説明

認証方法、認証装置及びプログラム

【課題】認証方法、認証装置及びプログラムに係り、特に位相限定相関法を用いた生体認証アルゴリズムを採用した認証方法、認証装置及びプログラムの提供。
【解決手段】照合するべき第1の入力画像に二次元フーリエ変換処理を施して生成された照合画像データの実部と虚部より照合画像データの位相情報が含まれる位相範囲を判断し、位相情報の各位相範囲と対応する量子化数値とを格納するテーブルを参照して位相情報に対応する量子化数値を求め、登録するべき第2の入力画像に対して第1の入力画像と同様にして予め求められて記憶手段に登録されている量子化数値と、量子化数値との減算を行うことで第2の入力画像に二次元フーリエ変換処理を施して生成された登録画像データの位相情報と照合画像データ位相情報の位相差を求め、位相差に二次元逆フーリエ変換処理を施して第1及び第2の入力画像の相関を示す位相限定相関関数を求めて出力するように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、認証方法、認証装置及びプログラムに係り、特に位相限定相関法を用いた生体認証アルゴリズムを採用した認証方法、認証装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
認証システムには、指紋、虹彩、顔、掌紋等の生体情報を用いて個人の認証を行うものがある。生体情報を用いた認証方法には、位相限定相関(POC:Phase-Only Correlation)法を用いた生体認証アルゴリズムを採用するものがある。位相限定相関法は、パターンマッチング方法の1つであり、生体情報を示す画像の位相情報を使って画像間の相関を得るものである。位相限定相関法は、画像間の類似度を調べるだけでなく、画像間の位置ずれ、回転角度、拡大縮小率を得ることもできるので、様々な生体認証への応用が可能である。例えば、位相限定相関法を指紋認証に用いた場合、指紋画像の特徴点を抽出する一般的な手法と比較して、指紋のかすれや劣化に強い認証結果を得ることができる。
【0003】
位相限定相関法は、例えば特許文献1及び非特許文献1に記載されているので、本明細書ではその詳細な説明は省略する。
【0004】
図1は、位相限定相関法を用いた生体認証アルゴリズムを採用した場合の従来の認証処理を説明するフローチャートである。
【0005】
図1において、入力画像IM1は、指紋、虹彩、顔、掌紋等の生体情報を示す予め登録されている画像であり、メモリ(図示せず)等に格納されている。他方、入力画像IM2は、指紋、虹彩、顔、掌紋等の生体情報を示す画像であり、生体情報読み取り装置(図示せず)により読み取られる。ステップST1は、入力画像IM1に二次元フーリエ変換処理を施して登録画像データRI1を生成すると共に、入力画像IM2に二次元フーリエ変換処理を施して照合画像データRI2を生成する。ステップST2は、位相限定相関法を用いた生体認証アルゴリズムを採用することで、登録画像データRI1の位相情報と照合画像データRI2の位相情報を抽出し、抽出された位相情報の位相差を求め、求めた位相差に二次元逆フーリエ変換処理を施す。これにより、入力画像IM1,IM2の相関を示す位相限定相関(POC:Phase-Only Correlation)関数Fnが得られる。図1は、入力画像IM2が入力画像IM1に似ている場合のPOC関数Fnを示す。認証結果は、このPOC関数Fnに基づいて周知の方法で出力可能である。
【0006】
二次元フーリエ変換処理は、二次元DFT(Discrete Fourier Transform)又は二次元FFT(Fast Fourier Transform)処理である。
【0007】
尚、入力画像IM1に対してその都度ステップST1の二次元フーリエ変換処理を施すのでは効率が悪いので、登録画像データRI1を予めメモリに格納しておくことが望ましいことは言うまでもない。
【0008】
POC関数Fnのピーク位置は、入力画像IM1,IM2間の平行移動量を示すので、POC関数Fnから平行移動量を高精度に検出することができる。又、入力画像IM2が回転する毎にPOC関数Fnを計算することで、最も高いピークを示す角度を探すことができるので、入力画像IM2の回転角度を高精度に検出することができる。更に、POC関数Fnのピークの高さは入力画像IM2の入力画像IM1に対する類似度を示すので、入力画像IM1,IM2の類似度を容易に評価することができる。
【0009】
例えば、登録画像データRI1がn×8ビットのラスタデータであれば、1件の登録画像データRI1を格納するのに必要なメモリサイズはn×8ビットとなる。従って、登録画像データIR1が128×8ビットのラスタデータであれば、1件の登録画像データIR1を格納するのに必要なメモリサイズは128×8=131072ビットとなる。このように登録画像データRI1(即ち、認証用の生体データ)を格納するのに必要なメモリサイズが大きいと、特に組み込み機器向けの位相限定相関法を用いた生体認証アルゴリズムを採用した場合、メモリサイズが大きくなる分だけ機器の小型化及び低価格化が難しくなり、組み込み機器への応用には不向きである。
【0010】
又、位相限定相関法を用いた生体認証アルゴリズムを採用した場合、照合を行うために格納してある登録画像データIR1と照合画像データIR2(即ち、照合対象の生体データ)の位相差を抽出する必要がある。登録画像データIR1がn×8ビットのラスタデータであれば、位相差を抽出するのに必要とされる計算には加算が3n回、乗算が6n回、除算が2n回、平方根計算がn回含まれ、組み込み機器向けの生体認証アルゴリズムを考えた場合、計算量が多い分だけ機器の動作速度の高速化が難しくなり、組み込み機器への応用には不向きである。
【特許文献1】特開平10−63847号公報
【非特許文献1】Kenji Takita et al., "High-Accuracy Subpixel Image Registration Based on Phase-Only Correlation", IEICE Trans. Fundamentals, Vol.E86-A, No.8, pp.1925-1934, August 2003
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
従来、位相限定相関法を用いた生体認証アルゴリズムを採用した場合、認証用の生体データを格納するのに必要なメモリサイズが大きくなり、又、照合を行うために格納してある生体データと照合対象の生体データの位相差を抽出する計算の計算量が多くなるという問題があった。
【0012】
そこで、本発明は、位相限定相関法を用いた生体認証アルゴリズムを採用した場合、認証用の生体データを格納するのに必要なメモリサイズを減少させると共に、照合を行うために格納してある生体データと照合対象の生体データの位相差を抽出する計算の計算量を減少させることが可能な認証方法、認証装置及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の課題は、位相限定相関法を用いた生体認証アルゴリズムを採用した、コンピュータによる生体情報を示す画像の認証方法であって、照合するべき第1の入力画像に二次元フーリエ変換処理を施して生成された照合画像データの実部と虚部の大小比較及び実部と虚部夫々の正負を判定することで、該照合画像データの位相情報θgが含まれる位相範囲を判断し、0≦θ<2πなる範囲の位相情報θの各位相範囲と対応する量子化数値Qとを格納するテーブルを参照して位相情報θgに対応する量子化数値Qgを求め、登録するべき第2の入力画像に対して該第1の入力画像に対するのと同様にして予め求められて記憶手段に登録されている量子化数値Qfと、該量子化数値Qgとの減算を行うことで該第2の入力画像に二次元フーリエ変換処理を施して生成された登録画像データの位相情報θfと該照合画像データ位相情報θgの位相差を求め、該位相差に二次元逆フーリエ変換処理を施して該第1及び第2の入力画像の相関を示す位相限定相関関数を求めて出力することを特徴とする認証方法によって達成できる。
【0014】
上記の課題は、位相限定相関法を用いた生体認証アルゴリズムを採用した、生体情報を示す画像の認証装置であって、照合するべき第1の入力画像に二次元フーリエ変換処理を施して生成された照合画像データの実部と虚部の大小比較及び実部と虚部夫々の正負を判定することで、該照合画像データの位相情報θgが含まれる位相範囲を判断し、0≦θ<2πなる範囲の位相情報θの各位相範囲と対応する量子化数値Qとを格納するテーブルを参照して位相情報θgに対応する量子化数値Qgを求める手段と、登録するべき第2の入力画像に対して該第1の入力画像に対するのと同様にして予め求められて記憶手段に登録されている量子化数値Qfと、該量子化数値Qgとの減算を行うことで該第2の入力画像に二次元フーリエ変換処理を施して生成された登録画像データの位相情報θfと該照合画像データ位相情報θgの位相差を求める手段と、該位相差に二次元逆フーリエ変換処理を施して該第1及び第2の入力画像の相関を示す位相限定相関関数を求めて出力する手段とを備えたことを特徴とする認証装置によって達成できる。
【0015】
上記の課題は、位相限定相関法を用いた生体認証アルゴリズムを採用した、生体情報を示す画像の認証をコンピュータに行わせるプログラムであって、該コンピュータに、照合するべき第1の入力画像に二次元フーリエ変換処理を施して生成された照合画像データの実部と虚部の大小比較及び実部と虚部夫々の正負を判定させることで、該照合画像データの位相情報θgが含まれる位相範囲を判断させ、0≦θ<2πなる範囲の位相情報θの各位相範囲と対応する量子化数値Qとを格納するテーブルを参照させて位相情報θgに対応する量子化数値Qgを求めさせる手順と、該コンピュータに、登録するべき第2の入力画像に対して該第1の入力画像に対するのと同様にして予め求められて記憶手段に登録されている量子化数値Qfと、該量子化数値Qgとの減算を行わせることで該第2の入力画像に二次元フーリエ変換処理を施して生成された登録画像データの位相情報θfと該照合画像データ位相情報θgの位相差を求めさせる手順と、該コンピュータに、該位相差に二次元逆フーリエ変換処理を施して該第1及び第2の入力画像の相関を示す位相限定相関関数を求めさせて出力させる手順を含むことを特徴とするプログラムによって達成できる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、位相限定相関法を用いた生体認証アルゴリズムを採用した場合、認証用の生体データを格納するのに必要なメモリサイズを減少させると共に、照合を行うために格納してある生体データと照合対象の生体データの位相差を抽出する計算の計算量を減少させることが可能な認証方法、認証装置及びプログラムを実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明は、位相限定相関法(POC:Phase-Only Correlation)を用いた生体認証アルゴリズムを採用し、生体情報を示す画像の認証を行う。照合するべき第1の入力画像に二次元フーリエ変換処理を施して生成された照合画像データの実部と虚部の大小比較及び実部と虚部夫々の正負を判定することで、照合画像データの位相情報θgが含まれる位相範囲を判断し、0≦θ<2πなる範囲の位相情報θの各位相範囲と対応する量子化数値Qとを格納するテーブルを参照して位相情報θgに対応する量子化数値Qgを求める。又、登録するべき第2の入力画像に対して第1の入力画像に対するのと同様にして予め求められて記憶手段に登録されている量子化数値Qfと、量子化数値Qgとの減算を行うことで第2の入力画像に二次元フーリエ変換処理を施して生成された登録画像データの位相情報θfと該照合画像データ位相情報θgの位相差を求める。更に、位相差に二次元逆フーリエ変換処理を施して第1及び第2の入力画像の相関を示す位相限定相関関数を求めて出力する。
【0018】
これにより、認証用の生体データを格納するのに必要なメモリサイズを減少させると共に、照合を行うために格納してある生体データと照合対象の生体データの位相差を抽出する計算の計算量を減少させることが可能となる。
【0019】
以下に、本発明の認証方法、認証装置及びプログラムの各実施例を、図2以降と共に説明する。
【実施例】
【0020】
本発明の一実施例における認証方法、認証装置及びプログラムは、図1に示す位相限定相関法を用いた生体認証アルゴリズムを採用した場合の認証処理において、ステップST2が実行する処理が従来例と異なる。つまり、本実施例では、ステップST2の代わりに、以下に説明するステップST21が実行される。尚、認証方法は、コンピュータによるもので、例えば後述する図11に示す如き構成の認証装置によっても実行可能である。
【0021】
ステップST21は、ステップST1において入力画像IM1に二次元フーリエ変換処理を施して生成された登録画像データRI1の実部と虚部の大小比較及び実部と虚部夫々の正負を判定することで、登録画像データRI1の位相情報θfが含まれる位相範囲を判断する。又、位相情報θの各位相範囲と対応する量子化数値Qとを格納するテーブルTbを参照して、位相情報θfに対応する量子化数値Qfを求める。
【0022】
又、ステップST21は、ステップST1において入力画像IM2に二次元フーリエ変換処理を施して生成された照合画像データRI2の実部と虚部の大小比較及び実部と虚部夫々の正負を判定することで、照合画像データRI2の位相情報θgが含まれる位相範囲を判断する。又、位相情報θの各位相範囲と対応する量子化数値Qとを格納するテーブルTbを参照して、位相情報θgに対応する量子化数値Qgを求める。
【0023】
そして、ステップST21は、量子化数値Qfと量子化数値Qgとの減算を行うことで、画像データRI1,RI2の位相情報θf,θgの位相差を求め、求めた位相差に二次元逆フーリエ変換処理を施す。これにより、入力画像IM1,IM2の相関(即ち、類似度)を示す位相限定相関(POC:Phase-Only Correlation)関数Fnが得られる。
【0024】
二次元フーリエ変換処理は、二次元DFT(Discrete Fourier Transform)又は二次元FFT(Fast Fourier Transform)処理である。
【0025】
位相情報θは、図2に示すように、画像データから抽出した0≦θ<2πに収まる範囲のランダムな情報である。図2は、二次元フーリエ変換(例えば、二次元FFT)処理の結果得られる虚部及び実部を示す図である。図2中、縦軸は二次元フーリエ変換処理の結果得られる虚部を示し、横軸は二次元フーリエ変換処理の結果得られる実部を示す。図2は、位相情報θを量子化する方法を、例えば3ビットの量子化数値Q[2:0] を求める場合を例に示す。ここでは、位相情報θを、θ=0,π/4,π/2,3π/4,π,5π/4,3π/2,7π/4の8点を近似値ポイントとし、3ビットの量子化数値Qを割り当てている。量子化数値Qは、0≦Q≦7を満足する整数である。図3は、位相情報θの各位相範囲と対応する量子化数値Qとを格納するテーブルTbを示す図である。このようにして、位相情報θから、画像データの要素毎に量子化数値Qを求めることができる。
【0026】
尚、図2及び図3では、位相情報θを8つの範囲に分けているが、8つ以上の範囲に分けても良いことは言うまでもない。同様に、量子化数値Qのビット数は3ビットに限定されるものではなく、画像データのデータサイズ(即ち、ビット数)より小さければ、3ビット以上であっても良い。
【0027】
図4〜図8は、画像データの実部と虚部の大小比較及び実部と虚部夫々の正負を判定する処理を説明するフローチャートである。
【0028】
図4は、実部の正負を判定する処理を説明するフローチャートである。図4において、実部の正負を判定する処理が開始されると、ステップS1は、画像に二次元フーリエ変換処理を施して生成された画像データの実部と虚部を入力する。ステップS2は、入力された画像データの実部の正負を判定し、実部が正であると処理は後述する図5の処理へ進み、実部が0であると処理は後述する図6の処理へ進み、実部が負であると処理は後述する図7の処理へ進む。
【0029】
図5は、実部が正の場合に虚部の正負を判定する処理を説明するフローチャートである。図5において、ステップS11は、虚部の正負を判定し、虚部が正であると処理はステップS12へ進み、虚部が0であると処理はステップS13へ進み、虚部が負であると処理はステップS15へ進む。ステップS12は、実部が虚部より大きいか否かを判定し、判定結果がYESであるとステップS13が位相情報θの量子化数値Qを0に設定し、判定結果がNOであるとステップS14が位相情報θの量子化数値Qを1に設定する。ステップS15は、実部が虚部以上であるか否かを判定し、判定結果がYESであるとステップS16が位相情報θの量子化数値Qを7に設定し、判定結果がNOであるとステップS17が位相情報θの量子化数値Qを6に設定する。ステップS13,S14,S16,S17のいずれかの後、処理は後述する図8の処理へ進む。
【0030】
図6は、実部が0の場合に虚部の正負を判定する処理を説明するフローチャートである。図6において、ステップS21は虚部の正負を判定し、虚部が正であるとステップS22が位相情報θの量子化数値Qを2に設定し、虚部が0であるとステップS23が位相情報θの量子化数値Qを0に設定し、虚部が負であるとステップS24が位相情報θの量子化数値Qを6に設定する。ステップS22,S23,S24のいずれかの後、処理は後述する図8の処理へ進む。
【0031】
図7は、実部が負の場合に虚部の正負を判定する処理を説明するフローチャートである。図7において、ステップS31は、虚部の正負を判定し、虚部が正であると処理はステップS32へ進み、虚部が0であると処理はステップS36へ進み、虚部が負であると処理はステップS35へ進む。ステップS32は、実部が虚部以上であるか否かを判定し、判定結果がYESであるとステップS33が位相情報θの量子化数値Qを3に設定し、判定結果がNOであるとステップS34が位相情報θの量子化数値Qを2に設定する。ステップS35は、実部が虚部より大きいか否かを判定し、判定結果がYESであるとステップS36が位相情報θの量子化数値Qを4に設定し、判定結果がNOであるとステップS37が位相情報θの量子化数値Qを5に設定する。ステップS33,S34,S36,S37のいずれかの後、処理は後述する図8の処理へ進む。
【0032】
図8は、位相情報を出力する処理を説明する図である。図8において、ステップS41は、図5〜図7の処理で設定された値を有する位相情報θの量子化数値Qを出力し、処理は終了する。
【0033】
次に、図1に示す従来例で用いる生体データのデータサイズと本実施例で用いるデータサイズを説明する。例えば、登録画像データRI1がn×8ビットのラスタデータであれば、従来例では1件の認証用の生体データを格納するのに必要なメモリサイズはn×8ビットとなる。
【0034】
これに対し、登録画像データRI1がn×8ビットのラスタデータであれば、本実施例では、3ビットの量子化数値Qfを用いた場合、1件の認証用の生体データ(量子化数値Qf)を格納するのに必要なメモリサイズをn×3ビットに減少させることができる。これにより、本実施例によれば、認証用の生体データのデータサイズを従来例の3/8に減少させることができる。
【0035】
又、従来例では、画像データRI1,RI2の位相差を抽出する計算には加算が3n回、乗算が6n回、除算が2n回、平方根計算がn回必要であるが、本実施例では、正負の判定を4n回、大小の比較を2n回、減算をn回行う計算で画像データRI1,RI2の位相差を求めることができる。このように、本実施例の場合、一般的に負荷が高いとされる乗算、除算、平方根の計算を省くことができるため、従来例と比較して計算量が大幅に削減される。
【0036】
このような認証用の生体データのデータサイズの減少と必要とされる計算量の削減により、認証装置の低消費電力化及び低コスト化が可能となる。
【0037】
図9は、認証用の生体データの登録処理を説明するフローチャートである。図9において、ステップS51は、入力画像IM1をメモリ等から読み込む。ステップS52は、入力画像IM1の中心位置を周知の方法で検出する。ステップS53は、入力画像IM1に二次元フーリエ変換処理を施して登録画像データRI1を生成すると共に、位相限定相関法を用いた生体認証アルゴリズムを採用することで、登録画像データRI1の位相情報θfを抽出する。ステップS54は、抽出した位相情報θfの実部と虚部の大小比較及び実部と虚部夫々の正負を判定することで、登録画像データRI1の位相情報θfが含まれる位相範囲を判断すると共に、位相情報θの各位相範囲と対応する量子化数値Qとを格納するテーブルTbを参照して、位相情報θfに対応する量子化数値Qfを求める。具体的には、図4〜図8に示す如きアルゴリズムに基づいて、位相情報θfに対応する量子化数値Qfを求めてメモリ等に量子化数値Qfを認証用の生体データとして登録し、処理は終了する。
【0038】
図10は、認証用の生体データと照合対象の生体データの照合処理を説明するフローチャートである。図10中、ステップS63〜S68は回転補正角検出処理を行い、ステップS71〜S73は照合スコア出力処理を行う。
【0039】
図10において、ステップS61は、認証用の生体データとして登録された量子化数値Qfと、入力画像IM2をメモリ等から読み込む。
【0040】
ステップS63は、入力画像IM2を周知の方法で所定回転角度回転し、ステップS64は、周知の方法で回転された入力画像IM2の中心を検出する。ステップS65は、回転された入力画像IM2に二次元フーリエ変換処理を施して画像データRI2を生成すると共に、位相限定相関法を用いた生体認証アルゴリズムを採用することで、画像データRI2の位相情報θgを抽出する。ステップS66は、上記ステップS54と同様にして、抽出した位相情報θgの実部と虚部の大小比較及び実部と虚部夫々の正負を判定することで、登録画像データRI2の位相情報θgが含まれる位相範囲を判断すると共に、位相情報θの各位相範囲と対応する量子化数値Qとを格納するテーブルTbを参照して、位相情報θgに対応する量子化数値Qgを求める。又、ステップS66は、求めた量子化数値Qgと登録された量子化数値Qfとの減算を行うことで、画像データRI1,RI2の位相情報θf,θgの位相差を求め、求めた位相差に二次元逆フーリエ変換処理を施す。これにより、入力画像IM1,IM2の相関を示すPOC関数Fnが得られる。ステップS67は、POC関数Fnに基づいて、入力画像IM2の位置補正幅を周知の方法で計算する。この位置補正幅は、POC関数Fnが示す入力画像IM1,IM2の相関が最大となるように、入力画像IM2をステップS64で検出された入力画像IM2の中心に対してxy座標系でxy方向に移動するべき距離を示す。ステップS68は、ステップS63〜S67を指定された回転角度まで繰り返すことで、POC関数Fnが示す入力画像IM1,IM2の相関が最大となる回転角度(即ち、補正角度)を求める。
【0041】
ステップS71は、ステップS67で求めた位置補正幅とステップS68で求めた補正角度だけ入力画像IM2を周知の方法で移動及び回転する。ステップS72は、ステップS71で移動及び回転された入力画像IM2に二次元フーリエ変換処理を施して画像データRI2を生成すると共に、位相限定相関法を用いた生体認証アルゴリズムを採用することで、画像データRI2の位相情報θgを抽出する。ステップS73は、上記ステップS54と同様にして、抽出した位相情報θgの実部と虚部の大小比較及び実部と虚部夫々の正負を判定することで、登録画像データRI2の位相情報θgが含まれる位相範囲を判断すると共に、位相情報θの各位相範囲と対応する量子化数値Qとを格納するテーブルTbを参照して、位相情報θgに対応する量子化数値Qgを求める。又、ステップS73は、求めた量子化数値Qgと登録された量子化数値Qfとの減算を行うことで、画像データRI1,RI2の位相情報θf,θgの位相差を求め、求めた位相差に二次元逆フーリエ変換処理を施す。これにより、入力画像IM1,IM2の相関を示すPOC関数Fnが得られて類似度として出力され、処理は終了する。
【0042】
図11は、本発明の一実施例における認証装置の構成を示すブロック図である。認証装置10は、図11に示す如く接続された制御部11、画像中心位置検出部12、画像回転部13、量子化及びPOC計算部14、二次元FFT/IFFT処理部15、画像位相計算部16、類似度計算部17、レジスタ(又は、バッファ)18、インタフェース(I/F)19,20、及び内部バス21を有する。制御部11は、認証装置10の全体の制御を司るCPU,MPU,MCU等のプロセッサと、このプロセッサが実行するプログラムを格納した内部メモリとを有する。このプログラムが実行するプログラムには、本発明の一実施例におけるプログラムも含まれる。又、プログラムは、各種コンピュータ読み取り可能な記憶媒体に格納されているものであっても良い。インタフェース19はSRAM等のメモリ31に接続され、インタフェース20はSDRAM等のメモリ32に接続されている。認証装置10は、例えばFPGA(Field Programmable Gate Array)により実現可能である。本実施例では、認証装置10は単一の半導体装置(半導体チップ)により構成されている。
【0043】
尚、本実施例では、メモリ31,32は認証装置10の外部に設けられているが、メモリ31,32のうち少なくとも一方は、認証装置10内に設けられて認証装置10の一部を構成するものであっても良い。本実施例では、メモリ32は入力画像IM1,IM2の画像データを格納する。
【0044】
図9に示す登録処理を行う際には、制御部11の制御下でステップS51〜S54が実行される。ステップS51では、入力画像IM1をメモリ32からインタフェース20を介してレジスタ18に読み込む。ステップS52では、画像中心位置検出部12が入力画像IM1の中心位置を周知の方法で検出する。ステップS53では、二次元FFT/IFFT処理部15が入力画像IM1に二次元フーリエ変換処理を施して登録画像データRI1を生成すると共に、画像位相計算部16が位相限定相関法を用いた生体認証アルゴリズムを採用することで、登録画像データRI1の位相情報θfを抽出する。ステップS54では、量子化及びPOC計算部14が抽出した位相情報θfの実部と虚部の大小比較及び実部と虚部夫々の正負を判定することで、登録画像データRI1の位相情報θfが含まれる位相範囲を判断すると共に、位相情報θの各位相範囲と対応する量子化数値Qとを格納するテーブルTbを参照して、位相情報θfに対応する量子化数値Qfを求める。具体的には、図4〜図8に示す如きアルゴリズムに基づいて、量子化及びPOC計算部14が位相情報θfに対応する量子化数値Qfを求めてインタフェース20を介してメモリ32に量子化数値Qfを認証用の生体データとして登録し、処理は終了する。テーブルTbは、制御部11の内部メモリ、又は、認証装置10内のメモリ(図示せず)、又は、メモリ32に格納されている。
【0045】
図10に示す照合処理を行う際には、制御部11の制御下でステップS61,S63〜S68,S71〜S73が実行される。ステップS61では、認証用の生体データとして登録された量子化数値Qfと、入力画像IM2をインタフェース20を介してメモリ32からレジスタ18へ読み込む。
【0046】
ステップS63では、画像回転部13が入力画像IM2を周知の方法で所定回転角度回転し、ステップS64では、画像中心位置検出部12が周知の方法で回転された入力画像IM2の中心を検出する。ステップS65では、二次元FFT/IFFT処理部15が回転された入力画像IM2に二次元フーリエ変換処理を施して画像データRI2を生成すると共に、画像位相計算部16が位相限定相関法を用いた生体認証アルゴリズムを採用することで、画像データRI2の位相情報θgを抽出する。ステップS66では、上記ステップS54と同様にして、量子化及びPOC計算部14が抽出した位相情報θgの実部と虚部の大小比較及び実部と虚部夫々の正負を判定することで、登録画像データRI2の位相情報θgが含まれる位相範囲を判断すると共に、位相情報θの各位相範囲と対応する量子化数値Qとを格納するテーブルTbを参照して、位相情報θgに対応する量子化数値Qgを求める。又、ステップS66では、類似度計算部17が量子化及びPOC計算部14により求められた量子化数値Qgとメモリ32に登録されている量子化数値Qfとの減算を行うことで、画像データRI1,RI2の位相情報θf,θgの位相差を求め、二次元FFT/IFFT処理部15が求められた位相差に二次元逆フーリエ変換処理を施す。これにより、入力画像IM1,IM2の相関を示すPOC関数Fnが得られる。ステップS67では、POC関数Fnに基づいて、制御部11又は専用の位置補正幅計算部(図示せず)が入力画像IM2の位置補正幅を周知の方法で計算する。ステップS68では、制御部11の制御下でステップS63〜S67を指定された回転角度まで繰り返すことで、POC関数Fnが示す入力画像IM1,IM2の相関が最大となる回転角度(即ち、補正角度)が制御部11により求められる。
【0047】
ステップS71では、画像回転部13が、ステップS67で求めた位置補正幅とステップS68で求めた補正角度だけ入力画像IM2を周知の方法で移動及び回転する。ステップS72では、二次元FFT/IFFT処理部15がステップS71で移動及び回転された入力画像IM2に二次元フーリエ変換処理を施して画像データRI2を生成すると共に、画像位相計算部16が位相限定相関法を用いた生体認証アルゴリズムを採用することで、画像データRI2の位相情報θgを抽出する。ステップS73では、上記ステップS54と同様にして、量子化及びPOC計算部14が抽出した位相情報θgの実部と虚部の大小比較及び実部と虚部夫々の正負を判定することで、登録画像データRI2の位相情報θgが含まれる位相範囲を判断すると共に、位相情報θの各位相範囲と対応する量子化数値Qとを格納するテーブルTbを参照して、位相情報θgに対応する量子化数値Qgを求める。又、ステップS73では、類似度計算部17が量子化及びPOC計算部14により求められた量子化数値Qgとメモリ32に登録されている量子化数値Qfとの減算を行うことで、画像データRI1,RI2の位相情報θf,θgの位相差を求め、二次元FFT/IFFT処理部15が求められた位相差に二次元逆フーリエ変換処理を施す。これにより、入力画像IM1,IM2の相関を示すPOC関数Fnが得られて類似度としてインタフェース19を介して出力され、メモリ31に格納されて処理は終了する。
【0048】
認証結果は、このPOC関数Fn(類似度)に基づいて周知の方法で出力可能である。つまり、認証結果は、外部装置等からメモリ31に格納されたPOC関数Fnを読み出すことで取得しても、POC関数Fnを認証装置10からメモリ31に格納することなく直接外部へ出力することで取得しても良い。
【0049】
制御部11、画像中心位置検出部12、画像回転部13、量子化及びPOC計算部14、二次元FFT/IFFT処理部15、画像位相計算部16及び類似度計算部17が実行する処理の中間データ等は、制御部11の内部メモリや認証装置10内のメモリ(図示せず)に一時的に格納しても、インタフェース20を介してメモリ32に一時的に格納しても良い。
【0050】
制御部11を構成するプロセッサは、画像中心位置検出部12、画像回転部13、量子化及びPOC計算部14、二次元FFT/IFFT処理部15、画像位相計算部16及び類似度計算部17の処理を実行するものであっても良い。この場合、画像中心位置検出部12、画像回転部13、量子化及びPOC計算部14、二次元FFT/IFFT処理部15、画像位相計算部16及び類似度計算部17からなるハードウェアを省略可能である。本実施例では、従来例と比較して計算量が大幅に削減されるので、プロセッサにより計算をソフトウェアで実行するようにしても、認証装置10の動作速度を著しく低下させることはなく、又、認証装置10の更なる小型化及び低コスト化を実現することができる。
【0051】
又、2つのインタフェース19,20及び2つのメモリ31,32を用いる代わりに、単一のインタフェース及び単一のメモリを用いるようにしても良いことは言うまでもない。更に、メモリ31,32は、半導体メモリに限定されず、ディスクドライブ等の各種記憶装置や記憶手段により実現可能である。
【0052】
尚、本発明は、以下に付記する発明をも包含するものである。
(付記1)
位相限定相関法を用いた生体認証アルゴリズムを採用した、コンピュータによる生体情報を示す画像の認証方法であって、
照合するべき第1の入力画像に二次元フーリエ変換処理を施して生成された照合画像データの実部と虚部の大小比較及び実部と虚部夫々の正負を判定することで、該照合画像データの位相情報θgが含まれる位相範囲を判断し、0≦θ<2πなる範囲の位相情報θの各位相範囲と対応する量子化数値Qとを格納するテーブルを参照して位相情報θgに対応する量子化数値Qgを求め、
登録するべき第2の入力画像に対して該第1の入力画像に対するのと同様にして予め求められて記憶手段に登録されている量子化数値Qfと、該量子化数値Qgとの減算を行うことで該第2の入力画像に二次元フーリエ変換処理を施して生成された登録画像データの位相情報θfと該照合画像データ位相情報θgの位相差を求め、
該位相差に二次元逆フーリエ変換処理を施して該第1及び第2の入力画像の相関を示す位相限定相関関数を求めて出力することを特徴とする、認証方法。
(付記2)
該テーブルは、該位相情報θがθ=0,π/4,π/2,3π/4,π,5π/4,3π/2,7π/4の8点を近似値ポイントとした8つの範囲に分けられ、該8つの範囲の夫々に0≦Q≦7を満足する整数で表される量子化数値Qを格納することを特徴とする、付記1記載の認証方法。
(付記3)
該二次元フーリエ変換処理は、二次元DFT(Discrete Fourier Transform)又は二次元FFT(Fast Fourier Transform)処理であることを特徴とする、付記1又は2記載の認証方法。
(付記4)
位相限定相関法を用いた生体認証アルゴリズムを採用した、生体情報を示す画像の認証装置であって、
照合するべき第1の入力画像に二次元フーリエ変換処理を施して生成された照合画像データの実部と虚部の大小比較及び実部と虚部夫々の正負を判定することで、該照合画像データの位相情報θgが含まれる位相範囲を判断し、0≦θ<2πなる範囲の位相情報θの各位相範囲と対応する量子化数値Qとを格納するテーブルを参照して位相情報θgに対応する量子化数値Qgを求める手段と、
登録するべき第2の入力画像に対して該第1の入力画像に対するのと同様にして予め求められて記憶手段に登録されている量子化数値Qfと、該量子化数値Qgとの減算を行うことで該第2の入力画像に二次元フーリエ変換処理を施して生成された登録画像データの位相情報θfと該照合画像データ位相情報θgの位相差を求める手段と、
該位相差に二次元逆フーリエ変換処理を施して該第1及び第2の入力画像の相関を示す位相限定相関関数を求めて出力する手段とを備えたことを特徴とする、認証装置。
(付記5)
該テーブルは、該位相情報θがθ=0,π/4,π/2,3π/4,π,5π/4,3π/2,7π/4の8点を近似値ポイントとした8つの範囲に分けられ、該8つの範囲の夫々に0≦Q≦7を満足する整数で表される量子化数値Qを格納することを特徴とする、付記4記載の認証装置。
(付記6)
該二次元フーリエ変換処理は、二次元DFT(Discrete Fourier Transform)又は二次元FFT(Fast Fourier Transform)処理であることを特徴とする、付記4又は5記載の認証装置。
(付記7)
該テーブルは、該記憶手段に格納されていることを特徴とする、付記4〜6のいずれか1項記載の認証装置。
(付記8)
該記憶手段を備えたことを特徴とする、付記4〜7のいずれか1項記載の認証装置。
(付記9)
位相限定相関法を用いた生体認証アルゴリズムを採用した、生体情報を示す画像の認証をコンピュータに行わせるプログラムであって、
該コンピュータに、照合するべき第1の入力画像に二次元フーリエ変換処理を施して生成された照合画像データの実部と虚部の大小比較及び実部と虚部夫々の正負を判定させることで、該照合画像データの位相情報θgが含まれる位相範囲を判断させ、0≦θ<2πなる範囲の位相情報θの各位相範囲と対応する量子化数値Qとを格納するテーブルを参照させて位相情報θgに対応する量子化数値Qgを求めさせる手順と、
該コンピュータに、登録するべき第2の入力画像に対して該第1の入力画像に対するのと同様にして予め求められて記憶手段に登録されている量子化数値Qfと、該量子化数値Qgとの減算を行わせることで該第2の入力画像に二次元フーリエ変換処理を施して生成された登録画像データの位相情報θfと該照合画像データ位相情報θgの位相差を求めさせる手順と、
該コンピュータに、該位相差に二次元逆フーリエ変換処理を施して該第1及び第2の入力画像の相関を示す位相限定相関関数を求めさせて出力させる手順を含むことを特徴とする、プログラム。
(付記10)
該テーブルは、該位相情報θがθ=0,π/4,π/2,3π/4,π,5π/4,3π/2,7π/4の8点を近似値ポイントとした8つの範囲に分けられ、該8つの範囲の夫々に0≦Q≦7を満足する整数で表される量子化数値Qを格納することを特徴とする、付記9記載のプログラム。
(付記11)
該二次元フーリエ変換処理は、二次元DFT(Discrete Fourier Transform)又は二次元FFT(Fast Fourier Transform)処理であることを特徴とする、付記9又は10記載のプログラム。
【0053】
以上、本発明を実施例により説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々の変形及び改良が可能であることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】位相限定相関法を用いた生体認証アルゴリズムを採用した場合の従来の認証処理を説明するフローチャートである。
【図2】二次元フーリエ変換処理の結果得られる虚部及び実部を示す図である。
【図3】位相情報の各位相範囲と対応する量子化数値とを格納するテーブルを示す図である。
【図4】実部の正負を判定する処理を説明するフローチャートである。
【図5】実部が正の場合に虚部の正負を判定する処理を説明するフローチャートである。
【図6】実部が0の場合に虚部の正負を判定する処理を説明するフローチャートである。
【図7】実部が負の場合に虚部の正負を判定する処理を説明するフローチャートである。
【図8】位相情報を出力する処理を説明する図である。
【図9】登録処理を説明するフローチャートである。
【図10】照合処理を説明するフローチャートである。
【図11】本発明の一実施例における認証装置の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0055】
10 認証装置
11 制御部
12 画像中心位置検出部
13 画像回転部
14 量子化及びPOC計算部
15 二次元FFT/IFFT処理部
16 画像位相計算部
17 類似度計算部
18 レジスタ
19,20 インタフェース(I/F)
21 内部バス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
位相限定相関法を用いた生体認証アルゴリズムを採用した、コンピュータによる生体情報を示す画像の認証方法であって、
照合するべき第1の入力画像に二次元フーリエ変換処理を施して生成された照合画像データの実部と虚部の大小比較及び実部と虚部夫々の正負を判定することで、該照合画像データの位相情報θgが含まれる位相範囲を判断し、0≦θ<2πなる範囲の位相情報θの各位相範囲と対応する量子化数値Qとを格納するテーブルを参照して位相情報θgに対応する量子化数値Qgを求め、
登録するべき第2の入力画像に対して該第1の入力画像に対するのと同様にして予め求められて記憶手段に登録されている量子化数値Qfと、該量子化数値Qgとの減算を行うことで該第2の入力画像に二次元フーリエ変換処理を施して生成された登録画像データの位相情報θfと該照合画像データ位相情報θgの位相差を求め、
該位相差に二次元逆フーリエ変換処理を施して該第1及び第2の入力画像の相関を示す位相限定相関関数を求めて出力することを特徴とする、認証方法。
【請求項2】
位相限定相関法を用いた生体認証アルゴリズムを採用した、生体情報を示す画像の認証装置であって、
照合するべき第1の入力画像に二次元フーリエ変換処理を施して生成された照合画像データの実部と虚部の大小比較及び実部と虚部夫々の正負を判定することで、該照合画像データの位相情報θgが含まれる位相範囲を判断し、0≦θ<2πなる範囲の位相情報θの各位相範囲と対応する量子化数値Qとを格納するテーブルを参照して位相情報θgに対応する量子化数値Qgを求める手段と、
登録するべき第2の入力画像に対して該第1の入力画像に対するのと同様にして予め求められて記憶手段に登録されている量子化数値Qfと、該量子化数値Qgとの減算を行うことで該第2の入力画像に二次元フーリエ変換処理を施して生成された登録画像データの位相情報θfと該照合画像データ位相情報θgの位相差を求める手段と、
該位相差に二次元逆フーリエ変換処理を施して該第1及び第2の入力画像の相関を示す位相限定相関関数を求めて出力する手段とを備えたことを特徴とする、認証装置。
【請求項3】
該テーブルは、該位相情報θがθ=0,π/4,π/2,3π/4,π,5π/4,3π/2,7π/4の8点を近似値ポイントとした8つの範囲に分けられ、該8つの範囲の夫々に0≦Q≦7を満足する整数で表される量子化数値Qを格納することを特徴とする、請求項2記載の認証装置。
【請求項4】
該記憶手段を備えたことを特徴とする、請求項2又は3記載の認証装置。
【請求項5】
位相限定相関法を用いた生体認証アルゴリズムを採用した、生体情報を示す画像の認証をコンピュータに行わせるプログラムであって、
該コンピュータに、照合するべき第1の入力画像に二次元フーリエ変換処理を施して生成された照合画像データの実部と虚部の大小比較及び実部と虚部夫々の正負を判定させることで、該照合画像データの位相情報θgが含まれる位相範囲を判断させ、0≦θ<2πなる範囲の位相情報θの各位相範囲と対応する量子化数値Qとを格納するテーブルを参照させて位相情報θgに対応する量子化数値Qgを求めさせる手順と、
該コンピュータに、登録するべき第2の入力画像に対して該第1の入力画像に対するのと同様にして予め求められて記憶手段に登録されている量子化数値Qfと、該量子化数値Qgとの減算を行わせることで該第2の入力画像に二次元フーリエ変換処理を施して生成された登録画像データの位相情報θfと該照合画像データ位相情報θgの位相差を求めさせる手順と、
該コンピュータに、該位相差に二次元逆フーリエ変換処理を施して該第1及び第2の入力画像の相関を示す位相限定相関関数を求めさせて出力させる手順を含むことを特徴とする、プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−3889(P2009−3889A)
【公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−166717(P2007−166717)
【出願日】平成19年6月25日(2007.6.25)
【出願人】(308014341)富士通マイクロエレクトロニクス株式会社 (2,507)
【Fターム(参考)】