説明

試料分析システム

毛髪試料分析システムであって、該システムは、容器内に位置する複数の試料列と、上記容器から個々の列を取出し、上記試料列の毛髪試料を第1概略位置に付勢する自動駆動機構と、該駆動機構を調節して前記試料をX線回折ビームと略一致させるよう配置するモニタリング及び制御システムと、を備え、上記試料を、上記X線回折ビームと略一致させるよう配置し、上記試料に上記ビームを所定時間照射し、上記毛髪試料を照射する上記ステップから得たデータを、分析するために受信し、保存し、上記試料列を、上記容器の元の位置に戻し、上記試料容器から別の列を取出し、上記ステップを連続する列に対して繰り返すこと、を特徴とする毛髪試料分析システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はX線回折、特に、疾患診断を目的としたX線回折分析用毛髪試料の取付け及び位置合わせに関する。
【背景技術】
【0002】
1999年に、ジェームズ氏と他の研究者らは共に、健常者と比べて乳癌患者からの毛髪のX線小角散乱(SAXS)パターンが異なる点について報告した。癌患者からの毛髪のSAXSパターンには、健常者群から得られた正常なα-ケラチンパターンに重なる比較的低強度のリングが含まれていた。これらの観察に基づく検出技術は、米国特許第6,718,007号の主題となっており、このリングが、乳癌と診断された女性の他、「乳癌とは診断されていないものの、リスクがあると疑われる」被験者から採取された頭毛髪及び/又は陰毛の全試料において観察されたことが、報告された。つまり、多数の偽陽性者が識別された。ジェームズと他の研究者らによるその後の論文では、冒頭の発表2、3と整合的なヒトの盲試料のSAXS分析結果について報告している。後の論文では、503人の毛髪の盲試料を分析した結果について報告し、乳癌に関して、感度が100%(偽陰性なし)であり、特異度が86%(マンモグラフィーと比較して偽陽性が14%)であったことを実証した。
【0003】
しかしながら、ジェームズ氏とは無関係な複数のグループが、元となる研究結果を再現しようと試みたが、全て不成功4-11であったため、この研究結果は非常に論議を呼んだままとなっている。ジェームズ氏は、彼らが再現できなかったことについて、技術的説明を発表して対応した。ドイツ‐オーストリアのグループは、彼らが検査した27試料をジェームズ氏に送り、その後ジェームズ氏は該試料を盲検法で分析した。その結果によると、全ての乳癌試料を正確に識別できた。ジェームズ氏は、他のグループが自分の研究結果を確認できなかったのは殆どが、他のグループがヒト毛髪12、13のSAXS画像においてα-ケラチンの基本的な特性反射を発生できなかったためだと、一貫して主張してきた。ジェームズ氏は、許容可能なデータの典型的な例として、1995年にウィルク(Wilk)氏他17が発表したものを挙げた。この発表では、データを処理するのに必要な方法論についても説明しており、同実験を再現するのを技術的に難しくしている多数の変数について記載している。考慮しなければならない主要因として、試料収集の方法、毛髪の物理的状態、X線ビームにおいて毛髪試料を保持する張力量、ビームにおける繊維の実際の位置決め、及び画像分析方法及びデータの解釈15を、挙げている。
【0004】
この研究結果を裏付ける詳細なデータを、ジェームズ氏とその他の研究者らは、乳癌の動物モデルを使用して提示した。観察された変化を乳癌と関連付けるために、ヒト株化乳腺癌細胞の皮下埋め込み前及び埋め込み後8週間目にヌードマウスから採った髭を、SAXSを使用して分析した。埋め込み後の髭では、SAXSパターンにおけるリングの存在が確認され、これは乳癌に侵された被験者に対して確認されるものと同様であった。また、このデータでは、リングが癌細胞埋め込み2週間以内で、視認可能な腫瘍が形成される前に出現することを、示した。これにより、毛髪のSAXSパターンで観察された変化を、癌の存在に関する初期マーカーにできることが、更に証明された。
【0005】
2005年に、フーリエ変換赤外分光減衰全反射法(FTIR-ATR)による癌患者及び健常者の毛髪を研究することにより、乳癌患者からの毛髪が構造的異常を示す24という基本的な仮説が、独自に検証された。癌の被験者からの毛髪のFTIR-ATRスペクトルを、非癌患者からの毛髪のスペクトルと比較すると、アミドI領域(1750〜1450cm-1)とC-H倍音領域(1500〜1300cm-1)に相違が観察された。これら領域のスペクトルの解釈から、研究者らは、進行癌が存在する結果として、毛髪繊維の成長に一時変異が現れたと、結論付けた。アミドI領域における変化は、α螺旋構造と比べて、β-シートの異常物含有量が増加したことを示唆するものであり、C-H倍音領域の変化は、脂質含量の増加を示唆するものであった。未知試料を、これら2領域で得たスペクトルを基準として分析すると、研究者らは、全ての癌患者を正確に特定できた。興味深いことには、2件の偽陽性があった。
【0006】
2006年には、ローソン氏とチャン氏が、エストロゲン受容体α、プロゲステロン受容体、Bcl-2及びHer-2/neu等の乳腺腫瘍に関して、上方制御する分子は、同じ患者からの皮膚においても、上方制御する25ことを、実証した。これらの結果に基づいて、同氏らは、分散した乳癌腫の影響は、全身的に現れ、皮膚や毛髪を変化させることを提示し、その結果、ジェームズ氏と他の研究者らの基本的な仮説を支持することとなった。同氏らがこのメカニズムを提示したのは、乳腺が特異化した汗腺で、元は上皮であり、また毛髪も元は上皮であり、エストロゲンや他のホルモンは皮膚及び毛嚢で代謝されるためである。
【0007】
乳癌患者からの毛髪のSAXS画像に現れるリングの原因が、卵胞に組付けられる際の繊維の細胞膜構造における変化から来ていることが、提示されている。また、「追加成分」が理論的に、中間径フィラメントで形成されるα-ケラチン繊維、又は脂質二重層等の他の構造要素に結合可能なことも、提示された26。追加成分が、生合成中に繊維の構造要素に組み込まれるとすると、この追加材料は繊維から抽出できるものと、考えられる。また、繊維からの抽出物質を除去することで、その回折パターンを正常な毛髪のもののように戻せることも、考えられる。
【0008】
今まで、全ての研究では、ビーム内に毛髪繊維を手動で位置合わせしてきた。手動で毛髪試料を取付け及び位置合わせする手順について以下で説明する。
・オペレータは毛髪繊維を試料ホルダに置き、繊維を十分に緊張させるが、繊維を伸張させる程には十分に緊張させないようにして、確実に繊維を一直線に保持する。そのような10本の試料を、試料ホルダ1台につき取付ける。
・オペレータは試料ホルダを位置決め装置に取付ける。モニタのCCD画像を見ながら、オペレータは、毛髪試料をおおよその位置に、電動式ステージを駆動するコンピュータに座標を入力することによって、移動させる。
・短時間曝射を行い、回折画像を使用して、試料がビームの範囲内に位置合わせしているかを判定する。位置合わせしていなければ、コンピュータで更なる調節をX座標及びY座標に対して行う。
・試料を中心に置いた後、X線回折による試料の分析を行い、その結果得られた画像を、疾病を示す特徴の有無について分析する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】ジェームズ・ブイ(James V)、カースリー・ジェイ(Kearsley J)、アービング・ティー(Irving T)、アキヤマ・ワイ(Amemiya Y)及びクックソン・ディー(Cookson D)、「ユージング・ヘア・トゥー・スクリーン・フォー・ブレストキャンサ(Using hair to screen for breastcancer)」、ネイチャー(Nature)、1999年、第398号、p.33-34
【非特許文献2】マイヤー・ピー(Meyer P)及びジェームズ・ブイ・ジェイ(James VJ)、「エクスペリメンタル・コンファメーション・オブ・ア・ディスティンクティブ・ディフラクション・パターン・イン・ザ・ヘア・フロム・ウーマン・ウィズ・ブレスト・キャンサ(Experimental confirmation of a distinctive diffraction pattern in the hair from women with breast cancer)」、ジャーナル・オブ・ナショナル・キャンサ・インスティチュート(J Nat Cancer Instit)、2001年、第93(11)号、p.873-875
【非特許文献3】ジェームズ・ブイ(James V)、コリノ・ジー(Corino G)、ロバートソン・ティー(Robertson T)、ダットン・エヌ(Dutton N)、ヘイツ・ディー(Hates D)、ボイド・エー(Boyd A)、ベンテル・ジェイ(Bentel J)、パパディミトリウ・ジェイ(Papadimitriou J)、「アーリィ・ダイアグノウシス・オブ・ブレスト・キャンサ・バイ・ヘア・ディフラクション(Early diagnosis of breast cancer by hair diffraction)」、インターナショナル・ジャーナル・オブ・キャンサ(lnt J Cancer)、2005年、第114号、p.969-972
【非特許文献4】ビリキ・エフ(Briki F)、ブッソン・ビー(Busson B)、サリクリュ・ビー(Salicru B)、エステーブ・エフ(Esteve F)、及びドゥーセ・ジェイ(Doucet J)、「ブレスト・キャンサ・ダイアグノウシス・ユージング・ヘア(Breast Cancer Diagnosis using hair)」、ネイチャー(Nature)、1999年、第400号、p.236
【非特許文献5】アメニスク・エイチ(Amenitsc H)、ラポルト・エム(Rappolt M)、ラグナー・ピー(Laggner P)、ベムストルフ・エス(Bemstorff S)、モスリンガ・アール(Moslinger R)、フライシュマン・イー(Fleischmann E)、ワグナー・ティー(Wagner T)、ラックス・エス(Lax S)、ペトル・イー(Petru E)、フダブルニグ・ケイ(Hudablunigg K)、及びダラ・パルマ・エル(DaIIa Palma L)、「シンクロトロン・エックスレイ・スタディ・アット・トリエステ、ノー・コレクション・ビトウィーン・ブレスト・キャンサ・アンド・ヘア・ストラクチャ(Synchrotron X-ray study at Trieste、 No correlation between breast cancer and hair structure)」、シンクロトロン・ラジエーション・ニュース(Synchrotron Radiat News)、1900年、第12号、p.32-34
【非特許文献6】シュローア・ケイ(Schroer K)、デリシス・ディー(DeRisis D)、カストロフ・ケイ(Kastrow K)、ブッシュ・イー(Busch E)、ボルコフ・エヌ(Volkow N)、及びケープル・エム(Capel M)、「ヘア・テスト・リザルツ・アット・ザ・エヌエスエルエス(Hair Test Results at the NSLS)」、シンクロトロン・ラジエーション・ニュース(Synchrotron Radiat News)、1999年、第12号、p.34-35
【非特許文献7】チュウ・ビー(Chu B)、ファン・ディー(Fang D)、及びシャオ・ビー・エス(Hsiao BS)、「1999・ヘア・テスト・リザルツ・アット・ザ・アドバンスト・ポリマー・ビームライン・(X27C}・アット・ザ・エヌエスエルエス(1999 Hair Test Results at the Advanced Polymer Beamline (X27C} at the NSLS)」、シンクロトロン・ラジエーション・ニュース(Synchrotron Radiat News)、1999年、第12号、p.36
【非特許文献8】ハウエル・エイ(Howeil A)、グロースマン・ジェイ・ジー(Grossman JG)、チェン・ケイ・シー(Cheung KC)、カンビ・エル(Kanbi L)、エヴァンス・ディー・ジー(Evans DG)、及びハスナイン・エス・エス(Hasnain SS)、「キャン・ヘア・ビー・ユーズド・トゥー・スクリーン・フォー・ブレスト・キャンサ?(Can hair be used to screen for breast cancer?)」、ジャーナル・オブ・メディカル・ジェネティクス(J Med Genet)、2000年、第37号、p.297-298頁
【非特許文献9】マイヤー・ピー(Meyer P)、ゲッチェル・アール(Goergl R)、ボッツ・ジェー・ダブリュー(Botz J W)、フラツル・ピー(Fratzl P)、「ブレスト・キャンサ・スクリーニング・ユージング・スモール-アングル・エックス-レイ・スキャタリング・アナリシス・オブ・ヒューマン・ヘア(Breast Cancer Screening Using Small-Angle X- Ray Scattering Analysis of Human Hair)」、ジャーナル・オブ・ナショナル・キャンサ・インスティチュート(J Natl Cancer Inst)、2000年、第92(13)号、p.1092-1093
【非特許文献10】アクシロフ・エイ・エム(Aksirov AM)、ゲラシルモフ・ブイ・エス(Geraslmov VS)、コンドラチェフ・ブイ・アイ(Kondratyev Vl)、コメエフ・ブイ・エヌ(Komeev VN)、クリパノフ・ジー・エヌ(Kulipanov GN)、ラニナ・エヌ・エフ(Lanina NF)、レチャーリン・ブイ・ピー(Letyagln VP)、メゼンツェフ・エヌ・エイ(Mezentsev NA)、セルギエンコ・ピー・エム(Sergienko PM)、トルチコ・ビー・ピー(Tolochko BP)、トロウノバ・ブイ・エイ(Trounova VA)、及びバジナ・エイ・エイ(Vazina AA)、「バイオロジカル・アンド・メディカル・アプリケーション・オブ・エスアール・フロム・ザ・ストレージ・リング・オブ・ブイイーピーピー-3・アンド『シベリア-2』。ザ・オリジン・オブ・スペシフィック・チェンジズ・オブ・スモール-アングル・エックス-レイ・ディフラクション・パターン・オブ・ヘア・アンド・ゼア・コリレーション・ウィズ・ザ・エレメンタル・コンテント(Biological and medical application of SR from the storage rings ofVEPP-3 and "Siberia-2". The origin of specific changes of small-angle X-ray diffraction pattern of hair and their correlation with the elemental content.)」、ニュークリア・インスツルメンツ・アンド・メソッズ・イン・フィジックス・リサーチ・セクション・エイ(Nucl lnstrum Meth Phys Res A)、2001年、第470号、p.380-387
【非特許文献11】ラージリ・ケイ(Laaziri K)、サットン・エム(Sutton M)、ガーディリアン・ピー(Ghadirian P)、スコット・エイ・エス(Scott A S)、パラディ・エイ・ジェイ(Paradis A J)、トニン・ピー・エヌ(Tonin P N)、フォルクス・ダブリュー・ディー(Foulkes W D)、「イズ・ゼア・ア・コリレーション・ビトウィーン・ザ・ストラクチャ・オブ・ヘア・アンド・ブレスト・キャンサ・オア・ビーアールシーエー1/2・ミューティションズ?(Is there a correlation between the structure of hair and breast cancer or BRCA1/2 Mutations?)」、フィジックス・イン・メディスン・アンド・バイオロジー(Phys Med Biol)、2002年、第47号、1623-1632
【非特許文献12】ジェームズ・ブイ(James V)、「コメンツ・オン・ザ・ステートメンツ・アンド・エクスペリメンツ・コンテインド・イン・ジス・レビュー(Comments on the statements and experiments contained in this review)」、シンクロトロン・ラジエーション・ニュース(Synchrotron Rad News)、1999年、第12号、p.32-33
【非特許文献13】ジェームズ・ブイ(James V)、「ザ・インポータンス・オブ・グッド・イメージズ・イン・ユージング・ヘア・ツー・スクリーン・フォー・ブレスト・キャンサ(The importance of good images in using hair to screen for breast cancer)」、ジャーナル・オブ・メディカル・ジェネティクス(J Med Genet)、2001年、第38号、e16.1
【非特許文献14】ジェームズ・ブイ(James V)、「フェルス-ポジティブ・リザルツ・イン・スタディズ・オブ・チェンジズ・イン・ファイバー・ディフラクション・オブ・ヘア・フロム・ペイシェンツ・ウィズ・ブレスト・キャンサ・メイ・ノット・ビー・フェルス(False-positive results in studies of changes in fiber diffraction of hair from patients with breast cancer may not be false)」、ジャーナル・オブ・ナショナル・キャンサ・インスティチュート(J Natl Cancer Inst)、2003年、第95号、p.170-171
【非特許文献15】ジェームズ・ブイ・ジェイ(James VJ)、「ザ・トラップス・アンド・ピットフォールズ・インヘアラント・イン・ザ・ファイバー・ディフラクション・パターン・オブ・ヘア・ウィズ・ブレスト・キャンサ(The traps and pitfalls inherent in the correlation of changes in the fibre diffraction pattern of hair with breast cancer)」、フィジックス・イン・メディスン・アンド・バイオロジー(Phys Med Biol)、2003年、第48号、L5-9
【非特許文献16】ジェームズ・ブイ・ジェイ(James VJ)、「チェンジズ・イン・ザ・ディフラクション・パターン・オブ・ヘア・リザルティング・フロム・メカニカル・ダメージ・キャン・オクルード・ザ・チェンジズ・ザット・リレイト・ツー・ブレスト・キャンサ(Changes in the diffraction pattern of hair resulting from mechanical damage can occlude the changes that relate to breast cancer)」、フィジックス・イン・メディスン・アンド・バイオロジー(Phys Med Biol)、2003年、第48号、L37-41
【非特許文献17】ウィルク・ケイ(Wilk K)、ジェームズ・ブイ(James V)、及びアメミヤ・ワイ(Amemiya Y)、「インターメディエイト・フィラメント・ストラクチャー・オブ・ヒューマン・ヘア(Intermediate Filament Structure of Human Hair)」、バイオチミカ・エト・バイオフィジカ・アクタ(Biophysica Biochimica Acta)、1995年、第1245号、p.392-396
【非特許文献18】ハート・エム(Hart M)、「ユージング・ヘア・ツー・スクリーン・フォー・ブレスト・キャンサ(Using hair to screen for breast cancer)」、シンクロトロン・ラジエーション・ニュース(Synchrotron Rad News)、1999年、第12号、p.32
【非特許文献19】エヴァンス・ディー・ジー・アール(Evans DGR)、ハウエル・エイ(Howell A)、ハスナイン・エス・エス(Hasnain SS)、及びグロースマン・ジェイ・ジー(Grossmann JG)、「サイエンス・オア・ブラック・マジック?(Science or black magic?)」、ジャーナル・オブ・メディカル・ジェネティクス(J Med Genet)、2001年、第38号、e16.2
【非特許文献20】サットン・エム(Sutton M)、ラージリ・ケイ(Laaziri K)、コルキィズ・ダブリュ・ディー(Koulkes WD)、「レスポンス・ツー・ザ・トラップス・アンド・ピットフォールズ・インヘアラント・イン・ザ・コリレーション・オブ・チェンジズ・イン・ザ・ファイバ・ディフラクション・パターン・オブ・ヘア・ウィズ・ブレスト・キャンサ(Response to The traps and pitfalls inherent in the correlation of changes in the fibre diffraction pattern of hair with breast cancer)」、フィジックス・イン・メディスン・アンド・バイオロジー(Phys Med Biol)、2003年、第48号、L11-13
【非特許文献21】ロジャース・ケイ・ディー(Rogers KD)、ホール・シー・ジェイ(Hall CJ)、ハフトン・エイ(Hufton A)、ウエス・ティー・ジェイ(Wess TJ)、ピンダー・エス・イー(Pinder SE)、及びシュウ・ケイ(Siu K)、「リプロデュースビリティ・オブ・キャンサ・ダイアグノウシス・ユージング・ヘア(Reproducibility of cancer diagnosis using hair)」、インターナショナル・ジャーナル・オブ・キャンサ(lntJ Cancer)、2006年、第118号、p.1060
【非特許文献22】ジェームズ・ブイ・ジェイ(James VJ)、「レプライ・ツー・ザ・レター・オブ・ロジャース、エト・アル、“リプロデュースビリティ・オブ・キャンサ・ダイアグノウシス・ユージング・ヘア(Reply to the letter of Rogers et al. entitled "Reproducibility of Cancer Diagnosis Using Hair")」、インターナショナル・ジャーナル・オブ・キャンサ(lnt J Cancer)、2000年、第118号、p.1061-1062
【非特許文献23】ジェームズ・ブイ・ジェイ(James VJ)、「ファイバ・ディフラクション・フロム・ア・シングル・ヘア・キャン・プロバイド・アン・アーリィ・ノン-インベイシブ・テスト・フォー・コロン・キャンサ(Fibre diffraction from a single hair can provide an early non-invasive test for colon cancer)」、メディカル・サイエンス・モニタ(Med ScI Monit)、2003年、第9号、MT79-84
【非特許文献24】ライマン・ディー・ジェイ(Lyman DJ)及びマレー-ウェラス・ジェイ(Murray-Wijelath J)、「フーリエ・トランスフォーム・インフラレッド・アテニュエイテド・トータル・リフレクション・アナリシス・オブ・ヒューマン・ヘア、コンパリソン・オブ・ヘア・フロム・ブレスト・キャンサ・ペイシェンツ・ウィズ・ヘア・フロム・ヘア・フロム・ヘルシィ・サブジェクツ(Fourier Transform Infrared Attenuated Total Reflection analysis of human hair Comparison of hair from breast cancer patients with hair from healthy subjects)」、アプライド・スペクトロスコピー(Appl Spectroscopy)、2005年、第59号、p.26-32
【非特許文献25】ジェームズ・ブイ・ジェイ(James VJ)、「ア・プレイス・フォー・ファイバー・ディフラクション・イン・ザ・デテクション・オブ・ブレスト・キャンサ?(A place for fiber diffraction in the detection of breast cancer?)」、キャンサ・デテクト・プリベント(Cancer Det Prev.)、2006年、第30号、p.233-238
【非特許文献26】フィスケッティ・アール(Fischetti R)、ステパノフ・エス(Stepanov S)、ローゼンバウム・ジー(Rosenbaum G)、バッレーア・アール(Barrea R)、ブラック・イー(Black E)、ゴア・ディー(Gore D)、ハイリック・アール(Heurich R)、コンドラシェキナ・イー(Kondrashkina E)、クノップ・エイ・ジェイ(Knopf AJ)、ワン・エス(Wang S)、チャン・ケイ(Zhang K)、アービング・ティー・シー(Irving TC)、及びバンカー・ジー・ビー(Bunker GB)、「ザ・バイオキャット・アンジュレータ・ビームライン・18アイディー、ア・ファシリティ・フォー・バイオロジカル・ノン-クリスタリン・ディフラクション・アンド・エックス-レイ・アブソープション・スペクトロスコピー・アット・ザ・アドバンスト・フォトン・ソース(The BioCAT undulator beamline 18ID、 a facility for biological non-crystalline diffraction and X-ray absorption spectroscopy at the Advanced Photon Source)」、ジャーナル・オブ・シンクロトロン・ラジエーション(J Synchrotron Radiat)、2004年、第11号、p.399-405
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
明らかに、上記手順は極めて面倒で、時間がかかるものであり、個々のオペレータの技能や注意によってバラツキが出てしまい、大規模なスクリーニング・プログラムには適さない。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の目的は、上述した短所を解決する、或は少なくとも改善することである。
【0012】
(注記)
1.用語「備える(comprising)」(及びその文法的に変化したもの)を本明細書では、包括的な「有する(having)」又は「含む(including)含む」の意味で用い、排他的な「のみから成る」の意味で用いるものではない。
2.本発明の(背景技術)中の先行技術に関する上記考察については、そこで考察した情報を、引用可能な従来技術又は如何なる国の当業者の一般的常識の一部であることを、認めるものではない。
【0013】
従って、本発明の1つの広範な形態では、毛髪繊維を備える試料をX線ビームの範囲内に自動的に位置合わせする方法を提供するものであり、該試料を位置決め装置に取付け、上記方法には、
(a)試料を提供し、該試料を、複数の別々な取付け試料を提供するよう構成した試料保持装置に取付け、各試料を一意に識別するステップ、
(b)上記取付け試料を観察可能な装置を提供し、それにより該装置は上記取付け試料を撮像でき、試料識別子を読み取り、基準位置に対する上記試料の座標を測定でき、上記位置決め装置に取付けた上記試料の一部分たりとも当初には上記基準位置に存在させないステップ、
(c)少なくとも2本の直交した軸に沿って直線的に上記位置決め装置を調節する動力源を提供するステップ、及び
(d)上記動力源を起動させて、上記位置決め装置を、上記試料をX線ビームの経路上に位置するように、調節するステップ、
を備える。
【0014】
好適には、上記観察装置をCCDカメラとする。
【0015】
好適には、上記動力源には、少なくとも1個のモーターを備える。
【0016】
本発明の更なる広範な形態では、複数の試料から選択した試料について単独又は複数のX線回折分析を行う方法を提供しており、上記試料は毛髪繊維から成り、上記方法には、
(a)試料収集装置を使用して被験者から毛髪を収集するステップ、
(b)分析施設に毛髪試料を含む試料収集装置を輸送するステップ、
(c)試料ホルダに毛髪を取付けるステップ、
(d)上記試料をX線ビームの経路に位置付けできるように、上記試料ホルダを取付ける位置決め装置を、提供するステップ、
(e)上記取付け試料を観察できる装置を提供し、それにより上記装置が、上記取付けた試料を撮像でき、基準位置に対する上記試料の座標を測定でき、上記位置決め装置に取付けた上記試料の一部分たりとも、当初は上記基準位置に存在させないステップ、
(f)上記位置決め装置を、2本以上の直交した軸に沿って直線的に調節する動力源を提供するステップ、
(g)上記動力源を起動して、上記位置決め装置を、上記試料をX線ビームの経路に位置するように、調節するステップ、
(h)X線ビームを提供し、該ビームを上記試料に照射するステップ、及び
(i)上記試料からのX線散乱を、記録するステップ、
を備える。
【0017】
好適には、上記位置決め装置を、2平面以上で移動可能な電動アーマチュアに接続するラックとする。
【0018】
好適には、上記試料ホルダを、上記位置決め装置に、ねじ、留め金又はクリップによって取付ける。
【0019】
好適には、上記観察装置をCCDカメラとする。
【0020】
好適には、コンピュータを使用して、上記方法を自動化する。
【0021】
好適には、コンピュータ化した検出システムを使用して、上記試料からのX線散乱を記録する。
【0022】
好適には、上記動力源には、少なくとも1個のモーターを備える。
【0023】
本発明のまた更なる広範な形態では、試料分析システムを提供し、該システムには、少なくとも1つの試料列と、該試料列の試料を第1概略位置に付勢する自動駆動機構と、該駆動機構を調節して上記試料をX線回折ビームと略一致させるよう配置するモニタリング及び制御システムと、を備える。
【0024】
好適には、上記試料列には、毛髪試料保持装置に設けた毛髪繊維保持手段に固定する多数の個別の毛髪繊維を備え、各該毛髪繊維の少なくとも一部分を、共通面に配置する。
【0025】
好適には、上記試料保持装置には、剛性材料製プレートを備え、該プレートには、穴又はスロットを設けて、回折したX線を透過可能にし、該穴又はスロットを、上記剛性材料製プレートの外面から突出する隆起部によって縁取りし、該隆起部を上記スロットの対向する長手辺に沿って配設し、各上記隆起部には約100μm幅の溝を含み、該溝をガイドとして使用して、上記穴を横切り毛髪を直線配置する。
【0026】
好適には、上記毛髪繊維保持手段には、同一プレート上に複数の穴及び隆起部を含む。例えば、上記プレートを、標準的な顕微鏡用スライド(幅25mm及び長さ75mm)の寸法とする。
【0027】
好適には、上記試料保持装置には、接着片を含むが、該接着片を、上記スロットの上記対向する長手辺に沿って、間隔を開けて配置する、第1片を上記穴の片側に沿って配着し、第2、第3、第4接着片を、一定間隔で、上記穴の反対側に配着する。
【0028】
好適には、各上記毛髪繊維保持手段を、毛髪繊維識別用バーコードラベルに加えて、被験者識別用バーコードラベルとも関連付ける。
【0029】
好適には、少なくとも1つの試料列を、試料列ラックに固定した多数の試料列の1つとし、上記試料列ラックをスライドウェイに支持するが、該スライドウェイを、上記試料列ラックの並進運動が相互に直交する2方向以上で可能なように構成し、該相互に直交する2方向を、上記共通面と平行で、上記X線回折ビームと垂直な面に存在させる。
【0030】
好適には、上記試料列ラックを、上記直交する2方向に、コンピュータ化した駆動機構のサーボモータによって付勢し、該サーボモータにより、上記試料列ラックを、上記毛髪試料をX線ビーム照射装置及びX線ビーム記録装置との間の上記第1概略位置に位置決めするよう、駆動する。
【0031】
好適には、上記毛髪繊維の上記第1概略位置を、最適毛髪繊維位置と、画像システムを用いて比較し、ソフトウェアを含む上記画像システムにより、上記コンピュータ化した駆動機構に出力して、上記毛髪繊維の上記中間部分を上記X線回折ビームと略一致させるよう位置決めする。
【0032】
好適には、上記X線ビーム記録装置を、上記X線回折ビームの相互作用からのX線散乱について記録及び分析するコンピュータと接続する。
【0033】
好適には、上記記録装置をMAR検出器とする。好適には、上記画像システムには、CCDカメラを含み、該カメラの焦点を、上記最適毛髪繊維位置に、上記X線回折ビームが上記共通面と交差する点で、合わせる。
【0034】
好適には、上記システムには、バーコード読取装置を更に含み、該バーコード読取装置により、上記毛髪繊維試料を上記試料の提供者と関連付ける上記コンピュータに、入力を提供する。
【0035】
本発明のまた更なる広範な形態では、患者の病理学的状態と関連付ける診断検査の感度及び特異度を向上させるように、患者から毛髪試料の形で、ケラチン試料を分析する方法を提供し、該方法には、請求項1乃至10の何れかの方法により試料を位置合わせし、その後、
a)毛髪試料を、エネルギー源から得た入射エネルギーに露出すること、
b)ケラチン試料に入射エネルギーが衝突した結果、毛髪試料から放射エネルギーを受取ること、
c)毛髪試料から受取る少なくとも一部の放射エネルギーを、データを得るために、変換器に通すこと、
d)該取得したデータを、基準データベースに存在する第2データ群と比較すること、を備え、
該第2データ群を、患者の病理学的状態の存在と合致させる。
【0036】
好適には、第2データ群を、患者の病理学的状態の存在と相関させる。
【0037】
好適には、第2データ群を、患者の病理学的状態の存在の原因と関連付ける。
【0038】
好適には、エネルギー源を、複数の異なるエネルギー源から選択する。
【0039】
好適には、ケラチン試料を、複数の異なるケラチン試料から選択する。
【0040】
好適には、第2データ群を、複数の異なるデータのデータ群から選択する。
【0041】
好適には、取得したデータ及び第2データ群を、複数の異なる比較方法を用いて分析する。
【0042】
好適には、少なくとも一部の入射エネルギーを、ケラチン試料によって吸収する。
【0043】
好適には、使用時に、ケラチン試料を、薬局、検査キット、患者の自宅、医療クリニック又は病理収集センター及び検査機関の少なくとも1つと関係して、入手、分析可能にする。
【0044】
好適には、上記データを、上記変換器から得た画像の画像データの形とし、上記分析方法には、
(a)上記画像における特徴の間隔を測定するよう、上記画像で所定経路に沿って一次元データを抽出すること、
(b)上記一次元データの分析から、上記画像の中心点周りに略円形指向性のピークデータを画定すること、
(c)上記略円形指向性のピークデータそのものを上記画像において、より良好に画定するように、上記略円形指向性のピークデータに対して強度補正を適用すること、
を備える。
【0045】
本発明の更に別の広範な形態では、試料分析システムを提供し、該システムは、少なくとも1つの試料列と、該試料列の毛髪試料を第1概略位置に付勢する自動駆動機構と、該駆動機構を調節して上記試料をX線回折ビームと略一致させるよう配置するモニタリング及び制御システムと、を備え、上記試料を、上記X線回折ビームと略一致させるよう配置し、上記試料に上記ビームを所定時間照射し、上記試料を照射する上記ステップから得たデータを、分析するために受信、保存し、上記試料列からの一連の上記試料群に対して上記ステップを繰り返す。
【0046】
本発明のまた別の広範な形態では、試料分析システムを提供し、該システムは、容器内に配置する複数の試料列と、該容器から個々の列を取出し、上記試料列の試料を第1概略位置に付勢する自動駆動機構と、該駆動機構を調節して上記試料をX線回折ビームと略一致させるよう配置するモニタリング及び制御システムと、を備え、上記試料を、上記X線回折ビームと略一致させるよう配置し、上記試料に上記ビームを所定時間照射し、上記試料を照射する上記ステップから得たデータを、分析するために受信し、保存し、上記試料列を、上記容器の元の位置に戻し、上記試料容器から別の列を取出し、上記ステップを連続する列に対して繰り返す。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】毛髪試料をX線ビーム照射装置及び検出器と位置合わせする試料分析装置の仕組みについて、関連する制御及び診断出力構成要素と共に表した、全体的な概略図である。
【図2】図1の装置のキャリアラックに取付ける毛髪試料保持装置の正面図である。
【図3】図2の毛髪試料保持装置及びキャリアラックの断面側面図であり、X線ビーム照射装置及びX線ビーム記録装置の一部分を示している。
【図4】自動位置決め技術を適用できる試料分析システムのブロック図である。
【図5】患者からの収集から自動化された検査及び供給された結果までの完全な分析システムのブロック図である。
【図6】本発明の自動化した技術を適用した第1及び第2画像処理プロトコルの出力の比較である。
【図7】図1の装置のキャリアラックに取付ける毛髪試料保持装置の別の実施例の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0048】
次に、添付図を参照して本発明の実施例について説明する。
【0049】
図1を参照すると、毛髪試料分析システム10を、多数の個別の毛髪繊維試料12を其々、X線ビーム照射装置16からのX線回折ビーム14と一致させるように、配設する。散乱したX線ビーム14を、毛髪繊維試料12からの干渉結果として、MAR検出器18で受光する。
【0050】
毛髪繊維試料12の試料列を、多数の毛髪試料保持装置20で固定し、該装置20を試料列ラック22で支持する。ラック22を、コンピュータ化した駆動機構26を備えた位置決め装置24に取付ける。駆動機構26には、横スライド28及び縦スライド30を備えて、ラック22のX-X及びY-Y方向に並進させる。位置決め装置24を、毛髪繊維試料12をX線回折ビーム14と垂直な平面で移動させるよう構成した位置決めコンピュータ32で制御する。
【0051】
次に図2及び図3について言及すると、毛髪繊維試料12の列を、毛髪試料保持装置20に固定する。保持装置20には、剛性で、好適には透明材料34製のプレートを備え、該プレートには、縦方向に中心に直線配置した長尺のスロット36を設ける。スロット36の対向する長手辺38、39に沿って、隆起部40及び41を其々設ける。スロット36の長さに沿って間隔を開けて、対になった支柱42を存在させ、各対の片方をスロット36の辺38に隣接させ、他方をスロット36の辺39に隣接させて配設する。支柱42を、プレート34の外面44から突出させるが、図3で最もよく分かるように、隆起部40及び41より十分に延伸させる。
【0052】
保持装置20には、密着巻き引き張りコイルばね46の対を更に設けるが、各支柱42対に対して1対とし、同様に、1対のコイルばねの片方をスロット36の片側に、他方をスロット36の反対側に配設する。
【0053】
個別の毛髪繊維試料12を、毛髪繊維12の片端を第1コイルばね46の隣り合うコイル間に緊定して、該繊維を1対の支柱42間に張着し、該毛髪繊維の他端を、スロット36の反対側でコイルばねのコイルの間に緊定して、保持装置20に固定する。毛髪繊維12の両端をコイルばね46に、隆起部40及び41の外面より剛性プレート34の外面44に近い高さで緊定し、それにより繊維を、これら隆起部を横切り張着するようにする。この効果で、試料列が毛髪繊維12の中間部分50で並直列となり、毛髪繊維12がX線回折ビーム14と垂直な共通平面に存在するようになる。
【0054】
保持装置20にバーコードラベル47を着脱可能に固着するが、該ラベル47により保持装置を識別し、バッチ情報を提供する。バーコードラベル49を、各毛髪繊維試料12と並べて更に提供する。これらのバーコードラベル49を、毛髪繊維試料を列に加える際に、毛髪試料を収集したパッケージ(図示せず)から外して、保持装置に固着する。
【0055】
試料列ラック22には、下レール56と上レール58を有する剛性バックプレート54を備える。剛性バックプレート54には、間隔を開けてスロット55を設けるが、該スロット55を保持装置20のスロット36に等しく又はスロット36より僅かに大きくする。保持装置20を、試料列ラック22に下レール56にスライド係合させ、クリップ60を上レール58に沿って適当な間隔で配設して、試料列ラック22に固定し、それにより保持装置20のスロット36をスロット55と位置合わせする。
【0056】
次に、再び図1を参照すると、位置決めコンピュータ32で制御する位置決め装置24により、まずX−Xサーボモータに、試料列ラック22をオペレータが予め用意した保持装置20を試料列ラック22に取付け可能な位置にまで、駆動するよう指示する。位置決めコンピュータはその後、該ラックをX−X及びY−Y両方向に、第1位置決めシーケンスで駆動するが、該シーケンスにより、第1保持装置の第1毛髪繊維試料を略整合位置にする。この位置は、列ラック22の第1スロット58の縦軸が、X線ビーム照射装置16の較正後の軸と一致する位置であり、該位置により、第1毛髪繊維試料もまたこの軸に近接する。
【0057】
次に、位置決めコンピュータ32により、撮像系カメラ62から画像データを受信し、共通面52とX線ビーム照射装置16の軸との交点に焦点を合わせる。カメラ62により毛髪繊維試料の位置をモニタし、位置決めコンピュータにより該繊維の画像64の場所と、ディスプレイ68に示された水平基準線66とを比較する。基準線66は繊維の最適位置、つまり、繊維の中間部分50がX線ビームの軸と一致する、或いは交差する場合、を表す。位置決めコンピュータ32は、この位置の差を用いて、Y-Yサーボモータに、毛髪繊維試料の画像を基準線と一致させるように、命令する。
【0058】
X線回折ビーム及び検出器システムを次に起動させて、毛髪繊維試料と相互作用させた際に、X線ビームの散乱について記録し、処理する。この記録を、X線ビーム照射装置16に隣接して取付けたバーコードリーダ70によって、試料と関連付けたバーコードの読取結果と関連付ける。
【0059】
MAR検出器18により信号を第1回折データ処理装置71に出力し、該第1回折データ処理装置71から初期の回折原画像72を処理して、回折画像ディスプレイ73に表示できる。その後、回折原画像データ74を第2回折データ処理装置75に伝送し、該第2回折データ処理装置で、点像強調技術を適用し、その結果強調回折画像76を強調画像ディスプレイ77に表示する。
【0060】
試料保持装置-第2実施例、
図2の試料列ラック22の別の形態を、図7で説明する。
【0061】
この実施例では、試料列ラック又は試料保持装置201は、剛性材料製のプレート202を備える。該プレート202には、穴又はスロット203を備えて、回折X線を透過可能にする。この実施例では、各穴又はスロット203を、隆起部204で縁取りするが、該隆起部204を上記剛性材料製プレートの外面から突出させる(断面AA及びBBを参照)。隆起部204を、上記スロットの対向する長手辺に沿って配設する(断面AA及びBBを参照)。該隆起部には其々、約100μmの溝205を含む。該溝を、上記穴を横切り毛髪206を直線配置するために、ガイドとして使用する。
【0062】
好適には、試料列ラック又は試料保持装置201には、複数の穴及び隆起部を同一プレート上に含む。好適な形態では、該プレートを、標準的な顕微鏡用スライド(幅25mm及び長さ75mm)の寸法とする。
【0063】
好適には、試料列ラック又は試料保持装置201には、接着片207を含むが、該接着片を、上記スロットの対向する長手辺に沿って、間隔を開けて配置する、第1片を上記穴の片側に沿って配着し、第2、第3、第4接着片を、一定間隔で、上記穴の反対側に配着する。
【0064】
好適には、各試料列ラック又は試料保持装置201を、毛髪繊維識別用バーコードラベル209に加えて、被験者識別用バーコードラベル208とも関連付する。
【0065】
好適には、この少なくとも1つの試料列を、試料列ラック又は試料保持装置201に固定した多数の試料列の1つとする。好適な形態では、上記試料列ラックをスライドウェイ210、211に支持するが、該スライドウェイを、上記試料列ラックの並進運動が相互に直交する2方向以上で可能なように構成する。この実施例では、該相互に直交する2方向を、共通面と平行で、X線回折ビームと垂直な面に存在させる。
【0066】
2つの考え得る画像強調技術について以下で説明するが、該技術は、上述した自動化技術と共に使用するのに適する。
【0067】
分析技術
定義、
「放射する」、 1点又は1面からあらゆる方向に直進すること。
【0068】
「哺乳類種」には、本明細書の本文に表したタイプの種を含む。
【0069】
「エネルギー源」には、本明細書の本文に表したタイプのエネルギーを含む。
【0070】
「ケラチン試料」を、略ケラチンから成る試料とする。
【0071】
請求の範囲に記載した本発明に関する複数の異なる選択及び形態には、本明細書の本文に表した選択及び形態を含む。
【0072】
前後関係で示さない限り、1要素に対するクレームは少なくとも1要素に対するクレームと一致するものとする。
【0073】
次に、添付図を参照して本発明の実施例について説明する。図1ではケラチン試料116を分析する方法について説明している。図4では、入射エネルギー114を発散するエネルギー源112を示している。ケラチン試料116を患者111から採取する。患者111には、哺乳類種を含む。哺乳類種としては、人間、犬又は猫等のペット又は他の様々な動物を含むことができる。ケラチン物質116としては、人間の頭皮又は体毛、特に陰毛、ペットの毛髪、獣毛又は一般に哺乳類種の毛髪、又は切り落とした爪又は睫毛等の他のケラチン質材料を含むことができる。
【0074】
ケラチン試料116を入射エネルギー114に露出する。放射エネルギー118を、ケラチン試料116に入射エネルギー114が衝突した結果、ケラチン試料116から得る。
【0075】
少なくとも一部の放射エネルギー118を、変換器120に通して、データ122を生成する。データ122を、基準データベース125のデータ124と比較して、患者111が病理学的状態であるか否かを判定できる(例えば、基準データベース125で、問題となる結果が病理学的状態と相関し、且つ原因とも関連すると示す場合には、有意な比較と考えられ、更に入射放射線が完全に吸収された場合に零相関つまり全く情報が提供されないことも、有用な分析情報になり得る)。
【0076】
使用時
図5は、使用時の本発明の実施例について示している。図5では、患者111が薬局132に行き、毛髪試料116を提供できる。その後毛髪試料116を検査機関134に送付して、図4に見られるような、毛髪試料116を分析する方法を行うことができる。
【0077】
更に、患者111は、検査キット133を薬局から求めて、検査キット133を使い、自宅136で、毛髪試料116を分析する方法を実施し、併せて医療クリニック138で自分の主治医の診察を受けることもできる。
【0078】
或いは、患者111が掛かり付けの医療クリニック138に行き、自分の毛髪試料116を提供できる。医療クリニック138では、毛髪試料116を分析する方法を実施できる、又は毛髪試料を検査機関134に送付できる。
【0079】
更なる実施例
好適な画像分析方法を試用し、該方法について以下に説明する。
【0080】
試料収集及び取り扱い
長さ30mm以上の毛髪試料(頭髪及び/又は陰毛)を、オーストラリアの放射線クリニックで乳房X線写真の診察を受けた女性から収集した。検査6週間以内に頭髪を染めた又は化学処理(パーマによるウェーブ等)した女性、及び陰毛がない女性、又は5年以内に乳癌歴又は他の癌歴(非黒色腫皮膚癌及び子宮頚部上皮内腫瘍(CIN))のある女性については、除外した。毛髪の19盲試料を、該クリニックで収集し、これらの試料を、乳癌と診断された女性からの14試料及びマンモグラフィーによって陰性と推定された女性からの6試料と共に、本研究で分析した。
【0081】
頭髪を、髪際付近の耳の裏の領域から取り、できるだけ皮膚近くで切断して採取した。このようにして確実に、採取した試料が環境要因からの損傷が最小限となるようにした。陰毛もまた、できるだけ皮膚近くで切断して採取し、全頭髪試料をプラスチック製の試料容器に保管した。全患者の病歴については、該クリニックで記録している。
【0082】
シンクロトロンX線小角散乱(SAXS)分析では、1本の毛髪を、微細なピンセットを使用して容器から緩やかに取出して、該毛髪を、別々な10本の毛髪繊維を保持可能な、特別に設計した試料ホルダに装着することが求められる。これらのホルダでは、微小なばねを使用して繊維を把持し、ピンを使用してX線ビームに対する適切な方位に該繊維を配置する。該繊維を識別できると、該繊維の切断端部をまず、ホルダの片側にあるばねのコイルを開いて、該繊維をコイル間に入れて、装着する。次に、該ばねを緩めて、該繊維をクランプ固定した。ばねの反対側のコイルを、次に開いて、該繊維の遊端部をコイル間に挿入した。毛髪を、位置決めピンと当接させ、その後ばねを緩やかに解除した。装着プロセスに多大な注意を払い、確実に繊維が装着時に捩れないようにし、伸張によって損傷しないようにした。装着後直ぐに、毛髪を解剖用双眼実体顕微鏡で検査した。
【0083】
X線回折
シンクロトロンSAXS実験を、米国アルゴンヌ国立研究所の高度光子源(Advanced Photon Source)で実施した。分析を、ビームライン18-ID(BioCAT)及び15-ID(ChemMatCARS)を使用して、行った。
【0084】
BioCAT実験用のビーム特性を、垂直方向に70μm、水平方向に20μm、波長λ=1.03Åとした。毛髪を、該毛髪の軸について平行面に、零の入射角で取付けた。ビームにおける試料の最適位置を、CCD検出器(米国、Aviex Electronics社製)を用いて、確定した。該繊維にX線を2秒間曝射し、回折画像を、繊維がビームの中心に位置しているかを示す特徴に関して評価した。繊維を最適に配置した後直ぐに、繊維にX線を約20秒間曝射し、回折画像を、有効領域約190mmx240mmの富士フィルム社製BAS IIIイメージングプレートに収集した。試料と検出器との間の空間を減圧状態にし、空気散乱を減少させ、この距離を、ベヘン酸銀の分散パターン分析により、959.4mmと確定した。
【0085】
ChemMatCARS実験に使用したビーム特性を、縦300μm、横500μmとし、使用する波長をλ=1.50Åとした。該ビームを並進させながら、ビーム光束を下降させて試料に当てた。その結果、試料曝射時間が長くなったものの、毛髪を十分にX線ビームの範囲内に包含できたため、容易に試料の位置決めが可能になった。毛髪試料を60秒間、X線源により曝射し、回折画像をMAR345検出器で収集した。試料と検出器の間の空間を、減圧状態にして、空気散乱を減少させ、この距離を、ベヘン酸銀の分散パターン分析により、635.8mmと確定した。
【0086】
画像分析
回折画像を、PIT2D及びSaxs15IDというソフトウェアパッケージを使用して分析した。両プログラムは、データ整理及びその後の分析を行うのに必要なデータ操作及び平滑化ルーチンを提供する。これらのパッケージからの抽出した一次元データを、スペクトルビューワというソフトウェアパッケージを使用して、可視化し、分析した。
【0087】
2つの方法及びパラメータを用いて、平滑化及びその後のバックグラウンド除去によって、SAXS画像を強調した。最初のものは、我々が本明細書で以下に「標準プロトコル」と呼ぶもので、これはジェームズ氏による1発表(参考文献、ウィルク・ケイ(Wilk K)、ジェームズ・ブイ(James V)、及びアメミヤ・ワイ(Amemiya Y)、「インターメディエイト・フィラメント・ストラクチャー・オブ・ヒューマン・ヘア(Intermediate Filament Structure of Human Hair)」、バイオチミカ・エト・バイオフィジカ・アクタ(Biophysica Biochimica Acta)、1995年、第1245号、p・392-396)でのみ記載されたことがある、として知られている。ジェームズ氏による如何なる発表においても、同氏は、癌の存在を判定するのに使用するSAXS生データやパラメータをどのように処理するかについて、完全な方策を記載してはいない。最初に発表したものは不明であるため、ジェームズ氏がSAXS画像を処理するのに使用したパラメータ及び方法を開発したか否かは不明であるが、SAXS画像を処理して乳癌を診断するための完全な方法に関する明確で簡潔な説明は、依然として未発表である。要するに、SAXS生画像を、3x3画素の正方形の中心画素の値を、該正方形全体について計算した平均値と、置換することで、獲得できる。バックグランド画像を、上述した方法と同様な方法だが、20x20画素の正方形で平滑化した画像をぼかして、作成する。乳癌の診断に使用する画像を、作成したバックグランド画像を、平滑化した画像から減算して、作成する。バックグラウンドを補正する目的は、原画像に存在する如何なる特徴も妥協せずに、Qが小さい値の時にその立ち上がり強度を除去することである。FIT2Dには、ユーザが利用可能な、「平滑」「中央値」という、2つの異なる平滑化関数を備えている。
【0088】
この研究の過程で、我々は、別のバックグランド補正プロトコルを開発して、生データの平滑化を図り、バックグランド画像を作成したが、該画像は、平滑化したデータから減算した場合、原画像において低強度で存在した重要な特徴を除去又は隠蔽しなかった。SAXS画像を、当初、3×3画素の「中央値」によるフィルタ演算を使い平滑化したが、該画素では微妙な特徴を損なわずに平滑化できた。続いて50×50画素の「平均値」により、平滑化した画像からバックグランドを作成した。我々は、これを「代替プロトコル」と呼ぶ。
【0089】
一次元データを、各SAXS画像から抽出して、画像における特徴の正確な間隔を測定した。これを、2つの異なる方法で達成した。第1の方法は、単線に沿って画像の中心から開始し、子午面に沿って0°、60°、120°、180°、240°、及び300°で、強度データを抽出するものである。この処理を使用して確実に、リングがSAXS画像に存在する場合、強度データが、適当な場所でピークを示し、全4象限からのデータ分析から、その円形の性質を確立できるようにした。乳癌の存在を示唆するリングのおおよその間隔で、弱特徴を示したSAXS画像について、上述したデータ抽出方法に対して、修正を加えた。これらの場合では、強度データを、前述の子午線に対して5°のセクタを其々の場所で統合して、抽出した。これを、弱データのバックグラウンドノイズに対する信号のレベルを増加させる目的で行った。
【0090】
図6を参照して、
乳癌SAXSパターンの定義
画像処理に標準プロトコルを使用して、我々は乳癌の存在と相関するリングを、14陽性対照の内の13において、規定した間隔(Q=0.133Å-1)で、識別できた。マンモグラフィーで陰性と推定された試料のいずれも、該試料其々のSAXSパターンにおける該間隔でリングを示さなかった。其々のSAXSパターンから抽出した一次元データにより、上記研究結果について確認した。
【0091】
次に標準プロトコルを使用して、放射線クリニックで収集した盲試料を評価した。患者の病状及び標準プロトコルを使用した分析結果を、表1に示す。表1に提示した情報から、収集した19試料の1試料だけが、乳癌と確認された女性からのものと分かる。この特定の試料に対して標準プロトコルを使用して行ったSAXSパターン分析の結果、対象となるゾーンでただ極めて薄い若干楕円のリングの画像を生成した。この画像から抽出した一次元データでは、リングの存在を示したが、バックグランド以上に顕著ではなく、従って陰性と判定した。試料について非盲検とした後、この結果を偽陰性として分類した。他の試料の内、3試料に対象となるゾーンにリングが現れ、陽性と判定した。また、別の試料では、対象となるゾーンにリングが現れ、且つ疾患の証拠も表示されたが、依然として陽性と判定した。その他の試料については陰性であると断定した。
【0092】
標準プロトコルを使用して生成したSAXS分析結果から、ジェームズ氏が画像処理に用いるとして開示した方法及びパラメータが、弱特徴及び/又は拡散特徴を含む画像には適さないことが、明らかになった。
【0093】
我々は、次に、代替プロトコルのデータ再生を使用して画像を再分析して、確実に、対象領域の薄いけれども重要な情報を、画像処理結果として見失わないようにした。
【0094】
代替プロトコルでFit2D及びSax15IDを使用して、陽性対照試料について再評価した。これらの結果及び抽出した一次元データから、我々は乳癌の存在と相関するリングの間隔を、Q=0.132±0.001Å-1と確定した。平均値±2SD(標準偏差)を、定量的基準として適用して、対象となるゾーンを画定した。代替プロトコルを使用すると、標準プロトコルと比べて、上質でより詳細なSAXS画像を生成できた。図6A及び図6Bは夫々標準プロトコル及び代替プロトコルを、陰性と判定され、後に偽陰性に分類された試料に、適用して得られた画像である。図6Bから分かるように、ここでは弱拡散リングが見られる。この画像から抽出した一次元データにより該リングが、Q=0.132±0.002Å-1(d=4.76±0.07nm)のおおよその間隔を有するよう規定した。その結果、代替プロトコルの画像縮小により、拡散した低強度情報を観察できる上質なデータを生成できた。
【0095】
(表1)
放射線クリニックに通院する1組の患者のマンモグラフィー結果についてのSAXSデータの比較

【0096】
上記では、本発明の幾つかの実施例についてのみ説明しており、当業者にとって明白な変更を、本発明の範囲から逸脱せずに、加えることができる。
【符号の説明】
【0097】
10 毛髪試料分析システム
12 毛髪繊維試料
14 X線回折ビーム
16 X線ビーム照射装置
18 MAR検出器
20 毛髪試料保持装置
22 試料列ラック
24 位置決め装置
26 駆動機構
28 横スライド
30 縦スライド
32 位置決めコンピュータ
34 剛性プレート
36、55、203 スロット
38、39 辺
40、41 隆起部
42 支柱
44 外面
46 コイルばね
47、49、208、209バーコードラベル
50 中間部分
52 共通面
54 剛性バックプレート
56 下レール
58 上レール
60 クリップ
62 撮像系カメラ
64 画像
66 基準線
68 ディスプレイ
71 第1回折データ処理装置
72 回折原画像
73 回折画像ディスプレイ
74 回折原画像データ
75 第2回折データ処理装置
76 強調回折画像
77 強調画像ディスプレイ
111 患者
112 エネルギー源
114 入射エネルギー
116 ケラチン試料
118 放射エネルギー
120 変換器
122、124 データ
125 基準データベース
132 薬局
133 検査キット
134 検査機関
136 自宅
138 医療クリニック
201 試料列ラック又は試料保持装置
202 プレート
204 隆起部
205 溝
206 毛髪
207 接着片
210、211 スライドウェイ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
毛髪繊維を備える試料をX線ビームの範囲内に自動的に位置合わせする方法であって、前記試料を位置決め装置に取付け、前記方法には、
(e)試料を提供し、該試料を、複数の別々な取付け試料を提供するよう構成した試料保持装置に取付け、各試料を一意に識別するステップ、
(f)前記取付け試料を観察可能な装置を提供し、それにより該装置は前記取付け試料を撮像でき、試料識別子を読み取り、基準位置に対する前記試料の座標を測定でき、前記位置決め装置に取付けた前記試料の一部分たりとも当初には前記基準位置に存在させないステップ、
(g)少なくとも2本の直交した軸に沿って直線的に前記位置決め装置を調節する動力源を提供するステップ、及び
(h)前記動力源を起動させて、前記位置決め装置を、前記試料をX線ビームの経路上に位置するように、調節するステップ、
を備えること、を特徴とする方法。
【請求項2】
前記観察装置をCCDカメラとすること、を特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記動力源には、少なくとも1個のモーターを備えること、を特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
複数の試料から選択した試料について単独又は複数のX線回折分析を行う方法であって、前記試料は毛髪繊維から成り、前記方法には、
(j)試料収集装置を使用して被験者から毛髪を収集するステップ、
(k)分析施設に毛髪試料を含む試料収集装置を輸送するステップ、
(l)試料ホルダに毛髪を取付けるステップ、
(m)前記試料をX線ビームの経路に位置付けできるように、前記試料ホルダを取付ける位置決め装置を、提供するステップ、
(n)前記取付け試料を観察できる装置を提供し、それにより前記装置が、前記取付けた試料を撮像でき、基準位置に対する前記試料の座標を測定でき、前記位置決め装置に取付けた前記試料の一部分たりとも、当初は前記基準位置に存在させないステップ、
(o)前記位置決め装置を、2本以上の直交した軸に沿って直線的に調節する動力源を提供するステップ、
(p)前記動力源を起動して、前記位置決め装置を、前記試料をX線ビームの経路に位置するように、調節するステップ、
(q)X線ビームを提供し、前記ビームを前記試料に照射するステップ、及び
(r)前記試料からのX線散乱を、記録するステップ、
を備えることを、特徴とする方法。
【請求項5】
前記位置決め装置を、2平面以上で移動可能な電動アーマチュアに接続すること、を特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記試料ホルダを、前記位置決め装置に、ねじ、留め金又はクリップによって取付けること、を特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記観察装置をCCDカメラとすること、を特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項8】
コンピュータを使用して、前記方法を自動化すること、を特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項9】
コンピュータ化した検出システムを使用して、前記試料からのX線散乱を記録すること、を特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項10】
前記動力源には、少なくとも1個のモーターを備えること、を特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項11】
試料分析システムであって、該システムには、少なくとも1つの試料列と、該試料列の試料を第1概略位置に付勢する自動駆動機構と、該駆動機構を調節して前記試料をX線回折ビームと略一致させるよう配置するモニタリング及び制御システムと、を備えること、を特徴とするシステム。
【請求項12】
前記試料列には、毛髪試料保持装置に設けた毛髪繊維保持手段に固定する多数の個別の毛髪繊維を備え、各該毛髪繊維の少なくとも一部分を、共通面に配置すること、を特徴とする請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記試料保持装置には、剛性材料製プレートを備え、該プレートには、中央に長尺スロットを設け、該スロットには、前記剛性材料製プレートの外面から突出する隆起部を有し、該隆起部を前記スロットの対向する長手辺に沿って配設し、前記隆起部によって前記共通面を規定すること、を特徴とする請求項11に記載のシステム。
【請求項14】
前記毛髪繊維保持手段には、前記スロットの前記対向する長手辺に沿って、間隔を置いて配置した支柱対を含み、各該支柱対の第1支柱を、前記スロットの片側に沿って配設し、各前記支柱対の第2支柱を、前記スロットの反対側に沿って配設し、前記支柱を、前記外面の表面から、前記共通面より上に十分に突出するよう、突出させる こと、を特徴とする請求項12に記載のシステム。
【請求項15】
各前記支柱対を、1対の引き張りコイルばねと関連させ、該コイルばねを、前記毛髪繊維の端部に保持力を提供するように、密着巻きし、前記毛髪繊維を、前記長尺スロットの片側で前記コイルばね対の第1ばねから、前記スロットの反対側で前記コイルばね対の第2ばねにまで伸張させ、前記毛髪繊維の中間部分を、前記支柱対間を横切り張着すること、を特徴とする請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
各前記毛髪繊維保持手段を、毛髪繊維識別用バーコードラベルと関連付け、前記バーコードラベルを、前記毛髪繊維保持手段と隣接して、前記剛性材料製プレートに着脱可能に取着すること、を特徴とする請求項12に記載のシステム。
【請求項17】
前記少なくとも1つの試料列を、試料列ラックに固定した多数の試料列の1つとし、 前記試料列ラックを、互いに直交する2方向に前記試料列ラックを並進可能にするよう構成したスライドウェイに、支持し、前記互いに直交する2方向を、前記共通面と平行で、且つ前記X線回折ビームと垂直な面上に存在させること、を特徴とする請求項11に記載のシステム。
【請求項18】
前記試料列ラックを、前記少なくとも直交する2方向に、コンピュータ化した駆動機構のサーボモータによって付勢し、該サーボモータにより、前記試料列ラックを、前記毛髪試料をX線ビーム照射装置及びX線ビーム記録装置との間の前記第1概略位置に位置決めするよう、駆動すること、を特徴とする請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記毛髪繊維の前記第1概略位置を、最適毛髪繊維位置と、画像システムを用いて比較し、ソフトウェアを含む前記画像システムにより、前記コンピュータ化した駆動機構に出力して、前記毛髪繊維の前記中間部分を前記X線回折ビームと略一致させるよう位置決めすること、を特徴とする請求項11に記載のシステム。
【請求項20】
前記X線ビーム記録装置を、前記X線回折ビームの相互作用からのX線散乱について記録及び分析するコンピュータと接続すること、を特徴とする請求項18に記載のシステム。
【請求項21】
前記記録装置をMAR検出器とすること、を特徴とする請求項18に記載のシステム。
【請求項22】
前記画像システムには、CCDカメラを含み、該カメラの焦点を、前記最適毛髪繊維位置に、前記X線回折ビームが前記共通面と交差する点で、合わせること、を特徴とする請求項19に記載のシステム。
【請求項23】
前記システムには、バーコード読取装置を更に含み、該バーコード読取装置により、前記毛髪繊維試料を前記試料の提供者と関連付ける前記コンピュータに、入力を提供すること、を特徴とする請求項18又は19のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項24】
患者の病理学的状態と関連付ける診断検査の感度及び特異度を向上させるように、患者からの毛髪試料を分析する方法であって、該方法には、請求項1乃至10の何れかの方法により試料を位置合わせし、その後、
a)毛髪試料を、エネルギー源から得た入射エネルギーに露出すること、
b)ケラチン試料に入射エネルギーが衝突した結果、毛髪試料から放射エネルギーを受取ること、
c)毛髪試料から受取る少なくとも一部の放射エネルギーを、データを得るために、変換器に通すこと、
d)該取得したデータを、基準データベースに存在する第2データ群と比較すること、を備え、
該第2データ群を、患者の病理学的状態の存在と合致させること、
を特徴とする方法。
【請求項25】
前記第2データ群を、患者の病理学的状態の存在と相関させること、を特徴とする請求項24に記載の毛髪試料を分析する方法。
【請求項26】
前記第2データ群を、患者の病理学的状態の存在の原因と関連付けること、を特徴とする請求項24又は25のいずれか一項に記載の毛髪試料を分析する方法。
【請求項27】
エネルギー源を、複数の異なるエネルギー源から選択すること、を特徴とする請求項24乃至26の何れか1項に記載の毛髪試料を分析する方法。
【請求項28】
毛髪試料を、複数の異なる毛髪試料から選択すること、を特徴とする請求項24に記載の毛髪試料を分析する方法。
【請求項29】
第2データ群を、複数の異なるデータ群から選択すること、を特徴とする請求項24に記載の毛髪試料を分析する方法。
【請求項30】
取得したデータ及び第2データ群を、複数の異なる比較方法を用いて分析すること、を特徴とする請求項24に記載の毛髪試料を分析する方法。
【請求項31】
少なくとも一部の入射エネルギーを、毛髪試料によって吸収すること、を特徴とする請求項24に記載の毛髪試料を分析する方法。
【請求項32】
使用時に、毛髪試料を、薬局、検査キット、患者の自宅、医療クリニック又は病理収集センター及び検査機関の少なくとも1つと関係して、入手、分析可能にすること、を特徴とする請求項24に記載の毛髪試料を分析する方法。
【請求項33】
実質的に本明細書の本文に説明及び記述したようなステップを備えること、を特徴とするケラチン試料を分析する方法。
【請求項34】
請求項24乃至32の何れか1項に記載の方法で得たデータを分析する方法であって、前記データを、前記変換器から得た画像の画像データの形とし、前記分析方法には、
(a)前記画像における特徴の間隔を測定するよう、前記画像で所定経路に沿って一次元データを抽出すること、
(b)前記一次元データの分析から、前記画像の中心点周りに略円形指向性のピークデータを画定すること、
(c)前記略円形指向性のピークデータそのものを前記画像において、より良好に画定するように、前記略円形指向性のピークデータに対して強度補正を適用すること、
を備えること、を特徴とする方法。
【請求項35】
毛髪試料分析システムであって、該システムは、少なくとも1つの試料列と、該試料列の毛髪試料を第1概略位置に付勢する自動駆動機構と、該駆動機構を調節して前記試料をX線回折ビームと略一致させるよう配置するモニタリング及び制御システムと、を備え、前記試料を、前記X線回折ビームと略一致させるよう配置し、前記試料に前記ビームを所定時間照射し、前記毛髪試料を照射する前記ステップから得たデータを、分析するために受信し、保存し、前記試料列からの一連の前記試料群に対して前記ステップを繰り返すこと、を特徴とする毛髪試料分析システム。
【請求項36】
毛髪試料分析システムであって、該システムは、容器内に配置する複数の試料列と、前記容器から個々の列を取出し、前記試料列の毛髪試料を第1概略位置に付勢する自動駆動機構と、該駆動機構を調節して前記試料をX線回折ビームと略一致させるよう配置するモニタリング及び制御システムと、を備え、前記試料を、前記X線回折ビームと略一致させるよう配置し、前記試料に前記ビームを所定時間照射し、前記毛髪試料を照射する前記ステップから得たデータを、分析するために受信し、保存し、前記試料列を、前記容器の元の位置に戻し、前記試料容器から別の列を取出し、前記ステップを連続する列に対して繰り返すこと、を特徴とする毛髪試料分析システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2010−526281(P2010−526281A)
【公表日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−504385(P2010−504385)
【出願日】平成20年5月2日(2008.5.2)
【国際出願番号】PCT/AU2008/000602
【国際公開番号】WO2008/134800
【国際公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【出願人】(507134415)ファーミスカン・オーストラリア・ピーティーワイ・リミテッド (2)
【Fターム(参考)】