説明

認証機能を有する電子機器および認証方法

【課題】良好な操作性を維持して認証機能を強化可能な電子機器および認証方法を提供する。
【解決手段】電子機器は、相対位置を変化させて入力される生体に関するデータを逐次取得するセンサを搭載し、取得した該データを用いた認証機能を有する。電子機器は、該センサによる該データの取得の開始から、該相対位置の変化の停止状態が検出されるまでに、該センサにより取得したデータ群に基づいて第1の検出パターンを取得し、該第1の検出パターンを用いて第1の認証処理を行う第1の認証部31と、該センサによる該データの取得の開始から、該停止状態の検出後、該センサによる該データの取得の終了までに、該センサにより取得したデータ群に基づいて、該第1の検出パターンと異なる第2の検出パターンを取得し、該第2の検出パターンを用いて第2の認証処理を行う第2の認証部32と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話機等の電子機器における認証機能に用いられる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、個人情報や機密情報等が記録された携帯端末装置等の電子機器における情報の保護等のため、様々な認証方法が用いられている。例えば、携帯電話機等の携帯端末装置に使用者の生体情報を取得するセンサ等を設けて、この生体情報を認証パターンとして用いた認証方法が提案されている。このような認証方法を用いた携帯電話機として、使用者の指紋を認証パターンとして使用することにより、登録された個人情報等(例えば、受信メールや住所録等)を第三者に読まれないようにする保護する携帯電話機がある。しかし、指紋認証では、例えば熟睡中や泥酔中等の、使用者が意識のない状態に、第三者が携帯電話機に設けられた指紋認証用のセンサに対して、使用者の指を使って指紋認証を行うことにより、第三者によって携帯電話機の個人情報等が読まれてしまう恐れがある。
【0003】
これに対して、指紋認証について、例えば、使用者の複数の指の指紋を所定の順番で認証する認証パターンを用いることにより、認証機能を強化する技術が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−274897号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1では、複数の指の認証を使う場合、一つの指による認証に比べて操作が複雑になってしまう。すなわち、認証パターンが複雑なため、パターンの入力動作が煩雑となってしまう。また、例えば、携帯電話機に設けられた指紋認証用のセンサに異なる指の指紋をそれぞれ読み取らせるためには、他方の手で携帯電話機を支持する動作等を行うこととなり、操作が煩雑となってしまう。
【0006】
上記事情に鑑み、良好な操作性を維持して認証機能を強化可能な電子機器及び認証方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、相対位置を変化させて入力される生体に関するデータを逐次取得するセンサを搭載し、取得した該データを用いた認証機能を有する電子機器であって、該センサによる該データの取得の開始から、該相対位置の変化の停止状態が検出されるまでに、該センサにより取得したデータ群に基づいて第1の検出パターンを取得し、該第1の検出パターンを用いて第1の認証処理を行う第1の認証部と、該センサによる該データの取得の開始から、該停止状態の検出後、該センサによる該データの取得の終了までに、該センサにより取得したデータ群に基づいて、該第1のパターンと異なる第2の検出パターンを取得し、該第2の検出パターンを用いて第2の認証処理を行う第2の認証部と、を備えた認証機能を有する電子機器、および該認証機能に適用される認証方法を提供する。
【発明の効果】
【0008】
開示の認証機能を備えた電子機器及び認証方法によれば、良好な操作性を維持して認証機能を強化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】第1実施形態の携帯電話機の外観図。
【図2】図1の携帯電話機の構成を示す機能ブロック図。
【図3】図2の携帯電話機の指紋登録処理を示すフローチャート。
【図4】図2の携帯電話機の指紋認証処理を示すフローチャート。
【図5】図2の携帯電話機の指紋読取り処理に関する説明図。
【図6】図2の携帯電話機の指紋登録処理及び指紋認証処理に関する説明図。
【図7】第2実施形態の携帯電話機における指紋登録処理及び指紋認証処理に関する説明図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(第1実施形態)
開示の認証機能を有する電子機器の第1実施形態である携帯電話機1について、図1〜図6を参照して説明する。携帯電話機1は、外部のセンターとの無線通信による通話機能やメール機能等を備えている。そして、携帯電話機1は、通話機能やメール機能で用いる住所録や、通話の発信・着信記録や、送受信したメールデータ等の個人情報を保存している。このとき、携帯電話機1は、各機能を使用可能とするための使用者の認証機能を備えている。本実施形態では、携帯電話機1の使用者の手の指の指紋画像を生体データとして用いて認証を行う。
【0011】
図1は、携帯電話機1の外観図を示す。図1Aに示すように、携帯電話機1の一方の面(表面)には、表示部2と操作入力部3とが設けられている。表示部2は、LCD(Liquid Crystal Display)等であり、情報の提示、情報選択のためのカーソル表示等に用いられる。操作入力部3は、キーパッド等であり、入力用の複数のキースイッチが配置されている。
【0012】
また、図1Bに示すように、携帯電話機1の他方の面(裏面)には、スイープ式指紋センサ4が設けられている。スイープ式指紋センサ4は、所定の横幅x[mm](例えば、一般的な指の幅に応じて定められる)を有するライン状の感知面4aを備え、感知面4a上での指のスライド動作に応じて感知面4aに対向する部分の画像データを逐次取得する。センサ方式としては、例えば光学式、静電容量式、感熱式等が用いられる。スイープ式指紋センサ4は、例えば、感知面4aへの指の接触を検知して画像データの取得を開始し、指の接触がなくなったことを検知して画像データの取得を終了する。使用者が感知面4a上に指を載せて縦幅y方向にスライド動作させる(すなわち、スイープ式指紋センサ4との相対位置を変化させる)ことにより、スイープ式指紋センサ4を介して部分指紋画像が逐次取得され、一連の部分指紋画像群から指紋画像が取得される。
【0013】
図2に、携帯電話機1の機能ブロック図を示す。この携帯電話機1は、CPU(Central Processing Unit)10や、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)を含むメモリ11等を備える電子ユニットを有し、その機能として、各種の情報処理を実行する制御部12を備えている。制御部12には、表示部2、操作入力部3、スイープ式指紋センサ4が接続されている。
【0014】
メモリ11は、携帯電話機1の使用者の個人情報や、携帯電話機1の各種機能に用いられる設定データを格納する。個人情報には例えば、電話番号やメールアドレス等の登録データや、送受信したメールデータや、メールや通話の着信・発信履歴等が含まれる。設定データには例えば、表示部2に後述の指紋登録画面や指紋認証画面を表示する際の表示パラメータ等が含まれる。
【0015】
また、メモリ11は、携帯電話機1の各機能を実現するためのプログラムを格納する。メモリ11に格納されたプログラムをCPU10で実行することにより携帯電話機1の各機能が実現される。
【0016】
制御部12は、その機能として、表示制御部20、入力制御部21、メール送受信部22、呼制御部23、及び無線制御部24を備える。表示制御部20は、表示部2に表示する画面を作成させる処理や、作成された画面を表示させる処理を行う。入力制御部21は、操作入力部3のキースイッチが押圧操作されると、その操作入力を受け付けて対応する処理を行う。メール送受信部22は、メールデータの受信や、作成されたメールデータの送信や、送受信したメールデータに関する制御を行う。呼制御部23は、通信のための回線の接続や切断の制御を行う。無線制御部24は、高周波信号の送受信を行う無線送受部や、音声やデータの信号処理を行う信号処理部を備え、外部の無線基地局等と音声やデータの無線送受を行う。
【0017】
さらに、制御部12は、指紋読取り部25と、認証データ記憶部26と、時間分割認証部27とを備える。
【0018】
指紋読取り部25は、スイープ式指紋センサ4を介して部分指紋画像を逐次取得する。なお、指紋読取り部25は、指の移動速度に比べて十分に速い処理速度で画像データを取得する性能を有する。そして、指紋読取り部25は、指のスライド動作に応じて画像データを読み取ると、読取りデータを部分指紋画像として時間分割認証部27に通知する。
【0019】
時間分割認証部27は、指紋読取り部25からの通知を受け、新たに取得された部分指紋画像に、既に取得した部分指紋画像に連結して合成することで、一連の部分指紋画像群から指紋画像を取得する。
【0020】
また、時間分割認証部27は、使用者の指紋画像に基づく登録パターンを認証データ記憶部26に登録する指紋登録処理と、使用者の指紋画像に基づく検出パターンを登録パターンと比較して認証を行う指紋認証処理とを実行する。時間分割認証部27は、指紋登録処理時には指紋登録画面を表示部2に表示させ、指紋認証処理時には指紋認証画面を表示部2に表示させる。指紋登録画面及び指紋認証画面には、スイープ式指紋センサ4による指紋画像が、その取得の進行の度合を視認可能に表示される(後述の図5Bを参照)。
【0021】
詳細には、時間分割認証部27は、第1の認証部31と第2の認証部32とを備える。指紋登録処理時において、第1の認証部31は、スイープ式指紋センサ4による画像データの取得の開始から、指のスライド動作の停止状態が検出されるまでに、スイープ式指紋センサ4により取得した部分指紋画像群に基づいて第1の登録パターンを取得する。そして、第1の認証部31は、取得した第1の登録パターンを認証データ記憶部26に登録する。
【0022】
また、指紋登録処理時において、第2の認証部32は、第1の登録パターンの取得後、スイープ式指紋センサ4による画像データの取得の終了までに取得した部分指紋画像群に基づいて第2の登録パターンを取得し、取得した第2の登録パターンを認証データ記憶部26に登録する。
【0023】
指紋認証処理時において、第1の認証部31は、スイープ式指紋センサ4による画像データの取得の開始から、指のスライド動作の停止状態が検出されるまでに、スイープ式指紋センサ4により取得した部分指紋画像群に基づいて第1の検出パターンを取得する。そして、第1の認証部31は、第1の検出パターンを予め登録された第1の登録パターンと比較して第1の認証処理を行う。この第1の認証処理で、第1の認証部31は、第1の検出パターンと第1の登録パターンとの類似の度合が所定値以上である場合に、第1の検出パターンと第1の登録パターンが一致すると判断する。
【0024】
また、指紋認証処理時において、第2の認証部32は、第1の検出パターンの取得後、スイープ式指紋センサ4による画像データの取得の終了までに取得した部分指紋画像群に基づいて第2の検出パターンを取得する。そして、第2の認証部32は、第2の検出パターンを予め登録された第2の登録パターンと比較して第2の認証処理を行う。この第2の認証処理で、第2の認証部32は、第2の検出パターンと第2の登録パターンとの類似の度合が所定値以上である場合に、第2の検出パターンと第2の登録パターンが一致すると判断する。
【0025】
このとき、第2の認証部32は、第1の認証部31による第1の認証処理の結果、第1の検出パターンと第1の登録パターンが一致すると判断された場合に、第2の認証処理を実行する。そして、第2の検出パターンと第2の登録パターンが一致すると判断された場合に、認証が成功したものとされる。
【0026】
次に、本実施形態の携帯電話機1の動作について、図3〜図4のフローチャートを参照して説明する。まず、指紋登録処理について図3のフローチャートを参照して説明する。指紋登録処理は、例えば、使用者が操作入力部3を操作して、携帯電話機1のメニュー画面等で指紋登録機能を実行させることで開始される。初期状態として、表示部2に指紋登録画面が表示されている。指紋登録画面の指紋画像表示エリア2aの近傍には、指紋画像の取得の進行の度合を視認するための指標となるスケール2bが表示されている(後述の図5Bを参照)。
【0027】
指紋登録処理では、使用者がスイープ式指紋センサ4の感知面4aに指を載せてスライド動作させ、スイープ式指紋センサ4がスライド動作に応じて画像データを逐次取得している。そして、指紋読取り部25は下記のSTEP1〜2の処理を繰り返し、時間分割認証部27は下記のSTEP11〜16の処理を実行する。
【0028】
まず、指紋登録処理における指紋読取り部25の処理を説明する。指紋読取り部25は、スイープ式指紋センサ4により画像データが所定縦幅a(例えば、2[mm])以上読み取られたか否かを判断する(STEP1)。なお、縦幅aは例えば感知面4aの縦幅yの所定倍とする。読取りデータが縦幅a未満(STEP1の判断結果がNO)の場合、STEP1の判断が繰り返される。一方、取得したデータが縦幅a以上(STEP1の判断結果がYES)の場合、指紋読取り部25は、時間分割認証部27へ読取りデータを部分指紋画像として通知し(STEP2)、STEP1へ戻り、指紋登録処理が終了するまでSTEP1〜2の処理を繰り返す。
【0029】
次に、指紋登録処理における時間分割認証部27の処理を説明する。時間分割認証部27は、指紋読取り部25から読取りデータの通知を受けると、新たに取得された部分指紋画像に濃淡処理等の補正処理を行い、既に取得した指紋画像に連結して合成する(STEP11)。なお、初回時には、時間分割認証部27は、受け取った読取りデータに濃淡処理等の補正処理を行い、そのまま指紋画像とする。これにより、一連の部分指紋画像群から指紋画像が取得される。
【0030】
次に、時間分割認証部27は、表示制御部20により、取得された指紋画像を表示部2の指紋登録画面の指紋画像エリア2aに表示させる(STEP12)。これにより、指紋画像の取得済みの部分が指紋画像エリア2aに表示される。
【0031】
ここで、指紋読取り処理について、図5に示す例を用いて説明する。図5Aは、使用者がスイープ式指紋センサ4の感知面4aに指を載せてスライド動作させている状態を模式的に示す。図5Aに示すように、指はスイープ式指紋センサ4に対して矢印方向に相対移動している。このとき、図5Bに示すように、表示部2に表示された指紋登録画面の指紋画像エリア2aに、指紋画像の取得済みの部分が表示される。そして、使用者は、指紋画像エリア2aに表示された指紋画像と、指紋登録画面のスケール2bとを比較することにより、指紋画像の取得の進行の度合を視認することができる。
【0032】
次に、時間分割認証部27は、指のスライド動作の停止状態を検出したか否かを判断する(STEP13)。例えば、時間分割認証部27は、指が所定時間(例えば、2[sec])以上、停止している(指の移動速度が停止に相当する所定速度以下である)場合に、停止状態を検出したと判断する。具体的には、本実施形態では、時間分割認証部27は、例えば指紋読取り部25から読取りデータの通知が所定時間以上ない場合に停止状態であると検出する。
【0033】
すなわち、時間分割認証部27は、読み取りデータの通知を受けてから所定時間内に次の読み取りデータの通知を受けた場合、停止状態を検出しないと判断し(STEP13の判断結果がNO)、STEP11に戻る。そして、受け取った読み取りデータについて、STEP11〜STEP13の処理を行う。これにより、STEP13で停止状態が検出されるまで、STEP11で、読取りデータ毎に指紋画像の各部分が端部から取得され、STEP12で、取得した指紋画像の各部分が順次、指紋画像エリア2aに表示される。そして、使用者は、指紋画像の取得の進行の度合を視認しながらスライド動作を行い、登録したい分割度合い(例えば、指紋全体の70%まで読み取った状態)で指のスライド動作を停止することができる。
【0034】
一方、読み取りデータの通知を受けてから所定時間経過しても、次の読み取りデータの通知を受けない場合には、時間分割認証部27は、停止状態を検出したと判断して(STEP13の判断結果がYES)、STEP14に進む。
【0035】
次に、時間分割認証部27は、認証データ記憶部26に登録パターン1が登録済みか否かを判断する(STEP14)。登録パターン1が保存済みでない場合(STEP14の判断結果がNO)、第1の認証部31は、スイープ式指紋センサ4による画像データの取得の開始から、指のスライド動作の停止状態が検出されるまでに、スイープ式指紋センサ4により取得した指紋画像に基づいて登録パターン1を取得する。図6に、取得した登録パターン1を例示する。図6中、αは停止状態が検出された位置を示す。なお、登録パターン1は、指紋画像の画像データ自体でもよく、指紋画像から抽出した特徴量データでもよい。そして、第1の認証部31は、取得した登録パターン1を認証データ記憶部26に保存し(STEP16)、STEP11に戻る。
【0036】
一方、登録パターン1が保存済みである場合(STEP14の判断結果がYES)、STEP13で検出された停止状態は、スイープ式指紋センサ4による画像データの取得の終了と想定される。この場合、第2の認証部32は、登録パターン1の取得後、スイープ式指紋センサ4による画像データの取得の終了までに取得した指紋画像に基づいて、登録パターン2を取得する。図6に、取得した登録パターン2を例示する。なお、登録パターン2は、指紋画像の画像データ自体でもよく、指紋画像から抽出した特徴量データでもよい。また、登録パターン1と同じ処理で取得しても異なる処理で取得してもよい。そして、第2の認証部32は、取得した登録パターン2を認証データ記憶部26に保存し(STEP15)、指紋登録処理を終了する。
【0037】
次に、指紋認証処理について図4のフローチャートを参照して説明する。指紋認証処理は、例えば、使用者が操作入力部3を操作して、携帯電話機1のメニュー画面等で個人情報の表示を伴う機能を実行させることで開始される。初期状態として、表示部2に指紋認証画面が表示されており、上述の図5Bに示した指紋登録画面と同様に、指紋認証画面の指紋画像表示エリア3aの近傍には、指紋画像の取得の進行の度合を視認するための指標となるスケール3bが表示されている。
【0038】
指紋認証処理では、指紋登録処理と同様に、使用者がスイープ式指紋センサ4の感知面4aに指を載せてスライド動作させ、スイープ式指紋センサ4がスライド動作に応じて画像データを逐次取得している。そして、指紋読取り部25は下記のSTEP21〜22の処理を繰り返し、時間分割認証部27は下記のSTEP31〜39の処理を実行する。
【0039】
まず、指紋認証処理における指紋読取り部25の処理を説明する。指紋登録処理と同様に、指紋読取り部25は、スイープ式指紋センサ4により画像データが所定縦幅a以上読み取られたか否かを判断する(STEP21)。読取りデータが縦幅a未満(STEP21の判断結果がNO)の場合、STEP21の判断が繰り返される。一方、取得したデータが縦幅a以上(STEP21の判断結果がYES)の場合、指紋読取り部25は、時間分割認証部27へ読取りデータを部分指紋画像として通知し(STEP22)、STEP21へ戻り、指紋認証処理が終了するまでSTEP21〜22の処理を繰り返す。
【0040】
次に、指紋認証処理における時間分割認証部27の処理を説明する。時間分割認証部27は、指紋登録処理と同様に、指紋読取り部25から読取りデータの通知を受けると、新たに取得された部分指紋画像に濃淡処理等の補正処理を行い、既に取得した指紋画像に連結して合成する(STEP31)。これにより、一連の部分指紋画像群から指紋画像が取得される。
【0041】
次に、時間分割認証部27は、指紋登録処理と同様に、表示制御部20により、取得された指紋画像を表示部2の指紋認証画面の指紋画像エリア3aに表示させる(STEP32)。これにより、指紋画像の取得済みの部分が指紋画像エリア3aに表示される。このとき、使用者は、指紋画像エリア3aに表示された指紋画像と、指紋認証画面のスケール3bとを比較することにより、指紋画像の取得の進行の度合を視認することができる。
【0042】
次に、時間分割認証部27は、指紋登録処理と同様に、指のスライド動作の停止状態を検出したか否かを判断する(STEP33)。時間分割認証部27は、読み取りデータの通知を受けてから所定時間内に次の読み取りデータの通知を受けた場合、停止状態でないと判断し(STEP33の判断結果がNO)、STEP31に戻る。そして、受け取った読み取りデータについて、STEP31〜STEP33の処理を行う。これにより、STEP33で停止状態が検出されるまで、STEP31で、読取りデータ毎に指紋画像の各部分が端部から取得され、STEP32で、取得した指紋画像の各部分が順次、指紋画像エリア3aに表示される。そして、使用者は、指紋画像の取得の進行の度合を視認しながらスライド動作を行い、指紋登録時の停止位置に相当する位置でスライド動作を停止することができる。
【0043】
一方、読み取りデータの通知を受けてから所定時間経過しても、次の読み取りデータの通知を受けない場合には、時間分割認証部27は、停止状態を検出したと判断して(STEP33の判断結果がYES)、STEP34に進む。
【0044】
次に、時間分割認証部27は、検出パターン1が認証済みか否かを判断する(STEP34)。検出パターン1が認証済みでない場合(STEP34の判断結果がNO)、第1の認証部31は、スイープ式指紋センサ4による画像データの取得の開始から、指のスライド動作の停止状態が検出されるまでに、スイープ式指紋センサ4により取得した指紋画像に基づいて、登録パターンと同じ処理で検出パターン1を取得する。図6に、取得した検出パターン1を例示する。図6中、βは停止状態が検出された位置を示す。そして、第1の認証部31は、取得した検出パターン1を、認証データ記憶部26に保存された認証パターン1と比較して、第1の認証処理を行う(STEP35)。具体的には、第1の認証部31は、検出パターン1と登録パターン1との類似の度合を算出する。
【0045】
次に、第1の認証部31は、認証結果が一致するか否か判断する(STEP36)。具体的には、第1の認証部31は、検出パターン1と登録パターン1との類似の度合が所定値以上である場合に一致すると判断する。これにより、使用者が指の停止動作により時間分割した一方の指紋画像の整合性に関する認証が行われる。
【0046】
認証結果が一致しないと判断された場合(STEP36の判断結果がNO)、認証は不成功となり、そのまま指紋認証処理が終了される。認証結果が一致すると判断された場合(STEP36の判断結果がNO)、第1の認証は成功となり、STEP31に戻る。
【0047】
一方、検出パターン1が認証済みである場合(STEP34の判断結果がYES)、第1の認証は成功しており、STEP33で検出された停止状態は、スイープ式指紋センサ4による画像データの取得の終了と想定される。この場合、第2の認証部32は、登録パターン1の取得後、スイープ式指紋センサ4による画像データの取得の終了までに取得した指紋画像に基づいて、登録パターンと同じ処理で登録パターン2を取得する。図6に、取得した検出パターン2を例示する。そして、第2の認証部32は、取得した検出パターン2を、認証データ記憶部26に保存された登録パターン2と比較して、第2の認証処理を行う(STEP37)。具体的には、第2の認証部32は、検出パターン2と登録パターン2との類似の度合を算出する。
【0048】
次に、第2の認証部32は、認証結果が一致するか否か判断する(STEP38)。具体的には、第2の認証部32は、検出パターン2と登録パターン2との類似の度合が所定値以上である場合に一致すると判断する。これにより、使用者が指の停止動作により時間分割した他方の指紋画像の整合性に関する認証が行われる。
【0049】
認証結果が一致しないと判断された場合(STEP38の判断結果がNO)、認証は不成功となり、そのまま指紋認証処理が終了される。認証結果が一致すると判断された場合(STEP38の判断結果がNO)、第2の認証は成功となる。これにより、認証成功となり(STEP39)、個人情報の表示を可能として、指紋認証処理が終了される。
【0050】
以上が本実施形態の指紋登録処理および指紋認証処理である。これによれば、使用者が指のスライド動作を一時停止することで、簡易な動作でパターンを時間分割して認証を行うことができる。このとき、指を一時停止するタイミングは第三者からは分かりにくいため、例えば第三者が使用者の指を用いて指紋認証を行っても、認証を成功させることは難しい。したがって、このように時間分割して認証を行うことで、例えば第三者の操作により携帯電話機1に記憶された個人情報が読み取られてしまう状況を回避することができる。
【0051】
よって、本実施形態によれば、良好な操作性を維持して認証機能を強化することができる。
【0052】
なお、本実施形態では、第2の登録パターン及び検出パターンは、第1の登録パターン及び検出パターンの取得後、スイープ式指紋センサ4による画像データの取得の終了までに取得した部分指紋画像群に基づいて取得するものとしたが、これには限られない。例えば、第2の登録パターン及び検出パターンは、スイープ式指紋センサ4による画像データの取得の開始から終了までに取得した全データ群、又は第1の登録パターン及び検出パターンを取得したデータ群と異なる所定の部分データ群に基づいて取得するものとすればよい。
(第2実施形態)
次に、開示の認証機能を有する電子機器の第2実施形態について説明する。第2実施形態は、第1実施形態と、第1の認証部31及び第2の認証部32の処理が相違する。第1実施形態と同じ構成については、同じ番号を付して説明を省略する。
【0053】
本実施形態において、指紋登録処理時に、第1の認証部31と第2の認証部32は、それぞれ、スイープ式指紋センサ4による画像データの取得の開始から、指のスライド動作の停止状態が検出されるまでに、スイープ式指紋センサ4により取得した部分指紋画像群に基づいて、第1の登録パターンと第2の登録パターンを取得する。本実施形態では、登録パターンは、スイープ式指紋センサ4による画像データの取得の開始から、指のスライド動作の停止状態が検出されるまでに、スイープ式指紋センサ4により取得した指紋画像の画像データ自体とし、第1の登録パターンと第2の登録パターンは同じ画像データとする。
【0054】
また、指紋認証処理時に、第1の認証部31と第2の認証部32は、指紋登録処理時と同様、それぞれ、スイープ式指紋センサ4による画像データの取得の開始から、指のスライド動作の停止状態が検出されるまでに、スイープ式指紋センサ4により取得した部分指紋画像群に基づいて、第1の検出パターンと第2の検出パターンを取得する。本実施形態では、検出パターンは、登録パターンと同様、取得した指紋画像の画像データ自体とする。
【0055】
そして、第1の認証部31と第2の認証部32は、第1の認証処理と第2の認証処理として、第2の認証処理が第1の認証処理より認証精度が高くなるような、異なる認証処理を実行する。具体的には、第1の認証処理では、第1の検出パターンとして指紋画像を取得した際の、指のスライド動作の停止タイミングに関する認証処理を実行し、第2の認証処理では、第2の検出パターンとしての指紋画像自体に関する認証処理を実行する。
【0056】
第1の認証部31は、第1の検出パターンの終端の始端に対する位置と、第1の登録パターンの終端の始端に対する位置が、所定範囲内にある場合に、第1の検出パターンと第1の登録パターンが一致する(停止タイミングが整合する)と判断する。また、第2の認証部32は、第2の検出パターンと第2の登録パターンとの類似の度合が所定値以上である場合に、第2の検出パターンと第2の登録パターンが一致する(指紋画像が整合する)と判断する。このとき、第2の認証部32は、第1の認証部31による第1の認証処理の結果、第1の検出パターンと第1の登録パターンが一致すると判断された場合に、第2の認証処理を実行する。
【0057】
ここで、本実施形態の指紋認証処理について、図7を参照して説明する。図7Aは、第1の認証処理の例を示す。第1の認証処理では、第1の認証部31は、検出パターン1の終端の始端γに対する位置αと、登録パターン1の終端の始端γに対する位置βとを比較する。例えば、αに対して、βが所定範囲内(例えば、指紋全体の縦幅の±10%内)にあるか否かを判断し、所定範囲内にあれば、停止位置が整合している(第1の認証が成功である)と判断する。これにより、使用者が指の停止動作で時間分割した指紋画像について、指の停止タイミングに関する認証を行うことができる。この第1の認証処理では、位置を比較するだけの簡易な処理で、迅速に認証を行うことができる。
【0058】
また、図7Bは、第2の認証処理の例を示す。第2の認証処理では、第2の認証部32は、検出パターン2と登録パターン2について、共通の領域δを比較して、類似の度合が所定値以上である場合に、指紋画像が整合している(第2の認証が成功である)と判断する。これにより、使用者が指の停止動作で時間分割した指紋画像について、指紋画像自体の認証を行うことができる。この第2の認証処理では、第1の認証が成功である指紋画像自体に、より認証精度の高い認証を行うことができる。
【0059】
本実施形態によれば、第1実施形態と同様に、良好な操作性を維持して認証機能を強化することができる。
【0060】
なお、本実施形態では、第2の登録パターン及び検出パターンは、第1の登録パターン及び検出パターンを取得した部分指紋画像群に基づいて取得するものとしたが、これには限られない。例えば、第2の登録パターン及び検出パターンは、スイープ式指紋センサ4による画像データの取得の開始から終了までに取得した全データ群、又は所定の部分データ群に基づいて取得するものとすればよい。
【0061】
また、第1及び第2実施形態では、登録パターン及び検出パターンを2つに時間分割して認証を行ったが、例えば、3つ以上に時間分割して認証を行うものとしてもよい。
【0062】
また、第1及び第2実施形態では、生体に関するデータとして使用者の指紋を用いたが、これには限られない。他の実施形態として、例えば、使用者の手書きサインを用いる場合に適用してもよい。
【0063】
また、第1及び第2実施形態では、認証機能を有する電子機器として携帯電話機を用いたが、電子機器としてPDA(Personal Digital Assistants)等の他の装置を用いてもよい。
【0064】
以上の実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
【0065】
(付記1) 相対位置を変化させて入力される生体に関するデータを逐次取得するセンサを搭載し、取得した該データを用いた認証機能を有する電子機器であって、該センサによる該データの取得の開始から、該相対位置の変化の停止状態が検出されるまでに、該センサにより取得したデータ群に基づいて第1の検出パターンを取得し、該第1の検出パターンを用いて第1の認証処理を行う第1の認証部と、該センサによる該データの取得の開始から、該停止状態の検出後、該センサによる該データの取得の終了までに、該センサにより取得したデータ群に基づいて、該第1の検出パターンと異なる第2の検出パターンを取得し、該第2の検出パターンを用いて第2の認証処理を行う第2の認証部と、を備えた認証機能を有する電子機器。
【0066】
(付記2) 前記第2の認証部は、前記第1の検出パターンの取得後、前記センサによる前記データの取得の終了までに取得したデータ群を用いて前記第2の検出パターンを取得して、前記第2の認証処理を行う、付記1に記載の認証機能を有する電子機器。
【0067】
(付記3) 前記第2の認証部は、前記第1の検出パターンを取得したデータ群を用いて、該第1の検出パターンと異なる処理で前記第2の検出パターンを取得して、前記第2の認証処理を行う、付記1に記載の認証機能を有する電子機器。
【0068】
(付記4) 前記第1の認証部は、前記第1の認証処理として、前記第1の検出パターンを取得する際の前記停止状態の検出に関する認証処理を行い、前記第2の認証部は、前記第2の認証処理として、前記第2の検出パターン自体の認証処理を行う、付記1〜3のうちいずれかに記載の認証機能を有する電子機器。
【0069】
(付記5) 前記第2の認証部は、前記第1の認証部による第1の認証処理が成功した場合に、前記第2の認証処理を実行する付記1〜4のうちいずれかに記載の認証機能を有する電子機器。
【0070】
(付記6) 前記センサによる前記生体に関するデータの取得の進行の度合を視認可能に表示する表示部を備える付記1〜5のうちいずれかに記載の認証機能を有する電子機器。
【0071】
(付記7) 前記生体に関するデータは指紋画像であり、
前記センサはスイープ式指紋センサである付記1〜6のうちいずれかに記載の認証機能を有する電子機器。
【0072】
(付記8) センサを介して相対位置を変化させて入力される生体に関するデータを逐次取得し、取得した該データを用いて認証を行う認証方法であって、該センサによる該データの取得の開始から、該相対位置の変化の停止状態が検出されるまでに、該センサにより取得したデータ群に基づいて第1の検出パターンを取得し、該第1の検出パターンを用いて第1の認証処理を行い、該センサによる該データの取得の開始から、該停止状態の検出後、該センサによる該データの取得の終了までに、該センサにより取得したデータ群に基づいて、該第1の検出パターンと異なる第2の検出パターンを取得し、該第2の検出パターンを用いて第2の認証処理を行う、ことを特徴とする認証方法。
【0073】
(付記9) センサを介して相対位置を変化させて入力される生体に関するデータを逐次取得し、取得した該データを用いて認証を行う処理をコンピュータに実行させる認証機能を有するプログラムであって、該センサによる該データの取得の開始から、該相対位置の変化の停止状態が検出されるまでに、該センサにより取得したデータ群に基づいて取得する第1の検出パターンを用いた第1の認証処理と、該センサによる該データの取得の開始から、該停止状態の検出後、該センサによる該データの取得の終了までに、該センサにより取得したデータ群に基づいて取得する、該第1の検出パターンと異なる第2の検出パターンを用いた第2の認証処理と、をコンピュータに実行させる認証機能を有するプログラム。
【符号の説明】
【0074】
1…携帯電話機、2…表示部、3…操作入力部、4…スイープ式指紋センサ、10…CPU、11…メモリ、12…制御部、20…表示制御部、21…入力制御部、22…メール送受信部、23…呼制御部、24…無線制御部、25…指紋読取り部、26…認証データ記憶部、27…時間分割認証部、31…第1の認証部、32…第2の認証部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
相対位置を変化させて入力される生体に関するデータを逐次取得するセンサを搭載し、取得した該データを用いた認証機能を有する電子機器であって、
該センサによる該データの取得の開始から、該相対位置の変化の停止状態が検出されるまでに、該センサにより取得したデータ群に基づいて第1の検出パターンを取得し、該第1の検出パターンを用いて第1の認証処理を行う第1の認証部と、
該センサによる該データの取得の開始から、該停止状態の検出後、該センサによる該データの取得の終了までに、該センサにより取得したデータ群に基づいて、該第1の検出パターンと異なる第2の検出パターンを取得し、該第2の検出パターンを用いて第2の認証処理を行う第2の認証部と、
を備えた認証機能を有する電子機器
【請求項2】
前記第2の認証部は、前記第1の検出パターンの取得後、前記センサによる前記データの取得の終了までに取得したデータ群を用いて前記第2の検出パターンを取得して、前記第2の認証処理を行う、請求項1に記載の認証機能を有する電子機器。
【請求項3】
前記第2の認証部は、前記第1の検出パターンを取得したデータ群を用いて、該第1の検出パターンと異なる処理で前記第2の検出パターンを取得して、前記第2の認証処理を行う、請求項1に記載の認証機能を有する電子機器。
【請求項4】
前記第1の認証部は、前記第1の認証処理として、前記第1の検出パターンを取得する際の前記停止状態の検出に関する認証処理を行い、前記第2の認証部は、前記第2の認証処理として、前記第2の検出パターン自体の認証処理を行う、請求項1〜3のうちいずれかに記載の認証機能を有する電子機器。
【請求項5】
センサを介して相対位置を変化させて入力される生体に関するデータを逐次取得し、取得した該データを用いて認証を行う認証方法であって、
該センサによる該データの取得の開始から、該相対位置の変化の停止状態が検出されるまでに、該センサにより取得したデータ群に基づいて第1の検出パターンを取得し、該第1の検出パターンを用いて第1の認証処理を行い、
該センサによる該データの取得の開始から、該停止状態の検出後、該センサによる該データの取得の終了までに、該センサにより取得したデータ群に基づいて、該第1の検出パターンと異なる第2の検出パターンを取得し、該第2の検出パターンを用いて第2の認証処理を行う、
ことを特徴とする認証方法。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2011−22687(P2011−22687A)
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−165438(P2009−165438)
【出願日】平成21年7月14日(2009.7.14)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】