説明

認証システム

【課題】質問器が送信する質問信号に対するノイズの影響を回避し、応答器における受信誤りの発生を低減する。
【解決手段】タグ30は、タグリーダー10から受信した質問信号に誤りがあれば(S12,S13)、受信を失敗した旨を示す受信失敗信号を送信する(S14)。この信号を受信したタグリーダー10は、ステップS11で送信した質問信号を分割して、3つの分割信号「1/3」「2/3」「3/3」とする(S15)。そして、この3つの分割信号「1/3」「2/3」「3/3」を互いに時間的な間隔を空けて順繰りに送信する(S16)。この3つの分割信号を受信したタグ30は、分割信号「1/3」「2/3」「3/3」を結合して元の質問信号を得る(S17)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、識別情報を記憶するタグと、タグから識別情報を読み取るタグリーダーを備え、識別情報に基づいて各種認証を行う認証システムに関する。
【背景技術】
【0002】
認証システムの一例として、車両を認証する認証システムは、施設の出入り口付近に設けられたタグリーダーとタグを搭載する車両とを備え、無線通信によりタグから車両識別データを読み出すことで、施設に入退する車両を認証するというシステムが知られている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2007-257407号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、本願発明者らの検討によると、タグを搭載する車両からノイズが発生する(車両のエンジンからピークノイズが発生する。)環境下においては、ノイズの影響により無線通信が正常に行えない場合があることが判明している。
すなわち、無線通信の際には、タグリーダーからタグへとタグの識別情報を問い合わせる信号(質問信号)を送信する。この質問信号がノイズにより乱れ、タグにおいて受信誤りとなるのである。特に、ノイズのレベルが大きいと、質問信号を繰り返し送信しても受信誤りは一向に解消されないため、正常な無線通信が行えないことがある。
【0004】
なお、このような質問信号に対するノイズの影響は、タグが車両に搭載された場合に限らず、ノイズが存在する条件下で同様に起こり得る。
本発明はこのような背景の下になされたものであって、タグリーダーなどの質問器からタグなどの応答器へと質問信号を送信して応答器の識別情報を得る認証システムにおいて、質問信号に対するノイズの影響を回避して、応答器における受信誤りの発生を低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る認証システムは、LF帯にて質問信号を送信する質問器と、前記質問信号を受信すると自器の識別情報を含む応答信号をLF帯よりも高い周波数にて送信する応答器とを含み、前記質問器が受信した識別情報に基づいて認証を行う認証システムであって、前記質問器は、LF帯にて質問信号を送信する送信手段を備え、前記応答器は、前記質問信号を正しく受信できなかった場合に、受信に失敗した旨を示す信号を、前記LF帯よりも高い周波数にて送信する送信手段を備え、前記質問器は、前記失敗した旨を示す信号を受信する受信手段を備え、前記質問器における送信手段は、前記受信手段が前記失敗した旨を示す信号を受信すると、前記質問信号を複数に分割した分割信号を、互いに時間的に間隔を空けてLF帯にて送信し、前記応答器は、前記分割信号を受信する受信手段と、当該受信手段により受信した前記分割信号を結合する結合手段とを備え、前記応答器の送信手段は、結合された分割信号に基づいて、前記応答信号を送信することを特徴としている。
【発明の効果】
【0006】
本発明に係る認証システムの構成によれば、質問器における送信手段は、上記複数の分割信号を互いに時間的に間隔を空けてLF帯にて送信するので、この間隔(分割信号を送信しない時間)の間にノイズが発生している条件下であれば、分割信号がノイズの影響を受けることを回避できる。したがって、応答器は、受信誤り無く分割信号を受信できる。
とりわけ、ノイズが発生するタイミングが予測しにくい環境下において有効である。
【0007】
また、前記質問器における送信手段は、前記分割した複数の分割信号のそれぞれを互いに時間的に間隔を空けて複数回ずつ繰り返して送信することで前記送信を行うとしても構わない。
この構成によれば、質問器における送信手段は、複数の分割信号のぞれぞれを互いに時間的に間隔を空けて複数回ずつ繰り返して送信するので、複数の分割信号のぞれぞれを例えば3回ずつ送信すると、3回のうちで最低1回だけでもノイズの影響を受けずに送信できれば足りるので、応答器における受信誤りを防止できる確率が高まる。
【0008】
また、前記応答器のおける送信手段は、前記結合された分割信号が正しくない場合に、受信に再度失敗した旨を示す信号を、前記LF帯よりも高い周波数にて送信し、前記質問器における受信手段が、前記受信に再度失敗した旨を示す信号を受信すると、前記質問器における送信手段は、前記質問信号を前記分割信号のデータ長よりさらに短いデータ長に分割した細分割信号を、互いに時間的に間隔を空けてLF帯にて送信するとしても構わない。
【0009】
この構成によれば、さらに短いデータ長で分割した細分割信号を送信するので、それぞれの細分割信号の送信時間を短くすることができ、各細分割信号がノイズの影響を受ける可能性を低減できる。
また、前記質問器における送信手段は、前記質問信号または分割信号の前記送信を繰り返し行い、前記質問器における受信手段により前記応答信号が受信されると、前記送信手段は前記分割信号の送信の繰り返しを終了して前記質問信号の送信の繰り返しを再開するとしても構わない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
(実施の形態1)
以下、本実施の形態について、車両の通行を認証する認証システムを例に挙げて説明する。
<構成>
図1は、認証システム1のシステム構成を示す図である。
【0011】
認証システム1は、ゲートコントローラ2、PC(Personal Computer)4、ゲート6、タグリーダー10、タグ30を備えており、ゲートコントローラ2、PC4、ゲート6、およびタグリーダー10の間はケーブルを介して接続されている。
認証システムの概要としては次の通りである。
タグリーダー10は、車両に搭載されたタグ30に対してID(識別情報)を問い合わせる質問信号を送信し、タグ30はその応答として自己のIDを含む応答信号を返す。タグリーダー10は、応答信号に含まれるIDをゲートコントローラ2に渡し、ゲートコントローラ2は渡されたIDをゲート通行を許可するIDのリストと照らし合わせて、一致すれば(認証成功)、ゲート6のバー6aを一定時間上げて車両の通行を可能にする。渡されたIDが上記IDのリストに無ければ(認証失敗)、タグリーダー10にその旨を回答する。このゲートコントローラ2の認証に関するログはPC4に保存される。
【0012】
タグリーダー10は、制御部12、表示部14、操作部16、ブザー18、LF送信部20、RF受信部22、分割部24を備えている。
制御部12は、制御プログラムを実行するCPU、制御プログラムを格納するROMを含んで構成される。
表示部14は、例えばLEDランプやディスプレイに各種の表示出力を行う。操作部16は押しボタンなどの入力インターフェイスから入力を受け付ける。
【0013】
LF送信部20は、コイル型のLFアンテナ21を用いてLF帯(例えば、134kHz)にて質問信号(質問信号を分割した場合には分割信号)を送信する。
質問信号は、所定のバイト数のデータ長を持つ信号であり、送信に要する時間は50ms程度である。また、質問信号は、数百msごとの周期で繰り返し送信される。なお、上で例示した具体的な時間はあくまでも一例であり、認証システムの目的や構成が変われば変更され得る(以下も同様)。
【0014】
RF受信部22は、タグ30からIDを含む応答信号、あるいは質問信号の受信に失敗した旨を示す受信失敗信号をRFアンテナ23を介して受信する。
分割部24は、RF受信部22が受信失敗信号を受信した場合などに、質問信号を複数に分割した分割信号を作成する。複数の分割信号それぞれには、分割ヘッダが付加されている。分割ヘッダには、分割信号を結合して元の質問信号に戻すための手がかりとなる情報が含まれており、例えば(A)分割信号の元になった質問信号のCRC(Cyclic Redundancy Check)値、および(B)分割信号が元の質問信号においてどの位置にあったかを示す情報、を含んでいる。
【0015】
タグ30は、制御部32、表示部34、操作部36、LF(Low Frequency)受信部40、RF(Radio Frequency)送信部42、電池部44、結合部46を備えている。
制御部32は、制御プログラムを実行するCPU、制御プログラムを格納するROMを含んで構成される。
表示部34は、例えばLEDランプやディスプレイに各種の表示出力を行う。操作部36は押しボタンなどの入力インターフェイスから入力を受け付ける。振動センサ38は、タグ30の振動を検出する。
【0016】
LF受信部40は、コイル型のLFアンテナ41を用いてLF帯にて質問信号あるいは分割信号を受信する。
RF送信部42は、自己のIDを含む応答信号、あるいは質問信号の受信に失敗した旨を示す受信失敗信号をRFアンテナ43を介してRF帯(例えば、UHF帯の420MHzである。)にて送信する。
【0017】
電池部44は、例えばコイン形リチウム電池から構成されており、各部に信号送受のための電力を供給する。
結合部46は、LF受信部40が受信した分割信号の分割ヘッダに基づいて、複数の分割信号を結合して元の質問信号に戻す。
<動作>
次に、本認証システムの具体的な動作について説明する。上述のように、タグ30は車両に搭載されているため、質問信号が、車両のエンジンに起因するノイズ(いわゆる「イグニッションノイズ」)の影響を受けて、タグ30において正常に受信できず受信誤りが発生することがある。
【0018】
このようなノイズが発生するタイミングは、車両のエンジンの種類(例えば、気筒数。)によって異なり、また同じ車両でもエンジンの回転数の変動により不規則に変化することがあるため、ノイズが発生するタイミングを予測することは難しい傾向にある。
このようにタグ30において質問信号の受信誤りが生じた場合を説明するフローチャートを図2に示す。
【0019】
まず、タグリーダー10は、LF送信部20から質問信号を送信する(S11)。この質問信号には、(A)PR(Preamble)、(B)UW(Unique Word)、(C)タグリーダー10を示す質問器のID、(D)CRC値が含まれる。
タグ30は、LF受信部40において質問信号を受信する(S12)。タグ30の制御部32は、受信した質問信号のCRCチェックを行いチェックに失敗すると(S13)、質問信号の受信に失敗した旨を示す受信失敗信号を送信する(S14)。
【0020】
タグリーダー10は、RF受信部22においてこの受信失敗信号を受信すると、分割部24において質問信号を3つに分割する(S15)。以下、質問信号を3つに分割した信号をそれぞれ分割信号「1/3」、分割信号「2/3」、分割信号「3/3」と呼ぶ。
分割信号「1/3」,分割信号「2/3」,分割信号「3/3」のそれぞれには、(A)PR、(B)UW、(C)分割ヘッダ(上述のように、分割信号を結合して元の質問信号に戻すための手がかりとなる情報である。)、(D)質問信号のPR,UWを除いた部分(質問器のIDまたは質問信号のCRC値)を3等分した3つのうちの1つが含まれている。各分割信号「1/3」〜「3/3」は、元の質問信号よりデータ長が短いので、送信に要する長さは20ms程度である。
【0021】
そして、LF送信部20から(1)分割信号「1/3」、(2)分割信号「2/3」、(3)分割信号「3/3」を順に送信する。各分割信号どうしの送信は間隔を空けて行う(図3参照)。なお、LF送信部20は、これら分割信号「1/3」から「3/3」までの送信を、質問信号と同様に、例えば数百msごとの周期で繰り返し送信する。
タグ30は、LF受信部40においてこれら3つの分割信号を受信すると、結合部46において3つの分割信号を結合する(S17)。そして分割信号を結合した信号のCRCチェックにより元の質問信号が正しく復元できたことを確認すると、応答信号を送信する。
【0022】
この応答信号には、(A)PR(Preamble)、(B)UW(Unique Word)、(C)タグリーダー10のID、(D)タグ30のID、(E)CRC値が含まれる。
タグリーダー10は、応答信号内のタグリーダー10のIDを参照して、自己宛であることを確認すると応答信号を受信する。そして、受信した応答信号に含まれるタグ30のIDを、ゲートコントローラ2と接続されたケーブルを介して送信する(S19)。
【0023】
ゲートコントローラ2は、受信したタグ30のIDをゲート通行を許可するIDのリストと比較し、リストに有れば、ゲート6にバー6aを上げる旨指示する。
図3は、図2のフローチャートに対応し、ノイズおよび各信号の送受を時系列で示す図である。
図3では、「ノイズ」、タグリーダー10のLF送信部20が送信する「質問信号・分割信号」、タグ30のLF受信部40における質問信号の受信信号強度を示す「タグRSSI」、タグ30のLF受信部40における質問信号(分割信号)の受信の成功/失敗を示す「タグLF受信成否」、タグ30のRF送信部42の送信状況を示す「タグRF受信」、タグリーダー10のRF受信部22の受信状況を示す「タグリーダーRF受信」を含んでいる。なお、図3の例では「ノイズ」は約30msおきに周期的に発生しているものとする。
【0024】
図3に示すように、タグ30が最初に受信した質問信号は、RSSIが一定値となっているものの、質問信号はノイズの影響を受けて破損しているため、タグ30は質問信号を正しく受信できない。
これに対して、タグ30が次に受信した分割信号「1/3」,「2/3」,「3/3」は互いに間隔が空いており、この分割信号を送信しない期間(長さは10ms程度である。以下、「ブランク期間」ということがある。)においてのみノイズが発生し、各分割信号の送信中にはノイズが発生していないので各分割信号はノイズの悪影響を受けずに受信することができる。
【0025】
以上説明したように、本実施の形態によれば、ノイズの悪影響を回避してタグ30に質問信号を正しく受信させることができる。
なお、本実施の形態では、質問信号の受信を1回失敗しただけで受信失敗信号を送信するとして説明したが(図2:S12〜S14)、たとえば2回、5回といった複数回失敗することを条件に受信失敗信号を送信するとしても構わない。
(実施の形態2)
実施の形態1では、タグリーダー10からの分割信号をタグ30は正常に受信して、正しく質問信号を復元できたが、分割信号の送信とノイズの発生とが時間的に重なるなどにより、分割信号もノイズの影響を受けてしまう場合がある。
【0026】
これに対して、実施の形態2では、タグ30が分割信号の受信に失敗した場合に、タグリーダー10において、質問信号をより短いデータ長に分割して送信することで、受信成功の確度の向上を志向するものである。実施の形態2を、実施の形態1と異なる部分を中心に以下説明する。
図4は、実施の形態2の動作を説明するフローチャートである。
【0027】
図4のフローチャート前半のステップS11からS16までは、図2のフローチャートと共通であるため説明を省略する。
タグ30は、LF受信部40において3つの分割信号を受信すると、結合部46において3つの分割信号を結合する(S17)。結合した分割信号のCRCチェックにより元の質問信号が正しく復元できていないことを確認すると(S21)、タグ30のRF送信部42は、分割信号の受信に失敗した旨を示す(質問信号の受信を再度失敗した旨を示す)受信再失敗信号を送信する(S22)。
【0028】
なお、ステップS22における受信再失敗信号の送信は、周期的に送信されてくる分割信号の受信を複数回(例えば3回)失敗したことを条件としてもよい。
タグリーダー10は、RF受信部22においてこの受信再失敗信号を受信すると、分割部24において質問信号を3つより細かい8つに分割する(S23)。以下、質問信号を8つに細かく分割した信号をそれぞれ細分割信号「1/8」、細分割信号「2/8」、...細分割信号「8/8」と呼ぶ。各細分割信号「1/8」〜「8/8」は、分割信号「1/3」〜「3/3」と同様に、(A)PR、(B)UW、(C)分割ヘッダ、(D)質問信号のPR,UWを除いた部分(質問器のIDまたは質問信号のCRC値)を8等分した8つのうちの1つが含まれている。
【0029】
そして、LF送信部20から(1)細分割信号「1/8」、(2)細分割信号「2/8」、...(8)細分割信号「8/8」の順に互いに時間的な間隔を空けて送信する(S24)。
タグ30は、LF受信部40においてこれら8つの分割信号を受信すると、結合部46において8つの細分割信号を結合する(S25)。そして細分割信号を結合した信号のCRCチェックにより元の質問信号へと正しく復元できたことを確認すると(S26)、応答信号を送信する(S27)。
【0030】
細分割信号「1/8」〜「8/8」のそれぞれは、分割信号「1/3」〜「3/3」よりデータ長が短く、送信に要する時間はおおよそ10ms程度である。
本実施の形態では、質問信号をより短いデータ長に分割した細分割信号とすることで、送信する細分割信号のデータ長をさらに短くすることができ、各細分割信号の送信中にノイズの影響を受ける可能性を低減できる。
【0031】
なお、なるべく分割信号の送信とノイズの発生とが時間的に重ならないようにするためには、(1)質問信号をより細かく分割して信号のデータ長を短くすることで、分割した各信号の送信時間を短くする、(2)分割した各信号どうしの送信間隔であるブランク期間を長くする、この(1)(2)の2つのアプローチが考えられる。
上記実施の形態2で説明したものは、上記(1)のアプローチであったが、(2)のアプローチを組み合わせることもできる。ただ、(2)の場合はブランク期間を長くすると、各分割信号を誤りなく送信できる確率は高まるものの、タグ側ですべての分割信号を受信するまでの時間(この時間は認証に要する時間に影響する。)の長期化を招くことから、認証完了までに許容される時間などのシステム上の仕様を勘案することが好ましい。
(実施の形態3)
実施の形態1では、分割信号「1/3」,「2/3」,「3/3」を1回ずつ送信するとして説明したが、本実施の形態では、分割信号「1/3」,「2/3」,「3/3」を複数回ずつ送信することで、タグ30において受信誤りなく受信できる確率を高めようとするものである。実施の形態3を、実施の形態1と異なる部分を中心に以下説明する。
【0032】
図5は、ノイズの発生と分割信号の送信と時系列で示す図である。
図5に示すように、実施の形態3では、タグリーダー10のLF送信部20は、分割信号「1/3」51a〜51c、次に分割信号「2/3」52a〜52c、続いて分割信号「3/3」53a〜53cというように、各分割信号を3回ずつ繰り返して送信する。各分割信号「1/3」〜「3/3」には、実施の形態1と同様に、(A)PR、(B)UW、(C)分割ヘッダ、(D)質問信号のPR,UWを除いた部分(質問器のIDまたは質問信号のCRC値)が含まれ、加えて(E)分割信号のCRC値も含まれている。
【0033】
タグ30の制御部32は、この(E)の分割信号のCRC値をチェックすることで、各分割信号「1/3」〜「3/3」を正しく受信できたかを判断できるようになっている。
図5に示すように、分割信号「1/3」51a〜51cのうち、分割信号「1/3」51b,51cはノイズの影響を受けて破損しているが、分割信号「1/3」51aについてはノイズの影響を受けずに送信できている。同様に、分割信号「2/3」52c,分割信号「2/3」53aもノイズの発生と時間的に重ならないので、ノイズの影響を回避できている。
【0034】
各分割信号を3回ずつ繰り返して送信することで、送信した分割信号の中でノイズの影響を受けないものを作り出すことができ、分割信号の受信誤りの可能性を低減することができる。
なお、例えば、分割信号「2/3」52a〜52cの全てがノイズと重なるなどして、タグ30側で受信誤りとなった場合には、(1)タグ30のRF送信部42から、分割信号「2/3」の受信に失敗した旨の信号を送信し、(2)この信号を受信したタグリーダー10から再び分割信号「2/3」を送信する、としても構わない。
【0035】
さらに、上の(2)において、分割信号「2/3」をノイズの影響を回避して送信できる確率を高めるために、分割信号「2/3」を分割信号「2/3−1」,「2/3−2」の2つへとさらに分割した後で、2つの分割信号を互いに間隔を空けて送信するようにしても構わない。
<補足>
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記の内容に限定されず、本発明の目的とそれに関連又は付随する目的を達成するための各種形態においても実施可能であり、例えば、以下であってもよい。
(1)実施の形態1においては説明しなかったが、タグ30からタグリーダー10に送る受信失敗信号(図2:S14)にタグ30のIDを含めておき、その後、タグリーダー10がタグ30から応答信号に含まれるタグ30のIDを受け取ると(S18)、分割信号を送信する必要がなくなったので、それまで周期的に送信していた分割信号の送信を停止し、元の質問信号の周期的な送信に戻すとしても構わない。
【0036】
なお、セキュリティを高めるために、タグ30においては、タグ30のID自体を上記受信失敗信号に含めることに代えて、暫定的なIDを含めておき、その後、応答信号にも同一の暫定的なIDを含めるようにしても構わない。
(2)実施の形態1などにおいては、認証結果に応じてバー6aを上下させ、車両の通行を制御する認証システムについて説明したが、このような認証システムに限らず、認証結果に応じて課金する認証システムや、認証結果のログを記録する認証システムにも本実施の形態を適用することができる。
(3)実施の形態1などにおいては、タグリーダー10からLF帯にて質問信号や分割信号を送信し、タグ30からはRF帯(UHF帯)にて応答信号や受信失敗信号を送信する例を挙げて説明したが、両者が通信に用いる周波数帯はこれらに限定されない。
【0037】
例えば、タグリーダーなどの質問器からタグなどの応答器へと第1周波数帯(LF帯、HF帯、UHF帯など)を用いて質問信号を送信し、応答器から質問器へと第1周波数帯とは異なる第2周波数帯(LF帯、HF帯、UHF帯など)を用いて応答信号を送信するシステム構成において、第1周波数帯にて質問信号がノイズの影響を受けるような環境であれば、本発明を適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】認証システム1のシステム構成を示す図である。
【図2】タグ30において質問信号の受信誤りが生じた場合を説明するフローチャートである。
【図3】ノイズおよび各信号の送受を時系列で示す図である。
【図4】実施の形態2に係る動作を説明するフローチャートである。
【図5】実施の形態3に係り、ノイズの発生と分割信号の送信と時系列で示す図である。
【符号の説明】
【0039】
1 認証システム
2 ゲートコントローラ
10 タグリーダー
12 制御部
20 LF送信部
22 RF受信部
24 分割部
30 タグ
32 制御部
40 LF受信部
42 RF送信部
46 結合部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
LF帯にて質問信号を送信する質問器と、前記質問信号を受信すると自器の識別情報を含む応答信号をLF帯よりも高い周波数にて送信する応答器とを含み、前記質問器が受信した識別情報に基づいて認証を行う認証システムであって、
前記質問器は、LF帯にて質問信号を送信する送信手段を備え、
前記応答器は、前記質問信号を正しく受信できなかった場合に、受信に失敗した旨を示す信号を、前記LF帯よりも高い周波数にて送信する送信手段を備え、
前記質問器は、
前記失敗した旨を示す信号を受信する受信手段を備え、
前記質問器における送信手段は、前記受信手段が前記失敗した旨を示す信号を受信すると、前記質問信号を複数に分割した分割信号を、互いに時間的に間隔を空けてLF帯にて送信し、
前記応答器は、
前記分割信号を受信する受信手段と、
当該受信手段により受信した前記分割信号を結合する結合手段とを備え、
前記応答器の送信手段は、結合された分割信号に基づいて、前記応答信号を送信する
ことを特徴とする認証システム。
【請求項2】
前記質問器における送信手段は、前記分割した複数の分割信号のそれぞれを互いに時間的に間隔を空けて複数回ずつ繰り返して送信することで前記送信を行う
ことを特徴とする請求項1に記載の認証システム。
【請求項3】
前記応答器のおける送信手段は、前記結合された分割信号が正しくない場合に、受信に再度失敗した旨を示す信号を、前記LF帯よりも高い周波数にて送信し、
前記質問器における受信手段が、前記受信に再度失敗した旨を示す信号を受信すると、前記質問器における送信手段は、前記質問信号を前記分割信号のデータ長よりさらに短いデータ長に分割した細分割信号を、互いに時間的に間隔を空けてLF帯にて送信することを特徴とする請求項1に記載の認証システム。
【請求項4】
前記質問器における送信手段は、前記質問信号または分割信号の前記送信を繰り返し行い、
前記質問器における受信手段により前記応答信号が受信されると、前記送信手段は前記分割信号の送信の繰り返しを終了して前記質問信号の送信の繰り返しを再開する
ことを特徴とする請求項1に記載の認証システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−102632(P2010−102632A)
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−275573(P2008−275573)
【出願日】平成20年10月27日(2008.10.27)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】