファイルの内容を示す図である。
【図8】複数のターゲットノードと複数のキーノードの関係を示す図である。
【図9】図8に示したノードツリー構造において所定のオア条件に従って特定のFL計測値を取得するための検索条件記述ファイルを示す図である。
【図10】ターゲットノードと複数のキーノードとの関係を示す図である。
【図11】図10に示すターゲットノードを特定するためのアンド条件を有する検索条件記述ファイルを示す図である。
【図12】ノードツリー構造における複数のターゲットノードを示す図である。
【図13】図12に示したノードツリー構造においてノット条件を利用して2つのFL計測値を取得するための検索条件記述ファイルを示す図である。
【図14】複数の胎児について取得された複数の計測値を表す表示例を示す図である。
【図15】検索条件のポップアップ表示を説明するための図である。
【図16】検索条件記述ファイルの生成を説明するための図である。
【図17】図1に示した診断レポート検索装置の基本的な動作内容を示すフローチャートである。
【図18】図17に示したS103の内容を示すフローチャートである。
【図19】図17に示したS104の内容を示すフローチャートである。
【図20】検索条件記述ファイルの内で基本条件記述部の自動生成処理を説明するためのフローチャートである。
【図21】検索条件記述ファイルの内で絞り込み条件記述部の自動生成を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の好適な実施形態を図面に基づいて説明する。
【0023】
図1には、本発明に係る検索システムの好適な実施形態が示されている。図1は、レポート検索装置を含む検索システムの全体構成を示しており、そのようなシステムは病院内などに設置される。
【0024】
ネットワーク10には、超音波診断装置12、他の診断装置14、ファイルサーバー16、レポート検索装置18等が接続されている。超音波診断装置12は、生体に対する超音波の送受波により超音波画像を形成する装置であり、超音波診断装置12は各種の計測機能を備えている。他の診断装置14は例えばX線CT装置などである。超音波診断装置12及び他の診断装置14はそれぞれDICOM規格に準拠した電子ファイルを作成する機能を備えており、本実施形態においては特に複数の計測値が記述された診断レポートを生成する機能を有している。
【0025】
ファイルサーバー16には各種の医療機器において作成された診断レポートが電子ファイルとして格納される。レポート検索装置18は本実施形態においてコンピュータなどによって構成され、ファイルサーバー16から特定の診断レポートを取得し、その中に含まれている特定の計測値を抽出する機能を備えている。レポート検索装置18が超音波診断装置などの医療機器に内蔵されてもよい。またレポート検索装置18が有する各種の機能がネットワーク上に分散的に配置されてもよい。例えば、後述するノード検索実行部の機能がファイルサーバーへ移されてもよい。
【0026】
超音波診断装置12は、送受波部20を有している。この送受波部20は、超音波探触子、送信部及び受信部によって構成されるものである。これによって得られた受信データが画像形成部22に出力される。画像形成部22は断層画像等の超音波画像を形成する。計測部24は受信データに基づいてあるいは作成された超音波画像に基づいて各種の計測を実行するモジュールである。例えば、胎児の診断においては頭部の周囲長や大腿骨の長さ等が計測部24によって計測される。例えば、画面上において複数のマーカーの位置を定めることにより、複数のマーカーの距離等からサイズ計測が実行される。ファイル生成部26は、本実施形態おいて診断レポート生成部として機能しており、以上のような計測結果を含む診断レポートを生成する。その診断レポートは上述したようにDICOM規格に準拠して作成される。そのような電子ファイルは通信部28を経由して、またネットワーク10を経由して、ファイルサーバー16へ伝送される。
【0027】
ファイルサーバー16は、複数の診断レポートが蓄積されるレポートデータベース(DB)34を備えている。管理部32はレポートDB34を管理するモジュールであり、管理部32は検索実行機能を備えている。すなわち、外部からレポート名等の識別子が与えられると、当該識別子に対応する診断レポートをレポートDB34から抽出し、その抽出された診断レポートを要求元装置へ転送する機能を有している。管理部32とネットワーク10との間には通信部30が設けられている。
【0028】
次に、レポート検索装置18について詳述する。図において符号36は演算処理部を示しており、その演算処理部36は実質的にソフトウェアの機能によって実現されている。ただし、その全部あるいは一部がハードウェア等によって実現されてもよい。通信部42はネットワーク10に接続されている。検索要求部40は、ユーザー指定等に基づいて特定の診断レポートを識別する識別子を備えた検索要求を発行する。その検索要求は通信部42を経由してファイルサーバー16へ送られる。ファイルサーバー16においては、上述したように、管理部32の機能により、指定された診断レポートをレポートDB34から抽出し、それを通信部30を介してレポート検索装置18へ伝送する。そのように送られてきた診断レポート(電子ファイル)は通信部42を経由してノード検索実行部48へ送られる。
【0029】
ノード検索実行部48は、図示されるようにノードツリー構造を認識するツリー構造認識部50を備えており、以下に詳述する検索条件記述ファイルに従って、取得された診断レポートに含まれている特定のノードを検索し、また当該ノードが有する値を抽出する。
【0030】
このようにして抽出された計測値すなわち特定のデータは表示処理部52を経由して表示部54に送られ、数値あるいはグラフ等として表示される。その場合において、表示書式については書式記憶部56に登録されているフォーマットが参照される。サンプル記憶部58は、後に説明するように、診断レポートのサンプルを格納したものであり、それは検索条件記述ファイルを半自動生成する際に参照される。診断レポートのサンプルは必要に応じて外部装置からレポート検索装置18に取り込まれる。もちろんネットワークを経由してその取込みが行われてもよい。
【0031】
入力部38はキーボード等の入力デバイスによって構成され、ユーザーはそのような入力部38を利用して検索条件記述ファイルの内容を入力することが可能であり、またファイルサーバー16に対して要求する診断レポートを特定することが可能である。本実施形態においては、入力部38を利用して、検索要求部40に対して取得すべき診断レポートの識別子が与えられている。また、本実施形態においては、XMLによって検索条件記述ファイルが記述されている。もちろん他の言語によって記述されてもよい。いずれにしても、検索条件記述ファイルを作成し、それにしたがって検索プログラムすなわち検索エンジンがノード検索を実行する構成を採用したことにより、個々の診断レポートが有する固有のノードツリー構造によらずに検索プログラムを実行させることが可能となる。すなわち各ノードツリー構造の固有部分に関しては検索条件記述ファイルに指定するようにしたので、検索エンジンを共通化することが可能となる。
【0032】
生成された検索条件記述ファイルはファイル記憶部46に格納され、そこに格納された検索条件記述ファイルが必要に応じてノード検索実行部48により参照される。もちろん検索条件記述ファイルの内容を画像表示することも可能である。
【0033】
以下に、図1に示したレポート検索装置18の作用等について具体的に説明する。
【0034】
図2には診断レポートが示されている。(A)に示されるように、診断レポート60は構造化された電子ファイルとして構成されている。(B)には診断レポートが有するノードツリー構造が概念図として示されている。すなわち、診断レポートにおけるノードツリー構造は、ルートノードから下方へ広がる階層的な構造として認識され、(B)においてはA〜Gによって各ノードが表されている。符号62は最上位のノード(ルートノード)を示している。各ノードは通常、ノード名すなわち概念名64によって識別され、また各ノードはノード値のタイプすなわち値タイプを識別する情報66を備えている。その他、各ノードは必要に応じて各種の属性(値)を備えている。このような記述は上述したDICOMによって定められている。
【0035】
一方、図3には、上記の検索条件記述ファイルの具体例が示されている。(A)には概略的な構成が示されており、すなわち検索条件記述ファイルは、大別して、ヘッダ部68、情報部70及び検索条件記述部72によって構成される。ヘッダ部68及び情報部70は管理情報を記述した部分である。本実施形態において特徴的な機能を発揮する部分が検索条件記述部72である。ちなみに、各要素は公知のタグによって管理されている。(B)には(A)に示した検索条件記述部72の内容が示されており、すなわち検索条件記述部72は、大別して、基本条件記述部74と絞り込み条件記述部76とにより構成される。(C)には更に具体的な構成が示されており、すなわち基本条件記述部74は図示されるようにルートノードから下位への3つのノード指定によって構成され、絞り込み条件記述部76もルートノードから下位への3つのノード指定によって構成されている。各ノード指定は1つの行に対応している。図3に示す例では、各ノード指定においてノードタイプとノード名(ノード概念名)とが指定されているが、それは一例である。
【0036】
図4には、検索条件記述ファイルについての別の具体例が示されており、そこには上述した検索条件記述部が示されている。それは大別して基本条件記述部と絞り込み条件記述部とからなるものであり、基本条件記述部は符号78〜84で特定される4つのノード指定からなり、絞り込み条件記述部も符号86〜90で特定される3つのノード指定により構成されている。ここでは、各ノード指定がノード名を特定している。基本条件記述部及び絞り込み条件記述部のいずれにおいても、複数のノード指定における一番上の指定がルートノード指定であり、そこから各階層のノード名が指定されている。すなわちノードツリー構造において、最上位のノードから下方側へ段階的にノードが指定されている。
【0037】
図5には、診断レポートにおけるノードツリー構造が概略的な表現をもって示されている。ここにおいて各ボックスがノードを表している。この例においては多胎児の超音波診断結果が表されており、第2階層においてはいずれも「骨計測」となっている。すなわち第2階層において同一のノード名が2つ存在している。更に第3階層においても「生物計測」というノード名が2つ存在しており、第3階層においても「FL計測値」92,94が存在している。このようなノードツリー構造において、単純に上位階層から下位階層へノードの指定を行うならば、例えばFL計測値を指定するならば、本来取得したいノード92の他に他のノード94までノード値が取得されてしまい、ユーザーにおいて混乱が生じるという問題がある。あるいは目的の検索を実現できないという問題が生じる。ここにおいて、2つのFL計測値を識別する属性は、符号93,95で示されるように「胎児ID」のノードであり、検索にあたってはそのようなノードを指定すればよいわけであるが、「FL計測値」に至る経路においてそのような識別用ノードは存在しておらず、他の枝に存在している。このようなノードツリー構造においては特定ノードの検索を行う際に困難性が生じていたのであり、あるいは、個々の診断レポートが有する固有のノードツリー構造ごとに検索プログラムを作成しなければならないという問題が生じていたのである。そこで、本実施形態においてはターゲットノードの指定に加えてキーノードの指定を行うことにより上記のような問題に対処している。以下にそれを詳述する。
【0038】
図6にはノードツリー構造の一部が示されている。本実施形態においては、図示されるように複数のFL計測値が存在しているような場合、ターゲットノード96として特定のFL計測値を指定するだけではなく、更にキーノード98として別のノードが指定される。すなわち、キーノード98として、概念名=導出、且つ、ノード値=平均値の条件を満たすノードを指定し、ルートノードからキーノード98に至る経路として参照パス100が特定される。具体的には、参照パス100上に存在する各ノードが参照ノードとして事前に認識される。そのような前処理を行った上で、実際にターゲットノード96の検索が実行される。その際において、「生物計測」のノードの検索の後に3つの「FL計測値」がヒットすることになるが、その際においては参照パス100上のノードすなわち参照ノード(ノード96)だけが選択されるようになっている。したがって、キーノード98によって規定される所定の階層的関係を有するノードがターゲットノード96として選択されることになる。そして、そのようなターゲット96が有するノード値が出力値として取り出される。
【0039】
以上のようなノード検索を行わせる場合には、図7に示すような検索条件記述ファイルが作成される。すなわち上段に示す基本条件記述部にはターゲットノードを指定する記述が記載されている。一方、下段に示す絞り込み条件記述部には上述したキーノードを特定する記述が記載されている。それが符号102で表されており、3つ目のノード指定が、図6に示したキーノード98自体を特定する記述であり、すなわちノード名とノード値とが特定されている。実際のノード検索にあたっては、下段に示される絞り込み条件記述部の内容が先に解釈されてキーノードが特定され、すなわち参照パスが先行して特定される。その上で、参照パス上の各参照ノードを考慮しながら、上段に示す基本条件記述部の各ステップが解釈されて、最終的に図6に示したターゲットノード96が特定されることになる。その場合においては、途中に枝分かれがあったとしても同一のノード名に惑わされることなく目的とする方向へ確実に検索を進めることが可能となる。
【0040】
ちなみに、図5に示したノードツリー構造においては、、ターゲットノードとして符号92で示すノードが指定され、キーノードとして符号93で示すノードが指定されることになる。その場合において参照パスは最上位のノードからノード93に至る経路となる。そのような場合、最上位ノードからターゲットノード92までのパス内に参照パスが完全に取り込まれることにはならない。但し、第2階層において同一のノード名が存在していても、第3階層の特定のノードを選択することができ、そのような選択が行われたならば、符号94で示されるノードはもはや選択されなくなる。すなわち、参照パスの全部あるいは主要部を使うことによって、目的とするターゲットノードを的確に特定することが可能となる。
【0041】
図8には他のノードツリー構造が示されている。(A)及び(B)はそれぞれ単一のノードツリー構造の一部分を示している。このようなノードツリー構造において、単純に「FL計測値」を指定すると、4つの数値が抽出されてしまうことになるが、ここにおいて符号104,106で示されるFL計測値を取得したいと仮定する。その場合において、それらのターゲットノード104,106を識別する属性はノード108,110が有しており、すなわち「ノード概念=導出」且つ「ノード値=平均値又は最良値」という属性である。そのような前提のもとで作成された検索条件記述ファイルが図9に示されている。
【0042】
この例の上段には基本条件記述部が記載されており、その下段には絞り込み条件記述部が記載されている。符号116には〈or〉というタグによりオア条件が指定されている。そのような特別なタグが与えられた場合、それ以降に記載される複数のノード指定がオア条件として認識され、すなわち符号118,120で規定されるノードを子ノードとして従えるノードだけがキーノードとして特定されることになる。この例においては、「ノード名=導出」であって、「ノード値=平均値又は最良値」を備えている子ノードがまず特定され、そのような子ノードを従えているノードとしてキーノードが特定されることになる。この例では図8に示されるようにキーノードとターゲットノードとが一致している。図8においては、参照パス112,114が発明理解のためにノード108,110まで伸ばされているが、本実施形態においては、実際にはキーノード104,106に至るまでの経路として参照パスが定義される。いずれにしても、子孫ノードを条件として記述できるようにすれば、親ノードのノード名が同一であっても、その子孫を見比べることによって親ノードを識別することが可能となるのである。そのような前処理を経た上で本処理を実行すれば、本処理において特定のターゲットノード104,106が特定された時点で検索を終了させることが可能となる。
【0043】
図10には、更に他のノードツリー構造が示されている。図10において、符号122がターゲットノードを示している。すなわち3つのHC計測値の内で特定のHC計測値が検索対象となっている。そのような場合、特定HC計測値を有するノード122を識別するためには、それが有する子ノードのノード値を参照すればよい。具体的には、図11に示されるように、絞り込み条件記述部において、〈and〉のタグとして示されるアンド条件124が記述され、それ以下に2つの子ノードの指定126,128が記述されている。ここではそのような2つの子ノードの全部を従える親ノードとしてキーノードが特定されている。ここではキーノードとターゲットノードが一致している。もちろん、上述したようにターゲットノードの下位に存在している2つの子ノードをキーノードとみなすようにしてもよい。
【0044】
図12には更に他のノードツリー構造が示されている。ここにおいて、符号130,132が検出対象となるターゲットノードである。この場合においてはそれらは子ノードを有していないために、それらの特定にあたっては、以下に説明するnot条件が利用される。すなわち、特定の内容を有する子ノード136を従えるノードとしてキーノード134が特定され、そのキーノード134と同一階層にある兄弟ノードとしてターゲットノード130,132が特定される。その場合においてはキーノード134にノット条件が付されているため、それ以外のノードを通るパスとして参照パス137A,137Bが特定される。そのような検索を実現するための検索条件記述ファイルが図13に示されている。下段に示されている絞り込み条件記述部においては、上述したように〈not〉が記載されており、その内容として特定のノードを指定する記述140が記載されている。そこでは、「ノード名=導出」をもったノードが子ノードして指定されている。
【0045】
したがって、以上説明したオア条件、アンド条件及びノット条件の1又は複数を利用すれば、かなり複雑な検索条件を簡単に記述することが可能となる。本実施形態においては、子ノードについての条件付けがなされていたが、更に孫ノード等について条件付けを行うことも可能である。すなわち子孫ノード一般について条件付けを行うことが可能である。
【0046】
図14には、計測値の表示例が示されている。ここにおいては同一の母胎内に存在する2つの胎児について計測された計測値が表示されている。符号142及び144で示されるように、本実施形態においては同じ検査レポート内に同一のノード名を有する複数のノードが存在しても、それらを識別しつつノード値を取得することが可能である。それにより、図14に示すような表示を実現することが可能となる。
【0047】
図15には変形例が示されている。図14に示したような表示例における特定の項目をユーザー指定させ、図15において符号146で示すように、当該項目を抽出する基礎となった検索条件記述ファイル148の内容をポップアップにより画像表示するようにしてもよい。
【0048】
次に、図16を用いて検索条件記述ファイルの半自動生成について説明する。符号150で示される第1表示エリアにはサンプルとなるノードツリー構造152が表示されている。このようなサンプルは外部装置から入手することができ、具体的には外部装置から入手した診断レポートに対する構造解析によってツリー構造152を自動的に認識することができ、それを表示させることが可能である。
【0049】
本実施形態において、ノードツリー構造152における特定のノードを指定しつつマウスの左クリックを実行すると、第2表示エリア154に基本条件記述部156が自動生成される。同じく、第1表示エリア150上において、特定のノードを指定しつつ右クリックを行うと、第2表示エリア154において、絞り込み条件記述部158を自動生成させることが可能である。すなわちノードツリー構造152の内容は既に解析されているため、指定されたノードから上位のノードを順次辿っていくことにより各記述部における各行の記述内容を自動生成することが可能である。必要に応じて、生成された記述部の内容をユーザーにより修正すれば、極めて簡便に検索条件記述ファイルの内容を作成することが可能となる。
【0050】
次に、図17〜21を用いて図1に示したレポート検索装置の動作内容を説明する。図17にはメインフローが示されている。S101においては、レポート検索装置からファイルサーバーに対して、特定の診断レポートを識別する情報を含む検索要求が発行される。S102では、ファイルサーバーから診断レポートが取得される。S103では、特定の検索条件記述ファイルに従った前処理が実行される。具体的には、当該検索条件記述ファイルに含まれる絞り込み条件記述部の内容が解釈され、それによってキーノードが特定され、それと共に一連の参照ノードすなわち参照パスが特定される。S104は本処理を示しており、上述した前処理を前提として基本条件記述部の内容に従ってターゲットノードを検索する工程が実行される。その場合においては上述した参照パスすなわち複数の参照ノードが参照される。これによって誤り無く適切な探索方向を選択することが可能となる。S105においては、特定されたターゲットノードが有するノード値が抽出される。そして必要に応じてそのようなノード値が画面上に表示される。
【0051】
図18には、図17に示したS103の前処理工程の具体的な内容がフローチャートとして示されている。
【0052】
S201においては、絞り込み条件記述部が参照され、その中で最初の記述すなわちノード指定が参照され、それに対して、取得された診断レポート中における最上位のルートノードが照合される。これは確認的工程である。S202においては、絞り込み条件記述部における次の記述すなわち次のノード指定が参照される。
【0053】
S203において、次の記述が通常の記述すなわちノードを一般的に指定する記述であれば、S204において、その記述内容に合致したノードが選択され、当該ノードが参照ノードとみなされる。そして処理がS202へ移行する。S205において、参照した次の記述がオア記述であれば、S206において、記述内容に合致した子ノードを従えるノードだけが参照ノードとして絞り込まれる。すなわち1つ前に特定された複数のノードの内で、オア条件を満たした子ノードを従えるノードだけが参照ノードすなわち参照パス上のノードとして絞り込まれることになる。
【0054】
S207においては、次の記述がアンド記述であるか否かが判断され、アンド記述であれば、S208において、その記述内容に合致した子ノードを従えるノードだけが参照ノードとして絞り込まれる。すなわち1つ前の過程において複数のノードが特定されている場合には、条件を満たした子ノードを有するノードだけが参照ノードとして残されることになる。S209においては、次の記述がノット記述であるか否かが判断され、ノット記述であれば、S210において、その記述内容に合致した子ノードを従えるノード以外の兄弟ノードが参照ノードとして絞り込まれる。すなわち1つ前の過程において複数のノードが選択されている場合において、S201において特定された兄弟ノードだけが参照ノードとして残されることになる。
【0055】
S206、S208、S210が実行された後、及び、S209においてのNOが判断された場合、S211が実行される。すなわちS211においては以上のように特定された一連の参照ノードが参照パスとして記憶部上に登録される。これにより前処理が完了する。
【0056】
図19には、図17に示したS104の具体的な処理がフローチャートとして示されている。図19は本処理の内容を示すものである。S301は、上述したS201と同様に、基本条件記述部における最初の記述が参照され、取得したレポート中のルートノードと照合される。これは確認的工程である。S302においては、基本条件記述部における次の記述が参照される。
【0057】
S303において、次の記述があると判断された場合には、S304において、記述内容に合致したノードが特定される。そのように特定されたノードがS305においてルート上のノードすなわち参照ノードを含むものであるか否かが判断される。
【0058】
ここにおいて、参照ノードが含まれる場合、S306において参照ノードだけが絞り込まれ、当該方向が探索方向として定められる。一方、S305において参照ノードが含まれないと判断された場合、S304で特定された1又は複数のノードが探索方向として定められる。そしてS302以降の各工程が繰り返し実行される。S303において次の記述がないと判断された場合、S307が実行される。S307においては最後に特定されたノードがターゲットノードとして特定される。
【0059】
図20及び図21には検索条件記述ファイルの半自動生成処理がフローチャートとして示されている。図20は基本条件記述部の生成処理を示しており、図21は絞り込み条件記述部の生成処理を示している。
【0060】
S401において、サンプルを表す階層構造上においてカーソルにより特定のノードが指定されつつユーザーによる左クリックが実行されると、その状態が認識される。S402においては、左クリック対象となったノードがターゲットノードとして認識され、そこから階層構造を逆に辿ることにより、一連のノード指定記述が自動的に生成される。S403においては、上記のような一連のノード指定の記述を逆順で並び替えることにより、基本条件記述部が作成される。S404においては必要に応じて生成された基本条件記述部がユーザーにより編集される。
【0061】
図21において、S501では、画面上に表示されたサンプルの階層構造上において、ユーザーによるノード指定と右クリックとが受け付けられる。S502においては、右クリック対象ノードをキーノードとし、そこから階層構造を遡ることにし、一連のノード指定が自動的に生成される。ここにおいて、右クリック対象ノードはキーノードであってもよいし、それよりも上位に位置するノードであってもよい。S503においては、以上のように作成された一連のノード指定を逆順で並べ替えることにより絞り込み条件記述部が自動的に作成される。S504においては必要に応じて、上記のように作成された絞り込み条件記述部が編集される。
【0062】
以上のように、本実施形態に係るレポート検索装置によれば、検索条件記述ファイルが各診断レポート固有の条件の指定を担っているので、ノード検索実行部の本体をなす検索プログラムを書き換えることなく各種のノードツリー構造に対応できるという利点が得られる。特に、検索条件記述ファイルの内容として、一般的な記述である基本条件記述部の他に絞り込み条件記述部を記載できるようにし、すなわちターゲットノードの他にキーノードの指定を加えたので、DICOMの欠点あるいは不自由な部分を克服して、高度な検索機能を実現できるという利点を得られる。キーノードの指定は換言すれば本処理に先立つ参照ルートの特定を意味するものであり、それは今までのような一般的な検索概念を超える新しい方式を提供するものであるとも言える。本実施形態においては更に子ノードの条件付け、具体的にはオア条件、アンド条件、ノット条件を使った子ノードの複雑な指定を行うことができるから、更に具体的な検索ニーズに適合した検索内容を実現できるという利点が得られる。また本実施形態によれば、診断レポートをサンプルとして読み込んで、そのノードツリー構造の解析結果を利用して検索条件記述ファイルをほぼ自動的に生成できるから、XML記述をユーザーにおいて行う場合における煩雑さを解消でき、検索を迅速且つ的確に行えるという利点が得られる。
【符号の説明】
【0063】
10 ネットワーク、12 超音波診断装置、14 他の診断装置、16 ファイルサーバー、18 レポート検索装置、40 検索要求部、44 検索条件記述ファイル生成部、48 ノード検索実行部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
計測値を管理するためのノードツリー構造を有する診断レポートが格納されたレポートサーバーから診断レポートを取得する診断レポート検索装置において、
前記診断レポートが有する特定のノードツリー構造におけるターゲットノードを指定する記述からなる基本条件記述部分と、前記特定のノードツリー構造における前記ターゲットノードとは別の1又は複数の絞り込み用キーノードを指定する記述からなる絞り込み条件記述部分と、を有する検索条件記述ファイルを生成する検索条件記述ファイル生成手段と、
前記検索条件記述ファイルを記憶するファイル記憶部と、
前記ファイル記憶部から読み出された前記検索条件記述ファイルの記述内容に従って前記診断レポートに対して前記ターゲットノードの検索を実行するノード検索手段と、
を含み、
前記ノード検索手段は、前記基本条件記述部分に基づいて特定される複数のノードの内で前記絞り込み条件記述部分に基づいて特定されるキーノードによって絞り込まれるノードを前記ターゲットノードとして特定し、当該ターゲットノードが有するノード値を取得する、ことを特徴とする診断レポート検索装置。
【請求項2】
請求項1記載の装置において、
前記ノード検索手段は、前記キーノードによって規定される参照パスを利用して前記ターゲットノードを絞り込む、ことを特徴とする診断レポート検索装置。
【請求項3】
請求項2記載の装置において、
前記ノード検索手段は、
前記絞り込み条件記述部分を構成する複数のノード指定を階層順で解釈することによって前記キーノードを特定し、これによってルートノードから下位方向に伸びる前記参照パスを事前に認識しておく前処理手段と、
前記基本条件記述部分を構成する複数のノード指定を階層順で解釈することによって前記ターゲットノードを探索する手段であって、前記各ノード指定の解釈に際して当該ノード指定に該当するノードの中に前記参照パス上の参照ノードが含まれていれば当該参照ノードだけを探索結果として絞り込む機能を備えた本処理手段と、
を含むことを特徴とする診断レポート検索装置。
【請求項4】
請求項3記載の装置において、
前記前処理手段は、前記参照パスとして前記ルートノードから前記キーノードまでの経路上の各参照ノードを特定してそれらを参照ノード記憶部に事前に登録しておく第1機能を有する、ことを特徴とする診断レポート検索装置。
【請求項5】
請求項4記載の装置において、
前記前処理手段は、前記参照パスとして前記ルートノードから前記キーノードの兄弟ノードまでの各経路上の各参照ノードを特定してそれらを前記参照ノード記憶部に事前に登録しておく第2機能を有する、ことを特徴とする診断レポート検索装置。
【請求項6】
請求項5記載の装置において、
前記絞り込み条件記述部分には、
特定の複数の子孫ノードの内の少なくとも1つを従えるノードをキーノードとするオア条件と、
特定の複数の子孫ノードの全部を従えるノードをキーノードとするアンド条件と、
特定の子孫ノードを従えるノード以外の兄弟ノードをキーノードとするノット条件と、
を記述し得る、ことを特徴とする診断レポート検索装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の装置において、
前記診断レポートは超音波診断レポートであり、
当該超音波診断レポートには、母胎内の複数の胎児から得られた複数の計測値が含まれ、それらの複数の計測値は前記ノードツリー構造において同一のノード名に対応付けられている、ことを特徴とする診断レポート検索装置。
【請求項8】
計測値を管理するためのノードツリー構造を有する診断レポートが格納されたレポートサーバーから診断レポートを取得する装置において、複数の工程を実行する診断レポート検索プログラムにおいて、
前記複数の工程には、
前記診断レポートが有する特定のノードツリー構造におけるターゲットノードを指定する記述からなる基本条件記述部分と、前記特定のノードツリー構造における前記ターゲットノードとは別の1又は複数の絞り込み用キーノードを指定する記述からなる絞り込み条件記述部分と、を有する検索条件記述ファイルを生成する工程と、
前記検索条件記述ファイルをファイル記憶部に記憶しておく工程と、
前記ファイル記憶部から読み出された前記検索条件記述ファイルの記述内容に従って前記診断レポートに対して前記ターゲットノードの検索を実行するノード検索工程と、
が含まれ、
前記ノード検索工程では、前記基本条件記述部分に基づいて特定される複数のノードの内で前記絞り込み条件記述部分に基づいて特定されるキーノードによって絞り込まれるノードが前記ターゲットノードとして特定され、当該ターゲットノードが有するノード値が取得される、ことを特徴とする診断レポート検索プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−8944(P2012−8944A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−146475(P2010−146475)
【出願日】平成22年6月28日(2010.6.28)
【出願人】(390029791)日立アロカメディカル株式会社 (899)
【Fターム(参考)】